2021年2月27日土曜日

シリア空爆作戦の第一報。空爆効果は限定的でイランへのメッセージとしての意義のほうが大きい。イランは米政権交代で淡い期待を早くも裏切られた格好だ。

 

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340th EARS refuels F-16C's and F-15E's  over Iraq

USAF


爆はバイデン政権による初の軍事作戦で、イラン対応で新しいパラダイムを整備したと言える。


米軍によるとイランが支援するシリア国内の戦闘員に空爆を実施したのは先週発生した北イラク、アルビル空港へのロケット攻撃への報復とのことである。空港攻撃で米主導の連合軍によるイラク、シリアのISIS攻撃作戦を支える民間企業社員一名が死亡したほか、米軍隊員数名が負傷していた。今回の空爆はジョー・バイデン大統領による親イラン集団へ向けた初の攻撃となった。


ペンタゴン報道官ジョン・カービーは2021年2月25日に声明文を発表し、バイデン大統領が非公表の施設数カ所の空爆を直接命令したとある。その他報道から今回の標的はシリア国境地帯のアル・ブカマル周辺に展開するイラン支援を受ける各種集団とわかる。報道資料ではイラン支援を受ける集団としてカイティブ・ヒズボラおよびカイティブ・サイイド・アル−シュハダを例示している。カイティブ・ヒズボラはイラクに本拠地を置く特に強力な親イラン武装組織で、これまでも米軍の標的となっていた。


GOOGLE EARTH

A map of the region, with an inset focused on Al Bukamal in Syria.


今回発表の声明文を紹介する。

バイデン大統領の命令により、米軍部隊が今夕早くイラン支援を受ける戦闘員集団が東シリアで利用中のインフラストラクチャを空爆した。今回の空爆は最近発生したイラク国内の米国・連合国の人員を狙った一連の襲撃への対応として許可が出ており、現時点も脅威は続いている。具体的には今回の空爆作戦で国境地帯の複数地点の破壊に成功し、標的にはカイティブ・ヒズボラ(KH)およびカイティブ・サイイド・アルシュハダ(KSS)を含む。

今回の軍事対応は外交措置と並行して実施されたもので、連合軍派遣国と協議を行った。今回の作戦で明白なメッセージを送った。バイデン大統領は米国ならびに連合軍派遣国の人員の防御に注力する。同時にシリア東部、イラク双方の全体状況の緊張緩和をめざし熟慮あるかたちで実行した。

ロイド・オースティン国防長官は空爆の発表を受けワシントンに移動中の機内で報道陣に「選択した標的は撃破できたと確信する」「攻撃対象の各施設は以前の襲撃を実行したのと同じシーア派戦闘員が利用していたのは間違いない」「以前から繰り返し、我が国はこのまま黙っているわけではないと述べてきた」と述べ、空爆作戦をバイデン大統領に進言したという。


フォックスニュースのジェニファー・グリフィンは米空軍の「F-15」が空爆に投入されたと報道した。状況からF-15Eストライクイーグルであることは確実で、興味ぶかいのはアル・ブカマル上空の空域はシリア国内に進駐しているロシア軍が統制している点だ。ロシアはシリアのバシャ・アル−アサド独裁政権を支援している。ただし、今回の空爆がロシアと調整して実施された兆候はない。


フライト追跡ウェブサイトを見るとE-11A戦場空中統制ノード (BACN) 機が空爆時に同じ空域に一機展開していた。同機は高性能通信機材を搭載し各種部隊間で情報共有を実現する。空中給油機のKC-10A エクステンダーも一機同じ空域に飛んでいた。


空爆数日前には米特殊作戦部隊の偵察機材が空爆地点周辺を飛行していたことがわかる。


フォックス・ニュースのグリフィンは空爆は念入りに計画され、指揮命令所や補給処を物資ともに破壊し、人員殺傷は二の次だったとも伝えている。政府関係者は「強い警告射撃」でイランならびに代理勢力に「警告」を送ったと述べているとも報じた。


今回の空爆地点はヒズボラやイランの支援を受けたシーア派戦闘員が利用するイラクへの移動地点で、実施時間では大量の負傷者を発生させないよう勘案されていた。軍関係者によれば指揮命令施設、補給施設が標的となり、建物2棟が吹き飛び出火した。


昨年のことだが、イランの支援を受けた勢力がアル・ブカマルの本拠地を拡張している兆候が見つかり、地下施設も新規構築された。この基地は2019年に米軍の空爆を受け、2020年にもイスラエルが独自に展開する親イラン代理勢力への攻撃の一貫で空爆している。


今回の空爆の標的が何だったのか正確に判明していないが、わかっているのは空爆の計画と実施に意味があることだ。バイデン政権はエルビル襲撃の首謀者への報復によりイランへ明白なメッセージを送りながら、直後のエスカレーションのリスクを可能な限り低く抑えた。

 

これはドナルド・トランプ前大統領時代に同様の事態にイラクで対応した事案と対照的である。ペンタゴンが同盟国協力国と事前調整したと公言していることから、前政権の方針や外交姿勢との違いを強調するねらいもあったのだろう。

 

すべてはバイデン政権が物議を醸したイラン核開発をめぐる多国間取り決めへの完全復帰を画策する中で、一方でバイデンは合意内容を完全履行するまで制裁解除はありえないとも述べている。トランプ大統領により米国はイラン合意から2018年脱退した。

 

今回の空爆がイラン支援を受けるシリア国内戦闘員を狙い、意図したメッセージがイランにどう受け止められるかはまだわからない。ただし、一定条件がそろえば、バイデン政権が軍事力の行使もためらわないことが明らかになった。■

 

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Biden Strikes Back: What We Know About The Bombing Raid On Iran's Militias

BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 25, 2021

THE WAR ZONE


2021年2月26日金曜日

中国包囲網が強まる。NATOもついに米国と協調し、中国に焦点を当て集団安全保障体制を強化へ。日本はどんな対応をするのか。

大西洋条約機構加盟国が集団安全保障で協力協調を強め、中国に対抗する米国に加わる。ロイド・オースティン国防長官は中国を「着々と脅威になっている」と評している。

 

NATO加盟国相とのリモート会議を終えたオースティン長官は中国封じ込めの動きがフィンランド、スウェーデン他EU加盟国から出てきたことを評価すると報道陣に述べた。

 

「NATOの中国対応を称賛し、米国は国際ルールをもとにした秩序を今後も防護する姿勢であると伝えた。中国は自国権益を前面に主張し、既存秩序の弱体化を狙っている」とのオースティン発言がペンタゴン発表の議事録でわかる。

 

NATOは旧ソ連に対抗するべく結成されたが、現在はその他地区も活動範囲に入れ、アフガニスタンでは9/11直後にNATO憲章第五条により加盟国が攻撃を受けた際の対応として部隊を投入した。衛星やネットワークで世界が緊密につながる状態でNATOが太平洋にで活動を展開する事態も当然考えられる。

 

これには多くの要素がからむ。その一つが中国が世界規模で拡張しようとしていることで、アフリカでは中国のやりかたは「経済帝国主義」とまで呼ばれ、影響力、所有権、権力を強めている。PLAはジブチの米軍基地近傍に新基地を構築し、同地区でプレゼンスを強化している。NATO部隊の行動範囲に入るアフリカにとどまらず、地中海でも中国のプレゼンスが見られ、NATOが警戒心を強めている。

 

ではNATOは太平洋でどれだけの戦力を展開できるだろうか。NATO加盟国が太平洋へ部隊を派遣し、共同訓練や演習を展開する可能性が関心を集めそうだ。宇宙サイバー両面には国境は存在せず、地理条件と無関係の影響が現れる。NATO加盟国の衛星群は中国のミサイル発射を探知する以外に中国軍の動きを追尾できるはずだ。

 

「ペンタゴンでも中国を課題の最上位におき、NATOの協力で作戦構想や予算投入戦略を練り直しこの課題に対応できるものと信じる」(オースティン長官)

 

ペンタゴンの最優先事項は安全保障、抑止効果、世界規模での脅威への対抗だが、報道会見では中国との緊張緩和の可能性について聞かれ、「共通する関心事項があり、相互に関与する余地はある」とオースティン長官は述べた。ただし同時に長官は相互関与も「あくまでも当方の利益を増進する視点でおこなうべきもの」と加えた。

 

「我が国の防衛であり我が国の権益の防護が一番の懸念だ。そのため、国防総省では正しい作戦構想、正しい立案、その実現手段として正しい機能を実現し、機能する抑止効果を実現していく。中国にかぎらず我が国に敵対するあらゆる勢力を念頭に置く」とオースティンは述べた。■

 

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Is NATO Getting Ready to Take on China?

February 21, 2021  Topic: NATO China  Blog Brand: The Buzz  Tags: NATOChinaJoe BidenLloyd AustinMilitaryU.S. Military

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


 

2021年2月25日木曜日

フランスが第3世代SSBN建造に乗り出した。水中核抑止力をなんとしても維持する姿勢。完成すれば2090年までの供用をめざす。

 


Naval Group Image

 

ランス国防相フローレンス・パルリがSNLE 3G計画が正式開発段階に入ったと2月19日発表し、フランスは第3世代の原子力弾道ミサイル潜水艦 (SSBNs)を建造する。

 

式典はノルマンディのヴァル=ド=ルイユで開かれた。ここにフランスで装備調達にあたるDGAが流体力学試験施設を運営している。

 

パルリ国防相は「第3世代SSBNはル・トリオンファン級よりわずかに長く、排水量も微増する。聴音能力を改良し、防御力が向上する。静粛度も高まる。海中の環境音の中と一体化し、運用上の優越性を実現する」と演説した。

 

フランスの2019-2025年の軍事計画法では四隻あるル・トリオンファン級SSBNsの代替艦として第三世代 SSBNs (SNLE 3G)に2035年から交代させるとある。フランスは常時一隻のSSBNを展開し、海洋配備抑止力を引き続き維持する。

 

フランス軍およびDGA (Direction Générale de l’Armement, フランス政府国防装備保調達技術開発庁)がSNLE 3G事業を統括する。産業界とは新型SSBNs4隻の開発、建造の大枠合意をめざす。このうちナバルグループが主契約企業となり、テクニカトムが原子力ボイラーを製造する。

 

第一段階契約は2021年中に交付し、開発研究を2025年までに完了する。

 

フランスの国防産業界200社以上がナバルグループと協同し、艦設計を完成させる。工期30年、100百万時間相当の作業量となり、設計に15百万時間、建造に80百万時間を想定する。

 

ナバルグループの潜水艦建造部門はシェルブールにあり、300名超が設計部門に従事し、建造部門で2千名が働く。シェルブールで艦体を建造し、各システムを搭載し、潜水艦として完成させる。

 

 SNLE 3Gの一部としてDGAはタレスとソナー開発で合意書を締結しており、各種ソナーとともに処理装置の開発を目指す。

 

タレスは新世代艦側部・艦尾曳航式ソナーを完成させる。これは光学技術をもとにした直線的アレイ(ALRO)で、その他として聴音アレイ、反響探知装置、水中通話を実現する。

 

センサー情報の処理に用いるALICIAは分析、探知、識別、分類、統合、警告の略で入手済みデータを活用し、操作員の負担を軽減しながら指揮命令を支援するのが狙いだ。

 

新型ソナーは段階的に性能を向上させ、最初の基本技術ブロックは第2二世代 SSBNs (SNLE 2G)に2025年から搭載される。第3世代 (SNLE 3G) 艦には2035年以降搭載となる。

 

テクニカトムは原子炉の設計、製造、搭載を受け持つ。同社によれば第3世代SSBNの原子炉には50年に及ぶ小型原子炉のノウハウを盛り込み、安全性を担保しながら軍用に必要なエナジーを実現する。SNLE 3G用の原子炉はバラクーダ級原潜の低出力原子炉と今後登場する次期空母 PANGとの中間の位置づけだ。K22と呼ばれる原子炉は高出力を実現する。設計研究は2020年12月8日のエマニュエル・マクロン大統領の決定を受け始まった。

 

SNLE 3Gの艦体設計はSNLE 2G(ル・トリオンファン級)の正常進化形となるようだ。先に登場したル・トリオンフォン級同様に見えるが、流体力学性能は向上し、艦体上を海流がなめらかに流れる。またポンプジェット推進方式を採用する。潜舵をX字形にしシュフラン級SSNとの共通性もあるが、曳航式アレイのため中央部にフィンをつける。想像図を見るとSNLE 3Gの艦体はすべて無音響タイルで覆うようだ。現在供用中のフランスSSBNでも同様のタイルが導入されているが、重要部分のみに装着している。無音響タイルはゴムあるいは合成ポリマー製でアクティブソナーの音波を吸収し、艦から出る音を低減する効果がある。

 

潜水艦に詳しいH.I.サットンによれば、艦首すべてをソナードームにするのは極めて大型の半球ソナーを搭載するためだと言う。魚雷発射管四門はソナードーム後方に配置する。発射管は外側に向け角度をつけているはずで、魚雷発射時に潜航速度に制限がつく。

 

式典会場でフランス海軍の SNLE 3G事業担当者は次期SSBNsは2035年以降の脅威に対抗する想定で、なかでもソナー探知を最も重視しているとNaval Newsに語ってくれた。

 

Naval Group Image

 

数字で見るSNLE 3G 

 

全長: 約150 メートル

排水量 15,000トン (潜航時)

乗組員: 100名程度

兵装:

  • 16x M51 SLBM(名称は M51.4か)

  • 4x 魚雷発射管、 F21大型魚雷および次期巡航対艦ミサイルFCASW を運用か

建造開始 : 2023年

初号艦の海軍引き渡し: 2035年

退役(級全体): 2090年

 

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French Start Next-Generation Ballistic Nuclear Missile Submarine Program - USNI News


By: Xavier Vavasseur

February 22, 2021 4:35 PM


2021年2月23日火曜日

2030年米中戦争が勃発すれば、こうなる。どちらが有利となるのか、どう終結させるか。

 

 

 

華人民共和国(PRC)と米国は貿易戦争の状態だ。結果は今後の経済秩序に影響を生みそうだ。だが今のところ両国で交戦に向かう兆候はなく、開戦を挑発したり正当化する動きはない。

 

とはいえ、変化が生まれる可能性はある。取るに足らないと思われる事態が時間がたつと緊急度を高めることがある。中国の軍事力増強で米国は小さいと思っていた問題が大きな結果に繋がりかねない事態に直面するだろう。一方で中国は米国の調達・近代化が長時間かかっている事態を好機と見るかもしれない。

 

2030年の軍事力の均衡や戦略の構図は今と異なるはずだ。では2030年に米中両国が開戦したらどんな様相になるだろうか。

 

 

開戦のきっかけは

衝突の根源は今と変わらない。中国の台頭に米国は警戒し、中国の軍事力増大は一見止まることがないようだが、国際秩序のルールづくりは依然として米国の手中にある。だがアテネの興隆を見たスパルタがペロポネソス戦争の原因となったように、世界を戦火に巻き込む結果が生まれかねない。PRC、米国の双方とも取るに足らない理由では本格交戦には至らないはずだ

 

米国同盟国の日本、韓国、インド、台湾あるいはフィリピンへの脅威は想像できる。各国と中国との紛争のたねはすでにまかれており、PRCは米国の介入を避けつつ各国を恫喝してくるだろう。日韓関係が軍事衝突に発展すれば米中両国も巻き込む対決が生まれる可能性がある。

 

投入される新軍事技術は

戦闘の実相は開戦理由により変わるが、重要な舞台は東シナ海、南シナ海だろう。両国ともここに空軍力海軍力を集中配備し、米陸軍・海兵隊はなんとかして「マルチドメイン戦」への貢献能力を整備しようと必死になっている。

 

軍事バランスが中国へ傾いてもおかしくない。だから中国が有利になるとは限らないが、時間はPRCに有利に働く。人民解放軍海軍(PLAN)の増強ぶりは米海軍を上回る。さらに人民解放軍空軍 (PLAAF)の装備近代化のペースは米空軍の先を行く。

 

とはいえ、双方とも相当量の従来型装備を保有している。中国は2030年には空母四隻を運用しているはずで、遼寧型STOBAR空母二隻と通常型CATOBAR空母二隻だ。米国は強襲揚陸艦まで含め数で凌駕し、戦力の中身でも上回るが、中国は局地的な優位性を開戦初期に確立するだろう。また中国の潜水艦、水上艦は数量面で優位で、しかも全世界的に配備する必要がない。これに対し、米海軍は不利な立場だが、双方とも優位性はそれほど大きくない。

 

航空戦力では米空軍、海軍、海兵隊のF-35が多数配備されている。空軍にはB-21レイダーステルス爆撃機も既存機種の爆撃機に加わっている。中国はJ-10、J-11戦闘機を増強し、数の上では米F-15、F-16、F/A-18に並ぶ。J-20に加え、導入を決めればJ-31も投入可能となる。中国の装備近代化では2030年でも米空軍の水準には至らないが、PLAAFは差を縮めているはずで、加えて莫大な数の基地があり、弾道・巡航・対空の各種ミサイルがある。

 

2030年の最大の変化は無人装備で、有人装備と併用され、あるいは単独で運用されるはずだ。この分野の変化は極めて早く、正確な予想が立てにくい。空中、海上、海中で無人装備が戦闘の大部分を実行する可能性がある。運用の前提は広範囲の偵察、通信機能であり、両陣営とも開戦直後からこれを妨害を狙してくるはずだ。

 

サイバー戦になるか

米中両国は社会、経済、軍事各面でサイバーでの接続性に依存している。接続を妨害すれば決定的な効果が生まれる。中国はインターネットへの依存度が高いが、接続の安全性を高めており、妨害を受けにくくなっている。20世紀のドイツ産業があれだけ空爆を受けても崩壊しなかったのは冗長性をもたせた内部体制が破壊されなかったためだ。これに対し、そこまで洗練されていなかった日本経済は海上封鎖と空爆で遥かに大きな打撃を受けた。ただし、複雑になることが必ずしも脆弱とはならず、経済でデジタル化が進めば攻撃しやすくなるわけでもない。

 

とはいえ、戦闘がサイバーに発展しないわけではない。むしろデジタル戦が民生部門より軍事部門に大きな影響を与えそうだ。米中両国はネット接続を探知、妨害しようと全力を上げるはずで、敵を目眩ましにしながら、敵のセンサーの利用を目指すはずだ。サイバー攻撃を「リアル世界の」軍事活動で最も巧妙に実施できる側が勝利を収めるだろう。

 

どう終結するか

米中戦の結末をめぐり多くの著作がある。2030年の戦闘では開戦理由が明確にならないと双方ともどこまで攻勢をかけるのか予測が難しい。2030年の世界で米国の産業力を恒常的に制圧できる通常戦力が中国に実現するとは極めて考えにくい。他方で、米国がPRCを完全打破するシナリオの実現も年をおうごとに困難になってきた。敗北させても政治危機はその後も続く。勝利条件はどちらが敵陣営の初期戦力を撃破できるかにかかってくるのであり、その手段に巧妙な奇襲攻撃あるいは消耗戦が考えられる。

 

海上封鎖は解決にならない。中国のエナジー消費は2030年に増加しているだろうが、同時に同国は戦略的脆弱性の克服にも注力しているはずだ。ロシアとパイプラインを追加建設し、代替エナジー源も模索すれば、PRCは対米戦の場合も余裕を持って対応できる。

 

いずれにせよ、2030年米中戦争の終結にはきめ細かな外交が必要となり、これが不調だと武力衝突の初期段階が21世紀を通じた戦争に発展しかねない。

 

結論

ほぼ40年にわたり米ソ戦は不可避だとアナリスト多数が論じてきた。危険な場面もあったが、結局開戦にはならなかった。米国と中国でも再度の軍事対決に至る事態の回避は可能であり、その確率は高い。とはいえ、両国間の戦力バランスが今後どう変わり、またどんな機会が両国に生まれるのか考えてみる価値はあろう。幸運とともに技量があれば、ワシントンと北京は2030年の世界でも開戦を回避できよう。だが両国の政策部門が武力衝突した際の影響を真剣に捉える姿勢を保つことが前提だ。■

 

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What Would War Between America and China Look Like in 2030?

https://nationalinterest.org/blog/reboot/what-would-war-between-america-and-china-look-2030-178628?page=0%2C1

February 22, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: WarAmericaChinaMilitaryTechnologyTrumpXi Jinping

by Robert Farley 



Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.

 

2021年2月22日月曜日

米陸軍演習地でT-84戦車が運用されている。ウクライナから入手したのか。だが、いつ、どうやって

 

 

 

クライナのT-84主力戦車(MBT)一両がアリゾナ州ユマ実証場で運用されているが、目的は不明だ。同装備への対応訓練かもしれない。ソ連製T-80MBT派生型である同型戦車が米国内演習地で試験、訓練に投入される様子は以前も目撃されている。

 

米軍はウクライナから同型戦車4両を取得し、以後米陸軍アバディーン試験施設(メリーランド州)でテストしている。ユマに持ち込んだのはT-80UDを改修したT-84との報道がある。

 

 

昨春に流布された写真(上)では同戦車にドロッズ・アクティブ防御システムが搭載されているのがわかる。この車両はユマ演習地の教師装備標的シミュレーション場でその他ソ連、ロシア製戦闘車両に加わってた。ユマに海外製車両が登場し米軍部隊の訓練に供されるのはごく普通のことだが、今回はウクライナ軍が同戦車をテスト・訓練用に提供したようだ。

 

くりかえすが、T-84の原型は1980年代のT-80UDだ。ソ連崩壊後の1990年代にウクライナとパキスタンがT-80UD改良の契約を獲得したが、ソ連時代の軍事産業企業が旧共和国数カ国に分散したたため実施は困難を極めた。このため、ウクライナは国内生産に切り替えることとし、1995年にT-84が実現した。

 

 

新制式名T-84となった同戦車にはT-80、T-80UDから各種の改良が施されているが、資金難のためウクライナは自国用途には大量採用できず、一部には6ないし10両しか軍に納入されていないという筋もある。このため、ウクライナ製T-84の高性能ぶりを認識しつつ、T-64のような旧型戦車の修理、改修に集中した。

 

T-84の兵装はT-80UD同様の125ミリ平滑砲で自動装填式となっている。また9K119M対戦車誘導ミサイルも搭載している。その他兵装には同軸7.62ミリ機関銃、砲塔に12.7ミリ重機関銃を各1門装備する。

 

動力減は6TD-2ターボチャージ・ディーゼルエンジンで1,200馬力を出す。装甲も良好で、全溶接式の砲塔には爆発式反応装甲ブロックをつけ、シュトラ-1対抗装置による防御機能もある。

 

これだけの性能の同戦車がごく少量しか供用されていないのは車両価格のためだが、疑問は米国が一体どうやって入手してユマに投入しているのかだ。ウクライナはタイへ輸出実績があるがこれも少数となりコストダウンが実現できなかった。米国は一両を正価で購入した可能性がある。■

 

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Secret Is Out? Did a Ukrainian T-84 Arrive in Arizona For Testing?

February 9, 2021  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTrainingUkraineTanksTechnology

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.

Image: Reuters


2021年2月20日土曜日

B-1Bの退役が始まった。B-21導入のための措置で、ここ20年酷使された機体から退役させる。

  

 

The first of 17 B-1Bs to be retired by the USAF prepares to depart from its home station of Ellsworth AFB in South Dakota. The service fields 62 B-1Bs, meaning that 45 will remain operational once this initial divestment is complete (though four of the 17 will be stored in a reclaimable condition, should they be needed again). (US Air Force)

今回退役対象となった第一陣の最初の機体が配属先のサウスダコタ州エルスワースAFBを

出発した。(US Air Force)

 

空軍でロックウェルB-1Bランサー戦略爆撃機の削減が始まり、ノースロップ・グラマンB-21レイダーの導入に向けた準備が進んでいる。

-1Bの第一期退役機材17機が2月17日、配属先のエルスワース空軍基地(サウスダコタ州)を出発した。

米空軍は同型機合計62機を運用中なので、対象機の退役が完了すると45機の戦力となる。ただし、今回対象の17機中、4機は必要に応じ再復帰できる状態に保存される。

「長年活躍してきた同機を退役させるのはB-21レイダー運用を始めるため」とグローバル打撃軍団 (AFGSC)司令ティム・レイ大将が述べている。「ここ20年間酷使されてきたB-1で疲労摩耗が目立っており、原状復帰させようとすれば機体整備は各機数百万ドルにつく。しかもこれは判明している事象のみの対応だ。今後は退役を加速していく」

米空軍が認める通り、B-1はここ20年間連続して戦闘投入された影響が機体構造面で現れている。現時点でB-1Bの機体再整備には一機につき10-30百万ドルかかるとされるが、実施の場合、B-21導入段階と重なる。

今回対象となるのは機体寿命に余裕がない機材で、レイ大将は「B-1削減は近い将来の戦力増強につながる一歩」と強調している。■

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USAF begins B-1B retirements

19 FEBRUARY 2021 by Gareth Jennings


AFGSC paving way for B-21, begins retirement of B-1 aircraft

By Air Force Global Strike Command Public Affairs / Published February 17, 2021