2023年8月12日土曜日

台湾危機の際に参戦のメリットデメリットを冷静に考えるとこうなる....という退役米陸軍中佐の主張を御覧ください。

 


 2024年の台湾総統候補の頼清徳副総統が土曜日に訪米し、アメリカ政府高官と会談する。 中国はこの訪問を「灰色のサイが突進してくるようなものだ」と警告している。中国では、この比喩を使うのは大きな明白な脅威を示すときだ。 

 このような言葉が示すように、米中間の緊張は緊張したままである。北京の将来の戦闘準備は加速し続けており、ワシントンは中国との戦争の是非を熟考しなければならない。

 アメリカの議会や大統領にとって、通常戦争をするという決断は、最も悲惨な状況、つまり、アメリカが攻撃を受けたか、差し迫った攻撃を受ける恐れがあり、紛争を解決するための外交的・平和的手段がすべて尽きた場合にのみ下されるべき、ということが信条であるはずだ。わが国、国民、同盟国に対する直接攻撃以外のいかなる状況においても、米国はそのような決定を、国の安全、存続可能性、繁栄を確保するために設けられた最も厳格な基準に照らして判断すべきである。


台湾 戦争の選択か拒否の決断に影響を与える基礎知識

立法府と行政府は、戦争を選択する前に満たすべき要素がある。これらの譲れない基準は明白であるべきだが、過去数十年間のワシントンの意思決定はそうではないことを示している。

 第一に、米指導部は、現代において互角の国力を有する国やそれに近い相手との戦争には犠牲が伴うことを理解しなければならない。米国は軍服を着た男女と国防資産の何割かを失うことになり、経済への影響も大きくなる。米国が勝利する最良のシナリオであっても、すべてのカテゴリーで回復への道のりは不確実で痛みを伴うだろう。指導部は、米国が敗北する可能性もあることを認識しなければならない。

 第二に、指導部は、米国が戦争を選択しなかった場合と比較して、戦争をすることが状況を改善する可能性があるかどうか冷静に計算しなければならない。この基本評価を怠ることこそ、第二次世界大戦以降、米政府が選択した戦争における最大の失敗のひとつである。

 過去半世紀、アメリカは、戦うコストと交戦しないコストを天秤にかけることなく、戦争を選択してきた。ベトナム戦争、イラクの自由作戦、20年にわたるアフガニスタンでの大失敗、2011年のリビア攻撃、2014年のシリア侵攻、イエメンとの戦争におけるサウジアラビアへの支援、アフリカ大陸での永続的な軍事行動などである。

 こうした紛争はいずれもワシントンに強制されたものではない。すべて自ら選んだことであり、米国が被った代償は天文学的である。その恩恵は微々たるものであり、あるいはまったくない。

 しかし、これらの選択した戦争による人的・経済的コストは高いが、指導部が賢明でない中国との戦争を選択した場合、米国が被る可能性のある結果とは比べものにならない。


戦争拒否のコスト

多くの識者やアナリストは、戦わないことのコストは、戦うことを拒否するコストよりも大きいと指摘している。その理由は、理論的なもので、実現の可能性は低い。しかし、米国と西側世界にとって不干渉のコストに関する議論のいくつかは、真正であり、取り上げる価値がある。そのひとつは、世界経済への影響は深刻で、単なる不況を超えて、新たな恐慌をもたらすというものだ。筆者に言わせれば、その結果はあり得ることで、単なる可能性ではない。

 シタデルの創設者でヘッジファンドの億万長者ケン・グリフィンは昨年、CNBCの取材に対し、米国が台湾製半導体チップへのアクセスを失った場合、それが戦争によるものであれ、その他の混乱によるものであれ、「米国のGDPへの打撃はおそらく5%から10%という桁になるだろう。即座に大恐慌になる」。ジェームズ・クレバリー英外相は、台湾海峡をめぐる戦争は「日経アジアによれば、2兆6000億ドル相当の世界貿易を破壊するだろう」と警告した。米国が戦おうが戦うまいが、中国と台湾の間で戦争が起きれば、それは現実に起こりうる。

 アメリカが参戦しないもう一つの代償としてよく言われるのは、中国に不沈空母を渡すことになり、北京はより遠く太平洋にまで力を及ぼすことができるようになるということだ。一方、アメリカの信用は失墜する。軍事的には、中国が台湾を領有することは確かに戦術的メリットはあるが、戦略的な決定力はない。中国軍が太平洋におよそ100マイル進むだけで、アメリカ西海岸からはまだ6,699マイルも離れている。

 これでアメリカの信頼が失われるという主張は弱々しい。日本、韓国、オーストラリアなど同盟国とは異なり、アメリカは台湾と相互防衛条約を結んでいない。破壊的な戦争から手を引くことは、ワシントンの約束を破ることにはならない。

 戦いから手を引くことで、米国は軍事力を完全に維持できる。中国軍は軍事力の大幅な破壊を被り、修復に数十年かかるだろう。中国軍はインド太平洋全域で米国よりはるかに弱いままだ。戦争を辞退する「コスト」のひとつは、アメリカの国家安全保障が中国と対照的に強化されることである。条約相手国に対するアメリカの強さの信頼性は、低下するどころか高まるだろう。

 中国が台湾を攻撃した場合の世界経済秩序への影響は深刻で、専門家が警告しているように最悪になる可能性がある。しかし、アメリカの軍事介入を主張する人たちがほとんど誰も取り上げたがらない厳しい現実は、戦いを選択することで、アメリカは経済的損失と国家安全保障能力の低下を同時に被るということである。このような二重損失から立ち直ることはできないかもしれない。


戦闘を選択した場合のコスト

台湾をめぐって中国と戦う選択することを主張する人々の多くは、アメリカの全面介入によって中国の乗っ取りが防げる可能性が高いことを示す数多くのウォーゲーム・シミュレーションを指摘する。彼らは、いわゆる勝利でさえ、いかなる利益よりはるかに高い代償を伴うことを無視しすぎている。戦略国際問題研究所CSISは1月、中国と台湾の間で台湾海峡戦争が起こり、アメリカが台湾側に参戦した場合のコンピューターシミュレーションを24回繰り返した結果を発表した。その結果は悲痛なものだった。

 中国が決定的な勝利を収めたケースはなかった。純粋にスコアボードだけを見れば、ワシントンが台北のために戦うことを政策として掲げるべきだという考えを裏付けるものだと見るする人もいるかもしれない。しかし、防衛に成功したことで米国が被った代償は破滅的だった。うち18回で、アメリカは平均484機の戦闘機、14隻の軍艦(少なくとも2隻の精鋭空母を含む)、数万人のアメリカ軍人を失った。この結果でさえも、実際の戦争では通用しないかもしれない仮定に基づいている。

 CSISの研究によれば、中国の成功を防ぐには、米国が「中国の防衛圏外から中国艦隊を迅速かつ集団的に攻撃できる」ことが前提となっている。しかし、この研究が別に指摘しているように、アメリカは主要攻撃ミサイルを「1週間以内に」使い果たしてしまう。もし中国が数カ月間戦闘を維持できる弾薬や軍需物資を備蓄していれば、アメリカはさらに高い損害を被り、中国人民解放軍の作戦の妨害はできなくなるだろう。中国は成功するかもしれない。

 かけがえのない甚大な損失を被りながら、アメリカが中国の勝利を防げないという結果は、縁の下の力持ち的な可能性からはほど遠い。それはアメリカの威信に深刻な損失を与え、世界の他の場所でアメリカの利益を守る能力に深刻なダメージを与えるだろう。先に述べた中国の攻撃による経済的影響も有効である。

 ここで、中国と台湾の戦争に介入した場合のアメリカのコストを計算してみよう。

 米国の軍事力は著しく低下し、その回復には数十年と数兆ドルを要するだろう。最も訓練され、経験豊かな数千人の空軍兵士、海兵隊員、海軍隊員、兵士が失われ、補充に何世代もかかるだろう。米国経済は深刻な恐慌に陥るだろう。

 米国が中国による台湾征服の阻止に成功すれば、その代償は大きい。中国が勝利すれば、アメリカはさらに、同盟国や敵対国の間で深刻な評判の失墜を被る。歴史が示すように、大国がこのような深刻な軍事的・経済的損失を被った場合、完全に立ち直ることはめったにない。

 戦争に保証や予測はない。ロシア・ウクライナ戦争を見るまでもない。しかし、最先端の計算ツールを使い、米中戦争で起こりうる結果の範囲を合理的に評価すれば、アメリカが北京と戦うことを選択するリスクは、どのようなシナリオでも高すぎるとわかる。したがって、いかなる賢明な評価によっても、アメリカは台湾のために中国と戦争すべきではない。


賢明な選択のメリット

現在、米国政府にとって最も賢明な行動は、海峡の両岸、そして北京とワシントンの間で、現状維持を支持することである。戦略的曖昧さは、何十年もの間、米国と台湾双方の利益に貢献し、台湾がインド太平洋における民主主義の砦となり、経済大国となることを可能にしてきた。台湾国民の多数は完全独立を望んでいるが、大多数は単に、自分たちの好きなように生活し、経済的利益を増進するため放っておかれるよう望んでいるだけだ。

 米国も同様に、経済面でも安全保障面でも現状維持から利益を得ている。現状維持により、米国は中国との7000億ドル近い相互貿易を継続し、台湾のチップ製造技術を支援し、その恩恵を受け、インド太平洋の平和を維持できる。戦争が起これば、この有益なバランスが崩れる。戦争になれば、アメリカは多大な犠牲を払う道を選ぶのか、それとも破滅的な犠牲を払う可能性があるかが問題となる。

 しかし、北京がある日、台湾を征服しようとする選択をしたとしても、ワシントンの手が縛られることはない。北京の負担を増やす方法はある。ワシントンは中国に制裁を科すことができ、戦闘による損失と合わせて、経済的負担をさらに重くできる。米指導部は、この地域の同盟国との関係を強化し、どこかが攻撃された場合、すべての同盟国が団結し、相互の義務を果たす準備ができるようにすることができる。また、北京をさらに孤立させ、戦闘行為をますます困難で高価なものにするため取りうる外交的行動も数多くある。

 経済的・外交的行動では、台湾を侵略や戦争による損失の可能性から救うことはできない、と即座に反論する人がいるかもしれない。そのような批判は有効である。台湾を救うことはできないだろう。しかし、厳しい真実は、北京が最終的に戦争を選択した場合、米国が介入しようがしまいが、侵略してくるということだ。

 中国が戦争を選択すれば、アメリカにとって「良い」選択はない。しかし、大統領と議会は、アメリカの自由、安全、繁栄を守る最善の決定を下す義務がある。良い選択がなくても、避けるべき悪い選択はある。中国と台湾の戦争に介入することで米国が被る代償は、非常に破壊的なものから完全な軍事的敗北まで、さまざまなものが考えられる。

 台湾海峡でPLAが敗北するとしても、アメリカは計り知れない損失を被るだろう。米国が戦前並の世界的な影響力とパワーを取り戻せるかどうかもわからない。■


What Should America Do if China Invades Taiwan? - 19FortyFive


By

Daniel Davis

Published



Daniel L. Davis is a Senior Fellow for Defense Priorities and a former Lt. Col. in the U.S. Army who deployed into combat zones four times. He is the author of “The Eleventh Hour in 2020 America.” He is a 19FortyFive Contributing Editor. 


2023年8月11日金曜日

防衛白書を読んだホームズ教授の感想。日本の防衛戦略は賢明。歴史的な転換に追い込んだのは中国、ロシア、北朝鮮だ。

 


本の防衛省は毎年、防衛白書で周辺の戦略的環境を調査し、対応を説明している。最新版によると、中国に対し日本が大きくレベルアップしているのがわかる。

『防衛白書2023』で最も驚くべき統計は、自衛隊への予算投入だ。今後5年で、日本は自衛隊に直近5年間の支出実績の2.5倍以上を費やす。17.2兆円から43.5兆円、つまり約3070億ドルに引き上げる。すごい。

太平洋の闘士を作る

日本軍は長い間、うらやましいほどコンパクトな軍隊だった。そして今、日本軍は本格的軍事組織になろうとしている。これは歴史との決別だ。第二次世界大戦後数十年間、日本はアジアや世界の世論を和らげるため、防衛予算をGDPの1%に抑えてきた。日本は本質的に無防備な社会であり、新たな帝国主義的征服は行えないと自認してきた。だが、中国、北朝鮮、ロシアの好戦的な態度のおかげで、自粛の時代は終わった。

北京、平壌、モスクワは、自らの失策を後悔することになるかもしれない。

総額だけでなく、防衛費の方向性にも目を向けなければならない。浜田靖一防衛大臣によれば、日本は2つの優先事項に重点を置くという。「第一に、運用率を向上させ、弾薬を十分に確保し、主要防衛施設の回復力を向上させる投資を加速させることにより、現在の装備を最大限に有効活用する」。

東京が目指しているのは、単なる戦力増強だけではない。日本が望んでいるのは、現在の軍備の性能を最大限に引き出すこと、弾倉の厚みを増すこと、つまり長期交戦における持続力を高めること、攻撃に耐えられるよう防衛インフラを強化・多様化すること、新型長距離精密兵装への投資である。遠距離からパンチを繰り出し、激しい打撃を受けても崩れることなく吸収する能力を増幅させる。

その結果、より屈強な戦士となり、よりよく分散されたファイターとなる。防衛白書は、「南西地域の防衛体制の強化」が依然として継続的な課題と指摘している。つまり、航空自衛隊と陸上自衛隊の偵察部隊と対艦・対空ミサイル部隊を琉球列島に沿って配備することだ。琉球列島は、九州の最南端に位置する本島から、その中間に位置する沖縄を経て、台湾のすぐ北で終わる弧を描く島々だ。

南西諸島の要塞化の意義は、防御的な理由と攻撃的な理由の2つに大別できる。第一の優先事項は、海や空からの攻撃から日本の領土、海域、空を守ることである。従って、自衛隊の配備は純粋に防衛的な機能を果たす。

第二に、この島々は、日本とアメリカの同盟国に、中国海域と西太平洋の間の海上・航空移動に対する海上バリケードに変える選択肢を与える。島々の部隊と連携する海上部隊と航空部隊は、これらの海域へ通過する海峡を閉鎖ができる。こうして自衛隊は、日本の地盤を保持しながら敵対勢力を封じ込めることができる。

アクセス拒否が中国への堅実な戦略

第一列島線内に敵対勢力を閉じ込めることは、敵対勢力が切実に必要とする機動スペースを奪うことになる。ここで問題になるのは、人民解放軍海軍と人民解放軍空軍だ。

このような封鎖は中国商船隊を自国海域に閉じ込め、海上貿易を抑制し、北京が日本や台湾、あるいは他の近隣諸国を虐待した場合に経済的打撃を与える。要するに、日本の海洋戦略は、列島地理学、軍事技術、同盟政治を抑止効果に利用し、最悪の場合は戦闘に持ち込むことを目的としているのだ。

浜田防衛大臣が言うように、「『自分の国は自分で守る』努力をし、抑止力を高めることが不可欠」なのだ。つまり、相手に『日本を攻撃しても目的は達成できない』と思わせる必要がある」。

これは健全な戦略だ。プロイセンの軍学者カール・フォン・クラウゼヴィッツは、戦場での完全勝利は、成功への直接的な道筋を描くものとしたが、成功に不可欠な要素ではないと述べている。ある戦闘員が他の戦闘員に勝つには、敵指導者に勝てない、あるいは犠牲を払っても勝つことはできないと理解させる必要がある。理性的な敵対者なら、望みのない大義を引き受けるより、身を引く。

つまり、戦わずして勝つことは可能なのである。日本と日米同盟が島嶼防衛戦略の背後に鋼鉄を置けば、中国共産党のような捕食者を抑止する確率を高めることである。

ホームでのアドバンテージ競争

スポーツのレンズを通してこの問題を見ればどうなるか。ホームチームがビジターチームに対し優位に立つことは、海戦の礎石である。アクセス拒否とエリア拒否の論理だ: ホームチームは戦闘現場に近く、軍事的に意味のある資源の大部分を近くに持ち、物理的、人的な地形を熟知している。この重要性は広く理解されている。中国は、米国チームが競技場にアクセスするのを拒否し、あるいは競技場に到着してからの努力を妨げようとするという、これと同じ単純な教訓に基づいて対米戦略を構築してきた。

しかし、日本と中国の場合、地理的な条件により、2つのホームチームが同じフィールドに隣接している。ここで両チームは、何世紀にもわたり激しい戦いを繰り広げてきた。日本は中国よりも人口が少なく、経済規模も小さいが、地理的な優位性やその他の優位性を誇る。とりわけ、日本列島は中国が公海にアクセスする際の障害となる。とはいえ、西太平洋へのアクセスと領域拒否の論理は、どちらにも通用する。

さらに、スポーツに例えるなら、自衛隊は準ホーム、準アウェーのチーム、つまり東アジアに常時前方展開する米軍統合部隊のサポートを享受している。自衛隊だけではない。

アジアのホームチーム同士が対戦するとき、アドバンテージはどちらにあるのか?日本は賭けている。■

Japan's Military Is Getting Ready to Take on a Rising China - 19FortyFive

By James Holmes


Author Expertise 

Dr. James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the U.S. Naval War College and a Distinguished Fellow at the Brute Krulak Center for Innovation & Future Warfare, Marine Corps University. The views voiced here are his alone. 


2023年8月10日木曜日

NGADの機体単価3億ドルは決して高い買い物ではないという説。

 


発中のアメリカの次期ステルス戦闘機は、非常に高価な機体になりそうだ。多くの人々に数字が深刻なステッカーショックを与えるのは確かだが、そこまで高価格だとしても、同戦闘機はお買い得な機体になる可能性がある。

 アンクルサムが高価な軍事プラットフォームと親和性があることは否定できない。F-35ライトニングIIは耐用期間全体で推定1兆7000億ドルという、史上最も高価な軍事プログラムとなっている。F-35Aの機体単価は現在約8000万ドルだが、新型ステルス戦闘機に3億ドルを出すといえば衝撃的に聞こえる。

 しかし、F-35の価格が劇的に下がったのは、17カ国がこの最新鋭戦闘機を発注し、すでに1,000機以上のF-35が顧客に引き渡されたおかげであることを忘れてならない。言い換えれば、運用コストが高いものの、F-35は地球上で最も広く運用される戦闘機となる。

 逆に、空軍は次世代制空権プログラムでわずか200機ほどの戦闘機を購入する予定で、これらの次世代ジェット機は、さらに300機の先進的な新型ブロック4仕様のF-35と、少なくとも1000機の人工知能対応ドローンウィングマンと一緒に飛ぶ想定だ。

 比較的短い生産期間のため、NGAD戦闘機は、総数でF-22ラプターと対等な立場になる。そして、NGADの予想コストをラプター、あるいは由緒あるF-14トムキャット戦闘機と比較すると......そのステッカー・ショックはすぐに、NGADの機体単価3億ドルでも実際はかなりお買い得だとの感覚に変わる。


編集部注:この記事には、親愛なる友人ロドリゴ・アベラの素晴らしいアートワークが使用されています。彼のウェブサイトやインスタグラムをフォローして、より多くの素晴らしい航空レンダリングをご覧ください!


NGAD戦闘機とそのコストについて、これまでに分かっていることngad fighterロドリゴ・アヴェラによる原画


Next Generation Air Dominance(次世代制空権)プログラムは、かなり最近まで、新しい戦闘機プラットフォームというよりも、新しい航空技術を開発するのが目的だった。これらの技術はすべて、4つのカテゴリーのいずれかに分類される:

推進力 - 空軍はこれらの新型戦闘機に、以前のエンジン設計以上の出力、燃費、優れた熱制御と出力生成、そしてより長い滞空時間を提供する先進的なアダプティブ・サイクル・エンジンを搭載する。

搭載システム - NGAD戦闘機は、センサーの到達範囲を拡大し、戦闘能力と生存性を向上させるため、AI対応のドローンウィングマン編隊と飛行する。

材料 - 材料科学の進歩は、ステルス機設計の最も秘密裏に行われることが多い要素である。現在のレーダー吸収材料(RAM)は、受信レーダー波の80%を吸収すると評価されているが、壊れやすいため戦闘機性能を制限している。RAMを改善することで、メンテナンスコストを削減し、ステルス性を向上させ、より高い性能を実現することができる。

センサー - NGADは、F-35の空戦方法論と同じく、従来以上に遠くから敵機を探知し、照準を合わせることに傾注し、敵機が戦闘機の存在に気づく前に交戦し、破壊することを可能にする。

 しかし、こうした技術が成熟するにつれて、努力の焦点は新技術を乗員付き機体に統合する方向に移行し、先月発表された最終設計提案の機密契約募集で最高潮に達した。空軍は現在、この20年代末までに実戦配備を開始する積極的な計画で、来年には最終設計を選ぶ。

 現段階では、空軍はこの戦闘機の正確な予想コストを提示することはできないが、フランク・ケンドール空軍長官は、単価は「数億ドル」になるだろうと公言している。

 厳密には、同じ次世代航空支配の名のもとに開発されている別のプログラムではあるが、海軍の次期F/A-XX戦闘機は、空軍の新型戦闘機とモジュラー・システムを一部共有すると予想されている。

 米空軍や防衛関連企業が公開した新型戦闘機のレンダリング画像を見る限り、新型戦闘機は伝統的な戦闘機の操縦面、すなわち垂直尾翼を省略し、よりステルス性の高いプロファイルを採用するようだ。その結果、F-22ラプターのようなこれまでのトップ・パフォーマーほどエアロバティックではないが、これまで空を飛んだ中で最もステルス性の高い戦闘機になるのはほぼ間違いないだろう。


NGADを旧式戦闘機と1:1の割合で置き換える必要はない

ngad fighter

原画:Rodrigo Avella


開発中の新型NGAD戦闘機と、ラプターやトムキャット含むこれまでの一流ジェット機との最も重要な違いは、アメリカの次期制空権戦闘機が、AI搭載のドローンウィングマンと同時運用される設計されている点だろう。

 ウィングマン無人機は、AIでNGAD戦闘機のパイロットが割り当てる複雑なタスクをこなす。ウィングマン各機は、前方に進出しセンサー有効範囲を拡大したり、有人機に代わって交戦することでペイロード能力を向上させたり、さらにはパイロット搭乗機に向かうミサイルを吸収し生存能力を向上させたりすることができる。

 しかし、重要なことは、これらのドローンウィングマンによって、2~3機のドローンウィングマンと一緒に飛行する乗員付きNGAD戦闘機1機で旧世代機の編隊全体を置き換えることも可能になることだ。その結果、F-15とF-22は、同レベルの戦闘能力を維持するために1対1で置き換える必要がなくなる。


F-35プログラムの「取得過誤」を避ける

生産ラインから搬出される未塗装のF-35。(イタリア国防省)

F-35は現在、技術的に最も進歩した戦闘機かもしれない。しかし、予算を浪費する買収の大失敗でF-35が誕生したため、空軍は二度とこのようなことがないよう懸命に努力している。

 コスト高を招いた最も顕著な問題は、第一に、ロッキード・マーチンに今後数十年にわたって航空機の設計、生産、維持管理を実質的に独占させ、予想コストを下回るインセンティブをほとんど与えなかったこと、第二に、テスト完了の前に生産開始し、問題が判明した時点で古い機体に高価な改修を強いることになったことである。

 将来的にこのような挫折を避けるため、空軍は戦闘機の契約方法を再構築し、設計と生産を長期的な維持管理から切り離し企業間競争を促すこととしており、おそらく最も重要なのは、企業が戦闘機を独占するのではなく、新しい戦闘機とその設計に関連する「データ権」や知的財産の少なくともかなりの部分を米国政府が所有することである。

 もちろん、空軍の計画通りにすべてが進んでも(ほぼ間違いなくそうはならないだろうが)、地球上で最も先進的な戦闘機を実戦配備する莫大なコストを軽減できない。

 しかし、空を支配するためにプレミアムを支払うことは、アンクルサムがすでにかなり慣れていることだ。

 空軍による調査では、F-22を生産再開した場合、1機あたり3億3,000万ドル(2023ドル換算)のコストがかかるという。

 F-22ラプターに代わるまったく新しい制空戦闘機を開発し、実戦配備することが賢明なのか疑問視する声も多い。結局のところ、地球上で最初で最古のステルス戦闘機であるにもかかわらず、F-22ラプターは今でも最もステルス性が高く、間違いなく最も強力な戦闘機であることに変わりない。新型戦闘機に大金を費やすより、F-22をもっと作ればいいじゃないか。

 空軍はそう考えた。2017年、空軍はF-22の生産再開にどれだけのコストがかかるか極秘の調査を依頼した。ラプターのキャンセル後、F-22の生産ラインの多くはF-35生産に共食いされたため、生産ラインの再開は実質的にゼロから新たな生産インフラを確立することを意味する。

 その結果、194機の新型F-22ラプターの製造には約503億ドルかかり、2023年のインフレ率に調整すれば約625億ドルに跳ね上がると予測された。もし米国が今日生産を再開したら新型ラプター1機あたりのコストは平均して約3億3000万ドルになる。

 F-22の初飛行は初代iPhone発売より10年以上前であり、機体の多くは1990年代初頭の設計であるのを忘れてはならない。言い換えれば、ラプターを新たに製造するのは、21世紀のデザインでゼロから始めるのと同じか、それ以上のコストがかかる可能性が高いということだ。

 F-22の生産がフル回転中だった2010年当時でさえ、米国議会調査局は1機あたり約1億8600万ドルを支払っていたと報告している。研究開発費を機体単価に転嫁しないと仮定すると、ラプターの価格は2010ドル換算で1機あたり3億6950万ドルに跳ね上がる。しかし、2010年の1億8600万ドルは、2023年には約2億6040万ドルに調整される。

 そのため、仮にF-22の生産が停止されたのではなく、一時停止されただけで、どうにか生産を再開すできたとしても、新型ラプターは1機あたり3億ドルの大台に乗る。

 先に述べたように、莫大な費用がかかる統合打撃戦闘機プログラムから生まれたF-35ライティングIIは、多くの顧客リストと高い生産量のおかげで、年々一貫して安くなっている。しかし、常にそうだったわけではない。

F-35が2007年に生産を開始した当時は、機体1機あたり約2億2110万ドルと、かなり高価だった。2023年のインフレ率に調整すると、現在の戦闘機1機あたり約3億3150万ドルになる。

 しかし、F-35の1機あたりのコストは生産開始後数年で劇的に低下し、低速初期生産(LRIP)ロット2が1機あたりわずか1億6,170万ドル、つまり戦闘機1機あたり約2億4,230万ドルになった。そして2012年までには、1機あたり1億700万ドル(現在の約1億4300万ドル)まで下がった。

 制空権には常にコストがかかる。その例として、1988年の『トップガン』で有名になった海軍の伝説的なF-14Aトムキャットほど明らかなものはない。

 1973年当時、米海軍はトムキャットを1機約3,800万ドルで購入していた。この記事でこれまで述べてきた数字と比較すると、まさにお買い得に思える。しかし、インフレは厄介なもので、冷戦時代にはアメリカが国内総生産(GDP)のなんと10%もの金額を防衛費に充てていたことを、ソ連崩壊から数年して、多くの人が忘れてしまっている。

 2022年のアメリカの国防予算は8,579億ドルで、GDPで3%に相当する。もしアメリカが冷戦時代とベトナム戦争時代のようなペースで出費を続けていたら、今日の国防予算は2兆5000億ドル近くになる。

 トムキャットは、米国が防衛費支出を厭わなかったかを示す完璧な例である。今日のインフレ率で調整すると、F-14Aは1機あたり2億7000万ドルという驚くべき金額になる。


制空権は安くない


次世代制空権プログラムで開発されているアメリカの次期制空戦闘機について多くはわかっていない。アメリカは長い間、航空戦力で世界をリードしてきた。軍用機を最初に実戦配備した国であり、航空機の武装を最初に行った国であり、空中給油を最初に行った国であり、爆撃機を世界中に飛ばした国であり、ステルス攻撃機、戦闘機、爆撃機などを製造した国である。アメリカは長い間、空から敵に戦いを挑む能力に投資することを厭わず、圧倒的なパワー、能力、量であらゆる戦闘の空域を支配してきた。

 このような戦争へのアプローチは単なる習慣ではなく、アメリカの戦争ドクトリンのほぼすべての側面に組み込まれている。アメリカの戦争へのアプローチは、紛争を6つの段階に分ける。すなわち、「形成」、「抑止」、「主導権の掌握」、「支配」、「安定化」、「文民権力の実現」、そして「形成への回帰」である。

 IRISインディペンデント・リサーチ社長のレベッカ・グラント博士が13年ほど前に『エアフォース・マガジン』で指摘したように、航空戦力は各局面で役割を果たす。1970年代から今日に至るまで私たちが見てきたように...空を支配することは高価な努力なのだ。

 だから、もしNGAD戦闘機の単価が約3億ドルもするとわかったとしても、それ以前の戦闘機と比べて価格が飛躍的に高くなったということではなく、空の覇権を握るため相場だと考えるべきなのだ。■



Modified feature image courtesy of Rodrigo Avella

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


2023年8月9日水曜日

ロシアが分裂、混乱に陥る可能性に西側は備えるべきだ

 

GOV.UK


ラジーミル・プーチンとモスクワの中央権力は、エフゲニー・プリゴジンの反乱で弱体化を露呈した。プリゴジンの反乱軍が処罰されなかった事実で、プーチンの権威に挑戦する者をこれから増えるだろう。ロシアは、1991年のような内部混乱に陥るかもしれない。ワシントンはじめ自由世界の政策立案者は、この事態に備えなければならない。



プーチンはロシア国民に何もしてこなかった。プーチンによる統治が始まり24年、ロシアは自由と繁栄両面でヨーロッパに大きく遅れをとったままだ。さらに遅れをとっている。彼は今、平和的なスラブ人に対する戦争で戦死をロシア国民に求め、外国の経済制裁によってさらに多くの窮乏に苦しんでいる。


ロシアの安全保障、軍事、経済を支配する腐敗した徒党に対しても何もしていない。ウクライナ戦争でロシアは亡国の烙印を押され、彼らの多くは自由主義諸国による制裁と資産凍結に苦しんでいる。


プーチン自身も弱っているように見える。彼はウクライナで負けている。プーチンがウクライナに侵攻する前は、ロシアの軍事力はアメリカに次ぐ世界第2位と見られていた。今では、東ヨーロッパではウクライナに次ぐ2番目と見られている。国内では、プリゴジンの傭兵たちが発砲することなくロシアの重要な軍事拠点のひとつを占領した。ロシアの軍指導者の一部は様子を窺っていた。プーチンにプリゴジンと反乱軍を罰する力はなかった。


不満と弱さの環境が、さらなる権力への挑戦を促すだろう。もしかしたら、別の軍人かもしれない。あるいは、ロシアの各共和国で分離主義が再燃するかもしれない。


ロシアは多国籍帝国である。何世紀にもわたり、モスクワ大公国はヨーロッパとアジアの諸民族を征服して拡大してきた。しかし、かつてオーストリア・ハンガリーやユーゴスラビアの一部であった民族のように、各民族はアイデンティティーや自由への夢を忘れてはいない。


ロシアにおける分離主義運動は、ロシアが第一次世界大戦に敗れ、無能で腐敗したツァーリズム政権が民衆の支持を得られなかった1917年には、強力ではあったが結局は失敗に終わった。1991年、ソ連がアフガン戦争に敗れ、経済的に破綻すると、ウクライナ、バルト、カザフスタンを含む15の共和国が分離独立に成功した。


ロシアはウクライナ戦争で多くの生命と財宝を失い、自由世界から孤立と制裁を受け、モスクワの中央権力は弱体化している。特に、ウクライナではロシア人よりもロシア系少数民族の戦死率が30倍も高い。


ロシアの21の共和国は、すでに分離独立に必要な法的構成を持っている。それぞれが独自の憲法、立法府、大統領または首相、裁判制度、国旗、国歌を持っている。歴史、地理、天然資源に関してはもちろん違いがある。


チェチェンやその他のコーカサス共和国、ティヴァ、カレリア、サハのように、ロシア国境にあり、資源が豊富な国もある。また、タタールスタン、カルムキヤ、モルドヴィアのように、内陸にありながら戦略的地位と天然資源を持ち、イスラム教徒や仏教徒が多く住むヴォルガ地方にあるものもある。


ロシア各共和国による新たな離脱の波は、1991年の最初の波のように平和的なものになるかもしれない。あるいは、ユーゴスラビアのように長期内戦に発展するかもしれない。


モスクワの陰謀論者たちの主張とは裏腹に、ロシアの現在の問題は外国資本の邪悪な陰謀の結果ではない。国内では腐敗し抑圧的で、国外では修正主義的で拡張主義的なプーチンの政策の結果なのだ。


それでも、米国と自由世界の政策立案者は3つの茨の道に取り組まなければならない。

  • 第一に、自決を求めるロシアの共和国からの承認要求にどう対応するか。

  • 第二に、ロシアが保有する6,000発の核兵器が騒乱時に使用されないようにする方法だ。マシュー・クローニグは、ロシアが世界初の核内戦を経験する可能性を提起している。

  • 第三に、資源豊富なシベリアにおける中国の土地強奪をいかに抑止するかである。現在の国境線は、わずか160年前、弱小国だった中国が強国ロシアにシベリアの35万平方マイル(テキサス州より広く、エジプトより小さい)を割譲させられ確立されたものだ。今日、パワーバランスは逆転している。国境地帯では、600万人のロシア人が9000万人の中国人と対峙している。


ロシア各共和国による新たな分離独立は、今は奇想天外に思えるかもしれない。しかし、当時の第一ラウンドもそうだった。このような事態を想定した政策オプションを準備しておくことは重要といえよう。■


Will Russia Break Up Again? | The National Interest

July 7, 2023 

by Dan Negrea



Dan Negrea is the Senior Director of the Freedom and Prosperity Center at the Atlantic Council. He served at the U.S. Department of State as a member of the Secretary’s Policy Planning Office and as the Special Representative for Commercial and Business Affairs.


ノースロップ・グラマン、米空軍NGAD次世代戦闘機コンペから離脱、海軍向けF/A-XXに期待をつなぐ



Nortrhop Grumman has dropped out of the running to be the prime contractor to design and build the US Air Force's future sixth-generation NGAD stealth combat jet.

Northrop Grumman capture

ノースロップ・グラマンは、海軍の第6世代戦闘機プログラムなどに集中する

ースロップ・グラマンは、米空軍の次世代航空優勢(NGAD)プログラムの第6世代新型ステルス有人戦闘機で、主契約者候補から外れた。これは、NGAD戦闘機の競争相手が3社から2社に絞られ、ボーイングロッキード・マーチンいずれかになるとの先月の報道と一致する。ただし、ノースロップには別の元請け企業のNGADチームに加わる可能性も残っている。

ノースロップ・グラマンのキャシー・ウォーデンCEOは、本日の決算説明会で、空軍のNGADプログラムをめぐる同社戦略の現状を語った。空軍は5月、NGAD戦闘機開発のエンジニアリングと製造段階に関する極秘契約募集を正式発表していた。同機は、表向きはF-22ラプター・ステルス戦闘機に取って代わるねらいだが、伝統的な戦闘機の概念をはるかに超えた、広範な能力を持つ期待がある。

「政府が同プログラムでRFPを発行する意向を正式発表するまで、当社は沈黙を守っていた。「しかし、プライムとしてNGAD RFPに応じる意向はないと米空軍に通知した。

「当社が追求している他の機会があると書いたが、もう少し情報が出るまで、それが何であるかは現時点では明かさない」と同CEOは付け加えた。「もし当社が十分なポジションにいると感じ、政府がリスクと報酬のバランスを適切に取れば、当社は参画する」。

ウォーデンはさらに、同社は「軍用機における他の機会」を追求していると語ったが、これは海軍のF/A-XXプログラムを指している可能性があると受け取る向きもある。F/A-XXは海軍独自のNGAD計画であり、空軍の同名プログラムと別物だが、大きく関連している。海軍と空軍は、各自のNGAD構想非常に緊密に協力している。

ウォーデンは決算説明会の後半で、同社は空軍のCCA(Collaborative Combat Aircraft)プログラムも「注視している」と述べた。CCAはNGADの別の要素であり、高度自律性を備えた先進的だが比較的低コストの無人機群の獲得をねらう。CCAはNGADのサブコンポーネントの1つで、空軍と海軍の間でもすでに大きな協力が行われている。

空軍は現在、NGAD戦闘機200機と少なくとも1000機のCCAの購入を計画している。この数字は、F-35A統合打撃戦闘機300機と同様に、NGAD戦闘機1機に2機のCCAをペアで配備する想定の作戦概念に基づいている。空軍はCCA部隊の最終的な規模はもっと大きくなる可能性があるとしている。

ノースロップ・グラマン発の今日のニュースは、必ずしも驚くべきものではない。Defense & Aerospace Reportの編集長兼ホストを務めるヴァゴ・ムラディアンと、The Defense Concepts OrganizationのディレクターでTeal Groupのシニア・アナリストであるJ.J.ガートラーは、5月にポッドキャストでNGAD戦闘機の競争相手の数が3社から2社に減少することについて話していた。

ボーイングとロッキード・マーチンが残りの2社になると広く思われているが、これはまだ正式確定ではない。ロッキード・マーチンの有名なスカンクワークス先端プロジェクト部門は、6月30日にインスタグラムに投稿したNGAD戦闘機案について、シルエットを予告した。

<em>Lockheed Martin Skunk Works</em>

Lockheed Martin Skunk Works

ロッキード・マーチン・スカンク・ワークス

NGADのデモ機は、おそらくノースロップ・グラマンも含めて、もう何年も飛行している。F-22がNGADイニシアチブをサポートする新技術のテストに使用されている。

ノースロップ・グラマンが、主要な米軍航空プログラムの初期段階でデモ機を飛行させた後、最終的に撤退を決めたのは今回が初めてではない。同社は2017年、海軍の空母艦載空中給油システム(CBARS)ドローンタンカーの競争から撤退したが、その前の無人空母発射空中偵察・打撃(UCLASS)プロジェクトでは大規模な仕事をしていた。ノースロップの子会社であるスケールド・コンポジットも、空軍のT-Xジェット練習機コンペティション向けに設計を行ったものの、参加は見送られた。

とはいえ、ノースロップ・グラマンにとって、今日のウォーデンのコメントは、同社の立場の変化を反映しているように見える。昨年の同時期に行われた決算説明会では、同社CEOはNGAD戦闘機募集への関心についての質問に対し、「当社は競争相手として位置づけられている」と答え、「政府は、これだけ大きなチャンスをものにできる幅広い産業基盤を望んでいると思う」と述べていた。

今年5月の時点で、ノースロップ・グラマンのプロモーション・ビデオにNGAD戦闘機の設計図と思われるものが映っていた。

ノースロップ・グラマンはもちろん、現在米空軍のステルス爆撃機B-21レイダーの主契約者でもある。これは両者にとって最優先事項の複雑なプログラムだ。

B-21に加え、ノースロップ・グラマンは、一般にRQ-180と呼ばれる先進的なステルス高高度・長時間耐久ドローンを開発していると広く考えられている。本日の決算説明会でウォーデンは、同社が主契約者の主要プログラム、空軍の大陸間弾道ミサイルLGM-35Aセンチネルについても強調した。

もちろん、ノースロップ・グラマンが下請けとして空軍のNGAD戦闘ジェット・プログラムに関与しないことを意味するものではない。

「ノースロップ・グラマンの先端技術とソリューションをどのように顧客に適用するかについて、規律あるアプローチをとっている。空軍のNGADプログラムではプライム・ポジションを追求しないと決定しましたが、NGADのチームには当社のミッション・システム能力を提供しています」と、同社の広報担当は声明でThe War Zoneに語った。「当社は、B-21やF-35のようなプログラムで実証ずみの、先進的な航空機プログラムで有利な立場にあり、プラットフォームやミッションシステムのプロバイダーとして、有人・無人の軍用機市場であらゆる機会を評価していきます」。

ノースロップ・グラマンは、ロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機の主要な下請け業者であり、戦闘機製造とミッション・システムの両方を手掛けている。

とはいえ、NGAD戦闘機に対する空軍の要求と期待の多くは、秘密のベールに隠されたままだ。現在までに公開されている情報では、従来型戦闘機にはない機動性を持ちながら、新型兵器を含むペイロードを長距離で運用するため最適化された、高度に進化した深部貫通型広帯域低視認性(ステルス)設計であることが指摘されている。

空軍は、NGAD戦闘機コンペティションの勝者を2024年中に選びたいと述べている。

つまり、NGAD戦闘機が最終的にどのような姿になり、どのような能力を発揮するのか、そして誰がそれを設計・製造するのかは、まだ未知数だ。今わかっていることは、ノースロップ・グラマンはこのプログラムでの主導的な役割を追求しないと決めたということだけだ。■


Northrop Grumman Bails On Next Generation Fighter Competition

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUL 27, 2023 2:01 PM EDT

THE WAR ZONE