中国も見方を変えれば出口を西側に押さえられているわけで、その分だけ海洋進出にはずみがついているわけですが、F-35が圧倒的な威力をみせれば中国に対する空の『壁』ができると極めて楽観的な見方をしているのがWarrior Mavenの記事です。ま、フィリピンが重要な前線基地になり、日本も関与すれば台湾は大陸の魔手に落ちないのではないかと思いますが、ものごとはそんなに単純ではないでしょう。しかし、時間が立つにつれPLAが張子の虎だとばれてしまうので、北京もひょっとすると思い切った動きにでるかもしれません。
米海軍、日本、韓国、オーストラリア、シンガポールはすべてF-35保有国だ
米海軍、日本、韓国、オーストラリア、シンガポールはすべてF-35保有国であり、第5世代機による米軍連合が数年以内に中国を「包囲」できる可能性が出てきた。
F-35のような単一のプラットフォームや兵器システムが特別な影響を及ぼすと考えるのは珍しい。しかし、太平洋戦域で増加するF-35の多国籍軍は、大規模なマルチドメイン戦争システムの中で運用される場合、この地域の抑止力方程式に広範囲かつ多次元的な影響を与える可能性が高まっている。
F-35が日本やその他の地域に到着するにつれ、太平洋を囲む完全な半円形の防衛リングの実現はまだ数年先かもしれない。しかし、F-35の配備国を地図で見るだけで、米軍が同盟国と第5世代の「壁」で太平洋全域の中国を文字通り「包囲」できることを示唆している。シンガポール、オーストラリア、韓国、日本、そして前方で運用されるアメリカのF-35は、ステルス性を持ち、ネットワーク化された第5世代のISR、照準、攻撃機として機能する可能性がある。また、あまり認識されていないが、この方程式にまだ存在しない可能性として、最適な位置にあるフィリピンがある。フィリピンにおける米軍のプレゼンスが拡大している今、そこに米軍のF-35を駐留させてはどうだろうか?
太平洋全域におけるF-35の拡大は、重要な変数数点のため、正確に爆発的と表現することができる。日本は350億ドルという巨額規模でF-35を獲得し、大規模な海上配備と陸上配備の第5世代JSFを太平洋全域に拡大するネットワークにもたらした。オーストラリアと韓国もF-35保有国であり、あまり知られていないが重要な国であるシンガポールもF-35購入を増やしている。これらの国々と空母や揚陸艦から運用される海上ベースの米海軍F-35とを組み合わせれば、文字通りネットワーク化されたF-35機の輪で太平洋を「包囲」できる。F-35のマルチ・ファンクション・データ・リンク(MADL)により、太平洋戦域全体で各国のF-35が安全かつシームレスにデータを共有できるようになるため、この見通しは計り知れないほど強化される。これは、日本と韓国のF-35が日本海と朝鮮半島に沿って制空権を求めることができることを意味する。日本のF-35が日本の最南端から離陸すれば、台湾の北空域を確保し、給油すれば台湾空域内に到達できる。前方に配置されたアメリカの空母と揚陸艦は、台湾の西で重要な位置を占めることができ、第5世代機が太平洋の中央部と南東部のどこで活動するかによって、台湾または南シナ海の一部の攻撃範囲内に配置される。シンガポールが中国抑止のF-35連合を支持する気になれば、シンガポール空軍は南西太平洋の空域を中国の航空攻撃から守ることができる。シンガポールはF-35の購入数を12機まで増やしたばかりであり、同国のF-35は南東太平洋のオーストラリアのF-35と接続することで、太平洋全域で制空権の輪を完成させることができる。
日本のF-35が大量に整備されるまで数年かかるかもしれないが、海上自衛隊は、日本のミニ空母で台湾上空まで日本の南をカバーできる海上ベースのF-35Bを取得中である。
フィリピンにF-35を配備する?
太平洋全域におけるF-35の存在感の高まりと並んで、米国とフィリピンの大規模な協力関係の強化は、中国抑止にむけた協力関係において最も決定的な要素となる可能性がある。フィリピンは最近、米国との防衛協力強化協定(EDCA)を拡大し、米軍のアクセスを可能にする4カ所を新たに追加した。戦略的にも地理的にも、フィリピンは間違いなく台湾に最も接近しやすい位置にある。スタ・アナのカミロ・オシアス海軍基地、カガヤン州のラルロ空港、イサベラ州ガムのキャンプ・メルコール・デラクルス、パラワン近くのバラバック島だ。
フィリピン北部は台湾上空から数百マイル、せいぜい400~600海里の距離に過ぎず、陸上運用型F-35Aの攻撃範囲内にある。米軍のF-35はフィリピン軍と訓練を行っているが、おそらくもっと多くの機体が、フィリピンの新しい米軍基地に恒久的に駐留する可能性がある。米空軍は現在300機以上のF-35を運用しており、F-35の大部隊を台湾防衛の射程圏内に置くことは、給油を必要とせず、太平洋における前例のない航空戦力の投射をもたらすからだ。PLA空軍はおよそ120機のJ-20を運用していると考えられている。J-20がF-35に匹敵すると仮定すると、その性能は検証されておらず、かなり疑問が残るが、J-20は陸上配備で、F-35より大きく、間違いなく機動性が劣る。この種の対戦における未知の要素は、J-20のセンサー、ミッション・システム、コンピューティング、武器、照準がF-35にどこまで匹敵するのかであることは明らかだろう。これは最も重要な問題に思われるが、たとえ同等であったとしても、中国のJ-20部隊は、フィリピンを拠点とするアメリカのF-35で強化された、アメリカ、日本、韓国、シンガポールの多国籍軍F-35部隊には劣るだろう。米領グアムは台湾から東に1,700km以上離れており、空中給油でのアクセスは困難だが不可能ではない。フィリピンにおける米軍のプレゼンスが拡大しているのだから、米軍のF-35やF-22をフィリピンに駐留させるのはどうだろうか?
というのも、南シナ海のかなり南側から朝鮮半島の北側、そして日本海にまたがるF-35の半円の真ん中の隙間を埋めるからだ。シンガポールから北日本まで、F-35の多国籍半円は、台湾を防衛し、太平洋全域にわたる中国の攻撃を抑止または撃退するために大きな影響を与える、保護的な制空権圏を提供することができる。
この半円の最も重要な補強要素は、間違いなく米海軍の第5世代航空戦力の前方配置だろう。米空母は50機以上のF-35Cを発艦させることができ、アメリカ級揚陸艦は20機を運用できる。これにより、洋上発進の第5世代航空戦力は、太平洋全域でネットワーク化された同盟国のF-35の強固で侵入不可能な「壁」を完成させることができる。
マルチ・ドメイン・センサーとしてのF-35
F-35は、攻撃プラットフォーム、センサー・ノード、ISRプラットフォーム、フライング・コンピューター・システム、空中ゲートウェイ、近隣のドローンの小グループを運用する母機として運用される。F-35はすでに、陸軍の統合戦闘指揮システムや海軍の対艦巡航ミサイル防衛システム(NIFC-CA)で空中センサーとして運用され、重要なミサイル防衛能力を発揮している。これらの事例において、F-35は重要な照準および空中センサー・ノードとして作動し、脅威の特定と、時間的な影響を受けやすい情報を艦船および陸地の火器管制システムに「中継」することで、指揮官が最適な対応、防御、反撃を決定するための、より長い時間的猶予を与えている。 F-35は、NIFC-CAとIBCSの両方において、空中ゲートウェイとして動作する能力を特に実証している。これは、地上レーダー、水上艦船、空中ドローン、衛星、および戦域全体に配置された指揮統制ハブ多数をつなぐ重要なリンクとして機能できることを意味する。つまりF-35は、ドローンに近い機能を実行したり、地上、空中、地上のノード間でターゲット・データを転送したり、あるいは発射前に空中から、あるいは地上で敵の弾道ミサイルを迎撃したり破壊したりする武器を使用することもできる。
2020年、陸軍のプロジェクト・コンバージェンスで、米海兵隊のF-35Bが、地上部隊とリアルタイムで標的データを共有する能力を実証したように、陸上攻撃任務を支援する空と地上との接続性もまた、F-35の運用能力にとって重要である。■
By Kris Osborn, President, Center for Military Modernization
Kris Osborn is the President of Warrior Maven - Center for Military Modernization and Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
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