発表はあったものの、予算を仕切る議会がどうしても選挙区内の基地の統廃合や装備品の選択に関心を示しがちな中で、いまいち組織改編に関心を示さず、予算をつけてくれないとせっかくの改革も実体がともなわないものになってしまいます。これからは議会を相手の戦いでしょう。走行している間も中国を意識すれば、状況は好転しないわけで、空軍省が大きな焦りを感じてくるはずです。Breaking Defense記事から内幕をご紹介しましょう。
「再最適化」として、新たな訓練アプローチからハイレベルオフィスの設置まで、空軍省全体に変化が訪れようとしている
AFA WARFARE SYMPOSIUMにて。 空軍省(DAF)の上級幹部は本日、空軍と宇宙軍の抜本的再編成の詳細を発表した。再編成は、中国との「大国間競争」に向けて両軍を「再最適化」するため必要と、空軍の文民トップが待望していた動きである。
コロラド州デンバーで開催された航空宇宙軍協会(Air & Space Forces Association)のAir Warfare Symposiumの基調講演で、空軍、宇宙軍、そしてその文民指導部全体で合計24個の組織変更が予想されると高官が語った。フランク・ケンドール空軍長官によれば、変更のスケジュールは明確にされておらず、多くの具体的な詳細が未調整だ
改革は組織全体で大きな変更を伴うが、ケンドール長官は今日、空軍の2024会計年度予算要求にも、次期25会計年度予算案にも、この再最適化推進のための資金は求めていないと述べた。ケンドール長官は、必要に応じて予算組み替えの権限を使い資金を移動させると述べ、26年度には新たな資金が必要になるかもしれないと指摘した。
空軍と事務局の変更
デービッド・オールヴィン空軍参謀総長Chief of Staff Gen. David Allvinによると、空軍は、核兵器管理から、新たな准尉プログラムまで、15通りの新しい取り組みを推進している。
そのうち数点は、空軍の航空団の構成を調整して、飛行士をどのように配備するかを伴う。また、航空教育訓練司令部を拡大し、飛行士開発司令部Airman Development Commandに改称する計画もある。
さらに空軍は、敵対国との戦闘状況をシミュレートするため、より大規模な演習に着手する。オールヴィンによれば、空軍は25年度中にインド太平洋地域でそのような演習を初めて実施することを目指しているが、予算が逼迫する可能性があると警告している。
広く期待されていた大きな変化のひとつは、実現しないようだ。
宇宙軍高官が12月に、空軍は現在の主要司令部(MAJCOM)構造を廃止するかもしれないと示唆した後、オールヴィンはこれに反論し、現在のMAJCOM構造は残ると強調した。しかし、要求事項の策定などの一部は、新しい統合能力司令部に移管される、と彼は説明した。
空軍の文民指導部(政策と予算の決定を支援)では、小さな変更リストがある。空軍次官クリスティン・ジョーンズによると、事務局は統合能力オフィス、競争活動オフィス、プログラム分析評価オフィスの3つの新しいオフィスを立ち上げる。(後者は、国防総省のコスト評価・プログラム評価室(CAPE)とどのように連携するかは、すぐには明らかにされなかった)。
ジョーンズは、「事務局におけるこれらの変更は、われわれが準備を整え、より効果的になるために必要な変更を行うのに役立つだろう」と述べた。ジョーンズ氏は、これらのオフィスのスタッフがどこから来るのか、また、これらのオフィスの設立により、他のどのような役割に影響が出るのかについては明言しなかった。
宇宙の動き
空軍のプレスリリースによれば、宇宙作戦部長チャンス・サルツマン大将Chief of Space Operations Gen. Chance Saltzmanが詳しく説明した宇宙軍に予定されている変更の中で、おそらく最も重要なのは、宇宙が今や「穏やかな環境」ではなく、「争いのある領域」であることを反映し、即応性基準を刷新することである。
現状で宇宙軍は新しい環境に対処するため必要な適切な装備、訓練、そして「作戦コンセプト」を持っていない、とサルツマンは言う。そこで宇宙軍は、長期的なニーズを評価するため、Futures Command(2018年に発足した陸軍のFutures Commandから引用されたような名称)を創設しており、三部門で構成する。
まずコンセプト・テクノロジー・センターは、脅威環境が変化する中で何が必要とされるかを検討するとサルツマンは言う。2番目はウォーゲームに焦点を当て、3番目は現在の宇宙戦力分析センター(SWAC)を基礎として、将来のニーズを満たす戦力設計を開発する。
最後に、宇宙軍は、戦闘司令部のために日々の任務を遂行する「行動部隊」として、宇宙軍戦闘飛行隊を指定する予定である。一方、宇宙軍は「ミッション飛行隊にハイエンドの高度な即応活動を行う能力を残す」と付け加えたが、それが運用上どのように機能するかについての詳細はほとんど語られなかった。
サルツマンが詳述した新たな脅威に対処できるようにするための最初の努力のひとつは、新たな士官訓練体制であり、それは最終的に拡大される。この訓練には、システムの操作方法だけでなく、敵の行動に対処する方法も含まれる。これには訓練インフラの変更も含まれる、と彼は指摘する。
「われわれは、紛争地域を中心とした即応態勢の基準を書き直さなければならない」(サルツマン)。
なぜ今なのか、そして議会はどう対応するのか
ケンドール長官は長官在任中、DAFは敵対国中国との紛争に備えていないと強調してきた。そのために、2022年の同じAFAの会議で、ケンドールは7つの「作戦上の必須事項」のリストを明示した。
ケンドールが2023年9月に初めて発表した再最適化は、これらの必須事項に加え、横断的な運用イネイブラーとして知られる別の取り組みも追加するものだ。これらの取り組みが特定の近代化課題に密接に結びついているのに対し、今日の発表は空軍自体の構造をより広く見直すことを目的としている。
「もう時間がない」とケンドールは今日、中国がもたらす課題について語った。「私たちはもはや、紛争を遠い可能性、あるいは将来直面するかもしれない問題とみなすことはできない。紛争のリスクは今ここにあり、そのリスクは時間とともに増大している」。
空軍の計画の多くで議会の賛同が必要だが、議員の反応は読めない。コンサルタント会社ティール・グループのシニア・アナリスト、JJ・ガートラーは発表に先立ち、議員の関心や潜在的な反対は、プラットフォームや人員に関する主要な決定によって形作られることが多い、と本誌に語った。
「議会は伝統的に、戦力設計や組織よりもハードや人員に関心がある。ですから、空軍がどのようにこの計画を売り込むか、また、空軍が購入するプラットフォームの種類の再考を意味するのか、あるいは大規模な人事異動を伴うことになるのかによります」(ガートラー)。
答えが "ノー "であれば、議会は2、3回の公聴会を経て、計画を許可するだろう。「しかし、大規模な人事異動や、基地の変更、どのような航空機をどこに駐留させるかなどが含まれれば、議会はもっと関心を持つだろう」。■
By MICHAEL MARROW and THERESA HITCHENS
on February 12, 2024 at 9:07 PM
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