Image: Chinese Internet.
中国のステルス第五世代戦闘機成都J-20「威龍」が国境周辺部の戦略地帯に配備されつつあり、米側同盟国軍が注視している。人民解放軍空軍はパイロット養成を強化し、演習に投入しているが、重要なのは配備場所で、J-20は台湾海峡と東シナ海で運用されそうだ。
戦略
西側は将来の中国との戦闘シナリオ想定では同機が投入される場面を想定する必要に迫られる。J-20を米F-35やF-22と比較する分析が多いが、日本あるいは南朝鮮と中国の対戦シナリオがあり、まず北朝鮮が南朝鮮を攻撃し、その後中国が参戦するという朝鮮戦争を下敷きにしている。
別のシナリオもある。日中が島しょ部の領有をめぐり武力衝突するものだ。これと別に台湾侵攻では台湾へF-35を売却あるいはリースした場合の想定もある。各シナリオではステルス戦闘機が西側に配備されているのを前提としており、日本はF-35は147機導入するとしている。この規模は米国に次ぐもので、南朝鮮もF-35を60機導入するとしている。
J-20の特徴
日本や南朝鮮がF-35配備でJ-20に対抗できるのだろうか。J-20は相当の威力を有する。機体制御が優れ、ステルスで兵装は機体内部に搭載し、エイビオニクス、レーダーが高性能で標的捕捉機能も高水準だとDOD軍事力レポートは評している。J-20がF-35やF-22と比較されるのは中国が米第五世代戦闘機情報をサイバーで盗んだためでもある。
J-20は機外に燃料タンクx4を搭載し航続距離を延長できる。超音速飛行も可能なので中国は同機を空対空戦闘に投入するはずだ。また対地攻撃能力もあり、各種ミサイル、爆弾を搭載できる。
弱点
ただし、J-20には弱点がある。エンジンはロシア製でF-22やF-35が搭載するエンジンより推力が低い。またJ-20のエンジンからの排出は探知を容易にする。このため中国は今年初めに国産エンジン開発でこうした弱点を克服すると発表していた。
J-20 はこう運用される
想定される日本、南朝鮮との戦闘でJ-20はまずステルスモードで飛び敵レーダー施設を攻撃する。これで進入路を作り、中国は爆撃機、輸送機を送り込む。日本、南朝鮮との開戦確率が低いのは確かだが、戦略立案部門は有事の想定をしておくべきだ。
中国はJ-20を二個連隊で75機程度供用し、東方及び南方戦域に配備しているとみられる。つまり、台湾戦とあわせ東シナ海、南シナ海の島しょ部分の防衛に投入する想定だろう。これと別に75機が予備訓練部門に配備されるので、米、日、韓の戦闘機部隊にとって中国の航空戦力は相当のものとなる。このうち実戦経験を有するのは米軍のみで、米海軍F/A-18スーパーホーネットはシリアでSu-22を2017年に撃墜している。
となると将来の戦闘シナリオで日本や南朝鮮部隊は米軍のF-35あるいはF-22投入までJ-20を食い止められるのだろうか。日本と中国が武力衝突する可能性のほうが高い。戦略立案では各種の要素を考慮する必要がある。中国機のステルス性能により戦闘は困難となるはずで、中国が日本や南朝鮮の防空体制に穴をあければ、爆撃機等が進入してくるはずだ。このため、東シナ海上空で各国とも戦闘機による哨戒や訓練を怠れないのである。ここから偶発事故や誤解が生まれ、空中戦闘につながり、さらに本格戦闘につながる危険がある。
J-20は手ごわい相手となり、前方配備され、しかも後方に予備機も十分ある存在だ。日本や南朝鮮の戦闘機パイロットには実戦経験がないが、それは中国も同様だ。このことを考慮すると戦闘想定を考えるにあたって高リスクのシナリオが必要となる。J-20は第一撃能力で優れるものの、米、韓、台湾、日本の各国空軍は第二次攻撃への防空体制をどう展開するか決定する必要に迫られよう。■
China’s Stealth J-20 Stealth Fighter Has Arrived (And Ready for War?)
Brent M. Eastwood, PhD, is the author of Humans, Machines, and Data: Future Trends in Warfare. He is an Emerging Threats expert and former U.S. Army Infantry officer.
In this article:China, Chinese Air Force, J-20, J-20 Mighty Dragon, J-20 Stealth Fighter, Military
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