2021年9月14日火曜日

北朝鮮が発射テストに成功した巡航ミサイルで判明している事項をまとめた。核兵器を搭載できるかが今後のカギになりそう。探知困難な巡航ミサイルの登場で日本の防衛体制に新たな課題が追加された。

 


 

上発射の巡航ミサイルを北朝鮮国営通信KCNAは「大きな意味のある戦略兵器」と表現し、テストは成功裏に終わったと報じた。新型巡航ミサイルは北朝鮮が開発してきた各種ミサイルの系譜にあらたな追加となり、低空を飛翔するスタンドオフ兵器として同国に新たな攻撃力を提供する存在になる。南朝鮮各地のみならず日本まで射程に収めそうだ。「戦略級」とは核兵器を指す用語だ。

 

KCNA報道では土曜日から日曜日にかけ型式不詳の巡航ミサイル数種類を試したとあり、北朝鮮のミサイル開発では去る3月に短距離弾道ミサイルのテスト以来となった。

 

 

 

北朝鮮国営通信の説明では今回の巡航ミサイルは930マイルを飛翔してから北朝鮮領海内に落下したとあり、飛翔時間は126分におよび、「楕円、八の字状の飛翔経路」を飛んだとある。新型兵器開発の所要期間は2年間以上と伝えられる。

 

KCNA配信記事では週末のテストで「わが国の安全を高い信頼度で保証する抑止手段がさらに追加されたことは戦略的に意義があり、敵対勢力の軍事活動を強く封じ込める」機能が実証されたとある。

 

北朝鮮労働党の公式労働新聞に掲載された写真二枚ではトラックに搭載した移動起立発射機(TEL)からミサイルを発射した場面と、巡航飛翔するミサイルの姿が見える。見たところロシアのKh-55系の巡航ミサイルにとくに尾部が酷似しているし、全体としては米トマホークに似ている。

 

これに対し米インド太平洋軍(UNINDOPACOM)は簡潔な声明文を発表した。

 

「DPRK(北朝鮮)が巡航ミサイルを発射したことは承知している。状況を注視しつつ、同盟国協力国と密接に協議していく。今回はDPRKが軍事力開発を進めている現況を改めて示した。また同国の動きは周辺国や国際社会へ脅威となっている。米国は大韓民国並びに日本の防衛への責任を今後も堅持する」

 

日本では加藤勝信官房長官が政府は今回報道された事態を「憂慮している」とし、米国、南朝鮮と密接に対応し状況の把握に努めると述べた。南朝鮮も米国と協力して状況を解析すると述べた。

 

これまで出ている報道内容と写真から今回の巡航ミサイルは戦略任務用で核弾頭搭載可能と思われる。そのため北朝鮮が初めて開発に取り組む装備品となり、今回公表されたのだろう。

 

ただし、北朝鮮が核兵器の小型化にどこまで成功しているのか不明だ。これまで核弾頭の小型化に取り組むとの報道がたびたび出ているが、巡航ミサイルの弾頭部分は相当小さくここまでの小型化となるのと容易ではない。昨年10月の軍事パレードでは中距離対地攻撃型巡航ミサイルの姿が見られ、1月にも再度姿を目撃されて、トレーラーでけん引されていた。ただし、今回の発射に関連して同時発表の写真では改良型TEL車両が見えるが、以前目撃されていた大口径誘導ミサイル用の車両と関連があるようだ。発射管やアクスルに違いがあり、発射管は以前は4本だったが今回は5本になっている。

 

金正恩は今年一月に「中距離巡航ミサイル」を開発したと労働党大会で発表していた。

 

今回の巡航ミサイルテストの発表のタイミングは米国、南朝鮮、日本の代表が北朝鮮の核開発阻止の行き詰まりを東京で協議しようとする前という巧妙な計算の上に実行された。核兵器開発中止の代償として制裁措置を解除する期待での米朝会談は2019年からとん挫したままだ。

 

週末のミサイルテストが米韓軍事演習への対抗として実施された可能性もある。労働党中央委員会副部長の金与日は米韓演習を「危険な戦争に向けた演習」であり、「状況をさらに不安定にする」と非難していた。

 

1月にも北朝鮮は巡航ミサイル試射を行っており、ジョー・バイデンの大統領就任直後だった。ただしこの時のミサイルに核兵器運用能力がないのはあきらかで、ロシアのKh-35対艦ミサイルが原型といわれる。

 

北朝鮮の通常弾頭巡航ミサイル開発には制約はない。これは国連安全保障理事会決議(UNSCR)でも明らかだ。核弾頭を搭載した巡航ミサイルはUNSCR決議違反になるのかで議論の余地がある。ただし、UNSCR決議はそもそも核兵器運搬手段をすべて禁止しているという解釈が一般的だ。

 

核交渉がとん挫し、北朝鮮は核兵器開発を全面的に進めており、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM)が相次いで登場した。さらに国際原子力エナジー機関(IAEA)から北朝鮮が原子炉運転を再開したとの発表が先月出ている。同原子炉は核兵器用のプルトニウム生産が目的といわれる。

 

北朝鮮が本当に核搭載対地攻撃用巡航ミサイルを開発しているのなら、弾道ミサイルと並び重要な攻撃能力が新たに生まれることになる。巡航ミサイルの飛翔速度は弾道ミサイルより低いが、移動し隠すことは簡単で、かつ発射の探知は困難だ。また、誘導装置に左右されるが、巡航ミサイルは敵防空網を突破する可能性が高い。この種の兵器には防空指令所や通信施設、ダム、橋梁など重要標的の攻撃を想定することが多い。さらに大型艦船を狙うこともあり、米国や同盟国にとって防衛が頭痛の種だ。

 

武力衝突シナリオでは巡航ミサイルで敵防衛体制を飽和させる想定があり、突如として多方向からミサイルを大量に撃ち込む。しかも巡航ミサイルが通常弾頭なのか核弾頭付きなのか不明のため、混乱が拡大する。高機動性の北朝鮮巡航ミサイルが多数あれば、本来なら北朝鮮を無力化する南朝鮮空軍部隊の相当の部分を釘付けにできる。

 

核弾頭付きの巡航ミサイルを発射すれば北朝鮮に新たな優位性が生まれる。ただし、北朝鮮が弾道ミサイル攻撃の最終段階で核装置を起爆できるのか不明だ。超高速度のまま複雑な手順をぬかりなく進める必要があるからだが、巡航ミサイルではこの複雑さは不要となる。

 

さらに実用に耐える対地攻撃巡航ミサイルなら他の用途も可能となる。なかでも海軍用あるいは空中発射式への転用が考えられる。海軍では水上艦や潜水艦からの発射が想定される。

 

一方で南朝鮮で北を攻撃可能な兵器の開発が続いている。先週も南朝鮮がSLBMの水中発射実験に初めて成功したとの発表があったばかりだ。

 

南朝鮮軍に核装備はないが、北との開戦シナリオでは弾道ミサイル、巡航ミサイル、空中発射式ミサイルを運用するとある。南朝鮮の玄武-3巡航ミサイルは地上基地あるいは海上から発射が可能となっている。長射程型の玄武-3Cは930マイル有効といわれ、今回北朝鮮が発表したミサイルに匹敵する。

 

そうなると朝鮮半島では南北が巡航ミサイルを装備しての均衡が生まれ、核兵器を搭載すれば新展開となるが、相当の影響を生みそうだ。まず、行き詰まっている北との核協議への影響が注目されるし、米国が北朝鮮の戦略級兵力の整備にどう対応するかも今後の関心事だ。■

 

Everything We Know About North Korea's New “Strategic” Cruise Missile Test

A nuclear-armed cruise missile could significantly enhance the credibility of North Korea’s nuclear deterrent.

BY THOMAS NEWDICK SEPTEMBER 13, 2021

 

Contact the author: thomas@thedrive.com


ヘッドラインニュース 2021年9月14日号

 北朝鮮が新型巡航ミサイルの開発に成功

巡航ミサイルは国連制裁の対象ではないため、北朝鮮が制裁に違反したことにならないが、六カ月で初の新型ミサイルの登場となった。北朝鮮発表によれば同ミサイルは1,500キロ飛翔して所定の標的に命中した。テストは週末にかけて行われた模様。北朝鮮は米国が韓国向けミサイル性能制限を解除したことを警戒しており、韓国もSLBM発射に成功しており、朝鮮半島でミサイル開発競争のピッチがあがっている。



カザフスタンがエアバスA400Mを2機発注

カザフスタンの発注でA400M導入国は9か国、発注合計は176機になった。初号機は2024年に同国へ引き渡される。



インドネシアがC-130Jを導入

インドネシア空軍参謀総長がロッキード・マーティンのマリエッタ工場を9月7日視察し、同国がC-130Jスーパーハーキュリーズを調達することを公式に認めた。調達機数は公表していないが5機との予想がある。調達方法が民間商取引形式のため、これまで事実関係は公表されていなかった。インドネシアは初期型C-130Bを1960年代初期に導入しており、これまで長期間の供用を続けている。


台湾の新年度国防予算案

予算規模は170億米ドル。海軍関係の主な調達事業は①MQ-9Bシーガーディアン(空軍)でISRとともに攻撃能力の獲得(4機) ②康定(PFG-1202 Kang-Ding) 級フリゲート艦6隻の防空能力改良が目玉。後者ではSea Sword II (海劍二,TC-2N)ミサイルへ換装する。➂MH-60R対潜ヘリ10機の調達。④Wuchiu (烏坵) 基地の改修。同基地は金門島にあり、中国漁船の侵入に耐えかね、これまで手を入れてこなかった同基地の整備を進め、哨戒、輸送等の任務施設を拡充する。


新型練習機T-7の進捗遅れを米空軍が認める

ブラウン空軍参謀総長はT-38タロンの後継機となるT-7レッドテイルの主翼で「ロック」不良が見つかり、制御不能となるロールが発生する不具合が出ていると述べた。このため同機は本格生産に入る前の「マイルストーンC」がまだ達成できていない。量産決定は2023年へと当初より1年以上遅れる。


F-35向け新型エンジン検討が必要と米空軍が主張

ブラウン空軍参謀総長はたとえ実現しないとしても新型エンジンへの研究開発予算の投入が必要と強調。研究成果から原稿エンジンの運用効率改善の技術的知見も期待できると述べた。米議会からもF-35Aエンジンの改良見通しで説明を求めれており、ジェネラルダイナミクス、プラット&ホイットニーの両社が関係してくる。結果として現有F135エンジンの改良も可能となれば効果は大きいと空軍は見ている。


在日海兵隊航空戦力に二番目のF-35B飛行隊誕生

第一海兵航空団は海兵戦闘攻撃飛行隊242(VMFA-242、バッツ)がF-35Bで初期作戦能力を獲得したと発表。F/A18Dからの機種転換開始後、10カ月で作戦投入可能な状態になった。岩国基地にはVMFA-121、グリーンナイツが2017年から配備されている。VMFA-121はEABO 遠征航空基地運用の演習を展開している。


米海兵隊にMQ-9飛行隊が発足

海兵隊のMQ-9Aリーパーがユマ海兵隊航空基地(アリゾナ)で初飛行した。海兵隊がISR無人機を運用する第一歩となる。海兵隊は同機運用に備え、準備を進めてきた。これまでは民間企業に運用を委託してきた。だが民間企業では作戦実施に制約があり、海兵隊独自の利用に切り替える。新編成の飛行隊名称はVMU-1となる。


2021年9月13日月曜日

環球時報に見るCCPの思考。中国の脅威を騒ぎ立てる日本は憲法改正を狙い、域内の平和安定を乱すのは日本の右翼勢力だ(?!)

 環球時報の報道ぶりを見ればCCPの考え方がどれだけねじているかがわかります。領海侵入しているわけではないから文句を言われる筋合いはない、という強弁とともに、不遜な考え方、さらに日本で中国に対し騒ぎ立てているのは右翼勢力だとの主張を聞くと、親中派とされる自民党はじめ各界の「進歩的勢力」による鎮静化を期待しているのかなと思えてきます。高市候補が当選しては困る、というのでしょう。ならば喜んで右翼のレッテルを中国に貼られたいものです。

  

 

ご注意 この記事はCCP見解を代弁する環球時報英語版の趣旨を伝えるものです。当ブログの主張ではありません。部分は筆者によるものです。

 

9月12日日曜日、日本の防衛省から中国所属とみられる潜水艦が日本領海に接近したとの政治的な発表があった。

 

この背景に「中国の脅威」を騒ぎ立てたい日本の隠れた動機があり、同国の平和憲法を破る口実を模索している、と中国軍事専門家は指摘している。

 

AP通信は日本が南方領域で東シナ海に向かう潜水艦を探知したと9月12日に伝えた。

 

防衛省は052D誘導ミサイル駆逐艦一隻も付近にいたことから中国艦と断定したとAP電は伝えている。ただし、潜水艦、駆逐艦ともに日本領海に侵入していない。

 

中国の東シナ海での軍事活動へ日本神経をとがらせていることがわかるとAPは伝えている。

 

同海域での軍事活動に関し中国から発表はないが、一部中国筋から潜水艦の国籍を断定していない日本による推定に疑問の声が出ている。

 

国際法によれば、水上艦潜水艦ともに国際公海で自由に航行できる。したがって仮に中国軍艦だったとしても日本領海の外の航行に何ら問題はないと、中国軍事専門家Song Zhongpingは環球時報に解説している。

 

Song によれば日本が中国の海軍活動に目くじらを立てるのは「中国の脅威」を作り出し、平和憲法改正のきっかけにするためだという。

 

日本は人民解放軍の活動が活発になっていると繰り返し報道しており、ここ数週間だけでもPLA艦艇部隊が宮古海峡、対馬海峡、宗谷海峡を通過したと騒いでいるが、三地点とも国際公海である。

 

日本が発表した最新の防衛白書では台湾島の安定に初めて触れ、釣魚諸島の状況について騒ぎ立てている。台湾、釣魚ともに中国の領土である

 

日本はベトナムと防衛装備供与の合意を9月12日に結び、東シナ海、南シナ海双方で中国へ対処を狙っているとAPが同日伝えている。

 

中国軍備管理軍縮協会の上級顧問Xu Guangyuは環球時報に対し、日本の右翼勢力を抑えることが域内の平和安定につながると述べている。一方で、日本の軍事挑発行為にはいちいち神経を尖らせる理由は中国にないとし、その理由として日本には選挙含む国内課題があることを上げている。さらに、PLAは惑わされることなく対応力を整備していることもXuは指摘している。■

 

Japan hypes suspected Chinese submarine activity 'in attempt to break pacifist constitution'

By Liu Xuanzun

Published: Sep 13, 2021 12:06 AM


2021年9月12日日曜日

同時テロ9/11から20年、襲撃への怒りからアフガニスタン等で多大な犠牲を払った米軍にどんな変化が生まれたのか。自分の家族のため、社会のため身を張って本国を防衛した戦士に国家が感謝を表するのは当然のことだろう。批判派が簡単に無駄な戦争と片付けるのは看過できない。


 

 

「テロ襲撃に怒りを感じ、こんなことを再発させてはいけないと意気揚々となった」

 

「その時点以降、高度な訓練を受けた仲間がミッションを正しく実施しようと懸命に動いた。さらに罪を償わせてやる気持ちもあった。全員が等しく同じ気持ちでミッションに向かった。こんなことを繰り返してはいけないという気持だった」

 

「二度と米本土を攻撃させない。全員が同じ気持ちだった。これを20年間守りとおした」

 

その価値はあったのだろうか。

 

「ではこう言おう。最悪の事態だった当時がアメリカ最高の瞬間だった」とガーステンは力を込めて語ってくれた。

 

「全員がはっきりと違いを出した」とレッドマンが付け加える。

 

「自由を手にしたアフガン人は多い。自由の味を覚えれば手放せなくなる。9/11後のアメリカの状況では、このことに再度注目すべきと思う」

 

「特殊部隊の仲間たちにはこの20年間の実績に栄誉と誇りを感じてほしい。本の末尾の一文で本全体を書き直すことにはならない」とコロン-ロペスも言う。

 

米軍部隊がアフガニスタンを完全撤退してすべて終わったのだろうか。

 

「特殊部隊の任務は今後も減ることはないが、特殊部隊だけを消耗することがないようにバランスが必要だ。20年戦争でここ数年は特殊部隊が酷使されてきたと思う」(レッドマン)

 

 

軍上層部の見方

 

ジョー・ダンフォード大将は9/11当時はキャンプペンドルトンにあり、その後イラク派遣海兵隊の指揮をとり、アフガニスタン駐留米軍司令官を2年つとめたあと、その後4年間統合参謀本部議長だった。

 

 

「アフガニスタン撤退をもっと前にしておくべきだったと言う人がいるだろう」と語る。「当時現地で毎日のように言っていたのだが、我々は米本国を守る保険の役割だったのだ」

 

「暴力的な過激主義者集団からわが国が9/11攻撃を受けたことを忘れてはならない。その教義はまだ残っている。またアフガニスタンでの最近の事態から過激主義の動きは世界各地で広がることは間違いない」

アフガニスタンから最後の撤収が完了して数日後に統合参謀本部議長マーク・ミリー大将は9/11を振り返り、20年の経過を回想しスペインのロタでこう語った。

 

「アメリカ合衆国へのその後の攻撃を防げた。複雑な気持ちがあるが、それは事実だ。痛みと怒りの混じった気持ちが軍に勤務した全員でが同じはずだ」

 

「軍の全員にある痛み、怒り、挫折感の入り混じった気持ちは現実のものであり、共有したい。軍での勤務は決して無駄ではない。貢献が重要であり、軍は軍服を着る全員を重要視してきた」■

 

 

How 9/11 changed the US military and how it fights

An Air Force vet and a former Navy SEAL tell how 9/11 transformed U.S. defense – and their lives

By Jennifer Griffin | Fox News


9月の自民党総裁選挙は日本のみならずアジア太平洋の重要政治イベントになる。初めて日本が日米関係で主導的役割を果たす可能性が出てきた中で、新首相選定は極めて重要。

 

日米関係さらに南シナ海、台湾については今回の自民党総裁レースでは争点になっていませんが、安部路線を誰も簡単に変更できないということですね。記事では高市の名前がありませんが、日本ウォッチャーにとっても全くのダークホースということでしょうか。この記事だけ見れば論理的に高市という選択肢が一番安心できることになるのですが。中国や国内メディアが警戒していることでそれは明白です。はて、同じような構造がトランプの大統領選でもあったような気がしませんか。National Reviewの記事からです。それにしてもいまだにモリカケ桜が争点になると信じている反対党の皆さんの世界観の欠如には嘆くしかありません。




米国との同盟関係を維持し、域内安定が確保できるかはワシントンではなく、日本の次の政治トップに左右される。


本の政権政党で中道右寄り姿勢の自民党はで9月17日から新しい総裁選びに入り、実質的に次期首相を選ぶことになる。現職の菅義偉は立候補しないと発表ずみだ。自民党員が選ぶ人物のもと、次回総選挙で勝利となる見込みで、その人物に米日同盟のみならずアジアの将来をゆだねることになる。


理由として第二次大戦終結後で初めて日本が主導的な立場になり、中国のインド太平洋での覇権拡張への対抗や、米国が70年にわたり守ってきたアジア民主体制のもとで自由と繁栄を維持できるかが問われるからである。


これまでの米日関係では米国が日本に積極防衛策を取れ、アジアでの影響力を強めろと求めてきたのが常だったが、日本は消極的に応じてきた。だが今回のアフガニスタンをめぐる混乱で敵味方問わず、海外でのコミットメントが問題となることを露呈し、バイデン政権は安易に切り捨て逃避する選択を取った。今度は日本が同盟関係を軌道に乗せるべく主導的な立場となる。特に中国の脅威への対処が中心だ。


幸いにも菅の前任安倍晋三首相が日本が積極的に国益を守るべく国防に関与すべき時がきたと国民に明確に示してきた。このため日本の国防費は第二次大戦後で最高水準となり、米国とともに中国のアジア覇権に対抗する積極策に出るようになった。


安部はトランプ大統領という熱烈な支援者を得て、従来より積極的な姿勢に出た。トランプと安部によりいわゆるクアッドが米国、日本、オーストラリア、インドに成立し、単なる構想にとどまらず健全な戦略立案の基盤が生まれた。海洋民主国家間の「戦略ダイヤモンド」が「自由で開かれたインド太平洋」(これも安部のお気に入りの表現)を支える構造になった。安部は防衛技術協力を米国と進め、世界最先端の技術大国同士が将来の兵器開発に向かっている。これを中国は恐れる一方でアジア内の同盟各国は勇気づけられている。


ところが安部は体調不良を理由に2020年6月に首相の座を辞任し、トランプは2020年大統領選挙で落選した。安部の退場があったものの日本では何も変化していない。菅の後任がだれになっても、岸田元外相、河野前防衛相、あるいは国民に人気が高い石破でも、安部がとった親米防衛姿勢は大きく変わるものではない。


これに対し、バイデン政権は日本側がトランプ退場後に危惧した通りの展開を見せて、オバマ時代へ回帰そている。「後方からの指導力」や「戦略的忍耐」が良いこととされている。


「外圧」とはある国から他国へ考え方や方向を変更させる圧力の日本語表現だ。日本の外交は米国の外圧で動いてきた。沖縄の米軍基地問題、イラク=アフガニスタンへの自衛隊派遣がその例だ。今度は次期首相が外圧をかけてバイデンチームに正しい選択を強いる番となる。これは口だけの話ではなく台湾防衛や南シナ海での中国主張への対応もあり、同時に中国が日本の主権に東シナ海で同様の主張をしているがこれも否定する必要がある。


米日関係で何が日本の強みになるのか。日本から見て米国に毅然たる姿勢が欠けていれば、米国が維持してきた核抑止力は空虚な言葉と受け止められる。これまでも日本関係者から追い詰められれば独自に核武装に走るとの発言が出ており、日本の技術力なら数カ月でこれを実現できる。


こうなれば域内で核武装競争が始まり、南朝鮮のみならず台湾までも選択すれば、誰もが臨まないシナリオが現実のものとなる。いずれにせよ、米日関係は域内の平和安定の礎であり、インド太平洋を中国の支配から守る必要がある。日本の指導部がこの行方は左右する。ワシントンではない。次の首相が誰になるにせよ、歴史に残るミッションに直面する。米日両国に死活的なミッションとなる。■



Japan Foreign Policy: Alliance with US Crucial

Why Japan’s Next Prime Minister Matters

By ARTHUR HERMAN

September 9, 2021 6:30 AM

ARTHUR HERMAN is a senior fellow at the Hudson Institute, a Pulitzer Prize finalist, and the author of, most recently, The Viking Heart: How Scandinavians Conquered the World (Houghton Mifflin, 2021). @arthurlherman


2021年9月11日土曜日

戦史に学ぶ フォークランド戦争、空母以外に航空機運搬手段が必要だ。英商船をにわか仕立て運搬船にしたものの、ミサイル攻撃を受けた悲劇。

 英本土とフォークランドの距離と尖閣諸島=日本本土の距離は比較にならないくらい異なりますので、直接参考にならないかもしれませんが、1982年の事例と同様に追加機材を輸送する手段が必要となるかもしれません。長距離フェリーでは平時から一部に防衛省との契約がある船舶があるようですが、機材を搭載できそうなコンテナ船ではどうでしょうか。温故知新ではないですが、いろいろ考えさせられる事例であります。



 

 

  • アルゼンチンにフォークランド諸島を占拠された英海軍が奪回作戦を1982年開始した

  • だが空母が不足し、英海軍の航空作戦実施に支障をきたした

  • そこで英国は臨時母艦でヘリコプターやジャンプジェット運用をねらった



1982年の英海軍は同年3月にアルゼンチン軍が占拠したフォークランド諸島の奪回作戦にあたり、懸念事項があった。占領部隊への空爆が必要だし、アルゼンチン潜水艦や地上部隊を警戒しヘリコプターの運用も必要で、アルゼンチン本土から英機動部隊に向け飛来する機体へ迎撃機の出撃も必要だった。


だが英海軍の空母インヴィンシブルはシーハリアー8機、シーキングヘリコプター12機しか搭載しておらず、そもそも同艦はオーストラリア向け売却が決まっていた。もう一隻の空母ハーミーズはシーハリアー12機、シーキング20機を搭載していた。


4月下旬に交戦が始まると、ハリアーは早速その真価を発揮し、アルゼンチン機を20機撃墜したが、地上砲火と事故で喪失も発生した。


だが英海軍は15千トンのG2級ロールオンロールオフコンテナ貨物船アトランティック・コンヴェイヤーを民間借り上げ船舶(STUFT)として4月14日に徴用していた。


あたかも第二次大戦中の英米の護衛空母のように民間船舶を即席空母に改装し、ヘリコプターやハリアーの運用に使おうとした。

Sea Harrier approaches the container ship and aircraft carrier Atlantic Conveyor

シーハリアーが改装なったシーコンヴェイヤーの運用テストで接近した。Royal Navy/Imperial War Museums via Getty Images



同船は最小限の改修を受け、機体運搬を主に行う想定となった。これも第二次大戦中の空母と同じで、陸上運用戦闘機を遠距離運搬することになり、コンヴェイヤーは英空軍の地上運用ハリアーをハーミーズ、インヴィンシブルの両空母に届けることになた。


改修は工期わずか9日で行い、イアン・ノース大佐の指揮のもとで4月25日に海上運用可能となり、アセンション島で英海軍809飛行隊のシーハリアー8機、英空軍のハリアーGR.3を6機搭載した。


合わせてウェセックスヘリコプター6機、英空軍チヌークへリコプター4機も運んだ。チヌークは米国から輸入したばかりだった。船内にはミサイル、クラスター爆弾、迫撃砲弾、航空燃料、大切な発電機や航空機燃料共有装備を搭載していた。


機材多数はプラスチック「バナナ包装」されていたものの、ハリアー1機だけは離着可能な状態とされ、警戒に当たった。


姉妹船アトランティック・コーズウェイも5月5日に徴用され、航空燃料の取扱い用に大幅な改修を受けた。


ともに間に合わせの改装だったが、重要な機能が一つ欠落していた。全方位捜索レーダーと短長距離での防空装備だ。もともと商船であり、こうした装備は見送られたのだが、搭載していれば工期はさらに伸びていただろう。


アトランティック・コンヴェイヤーはフォークランド海域に5月19日到着し、積み荷のハリアー14機をハーミーズ、インヴィンシブルの二隻に届けた。


搭載ヘリコプターは5月26日に地上部隊合流の予定だった。特にチヌーク各機は英特殊作戦部隊での投入が期待されていた。ローターの組立が船上で進み、稼働が近づいていた。


だが5月25日にアルゼンチンのシュペールエタンダール2機編隊が低空ぎりぎりの飛行で英機動部隊へ北西から接近してきた。


23マイルまで近づくと、機体を上昇させAgave標的レーダーを稼働し英艦隊を捕捉した。急ぎエグゾセ対艦ミサイルを発射し、帰投した。HMSアンバスケイドがミサイル発射を探知し、チャフ放出でミサイルを妨害した。エグゾセは標的を逃した際は付近で最大の標的を狙うようプログラムされており、コンヴェイヤーを狙った。


コンヴェイヤー船長は比較的耐じん性が高い船尾を向けようとしたものの、そもそもレーダー警戒装備や近接防御装備がない。ミサイル一発が左舷Cデッキに命中した。


爆発が弾薬燃料の発火につながり、制御不能な火災が発生、少なくとも乗組員三名が死亡した。アンドリュー王子がその時点で空母ハーミーズからシーキングヘリコプターを操縦しており、大きな水柱が立っていたと当時を回想している。


商船構造のコンヴェイヤーにはダメージコントロールの構造になっておらず、攻撃を耐えられなかった。直撃30後にノース艦長は30分で総員退去を命じた。


その後三時間にわたり、ヘリコプターも動員して救助活動が続き、駆逐艦HMSアラクリティが軍民137名を救助した。アンドリュー王子のシーキングもここに加わった。ノース艦長他8名は救助を待つことなく海上で死亡した。


全焼となったコンヴェイヤーはまだ浮いており、曳航しようとしたが、5月28日に沈没した。


コンヴェイヤー搭載のヘリコプターのうち、残存したんはウェセックス、チヌーク各一機で攻撃時点で滞空したため難を逃れた。ヘリコプターによる地上部隊移動は実施できなくなり、部隊は徒歩で移動した。


ただチヌークのブラボーノーヴェンバーは延べ2,100名の地上部隊、捕虜を搬送し、105mm榴弾砲3基を運んだ。


コンヴェイヤーは戦没したが、姉妹船アトランティック・コーズウェイは5月27日に運用を開始した。


同船もヘリコプターを届けたが、アルゼンチンの攻撃を受けた輸送艦の負傷者をヘリコプターで収容した。本来コーズウェイはヘリコプターを送り届ける任務だったが、結果として4千回もの着艦を見ることになった。


コーズウェイは6月17日まで戦闘水域に残り、その後商業運用に復帰し、四年後に廃船となった。■


この記事は以下を再構成し人力翻訳でお送りしています。

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British Navy Used Impromptu Aircraft Carriers to Recapture Falklands


Sebastian Roblin , 19fortyfive Sep 2, 2021, 11:16 PM

Sébastien Roblin holds a master's degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Read the original article on 19fortyfive. Copyright 2021. Follow 19fortyfive on Twitter.


今週の気になる航空宇宙関連ニュース 9月4日-10日

カール・ヴィンソン空母打撃群が南シナ海へ展開

横須賀を出港したUSSカール・ヴィンソンは巡洋艦USSレイク・シャンプレイン、駆逐艦USSチャフィー、戦闘艦USSタルサをともない、各種演習を南シナ海で展開する。


エアインディアのA319計6機をAEWに改装

インド政府はC295輸送機計56機の購入を承認した。あわせてエアインディアで使用したA319旅客機計6機を空中早期警戒機へ改修する案も承認された。C295の40機はエアバスがインド国内でタタと生産する。


イスラエルIAIがベトナム軍事衛星調達を受注

イスラエル航空宇宙工業がエアバス、タレスとの競合を経て、ベトナムの軍事衛星を受注した。


海自P-1が滑走路逸脱して着陸

9月7日、P-1が着陸時に航空自衛隊岐阜基地の滑走路を逸脱し緑地帯で停止した。機体は川崎重工で修理を受けていた。


米空軍が新型電子戦ポッド「Angry Kitten」を演習に投入

新型電子戦用ポッドはジョージアテックリサーチが開発し、ノーザンライトニング2021演習で試用された。これはデジタル無線周波数記録技術を利用し、脅威に迅速対応するもので、必要に応じジャミング信号を修正するもの。

https://www.53rdwing.af.mil/News/Article/2754024/test-milestones-reached-at-northern-lightning/


米、印で空中発射式UAVの共同開発を合意

インド空軍、米空軍が空中発射式UAVの共同開発に合意した。これは米印防衛技術通商構想の枠組みの一部となる。米空軍は空軍研究本部(AFRL)、インドは国防研究開発機関(DRDO)が担当する。

https://www.af.mil/News/Article-Display/Article/2764056/india-us-sign-air-launched-uav-co-development-project-agreement/


ACC司令官がF-15EX操縦資格を取得

米空軍航空戦闘軍団司令マーク・ケリー大将がF-15EX操縦資格を取得し、F-15EX・F-35A両機の操縦可能なパイロット二人目となった。

https://www.53rdwing.af.mil/News/Article/2764257/acc-commander-completes-f-15ex-eagle-ii-qualification/


カタール、トルコがカブール空港運用再開を支援

A technical team from Qatar arrived in Kabul, Afghanistan on Sept. 1 to help the Taliban reopen the city’s airport, AFP reports.

カタール技術チームが9月1日、カブールに到着し、タリバンを支援して空港運航の再開をめざす。

https://www.channelnewsasia.com/world/qatar-turkey-work-taliban-reopen-kabul-airport-2152851



 

2021年9月10日金曜日

イスラエルが米中央軍の管轄に入ったことの何が重要なのか。米=イスラエル=アラブ主要国の対イラン包囲陣が生まれる。

  

イスラエルのアイアンドーム対ロケット弾防衛装備と米製ペイトリオット対ミサイル防衛装備が米=イスラエル合同軍事演習で並んだ。 March 8, 2018. (Jack Guez/AFP via Getty Images)

 

 

中央軍から9月1日発表があり、イスラエルが中央軍CENTCOMの担当地域に入る。この展開の背景にアラブ=イスラエル間の関係で変化が生まれ、米=イスラエル=アラブ連合軍の軍事力が向上し、イランおよびテロ集団のイラン代理勢力への抑止効果が高まる可能性が出てきた。

CENTCOMは1983年に生まれたが、イスラエルは米欧州軍司令部EUROCOMの責任範囲とされてきた。これは地理と無関係にイスラエルがアラブ諸国と政治的に切り離された関係にあったためだ。これまでCENTCOMが多国間演習を実施する際もイスラエルが域内で孤立して実施調整を難しくしていた。

アラブ=イスラエル間の関係改善で共通の脅威に対応する基盤が主要国にできた。関係改善を生んだ原因はイランで、核兵器開発を長年にわたり模索していることにあわせ、中東全域でテロ集団の代理勢力を育成する同国の行為だ。

イランの強硬な動きが理由で、米国が仲介した形でエイブラハム合意がイスラエル、バーレーン、アラブ首長国連合間に昨年成立し、政治経済文化面の協力関係で互恵効果への道が開いた。軍事協力関係の伸展で域内安定度が増す効果が生まれそうだ。

今年五月にはガザ地区でイスラエルとイラン支援を受けるテロ集団との交戦が発生した。テロ集団は4,300発ものロケット弾をイスラエルに向け発射し、無人機、無人水中機、対戦車兵器まで展開された。

こうした攻撃自体はイスラエルにとって脅威ではないが、イランやイラン代理勢力がイスラエル攻撃に投入する装備が米軍やアラブ同盟国に向けても使われている。

2019年5月から現在に至り、米軍陣地へのロケット弾、迫撃砲、無人機攻撃100回近くの背後にイラン支援を受けた戦闘員集団があったと考えられ、今年だけでも27回の攻撃事例が報告されている。米軍等は2019年のサウジアラビア石油精製所攻撃の背後にイランの関与を糾弾しており、無人機や巡航ミサイルの投入で世界の石油生産精製に少なからぬ影響を与えた。

イランは米国、アラブ、イスラエルの権益を海上でも標的にしている。無人機、高速ボートを使いペルシア湾で米艦艇を狙い、イランはタンカーを拿捕すし通商の自由な流れを阻害し、アラブの隣国に被害を生じさせている。イスラエルとつながるタンカーに無人機攻撃も実行した。

イランはテロ集団に各種兵器を供給する以外に、兵器の現地生産をガザ、レバノン、イエメンで支援している。このため米国、イスラエル、アラブ中核国の協力が一層必要となった。

イスラエルをEUCOMからCENTCOM指揮下に移したことで直ちに域内の安全が強化される結果が生まれるわけではない。CENTCOMはこれまでもイスラエルと緊密に動いてきた。CENCOM司令官ケネス・マッケンジー大将は指揮権移管はエイブラハム合意の「運用面」で効果を発揮すると今年初めに発言している。

その一つに米国、イスラエル、アラブ諸国間の合同軍事演習や訓練の実施があり、CENTCOMはイスラエルに対しエジプト、アラブ首長国連邦を次回のノーブル・ダイナ演習に招くよう求めている。CENTCOMはアラブ首長国連邦に対し次回アイアン・ユニオン演習にイスラエル国防軍の参加に合意するよう求めている。またCENTCOMはEUCOMと連携しギリシアに働きかけ、エジプト、ヨルダンとともにイスラエル、アラブ首長国連邦他を次回ギリシャ主催のイニオコス演習に招くよう働きかけている。

こうした動きを通じ、各国の即応体制が強化され、共同作戦への準備も強まる。さらにイランやテロ集団の代理勢力に強いメッセージとなる。

今回の発表は前向けかつ良い結果を生む。ここからが正念場で米、イスラエル、アラブの権益の防衛を高める作業が始まる。■

Why Israel's transfer to US Central Command could help deter Iran

By Bradley Bowman and Behnam Ben Taleblu

 Sep 8, 12:50 AM

Bradly Bowman is the director of the Center for Military and Political Power at the Foundation for Defense of Democracies, where Behnam Ben Taleblu is a senior fellow.