2020年11月8日日曜日

2020年選挙で負けたのは左翼勢力。保守勢力が2022年中間選挙に勝利すれば、2024年大統領選の勝者は?

 Reuters

 

 

治でも人生同様に願い事すべてがかなうわけではない。現在の潮流のままだと大統領選挙の最終結果を裁判所で決める事態にはならず、ジョー・バイデンが次期大統領になる。筆者の最初の対応はフェイスブック上の民主党支持の友人多数にメッセージを送ることだった。「ジョー・バイデン当選なら、そちらが次の四年間苦しむことになる」

 

選挙結果は収穫でもあり、種まきにもなる。当選しても次回での敗北がはじまっていることもあり、逆も真なりだ。筆者は今回の選挙結果で四つの可能性を指摘していた。

  1. バイデンが大勝し民主党が上下両院で多数になる。

  2. バイデンが辛勝し、民主党が下院を共和党が上院を制する。

  3. ドナルド・トランプが僅差で当選し、民主党が下院、共和党が上院で多数派となる。

  4. トランプと共和党が世論調査に反する結果をだし、共和党が上下両院で多数派となる。

このうち、2と3が一番可能性が高いとみていた。

4.6K

Game Change

 

さて結果だが、筆者の見立てははずれたようだ。

 

当面は民主党支持者の願いが実現し、ジョー・バイデンがドクター(看護師なのか)ジル・バイデンと2021年1月に宣誓式に臨むとしよう。ではその後四年間の米政治はどうなるのか。

 

バイデンの大統領就任で政界地図はどう変わるか。今回の投票結果にヒントがある。民主党支持が堅固なカリフォーニア州でさえ、今回左翼陣営による動議、住民提案、住民選挙はことごとく失敗し、保守勢力の提案が可決されている。ここに選挙民の潮流が見える。ドナルド・トランプが選挙期間中に分断意識を高めたのとは無関係だ。成立した「リベラル」提案の内容はドラッグ保有の規制緩和、厳罰処置の緩和のみだ。これでは左翼リベラル勢力が勝利を威張れる内容ではない。

 

左寄り富豪のマイク・ブルームバーグなど大金を州レベル自治体レベルの選挙に投入したものの、共和党は全米各地で減衰どころか実力を発揮し増勢の動きも示し、政界地図は書き換えられ今後の動向に影響が出てくる。

 

下院では選挙前の大手メディアは民主党大勝を予測し、ナンシー・ペロシが次期議会を仕切るとみていた。上院ではやはり大口献金を左寄り富豪層から受け民主党が多数を占めると見られていたが、共和党院内総務ミッチ・マッコネルは以前同様に共和党多数勢力の中心人物のままだ。

 

皮肉にも今回の選挙結果でバイデン政権が成立しても共和党がトランプ政権時代より有利になる。

 

なぜか。大統領任期の中間点となる2022年に中間選挙が控える。中間選挙ではほぼ毎回ホワイトハウスに控える政党が負けることになっている。1966年に共和党は議員を若返りさせ、1968年のリチャード・ニクソン当選を予期させる勝利を得た。1978年には全国運動中のロナルド・レーガンが共和党立候補者を助け、自身の大統領候補指名の地盤を築き、1980年に大統領に当選し共和党は上院を確保した。クリントン政権中にギングリッチ革命がおこり、アイゼンハワー時代以来初めて共和党が下院で多数派となり、オバマ政権第一期中にも共和党が多数勢力となった事例がある。

 

オバマ、クリントンともに党内で人望があり、年齢も若く、弁舌達者だった。このためともに再選された。だが、弱い指導力(例 ジミー・カーター)、政治的に疎い(例 ジョージ・ブッシュ父)あるいは極端に二重人格かつ予測不可能(例 トランプ)の場合は中間選挙の退潮が自らの再選の望みを絶つ出発点となっている。

 

では2022年の中間選挙はバイデン政権にどんな結果をもたらすのか、トランプが再選してもレイムダック大統領のままで共和党が上院で多数派を維持し、下院でも勝利していた可能性は低い。

 

ジョー・バイデンが大統領になれば共和党に好結果が生まれるといっても過言ではない。

 

トランプの政治遺産が効果を出す可能性も残っている。ドナルド・トランプは一個人であり運動でもある。個人としてずばぬけた強さを誇り、弱点もある。だがそれ以上にその運動は愛国主義、楽観主義さらに弁解の余地なく米国の過去、現在、未来へに対する責任感がもとになった圧倒的な積極性が売り物だ。近年の共和党大統領候補と異なり、トランプは黒人社会、ラティノ有権者と夢と希望を共有した。この二つが今や有権者で比重を増している。国境線堅持を回復するとの公約は二大政党が支持している。だがなんといっても憲法を守る姿勢の健全な姿勢の連邦栽判事をこれだけ多く指名してきた実績がこれから長年にわたり米国民個々人の権利を守る効果を発揮する。

 

ドナルド・トランプ再選が実現しなくても、本人が生んだ運動は今後も米国民全員ではなくても響きつづけるはずだ。本人が表舞台から去っても残したメッセージが輝きを強める場合が実現しそうだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Why the Left was the Real Loser in the 2020 Election

 

by Aram Bakshian Jr.

 

Aram Bakshian Jr. served as an aide to presidents Nixon, Ford and Reagan and has been widely published here and overseas on politics, history, gastronomy and the arts.

Image: Reuters


次期SSBNコロンビア級の建造にGO。二番艦はUSSウィスコンシンに。12隻建造で核抑止力の維持へ。

 

建造に入る次期弾道ミサイル潜水艦(SSBN)コロンビアの想像図。海軍は同艦含め12隻

を建造する。(Navy)

 海軍はジェネラルダイナミクス・エレクトリックボートにコロンビア級弾道ミサイル潜水艦一号艦の完全建造とともに二号艦USSウィスコンシンの事前調達費用を94.7億ドルで進める契約を交付した。

 

この発表でコロンビア級事業の初期段階が完結した。海軍はコロンビア級を最優先事項としている。12隻建造し、オハイオ級と交代する。一号艦コロンビアは2031年に哨戒航海を開始し海洋抑止力を維持する。

 

DoD契約情報は「コロンビア級一号艦二号艦のSSBN826、SSBN827の建造・試験以外に関連設計作業・技術支援が含まれる」とする。

2020年代後半に建造が本格化し、海軍は毎年一隻の調達を目指す。

 

「実施準備が整った。契約が成立し本格建造に移る」と海軍の研究開発調達責任者ジェイムズ・グーツが述べた。「設計と合わせ事業そのものが従来型の潜水艦以上の成熟度を示している。さらに完成度をあげ、先行建造から本格建造に移る。さらに毎年一隻の建造に移行する」

 

肝心なのは初号艦を予定通り建造することとグーツは続けた。「一号艦を完成するのは大仕事だが、初めてなので重要だ」「ただそれで終わりではない。事業を完結させ国の要求に応える必要がある」

 

二号艦も契約に盛り込まれた。海軍関係者は2024年予定のオプションが行使でき、本格建造費用について協議は不要ということだと解説した。

 

コロンビア事業は巨額規模となる。海軍試算で一隻あたり75億ドルになる。2026年になると毎年一隻のコロンビア級調達になるが、そのためFY21予算で200億ドルを計上していることで規模が想定できる。コロンビア級だけで海軍の建造費を38パーセント消化するが、海軍が中国の脅威を意識して整備が必要と判断しているからに他ならない。

 

1月にコロンビア級の予算規模について海軍作戦部長マイケル・ギルデイ大将は海軍力整備には予算増が必要と述べた。「海洋部門で優勢を維持したいなら、海軍作戦を分散実施するためには、前方で一定の規模で作戦展開するためにはもっと隻数が必要だし、そう、もっと予算が欲しい」

 

ジョー・コートニー下院議員(民、コネチカット)は選挙区にエレクトリリックボート(EB)社があり、今回の契約は潜水艦産業基盤の勝利と評価し、年間二隻のヴァージニア級建造にあらたにコロンビア級が加わることを歓迎した。「EBにとって大きな一歩となるだけでなく地域経済にも将来につながる大きな意味がある」と述べ、「長年にわたる建造技術の蓄積にさらに今後数十年間分の作業が加わり、雇用以外に好影響が生まれる」■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

US Navy inks $9.4B contract for two Columbia-class nuclear missile submarines

By: David B. Larter 


2020年11月7日土曜日

中国、ロシアとの対決に動員できる機数が足りない! 米国の空軍力の現状を憂う報告書

  

メリカの空軍力の勝利の方程式は敵より多くの機体を、優れた整備を経て配備することだ。だが現実には米軍はあまりにも多くのミッションへ対応を迫られ、戦闘に疲れてはないものの、整備が重荷になっている。

 

トラック台数が少ないのに配達先ばかり多い運送会社のようだ。米空軍力は酷使されているが整備が追いついていない。

 

RANDコーポレーションと米会計検査院(GAO)から二通りの報告書が昨年出た。ともに米空軍力の現状に悲観的だ。まずRANDは米空軍に将来想定される四種類のシナリオで戦闘力を発揮できるか検討した。①ロシアまたは中国との対決 ②大規模地域紛争として朝鮮戦争やヴェトナム戦争同様のシナリオ ③新しい冷戦として小規模な対決を砂漠の嵐作戦を想定、④対テロ作戦だ。類似例の事例からRANDは空軍が対応を迫られるミッションに8種類を上げた。制空、攻撃、空輸、空中給油、C3ISRがここに入る。

 

ほぼそのすべてで空軍は100パーセントの要求に答えられないとRANDは評価。地域紛争が長期化の場合、攻撃では60パーセントしかこなせない、空中給油も92パーセントの需要しか満足させられないという。

 

 

 

可能性が最も低いと思われる戦闘シナリオが空軍を最も疲弊させるのは皮肉としか言いようがない。RANDは「最大の驚きは平和維持活動が空軍に最大の負担となること」と述べている。平和維持活動の一環としての飛行禁止区域設定のシナリオではC3ISRの要求で29パーセントしか満たせず、給油機の需要では32パーセント、特殊作戦関連では40パーセント、爆撃機ミッションの46パーセントしか実施できない。

 

RANDはこの試算を「バルカン半島、中東での飛行禁止措置の長期化で戦闘機、給油機、C3ISR/BM(戦闘統制)の各機材でローテーション配備が必要となった」事例から導いた。言い換えれば、飛行禁止措置の執行のような普通の任務でも長期化すれば、重荷になるということだ。

 

一方で会計検査院報告書で2011年から2016年にかけ空軍、海軍ともに機体の稼働率目標が未達と明らかになった。空軍海軍の13機種について、GAOは重整備の遅れ、必要部品が生産終了となっている、整備要員の欠員、耐用期間を超えても飛行させている事例を指摘している。

 

「機体稼動率が目標を下回ると、訓練や実戦ミッションが期待通り実現できない場面が生じかねない」とGAO報告書は指摘し、「たとえばF-22飛行隊関係者から稼働可能機材が足りず制空任務が達成できないとの不満を聴取した。F-22パイロットは充実した訓練があってこそ制空任務が実現できる。さらに司令部レベルでは機体稼働率が目標水準以下のため、緊急事態の場合に十分な機数を動員できない事態もありうるとの見方がある」

 

海軍では第一線部隊に機材を優先手配し戦力を維持しているが、後方部隊に訓練機材も不足する事態が発生している。

 

また旧式化して維持が高費用となっているやっかいな機材はどうするのか。何か手を打つ必要がある。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

The Air Force Doesn’t Have Enough Jets to Take On Russia and China

November 7, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: RussiaChinaMilitaryTechnologyF-15

 

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook. This first appeared last year.


2020年11月6日金曜日

米国内演習にMi-24ハインドが投入されているのはなぜか。超大国間戦に備える姿がそこにあった。もっとすごいのは民間企業がハインドを保有していることでは。

 

 

 

 

空軍の救難ヘリコプター部隊が2019年11月に強力なソ連時代のミルMi-24ハインド攻撃ヘリコプターを前に模擬戦闘訓練を展開した。

 

演習はアリゾナのデイヴィス-モンタン空軍基地で展開され、同基地駐留の第55救難飛行隊にヘリコプター同士の戦闘に備える機会となった。

 

Mi-24の2機が同基地に飛来した。空軍公式写真では大型複座の同機が砂漠上空を低空飛行する様子やハンガー内で第55救難飛行隊のシコースキーHH-60Gぺイヴホーク救難ヘリコプターと肩を並べる姿が写っていた。

 

 

 

ソ連崩壊を受け、米軍は1990年代初め以来ハインドを実際に所有し、借り上げている。うち軍所有のMi-24の2機はネリス空軍基地に配備されている。

 

さらにVTSエイヴィエーション社が二機所有し、一機はブルガリアが運用していたMi-24Dで、アラバマ州ハンツビルに常駐する。VTS社のハインド各機は一時は博物館展示機だった。

 

The Aviationistのトム・デメリーによれば今回アリゾナに展開したMi-24はVTS所有機という。デイヴィス-モンタン基地での訓練は同基地部隊には難易度がきわめて高い内容だった。ハインドはじめソ連時代のヘリコプターは対地攻撃、空対空攻撃の双方をこなす。

 

空対空モードではハインドは機首の機関砲や無誘導、誘導式双方のロケット弾で敵ヘリコプターを排除する。ヘリコプターで敵ヘリコプターを攻撃するのは容易な仕事だ。

 

このため米空軍ではA-10攻撃機をヘリコプター援護に使い、敵ヘリコプターからの攻撃に備える。F-16よりもA-10の低速飛行性能が適している。しかし、ハインドは対ヘリコプター攻撃に性能を発揮する。

 

「ネリスのウェポンスクール以外の場所でこの訓練を展開するのは今回が始めて」と55救難隊のカート・ウォーリン大尉がいう。「HH-60G対HH-60Gの訓練しかしていないので今回は大変化だ」「この訓練で他機種が敵の場合にどんな状況になるかわかるので戦術や手順も対応できる」

 

55救難隊のぺイヴホークはUH-60ブラックホークの派生型だ。HH-60Gには追加センサー、空中給油用プローブがつき、大型機関銃も搭載する。

 

空軍にぺ一ヴホークが100機ほどあり、墜落機のパイロット救出のほか、地上部隊の救出、傷病兵搬送を危険地帯で実施している。G型が旧式化してきたので空軍はHH-60の新型の導入を始めている。

 

ぺイヴホークは中東やアフガニスタンの戦闘地帯に投入されてきた。搭乗員は地上の砲火や悪天候、険しい地理にも対応してきたが、敵部隊の武装ヘリコプターから攻撃を受けた事例はない。

 

ただしこの状況も米国が大国と戦えば一変する。2019年11月の演習は新状況に適応する意味もある。「55救難隊はこの訓練で今後の対応に備えられる」とウォーリン大尉も述べる。


「大国相手の戦闘に備えるべく実力を引き上げたい。ゴールドフェイン参謀総長がまさしくこれを指示している」

 

ペンタゴンが一層現実的なハイエンド演習を増やす中で、VTS社保有のハインド両機が各地の米軍基地上空にあらわれる機会も増えそうだ。

 

海兵隊は2018年にMi-24あるいはMi-17ヒップ輸送ヘリコプターを敵機として借り上げアリゾナ州ユマでの演習に投入する可能性を模索した。

 

「Mi-24はその大きさ、性能、火力、防御行動能力がこちら側にない戦力となり、今後も脅威になりうる」と海兵隊は当時説明していた。■

 

この記事は以下を再構成したものです。20年間戦闘員相手の戦いを展開してきた米軍がロシア、中国との対決に切り替えていくのは相当ハードルが高いでのしょうね。

 

Why the U.S. Air Force is Flying Russian Mi-24 Attack Helicopters


November 5, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: RussiaU.S. Air ForceMilitaryTechnologyHelicopterMi-24

by David Axe 

 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This article is being republished due to reader interest.


2020年11月5日木曜日

レイルガンの夢と現実。

 

「指向性エナジー兵器」構想は早くも19世紀の通俗小説にあらわれたが、SFの世界をそのまま現実にする兵器技術をフランス人発明家が第一次大戦中に提唱していた。

 

レイルガン構想は化学反応では到底無理な距離まで発射体を大型電気回路で飛ばそうというもので、提唱したのはアンドレ・フォション-ヴィレプレーだった。このフランス人は簡単な構造の電気砲を作り、フランス軍の注目を集めた。当時ドイツが運用中の「パリ砲」に対抗可能な長距離砲が欲しかったからだ。

 

1918年にフランス軍需省発明局の命令でフォション-ヴィレプレーは簡単な電気砲の作成に取り掛かった。今日でも画期的な同装置はフランス軍には未来と写ったはずだ。

 

だがフォション-ヴィレプレーのレイルガン開発が進展を示す前に終戦となってしまった。

 

第二次大戦中にナチドイツのヨハヒム・ヘンスラーもレイルガン構想を提唱し、秒速2千キロで発射弾を飛ばすと豪語していた。終戦後に研究内容を発掘した米調査団は構想の弱点として発射には当時のシカゴの半分の照明用にあたる電力が必要だと理解した。

 

レイルガンは数々のコンピュータゲームに登場しているが、大型の「レーザー砲」との誤解がついてまわっている。ゲームではレイルガンは大型ライフルや機関銃の扱いを受けたり、ロボットの腕に装着されたりしている。ゲームデザイナーにはこれだけの威力を誇る兵器にどれだえ電力が必要となるのかわかっていないようだ。

 

レイルガンとは基本的に大型電気回路であり、電源、レイル二本、移動式回転部品の三要素で構成される。こういうと単純な構造に聞こえるが、問題は必要な電力があるかだ。中大型レイルガンでは百万単位のアンペアが必要となる。

 

レイルは伝導性の高い銅などで形成するとしても30フィート超の長さが必要だ。そうなるとライフルや機関銃の大きさのレイルガンなど実現困難だとわかる。

 

レイル二本の間をつぐぎ回転部品や伝導性の高い金属部品が必要だ。電流は電源の正極からプラス荷電のレイルを伝わり、回転部品を通過してマイナスのレイルを伝わり、電源に帰ってくる。

 

簡単に言えば、これで電磁力が生まれ発射体を高速度で打ち出す。

 

レイルガンの長所

 

化学爆発を利用する従来型兵器に対しレイルガンには大きな利点がある。まず発射速度が圧倒的に高くなる。海面上でマッハ10に達し、M16ライフルの弾丸より三倍速い。射程距離は供用中の爆発力利用砲の10倍に達する。高速度、質量運動エナジーの大きさのため発射体に爆発物を入れなくても十分な破壊効果を発生できる。

 

運動エナジーは大きく、非爆発性の発射体でもトマホークミサイルと同様の効果を発揮でき、軍艦を破壊できる。高速度ながら精度は三倍になり風の影響も受けない。

 

レイルガンの短所

 

これだけの威力を発揮するレイルガンが普及しないのは問題があるためだ。実際に多数の問題がある。まず、前に述べた電力消費の問題だ。今日でもこの兵器を稼働させる電力量の利用が困難だ。このため、今のところ応用範囲は電力量が確保できる軍艦等に限られている。

 

つぎに抵抗発熱の問題がある。レイル表面が熱で損傷を受けかねない。機関銃でも発熱が当初から問題視され、初期には水冷式構造も考案されたが、のちに銃身の交換が有効と目されるようになった。冷却方法がいろいろ模索されているが、連続発射すれば本体が損傷を受けるような兵器では軍も採用できない。

 

最後に残る問題は大電流で深刻な疲労破裂が生じることで試作型も数回の発射で使えなくなる。

 

ただしこうした問題によりレイルガン研究が中止になっているわけではない。事実はその逆で、米海軍が導入を検討する中、中国は実用型レイルガンの運用に近づいている。この場合、毎分の発射回数を10回程度に抑えてもかまわないとする。

艦載砲としてレイルガンの発射回数は従来型砲より少なくなるが、精度は上がり、破壊効果ははるかに大きくなる。このためかつては夢の世界の話だった構想の研究に期待が寄せられているのだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Naval Railguns: A Far-Off Dream or a Super Gun?

November 4, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: RailgunInnovationMilitaryDirected Energy Weapons

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. This article first appeared earlier this year.


 

2020年11月4日水曜日

ヴァージニア級攻撃型潜水艦の後継艦はコロンビア級並みに大型化し、重武装、ステルスを前面に出すのは中国、ロシアへの対抗のため。

 


ヴァージニア級高速攻撃型潜水艦USSミズーリ(SSN-780) on May 31, 2018. US Navy Photo

 

海軍の次期攻撃型潜水艦はコロンビア級で採用した技術を流用し、艦体も現行ヴァージニア級より相当大型化するとBWXテクノロジー社のCEOが11月2日第三四半期営業報告の席上で述べている。同社は空母、潜水艦用の原子炉を製造している。▼「潜水艦としては大型となり、コロンビア級並みになるとみているが、これ以上お話しできない。ただし、米海軍と検討中であり、製造に移すことになる」とレックス・ジヴェーデンが述べた。▼「正式名称が決まるまではSSN(X)とされるヴァージニア級高速攻撃潜水艦後継艦は2030年代末に登場する」

 

ジヴェーデンが言及しているのは潜航時排水量ではなく艦体の直径だ。コロンビア級は20千トンと、現行のオハイオ級弾道ミサイル潜水艦より2千トン増える。ヴァージニア級の排水量は約8千トンだ。コロンビア級の直径は約42フィート、ヴァージニア級は36フィートだ。▼艦体の幅が広がるとステルス性があがり、設計時にノイズ低減技術を大幅に導入できるし、速力を増やす装備の収納容積も増える一方で、建造が大掛かりになる。

同CEO発言と軌を一にしてマイク・ギルディ作戦部長が将来の艦隊戦力の主軸として大胆な戦力を有する攻撃型潜水艦の開発を求めている。

「水中で有利になれば優位性が拡大する。水中からの攻撃力を高めたまま永遠にこれを維持したい」(先月の発言)「攻撃型潜水艦は司令官の思いのままに動き、敵標的をどおりに攻撃する。そのため高速移動可能な艦が必要だ」

 

冷戦後の米潜水艦部隊は深海潜航可能で強力な兵装を有するシーウルフ級攻撃型潜水艦からヴァージニア級に主役が移った。ヴァージニア級は情報収集や特殊作戦運用の沿海域での実施に特化している。▼「次世代攻撃型潜水艦は高速、ステルス、魚雷搭載数のいずれもヴァージニア級を上回る性能が必要となり、シーウルフ級に近くなる」との発言も2018年に出ていた。▼重武装の高速潜水艦への回帰は国家安全保障戦略構想でロシアや中国を脅威リストのトップに掲げたことに合わせている。

ジヴェーデンCEOは同社が今後も空母、潜水艦用の原子炉作成を続けられると楽観視している。

 

BWXTに海軍から年間3隻建造の方針はまだ伝えられていない。マーク・エスパー国防長官はバトルフォース2045構想の一部として年3隻建造を求めている。「以前の建造計画では高速攻撃型潜水艦48隻体制をうたっていたが、現行案ではこれが66隻に増えている。エスパー長官はさらに70隻80隻にしたいとの意向だ」とジヴェーデンCEOは解説。

「たまたまある年にヴァージニア級3隻を建造するだけなら現行施設のまま実現できそうだと伝えた。年間3隻建造を維持する構想が採用されれば当社も設備投資が必要になる」■

 

この記事は以下を再構成したものです。

BWXT CEO: Navy's Next-Generation SSN(X) Attack Boat Will Build Off Columbia Class

Article Keywords: Battle Force 2045, BWX Technologies, general dynamics, Phebe Novakovic, Secretary of Defense Mark Esper

Categories: Budget Industry, News & Analysis, Submarine Forces, U.S. Navy

Sam LaGrone

About Sam LaGrone

Sam LaGrone is the editor of USNI News. He has covered legislation, acquisition and operations for the Sea Services since 2009 and spent time underway with the U.S. Navy, U.S. Marine Corps and the Canadian Navy.