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いずもでの米海兵隊F-35B運用は11月に。米国が各同盟国との防衛協力で見直しをかける中、日米海軍部隊の連携はさらに深まりそう。

 


海上自衛隊のヘリコプター駆逐艦JSいずも(DDH-183)。マラバール2017演習にて。 US Navy Photo

 

 

海兵隊所属のF-35BライトニングII共用打撃戦闘機が海上自衛隊のいずもから今年11月に運用されることを海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将が8月25日に明らかにした。

 

実現すると英海軍航空母艦HMSクイーン・エリザベスへ配備された海兵隊飛行隊と同様の事業が今後生まれそうだ。

 

「一時的だが米海兵隊所属のF-35部隊が日本艦から運用される」とバーガー大将は述べている。

 

日本政府は2019年に海兵隊に対し、海上自衛隊のJSいずも(DDH-183)、JSかが(DDH-184)の改修作業と並行して航空機の交換事業を提案していた。

 

今回の対象はJSいずもになりそうだ。いずもは第一次改修を7月に完了しF-35運用が可能となった。改修では飛行甲板に線が描かれ、耐熱塗装が施されたとNaval News記事にある。

 

「第二次改修で艦首は現在の台形から四角形に代わり、F-35B運用を楽にし、その他には艦内区画割の変更も予定している」とNaval Newsが伝えている。

 

いずも、かがの改修はF-35B42機調達と並行し進み、自衛隊初のF-35Bは2023年度中に納入される予定だ。

 

日本がF-35の拡充をはかるのは中国の海軍力整備を進めるのに呼応した動きだ。いずも、かがでのF-35運用は防御策とみる向きがある。

 

第31海兵遠征部隊所属のF-35BライトニングII共用打撃戦闘機が前方配備の強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)艦上で発艦に備えていた。 Aug, 25, 2021. US Navy Photo

 

 

「海上自衛隊の水上部隊を巡航ミサイル(あるいは極超音速滑空ミサイル)から防御するためいずも級の改修でF-35BSTOVL機の運用が必要となった。F-35Bの行動半径は数百マイルあり、対艦ミサイルを発射できるが、艦搭載の対空ミサイルの有効射程は平均100マイルしかない」と米太平洋艦隊司令官デニス・ブレア大将等が2019年の米海軍協会紀要に投稿していた。

 

「短距離ながら対艦ミサイルを搭載したF-35Bは大量の監視艇あるいは海上民兵を乗せた漁船を同時に投入する戦術に有効に対応可能だ。『島しょ部奪回』シナリオでは日本の新規編成水陸両用団の奪回作戦でF-35Bが局地航空支配を確立し、有益な存在となる」

 

海兵隊のいずも運用はテスト用の短期限定だが、日米両国でF-35Bを運用することで両国のきずながさらに深まる効果が期待される。日本艦での海兵隊機材運用は米国が域内同盟国とのつながりを再定義する一例に過ぎない。

 

大西洋のNATOは多国構成だが、太平洋では一対一での構図となる。バーガー大将は同盟国やクアッド対象国との情報共有が絶えず問題だと認めており、クアッドでは新しい形の協力関係を域内に形成する。

 

「クアッドがゆっくりと静かに発足したことに大きな異議がある」「オーストラリア、日本、南朝鮮、フィリピンとは情報共有の枠組みはすでにあるが、各国と一対一の関係だ。クイーン・エリザベスが展開中だが事態を注視している」とバーガー大将は述べている。■


US Marine F-35Bs to Operate off Largest Japanese Warship Later This Year - USNI News

By: Sam LaGrone

September 1, 2021 2:34 PM


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