スキップしてメイン コンテンツに移動

米空軍>A-10後継機を検討か、でもそのまま実現するとは思えません



混迷していますが、水面下ではA-10後継機を目指す動きがあるようです。ただし原資がないと先に進めないということでT-Xと一緒にすれば良い、という主張ですが、こうなると前から話題に出ているテキストロン・エアランドの常識を破る小型機スコーピオンが注目されないかなあと思いますが、いかがでしょうか。

Amid Pressure To Keep A-10 Alive, USAF Explores Close-Air Support's Future

By Lara Seligman7:08 p.m. EDT August 25, 2015
WASHINGTON — 米空軍はA-10温存を求める圧力と厳しい予算削減の中で近接航空支援(CAS)の将来像を検討中だ。
  1. A-10退役を目指す空軍の動きを憂慮する議会は代替機種の手当がないことを問題視している。空軍の主張はA-10を全機退役させれば今後5年間で42億ドルの予算節約になるというもの。これに対しA-10擁護派は地上部隊を見殺しにするつもりかと空軍に食って掛かっている。
  2. 広がる懸念の声に空軍はついに将来型のCAS機材の開発案があることを示した。航空戦闘軍団の2015年戦略方針がCAS機材の「開発可能性」を求めている。
  3. 「バランスのとれたCAS能力がすべての機材で必要で、将来のCAS機材の開発をめざすべきである。またCASの伝統の火を消してはならない」と同案にあり、8月10日に公表されている。
  4. 空軍関係者からはA-10後継機をA-Xとして検討中であるとの方向性が示されている。ACC司令官ホーク・カーライル大将は「検討中だ」と空軍協会主催シンポジウムで2月に記者団に答えている。
  5. 「将来の戦力構造を考えると抜けがないようにウェポンシステムが必要になり、まさしく現在進行中だ。すべての方向性を検討している」(カーライル)
  6. 一方で空軍は3月にCASミッションを考える会議に各軍を招いた。
  7. 空軍が将来のCAS機材開発にあたる一方で専門家の中にはA-10が開発された1970年代と今日ではミッション内容が大幅に変わっていることに注意喚起している。現在の空軍は爆撃機やF-35のような戦闘機をCASに投入し、高性能センサー技術でパイロットの状況認識を助けている。MQ-1プレデター、MQ-9リーパーのようなUAVもパイロットを危険な状況に投入せずとも任務を補完できる。
  8. 「精密爆弾の時代に近接航空支援の概念は大きく変わっています」というのはダグ・バーキー(ミッチェル航空宇宙研究所専務理事)だ。「鍵となるのは攻撃対象と攻撃のタイミングを認識することで、これがないとあてずっぽうに投下するだけに終わってしまう」
  9. これに対し現在の技術を使えば空軍はCASミッションを新型多用途機材で効果的に実施できる、情報を駆使してパイロットに戦闘空間を明確に示せるというのがレベッカ・グラント(IRIS研究所主宰)だ。
  10. 「近接航空支援の本質は情報の駆使といってよいでしょう。誰が地上にいるのか、誰が何を必要とするのか、状況はどう進展しているのか。上空を飛ぶパイロットが下を覗いてわかることではありません。まだそんなことをしているとすれば第二次世界大戦から進展がないことになります。今日では通用しません」
  11. A-10は航空優勢が完全に確立されている条件で有効に機能する。イラクやアフガニスタンが好例とバーキーは指摘するが、これより厳しい空域では残存が厳しくなり、アジア太平洋での地上戦に投入されても使い道がない、とバーキーは指摘する。
  12. そこで空軍がめざすA-10後継機種は多様なミッションをこなす機材にすべきだとマーク・ガンジンガー(戦略予算評価センター主席研究員)は指摘する。
  13. 「将来を見越し空軍がどんな環境で作戦展開を迫られるかを考えると、単一ミッションしかこなせない機種では全く意味を成さないと思います。多様なミッションを実施できる機材が必要です」
  14. ただし複数の巨額プロジェクトが控えており、空軍にはA-10後継機にあてる予算の確保は難しい。予算環境が好転すれば、空軍は安価な次世代機で近接航空支援を陸上部隊に提供できるだろうが、現時点では現実性が乏しい観測だ。空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将は今年春に以下発言している。
  15. 「近い将来に低脅威環境で投入できるCAS機材が必要だ。ただし予算があれば」とウェルシュ大将はワシントンで語っていた。「今は予算がないが、現行機種より効率のよい新型機が必要となるのは確実といってよい。より大きな火力を搭載し低脅威度の中で運用可能な機体だ」
  16. 予算にもう一機種をねじこむのは空軍には難題だ。すでに新型爆撃機、練習機、共用監視目標攻撃レーダーいシステム機(J-STAR)があるとガンジンガーは指摘する。
  17. そこで考えられるのがT-XとA-Xの共通化で練習機にCASミッション能力を付与することだとガンジンガーは言う。
  18. 「多用途機となるでしょう。軽攻撃、近接航空支援、に加え練習機にもなるのです。空軍はT-Xを先に推進することを決めていますからA-10後継機開発費用もまかなえるでしょう。」
  19. 短期的には予算環境の大幅な好転がない限り、空軍がA-10後継機開発に乗り出すことはないと見る専門家が大多数だ。なんといっても2020年代は大幅に支出増となる。その間は厳しい装備のやりくりをしながら技術進歩をにらみつつA-10後継機種の検討が続くのだろう。)■


コメント

  1. 近年の米国のCAS機材に関しての議論は、本質を見誤っているように見えます。
    その主流は以下の言葉に集約されるでしょう。

    >近接航空支援の本質は情報の駆使といってよいでしょう。

    >そこで空軍がめざすA-10後継機種は多様なミッションをこなす機材にすべきだとマーク・ガンジンガー(戦略予算評価センター主席研究員)は指摘する。

    >「近い将来に低脅威環境で投入できるCAS機材が必要だ。ただし予算があれば」

    CAS機材の本質は、1ソーティあたりの出撃コスト、です。
    予算が無いからと言ってCAS専用機材を高コストな多用途機材に代替させても、それはあくまで平時のメリットでしかありません。有事になればコスト計算は簡単に逆転します。
    低脅威度下での持続的な消耗戦争が想定されない日本のような国なら確かにCAS専用機材は要らないでしょう。ですが第三世界を相手に世界で対応しなければならず、常に世界のどこかで武力を行使しているような、そんな米国にそれが当てはまるとはとても思えません。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ