スキップしてメイン コンテンツに移動

9月の自民党総裁選挙は日本のみならずアジア太平洋の重要政治イベントになる。初めて日本が日米関係で主導的役割を果たす可能性が出てきた中で、新首相選定は極めて重要。

 

日米関係さらに南シナ海、台湾については今回の自民党総裁レースでは争点になっていませんが、安部路線を誰も簡単に変更できないということですね。記事では高市の名前がありませんが、日本ウォッチャーにとっても全くのダークホースということでしょうか。この記事だけ見れば論理的に高市という選択肢が一番安心できることになるのですが。中国や国内メディアが警戒していることでそれは明白です。はて、同じような構造がトランプの大統領選でもあったような気がしませんか。National Reviewの記事からです。それにしてもいまだにモリカケ桜が争点になると信じている反対党の皆さんの世界観の欠如には嘆くしかありません。




米国との同盟関係を維持し、域内安定が確保できるかはワシントンではなく、日本の次の政治トップに左右される。


本の政権政党で中道右寄り姿勢の自民党はで9月17日から新しい総裁選びに入り、実質的に次期首相を選ぶことになる。現職の菅義偉は立候補しないと発表ずみだ。自民党員が選ぶ人物のもと、次回総選挙で勝利となる見込みで、その人物に米日同盟のみならずアジアの将来をゆだねることになる。


理由として第二次大戦終結後で初めて日本が主導的な立場になり、中国のインド太平洋での覇権拡張への対抗や、米国が70年にわたり守ってきたアジア民主体制のもとで自由と繁栄を維持できるかが問われるからである。


これまでの米日関係では米国が日本に積極防衛策を取れ、アジアでの影響力を強めろと求めてきたのが常だったが、日本は消極的に応じてきた。だが今回のアフガニスタンをめぐる混乱で敵味方問わず、海外でのコミットメントが問題となることを露呈し、バイデン政権は安易に切り捨て逃避する選択を取った。今度は日本が同盟関係を軌道に乗せるべく主導的な立場となる。特に中国の脅威への対処が中心だ。


幸いにも菅の前任安倍晋三首相が日本が積極的に国益を守るべく国防に関与すべき時がきたと国民に明確に示してきた。このため日本の国防費は第二次大戦後で最高水準となり、米国とともに中国のアジア覇権に対抗する積極策に出るようになった。


安部はトランプ大統領という熱烈な支援者を得て、従来より積極的な姿勢に出た。トランプと安部によりいわゆるクアッドが米国、日本、オーストラリア、インドに成立し、単なる構想にとどまらず健全な戦略立案の基盤が生まれた。海洋民主国家間の「戦略ダイヤモンド」が「自由で開かれたインド太平洋」(これも安部のお気に入りの表現)を支える構造になった。安部は防衛技術協力を米国と進め、世界最先端の技術大国同士が将来の兵器開発に向かっている。これを中国は恐れる一方でアジア内の同盟各国は勇気づけられている。


ところが安部は体調不良を理由に2020年6月に首相の座を辞任し、トランプは2020年大統領選挙で落選した。安部の退場があったものの日本では何も変化していない。菅の後任がだれになっても、岸田元外相、河野前防衛相、あるいは国民に人気が高い石破でも、安部がとった親米防衛姿勢は大きく変わるものではない。


これに対し、バイデン政権は日本側がトランプ退場後に危惧した通りの展開を見せて、オバマ時代へ回帰そている。「後方からの指導力」や「戦略的忍耐」が良いこととされている。


「外圧」とはある国から他国へ考え方や方向を変更させる圧力の日本語表現だ。日本の外交は米国の外圧で動いてきた。沖縄の米軍基地問題、イラク=アフガニスタンへの自衛隊派遣がその例だ。今度は次期首相が外圧をかけてバイデンチームに正しい選択を強いる番となる。これは口だけの話ではなく台湾防衛や南シナ海での中国主張への対応もあり、同時に中国が日本の主権に東シナ海で同様の主張をしているがこれも否定する必要がある。


米日関係で何が日本の強みになるのか。日本から見て米国に毅然たる姿勢が欠けていれば、米国が維持してきた核抑止力は空虚な言葉と受け止められる。これまでも日本関係者から追い詰められれば独自に核武装に走るとの発言が出ており、日本の技術力なら数カ月でこれを実現できる。


こうなれば域内で核武装競争が始まり、南朝鮮のみならず台湾までも選択すれば、誰もが臨まないシナリオが現実のものとなる。いずれにせよ、米日関係は域内の平和安定の礎であり、インド太平洋を中国の支配から守る必要がある。日本の指導部がこの行方は左右する。ワシントンではない。次の首相が誰になるにせよ、歴史に残るミッションに直面する。米日両国に死活的なミッションとなる。■



Japan Foreign Policy: Alliance with US Crucial

Why Japan’s Next Prime Minister Matters

By ARTHUR HERMAN

September 9, 2021 6:30 AM

ARTHUR HERMAN is a senior fellow at the Hudson Institute, a Pulitzer Prize finalist, and the author of, most recently, The Viking Heart: How Scandinavians Conquered the World (Houghton Mifflin, 2021). @arthurlherman


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...