2026年4月13日月曜日

イラン戦争のもう一つの戦線としてのインターネット空間に注目、イランはネット遮断を続けているが国内の蜂起を支援する動きも外部から出てきた

 


イランのもう一つの戦線:インターネット


Sara Bazoobandi

April 10, 2026

War On The Rocks


1. インターネット遮断の実態 イラン政府は自由なインターネットアクセスを、国家のメッセージを広める者には与え、それ以外には拒否する「特権」として扱ってきた。2026年4月にイスラエルとアメリカによる攻撃が始まった約4時間後、インターネットのトラフィックは98%減少し、ほぼ完全な通信遮断(ブラックアウト)が発生した。これは政府が自国の通信インフラを意図的に解体し、通信を完全に停止させた結果である。攻撃は敵対国による軍事施設などを標的としたものであったが、インターネットの遮断はイラン政府が自国民に対して課したものであった。

2. 繰り返される遮断 このパターンは、2025年6月の戦争中や2026年1月の抗議活動中にも同様に見られた。政府は「国家安全保障」や「サイバー攻撃の阻止」を公式な理由に掲げているが、実際には市民を外の世界から切り離し、惨劇を隠蔽し、家族間の絆を断ち切るために行われている。2026年4月8日に発表された停戦条件には、ミサイルや核施設については含まれていたものの、9,000万人のイラン人のためのインターネットアクセス回復は含まれていなかった。

3. ディアスポラによる支援と検閲回避 イラン国外のディアスポラ(離散者)勢力は、政府の検閲に対抗するインフラを構築してきた。Psiphonの「Conduit」やTor Projectの「Snowflake」といったプロキシネットワークを通じ、ボランティアが自分のデバイスの帯域幅を「橋渡し」として提供している。2026年初頭からの制限以降、Psiphonの利用者は一日最大960万人に達し、全人口の10%以上がこれらの回避ツールを利用している。しかし、政府がネットワークを完全にシャットダウンすれば、これらのツールも機能しなくなる。また、スターリンク(Starlink)の端末も密輸されているが、その数は極めて少なく、所持しているだけで死刑を含む厳罰に処されるリスクがある,。

4. 特権階級と一般市民の格差 イラン政府は、自らの声を代弁する者には「白いSIMカード」などを通じて無制限のアクセスを特権的に与えている。X(旧Twitter)の位置表示機能により、政府高官や国営メディア関係者が、一般市民には禁止されているプラットフォームを直接利用している実態が明らかになった。一般市民は、国家が管理する制限された「国内イントラネット」しか利用できず、そこでは世界的なサービスは利用できない。

5. 市民の安全を守る代替手段 イスラエルや湾岸諸国がモバイルアプリ等で市民に空襲警告を送るシステムを備えているのに対し、イラン政府にはそのような仕組みがない,。そのため、インターネットは市民が攻撃場所を把握し、避難所を探すための唯一の手段となっていた。この空白を埋めるため、活動家たちはオフラインでも動作し、攻撃場所や病院をマップ上に表示する「Mahsa Alert(マフサ・アラート)」というプラットフォームを構築した。

6. 国際社会への提言 2026年2月末から始まった通信遮断は456時間を超え、過去最長を記録した。米国や欧州諸国はイランの抑圧を批判しながらも、停戦交渉などでインターネットの自由を条件に含めていない。米国や欧州諸国は外交・経済的関与の条件としてインターネットアクセスの回復を明文化すべきであり、テクノロジー企業も端末の提供や費用の免除などで支援すべきである。■


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著者について サラ・バズーバンディ博士は、中東におけるAIの専制的な利用やサイバー抑制を専門とする研究者であり、ドイツのDigiTraLプロジェクトのメンバーである




Iran’s Other Front: The War Over the Internet

Sara Bazoobandi

April 10, 2026

https://warontherocks.com/irans-other-front-the-war-over-the-internet/


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