2017年11月29日水曜日

C-2グレイハウンド事故の詳細、なぜか伝えられないパイロットの犠牲行為


日本国内には米軍機が事故を起こすとヒステリックに大騒ぎする向きがありますが、今回の事故では類まれなプロの腕が不時着水に示されたようですね。自らは犠牲になったのは残念ですが、搭乗者多数を無事脱出させたのはすごいとしかいいようがありません。

 

Navy Pilot Lost in C-2 Crash 'Flew the Hell Out of That Airplane'


File photo of Lt. Steven Combs, assigned to the Providers of Fleet Logistics Support Squadron (VRC) 30 (U.S. Navy photo/Released)
File photo of Lt. Steven Combs, assigned to the Providers of Fleet Logistics Support Squadron (VRC) 30 (U.S. Navy photo/Released)
Military.com | 28 Nov 2017 | by Hope Hodge Seck

週発生したC-2グレイハウンド事故で搭乗者を救おうとして自ら犠牲となった海軍大尉に勲章授与の動きがあると米海軍が伝えている。
機長スティーブン・コムズ大尉Lt. Steven Combsは他の2名と11月22日発生の事故で命を落とした。同機は岩国海兵隊航空基地から空母ロナルド・レーガンに向かっていた。
コムズは機体を不時着水させ、搭乗員4名と搭乗者7名が安全に機外脱出する可能性を最大にした。輸送機での不時着水は難易度が高い。当日の波高は12フィートだったと海軍航空隊報道官ロナルド・フランダース中佐が述べている。
「空母からあと数マイル地点で着水するとは予想外だったはずです」とフランダース中佐はMilitary.comに語っている。「コパイロットの言葉を借りると『(コムズは)すごい操縦をしてくれた』とのことです」
フランダース中佐はコムズに死後勲章授与の可能性があると述べた。
コムズは2011年任官し、第30艦隊補給飛行隊に2015年加わりロナルド・レーガンで分遣隊作戦士官補として勤務したと海軍は発表。1,200飛行時間で空母着艦100回を経験している。
海軍は生存者8名を沖縄南西海上で遭難直後に救難した。11月25日に海軍はコムズの他にマシュー・チアラストリ兵曹、ブライアン・グロッソ補給係見習が行方不明と発表。
墜落原因はエンジン故障と複数筋が述べているが調査は進行中だ。「何らかの機体異常のため空母へ到達できなかったようだ」とフランダース中佐が述べている。
25日土曜日にロナルド・レーガン艦上で三名の追悼式が開かれた。レーガンの航空部隊指揮官マイケル・ウォスジェ大佐がコムズに触れた。
「パイロット一名を失い第5空母航空隊に重くのしかかる。コムズ大尉は英雄としてこれからも追慕されるであろう」「本人とともに飛んだことを誇りに思う」と語ったと海軍広報資料が伝えている。
艦長バズ・ドネリー大佐も同時に3名を追悼した。「3名を一度に失い、USSロナルド・レーガン乗組員一同を代表し心からの祈りとお悔やみを遺族友人に伝えたい」
海軍は旧式化進むグレイハウンドの運航を停止した。同機は空母への人員物資輸送に使われている。
フランダースは現行のC-2A(R)は1980年代中頃から海軍で供用中で、比類ない安全記録があると述べている。死亡事故は1988年に飛行甲板でプロペラ回転に巻き込まれ一名が死亡した事案のみだ。「今回の事故はここ数十年で初めて」
グレイハウンド各機は2015年までに耐用年数延長策を終えているが、2020年代中頃にCMV-22オスプレイと交替する。■

イスラエルのアイアンドームに艦載版が登場


「次回の戦争」とかイスラエルの表現はリアルですね。ナチスばりにイスラエル壊滅を公式に発言するような国がすぐそばにあるためですね。ミサイル防衛として空軍、海軍、陸軍の垣根を壊す動きも注目です。それにしてもイスラエルの軍高官は異例に階級が低いですね。権限移譲が進んでいるのか、組織構造が違うのか。イスラエルには今後も注目したいと思います。


Israel declares operational capability for sea-based Iron Dome 

イスラエルが海上配備アイアンドームの実戦化を発表


IDF

TEL AVIV, Israel — イスラエル軍が艦載版アイアンドーム迎撃システムの初期作戦能力獲得を宣言した。11月27日に海上実弾試験で標的迎撃に成功した。
当日の成功の前にイスラエル空軍、海軍、民間企業が1年半もアイアンドームをINSラハヴ海防艦のアディール追尾誘導レーダーに統合する共同作業に従事していた。
「本日をもって公式にイスラエル防衛の新しい陣容が地中海に生まれた」と空軍防空部門司令官ズヴィカ・ハイモヴィッチ准将Brig. Gen. Zvika Haimovichが記者団に語った。
「艦載アイアンドーム、アディールレーダーおよび地上配備アイアンドーム部隊が完全に接続された。本日の実弾発射実験で優秀な性能が実証された」
アイアンドームは国営ラファエル社が開発し、2011年の配備以来1,700回以上の迎撃に成功している。艦載アイアンドームはC-ドームC-Domeの名称となる。
空軍関係者によれば艦載アイアンドームも空軍が運用する。地上配備アイアンドームで整備した運用ノウハウと技術があるためだ。「海軍用のアイアンドームは新規アイアンドーム部隊として扱う。陸上、海上の装備を統合し今後のエスカレーションや次回の戦争に備える」という。
海軍兵器部長ジヴ・バラク大佐Capt. Ziv Barakは2014年のガザ戦役の教訓から海上配備のアイアンドームが沿岸部や艦船さらに沖合エネルギー施設の防衛に必要と認識されたと語る。艦上配備と陸上配備の各装備の統合で北部国境から飛来する脅威対象に容易に対応できるようになると付け加えた。■

世界9か国の核兵器保有数は合計15,000発!


世界に核兵器が多数あるから自国も保有して何が悪いのかと北朝鮮は言うのでしょうが、首をかしげるのは韓国にも核兵器保有の意見が出ていることです。南北統一すれば北の核が手に入ると能天気な意見もあるようですが。ま、それはともかく核廃絶を主張し大統領になったばかりのオバマがなぜ平和賞を取れたんでしょうか。好き嫌いがはっきりしてすみません。ABC分析するまでもなく核兵器の大多数を米ロニ国が保有しているので廃絶するなら(無理と思います)米ロがまず核兵器が不要な世界を作って自ら核兵器を減らすのが筋ではないですか。


Here's how many nukes each nuclear country in the world has

核兵器保有国、核爆弾の合計数は?

14,955 nuclear weapons worldwide




  • 北朝鮮核兵器開発を止めるのがトランプ政権の優先事項だ
  • だがその他8カ国が合計15千発の核兵器を保有している


ドナルド・ドナルドは大統領に就任以来、北朝鮮核兵器に焦点をあてるものの金正恩に開発を止める気配はない。トランプは中国に圧力もかけて説得させようとしている。
だが米国含むその他合計8カ国が核兵器を長年整備しているのが現実だ。
第二次大戦で日本へ原子爆弾を投下したのが唯一の核兵器使用例だが戦後数年でロシアが核兵器開発を開始し、その後、英国、フランス、中国が追随した。
1960年代にはこのまま多数国が核兵器を保有すれば世界が安全でなくなるのは明らかになった。このため不拡散条約が1968年に生まれ、核兵器、核技術の普及拡散の防止を狙った。イスラエル、北朝鮮のように非加盟国もある。
条約はおおむね成功しているが、核兵器の実戦投入で可能性が消えないまま世界平和は脅かされたままだ。
では世界に何発の核兵器があるのか。どの国が保有しているのか。米科学者連盟のまとめを引用する。

北朝鮮:60発

  • 米国は北朝鮮の核兵器開発をやめさせようとしている。1994年にビル・クリントン大統領がまとめた合意枠組みは不発におわった。北朝鮮にだまされたのだ。
  • 平壌はNPTを2003年脱退し、三年後に初の核実験を実施した。以後、兵器開発を続けており、ブッシュ、オバマ、トランプ各政権の働き掛けも功を奏さず進展を遅らす兆候はない。
  • 北朝鮮は既に核兵器60発を保有しているとの推定がある。

イスラエル:80発

イスラエル政府は公式には核兵器保有を否定も肯定もしない態度をとる。だが同国の核兵器整備は公然の秘密だ。 

  • 1986年に核技術者Mordechai Vanunuが内部告発しイスラエルの核開発を明らかにした。イスラエルの秘密裏の核兵器開発を助けたのは米英両国である。

インド:130発

  • インドは隣国パキスタンと敵対している。緊張を高めているのは両国ともに核保有国のためだ。ただし、二十年にわたり両国は核の応酬に至るエスカレーションを避けている。
  • インドは2003年に先制不使用を宣言し、自国が核攻撃を受けない限り核兵器を投入しないと表明した。中国にも同様の政策がある。
  • インドが核兵器開発に踏み切ったのは中国の侵攻を恐れた1960年代だった。米国が制裁措置を課したが、現在は解除している。

パキスタン:140発

  • インドの先制不使用宣言と逆にパキスタンは核の一次使用を放棄していない。
  • 1971年のインド-パキスタン戦争でインド核兵器の脅威を感じたパキスタン自国開発を急いだ。
  • 2014年に戦術核兵器の開発を開始し、小型化が進めば水上艦艇や潜水艦から運用が可能となり、従来型核兵器より簡単に使用できるようになる。
  • 報道ではパキスタンは核の三本柱の完成に近づいており、核ミサイルを陸海空から発射できるようになる。

英国:215発

  • その他核保有国と同様に英国も核兵器は防衛目的に必要と主張する。
  • 同国の核抑止力はトライデントでヴァンガード級潜水艦4隻にトライデントIID5ミサイル16発を搭載し、各ミサイルに核弾頭8発を装備している。
  • 2010年から15年にかけ弾頭数を40j発減らし120にしており、削減しながら最小限の核戦力は維持したいとする。

中国:270発
    • 中国初の核兵器は1964年に完成した。インド同様に非先制使用方針を述べているが、国際社会にはこれを疑わしく受け取る向きがある。
    • 中国は核弾頭数を機密情報としており正確な数は不明だ。NPT加盟国だが、近年一層野心的になっていることで周辺各国を懸念させている。
    • 例として2018年に中国は次世代大陸間弾道ミサイルを発表する予定で、弾頭10個を搭載し世界各地の攻撃能力があるといわれる。2016年には別の長距離ミサイルが発表され、グアム攻撃が可能と判明し米国防関連に衝撃が走った。

    フランス:300発

    • フランスの核開発開始は冷戦中でシャルル・ドゴール大統領は米・NATOと別個に自国防衛能力が必要と判断した。ドゴールが恐れたのはフランスがソ連他の攻撃を受けても誰も救援してくれない事態だった。
    • フランスの核兵器保有規模は世界三位だが、同国は化学兵器生物兵器は保有していないと述べている。NPT加盟国である。
    • 2008年にニコラス・サルコジ大統領が同国の核兵器は「特定目標を想定していない」と発言し、「生命保険だ」と述べた。サルコジは核兵器削減も発表し、「冷戦最盛期の保有量の半分」にすると述べている。

    米国:6,800発

    • 核時代の先陣を切ったのが米国で1942年にフランクリン・ロウズベルト大統領がマンハッタン計画を開始させたことだった。第二次大戦中に米国は広島・長崎への原爆投下で一般市民数万名を殺害し核技術への見方を永久に変えてしまった。
    • 米国はNPT加盟国だが先制不使用の宣言は拒んでいる。
    • 今年初めにジョー・バイデン前副大統領が米核戦力強化への支出を倍増すると発言。「他の核保有国が米国に先に使用する可能性があるなか、安全安心で確実な核武装で攻撃を抑止することが同盟国のためにも必要」と述べ、「このため核装備維持の予算とならび核装備体系近代化の予算を増やした」
    • 近代化で10年間で4,000億ドルが必要との報道がある。ロシアの核戦力拡充に歩調を合わせる狙いもある。
    • トランプもオバマの米核戦力再整備の訴えに同調していた。「近代化と抜本的な再生が必要だ」と述べ、選挙運動中は米核兵器増備を訴えたが、2017年10月には「全く不要」と発言した。

    ロシア: 7,000発

    • 旧ソ連の核兵器開発開始は1940年代で米マンハッタン計画を追随した。冷戦中に米国と軍拡競争を展開したが、旧ソ連圏の核兵器はロシアに返還され多くは解体された。だがロシアは今も膨大な核兵器を保有している。
    • ロシアは核兵器近代化に資金を投入しており、米国同様に核戦力拡充を目指している。オバマ政権はこの動きは世界規模の核軍縮の障害と批判した。「向こうが軍事力拡充を追い求めているので、期待するロシアとの進展が見られなくなった」とオバマはプーチンを批判した。
    • プーチンは10月に世界の核兵器削減の一助となりたいと発言しながら、他国の動きを見れば自国も開発を止めるわけにいかないとした。
    • ロシアは弾頭数こそ世界最大だが、威力が最大とは限らない。
    • 「ロシアは段階的に改良して核戦力を整備してきた」ため10年以上も改良を受けない兵器もあるとArms Control Wonk創設者ジェフリー・ルイスがBusiness Insiderに語っている。
    • 一方でルイスは「米核兵器はフェラーリみたいで美しく複雑で高性能です」と言い、ミニットマンIII型ICBMは登場から年数がたっているが「精巧な機構で驚くべき性能」だという。
    • 「ロシア核兵器は新型だが設計思想は『あと10年で新型ができるから今から超高性能にする必要なし』というものですよ」(ルイス)■

    中国経済が米国を追い抜く日は来ない



    今回も中国経済の虚像に挑戦する論調ですが、バランスシートの概念が分からないと理解が難しいかもしれません。一方で中国統計の疑わしさには言及していないので正しい(会計上の原則で)数字が出れば(誰にもわからないでしょう)さらに中国経済の本当の姿が露呈するはずです。経済を理解しないまま軍事力だけで大国だと言っているのが中国の現状ではないでしょうか。交渉もそれを背景にしていれば、すごいポーカープレイヤーだとなりますね。しかし中国国営企業の債務は政府を上回る規模とすざましいですね。21世紀の課題は中国をいかに「世界秩序」に組み入れるかでしょう。中国はその秩序に抵抗する勢力でこのままでは受け入れられない存在です。北朝鮮問題のように少しずつですが中国にも変化の兆候が見られ、かすかな希望を殺さないようにしたいものです。


    Is China's Economic Power a Paper Tiger?

    中国経済は張子の虎なのか

    中華人民共和国のGDP成長が米国より高いのは事実だが、問題は成長の中身だ。
    A painter contrasts the reddish-pink hue on a painting knife with China's 100 yuan banknote before he works on portraits for Chinese artist and film-maker Zhang Bingjian's "Hall of Fame" project in a studio in Shenzhen, south China's Guangdong province
    November 27, 2017

    1. オバマ政権時に中国の台頭に対し米国の退潮を問題提起があったが、トランプ政権下で人は変わっても同じ主張が出ている。両政権の政策の違いが議論の種だが事実の基本は明らかにしたい。最も重要な点は経済力で中国は米国と肩を並べる存在でなく、追いつく可能性もないことだ。

    GDPを過大評価していないか

    1. 奇異に思う向きもあろう。中国の国内総生産GDPは数十年にわたり高成長中だ。だが中国は経済が苦境にあることをいつ認めるのか。中国発表の2009年第二四半期のGDP成長率は7.9パーセントだったが世界最大の債務を抱えての高成長だ。経済実態は中国共産党の主張と反対だ。
    2. 人民共和国がGDP成長率で40年間にわたり米国より高かったのは事実だが、問題はその中身だ。中国人の可処分所得は(中国発表の数字で)国民一人当たりGDPの半分に満たない。可処分所得は年間支出金額だが一人当たりGDPは会計上の概念で実経済であまり意味がない。
    3. もっと意味がないのは購買力平価(PPP)によるGDPだ。PPPでは中国国内の物価すべてを米国とそのまま比較する必要があり、無意味な概念だ。この計算の根拠は「一物一価」だが、中国市場の閉鎖性でこの原則はかならずしも通用しない。またPPPは消費者の購買力であるが、中国の消費支出は中国GDPの半分に満たない。購買力調整したGDPは多数の国で通用しない尺度で中国も例外ではない。

    民間純資産

    1. 単純なGDPの方ならよさそうだが最重要指標とは言い難い。各国が国益のために使う資源が国民純資産であり、実際に金銭支出を伴うもので会計上の概念ではない。年間GDPは国富の蓄積につながるはずだ。だが中国ではGDPが資産形成と密接つながっていないのは驚くべきことではない。
    2. クレディスイスが2000年から各国の民間純資産を算定している。データは修正などあり一定しておらず、最新版も確定していると言い難いが、それでも二つの特徴がある。1)中国政府による統計の偏り以上に大きなものはない 2)中国の2012年以降の成果でこの傾向が顕著になっている の二点だ。
    3. 2000年から2012年の中国民間資産は4.66兆ドルから21.7兆ドルへ年間14パーセント近く増加した。同時期の米国は42.3兆ドルから67.5兆ドルへ増加した。米国の優位がさらに伸びたが、米経済の年間成長率は4パーセントにすぎない。中国はらくらくと実績で上回れたはずだ。
    4. ところが状況はその後急変している。2012年末から2017年央までの中国の民間資産は7.3兆ドル伸び、年間成長は9パーセントに達した。これに対し米民間資産は26兆ドル伸びた。米国の経済規模ははるかに大きく、さらに米経済の成長率が高くなってきた。その結果、2017年央の中国民間資産は29兆ドル、米国は93兆ドルになった。連邦準備制度はクレディスイス推計と同意見で米国の家計純資産は96兆ドルとしている。
    5. 端的に言えばGDPは経済実績の完璧な尺度ではなく、民間資産も同様だ。だが資産規模で米中間交渉が変わる。民間資産で64兆ドルもの差がある中では中国が米国を脅かすほどの経済になるとの主張の根拠が怪しい。中国経済の成長が米国を上回るとの主張も民間資産の差がこの4年半で18兆ドルも広がったことで疑わしい。民間資産で見る限り中国は米国からはるか後ろを追う存在だ。

    公共部門

    1. クレディスイスが中国を正しく把握していない可能性もある。そこで二つの疑問が生まれる。まず、米国の優位性が2012年から広がったのは米国の株式市場と不動産バブルが中国のバブルを上回る規模になったためなのか。そうだとしたらバブルが弾ければ差は縮まるのか。これはありうるが、実現しても大きな影響は生まない。民間資産がこれだけの規模になるとグローバル金融危機時でも米国は56兆ドルの差をつけており、これは2014年とほぼ同規模だった。
    2. 民間純資産を阻む制約は「民間」にある。各国の目指す目標に投入する国富の総額を意味し、ここに公共部門も入る。共産党はPRCの巨大銀行システムの債務情報を出そうとしない。米政府も公共部門の資産評価で疑わしいものがあるが、米連邦政府の債務と中国の国家資産はともに巨額で国富の格差を縮める要素だ。
    3. 国営企業資産に関する公式中国データはここ数年一貫性がある。2017年央の資産総額は145兆元(7.4兆ドル)で債務は95兆元(4.8兆ドル)以上だ。ただし国営企業には資産を過大評価し債務を過小表示する傾向がある。したがって先に示した数字は最大値と見るべきだ。
    4. その他の公的債務に中央政府地方政府の借入金がある。国営企業に比べれば小規模であるが、それでも2016年末で4.1兆ドルになった。中国政府発表の数字に変動がないことが信ぴょう性を逆に疑わせている。2017年3月末時点の国際決済銀行(BIS)の推計は1.1兆ドル多い5.3兆ドル(2017年央)だ。
    5. 企業部門に次ぐ大きな国家資産は土地だ。大量売りが入れば土地価格が下がるため広大な規模の不動産の価格鑑定は困難だ。PRCでは政府の役割がいびつなためさらに困難だ。土地売買収入は2016年末時点で3.7兆ドルだった。2017年はこれを上回るとみられるが売買は不安定だ。
    6. 土地価格が低すぎるため企業部門の負債規模も低くおさえられるのだろう。ただし公共部門資産の誤差で正味民間資産が6兆ドル上乗せされ、中国の2017年央の国富は35兆ドルになる。もう少し高いかもしれない。
    7. これに対し米国では連邦政府負債が最大で2017年央で19.8兆ドルだった。州地方政府債務が3兆ドルある。構造は単純で、資産問題だ。
    8. 連邦政府は全米土地の27パーセントを保有し、その他州地方政府が33%を保有する。土地評価は合計125兆ドルだ。連邦準備制度によれば米政府部門の非金融資産は2017年央で14兆ドルとで、その他州地方政府は10兆ドル相当なので米国の純国富は88兆ドル超となる。ただし国有建築物を売却すれば価格低下を招き資産規模も縮小する。
    9. 連邦準備制度の不動産データから計算すると政府部門資産は2017年央で9.1兆ドルになる。これで米公共部門の総勘定は13.6兆ドルの赤字となり、純国富は80兆ドルを下回る。公共部門まで含むと米中の国富の差は縮まるが、それでもまだ大きい。

    米国の選択肢

    1. 土地価格の算定は不正確だ。資産価格は簡単に富が変動することを意味する。クレディスイスの民間資産推計データでも修正が入る。だがクレディスイス、米財務省、連邦準備制度理事会、BIS、さらに中国政府から意味のあるデータがわかる。
    2. 米国は純国富で中国を45兆ドル上回り、差に縮まる様子は今のところない。民間資産だけ見ても差は縮まっていない。これはBISの債務情報によるものではなく、中国政府発表の数字を基にした計算によるものでもない。つまり中国のGDP高成長は意味のない数字だ。少なくとも2010年代初頭において。
    3. 米国が中国と東アジアで覇権を競う、またはグローバル規模で主導権を維持するのであれば、国富の格差は意味がない。資産面の優位性は圧倒的に米国にあり、今後もそのままだろう。■
    Derek M. Scissors is a resident scholar at the American Enterprise Institute, where he focuses on the Chinese and Indian economies and on U.S. economic relations with Asia. He is concurrently chief economist of the China Beige Book.


    2017年11月28日火曜日

    中国J-31がSUV広告に登場

    この自動車メーカーですが本当に新規企業らしくよくわかりません。解放軍が設立した企業なのでしょうか。解放軍はかなりの数の企業を傘下に置いています。もっとも軍で正式採用されたわけではないのでメーカーとの交渉で実現したのでしょうね。それでなければ戦闘機を広告に出すのは同なのでしょう。お金だけ出せばなんでもありなのでしょうか。いずれにせよともに食指は動きませんが、J-31についてはいつどこで脅威にならないとも限らず情報収集は必要でしょうね。F-22やF-35が一般企業のイメージ広告に出たことはあったのでしょうかね。

    China’s Stealth Fighter Is Helping to Sell Cars

    中国のステルス戦闘機が自動車販売の引き立て役になっている

    J-31 meets SUV

    China’s Stealth Fighter Is Helping to Sell Cars
    WIB AIR November 27, 2017 Robert Beckhusen


    技術の結晶で未来イメージの中国のJ-31ステルス戦闘機の画像がSUVの広告に登場した。
    J-31が中国の新興自動車メーカーHanteng AutosのSUVモデルX5の広告で姿を見せている。
    広告では塗装が赤のSUV(「産業力」と「国力」を象徴)をジェット機とともに見せている。
    すると新興企業が自社SUVを国家主義や軍と結びつけるマーケティングを展開しているのか。さらに興味を惹かれるのはやはり国営瀋陽航空機が開発したJ-31(FC-31)はステルス機で中国軍に正式採用もされていない中で異例の登場だ。
    Above, at top and below — the J-31 as car salesman. Photos via Chinese Internet

    J-31モックアップが空母遼寧に乗せられたことはある。イランやパキスタンのような海外顧客を狙ったのだろう。だが今度は同機が多用途車の販売を助けるわけだ。ただJ-31は顧客がまだないことが問題だ。

    J-31はF-35共用打撃戦闘機の競合機種だ。機体サイズはほぼ同じでJ-31はステルス性で劣り、JSFのエイビオニクス、通信装備も搭載していない。ただしJ-31二号機が2016年12月に初飛行しており、新型赤外線センサーを搭載してやや大型になっているのが確認されている。今のところJ-31はこの試作型二機しか存在が確認されていない。

    ただ公平を期すと、J-31は双発機である点がF-35と異なる。また中国機にはF-35Bの揚力ファンは内蔵していない。F-35ではこのために他の二型式でも設計上の妥協が必要となった。中国がF-35の設計資料を入手したといわれ、F-35の設計上の難点を回避してJ-31を製造したのではないかと言われている。
    J-31試作二号機は一号機と異なり無煙エンジンも採用して、ステルス性にも寄与する。正式採用されれば空対空ミサイル12発と重武装の航空優勢戦闘機を目指すとみられる。だがまず採用国を見つける必要がある。中国海軍は可能性がある。あるいはF-35は手が出ないが競合上必要だと思う国だろう。
    いずれにせよ将来の導入国には製品保証がついていることを祈ろう。■

    ★★F-3を目指す最新26DMUから浮かび上がる設計思想



    ラプターみたいな想像図ですね。米記者による図のためでしょうか。2030年代以降の投入を考えると先送りは困るのですが、これだけの規模の新型戦闘機開発事業は今後はなかなか現れないはずなので、当然海外メーカーも注目しているのでしょう。国産開発、共同開発それぞれ優劣はありますが、合理的な決断を期待したいところです。F-3には無人機の運用能力も必要となるのでしょうね。

    Aviation Week & Space Technology

    Japan Refines Design For Indigenous Future Fighter

    日本が次期国産戦闘機に磨きを入れる
    A Japanese combat aircraft may have become more conventional
    日本製戦闘機は通常の姿になったようだ

    Nov 23, 2017Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology


    1. 日本が目指す国産戦闘機は長距離航続力を重視する方向に変更したようだ。平成26年度の設計案26DMU(デジタルモックアップ)が最新版だ。
    2. 平成30年中に国産開発、国際共同開発のいずれかを選択する予定だ。次世代戦闘機は三菱重工F-2の2030年代退役に備える狙いがあるが、防衛省は事業先送りも匂わせている。
    26DMUの特徴
    1. 26DMUの姿がこれまでも部分的に現れているが防衛省の公開セミナーで出た想像図で明確になった。以前の25DMUとの大きな違いは翼幅が縮まりアスペクト比が高くなったことだ。
    2. 26DMUの後縁形状は以前は後方だったが今度は前方角がつく。この変更で翼付け根の琴線が延長されているようでこれもアスペクト比を増やす。高アスペクト比で航続距離は伸びるが、超音速飛行では抗力が増える効果が出る。
    3. 防衛省は航続距離と長時間飛行性能で妥協しないようだ。防衛装備庁(ALTA)で次世代戦闘機を主管する土井博史は2016年にAviation Weekに当時未発表の26DMUは長距離飛行性能を重視しその他性能は中程度で甘受すると語っていた。
    4. 25DMUからこの設計思想が採用されたのは分析結果で長距離性能が重要と分かったためだ。この効果が空戦性能より重視された。
    5. 25DMUで長距離ミサイル6発の機内搭載が示され26DMUも継承している。MBDAのメテオと短距離ミサイルの混合搭載が考えられ、長距離交戦の想定だ。25DMUでは機関銃一門も想定した。
    6. 想像だが、26DMUで機体構造や推進系の改良で主翼変更による巡航時空力特性の劣化を補うのだろう。技術陣はF-2よりファスナーではなく接着剤の大幅採用で10%の重量削減を狙う。
    7. 26DMUの各フィンは鋭くなり延長されている。尾翼も変更された他、主翼後縁部に可動部分が二か所と以前の一か所より増えた。
    X-2の成果
    1. 他方で次期戦闘機技術の実証機X-2は目標を達成した。三菱重工が同機を初飛行させたのは2016年4月でその後同機はALTAに引き渡された。当初はフライトテスト50回予定だったが、データが良好のため一部を割愛できたと関係者が同上セミナーで述べていた。結局34回で各1時間で完結した。
    2. 同上関係者はレーダー特性がすぐれていたというがそれ以上の言及は避けた。IHIのXF5エンジンも高迎え角でも性能は予想以上だったという。
    3. X-2はステルス、高機動性、低速での取り扱いの実証が主な目的だった。推力偏向エンジンノズルを搭載し、高迎え角はXF5に難易度が高かったがエンジンは難なく作動したと同上関係者は述べた。推力も想定より若干高かった。その他の条件でもエンジン推力は予想以上だった。X-2の最高速度記録は高度6千メートル(20千フィート)でマッハ0.8だった。
    4. X-2で迎え角がどこまで試されたかは不明だが、同上関係者によれば米独共同開発X-31実験機が1992年に70度を試している。その状態で飛行すると運動エネルギーが急速に失われ、空戦時に不利だが、巧みに操縦すればミサイル回避も可能でドップラー手法でレーダー追尾もかわせる。■

    2017年11月27日月曜日

    B-1の投入頻度が高まっていることに注目



    「死の白鳥」問題はTu-160「白鳥」と混同した韓国記者の記事を朝日新聞がそのまま紹介したた背景がわかりました。思い込みは怖いですね。B-1は「ボーンズ B-ONE-s」と呼ぶべきでしょうね。報道機関にはB1の誤った記述を早急にあらためてもらいたいものです。

    B-1 Bombers Stay Busy—Flying Record Numbers of Missions 多用されるB-1爆撃機がミッション回数記録を更新

    Lancers are driving a sharp increase in Pacific show-of-force flights 太平洋でランサーが示威飛行を急増させている。

    B-1 Bombers Stay Busy—Flying Record Numbers of Missions
    WIB AIR July 10, 2017 Robert Beckhusen

    1. 北朝鮮がICBMの初発射に成功した直後に、米空軍B-1ランサー2機はグアムから離陸し、同国近くまで進出した。韓国と日本の戦闘機を従えて。
    2. 7月7日、8日には同型2機がペンタゴンが「示威行動」と呼ぶミッションを実施した。
    3. 太平洋で爆撃機フライトが急増していること自体は目新しいことではない。ランサーはアンダーセン空軍基地から飛んで威力を見せつけることが増えているのはAir Force Magazineが示している通りで2016年は合計73回もあった。これは前年比62パーセント増だ。
    4. 今年は2016年実績を上回るの確実だ。「倍増してもおかしくない」とスティーブン・ウィリアムズ准将Brig. Gen. Stephen Williamsが同誌に語っている。
    5. B-1はB-2スピリット、B-52ストラトフォートレスと並ぶ空軍が運用中の爆撃機三種のひとつだが、他機種と違うのはB-1に核運用能力がないことだ。このため空軍はランサーをしきりに投入しており、イラク、アフガニスタン、リビアで頻繁に飛んでいる。
    A B-1 Lancer takes off from Andersen Air Force Base on June 20, 2017. U.S. Air Force photo

    1. このうち対イスラム国作戦では2016年2月までに3,800発を投下している。
    2. その後、B-52がカタールのアルウデイド航空基地に移動しB-1と交替し、B-1は全デジタル式コックピットへの改修に入った。ランサーの大部分は1980年代製のままになっていた。
    3. 2016年8月にB-1はアンダーセンに到着し、2006年以来久しぶりの同基地配属となった。
    4. グアムから米軍は「連続爆撃機プレゼンス」“Continuous Bomber Presence” (CBP)を実施している。ランサー、ストラトフォートレス、スピリット各機を交代でアンダーセンから発進させ北朝鮮と中国の抑止がねらいだ。
    B-1s lined up at Andersen Air Force Base, Guam in February 2017. U.S. Air Force photo

    1. このうちB-2は試験用機体も入れて20機しかなく老朽化が進んでいる。このためCBPミッションはB-1とB-52に任せることが多い。
    2. B-1はペイロード75千ポンドがあり危険空域を高速ダッシュで脱出できる。このため米大統領は同機を北朝鮮ミサイル陣地の粉砕に投入するとみられる。
    3. B-1は500ポンド爆弾84発または2,000ポンドMk-84爆弾20発を搭載し、長距離攻撃ではAGM-158JASSMミサイル24発で北朝鮮を数百マイル先から攻撃できる。■