太平洋で戦争勃発となれば、ウェーキ島が米軍作戦で不可欠な存在となる。
ウェーキ島に特筆すべきものは皆無だ。サンゴ礁から生まれた同島の海抜は12フィートしかなく、ホノルルから2,300マイル離れている。東京からは2千マイルの位置にある。この位置関係が同島を太平洋に展開する米軍部隊プレゼンスで重要にしている。それ以前にもヨーロッパ諸国が同島を訪れていたが、同島を領有宣言したのは1899年の米国だ。無人島のまま1930年代に入り、米海兵隊がわずかな守備隊を置いた。第二次大戦中は真珠湾と並行し日本軍が同島を攻撃したが海兵隊が守り通した。
今日でもウェーキ島は世界で最も隔絶された場所である。第二次大戦後は大幅に姿を変え、3千メートル級滑走路一本が構築され、米軍が供用中の航空機材なら全機種の運用が可能だ。
太平洋で戦闘が始まれば、グアム、沖縄といった前線基地は敵ミサイル攻撃の標的となる。とくに沖縄は中国沿岸から500マイルしか離れていない。グアム、沖縄ともにミサイル防衛装備が配備されており、ペイトリオット、THAADがあるが、ミサイル大量発射の前に圧倒されかねない。アジア最前線の基地機能を開戦当初に喪失する事態は必至といってよい。その点でウェーキ島は攻撃を受けにくい。なんといっても距離の要素が大きい。
ウェーキ島の防御は距離だけではない。地上配備中間段階防御(GBMD)ミサイル迎撃装備がある。ペイトリオットやTHAADは局地防衛用だが、GBMDはもっと広い範囲の防空が可能だ。
GBMDはアラスカ、カリフォーニアにも配備され、主に長距離ミサイルから北米の防御を任されている。ウェーキ島はこのミサイル防衛の傘の一部を構成しているようだ。
太平洋で戦闘が始まれば、米爆撃機は西太平洋で敵ミサイル防空拠点の破壊をめざし何回も出撃することになる。この際にウェーキ島は米軍最後の西太平洋拠点となり、爆撃機他に燃料補給を行う重要な機能を担うことになる。■
This Island in the Pacific that you Have Never Heard of is Vital to US Naval Power
by Caleb Larson
September 6, 2021 Region: Pacific Blog Brand: The Reboot Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNavyChinaStealthDefense
Caleb Larson holds a Master of Public Policy degree from the Willy Brandt School of Public Policy. He lives in Berlin and writes on U.S. and Russian foreign and defense policy, German politics, and culture.
Image: Wikimedia Commons
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。