2020年10月17日土曜日

祝 進水 新型潜水艦たいげいに秘められた海上自衛隊の運用構想を海外メディアはここまで伝えている...一方、国内メディアは?

 

JAPANESE MINISTRY OF DEFENSE

 

 

本が画期的なディーゼル電気推進式潜水艦を完成させた。同艦は戦後建造の潜水艦として最大の大きさを誇る。

 

ほぼ10年にわたる研究開発を経て日本は新型ディーゼル電気推進方式潜水艦の供用開始に一歩近づいた。同艦に画期的なリチウムイオン電池が採用された。そうりゅう級最後の二隻でも同様の動力源が採用されたが、今回進水のたいげいは当初からこの仕様となっている。現時点でリチウムイオン電池潜水艦の運用国は日本だけである。

 

たいげいは2020年10月14日、三菱重工業の神戸造船所で進水し、進水式には岸信夫防衛相、山村浩海上幕僚長が出席した。

 

報道では同艦建造費は710百万ドルとある。全長は275フィート7インチで浮上時排水量は3,000トンと戦後日本が建造した潜水艦で最大。現行のそうりゅう級は排水量2,900トンだ。たいげいの乗員は70名で、海上自衛隊は「女性乗組員向けにふさわしい環境」を提供すると特記している。潜水艦学校に2020年から初の女性隊員が入校している。

 

たいげいの最大の革新性はディーゼル電気推進系の進化で、リチウムイオン電池の活用にある。そうりゅう級最後の二隻にも同様の仕様を採用し、長時間潜航能力を誇示していた。再充電時間が短縮化され、電池寿命も鉛電池を上回っているといわれる。加えてリチウムイオン電池は容積が減り、保守管理が簡単になる。

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他方でリチウムイオン電池は高価格だ。海上自衛隊の資料ではそうりゅう型標準仕様の建造単価は488百万ドルだったが、リチウムイオン搭載型では608百万ドルとある。

 

2017年にThe War Zoneのタイラー・ロゴウェイは新型潜水艦でリチウムイオン電池以外に大気非依存型推進方式(AIP)の搭載を予測した。

 

実はその時点で日本はAIPに代わる手段を模索していた。新構想は潜水艦の騒音レベルをさらに下げるべくAIP系統の可動部品を廃するとした。ディーゼル電気推進型潜水艦で注目されているAIPシステムそのものが非常に静寂だ。

 

きわめて静寂な潜水艦になれば敵は探知追尾が非常に困難になるが、AIP搭載艦より潜航時の加速性能が向上する効果も生まれる。ここにPLANの拡大する原子力潜水艦部隊やAIP搭載艦に海上自衛隊が瞬発力とステルスで対抗する意図が見える。

 

他方でリチウムイオン電池の問題点に発火しやすく、高温を発すること、さらに有毒性の排気他事故の可能性がある。このため、潜水艦では安全性をさらに担保する設計が必要だ。

 

海上自衛隊はこの問題をすでに克服し安全性への懸念を払しょくしているようだ。そうりゅう級後期建造艦には特製の自動消火装備が搭載され、たいげいにも同様の装備が搭載されたと考えてよい。

 

たいげいは推進系の性能向上を実証するねらいもありそうだ。2018年12月に日本政府は「2019年度及びその後の防衛ガイドライン」を発表し、たいげいを新技術実証を中心に使うとある。これでたいげいの開発建造が早まった背景が見えてくる。三菱重工は2019年6月に新型29SS級の建造計画を発表し、建造は2025年から2028年にかけて、一号艦進水は2031年ごろとあった。たいげいは艤装や海上公試を経て、海上自衛隊での運用開始は2022年3月の予定だ。

 

たいげい、さらに今後建造される各艦は日本が進める防衛力整備の一環で、日本周辺で安全保障への懸念が強まる状況に対応するものだ。まず、中国があり、とくに海軍力整備が加速している。またそこまでの威力はないが北朝鮮も潜水艦発射式弾道ミサイルの新型含む新兵器を公表している。

 

人民解放軍海軍(PLAN)の東シナ海、南シナ海さらに太平洋での活動が急増している中、日本の防衛計画には潜水艦部隊を22隻まで増強する項目が入っている。

 

海上自衛隊が現在運用中の潜水艦はおやしお級(排水量2,750トン)の9隻、そうりゅう級(2,900トン)が11隻あり、さらにリチウムイオン搭載そうりゅう級とうりゅうが2020年3月に就役した。同艦は現在各種試験中でその後正式に自衛隊艦隊に編入される。

 

この潜水艦22隻体制で日本は少なくともたいげい級潜水艦2隻を加える意向で、うち一隻の建造費用が最新の予算要求に入っている。防衛予算案にはF-35共用打撃戦闘機から極超音速ミサイルまで大型案件複数が入っている。令和3年度防衛予算は550億ドルに達する。

 

新型潜水艦は東シナ海、南シナ海の重要海上交通路を確保する海軍力の先鋒となることに加え、海外の関心も呼びそうだ。そうりゅう級のオーストラリアへの売り込みは不調に終わったが、日本政府は防衛政策を練り直しており主要装備品の輸出に道を開いた。リチウムイオン電池技術の優位性を体現したたいげい級あるいはその搭載装備は広く関心を集めそうだ。

 

同艦で採用した電池推進システムを他国が採用するかは今後の話だが、海上自衛隊の潜水艦部隊がリチウムイオン電池推進に向かっているのは明らかだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。日本国内の報道はおしなべて表面的でここまで掘り下げていませんでした。一般社会の軍事装備品への関心の低さ、もあるのでしょうが、技術そのものへの関心度が低くなっているのは今後心配な事象です。

 

Japan Just Launched Its First “Big Whale” Lithium-Ion Battery Powered Submarine

BY THOMAS NEEDICK OCTOBER15, 2020

 


2020年10月15日木曜日

F-3を開発すべきか、忠実なるウィングマン無人機を開発あるいは導入すべきか 防衛省内でどんな議論が展開したのだろうか

 

SATOSHI AKATSUKA VIA LOCKHEED MARTIN/CODE ONE

 

菱F-2戦闘機の後継機種検討で無人戦闘機案も選択肢の一つだった。無人戦闘機の提案は自民党の河野太郎が費用削減策として出したとの報道がある。

 

提案を今年初めに検討したと共同通信が伝えている。だが防衛省が同案を一蹴したようだ。同案はイージスアショア導入の断念直後に退けられたとあるが、実際に二つが関連していたか不明だ。

 

共同通信記事では無人機を「戦闘機」としており、日本関係者は高性能無人戦闘航空機(UCAV)の導入を検討していたとある。しかし、記事では同機の具体的な性能要求を伝えていない。

 

日本にMQ-9リーパークラスの無人機がないことに注目すべきだ。日本はRQ-4グローバルホークのブロック30機材を3機導入するが、米空軍が同型機の退役案を提案していることから新たな疑問も生まれている。

 

U.S. AIR FORCE/CAPT. AARON CHURCH

アンダーセン空軍基地の319作戦群分遣隊1所属のRQ-4グローバルホークが定期巡回展開で横田航空基地に着陸した。Japan, May 30, 2020

 

 

無人戦闘機導入の話題が日本で出たのはこれが初めてではない。ただし、提案の却下理由は明らかではなく、今回提案のあった無人機の詳細情報はごく限られている。

 

今回の無人機導入提案の裏には新型戦闘機在開発の費用圧縮があったのは明らかだ。

 

これまで日本はF-22ラプターステルス戦闘機の調達を狙ってきた。その後も同様の高性能機材を手に入れる願望を断念せず、完全国産あるいは外国提携先の手を借り実現を目指してきた。ここから無人戦闘機の選択肢に影響が出たのだろう。また自律型技術の国産開発は可能なのか懐疑的に伝える報道もある。

 

U.S. AIR FORCE/YASUO OSAKABE

エルメンドーフ-リチャードソン共用基地から飛来したF-22ラプターが横田基地を離陸した。 July 17, 2018.

 

 

さらに日本はX-2心神実証機に332百万ドルを投じ、一機を製造しテスト飛行させた。X-2はステルス性機体、推力偏向型低バイパス比ターボファン二基で軽快な機体制御性能を実現したが、ここが日本の次期戦闘機にも期待される性能なのだろう。

 

 

AP PHOTO/EMILY WANG

X-2実証機、三菱重工格納庫内で

 

一方で日本はF-35を大量発注しており、147機をそろえる。ここにF-35Aが100機含まれ、F-4EJファントムII後継機とする。さらに42機が短距離離陸垂直着陸型F-35Bでいずも級空母搭載を目指す。

 

U.S. AIR FORCE/STAFF SGT. DEANA HEITZMAN

三沢航空基地で航空自衛隊と第35戦闘航空団の関係者が航自向けF-35Aの一号機到着を見守った。 January 26, 2018

 

さらに日本は200機近くあるF-15J制空戦闘機の半数に大型予算をつぎ込み、日本向けスーパー迎撃機 (JSI) 仕様に改良する。米政府は2019年10月にこの案件を承認した。改良の中心は新型アクティブスキャンアレイレーダー、ミッションコンピュータ改良型、電子戦装備の一新他だ。

 

こうした有人戦闘機出費がUCAV案を葬ったのかもしれない。ただし高性能無人機はある時点までは有望な選択肢だったのだろう。

 

日本は競合相手のロシアや中国、さらには自らの同盟国と違い、無人航空機開発に及び腰で、防衛体制の中で無人機をどう活用するのか明確な方向を示していない。防衛省内で有人機推進派と無人機派で対立があるのかも不明だ。

 

航空自衛隊がF-3を純国産あるいは海外国との共同開発で有人戦闘機を就役させるのかまだ不明だ。有人ステルス戦闘機を開発し、配備すると非常に高価格となり、時間もかかることは歴史が証明している。このためUCAV案が防衛省内で浮上したのだろう。共同開発で費用面等は抑えられるだろうが、それでも日本には相当の負担となる。日本関係者の話として新型有人戦闘機開発をいちからはじめれば500億ドルに加え定量化不可能な時間がかかるとあった。

 

第四世代機F-2で日本が直面した問題からこの危険さはすでにわかっている。F-16ヴァイパー原型のF-2は相当の高価格機となり、日本製アクティブ電子スキャンレーダーを搭載した少数生産が背景にあった。

 

U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN DANIEL SNIDER

航空自衛隊の三菱F-2Aと米空軍F-16がレッドフラッグ-アラスカ19-2演習で アラスカのエイルソン空軍基地に並んだ。 

 

 

日本にとって費用対効果が一番高いのはF-35とF-15JSIのハイ・ローミックスではないか。両機種は生産中で広範囲の支援が活用できる。また両機種で性能改修が続いており、今後はさらに魅力的なオプションが出てくるだろう。

 

さらに費用対効果が高くミドルエンドのステルスUCAVが近い将来に出現してもおかしくない。既存戦闘機と飛ぶ忠実なるウィングマンとすればよい。自律飛行も可能だろう。ただ、航空自衛隊の戦術機材の主要任務が防空と対艦戦で、F-2のように生身のパイロットを乗せるのは良い策とは言い難い。とはいえ防空ミッションではパイロットはまだ必要だ。

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本土防空ミッションは近い将来も有人機が本領を発揮する分野だろう。日本は極めて高い頻度でスクランブル出動を年間を通じ実施しており、ロシアや中国機が日本領空へ接近することが多くスクランブルは年千回に達する。これだけの頻度だと日本の戦術機部隊に相当の負担となり、こうしたミッション実施は無人機では交代できない。

 

無人機が利点を発揮するのは対水上艦戦任務だが、その他にも可能性がある。対地攻撃任務もその一つで、その他にも長時間飛行の海上パトロール機が長距離対艦ミサイルを搭載し、統合運用部隊とネットワークで結べば効果がさらに上がる。現在はF-2がこの任務に投入されているが、同機は同時に空対空戦もこなしており、将来登場する多用途機も同様に重宝されるはずだ。これで航空自衛隊のF-15部隊を他の任務に回せる。

 

BOEING AUSTRALIA

ボーイング・オーストラリアが開発した忠実なるウィングマン無人機なら日本の有人機をうまく補完するはずだが、有人機をすぐ全廃することにはならないだろう。

 

 

有事になれば多用途戦術機材が発揮する柔軟性が日本列島防衛に効果を発揮するはずだ。また国産あるいは輸入機材の忠実なるウィングマン無人機がこうしたミッションを大いに助けるとはいえ、防空で空対空戦をすべて無人機に任せるのは現実的ではない。日本の国土条件を考えればUCAVの長距離飛行性能の必要度は高いとは言えない。

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結局のところ日本は忠実なるウィングマン無人機を自国開発し、戦闘機部隊の補完勢力にするほうがいいのではないか。このほうがハイエンド新型戦闘機あるいは高性能UCAVを開発するよりはるかに現実的であるばかりか、産業界や運用面で複合効果が生まれ、さらに技術進歩によりさらに高性能のUCAVの登場につながることになるのではないか。

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F-2後継機種がなんであれ航空自衛隊は2035年ころの交代を予定している。■

 

この記事は以下を再構成したものです

 

BYJOSEPH TREVITHICKTHOMAS NEWDICKTYLER ROGWAYOCTOBER 14, 202


2020年10月13日火曜日

エンジン換装だけじゃない。B-52はここまで性能向上し、2050年代まで供用される。

 ーイングB-52は改修に今後10年かけて30年間さらに供用可能とする。機齢60年に近づくB-52は米空軍爆撃機部隊の屋台骨だ。さらに30年間供用すべく航続距離、推進力、センサー、爆弾搭載量に改良を加える。

改修はもうはじまっており、2020年代通じ実施されると、1950年代60年代製造の各機に新しいエンジン、レーダーがつき、機内爆弾搭載量が増え、通信接続性能が向上し、さらに最新鋭ミサイルの運用能力も付与される。また、B-52は核抑止力の中核を担う。

これだけの改良となると型式名称をB-52HからB-52Jにしておかしくない。新型レーダー搭載で機首形状も変わり、スナイパーあるいはライテニング目標捕捉ポッドを主翼に搭載するはずだ。エンジン二基ずつのポッドも形状が変わり、搭乗員5名も4名に減る。

米空軍はすでに14億ドルをB-52改修に投じ、今後5年間でさらに38億ドルを使う。その後も相当の額を投入するはずだが、詳細は不明だ。

「中尉時代に操縦したのと違う機体になる」とアンドリュー・J・ゲバラ少将(グローバル打撃群団戦略立案計画部長)が Air Force Magazine 9月号で述べている。性能改修と並行してB-52では空軍最新鋭のAGM-181長距離スタンドオフ(LRSO)核巡航ミサイル、極超音速AGM-183空中発射式迅速対応兵器 Air-launched Rapid Response Weapon (ARRW)も運用可能となる。

もともとB-52の機体は念入りに製造されており、いまでも驚くほど頑丈で構造寿命は数十年残っている、とゲバラ少将は述べる。戦闘システムは1991年の湾岸戦争以来大幅な変更がないが、出撃稼働率はほぼ80パーセントと空軍でも有数の働きぶりを示しており、スタンドオフミサイルを発射し、自由落下爆弾や精密誘導爆弾を投下し、機雷敷設もしてきた。

このままだとB-52はB-1、B-2よりも長期間供用されそうだ。B-1、B-2は2030年代に第一線を退き、新型ステルス爆撃機B-21が登場する。

B-52 improvements

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AFGSC司令ティモシー・M・レイ大将は「必須」内容の改修だけの実施にこだわっているとゲバラ少将は説明し、「あったらいいな」の内容は不要だという。実施を見送った内容には大型航空機赤外線抵抗装置( LAIRCM)があり、B-52は近接航空支援任務には投入しないことになったため同装置も不要とされた。LAIRCMは低出力赤外線の脅威から防御する装備で優先順位は低いとゲバラ少将は解説。

エンジン換装 

ただし、エンジンは必須だ。新型エンジンがなければ「ただの飾り物になってしまう」(ゲバラ少将)

B-52用民生エンジン交換事業ではB-52のエンジンTF-33の8基を新型ビジネスジェット用エンジンに換装する。目標は航続距離を3割伸ばし、あるいは滞空時間をのばしながら、空中給油の回数を減らし、いったん装着すれば供用期間を通じ交換の必要がない信頼性高いエンジンに換装することだ。

B-52エンジン換装の四候補. Mike Tsukamoto/staff


グローバル打撃軍団では2018年にエンジン換装に220億ドルかかると試算したが、燃料費で100億ドル節約でき、整備工数も減る効果が期待できるとした。実際の費用はエンジンが未選定のため不明だが、主要エンジンメーカー各社が採用を巡りしのぎを削っており、来春の選定を待つ。ロールスロイスGEエイビエーションレイセオンテクノロジーズのプラット&ホイットニーが既存のビジネスジェット用エンジンの採用を期待している。B-52製造を担当したボーイングがエンジン統合にあたる。

選定に当たり、実機の運転試験よりもデジタルモデルを多用することになりそうだ。空軍はエンジン換装は5年以内に開始できるとみている。

AFGSC隷下の第八空軍司令マーク・E・ウェザリントン少将は起動に治れば年間30ないし40基のエンジン換装になるとみている。

B-52主翼下にARRWを装着している。ミサイルに書かれたロゴはラテン語でチェラリレスポンシオとあり、迅速対応の意味だ。 Giancarlo Casem/USAF

接続性

エンジン換装は時間がかかりそうだが、その他の面では改修がすでに始まっている。完成度が高いのはCONECT性能改修で戦闘ネットワーク通信技術Combat Network Communications Technologyの略でデータリンク、処理能力、移動地図、フルカラーティスプレイ、飛翔中の兵器目標再設定を含む。

ゲバラ少将によれば8月時点でB-52の76機中69機でCONECT改修が終わっているという。CONECT搭載でラップトップコンピュータ、ケーブル、ポストイットでごちゃごちゃのコックピットがすっきりし、BUFFのあだ名のB-52が21世紀らしくなると、ゲバラ少将は説明。

新型レーダー 

B-52搭載のAN/APQ-166レーダーは旧式で交換が必要だ。アナログ・機械式の旧式技術特有の弱点がついて回るとゲバラ少将は言い、空軍入隊した30年前でさえすでに旧式だったという。「B-52操縦を開始した時点で20年前から供用中の装備だった。地上要員にとって整備は悪夢だった」という。

後継装備に制式名称がまだない。2019年7月に選定されたのはレイセオンのAPG-79/APG-82ファミリーで海軍のF/A-18ホーネットに搭載されており、F-15Eストライクイーグルとも共通する。「既製品」で「最小限の費用で最大の有用性」が欲しいとゲバラ少将は述べている。

このレーダーは電子スキャンアレイ(AESA)方式で2024年に低率初期生産が始まる。搭載すれば地図表示機能、標的捕捉範囲が改良さあれ、複数目標に同時対応も可能となる。半導体レーダーであり、可動部品がないため整備も楽になる。また2026年に第一線稼働が始まる(ゲバラ少将)

このレーダー採用でB-52乗員は5名から4名に減る。ただし、正式な方針決定ではないとゲバラ少将は付け加える。「これだけの性能改修を実施するのだから搭乗員も減らしたい」という。

2000年代初頭にはエンジン換装したB-52をスタンドオフジャミング機材にする構想があった。新エンジンでジャミング用電源が確保でき、その範囲を戦域規模に広げられる。こんな構想だがゲバラ少将はジャマーに同機を転用する構想は今はないという。

「急を要する内容ではない」とし、「B-52は2050年ごろまで供用となり、あと数年で今後の方向が見えてくるはず」という。

バークスデイルAFB(ルイジアナ)で共通戦略ロータリー発射装置にAGM-86B巡航ミサイルを装着しB-52Hに搭載を急ぐ地上要員。AGM-86Bは旧式化しており、極秘AGM-181長距離スタンドオフミサイルに交代する。 Senior Airman Lillian Miller

搭載量をさらに増やす

B-52の中心は常に大量のペイロードの搭載だ。今回はさらに拡大する。1760ウェポンベイModにより「スマート」兵器のAGM-158JASSM、GBU-31JDAMを機内に搭載するほか、主翼下にも搭載する。「スマート兵器搭載量は22発分増える」(ゲバラ少将)

このmodを外すと「通常」爆弾、つまりセンサーや衛星誘導のない爆弾を機内に搭載する。

またB-52はAGM-181長距離スタンドオフ(LRSO)ミサイル、AGM-183A空中発射迅速対応兵器(ARRW)を運用可能な唯一の機材だ。

LRSOは用途廃止予定から20年経過したAGM-86 空中発射方式巡航ミサイルの後継装備となる。LRSOの第一線投入は2020年代末の予想だが、きわめて長距離射程のステルス兵器となり、敵防空網からはるか遠距離から発射可能となる。米空軍はこのミサイルの大きさ、性能、威力について口を閉ざしているが、2019年に選定に残ったレイセオンが製造する。

一方でARRWは米軍初の極超音速になりそうだ。ゲバラ少将によればB-52は左右主翼パイロンで二発のARRWを運用するという。ARRWもわかっていることはごくわずかで、ロケットブースターで極調音足へ加速した後滑空して命中するという。

「このミサイルは10分で1千マイル飛び、すごいですよ」(ゲバラ)

ゲバラ少将はCONECTmodでARRWの追加搭載も可能となったと述べている。

CONECTに関しては「目標地点の資料がすべて手に入る」とし、これまでは爆撃手が機体下部で座標をタイプし、正しい情報のはずと期待していたのとは大違いだという。

空軍はスクラムジェットを使う空気吸い込み式極超音速ミサイル「メイヘム」の実用化もめざしており、ARRW同様に戦闘機から爆撃機に搭載可能となる。この原型は極超音速空気取り入れ式兵器構想(HAWC)で空軍は国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)と実現を目指している。

レイ大将はARRWの初期作戦能力獲得は「あと数年先」と述べている。

ただし、B-52の防御装備については改修の方向が見えていない。ゲバラ少将はまだ決まっていないのだと説明している。

とにかくテストだ

これだけ多くの装備品をテストし、しかも時間を意識して展開するため、B-52テスト部隊に8機投入の必要があり、レーダー、エンジン、新型ミサイル、その他に2機ずつあてるとゲバラ少将は説明。「エンジンで二か月遅れても、あるいは未知の問題に直面しても、レーダーその他のテストに影響は出ない」”

レイ大将もグローバル打撃軍団の組んだテスト日程、改修作業予定は効果を上げるはずとみている。「実施能力について心配はない。よく練り上げた計画になっている」

AFGSCはデイヴィス-モンタン空軍基地(アリゾナ州の機体墓場)からB-52を2機再生したが、ゲバラ少将はこれ以上の機体回収は期待できないので現行部隊からテスト用機材を手当てするという。

ARRWにせよLRSOにせよ、B-52からの発射に大きな改修は不要だが、空軍がオープンミッションシステムの構造を全機種に導入するとしているので、B-52も今後の供用期間を通じ絶えず更新を受けることになるという。

「これがB-52のいいところです。iPhoneと似ています。アプリを追加すればいつでも新しくなれるんです。これはすごいことです」(ゲバラ少将)■

この記事は以下を再構成したものです。

BUFF Up

By John A. Tirpak

Oct. 1, 2020



2020年10月12日月曜日

ジョン・ウェインがもちこんだ戦争映画企画を海兵隊が握りつぶした理由

 


John Wayne (1907-1979), Wikipedia

 

説の映画俳優ジョン・ウェインは西部劇全盛期に長いキャリアを維持し今も有名だ。代名詞のカウボーイハットとウィンチェスターモデル1892レバーアクションライフルは語り草になっている。だがデビュー作は第一次大戦が題材のドラマFour Sonsで、「戦争もの」十数作にも出演している。「コレヒドール戦記」、「硫黄島の砂」、「危険な道」、「史上最大の作戦」、「グリーンベレー」などだ。

 

「グリーンベレー」でウェインは監督も担当し、「ヴィエトナム戦をカウボーイ対インディアンの視点で描いた作品」(映画評論家ロジャー・エバート)との批評もあったものの、米軍の全面協力を得た唯一の作品として特筆すべき存在だ。ウェインは生涯を通じ共和党支持だったが民主党のリンドン・ジョンソン大統領や国防総省を説得し、装備品を提供させた。

 

同作は興業面で成功作になったが、批評家の不評を買い、同時にヴィエトナム戦中の軍を肯定する視点を打ち出すのにも失敗した。ジョン・ウェインは軍に好意的な関心を当てようとし、1954年に朝鮮戦争が題材の作品を製作しようとしたことがある。この年は朝鮮半島での「警察行動」が正式な休戦条約の無いまま終了した翌年であるが、米海兵隊が企画をボツにしたのだった。


1940年代から1960年代末まで国防総省はハリウッドの戦争映画製作に支援を惜しまず、軍の姿を「正確かつ正しく伝える」よう期待してきた。

 

 

海兵隊新聞はウェイン企画が実現しなかったのは「海兵隊の広報活動に決定的打撃を与える可能性」を海兵隊が恐れたためとする。

 


1954年8月の海兵隊新聞はウェインがペンタゴン広報のドナルド・バルーチに送った書簡で映画Giveaway Hillへの軍の支援を要請したと伝えた。朝鮮戦争で激戦となったが記憶されなかったVegas前哨基地の戦いのシナリオで1953年3月、休戦のわずか4か月前に国連軍が中国軍と戦った話だ。

 

現地では主要抵抗線(MLR)付近の前哨基地三か所にはネヴァダ州都市名がつき、ヴェガス、リノ、カーソンの各地点に第一海兵師団が配備された。

 

中国軍が3月26日に奇襲攻撃すると、リノ、ヴェガスを防御する海兵隊は兵力で圧倒されてしまう。海兵隊員ほぼ全員が死亡あるいは捕虜となった。国連軍の反攻はヴェガスでは成功したが、戦闘4日後でもリノは中国軍が占拠したままだった。そこで国連軍はその一帯を共産軍に「くれてやる」Giveawayことにした、というのが同作の題材だった。

 

ウェインは製作陣と出演俳優に第一海兵師団への訪問許可と装備品の提供を求めた。これまでの軍の関係から要請はすぐにも実現すると思われた。しかし、海兵隊のフランク・ワーシグ准将がシナリオを読み重大な懸念をバルーチに伝えてきた。題名からして好意的でない一般の反応を巻き起こしそうだった。

 

ラテン系海兵隊員が差別される筋書きにも海兵隊が難色を示し、ウェインが変更を受け入れたくなかったのか、あるいは単に製作意欲を失ったのか不明だが、同作は結局製作されることはなかった。


海兵隊が「硫黄島の砂」制作にあたりウェイン他に基礎訓練体験を許した。同作の撮影では製作元のリパブリック映画にキャンプペンドルトンで無条件撮影を許し、一個大隊をまるまるエキストラで出演させたのと好対照な結果になった。

 

ウェインは六年後にもうひとつの不名誉な「最後の砦」の戦闘を描く「アラモ」に製作監督も兼ね主演した。同作はウェイン自身の個人的なこだわりを反映したものだったのだろうか。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

The U.S. Marine Corps Actually Killed a John Wayne Movie

October 7, 2020  Topic: History  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: Marine CorpsMilitaryJohn WayneHistoryGuns

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. 


2020年10月11日日曜日

2020年大統領選挙;外交安全保障政策に関するトランプとバイデンの違いは?あなたなら選ぶのはどちら?

    

 

 

11月3日の投票日が近づいてきた。 (Drew Angerer/Getty Images)

 

我々に投票権はありませんが、11月3日が歴史の分かれ目になる可能性があるわけで、大統領の座を目指す候補者の見識に注目が集まります。難しい選択なのかもしれませんが、どうもバイデンの言っていることには真実味がない気がします。左翼のめちゃくちゃな主張を前にバイデン大統領だと思考停止行動不全になりそうです

 

 

軍備管理について

ドナルド・トランプ大統領: トランプ政権は2015年のイラン核合意、1987年の中距離核兵器条約双方から脱退し、さらに1992年のオープンスカイズ条約も破棄する構えだ。ミサイル技術管理体制の緩和で武装無人機の海外販売制限も取り除いた。これは中国が中東で防衛装備を通じた関係強化に向かうのを見ての対応だ。2010年調印の新START核兵器削減条約は来年2月失効するが現政権に延長の意向がないようだ。政権の言い分は新しい枠組みとしロシアの戦術核兵器増強に加え中国への対応を目指すというものだ。中国の核兵器体系はまだ小規模だが増加傾向にあり、しかも条約に調印する姿勢はない。

 

ジョー・バイデン前副大統領: 軍備管理を主張する向きから支持を受けるバイデンは新STARTを一新し、ロシアが提言する無条件5年延長を受け入れそうだ。イラン核合意についてもイランが条約を完全実施すれば再度加入すると発言している。トランプ大統領は紛争地帯での地雷の利用で米軍が受けてきた制約を緩和したが、バイデンは一般市民が危険にさらされるとし流れを戻したいという。

 

核兵器について

トランプ: 現職大統領は核兵器の三本柱すべてで近代化を続けるとみられ、予算環境が厳しい中でも議会は超党派でこれを支持している。トランプ政権はW76-2潜水艦発射型低出力核弾頭でロシアに対抗するとし、潜水艦発射型の巡航ミサイルSLCMの実現もめざす。トランプ政権は445億ドルの核兵器関連予算を2021年度に求めており、既存核弾頭の供用期間延長とともにW93潜水艦発射型弾道ミサイル弾頭の開発もすすめ、プルトニウムの増産で核弾頭を年間少なくとも80個生産させる。

バイデン: バイデンからはトランプの拡大路線にブレーキをかける意向が感じられる。W76-2及びSLCMには反対の姿勢だ。バイデンは左翼からの圧力を受け、現行ミニットマンIIIを新型ICBMで更改する方針を撤回するだろうが、本人はまだ意向を表明していない。核兵器投入の選択肢を残す現行政策の見直しをしたいとの発言があった。

 

国防予算について:

トランプ: ペンタゴンの五か年国防構想では2021年以降はコロナウィルス関連支出のため国防予算は横ばいになるとあり、これは大統領当選者にかかわらず既定の方針だ。トランプは2018年に7千億ドルの大規模国防予算で記録更新したが、さらに2019年に7,160億ドル、2020年には7,330億ドルへ膨れ上がり、宇宙軍も創設した。国防予算を大量に流用し、国境の壁を建設したが、国防予算7,500億ドル規模となるのは「クレージー」と切り捨てた。

バイデン: バイデンはトランプが「国防支出に関する限り財政規律を放棄している」と言っているが、大統領に当選しても国防費の大幅削減はないと見ている。ロシア、中国を封じ込めるためバイデンは「意味のなくなった既存装備」から「技術イノベーションに賢い投資」へ転換するとし、サイバー、宇宙、無人装備、人工知能を重視するという。これまで軽視されてきた非軍事部門への投資を重視するとし、外交、経済力、教育、科学技術を対象にする。

 

アフガニスタン、イラク、イランについて:

トランプ: 両候補とも「終わりなき戦争」をよしとせず、ともに米軍部隊をアフガニスタンから撤退させると公約している。米国はタリバンとの和平交渉を経て6月にはプレゼンスを8,600名に削減したが、11月までに4,500名にとする予定で来春にはゼロにする。イラクについてトランプ大統領は現行の5,200名を11月に3千名に削減するとした。イランに関しては、核合意から米国脱退を決め、最大限の圧力をかけるべく厳しい貿易制裁を課した。政権はイラン代理勢力の民兵組織指導者が米軍部隊やイラク国内の外交使節を標的にしていると同盟各国へ警告している。

バイデン: バイデンはイラク、アフガニスタンから米軍部隊を帰国させると公約しているが、対テロ部隊は残留させるようだ。バイデン陣営は小規模作戦(特殊部隊主導か)を好む傾向があり、大規模かつオープンエンドの部隊展開よりよいとする。バイデンは上院議員時代にイラク戦争に賛成票を投じており、今回の選挙運動でもオバマ政権時のイラク派遣軍15万名体制の縮小に大きな役割を演じたと強調している。イランについて、核兵器をイランが取得するのを防ぐことに全力を挙げるとし、制裁措置は継続しながらも外交による解決方法を残すとした。イスラエルとは密接に協力し、イランまたは代理勢力からの同国防衛を確保すると述べた。

 

武器売却について:

トランプ:トランプ政権の外交政策では米製装備品の販売を中心の課題に据えてきた。大規模案件の審査を迅速化し、武器輸出を簡素化し、ミサイル技術管理体制下での武装無人機販売の条件を緩和したうえ、米外交団に米国製装備品販売の促進を指示した。オバマ政権で止まっていた案件を進めて議会と対立しているのは、サウジアラビア案件で、同国がイエメンとの戦闘に直接関与しているためだ。トランプ政権は米製装備品売却による経済効果を強調するが、ロシア製中国製装備品にかわる選択肢として米国装備品を売り込み米国の影響力を維持する狙いもある。

バイデン: バイデンは武器輸出について明確な立場を表明していないが、イエメンで展開中のサウジ主導の戦闘は終結させると発言している。米サウジ関係を見直すとし、同国への武器販売は認めない意向だ。(サウジアラビアは米国製武器の最大の購入国)選挙運動ではトランプ政権の武器販売ルールを見直し、認証権限を国務省から商務省に変更するとある。

 

NATO・欧州について

トランプ: トランプ政権の外交政策は初期段階に「同盟各国に相応の負担をさせる」とし、とくにNATO加盟国に最低でもGDP2パーセント相当の防衛費負担を2024年までに実現させるとしていた。この比率はNATOが認めた目標でもある。トランプ自身は同盟各国が米国の負担を使う「不良」だと誤って述べることがある。また欧州各国に厳しい貿易ルールを求めて各国との緊張を増している。

バイデン: バイデン陣営はトランプ側と対照的に、傷ついた同盟関係の回復をめざすとする。バイデンはトランプが米欧関係を追い込んだと非難した。バイデンは「次期大統領は米国の評判を回復し、国家指導部間の信頼を再建し、米国・同盟国の力を発揮することで新課題に向かうべき」と述べている。また「米国の民主体制を一新し、同盟関係も見直し、米国の経済、未来を守ることで米国を世界の指導者に復帰させる」と公約。当選後はドイツから部隊引き上げを検討すると同陣営の上級外交政策顧問が述べている。

 

中国ロシアとの競合について:

トランプ: トランプ政権が打ち出した国家防衛戦略構想では超大国間競合が新時代に入ったとしている。紙の上ではロシアを想定するものの、同政権の経済・軍事上の焦点は中国にあてられている。トランプ大統領の発言は特にCOVID-19の大量発生後に厳しさを増し、「中国ウイルス」とさえ呼んだ。軍事面ではペンタゴンが太平洋重視に姿勢を変更しつつあり、欧州から兵力を撤退させようとしている。

バイデン:上院議員当時にバイデンは中国との関係改善を民間取引強化で目指すべきと主張した。だが現在は中国を「米国並びに太平洋欧州の同盟各国にとって最大の戦略上の挑戦」と呼び、トランプ大統領と数少ない共通認識といえる。バイデンは習金平主席を「やくざ者」と呼び、中国が米企業や国民を操ろうとした場合は「迅速な経済制裁」を課すと公約している。トランプはロシア大統領ウラジミール・プーチンとよい関係を維持しているが、バイデンが当選すれば状況は変わりそうだ。バイデンはトランプはプーチンの「いいなり」とし、プーチンには「貴殿には良心がない」と直接伝えるそうだ。

 

上記内容は以下の取材源を採録した。

Defense News; Military Times; Al-Monitor; Arms Control Association; Center for International Policy; CNBC; CNN; Council for a Livable World; Defense One; Foreign Affairs; Forum on the Arms Trade; Los Angeles Times; Military Officers Association of America; New York Times; New Yorker Magazine; Reuters; Stars and Stripes; The Associated Press; Vox; Washington Examiner; and Washington Post.


この記事は以下を再構成しました。


Find out where Trump and Biden stand on defense and security issues

By: Aaron Mehta and Joe Gould