2024年2月16日金曜日

米下院がロシアの宇宙軍事力を警告。 開示を求める情報は、軌道システム兵器関連だと、内部筋は語った。

 





米国はロシアの宇宙運用能力の拡大へ懸念を強めている


の問題に詳しい関係者3名によると、下院情報委員会の委員長が水曜日に発した「深刻な国家安全保障上の脅威」に関する漠然とした警告は、ロシアと宇宙に関するものだという。

 米国は長年、ロシアの宇宙進出を懸念してきた。うち一人は、モスクワの軌道システムの兵器化に関連した情報だと語った。

 水曜日の朝、マイク・ターナー議員(共・オハイオ州選出)Rep. Mike Turnerは声明の中で、自身の委員会が国家安全保障上の脅威に関する情報を公開したと述べ、当局者や議員が同盟国とこの問題について議論できるよう、情報機密を解除するよう政権に求めた。

 情報公開は1週間以上前から議会内の安全な部屋で下院情報委員会のリーダーやその側近に公開されていたため、ターナー議員が今になって声明を発表した理由は不明である。

 下院情報委員会は火曜日、情報公開を全員一致で決定した。上院も閲覧できるようになった。

 ウクライナへの追加援助を承認する必要性を強調する方法として、ロシアの宇宙進出についてターナー含む議員が警鐘を鳴らそうとした可能性がある。上院はキエフへの600億ドル援助を含む追加法案を可決した。現在、下院で審議中である。

 宇宙におけるロシアの活動に関して、政権が問題視して対象はさまざまで、衛星の開発やアメリカの衛星の妨害などがある。

 ある下院情報委員会メンバーは、この情報は 「不穏な内容」と述べた。別の委員は、「深刻な問題だが、差し迫った危機ではない」と述べた。両委員と情報に詳しい人物は、機密資料について話すために匿名を許可された。

 ジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、ターナーが警告を公にしたことに「驚いている」と述べ、ホワイトハウスの記者団に対し、以前「ギャング・オブ・エイト」の議会指導者たちに機密の話し合いをするよう接触したと語った。サリバンは、ターナー議員を含む今回の会談が、同じ件に関するものであることを確認しなかった。

 HPSCIのメンバーであるジェイソン・クロウ下院議員(民・コロラド州選出)は声明で、バイデン政権が情報機密解除で正しい判断を下すことを期待していると述べた。「どの政権よりも頻繁に、そして戦略的に機密解除を行なってきた。そして、今回そうすることが重要で賢明かどうかの判断を下すだろう。深刻な問題ではあるが、危機ではない」と語った。

 ロシアがどのような能力を開発し、政府高官や議員たちを懸念させているのか、正確なところは不明だ。

 可能性のひとつは、ロシアの極超音速巡航ミサイル3M22ジルコンで、マッハ6から8で飛翔し、陸海空の標的を攻撃する設計だ。

 この極超音速ミサイルはNPOマシノストロイエニヤが製造しており、昨年ロシアのフリゲート艦アドミラル・ゴロフコに搭載された。

 ロシアは、アメリカの対弾道ミサイル条約脱退を受けて、極超音速兵器の開発を強化している。

 米国政府も近年、軌道上の衛星を破壊できる地表発射ミサイルに警戒を強めている。2021年、ロシアは自国の衛星のひとつを対象に対衛星ミサイル発射実験を行い、1,500個以上の破片に分解させた。

 ロシアが宇宙に関する能力を開発するという見通しは、モスクワと平壌の関係が強化される中で出てきた。

 12月、北朝鮮の金正恩委員長は、2024年に3基の軍事スパイ衛星を打ち上げると約束した。その3カ月前、金正恩はロシアの最も重要な打ち上げセンターであるボストチヌイ宇宙港でプーチン大統領と会談し、両国が宇宙でどのように協力できるかを話し合った。■


House Intel chair's national security warning is about Russia’s space power - POLITICO

Warning from House Intel is about Russia’s space power

By ERIN BANCO, ALEXANDER WARD and LEE HUDSON

02/14/2024 03:29 PM EST


次年度の米軍向けF-35調達機数が削減へ。国防予算上限を議会が設けたため、政権が決断。同盟国向けの機材引き渡しは早まるか。

 F-35

National Interest記事からのご紹介です。

調達規模が減れば、ロッキードは機体価格のつり上げを主張してくるでしょうから、負のスパイラルになりかねません。


米軍のF-35発注削減?ホワイトハウスはそれを望んでいる

ロシア、中国には朗報か


軍が中国やロシアからの侵略に立ち向かうのに必要な最新鋭機の発注が減る可能性があると、水曜日に報じられた。▼バイデン政権は来年、ロッキード・マーチンF-35ライトニングIIステルス戦闘機の数を18%削減するよう求めている。


最初に報じたロイター通信によると、決定は、議会が来年度の国防予算に上限を設けたため、政権が節約を余儀なくされた結果だと、事情に詳しい2人の関係者が語った。▼第5世代戦闘機は、削減対象に含まれる。▼国防総省(DoD)によるF-35発注は、予想されていた83機から70機以下に減り、支出は16億ドル減少すると見積もられている。▼国防総省は以前、次年度はF-35を98億ドルで83機購入すると予測していた。


ロッキード株の急落

F-35の受注減少は、航空宇宙大手のロッキード・マーチンに影響を与える可能性がある。▼同社の株価は、国防総省の購入縮小が発表されると、2.6%下落した。▼同社は2025会計年度予算について「バイデン政権・議会と協力することを楽しみにしている」と声明で述べた。

▼ただし、F-35への国際的な需要は依然として強く、NATO加盟数カ国含むその他のアメリカの同盟国や協力国は、第5世代の多機能戦闘機の購入を求めている。▼ロッキード・マーチンは先月、コスト削減と業務の合理化を図るため、年内に雇用を1%削減すると発表した。


生産は横ばい

国防総省が発注を減らしているとはいえ、ロッキード・マーチンにとって悲観的なことばかりではない。▼木曜日に『Air & Space Forces』誌が報じたところによると、同社は米軍の計画と予想される国際市場に基づいて、2028年まで年間約156機の生産を維持する見込みだ。▼前述のように、国防総省が来年F-35の取得数を削減する可能性があるとしても、他の同盟国は先進的なステルス戦闘機の価値を認めている。▼米軍向けの機数が減るということは、同盟国がより早く航空機を受け取ることができることを意味する。▼ロッキード・マーティンによれば、2030年代半ばまでには、600機以上のF-35がNATO加盟国の基地とスイス含むヨーロッパ大陸に駐留することになるという。▼F-35プログラムに参加しているNATO加盟国には、すでにベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、米国、英国が含まれている。▼ジョイント・エア・パワー・コンピテンス・センター(JAPCC)は、同機がNATOで次世代作戦のバックボーンになると説明している。▼この第5世代マルチロール・ステルス戦闘機は現在、世界中の軍隊で運用されており、戦闘テストも実施されている。▼現在まで戦闘での喪失は皆無だ。■


F-35 Order Cut for the U.S. Military? That's What the White House Wants

by Peter Suciu 

February 15, 2024  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35F-35 Stealth FighterF-35 Joint Strike FighterMilitary


https://nationalinterest.org/blog/buzz/f-35-order-cut-us-military-thats-what-white-house-wants-209399



2024年2月15日木曜日

深刻な米空軍の人員不足で、退役人員に復職を呼びかける。ただし、ボーナスや昇進はなし。これで欠員を埋められるのだろうか。


米空軍は人員不足を補充するプログラムを復活させた。しかし、復帰する人はいるのだろうか?



空軍は、人員不足の中、最大1,000人の退役将校・下士官を現役復帰させるプログラムを本日から開始する。

Voluntary Retired Return to Active Duty(VRRAD)プログラムは、退職者が最長4年間勤務できるようにする。▼ソーシャルメディアに投稿された空軍人事センターのスライドによれば、再入隊した飛行士は航空ボーナスや昇進の対象外となり、退役時の階級に戻り、体力基準を満たす必要がある。▼空軍はスライドの信憑性を確認した。▼航空兵は民間への転職を支援するスキルブリッジも利用できない。▼空軍はもともと、パイロット確保に苦慮していた2017年にVRRADを立ち上げたが、ほぼ四半世紀ぶりに年間の入隊者目標を達成できず、また現在の公認最終兵力では4,300人が不足すると予測していることから、VRRADを復活させようとしている。

「VRRADプログラムは、経験豊富な人材を受け入れるための戦略的な手段で、退職者という貴重なリソースを活用することで重要な役割を担う」と、人員・人事・サービス担当参謀次長のキャロライン・ミラー中将は2月7日の声明で述べた。

しかし、ランド・コーポレーションの政策アナリスト、ライアン・ハバーマンによれば、このプログラムに民間生活を離れるインセンティブが高まらない限り、退職者が再就職に飛びつくことはないだろうという。▼「退役した将校や上級下士官に、最長48カ月間、新天地から遠く離れた勤務地で現役復帰を求めるのは難しい。給与が上がるとか、再入隊前に勤務地を選べるとか、そういうメリットがないのに、個人に対し多くのことを要求しているように映る」。

空軍によると、申請書は2026年1月31日が提出の締切りで、申請者は「申請日から4カ月から6カ月で現役に復帰できる」という。■

Air Force’s pitch to retirees: Come back! No bonus or promotion, though - Defense One

BY AUDREY DECKER

STAFF WRITER

FEBRUARY 8, 2024






 

2024年2月14日水曜日

中国への対抗に「時間がない」とケンドール長官が警告する中、米空軍が再編成に着手するが、思い通りに実現するのだろうか。

 発表はあったものの、予算を仕切る議会がどうしても選挙区内の基地の統廃合や装備品の選択に関心を示しがちな中で、いまいち組織改編に関心を示さず、予算をつけてくれないとせっかくの改革も実体がともなわないものになってしまいます。これからは議会を相手の戦いでしょう。走行している間も中国を意識すれば、状況は好転しないわけで、空軍省が大きな焦りを感じてくるはずです。Breaking Defense記事から内幕をご紹介しましょう


「再最適化」として、新たな訓練アプローチからハイレベルオフィスの設置まで、空軍省全体に変化が訪れようとしている


AFA WARFARE SYMPOSIUMにて。 空軍省(DAF)の上級幹部は本日、空軍と宇宙軍の抜本的再編成の詳細を発表した。再編成は、中国との「大国間競争」に向けて両軍を「再最適化」するため必要と、空軍の文民トップが待望していた動きである。

 コロラド州デンバーで開催された航空宇宙軍協会(Air & Space Forces Association)のAir Warfare Symposiumの基調講演で、空軍、宇宙軍、そしてその文民指導部全体で合計24個の組織変更が予想されると高官が語った。フランク・ケンドール空軍長官によれば、変更のスケジュールは明確にされておらず、多くの具体的な詳細が未調整だ

 改革は組織全体で大きな変更を伴うが、ケンドール長官は今日、空軍の2024会計年度予算要求にも、次期25会計年度予算案にも、この再最適化推進のための資金は求めていないと述べた。ケンドール長官は、必要に応じて予算組み替えの権限を使い資金を移動させると述べ、26年度には新たな資金が必要になるかもしれないと指摘した。


空軍と事務局の変更

デービッド・オールヴィン空軍参謀総長Chief of Staff Gen. David Allvinによると、空軍は、核兵器管理から、新たな准尉プログラムまで、15通りの新しい取り組みを推進している。

 そのうち数点は、空軍の航空団の構成を調整して、飛行士をどのように配備するかを伴う。また、航空教育訓練司令部を拡大し、飛行士開発司令部Airman Development Commandに改称する計画もある。

 さらに空軍は、敵対国との戦闘状況をシミュレートするため、より大規模な演習に着手する。オールヴィンによれば、空軍は25年度中にインド太平洋地域でそのような演習を初めて実施することを目指しているが、予算が逼迫する可能性があると警告している。

 広く期待されていた大きな変化のひとつは、実現しないようだ。

 宇宙軍高官が12月に、空軍は現在の主要司令部(MAJCOM)構造を廃止するかもしれないと示唆した後、オールヴィンはこれに反論し、現在のMAJCOM構造は残ると強調した。しかし、要求事項の策定などの一部は、新しい統合能力司令部に移管される、と彼は説明した。

 空軍の文民指導部(政策と予算の決定を支援)では、小さな変更リストがある。空軍次官クリスティン・ジョーンズによると、事務局は統合能力オフィス、競争活動オフィス、プログラム分析評価オフィスの3つの新しいオフィスを立ち上げる。(後者は、国防総省のコスト評価・プログラム評価室(CAPE)とどのように連携するかは、すぐには明らかにされなかった)。

 ジョーンズは、「事務局におけるこれらの変更は、われわれが準備を整え、より効果的になるために必要な変更を行うのに役立つだろう」と述べた。ジョーンズ氏は、これらのオフィスのスタッフがどこから来るのか、また、これらのオフィスの設立により、他のどのような役割に影響が出るのかについては明言しなかった。


宇宙の動き

空軍のプレスリリースによれば、宇宙作戦部長チャンス・サルツマン大将Chief of Space Operations Gen. Chance Saltzmanが詳しく説明した宇宙軍に予定されている変更の中で、おそらく最も重要なのは、宇宙が今や「穏やかな環境」ではなく、「争いのある領域」であることを反映し、即応性基準を刷新することである。

 現状で宇宙軍は新しい環境に対処するため必要な適切な装備、訓練、そして「作戦コンセプト」を持っていない、とサルツマンは言う。そこで宇宙軍は、長期的なニーズを評価するため、Futures Command(2018年に発足した陸軍のFutures Commandから引用されたような名称)を創設しており、三部門で構成する。

 まずコンセプト・テクノロジー・センターは、脅威環境が変化する中で何が必要とされるかを検討するとサルツマンは言う。2番目はウォーゲームに焦点を当て、3番目は現在の宇宙戦力分析センター(SWAC)を基礎として、将来のニーズを満たす戦力設計を開発する。

 最後に、宇宙軍は、戦闘司令部のために日々の任務を遂行する「行動部隊」として、宇宙軍戦闘飛行隊を指定する予定である。一方、宇宙軍は「ミッション飛行隊にハイエンドの高度な即応活動を行う能力を残す」と付け加えたが、それが運用上どのように機能するかについての詳細はほとんど語られなかった。

 サルツマンが詳述した新たな脅威に対処できるようにするための最初の努力のひとつは、新たな士官訓練体制であり、それは最終的に拡大される。この訓練には、システムの操作方法だけでなく、敵の行動に対処する方法も含まれる。これには訓練インフラの変更も含まれる、と彼は指摘する。

 「われわれは、紛争地域を中心とした即応態勢の基準を書き直さなければならない」(サルツマン)。


なぜ今なのか、そして議会はどう対応するのか

ケンドール長官は長官在任中、DAFは敵対国中国との紛争に備えていないと強調してきた。そのために、2022年の同じAFAの会議で、ケンドールは7つの「作戦上の必須事項」のリストを明示した。

 ケンドールが2023年9月に初めて発表した再最適化は、これらの必須事項に加え、横断的な運用イネイブラーとして知られる別の取り組みも追加するものだ。これらの取り組みが特定の近代化課題に密接に結びついているのに対し、今日の発表は空軍自体の構造をより広く見直すことを目的としている。

 「もう時間がない」とケンドールは今日、中国がもたらす課題について語った。「私たちはもはや、紛争を遠い可能性、あるいは将来直面するかもしれない問題とみなすことはできない。紛争のリスクは今ここにあり、そのリスクは時間とともに増大している」。

 空軍の計画の多くで議会の賛同が必要だが、議員の反応は読めない。コンサルタント会社ティール・グループのシニア・アナリスト、JJ・ガートラーは発表に先立ち、議員の関心や潜在的な反対は、プラットフォームや人員に関する主要な決定によって形作られることが多い、と本誌に語った。

 「議会は伝統的に、戦力設計や組織よりもハードや人員に関心がある。ですから、空軍がどのようにこの計画を売り込むか、また、空軍が購入するプラットフォームの種類の再考を意味するのか、あるいは大規模な人事異動を伴うことになるのかによります」(ガートラー)。

 答えが "ノー "であれば、議会は2、3回の公聴会を経て、計画を許可するだろう。「しかし、大規模な人事異動や、基地の変更、どのような航空機をどこに駐留させるかなどが含まれれば、議会はもっと関心を持つだろう」。■


Air Force launches reorganization, as Kendall warns ‘We are out of time’ to match China - Breaking Defense

By   MICHAEL MARROW and THERESA HITCHENS

on February 12, 2024 at 9:07 PM


2024年2月13日火曜日

建造中の「たいげい」級潜水艦の抑止力に着目。日本メディアは防衛装備品の果たす役割を正確に納税者に伝えるべき。


日本の「ビッグホエール」潜水艦、中国海軍を締め上げる新たな武器に

Business Insiderがまとめていますが、日本のメディアでは潜水艦の特異性には注目するものの、対中抑止力としての意義に触れるものがすくないのはなぜなんでしょう。さらに、新型艦への北京の警戒感は素早く伝えるのに、肝心の納税者には潜水艦戦力の意味を正しく伝えることができていない気がするのは自分だけでしょうか。

Japan has built one Taigei-class attack submarine every year since 2020. The lead ship seen here was commissioned in 2022.日本は2020年以降、毎年1隻の「たいげい」級攻撃型潜水艦を建造している。この艦は2022年に就役した。海上自衛隊

  • 日本はたいげい級潜水艦を2020年から進水させている。同級の潜水艦は、戦争が勃発した場合に中国軍艦を狩ることが期待されている

  • その高度な能力とステルス性は、中国の軍艦を待ち伏せるための格好の候補だ

年10月、川崎重工業は神戸造船所で日本最新鋭の潜水艦の進水式を行った。JSらいげいと命名されたディーゼル電気攻撃型潜水艦は、「大きなクジラ」の意味の「たいげい」級4番艦である。

同艦の進水は、たいげい級潜水艦3号艦「JSじんげい」の進水からほぼ1年後となった。建造期間は約2年で、日本は2020年以降、毎年たいげい級を進水させている。

この迅速なスケジュールは、日本の造船会社の優れた納期実績以上のものを示している。また、世界最高のものの1つとみなされる新クラスのディーゼル電気潜水艦で潜水艦艦隊を近代化する日本の決意を示している。

多くの新技術を特徴とする「たいげい」級潜水艦は、中国海軍がもたらす非常に現実的で増大中の脅威から守るために設計され、戦争が勃発した場合には中国軍艦の狩りで不可欠な役割を果たすことが期待されている。

新たな脅威、進化した潜水艦

日本の潜水艦は、大規模な産業基盤と、1世紀以上にわたって潜水艦を建造・運用してきた豊富な経験の賜物だ。

そうりゅう級は、その有効性と先進的な能力で称賛されてきた。その中には、ディーゼル電気艦が長時間水中で活動することを可能にする空気非依存推進(AIP)技術を装備した最初の第一線潜水艦であることも含まれる。

技術的に洗練された潜水艦は、同盟国である米海軍の原子力攻撃型潜水艦の威力と相まって、海上自衛隊(JMSDF)として正式に知られる日本の海軍が、近隣諸国に比べ小規模な潜水艦艦隊を保有することを可能にした。

冷戦直後の数年間で、ソ連の脅威は事実上一夜にして消え去り、ロシアからの脅威はその前身と比較して著しく劣化しているように見えたが、中国の潜水艦艦隊は数こそ大規模であったとはいえ、能力では何世代も遅れていると見なされることがほとんどであり、その結果、技術的なギャップが生じていた。しかし近年、その差は劇的に縮まっている。

中国の現在の潜水艦艦隊は約59隻で、約10隻の改良型キロ級、12隻の039型、21隻の039A型ディーゼル電気攻撃型潜水艦が含まれている。また、093/093A型原子力推進攻撃型潜水艦6隻、094型原子力弾道ミサイル潜水艦6隻も含まれている。

これらの艦種は近代的なシステムと兵器を搭載し、近代的な能力を備えている。例えば、元級の艦艇はAIP技術を装備し、ステルス性を高めるアップグレードが行われているようだ。

さらに、中国は、北京が領有権を主張するが日本が主権を維持している尖閣諸島周辺を含め、海軍力をますます主張するようになっている。

その結果、日本は潜水艦部隊の規模を拡大し、各潜水艦に先進技術を装備して質的優位を達成する必要に迫られている。

Japan is building a larger submarine fleet but it is still only about a third the size of China's. This image shows the Soryu-class submarine Kokuryu.

日本は大規模な潜水艦隊を建造中だが、中国の3分の1程度の規模に過ぎない

大きなクジラ

そうりゅう級潜水艦1番艦の就役から1年後の2010年、日本は潜水艦を16隻から22隻に増やす計画を発表した。また、2000年代の最初の10年間に研究を始めた新技術の追求も続けていた。

そのひとつがリチウムイオン(Li-ion)電池だ。標準的な鉛バッテリーよりも効率的なリチウムイオンバッテリーは、エネルギーを放電する際に大きな電位を維持する。また、一般的にエネルギー密度が高く、鉛蓄電池の2倍のエナジーを蓄えることができる。

潜水艦にとって、これは加速と最高速度の向上、潜航時間の延長、より少ないメンテナンス、より速い再充電時間、より低い騒音レベル、より良い全体的な性能を意味する。リチウムイオンバッテリーはまた、効率的で多くのエナジーを蓄えるため、AIPの必要性を否定する。潜水艦では、敵の爆雷やホーミング魚雷攻撃を回避するためにバーストスピードを必要とする。

他国の海軍は、リチウムイオン電池の誤作動や火災リスクを理由に、潜水艦へのリチウムイオン電池の採用に消極的であったが、日本は、そうりゅう型潜水艦の最後の2隻、JS「おうりゅう」とJS「とうりゅう」の就役により、潜水艦にこの技術を統合した最初の(そして今のところ唯一の)国となった。

2020年、日本はJS「たいげい」を就役させた。これは新しい主力艦であり、当初からリチウムイオン電池を搭載する設計の初の潜水艦である。2022年に就役した同艦は、外観はそうりゅう型に似ているが、全長275フィート、全幅30フィート、表面排水量約3,000トンと、やや大型である。比較すると、アメリカ海軍のロサンゼルス級攻撃型潜水艦のほうが約90フィート長い。

そうりゅう型と同じく、推進性能を高めるためX字型の潜航舵を持ち、同じ対策システムを運用している。また、同じZPS-6F地表・低空捜索レーダーを装備し、同じ曳航式アレイソナーを搭載し、オプトロニックマストを備えている。

しかし、「たいげい」級では、リチウムイオン電池に加え、新しいシュノーケルシステム、光ファイバーアレイ技術に基づく新しいソナーシステム、すべてのセンサーからデータを収集する新しい戦闘管理システム、ポンプジェット推進器などの新しいシステムも搭載している。この潜水艦には、89式魚雷と18式魚雷用の魚雷発射管が6基あり、UGM-84ハープーン対艦ミサイルを発射することができる。

70人の乗組員で運用する「たいげい」級は、日本の潜水艦で初となる6人の女性乗組員の女性専用区画を備えている。

中心的な役割とは

潜水艦は、中国との潜在的な将来の紛争において支配的な役割を果たすと長い間期待されており、なかでも日本の潜水艦は特に重要視されている。戦略国際問題研究所が昨年実施した、中国による台湾侵攻を想定したウォーゲームで、日本の潜水艦は「最も価値がある」と言われた。

高度な能力とステルス性から、東シナ海や南シナ海、そして日本海の戦略的な海上交通の要所において、中国の軍艦を待ち伏せる格好の手段となるだろう。特に重要なのは、日本と台湾、台湾とフィリピンの間にある宮古海峡とバシー海峡だ。

日本の潜水艦や、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの同盟国やパートナー国の潜水艦は、これらの水域をキルゾーンに変え、中国海軍の行動の自由や、第二列島線さらにその先に艦船や潜水艦を派遣する能力を制限することができる。     

海上自衛隊は昨年9月、南シナ海で潜水艦1隻を使った対潜水艦戦訓練を実施し、2021年に同海域で米海軍と初の共同ASW演習を行った。最も近代的な潜水艦である「たいげい」級は、こうした取り組みにおいて中心的な役割を果たすはずだ。

日本は2018年以降、4隻の「たいげい」級潜水艦(JSたいげい、JSはくげい、JSじんげい、JSらいげい)を進水させた。最初の2隻だけが就役しているが、「じんげい」は3月に就役予定だ。JS「らいげい」は2025年の就役予定である。

日本は少なくとも7隻の「たいげい」を取得する計画で、海上自衛隊の「おやしお」級潜水艦の後継となるもので、おやしお級では1隻が昨年退役している。■

Japan's 'Big Whale' Submarines Add Another Weapon to Bottle up China's Navy

Ben Brimelow Feb 10, 2024, 8:00 PM JST


2024年2月12日月曜日

北朝鮮が休戦を破る決断をしているのではとワシントンは本気で心配している。一方日本はそんな事態は起こるはずがないとタカをくくっている....

世界情勢の中で一層の孤立感を感じる北朝鮮は破綻寸前なのでしょうか。その中で金正恩が方針を転換し、南朝鮮にむき出しの敵意を示していること、レトリックの内容から北が手詰まり感から休戦を破ると見る観測がワシントンにある一方、日本国内はそんなことあるわけない、いつもの虚勢だろうと警戒心がないようですね。もちろん、戦闘はあってはならず、自由陣営(最近使わない用語ですが)は抑止力を維持しなければならないのですが、ともかく日本にとってこんな面倒な不良国家がそばにあるだけで非常に迷惑ですね。The National Interestからのご紹介です。




北朝鮮は本当に戦争を決断したのか?


  • 2024年、金正恩がエスカレートする可能性が高いようだ。

  • 深刻な内部問題と、挑発という冷戦時代のアプローチが対外的な目的を達成できなかった。


1月10日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、朝鮮半島の平和的な統一を模索してきた数十年におよぶ政策を放棄した。韓国を"主要な敵"と呼び、"戦争を避けるつもりはない"と述べた。さらに韓国を『消滅』させることにためらいはないだろう、と語った。これでは、金正恩が韓国への大規模な核兵器攻撃を準備しているように聞こえる。

 その後、2人の著名な北朝鮮専門家が「金正恩は戦争に踏み切る戦略的決断を下した」と主張する記事を書いた。その後の議論では、そうではないという意見もあった。

 では、金正恩は本当に戦争を決断したのだろうか?

 この問いにきちんと答えるためには、まず戦争の種類を区別しなければならない。実際、金正恩はすでに戦争に突入している: 金一族は70年もの間、韓国や米国との冷戦を準備し、戦ってきた。このことは、北の対南宣伝活動、米国と韓国を北を侵略しようとする敵対的な敵と見なすこと、ミサイルや核兵器の実験を含む多くの挑発行為、そして扇動的な脅しに見ることができる。

 むろん、金正恩は破綻した政権を存続させるためにこうした行動を利用している。金正恩は、政権の多くの失敗から国民の注意をそらし、権力を持ち成功した指導者の姿を見せようとしている。これらの行動はまた、韓米同盟の弱体化を期待し、韓米同盟に圧力をかけることを可能にする。

 そして、金正恩は明らかに熱い戦争の準備をしている: どの国の軍隊も戦争に備えている。しかし特に、100万人以上の軍隊を持ちながら、戦争の準備を積極的に行わない独裁国家はありえない。そうでなければ、体制にとって非常に危険な存在となる。実際、金正恩は南を消滅させると脅しただけでなく、さらに踏み込んで、"韓国を占領し、服従させ、奪還し、わが共和国の領土の一部として併合する "計画を持っている。

 このような熱い戦争は、現在多くの専門家が恐れていることである。しかし、金正恩はそれを望んでいるわけではないだろう。結局のところ、核兵器を使用した場合、米国は金正恩政権が存続できなくなることを約束している。また、もし金正恩の軍隊が韓国に侵攻すれば、北の人員は外部情報によるイデオロギー汚染に苦しむことになる。実際、2023年6月に発表された米国家情報評価局(NIE)の抄訳は、そのような北朝鮮の攻撃活動を大幅に割り引いている。

 それでも金正恩は、1989年に自国軍に倒されたルーマニアの共産主義政権の運命を恐れている(祖父の金日成はニコライ・チャウシェスク大統領と親しかった)。もし金正恩が、自分の軍隊が自分に不利になるような行動をとると感じれば、金正恩は自分の軍隊を支配しておくために、南への侵攻を命じるかもしれない。NIEの抜粋によれば、「(情報機関は)金正恩が自らの体制が危機に瀕していると考えない限り、北朝鮮が核兵器を使用する可能性は低いと評価し続けている」。金正恩はおそらく、核兵器の使用の可能性を含め、そのような侵攻を実行した場合に圧倒的な敗北を避けるため軍が十分に準備されているような体制存続の不測の事態を望んでいるのだろう。

 しかし、第三の戦争として、敵対勢力を威圧したり不安定化させたりすることを目的とした、定期的な限定攻撃を伴う「温戦」がある。歴史的に、北朝鮮はこのような限定的な攻撃を実践してきた。1960年代後半には、南で内戦を煽動しようと反政府勢力を利用したこともある。北の特殊部隊は南に潜入し、1968年に韓国の朴正煕大統領を殺害しようとした。北はまた、1968年にUSSプエブロを拿捕し、1976年に板門店で米軍将校2名を殺害し、1983年にビルマで爆破テロを起こし韓国大統領を暗殺しようとし、1990年代と2000年代に韓国艦船を攻撃し、2010年には延坪島を砲撃した。

 2024年、金正恩が温戦にエスカレートする可能性が高いのは、内部に深刻な問題があることと、挑発という冷戦時代の手法でも対外的な目的を達成できなかったからだと思われる。ここ数年の金正恩の挑発行為は、韓米同盟を弱体化させるどころか、同盟をかつてないほど強固なものにし、日本を三国同盟に引き入れたとさえ言われている。金正恩の戦略の対外的な結果は、これ以上ないほど悪いものであり、金正恩の上級指導者たちはそのことを知っているのだろう。しかし、金正恩は失敗を認めることはできない。祖父が1960年代後半に行ったように、二の足を踏んで戦争をエスカレートさせる可能性の方が高そうだ。


 もちろん、金正恩は温戦戦略の具体的な内容は認めないだろう。北朝鮮の挑発行為には、伝統的に奇襲の要素が重要だった。しかし、金正恩が限定的な攻撃作戦を実施する可能性はかなり高いと思われる。少なくともその一部は、天安艦沈没事件で、延坪島砲撃よりも北のリスクがはるかに低いことを2010年に学んだため、もっともらしく否定されるだろう。NIEはまた、「北朝鮮の指導者として金正恩は、国家安全保障上の優先事項の達成に向けて前進を図るため、様々な強制的手法や侵略の威嚇を用いる可能性が高い」とも述べている。別の専門家はこう警告する: 「金正恩は今や南北関係を支配し、米韓同盟にくさびを打ち込み、ますます攻撃的な挑発を行うことができると感じているかもしれない。そして、エスカレーションのリスクをコントロールする自分の能力を危険なほど過信するようになるかもしれない」。

 韓国の尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領は、北朝鮮が韓国を挑発すれば、不釣り合いな「懲罰」を与えると約束している。もしそうなれば、北朝鮮の内部は不安定になり、金正恩は「核の影」が韓国とアメリカの対応を制約することを期待し、エスカレーション・スパイラルを追求せざるを得なくなるかもしれない。しかし、それは大間違いかもしれない。

 従って、韓米両国は、北朝鮮のいかなる攻撃にも打ち勝つ準備が必要である。北朝鮮の限定攻撃を抑止するために報復的な威嚇に依存する傾向があるが、北朝鮮の限定攻撃を撃退する能力と計画を持ち、その準備を実証することにもっと力を注ぐ必要がある。

 例えば、北朝鮮のミサイルが韓国や米国の防衛力を打ち負かすことができると主張しているが、ウクライナは、理論上「止められない」ロシアの極超音速ミサイルに対しても、米国や同盟国の防衛力を用いて、ロシアのミサイル攻撃のかなりの割合を迎撃している。韓米両国は、北朝鮮の攻撃を可能な限り拒否する準備をする必要がある。結局のところ、国内情勢が不安定になったとき、金正恩が一番避けたいのは、南への攻撃が失敗し、それによって弱く見られることである。この場合、抑止力は拒否に依存することになり、報復よりも北朝鮮のエスカレーションを促す可能性が低くなる。

 さらに、韓国と米国は、北朝鮮の重要な非対称的脆弱性である外部情報を利用する必要がある。北への報復攻撃を脅すだけでなく、金正恩が恐れるような北への対外情報キャンペーンでも脅すべきである。そのようなキャンペーンは、国外(ロシアを含む)で働く北朝鮮のエリートたちに情報を届けることと、ラジオやテレビ、その他のメディア(USBメモリなど)を北に送り込むことの両方に焦点を当てることができる。

 北は米国との交渉を拒否しているが、米国は外交が交渉のテーブルから始まる必要はないことを忘れてはならない。なぜワシントンは、北朝鮮との緊張を緩和し、多くの北朝鮮国民が切望している利益を提供する提案ができないのだろうか。例えば、米国は挑発行為をしないことと引き換えに、食糧と医療援助を提供することができる。金正恩はそのような提案をほぼ間違いなく拒否するだろうが、彼のエリート層は非常に魅力的だと感じ、彼に圧力をかけるかもしれない。北朝鮮の挑発行為に対して強硬な態度を取るだけでなく、米国は同盟国や北朝鮮に対して、北朝鮮の悪行に対してのみ敵対しているのではないことを示すことができるだろう。■



Has North Korea Really Decided to Go to War? | The National Interest


February 9, 2024  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: North KoreaSouth KoreaMilitaryROKKim Jong-un


by Bruce W. Bennett 

About the Author: Dr. Bruce W. Bennet 

Bruce W. Bennett is a senior international/defense researcher at the nonprofit, nonpartisan RAND Corporation. He works primarily on research topics such as strategy, force planning, and counterproliferation within the RAND International Security and Defense Policy Center.

Image Credit: ROK Government.