2021年12月25日土曜日

056型コルベット艦を沿岸警備隊に移管する中国が狙うのは尖閣諸島はじめ各地でのグレイゾーン事態だろう。

 

 

中国が海軍除籍の056型コルベット艦を沿岸警備任務用に改装中

 

 

一列島線をめぐり緊張が高まる中、中国は056型(NATO呼称江島Jiangdao)を人民解放軍海軍(PLAN)から中国海警(CCG)へ移管する作業を開始した。

 

対象艦は可変深度ソナーを搭載しない056型に限定され、(056A型はこれを搭載している)、艦齢8年と比較的新しい各艦で、CCGの火力が相当向上する反面、PLAN艦艇を太平洋方面で集中させる効果も生まれる。056型通算60隻目が2019年に進水ており、昨年も同型多数が就役している。

 

PLANの056型コルベット艦はH/PJ-26 76mm主砲一門、H/PJ-17 30mm自動砲二門、対艦ミサイル発射装置二門、HQ-10 SAM発射8セル、三重魚雷発射管装置2基を搭載し、センサーでは360型、347型レーダーを搭載している。対潜戦用ソナーは搭載せず、PLAN内で陳腐化が進んでいる。

 

 

進行中の改装は艦番号511(写真上)が対象でミサイル、魚雷発射管を除去し、LEDパネルを艦橋両側に取りつけ、警告文などの表示をめざし、退役したCCG艦艇から流用する。これだけの威力を有する艦艇が沿岸警備部隊に加わること自体がグレイゾーンになる。

 

小型艦といえども出自が軍艦の性能を第一列島線内で発揮する。主砲76mmで各国の沿岸警備艦艇を凌駕する。沿海域運用を想定した056型はCCGで今後活躍しそうだ。航続距離と長期間稼働性能を発揮し、火力は民間船舶ににらみを利かす。

 

056型は海警でどう運用されるのか


非軍事部門が運用する056型コルベットは、行動の自由度が高くなる。尖閣諸島付近含む紛争水域で威力を発揮しそうだ。海警局の活動が合法か否かにかかわらず、外国艦艇に妨害された場合は、中国メディアは自国艦を無罪とし、外国艦艇を不当な侵略者として国内外に報道しかねない。

 

中国がアメリカをまねて「銀河事件」*を再現する可能性もある。国際水域で外国船舶の動きを封じる、交通量の多い南シナ海の海上貿易網を脅かす、台湾のような弱い国の重要輸送路を混乱させ、本格的な軍艦が実行したら起こる結果を避けながら、相手国に要求を呑ませるのである。■

 

*1993年7月23日、アメリカは入手した情報を理由に中国の貨物船「銀河」がイランへ化学兵器原料を輸送中と非難し、中国に制裁を課すと脅しをかけた。「銀河号」はインド洋公海上でアメリカ海軍に航行を阻まれ、三週間拘束された。中国政府はアメリカに厳重に抗議した。中国政府はアメリカ政府の臨検の要求に応じた。9月4日に「銀河」の貨物調査が終了したが、化学兵器はなかった。中国側はアメリカ側に公式謝罪と賠償を求めた。アメリカ政府は謝罪を拒み続けた。

 

 

China Transferring Navy Type 056 Corvettes to the Coast Guard - Naval News

Naval News Staff  24 Dec 2021


米議会調査局が各議員に配布している南シナ海、東シナ海での米中戦略競合の現状と背景についての報告書から総括部分をご紹介します。

 


米議会メンバーはこうした背景資料で勉強し、日本の国会議員は新聞記事や週刊誌報道で政府を糾弾しています。この違いは大きな結果の差を生みます。報告書は全132ページだそうです。

 

2021年12月12日付の議会調査局による南シナ海、東シナ海で米中戦略競合の背景と問題点に関する報告書の抜粋をお伝えする。

 

報告書より

 

ここ数年にわたり南シナ海(SCS)が米中戦略競合の舞台となっている。

 

中国がSCSで展開する大規模島しょ造営工事、基地整備はスプラトリー諸島でみられ、海上兵力により中国は域内のフィリピンやヴィエトナムの主張を退けており、米側では中国がSCSの実効支配を確立しようとしているとの懸念が強まっている。SCSは戦略、政治、経済各面で米国並びに同盟国協力国に重要な地点だ。

 

中国海上兵力は日本統治かの尖閣諸島がある東シナ海(ECS)でも米側の懸念となっており。中国は近隣地区の支配としてSCS、ECSを黄海からの延長で習っており、インド太平洋他での米国の戦略政治経済面の権益を大きく損ないかねない。

 

SCS、ECS双方での米中戦略競合で米国のめざす目標には以下含む内容がある。西太平洋での条約上の義務の遂行として日本、フィリピンとの安全保障条約があり、対立は平和的にに解決する原則、「力による解決」の台頭を阻むこと、航行の自由原則の堅持、中国が東アジアでの大国に台頭することを阻止すること等があり、広義の米戦略として競争力を維持しつつ対中関係を維持することがある。

 

米国の具体的目標となる SCS及びECSでの米中両国の戦略的競争として以下が考えられる。SCSで中国が追加の基地建設を行うこと、SCSで占拠地点の基地に人員、装備、物資を追加移動させること、SCSのスカボロー礁で人工島構築や基地建設を始めること、SCSで領有主張する地点周囲に直線基線を宣言すること、SCS上の防空識別圏(ADIZ)宣言を思いとどまらせること。中国に対し、ECS尖閣諸島における海上部隊活動を縮小または終了させ、スプラトリー諸島におけるフィリピン占有地への圧力をめざした行動を停止し、スカボロー礁またはスプラトリー諸島の周辺海域へのフィリピン漁民のアクセスを拡大し、米国と日本が定めた基準の採択を奨励する。 海洋の自由に関する米欧各国の定義を採用し、フィリピンと中国間のSCS仲裁法廷の2016年7月裁定を受け入れ遵守させることである。

 

議会の課題は、SCSおよびECSにおける中国へ戦略的に対抗する現政権の戦略が適切なのか、正しくリソースを提供しているか、また同戦略、実施のリソースの水準、またはその両方を承認、拒否、修正すべきか否かである。各問題で議会が下す決断は、インド太平洋地域およびその他の地域における米国の戦略、政治、経済各面の権益に大きな影響を与える可能性がある。■

本文はここからダウンロードできます。 here.

 

Report on US-China Competition in East, South China Sea - USNI News


December 23, 2021 8:08 AM

Download the document here.

   

 



2021年12月24日金曜日

全人類へのクリスマスプレゼントになるか。米陸軍がCOVID-SARS全ウィルスに有効なワクチン開発に成功と発表。

 

 

2020年7月、COVID-19ワクチン研究を行うウォルター・リード陸軍研究所新型感染症対応部門の科学者 SHAWN FURY, ARMY

 

 

陸軍ウォルター・リード研究所は、COVID-19の変異型オミクロン、および世界中で犠牲者数百万人を出したSARS起源ウイルスすべてに有効なワクチンを開発したと数週間以内に発表する。

 

 

約2年にわたるウイルスに関する研究が成果を生んだ。▼同研究所は、2020年初頭にCOVID-19ウイルスのDNA配列決定を初めて解明した。▼ウォルター・リード感染症部門は、非常に早い段階で、既存株に加え、潜在的亜種すべてに有効なワクチンの製造に注力する方針を決定した。▼同研究所開発のスパイク・フェリチン・ナノ粒子COVID-19ワクチン(SpFN)は、今年初めに動物実験を終え、良好な結果を得た。▼同研究所感染症部門の責任者ケイヴォン・モドジャラドKayvon Modjarrad博士は、12月21日Defense Oneの独占インタビューで、ヒトでの第1相試験を今月終え、再び良好な結果を得て最終審査に入っていると明らかにした。▼この新型ワクチンは、第2相と第3相の試験を受ける必要がある。▼「オミクロン含む全亜種でワクチンをテストしている」(モドラジャド博士)▼12月22日、ウォルター・リード関係者は新型ワクチンは「オミクロン変種にはテストしていない」と述べたが、その後Defense Oneへ電子メールで、最近発見された変種では動物実験ではなく、臨床ヒト試験サンプルに実験室テストしている、と明らかにした。▼この「中和アッセイ」は、抗体でウイルス増殖を抑えられるかを調べるものだ。▼「これまで、すべて期待通りに進んでいる」(モジャラド)▼既存ワクチンとは異なり、ウォルター・リードのSpFNは24面のサッカーボール状タンパク質を使用する。このため、コロナウイルス株のトゲをタンパク質の各面に付着させる。▼「チーム全体そして陸軍全体にとって、ここに到達でき非常に興奮している」(モジャラド)▼ただ人体治験で予想外に時間がかかったのはワクチン未接種かつ、以前にCOVID感染がない被験者を対象に試験を行う必要があったからと同博士は説明。▼ワクチン接種率の上昇と、デルタ型オミクロン型の急速な蔓延で困難になった。▼「オミクロンウイルスから逃れる術はない。避けることはできない。だから、近いうちに世界中がワクチン接種を受けるか、感染するかのどちらかになる」とモジャラッド氏は語った。▼次のステップは、新しい汎用コロナウイルスワクチンが、ワクチン接種ずみ、あるいは発症ずみの人にどう相互作用するかを見ることだ。▼ウォルター・リード研究所は、幅広い展開のため、未公表の民間企業と協力している。▼「このワクチンは実際に評価する必要があり、別のワクチンを接種済みあるいは、発症ずみの人など、広範な対象にどのように作用するか理解する必要がある」(モドラジャド博士)▼ウォルター・リードの2,500人ほぼ全員が、2年近くワクチン開発にあたってきたと博士は言う。▼「当研究所は、長期的な視野に立ち、ウイルス変異、変異型の出現、新種ウイルス出現の可能性に焦点をあててきた。当研究所は、備えを人々に提供する」(モドラジャド博士)■

 

 

US Army Creates Single Vaccine Against All COVID & SARS Variants, Researchers Say - Defense One

BY TARA COPP

SENIOR PENTAGON REPORTER, DEFENSE ONE

DECEMBER 21, 2021



航空防空戦力の進化に対応し、サンタクロースも防空網突破能力を整備している。

 

 

クリスマス特集です。肩の力を抜いてください。


ヒル空軍基地(ユタ州)で、第419戦闘航空団のF-35ライトニングIIの前で写真撮影をするサンタ。同航空団は子供たちにクリスマスパーティーを毎年開催し、世界各地に展開する多忙な1年を終えた予備隊員が家族と再会する機会を提供している。2019年12月8日 (U.S. Air Force photo/Senior Airman Justin Fuchs)

 

 

60年もの間、NORADのサンタクロース追跡は、世界中の子どもたちにサンタクロースの領空侵犯データを提供し続けてきまた。新聞の誤植から始まったサンタさん追跡は、今では国防総省の広報活動の柱だ。サンタを防空上の脅威として扱うことで、ホリデーシーズンの伝統を軍事航空に結びつけた。サンタのトナカイが世界中に恐怖の雨を降らせることを考えると、北極方面での防衛努力の変遷を検証する価値があるのではないか。

 

 

サンタクロースはいつも空中を飛んで各家庭にプレゼントを届けていたわけではないが、19世紀半ばのアメリカのクリスマスに、空飛ぶトナカイのアイデアがすでにあった。つまり、サンタは空の領域を完全に支配していたのである。サンタの空域支配に対する最初の挑戦は、第一次世界大戦だった。第一次世界大戦中、防空技術は急速に発展し、戦闘機が登場し、空の支配に挑戦した。また、地上対空火砲の射程距離や殺傷能力も飛躍的に向上した。サンタは、飛行船と飛行機の両方を試験的に導入したが、前者は可燃性が高く、うまくいかなかった。「サンタの飛行船」は、あっという間に歴史のゴミ箱行きとなった。

 

第一次世界大戦後、追撃機や対空兵器に対するサンタの答えは、より高く、より速く、そして可能な限り多数の仲間を連れて飛ぶことであった。戦間期の北極戦術航空学校の教義では、装甲と重武装を施したトナカイ編隊は対空攻撃の有効範囲以上の高度で活動しながら、敵の戦闘機を追い越したり、かわしたりできると主張があった。しかし、レーダーと地上戦力の発達により、トナカイ編隊は全く通用しなくなった。

 

第二次世界大戦後、ジェット機やミサイル技術が発達し、様相は再び変わった。ターボジェットのトナカイが引くそりは、より高く、より速く飛ぶことができた。しかし、そりがいかに高速でも地対空ミサイルが狙えることが経験的に分かっていた。そこでサンタは、迷った末に、レガシーシステムの組み合わせで任務を遂行することにした。 高空精密飛行ではなく、低空低速で接近し、スタンドオフシステムで防空網を切り抜け、プレゼントを射程距離内に届けるというものである。その後、防空システムを攻撃し、サンタのそりに道を開くための訓練と装備を施した特殊なトナカイをサンタの妖精たちが開発した。この "ワイルドトナカイ "は、地対空ミサイルをターゲットとし、特殊弾でサンタに安全経路を切り開いた。また、電磁波を利用して、防衛用レーダー、通信システム、ミサイル誘導システムなどの破壊も行った。

 

結果として高価で扱いにくい巨大「プレゼントパッケージ」が生まれた。そこで、サンタの妖精たちは、単独でレーダーや強力な防空網を回避できるステルス技術の開発に着手した。サンタには夜間のみ活動するとの利点があったが、特殊なステルスコーティングとレーダーを無視した形状では、そりの防御はほとんど不可能になった。ルドルフは鼻が明るいこともあり、ステルス性に欠け、1993年に退役した。

 

しかし、ステルスは高価であり、ステルスそり部隊の大規模調達とメンテナンスコストにはサンタも白目を剥いた。技術輸出によるスケールメリットは、問題の一部しか解決しない。北極の巨大な玩具工場で培ったノウハウを生かし、軽量で安価なドローン技術を核としたシステムを開発した。このドローンは、防空網の構成要素を探知、追跡し、目標に弾薬を誘導したり、目標そのものを破壊できる。サンタのドローンは、北極にあるドローン技術と通信技術を駆使し、防空網を突破できる。

 

制空は重要であり、航空攻撃と航空防衛のバランスは進化し続けている。トナカイは航空環境が許せば生き残れるが、サンタはそのような環境が将来も続くと期待できない。北極の空の支配を維持するため、サンタクロースが宇宙戦力を開発する日が来るだろうか。可能性は十分にあり、むしろ必然だろう。■

 

 

NORAD恒例のサンタ追跡サイトはこちらから。

https://www.noradsanta.org/en/

 

 

Santa Claus: The Ultimate Air Defense Threat?

ByRobert Farley

https://www.19fortyfive.com/2021/12/santa-claus-the-ultimate-air-defense-threat/


 

Now a 1945 Contributing Editor, Dr. Robert Farley is a Senior Lecturer at the Patterson School at the University of Kentucky. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020).

In this article:Air Defense, Christmas, featured, NORAD, North Pole, Santa Claus, Santa Tracker


2021年12月23日木曜日

日英共同での新型エンジン開発はF-Xがテンペスト開発に合流する一歩となるのか、それともF-Xは日本独自の事業として残るのか。IHIのXF9はどうなるのか。答えは来年以降に出てくるでしょう。

 

BAE SYSTEMS


今回の合意でF-Xはさらにチームテンペストに近づく効果が出そうだ。


日両国から戦闘機用エンジン試作型の共同開発構想が発表され、次世代機を英国はテンペスト、日本はF-Xとして実現を目指している。今回の合意は広範な両国間防衛関係の一環で、空対空ミサイル技術の共有も含む。


英国防省(MOD)が合意に関し詳細内容を発表しており、エンジン開発を英日防衛協力の最上段に位置付けた。試作エンジン開発は年明け早々に始まり、英側は30百万ポンドを「企画、デジタル設計、革新的製造方法の開発」に投じる。



MODによれば別途200百万ポンド(およそ266.6百万ドル)で実寸大実証用エンジンシステムを製作するとあり、ロールスロイスのフルトン工場(ブリストル市)が担当する。さらに三菱重工業(MHI)、IHIBAEシステムズもここに加わる。


エンジンの性能面で詳細発表は出ていないが、実証エンジンが試験機に搭載されるのか、地上試験専用なのかは不明だ。またテンペスト、F-X両機が計画通りの開発となり、エンジンを共通化するのかも不明だ。両機とも双発エンジン機の想定だ。

 

「日本とはウィンウィンの形で世界最高峰のエンジン技術を開発できる」と将来型戦闘航空戦力の開発を英国で統括するリチャード・バーソンRichard Berthonは述べている。「共同投資で作業することで高性能エンジンシステムを通じそれぞれの国内産業を活性化し、最先端の防衛能力を立案できる。早く作業を開始し、さらなる協力について協議したい」


今回の協力合意書で英国と日本は英国がめざす戦闘航空戦略関連のその他技術要素についても共同作業を行う。同戦略の中心が有人戦闘機テンペストだ。そのテンペスト開発チームにはイタリアの国防企業レオナルド、ヨーロッパのミサイル共同事業体MBDA、英空軍、ロールスロイスで構成している。


「英日両国の産業界で総合的に技術を応用しクリーンな次世代推進方式をそれぞれが開発する戦闘機の要求に合わせ実現していく」とロールスロイスの業務開拓部長アレックス・ジーノAlex Zinoが解説している。「共同でエンジン実証を行えば世界最高水準の航空戦力の実現につながり、革新的かつ重要なエンジン技術の開発で今後の防衛部門の航空宇宙産業の基礎が生まれるので大きな意義があります」

 

テンペスト用エンジンではロールスロイスの構想は若干ながら判明している。すでに同社技術陣は高性能エンジン技術の評価作業を開始している。これまで同社は新型エンジンについて燃焼が高温化することで高効率化を目指すと説明している。同社はレオナルドとも協力し各種センサーやエイビオニクスが出す排熱をエンジンに戻し冷却効果を実現する方法を検討している。チームテンペストは合成航空燃料により排熱温度を下げながら持続可能性を高める策も検討している。

ROLLS-ROYCE


これに対し日本では自国向け戦闘機の推進手段で課題が浮上する。MHIはX-2心神実験機を製造し次世代戦闘機技術を実証した。

 

X-2はIHIのXF5ターボファンを二基搭載し、推力11千ポンドで推力偏向機構を備え、機体操縦性能を引き上げた。F-XもIHIが開発中のXF9エンジンを採用すると見られていた。IHIがロールスロイスと進める共同開発でXF9エンジンの位置づけがはっきりしない。

 

英国はテンペスト開発を戦闘航空戦略の一環としてすすめており、20億ポンド(およそ26億ドル)を今後4年間に計上する。将来型戦闘航空システムズの実機としてはタイフーン後継機も含め2030年代中ごろの供用開始をもくろんでいる。


BAE SYSTEMS

 

今年初めに将来型戦闘航空システムズの構想評価段階が開始されており、契約規模は250百万ポンド(およそ333百万ドル)だ。テンペスト戦闘機とともに英国の目指す将来型戦闘航空システムズ(ヨーロッパで進む同名の事業と別)には無人機、センサー、兵装、高性能データシステム等を含む。


同時に日本もF-X次世代戦闘機開発を目指しており、三菱F-2後継機をほぼ同じ大日程で実現しようとしている。


新型戦闘機の開発は相当の作業量となり、英国、日本が単独で開発できるのか疑問を呈する向きがあった。このことを念頭に技術産業力を両国が共有するのは健全な方向に写る。


日英両国でそれぞれの新型戦闘機用のエンジン開発を開始するというのはより広範な両国間の防衛協力につながる。英国は防衛戦略の軸足をアジア太平洋に大きく切り替えようとしており、中国の領土拡張、軍事力増強の野望に警戒心を隠していない。


「両国間協力をインド太平洋に広げるのが戦略上で優先事項となり、日本はアジアで最大の安全保障上のパートナーとなる」とベン・ウォーレスBen Wallace英国防相がエンジン関連合意に関し声明文を発表している。

 

「日本国内で技術開発が相当進んでおり、我が国の技術を応用すれば両国の防衛力は革新的な技術で前面に立てる」と英国防調達相ジェレミー・クインJeremy Quinもコメントを出した。


英日防衛協力拡大は今年初めに公表された国防衛政策ペーパーで概略が述べられている。その後、英海軍旗艦HMSクイーン・エリザベスが空母打撃群21(CSG21)としてアジア太平洋に展開し、日本とも共同行動をとった。


英国は10月に日本と円滑化協定(相互アクセス協定、RAA)の締結に向け協議開始に合意し、両国間の防衛関係の深化をめざす。


将来の航空戦闘技術面での二国間協力に関連し、日本がめざす共同新型空対空ミサイルJNAAMの実現に英MODが支援している。同ミサイルは英国の保有するMBDAミーテイア視界外空対空ミサイル(BVRAAM) 技術に日本が開発した高性能無線周波数(RF)応用のシーカーを組み合わせるものだ。


日本以外にも英国はチームテンペストに加わる国を模索している。これまで合意所はイタリア、スウェーデンと取り交わしており、将来型戦闘航空システムズ関連技術の協力をめざす。


これまで英国主導、フランス‐ドイツ‐スペインがめざす時期戦闘航空機開発が合体するとの観測があった。

 

「両事業が一つになるのが自然だろう」とイタリア空軍参謀総長ルカ・ゴレッティ大将General Luca Gorettiが同国議会で発言している。「巨額を投じる事業が二つ同時に存在するほうが不自然だ」

だが、英国で将来型戦闘航空事業を担当するジョニー・モレトン空軍准将は「仏独西事業の将来型戦闘航空システムズ事業に加わることは絶対にない」と断言している。


日本にはテンペストとF-Xでエンジン以外に「空気取り入れ口周りや排気口付近」でも共用化を進めるとの報道が出ており、ともにステルス効果の最適化に不可欠な要素だ。

 

最終的にはF-Xが英主導のテンペストに合体することも考えられなくもない。日本からはMHIを主契約企業としてF-Xを進めると発表しているが、同時に海外パートナー一社が加わっている。そのパートナー企業が英企業なのか米企業なのかにより、関与する分野がエンジン以外にも広がりそうだ。


新型エンジンについて不明な点が残るが、日本はテンペストのパートナーとしてさらに踏み込む姿勢であることは確かなようだ。■



United Kingdom Details Plans To Build Future Fighter Jet Engine With Japan

BY THOMAS NEWDICK DECEMBER 22, 2021



水中無人機マンタレイの開発が第二段階へ。UUVが海軍の主要装備になる日がやってくる。

 米軍研究開発部門が開発を進める水中機装備のひとつがマンタレイだ。


無人水中機マンタレイの想像図 (Photo courtesy of DARPA)



防高等研究プロジェクト庁DARPAがノースロップ・グラマンシステムズNorthrop Grumman Systems Corp.およびマーティンディフェンスグループMartin Defense Groupを選定し、無人水中機マンタレイManta Rayの開発は第二段階へ進むことになった。


両社で実寸大実証モデル機を製造し、「長期間長距離ミッションを海中環境で実施する」と12月20日付のDARPA発表にある。


「DARPAのマンタレイ事業は大きな突破口を開き、ペイロード搭載可能な自律運用水中機が有人艦艇の支援なしで行動可能となった」とマンタレイ事業主管カイル・ウーマー中佐Cmdr. Kyle Woernerが述べている。「マンタレイにより新型水中機が実現するだけでなく、今後の水中装備開発につながる主要部品も実現した」


マンタレイの第一段階は2020年に開始され、機内エナジー管理、信頼性、航法、障害物回避等の初期テストを行った。


DARPAが公開のvideoではUUVの運用方法、海底すれすれを移動する姿、センサーなどペイロードをUUVから発進回収する様子がわかる。


「マンタレイ事業は第一段階を終え、重要設計審査で設計の完成度を示し、第二段階に進む準備が完了していると示した」とDARPA発表にある。「今回選定された機体ではサブシステムのテストを実機完成後に実施する」


マンタレイはDARPAなど国防総省の研究開発部門で進める無人水中装備のひとつで、ゆくゆく海軍に採用をめざすものだ。海軍からはカリフォーニアに同様の装備品を運用しテストする施設の建設を開始したとの発表が出ている。■


DARPA taps Northrop, Martin Defense Group for Manta Ray UUV Phase 2 - 

The Manta Ray is one of several unmanned vehicles moving through the military's research and development enterprises.

By   JUSTIN KATZ

on December 21, 2021 at 12:40 PM


2021年12月22日水曜日

F-22を海軍仕様に改装する構想があった.....だが実現しなかったのはなぜか.....久しぶりの夢に終わった装備のシリーズ再開です

 




空軍のF-22ラプターは世界最高水準の制空戦闘機といわれるが、あと少しで海軍仕様のNATF-22として加わるはずだったのは知られていない。


Artist’s rendering of the NATF-22



ロッキード・マーティンF-22ラプターは米空軍の高性能戦術戦闘機調達で完全新型機としてソ連のスホイSu-27やミコヤンMiG-29に対抗制圧可能な機体を求めた結果として生まれた機体だ。Su-27やMiG-29は米F-15イーグルやF-16ファイティングファルコンへの対抗を狙い開発されており、1980年代のソ連は終焉に向かっていたが、米空軍は新世代戦闘機の調達を進めていた。


(異論もあるが)F-22はノースロップYF-23との競作で優秀さを認められ、その背景にはロッキードの優れたプレゼンテーションと対照的にノースロップが評判を落としていたことがあった。YF-23が航続距離とステルス性能で優れるとの触れ込みだったが、YF-22及び生産型F-22は堅調な性能に加えロッキード・マーティンの軍用機供給の実績を上手く売り込んだ。YF-22が選定に残ったが、両機とも世界最高水準のステルス戦闘機になる資格は十分あり、新世代機の水準を塗り替える機体だった。YF-23が選定されていれば、海軍仕様も検討されていた可能性は十分ある。


F-23が優秀な戦闘機になっていたはずと主張する向きが今もあるが、F-22は低視認性、スピード、機体制御性で優秀さを示した。ラプターはマッハ2.25を出しながら「スーパークルーズ」でアフターバーナー使わず超音速巡航が可能だ。エンジンはプラット&ホイットニーF119-PW-100双発で推力偏向制御で飛行方向と関係なく、パイロットが機体制御できる。


F-22の高性能ぶりを認め、米議会は海軍にも同機の可変翼型をNATF(海軍向け高性能戦術戦闘機)として採用するよう求めた。またF-22を原型にFB-22にするコンセプトもあり、この場合は三角翼にしたF-22を空軍向け戦闘爆撃機にする構想だった。


海軍がNATFを空母運用機材として検討する一方で、米空軍は艦載ステルス爆撃機として当時開発中だった高性能戦術機(ATA)A-12をF-111後継機として検討することにしていた。


理屈の上では空軍は海軍のR&D結果を活用し新型機を実現できるはずだった。開発費用を各軍で共有すれば、海軍、空軍、海兵隊の機材で最高の存在となるとの主張でF-35共用打撃戦闘機事業が生まれたといえる。ただし、同機は結果としてとんでもない高額事業になってしまったが。


NATF事業およびNATF-22は負担不可能なほど高額になることがわかった。1990年にF-22初飛行から7年が経過していたが、海軍で新型戦闘機開発を主管していたリチャード・ダンレヴィー大将はF-22原型から調達可能な価格水準の海軍機が実現する見込はないと発言していた。その結果、NATF-22構想は1991年に中止となった。


米海軍が空母運用型F-22の実現を進めたとしても、技術面で乗り越えるべきハードルが数々あったはずだ。空母運用型機では陸上運用機と異なる離着艦機能が求められる。機体本体ははるかに堅牢としカタパルト発艦とフックを使用した短距離着艦の大きな衝撃に耐える必要がある。NATF-22はF-14で実用化した可変翼を採用し、安全着艦のため速力を制御するとしていた。


可変翼構造は技術陣には課題だった。まず何といっても、海軍はF-14トムキャットの可変翼の整備保守に高費用負担を強いられていた。新型可変翼でも高運用コストそのものを解消する見込みはなかった。海軍の判断は正しかった。固定翼機構造のF-22でさえも史上最高額の運用経費となっていた。


また可変翼でステルス性が犠牲になるとも判明した。可変翼の接続部分がレーダーに反射すればロックされ兵器が発射されかねない。そうなれば戦闘機として決定的に不利となる。F-22は機体操縦性が高いとはいえ、海軍の既存F-14トムキャットのほうがはるかに高速飛行が可能だった。ただし、整備費が高いとはいえ、空軍が投入した開発内容を流用すれば製造費はずっと低くなる。


NATF-22 Artist’s rendering.


結局のところ、米海軍がNATF-22を断念した理由は簡単だ。NATF-22は複雑かつ高価でありながら、既存艦載機と比較してわずかな改善しかもたらさなかったかもしれない。とはいえ、実用化と無関係かに、可変翼型F-22がスーパー空母艦上で、ファンの多いF-14トムキャットの遺産を継承するコンセプトはあまりにも格好がいい。


F-22は結局186機が製造されたにすぎない。空の世界で君臨する期間は悲しくなるほど短くなる運命だ。もし海軍型のF-22が実現して、同機製造が予算削減の犠牲にならなかったどうなっていただろうか。


現実にはならなかったものの、その姿を想像すれば格好良い結果になっていたはずだ。■



NATF-22: The sweep-wing F-22 Congress wanted for carrier duty - Sandboxx

Alex Hollings | December 20, 2021


This article was originally published 12/1/2020

Feature image: Lockheed Martin concept art