EMP攻撃が一番恐ろしいシナリオであることは何度もお伝えてしているつもりです。電力網、コンピュータ通信、自動車等の点火装置が作動しなくなった社会では水道供給も止まり生存が厳しくなり、経済も崩壊するからです。ミサイルの破片がどうのこうのと言っている人にとっては想像もつかないでしょうが、これが実施されれば日本は江戸時代に戻るといってもいいでしょう。北朝鮮は韓国を併合するつもりでしょうから韓国にはEMPのスピルオーバーは与えないでしょう。そうなると狙いは本州中央部より東でしょうか。日本は途上国以下の状態に一夜にして転落することになります。
North Korea Shows H-Bomb Warhead Design, Says It Will Use It In EMP Strike
北朝鮮が水爆弾頭部を公開し、EMP攻撃に使用すると公言
North Korea with a thermonuclear bomb would be a very alarming development, but is it possible?
- 金正恩は米国の労働者休日の週末をのんびりすごさせてくれなかった。北朝鮮のアメリカおよび同盟国への脅威をあらためて思い知らせてくれた。このたび発表された写真数点を見ると熱核兵器弾頭部分の設計が完成の域に達しており、長距離弾道ミサイルへ装着が近づいているのがわかる。
NORTH KOREA STATE MEDIA
北朝鮮が水爆と称する装置。背後に見える先端部は火星14型ICBMのもの。
- 「水素」爆弾または「熱核」爆弾は核「分裂」または「原子」爆弾より相当強力な威力を発揮する。
- Livescience.comが両者の違いをうまく説明している。
- 「熱核爆弾と核分裂爆弾の違いは原子レベルから見られる。分裂爆弾の例が広島、長崎に投下されたもので原子の核を分割することが原理だ。中性子が原子核から出て分離するとそばにある原子の核にあたり、それぞれの核を分裂させていく。広島、長崎の爆弾はそれぞれ15キロトン、20キロトンのTNT換算と憂慮する科学者連盟がまとめている。
- これに対して熱核爆弾(水素爆弾)のテストは1952年11月に米国が実施し、10千キロトンTNT換算だった。熱核爆弾の原理も最初は分裂反応で原爆と同じだが、原爆ではウラニウムまたはプルトニウムは大部分を活用していない。これに対して熱核爆弾では爆発効果をより多く利用可能とする工程が加えられている。
- まず点火材となる爆発でプルトニウム239の球体を圧縮する。プルトニウム239が分裂の際に活用され、水素ガスを封入している。高温高圧がプルトニウム239分裂を生み、水素原子が溶解する。この溶解課程で中性子が放出され、プルトニウム239に戻り一層多くの原子が分割され分裂の連鎖反応を加速する」
WIKICOMMONS
- 今回公表された写真から何がわかるかは専門家による十分な分析を待つしかないが、外観には警戒の念を持たざるを得ず、つくりは相当完成度が高いよ鵜に見える。小型化した熱核爆弾弾頭は弾丸の形のようなテレアー・ユラム形状あるいは砂時計状の形となり二段式の球状の外観となるものだが北朝鮮の写真がまさしくこれだ。
NORTH KOREA STATE MEDIA
- 金正恩の隣にある写真の形状でミサイルの先端部への取り付け状態が分かる。以下は米製W80熱核爆弾の弾頭部だ。
WIKICOMMONS/PUBLIC DOMAIN
- 北朝鮮が発表した写真から平壌が言う通り原子爆弾部を小型化に成功したことがわかる。北朝鮮の長距離核抑止力が実効力を発揮するためには核弾頭小型化とともに再突入が確実に行われることが必要である。
- 今回の公表写真を宣伝目的と揶揄する向きには単なる可能性だろうが、事実は北朝鮮はこの18か月で言った通りに実現して本当に武器として実現しているのだ。例として4月15日の軍事パレードに出展された軍事装備で実証済みは一部だったが、いまや全装備のテストが完了しているのであり過去から大きな変化が生まれている。
- 端的に言えば、核・ミサイル開発での平壌による恐ろしいくらい包み隠さない発表ぶりは一貫したものがあり、一年半前には下の写真で笑いの種だったものが今や北朝鮮の核弾頭開発開発はその時点でめざしていたとおりに実現しているのだ。
NORTH KOREA STATE MEDIA
- 2016年1月6日の第四回核実験を経て北朝鮮は水素爆弾テストに成功したと主張していた。ただし裏付ける地震や大気中の放射能が見つからず主張は斥けられた。ただし北朝鮮が当時テストしたのは「ブースト型核分裂兵器」だったのだろう。これは原爆だがトリチウムと重水素のガスを点火時に圧縮するものだ。これにより核分裂兵器としての威力が相当大きくなるものの、水素爆弾には匹敵しない。だが当時のテストと北朝鮮の説明内容から核分裂爆弾ではなく熱核兵器が真の開発目標だったとわかる。
- これらをすべて配慮すると可能性はひとつで現状の北朝鮮水素爆弾開発で第六回目がなかなか実施されなかったことが説明できる。安全保障専門家は第六回目テストは必至とみて、北朝鮮も準備態勢出来次第六回目の試験を実施すると公言していた。豊渓里Punggye-ri地下核実験施設で「不審な動き」があるとほぼ毎週指摘されており、しかも前回核実験が一年以上が経過したところで信頼性のある中距離長距離弾道ミサイルが手に入ったが第六回目テストの実施はまだだった。次回テストが原爆ではなく水素爆弾のため北朝鮮は実施を待っていたと説明できる。
- 原爆の小型化から熱核兵器への移行、ならびに熱核兵器自体の小型化は北朝鮮のように貧しく孤立した国では簡単に実施できないはずだ。だが外部の援助があるようで普通な不可能な芸当を18か月で実現している。そこで北朝鮮の核兵器開発が同様の急進展を再び見せないという保証はない。
- 北朝鮮の水素爆弾実験がいつどこで行われようと、同国はその効果を使用すると公言していることにかわりない。同国国営通信は本日以下誇らしげに発表した。
- 「水爆の効果はキロトン級から数百キロトン級に変更可能であり、多機能熱核兵器として巨大な破壊力を高高度で強力なEMP(電磁パルス)による攻撃にも転用できる」
- また金正恩が以下発言したという。
- 「水爆の構成部品はすべて国産であり製造は主体思想により強力な核兵器を好きなだけ製造できるのだ」
- 高高度で生まれる電磁パルス(HEMP)の脅威が北朝鮮により生まれることは長く恐れられてきており、今や運搬装備が手に入ったため米本土攻撃も以前よりも可能性が高まっていると言えよう。だが北朝鮮によるHEMP攻撃の実現性が高いのは日本やハワイであり、米本土ではない。米本土送電網を破壊するサイバー攻撃の方が本土では高い。ただし北朝鮮が近い将来水爆を実用化すればEMP脅威は一層現実のものとなるだろう。
- 一年かけて兵器開発を相当進めたうえ、核実験からもちうど一年たち、次の核地下実験が注目される。いつ実施になるのか予想が並ぶだろうが、実施は意外に早いのではないか。■
原著者注 本稿は北朝鮮による第六回核実験の前に執筆したもの。
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