F-15Eストライクイーグル三機が第85試験評価飛行隊からQUICKSINK共用性能技術実証テストに投入された。 Aug. 26, 2021. (U.S. Air Force photo by 1st Lt Lindsey Heflin)
GBU-31の試射で共用直接攻撃弾を「移動中並びに静止海上目標」に投入する道が開いた。
第85試験評価飛行隊のF-15Eストライクイーグル3機が2,000ポンドGBU-31JDAM改修型のテストを2021年8月26日に実施した。
実施した第53航空団は空軍研究本部(AFRL)とともにF-15Eで改修型GBU-31運用の戦術、手順を編み出し、移動海上目標、静止海上目標の双方に試した。テストの目的は「空中発射弾を艦船に向け発射し、これまでの対艦攻撃の体系を変えること」だったという。
「大型で航行する艦船へ空軍は2,000ポンドレーザー誘導式GBU-24を主に使っている」と同飛行隊のウェポンズシステム士官アンドリュー・スワンソン少佐が説明している。「ただし、同装備は理想的と言えないだけでなく、運用機の生存性を下げてしまう。そこで今回はこれを一新できるか試した」
JDAMは誘導式空対地兵器で各種弾頭に変更できる。2,000ポンドのBLU-109/MK 84、1,000ポンドのBLU-110/MK 83あるいは500ポンドのBLU-111/<K 82を装着できる。誘導では尾部の制御機構とGPS式のINSを使う。航法制御では位置、速度ベクトルを機体から与える。
米空軍が公表したGBU-31の写真はGBU-31(V)1/BのようでMK-84に誘導キットを装着している。広報資料にある「修正」について興味深い点がある。JDAMで「移動海上目標」を攻撃する方法だ。というのはJDAMはレーザー誘導方式ではないためで、(ただし後で述べるレーザーJDAMは別にある)もともとは固定静止目標を念頭に開発されたからだ。
第85試験評価飛行隊は空軍研究本部とともにF-15Eストライクイーグルに改修型2,000ポンドGBU-31JDAMを搭載した。テストの目的は空中投下爆弾で艦船攻撃を可能とし、対水上艦攻撃の体系を一変させることにあった。
(U.S. Air Force photo by 1st Lt Lindsey Heflin)
LGBs(レーザー誘導爆弾)を水上航行中の目標に投入するシナリオは以前からあるが、LGBのシーカーヘッドは悪天候、霧、煙などに影響を受けやすい。そのため効果が減少しかねない。また内部シーカーで標的を追尾する設計だが、レーザーで照準を合わせる。赤外線が主に使われ、正確な軌跡で目標に向かう。
同兵器の飛翔経路は光に沿うもので、標的自体ではない。そのため標的を別光源で照射する必要がある。地上部隊や、攻撃機が搭載するポッド、あるいは別の支援機が必要だ。一部のLGBではバックアップのGPS誘導が使えるが、GBU-31ではGPS座標と標的座標を自動的に参照して誘導する。
標的座標は離陸前に機体にロードする。その後乗員が発射前に手動調整する。あるいは機内センサーを介し自動修正する。もっとも正確なモードを使えばJDAMは誤差5メートル以内で命中する。この場合はGPSデータが使えることが条件だ。だがGPSが妨害された状況では誤差が30メートル以内になる。
レーザーJDAMはレーザーシーカーを先端につけ、JDAMで移動目標対応を可能とするものだ。GBU-56(V)2/BではMK-84 2,000-lb爆弾とDSU-40/Bセミアクティブレーザー(SAL)とKMU-556/B誘導装置を組み合わせる。
いずれにせよ、第53航空団が行った昨年テストではB-52HストラトフォートレスがJDAM数発を投下して水上攻撃の効果を試したが、今回のテストはQUICKSINK共用性能技術実証として実施され、低コストで魚雷同様の対艦攻撃能力を実現するのが目的だ。米海軍潜水艦なら魚雷一本で敵艦を撃破する能力があるが、発射により自艦の位置を露呈してしまう。■
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