2021年2月8日月曜日

歴史に残る機体31 ノースアメリカンF-100スーパーセイバーは初の超音速ジェット戦闘機でセンチュリーシリーズの一番手、高い事故率に苦しみつつも、ベトナムで活躍した。

 歴史に残る機体31


 

 

1947年10月14日、オレンジ色に塗ったベルX-1をチャック・イエーガーが操縦し、

水平飛行で初めて音速の壁を破った。X-1はロケット推進の実験機だったが、ジェットエンジン技術も進んでおり、超音速飛行の実現もまもなくとの期待が高まっていた。

 

ノースアメリカンは自社事業でF-86セイバーを超音速仕様に進化させようとしていた。セイバーは35度後退翼で高速度性能を実現した。F-100「スーパー」セイバーでは45度にし、機首の空気取入口は押しつぶした台形状になった。1950年代当時の新鋭機「センチュリーシリーズ」で一番手となったF-100についたニックネームは100を短くした「ハン」だった。

 

エンジンはJ-57-P-7 ターボジェットでアフターバーナーつきで、高高度で時速850マイルを実現した反面で燃料消費も著しかった。F-100は速度記録を更新した。

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空軍はF-100Aを1954年10月に供用開始したが、事故が多発し、空中分解でエースパイロットのジョージ・ウェルチが死亡し全機飛行停止となった。尾翼が小さすぎることで不安定になり制御不能なヨーが発生したためだった。

 

この問題は解決したものの、ハンには別の欠陥もあった。高速発射可能な20ミリM-39機関砲4門を搭載したものの、想定がすでに旧式になっていた。空対空ミサイルはまだなく、長距離捜索レーダーもないまま、短距離性能の欠点を補うため落下式燃料タンクを追加した。事故多発のF-100Aは早くも1958年に第一線を退いた。

 

RF-100A高速偵察機にはカメラ4基を機関砲の代わりに搭載し、短期間ながら成功作とされた。ドイツ、日本に配備され、高度50千フィートという高高度で東欧、中国、北朝鮮上空を飛んだ。当時は同機に追いつく迎撃機がなかったが、1956年に更に高高度を飛ぶU-2に交代した。

 

その後登場したのがF-100C戦闘爆撃機で476機が生産され、主翼を延長強化し、エンジンを強力なJ-57-P21 とし、最高時速が924マイルとなり、パイロン6箇所に6千ポンドの兵装を搭載した。さらに燃料搭載量が2倍になり、空中給油用のプローブもついた。これを利用しF-100Cの三機編隊が単発機として最長距離記録となったロサンジェルス-ロンドン間飛行を14時間で1957年5月13日に実行した。サンダーバーズ飛行展示チームがF-100Cを1956年に採用し、ソニックブームで地上の群衆を驚かせるのが常だったが、FAAにより禁止された。

 

F-100Dはさらに洗練され、1274機を製造し、尾翼主翼をさらに引き伸ばし、レーダー警告装置を搭載し、機体下部にハードポイント7つ目が追加され、AIM-9B熱追尾空対空ミサイル運用が可能となった。C型D型で搭載可能な兵装はナパームキャニスター、ズーニ2.75インチロケット弾、クラスター爆弾、AGM-45ブルパップ・AGM-83の対地誘導ミサイルまで多岐にのぼった。

 

NATOに配備されたF-100飛行隊は戦術核兵器4種類を運用し待機した。だが、核爆弾投下の場合に高速機といえども爆発の影響を受けずに脱出できたのか。通常兵器でも同様にリスクがあったが。

 

ハンパイロットは「肩越し」トス投下方式を訓練し、超音速バレルロールで上昇するのだった。機体が垂直に近づくと機内のMA-2低高度爆撃装備が核爆弾を自動投下する。爆弾が弧を描き落下すると、スーパーセイバーはロールしアフターバーナーを点火し反対側に逃げるのだった。

 

空軍はF-100でZEL(ゼロ距離発進)も試し、巨大ロケットブースターを機体下に装着し、トラックの荷台から発進させた。この方法を試したのはNATO航空基地がソ連の核攻撃で破壊された場合の代替離陸方法が必要だったからだ。テストは順調に進んだがZELが実際に採用されることはなかった。

 

Vietnam Workhorse—and First MiG Kill of the War?

 

1961年4月、フィリピン配備のF-100Dがタイ王国へ移動し、東南アジアに初めて米軍ジェット機が配備された。実戦出動の機会がなかったが、1964年に北ベトナム対空陣地制圧に出動した。1965年3月2日にローリングサンダー作戦でF-105戦闘爆撃機の援護を開始した。

 

1965年4月4日にはドナルド・キルガス大尉操縦のF-100がタンホア橋空襲部隊の援護にあたっていると、北ベトナムのMiG-17の四機編隊が雲の中から現れ、ベトナム戦初の空対空戦闘がはじまった。MiG-17は速力が劣りミサイルも搭載していなかったが、強力な機関砲三門がF-105を撃破し、二機目にも甚大な損害を与えた。

 

キルガスは燃料タンクを落下し、急角度で方向を変えMiGの後方に回ろうとした。ソ連製機体は垂直に降下し、キルガスを誘い込んだが、重量が大きい大尉の機体では引き起こしがそのうち不可能となる。高度7千フィートでキルガスは機関砲を使った。

 

「煙と閃光がMiGの垂直尾翼上に見えたが、すぐ何も見えなくなった。580ノットで飛んでいた。トンキン湾のしぶきが見えたと大袈裟に言うつもりはないが、ぎりぎりで機体を上昇させた」

 

当日にMiG三機を撃墜したが、二機はベトナム軍地上砲火によるものだった。3番目の機体がキルガスの相手で、実戦で初のMiG撃墜事例のはずだったが、空軍は「可能性濃厚」としただけだった。

 

その後のF-100は地上部隊支援任務で南ベトナムに回された。1967年にF-100C配備の州軍飛行隊が配属された。最盛期には南ベトナムに490機ものスーパーセイバーが展開し、毎日平均地上支援ミッション2回をこなし、予め設定した標的を攻撃したほか、地上部隊の求めに応じ近接航空支援をおこなった。

 

空軍は複座のF-100Fを初の「ワイルドウィーゼル」に投入し、敵防空レーダーを探知させた。EF-100Fにはレーダー受信機2つを搭載し敵レーダーの位置をわりだし、位置を随行するF-105に攻撃させた。その後のウィーゼル任務ではAGM-145シュライクレーダーホーミングミサイルでレーダーを撃破した。試行結果に満足した空軍はウィルドウィーゼル任務にF-105やF-4を投入した。F-100Fは「高速前方航空統制機」になり敵を探知すると煙ロケットで印をつけ僚機に攻撃させた。コールサイン「ミスティ」の高速FACは防空体制が整った危険地帯上空を飛んだ。

 

スーパーセイバーは高テンポで戦闘投入され、爆弾、ナパームの投下量は40百万ポンドに上り、出撃は360,283回になって1971年に戦場から離れた。この規模はF-4ファントム、F-105のいずれよりも多い。代償もあったベトナムでのF-100喪失は242機にのぼり、対空火砲で186機、基地駐機中に7機を失った。

 

ただし、スーパーセイバーの事故率は高く、コンプレッサー作動中止、主翼損壊、ヨー不安定などのほうが多くの犠牲者を生んだ。全生産2,294機中で889機が事故喪失で324名の生命を奪った。

 

フランス、デンマーク両国がF-100D、F型を運用し、フランスはアルジェ反乱分子の制圧に投入した。台湾もF-100Aを118機導入し、レーダー警報装置及びサイドワインダーミサイル運用能力をその後付与した。台湾機は中国のMiGと対決したほか、危険なスパイ任務にも使われたといわれる。

 

トルコはC型D型F型を200機以上調達し、ソ連領空への侵入にも投入され、Su-15迎撃機を振り切ったといわれるが、地対空ミサイルで一機を喪失している。1974年7月のキプロス介入作戦ではトルコは地上砲火で6機を、さらに事故で2機喪失した。トルコ機は750ポンド爆弾でニコシア空港を空爆し、ヘリコプター侵攻部隊を上空援護し、自軍の駆逐艦コチャテップをギリシア艦と誤認し沈めている。

 

州軍航空隊ではスーパーセイバーを1980年まで共用した。用済みとなった325機はオレンジ色塗色のQF-100標的無人機になりミサイルテストの標的となったが、現在でも数機が飛行可能な状態で保存されている。

 

米国初の超音速機は戦闘機として決して卓越した機体ではなかったが、甘受しがたい事故率を記録したものの、革命的な新技術を駆使し、戦術も生み出し、最終的に地上部隊支援機としてベトナム戦に活躍したのだった。■

 

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The F-100 Super Sabre Was America’ First Supersonic Jet

February 4, 2021  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-100Air ForceMilitaryTechnologyWorldWar

by Sebastien Roblin

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This article first appeared three years ago.

Image: Wikipedia


2021年2月7日日曜日

主張 日米同盟の本質は軍事力による抑止効果だ。日米両国は中国との戦闘を想定し、法的問題など構造面の準備で未解決問題が残るので、戦略思考で対応をひとつずつすませておくべきだ。

  

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週、中国が「独立すれば即開戦」との強い口調で台湾へ警告してきた。台湾国防部も中国機計15機が一度に台湾防空識別圏に侵入したと発表していた。緊張が高まる中で、中国が軍事力投入に踏み来る可能性が続く状況をバイデン政権は最上位の優先事項とすべきだ。

 

トランプ政権は同盟国との取引を重視したが、バイデン政権は米国の国益を守ることを最上段にしたまま、同盟国との戦略的関与を続けるだろう。中国の軍事脅威により長年の米国の同盟国日本の存在が高まり、米日同盟の根本である有事対応が浮上するはずだ。

 

日本国内で平和志向が根強いためか、自衛隊に憲法上の制約がついてまわるためか、同盟関係の軍事側面が軽視されがちで、同盟を安定化させる、あるいは経済・外交面の協力を目指す戦略意見交換を取り上げる傾向のほうが強い。相互作戦体制の実現を求める動きの先に同盟関係の軍事側面があるのだが、言及されることが少なく、両国の軍事組織の関係は極めて複雑なまま一部で改善が必要になっている。

 

米日同盟関係の目的は侵略行為の抑止であり、そのため効果ある軍事力が前提となる。両国の同盟関係は域内の平和、安全、安定の基礎とよくいわれるが、両国が責任を共有してこそ、効果が実現するのであり、平時から意味のある対応をしておくことで緊急時に効果を発揮する。だが米日同盟に有事に必要となる装備、配備、認証が予め整備されていると言えるだろうか。

 

ここ数年の中国の行為を見れば、中国が台湾へ軍事行動を選択する可能性に両国が備えるのは当然だろう。この可能性が現実となる確率は低いと主張する向きがあるが、では、10年後はどうなっているだろうか。可能性がいかに低くても米国は事態に備えるべきだ。中国が台湾を攻撃すれば、日本は米軍への支援を求められるはずだ。中国が在日米軍も攻撃対象にすれば、日本自体が攻撃を受ける。同盟関係は有事活動に日本防衛も視野に入れた体制になっているのか。この答えは日本と共同してバイデン政権が個別に解決することであり、有事シナリオを左右する要素になる。

 

まず法的な権限を適正に確保しておくことがある。有事に日本が自国防衛しかできないのなら、日本の政治日程と米軍の作戦日程を同期化しておかなければならない。例として自衛隊に出動命令を出すため、総理大臣は日本の存亡に関わる事態だと定義する必要がある。その後に米軍支援の議論が発生する。米国が期待する支援内容をあらかじめ明確に定義しておけば、日本政府は必要な法的政治的枠組みを平時から準備でき、有事発生でも迅速な承認が可能となる。他の米同盟国が加われば、日本上空の飛行やアクセスが必要となろう。日本が主要欧州各国やオーストラリアのような域内有力国との協力関係を強化しているが、有事に増援部隊の移動を支援する合意ができていることが不可欠である。

 

日本の役目が後方支援に限定されるとしても、米日両国は目的を共有すべきだ。台湾の緊急事態に対応する共同作戦が事前にできていなくても、少なくとも自国の作戦方針は共有しておくべきだろう。さらに米国と日本で指揮統制の仕組みが並列している現状でいいのか検討すべきで、急進展する戦闘状況で情報が不完全なままでは自国部隊運用ができない。最後に、日本領土内から作戦行動を展開するため、両国の弾薬燃料備蓄が作戦継続に必要な水準になっているか。バイデン政権がこうした点を逐一検討すれば、欠点や未解決課題の共同解消にむかうのではないか。

 

中国との開戦になれば日本への攻撃も必至なので、強固な日本の防衛体制と攻撃能力へ期待するのは当然だ。防空・ミサイル防衛分野ではイージス・アショア弾道ミサイル防衛装備の導入を日本が断念したのを受け、受動的防衛体制として燃料補給系や補給処の防護やハンガーの強化、おとり装置などの検討が必要となっており、長期戦闘への準備体制を点検すべきだ。日本でイージスアショア導入が困難なら、地上配備の中距離攻撃ミサイルの配備も困難になるのではないか。このため、米装備を基地に導入する意思が日本にあるのか問う可能性が生まれている。あるいはこれが困難な場合、少なくとも米装備を日本に迅速配備する体制ができているかだ。こうした装備がないままでも両国に海上配備、空中配備のミサイル装備があるが、中国の装備近代化のスピードを意識し、データ共有や標的捕捉を共同実施する体制をすすめる必要がある。サイバー、宇宙、電磁部門が絡む戦闘となれば両国では情報ネットワーク、センサー、機材の強化が十分な水準となのか、指揮統制通信・コンピュータ・情報収集監視偵察拠点への中国の攻撃に耐えられるか点検すべきだ。こうした作業には時間がかかる。

 

日本本土が攻撃を受け日本民間人がまきこまれる事態には、日本政府をあげての対応が必要だ。死傷者が現実に発生するのは人口密集地だろう。両国は史上最大規模の一般市民退避作戦の準備ができているだろうか。艦船や航空機の規模の問題ではない。むしろ、両国に法的な権限が正しく備わっており、退避行動に使う港湾・空港を防御できるかが問題となる。また食料・物資の補給を民間人多数に提供することになる。他方で両国で戦闘中に方不明が発生すれば、捜索救難活動を東シナ海で展開しつつ、日本国内の民間医療従事者向け支援も必要となる。このため事前集積の準備が必要となるが、日本政府から要請があっても市町村レベルの医療機関の支援を米軍が行う法的根拠の問題がある。すべて米日両国の政府間で共通化されていない課題につながる。平時から調整しておくのが混乱が予想される事態に備えることにつながる。

 

最後に、両国は最適な軍事姿勢を協議しておく必要がある。直近のRANDコーポレーション報告書では、東シナ海の有事で日本が何ができるかを検討している。沖縄のはるか西方で軍事衝突が発生すれば、日本は空輸・海上輸送、補給支援で課題に直面する。こうした課題を理解した上で米日両国は現状の部隊配置が最適なのか検討できる。日本が困難な状況になれば、米日両国で必要な調整を協議し、米軍配備を検討すべきだ。自衛隊が南西部に基地を整備しているが、米日両国の部隊を新基地に配備できるだろうか。また日本がF-35導入を進め、水陸両用部隊を創立し、次世代戦闘機や無人装備の開発に向かっているが、両国の機能を強化するため米軍部隊にどんな変化が必要になるだろうか。

 

バイデン政権が上記課題を短時間で全て解決するとはだれも期待していない。両国で駐留支援経費の日本側負担が協議されているが、もっと大事なのは両国に域内有事への対応能力があるのかという問題であり、ともすれば日本本土に近い地域だけに目がむきがちだが、広義の戦略課題に焦点をあわせるべきだ。両国は戦闘実施能力を強化し、有事対応で勝利を収めるべきだ。各課題の解決を先送りすれば、次の政権に大きな重荷を押し付けるだけだ。■

 

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The United States and Japan Should Prepare for War with China

JEFFREY W. HORNUNG

FEBRUARY 5, 2021

COMMENTARY

 

Jeffrey W. Hornung is a political scientist at the nonprofit, nonpartisan RAND Corporation. 

Image: Mass Communication Specialist 2nd Class Natalie M. Byers


非ステルス空中給油機のジレンマはステルス、非ステルス機を両用する米空軍の悩み。だが根本的な解決方法が実はあるのではないか。

 空軍が将来の空中給油機の残存性を高める構想を練っている。

米国は巨額の費用をステルス戦闘機、ステルス爆撃機、ステルス巡航ミサイル、さらにステルススパイ機に投入してきた。給油機もステルスにしたらやりすぎだろうか。

 

ステルス給油機構想は決して突飛なものではない。21世紀航空戦の主役といわれるF-35やF-22のステルス機の航続距離が短いことがその理由だ。

 

F-35の600から800マイルの航続距離はその他戦闘機と比べさほど劣るものではない。だが、F-35がステルス性を最大限にする場合は主翼下に追加タンクを搭載できない。

 

 

もう一つの問題は空基地あるいは航空母艦が敵弾道ミサイルの射程内に入っていることだ。第二次大戦からアフガニスタンまでの戦績は高性能戦闘機といえども地上あるいは艦上では無力な存在だと実証すている。とくに大国を相手の戦闘ではミサイルの雨が基地に降るはずで、攻撃後に投入可能な機体はわずかしかないだろう。

 

幸い米軍機材には空中給油が利用できる。だが民間旅客機を原型とした給油機が敵戦闘機に撃墜されるリスクは超長距離空対空ミサイルがロシアR-37のように射程が250マイルにもなり高まるばかりだ。中国も給油機、レーダー搭載機材等の支援機材の撃破を狙ってくると予想される。給油機を倒せば、太平洋の戦いは勝ったも同様だ。

 

ステルス戦闘機を敵領空に侵入させるとジレンマが生まれる。今日の地対空ミサイルには機動性の劣る機材を250マイル先から狙えるS-400のような装備がある。つまり、通常型給油機は敵防空体制のはるか後方にとどまる必要がある。しかし、その位置でもレーダー探知され敵戦闘機の標的になる。

 

レーダー断面積の少ない給油機が問題解決になる。ただし、ステルス戦闘機並みのレーダー断面積は不要だ。

 

米空軍は新型KC-46Aペガサス給油機を179機導入しようとしており、400機あるKC-135、KC-10の両機種を順次退役させるというのが、航空機動軍団の当初案で、その後に別の通常型給油機をKC-Yとして2024年頃から導入し、最終的にステルス給油機KC-Zを調達するとしていた。

 

ところが2016年にKC-46改修型の調達をふやすため、KC-Yは断念し、KC-Zを早期実現したいと空軍は方針を変えた。早期とは2035年以降の想定だ。

 

そんな中で空軍研究本部が2018年に発表したのが奇抜な形状の「発展型空中給油機」構想だった。(下写真)

 

他方、ロッキードも独自にスターウォーズに登場しそうな形状のステルス給油機構想を発表しを示した。(下写真)

 

 

設計提案は完全な全翼機ではなく、ブレンデッド・ウィング・ボディ形状だった。ハイブリッド・ウィング・ボディとも呼ばれる。

 

全翼機の主翼形状は揚力の確保に極めて有効で、機体にレーダー波を反射する鋭角がないためレーダー断面積を低くできる。だが、給油機は貨物機としても現場急行を求められることが多いので、機体には貨物収納スペースが必要となる。これがKC-ZにC=貨物がつく理由だ。そのため純然たる全翼機設計は採用されず、ハイブリッド形状になった。

 

ステルス貨物機の利点は特殊部隊の敵地侵入ができることだ。特殊部隊部門は長年に渡りこの実現を求め、接近阻止の傘の中にある前線拠点への物資補給を敵の長距離対空ミサイルに撃破されずにできないものか考えてきた。ただし、ステルス輸送機は全翼機のステルス性能よりステルス性能が劣る。

 

ステルス給油機の課題が購入可能な機体価格の実現だ。ステルス戦闘機、ステルス爆撃機はレーダー吸収剤(RAM)を塗布し、運航コストが高くなり、整備もステルス戦闘機が小型だから負担に耐えられる。給油機ははるかに大きく、飛行時間も年間数千時間になるので、コスト効果に優れたRAMがないとB-2爆撃機の時間あたり169千ドルという運行コストの再来になる。

 

空軍が考える将来の給油機は残存性を高めるため、アクティブ防御装備を搭載し、敵ミサイルの撃破を想定する。これはレーザーの利用を意味する。別構想では次世代レーダージャマー機材で認知知能機能を運用し敵レーダーを使用不能にするとある。また自律運行能力を高め搭乗員を減らしながら給油のスピードを高める構想もある。

 

航空機動軍団には海軍のMQ-25が実現した技術をKC-Zに応用する別の機体構想もあり、小型ステルス自律飛行機材の運用も想定する。ステルス無人給油機が大型通常型給油機の「母機」から給油を受け、制空権が確立できない空域に飛び、味方ステルス戦闘機に給油する構想もある。ただし、この給油の連鎖も非ステルス母機が敵の標的になれば破綻する。そこで、「各種システムのシステム」でステルス、非ステルス双方の給油機各機を混合運用する構想が出ている。

 

だがもっと簡単で安価な方法もある。短距離しか飛べない戦闘機のかわりに長距離B-21ステルス爆撃機を第6世代侵攻制空戦闘機として運用し、スダンドオフミサイルや長距離無人ステルスUCAVの活用も有益だろう。■

 

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Unstealthy Tankers are Harming the F-35 Stealth Fighter

February 3, 2021  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-22F-35MilitaryTechnologyStealth

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This article first appeared last year and is being republished due to reader interest.

Image: Wikipedia.


2021年2月6日土曜日

新旧の安全保障担当補佐官参加のイベントで、安全保障の方向性は決定的に違わないとわかり、ひとまず安心。クァド重視は共通、イランをめぐり相違が明白。

 


オーストラリア、インド、日本、米国の艦艇がマラバール2020演習に集結した。2020年11月17日 US Navy Photo

 

 

平洋での米国と同盟国のゆるいつながりを、非公式な安全保障以上の枠組みとしてインド太平洋の四カ国で進展することがバイデン政権の目標、と新しい安全保障担当大統領補佐官が1月29日に語った。

 

ジェイク・サリヴァンは米国平和研究所のオンラインフォーラムで新政権はドナルド・トランプ大統領が始めた動きを「前に進めたいと真剣に考えている」と明らかにした。四カ国とは米国、日本、インド、オーストラリアで、各国はすでに合同演習を展開しており、更に今後頻度を増やす合意ができている。米国はすでに日本、オーストラリアと条約を締結している。

 

いわゆる「クァド」の四カ国外相が顔を合わせ共通課題とあわせ経済、外交、軍事面で中国対抗策を検討している。だが現時点では安全保障面の同盟関係とは程遠い。だが障害になるのが日本の戦後憲法で、軍事活動を本国外では制約している点だ。

 

トランプ政権の安全保障担当補佐官ロバート・オブライエンはクァドが第二次大戦後で「最重要関係になるのは間違いない」と評していた。

 

オブライエンは「米国にとって地政学上の課題トップは中国」と断言していた。また、中国が「国家主義傾向を強める」証左に、香港の民主運動や回教を信仰するウイグル族の弾圧をあげた。また南シナ海から北極海まで「世界支配の野望を隠そうともしていない」と述べた。

 

サリヴァンは、米国モデルは機能しないと中国は公言し、中国政府は「間接民主制度に代わる選択肢を明確に主張している」、自らの経済成長を米大統領選挙をめぐる政治混乱と対比させているという。

 

更にサリヴァンは米国は各同盟国・協力国と歩調をあわせる必要を訴えた。民主主義各国が共通原則で人権侵害や他国主権への侵害をやめない中国に代償を払わせる。

 

米海軍誘導ミサイル駆逐艦USSウィリアム・P・ローレンス (DDG 110)がインド海軍駆逐艦INSコルカタ(D 63)、給油艦 INSシャクティ (A 57)の間に入り航行した。背後に海上自衛隊ヘリコプター空母JSいずも*DDH 183)、フィリピン共和国海軍警備艇BPAアンドレス・ボニファシオが見える。南シナ海で海上自衛隊撮影。

 

 

中国に対抗する米国には人工知能、量子コンピューターで「技術優位性を維持する必要」があるとし、国力とあわせモデルを示すべきとした。.

 

新旧補佐官がともに、今回の政権交代は円滑だったと評するが、両政権の安全保障での姿勢はイランの核ミサイル問題で違いを示した。

 

「イランの核開発は大幅に進展した」とトランプ政権が国際合意枠組みを撤退したあとの状況についてサリヴァンは評している。イランの弾道ミサイル、巡航ミサイルの整備でも同様でバラク・オバマ元大統領の時代から加速している。

 

バイデン政権は核合意復帰をほのめかしているが、同時に交渉再開の場合はイランのミサイル開発ならびにレバノンからイエメンまでテロ集団への支援を止めないイランに強硬な姿勢を示すとする。

 

オブライエンはトランプ政権の「最大限の圧力」によりイスラエルには米国がいかなる場合も同国の側につくと示せたと総括する。大使館のエルサレム移転と、イスラエルの主張どおりゴラン高原でシリアとの国境線を認めたことが大きいとした。

 

米国はアフガニスタン含む中東駐留部隊を縮小中で、東欧などに再展開させる。またイスラエル技術を利用し「中国閉じ込め効果」を追求し、イスラエル承認に動くアラブ各国にもイスラエル技術を提供する。

 

オブライエンは「パレスチナ問題は未解決」とし、パレスチナ住民に選択対象は提示ずみとした。

 

またオブライエンはヨーロッパについてNATO同盟国・協力国との関係は「政権と関係なく多くは継続される」と触れた。サリヴァンも米国はヨーロッパ各国との経済、外交、安全保障上の取り決めで状況変化に対応し条約関係を共有することで分断を解消したいとする。

 

「ドイツはいつもその他ヨーロッパ各国と微妙に異なる」傾向があるとサリヴァンは指摘した。オブライエンはドイツがロシア、中国と「こちらの希望以上に」近い関係を保っているとも指摘。ドイツが「大きな影響力をヨーロッパに」及ぼしているとし、バイデン政権で大問題になると指摘した。

 

ロシアについて、サリヴァンは新戦略兵器合意の拡大が対ロ安全保障問題のトップと発言。

 

オブライエンと同じくサリヴァンもヨーロッパ内同盟国には米国が同じ側に立ち、ロシアとの戦略兵器交渉に臨むと理解してもらいたいと発言。サリヴァンは米ロ間には、政府民間のネットワークを狙ったマルウェアのソーラーウィンド事例、野党指導者アレクセイ・ナワルニを化学兵器で襲撃した事案、アフガニスタンのタリバンに米軍兵士殺害の賞金を提供したこと、米選挙への介入といった問題が山積していると述べた。

 

冒頭発言で就任8日目のサリヴァンは、「最も根深い課題は我が国の民主体制を機能させること」と述べた。課題リストの最上位はコロナウィルスの大流行を抑えることで、つぎが経済の立て直しだとした。また1月はじめの議事堂襲撃事件で浮かび上がった「憲政への深刻な脅威」の解決が必要とした。■

   

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Biden Administration Wants to Expand Pacific 'Quad' Relationship, National Security Advisor Sullivan Says - USNI News

By: John Grady

January 29, 2021 5:45 PM


海上自衛隊がLHDを新規要求し、水陸機動団の運用能力向上を実現する日が来る? 「空母」にばかり目を向けないで、日本の安全保障に目をそむけず知識情報を強化しましょう。

 


Photo: JMU

 

 

 

 

本の造船メーカーが新型ドック型強襲揚陸艦建造を売り込んでおり、水陸機動団やMV-22の収容能力をアピールしている。

 

ジャパンマリンユナイテッド株式会社(JMU)は2019年の防衛展示会でヘリコプター搭載揚陸ドック艦LHD構想を発表した。

 

排水量19千トンで通水可能ウェルデッキでLCACエアクッション揚陸艇2隻、AAV7A1強襲揚陸車を20両搭載する。全通飛行甲板に5機のヘリコプターまたはティルトローターを同時運用できる。さらに5機を艦内に収納できる。

 

 

乗員は500名とある。戦闘要員を何人収納するかは不明だが、他国が供用中の同程度艦では長距離ミッションで500名、短距離で1,000名というところだ。

 

海上自衛隊にLHD建造の要求はないが、艦艇構成を見れば当然あって良い存在だ。日本は水陸機動団を展開するべくMV-22を17機、AAV7を52両、LCAC7隻を整備する。だが、上陸舟艇、車両、回転翼機には現場まで運搬手段が必要だ。

 

日本にはいずも級大型強襲揚陸艦2隻があるが、軽空母に改装されF-35Bジャンプジェット運用に投入される。これ以外の揚陸艦としてひゅうが級ヘリコプター空母2隻および、おおすみ級揚陸艦LSTが3隻ある。

 

このうちLST3隻にV-22およびAAV7運用能力を付与する改装が進行中だ。だがLSTで収納できる戦闘要員は長距離任務では330名しかないが、水陸機動団は3千名だ。このため旅団全体の移動には輸送艦がもっと必要だ。そこでLHDを取得すれば、海上自衛隊も他国なみの能力を獲得できる。米海軍にはLHDは10隻あり、うち1隻は日本に前方配備されている。オーストラリアには2隻が就役中、韓国は3隻を建造中だ。中国海軍も2019年から独自にLHDを整備している。

 

「日本にLHDが数隻あるだけで水陸機動団が東アジア全域で存在感を増し、太平洋も活動範囲に収められる。太平洋では安全保障の懸念が高まっている」とThe War Zoneでジョー・トレヴィシックが評している。

 

日本にとって喫緊の脅威が北朝鮮であるのは確かで、日本は防衛能力の整備を強化してきた。また中国が南シナ海で大部分を領海と主張する動きに日本は積極的に対抗する動きを示しており、日本の広義の外交政策の目標に資するため日本から遠隔地点でも海上軍事活動の展開能力を整備する可能性がある。

 

この点で水陸機動団の誕生は大きな意味があり、太平洋地区で共同演習に参加することが増えている。2019年10月にはフィリピンで米国もまじえた恒例のカマンダグ演習に加わった。

 

JMUは海上自衛隊がLHDを最低1隻、正式要求してくると見ているとJane’sに述べており、いつでも対応できるよう設計をしているとのことだ。

 

だが揚陸部隊の整備には別の方法もある。「おおすみ級後継艦として小型ドック艦艇を建造するほうが費用対効果は高い。いずも級、ひゅうが級と連携して運用すれば良い」とトレビシックは指摘している。■

 

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Japan’s Marines Could Be Due for a New Amphibious Assault Ship

February 5, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanJSDFChinaMilitaryTechnologyMarines

by David Axe 

 

David Axe served as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.


速報 フランス海軍強襲揚陸艦トネールが日本に派遣

 

French Mistral-class helicopter carrier Tonnerre heading to Japan

http://alert5.com/2021/02/05/french-mistral-class-helicopter-carrier-tonnerre-heading-to-japan/

https://www.nicematin.com/vie-locale/le-porte-avions-charles-de-gaulle-va-appareiller-de-toulon-a-la-mi-fevrier-640612

フランス海軍のミストラル級強襲揚陸艦トネールが日本派遣のため今月移動を開始する。随行刷るのはラファイエット級フリゲート艦シュルコフ。両艦は2月18日本国を出港し、7月に帰還する。帰途の途中で北朝鮮制裁の海上実施に加わる予定。

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National Museum of the U.S. Navy, Public domain, via Wikimedia Commons



2021年2月5日金曜日

2021年は日英米の防衛協力が新次元に移行する年になる。クイーンエリザベス空母打撃群と海自の共同演習。いずもへの海兵隊機材搭載の話など。

USNI Newsの記事からです。日本がいずもでも米海兵隊F-35B運用を打診しているのは初めて知りました。実現すれば、クイーン・エリザベス方式と同様ですね。また例の筋が猛反対するでしょう。

HMSクイーン・エリザベス Royal Navy Photo

海軍旗艦HMSクイーン・エリザベス (R08) は海上自衛隊と今春太平洋で共同演習を実施する。英国防省が2021年2月3日発表した。

日英の外務防衛当局の電話会談で英空母打撃群CSG21の展開中に海上自衛隊部隊と共同作戦を行う英海軍案が取り上げられた。

「両国は国防安全保障分野で密接な協力関係を構築し、今年は新たな水準へ引き上げるべく、英空母打撃群をインド太平洋に回航する」との声明を英国防相ベン・ウォーレスが発表した。電話会談にはドミニク・ラーブ外相も加わった。

「日英の安全保障国防面の協力を高いレベルに引き上げる」と茂木敏充外務大臣も電話会談の後で発表している。会談には岸信夫防衛相も加わった。

両国海軍部隊の共同演習を改めて確認したのは日英両国の防衛協力の強化の一環で、東シナ海、南シナ海で強硬な態度を強める中国の海上活動拡大を横目に演習を行う。中国の軍事力拡張が続く中で日本も平和憲法の下で多国間防衛協力が可能となり、米国、オーストラリア、英国との距離が縮まった。

VIDEO: Marine F-35Bs Underway on U.K. Aircraft Carrier

クイーン・エリザベスには海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA)211「ウェイクアイランドアヴェンジャーズ」と英空軍617飛行隊「ダムバスターズ」のF-35BライトニングII共用打撃戦闘機が搭載される。日本も24千トンのいずも級ヘリコプター駆逐艦の改装をはじめており、F-35Bの運用をめざす。同時に海兵隊にいずも級での運用を要請している。

英米両国は2021年1月にCSG 21での共同運用の合意書に調印している。なお、同打撃群には海兵隊機材の他に駆逐艦USSサリバンズ(DDG-68) も加わる。

CSG 21で英海軍は固定翼機を搭載した空母を10年の空隙のあと復活することになる。■

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Carrier HMS Queen Elizabeth Will Drill with Japanese in Pacific During Deployment - USNI News

By: Sam LaGrone

February 3, 2021 5:45 PM