スキップしてメイン コンテンツに移動

JSI仕様のF-15Jはこんな機体になる。影を落とす10年前の政権の考え方とは

Japan gets US nod for $4.5 billion F-15 upgrade package

日本向けF-15改修45億ドルパッケージの内容とは

By: Mike Yeo  

F-15イーグル迎撃機約100機の改修事業に関する日本政府の要請を米国務省が承諾した。老朽化が進む日本の戦闘機部隊の性能向上に道が開かれた。
国防安全保障庁が10月29日発表したもので、海外軍事販売制度で実施し、試算45億ドル規模の事業になる。
今回承認されたのは98機までのF-15Jを「日本向けスーパー迎撃機(JSI)仕様」に改修する内容で高性能電子スキャンアレイ(AESA)レーダー、新型ミッションコンピュータ、電子戦装備のほか新型兵装の運用能力授与が内容だ。
このうち、新型レーダーはレイセオン製AN/APG-82(v)1 複合モードAESAで米空軍がF-15Eストライクイーグルで運用中のものだ。日本の要請は同レーダーに加え、ハネウェルの高性能ディスプレイコアプロセッサーII(ミッションコンピュータ)116基、BAEシステムズ製AN/ALQ-239デジタル電子戦装備101基の搭載の他、妨害に強いGPS装備もあり、より精密な航法、無線交信を実現する。
安全保障協力庁発表にある「機材と兵装の統合化および試験支援」は内容が不明だが、2018年発表の中期防衛整備計画はロッキード・マーティン製AGM-158共用空対地スタンドオフミサイル(JASSM)の導入を明記しており、長距離対地攻撃ミッションをF-15で実施する想定だ。
主契約企業はボーイングだが今回のF15JSI改修では直接民生販売(DCS)の要素も見られる。DCS部分では三菱重工業が主契約企業、ボーイングが二次契約企業となりFMSおよびDCS部分のサポートを行う。
航空自衛隊は単座F-15J及び複座F-15DJ合計200機程度を運用中。すべて防空任務仕様で対地攻撃はできない。訓練飛行隊、アグレッサー教導飛行隊以外に航空隊7個編成としている。
各機は1980年代製造で三菱重工業が大部分をライセンス生産し国産電子戦装備や双方向データリンクを搭載した。うち、90機が数回に渡る改修を受けており、エンジンの改良や対抗装置を搭載している。
これ以外にも改修の試みもあったが、予算や政治上の制約で日本は全機改修を行っていない。そのため仕様が異なる機材が存在している。
直近ではLink 16および共用ヘルメット搭載目標捕捉システム(JHMCS)の導入が2007年に始まったが、2009年に著しく平和志向の新政府に交代すると、この事業は終了されており、赤外線捜索追尾装備(IRST)や一部機材をスタンドオフ偵察任務に転用する案も途中で唐突に中止となった。
そのため今回のF-15改修は機材構成を整備しつつ日本の防衛ニーズに見合う機材にする好機となる。今回の要請ではLink 16およびデジタルコックピット仕様への切り替えが見当たらないが、可能性としてDCSでこの部分を実現するのではないか。三菱重工業はF-2事業でこの分野の知見を有している。
またIRSTでも日本が開発を続けていることがわかる。日本で投稿された写真ではF-4EJファントムIIテスト機が岐阜の実験航空隊で稼働していることが判明しており、主翼下のボッド先端にレンズらしきものが確認され、ロッキード・マーティンのIRST21(ボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネット用に開発)に類似している。

Photo thread of an F-4EJ Phantom II assigned to the JASDF's Air Development and Test Wing at Gifu carrying what looks to be a possible IRST pod on its starboard inner pylon #Japan


View image on Twitter

IRST開発が成功すれば戦闘機は長距離からレーダーを使わずに敵機を捕捉交戦できるようになり自機の位置を知られるリスクが減る。また日本が進めるF-2後継機の開発にも役立つ。
日本はロッキード・マーティンF-35ライトニングII共用打撃戦闘機の導入では米国以外では最大規模となっており、F-35A105機、F-35B42機を導入する計画で最初の飛行隊がすでに稼働開始している。F-35はF-4EJファントムIIおよび初期型F-15の更新用の位置づけで、短距離離陸垂直着陸型のF-35Bはいずも級ヘリコプター駆逐艦での運用用に確保するものだ。■

コメント:今年の豪雨で露呈した旧民主党の影の影響ですが、F-15でも発生していたのですね。航空自衛隊にとっては「悪夢」の時代だったのでは。もちろん、現役自衛隊員は政治的発言はできないのですが、腹の底では苦々しい思いをされていたのでしょう。日本で意味のある政権交代ができるようになるのはいつのことなのでしょうか。

コメント

  1. IRSTはF-15搭載で問題が発生して、開発失敗。国産の偵察ポッドも大失敗しただけでしょう。
    この記事を書いた記者は、自衛隊のF-15の状況に詳しくないのでは。
    ミッションコンピューターも換装になるので、またAAM4及びAAM5インテグレート作業が発生する気がします。これは、二度手間ですが、三菱的には、おいしいのかな。

    返信削除
  2. LINK16やJHMCSは形態2型相当で94機に実施されているので
    誤った記事のようです

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM