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イスラエルが米中央軍の管轄に入ったことの何が重要なのか。米=イスラエル=アラブ主要国の対イラン包囲陣が生まれる。

  

イスラエルのアイアンドーム対ロケット弾防衛装備と米製ペイトリオット対ミサイル防衛装備が米=イスラエル合同軍事演習で並んだ。 March 8, 2018. (Jack Guez/AFP via Getty Images)

 

 

中央軍から9月1日発表があり、イスラエルが中央軍CENTCOMの担当地域に入る。この展開の背景にアラブ=イスラエル間の関係で変化が生まれ、米=イスラエル=アラブ連合軍の軍事力が向上し、イランおよびテロ集団のイラン代理勢力への抑止効果が高まる可能性が出てきた。

CENTCOMは1983年に生まれたが、イスラエルは米欧州軍司令部EUROCOMの責任範囲とされてきた。これは地理と無関係にイスラエルがアラブ諸国と政治的に切り離された関係にあったためだ。これまでCENTCOMが多国間演習を実施する際もイスラエルが域内で孤立して実施調整を難しくしていた。

アラブ=イスラエル間の関係改善で共通の脅威に対応する基盤が主要国にできた。関係改善を生んだ原因はイランで、核兵器開発を長年にわたり模索していることにあわせ、中東全域でテロ集団の代理勢力を育成する同国の行為だ。

イランの強硬な動きが理由で、米国が仲介した形でエイブラハム合意がイスラエル、バーレーン、アラブ首長国連合間に昨年成立し、政治経済文化面の協力関係で互恵効果への道が開いた。軍事協力関係の伸展で域内安定度が増す効果が生まれそうだ。

今年五月にはガザ地区でイスラエルとイラン支援を受けるテロ集団との交戦が発生した。テロ集団は4,300発ものロケット弾をイスラエルに向け発射し、無人機、無人水中機、対戦車兵器まで展開された。

こうした攻撃自体はイスラエルにとって脅威ではないが、イランやイラン代理勢力がイスラエル攻撃に投入する装備が米軍やアラブ同盟国に向けても使われている。

2019年5月から現在に至り、米軍陣地へのロケット弾、迫撃砲、無人機攻撃100回近くの背後にイラン支援を受けた戦闘員集団があったと考えられ、今年だけでも27回の攻撃事例が報告されている。米軍等は2019年のサウジアラビア石油精製所攻撃の背後にイランの関与を糾弾しており、無人機や巡航ミサイルの投入で世界の石油生産精製に少なからぬ影響を与えた。

イランは米国、アラブ、イスラエルの権益を海上でも標的にしている。無人機、高速ボートを使いペルシア湾で米艦艇を狙い、イランはタンカーを拿捕すし通商の自由な流れを阻害し、アラブの隣国に被害を生じさせている。イスラエルとつながるタンカーに無人機攻撃も実行した。

イランはテロ集団に各種兵器を供給する以外に、兵器の現地生産をガザ、レバノン、イエメンで支援している。このため米国、イスラエル、アラブ中核国の協力が一層必要となった。

イスラエルをEUCOMからCENTCOM指揮下に移したことで直ちに域内の安全が強化される結果が生まれるわけではない。CENTCOMはこれまでもイスラエルと緊密に動いてきた。CENCOM司令官ケネス・マッケンジー大将は指揮権移管はエイブラハム合意の「運用面」で効果を発揮すると今年初めに発言している。

その一つに米国、イスラエル、アラブ諸国間の合同軍事演習や訓練の実施があり、CENTCOMはイスラエルに対しエジプト、アラブ首長国連邦を次回のノーブル・ダイナ演習に招くよう求めている。CENTCOMはアラブ首長国連邦に対し次回アイアン・ユニオン演習にイスラエル国防軍の参加に合意するよう求めている。またCENTCOMはEUCOMと連携しギリシアに働きかけ、エジプト、ヨルダンとともにイスラエル、アラブ首長国連邦他を次回ギリシャ主催のイニオコス演習に招くよう働きかけている。

こうした動きを通じ、各国の即応体制が強化され、共同作戦への準備も強まる。さらにイランやテロ集団の代理勢力に強いメッセージとなる。

今回の発表は前向けかつ良い結果を生む。ここからが正念場で米、イスラエル、アラブの権益の防衛を高める作業が始まる。■

Why Israel's transfer to US Central Command could help deter Iran

By Bradley Bowman and Behnam Ben Taleblu

 Sep 8, 12:50 AM

Bradly Bowman is the director of the Center for Military and Political Power at the Foundation for Defense of Democracies, where Behnam Ben Taleblu is a senior fellow.


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