BWBは先にボーイングが縮小機を飛行させていますが、新興企業ジェット・ゼロも縮小版から初めて実機に移行するとのことです。初飛行すれば航空史上でまた一つのマイルストーンが生まれますね。AviationWeekがシンガポール航空ショー会場から伝えていますのでご紹介しましょう。
Credit: Mark Wagner Aviation Images
ジェットゼロ・スケールの実証用BWB機が初飛行に迫る
シンガポール・エアショーで展示されたジェットゼロJetZeroのBWBデモ機は、2023年に締結されたDIU契約の一環で開発される実機へ道を開く。
カリフォーニア州を拠点とするジェットゼロは、今後数週間以内にブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)マルチロール商用・軍用実証機の縮小版の飛行試験を開始すると発表した。
「数日から数週間のうちにできるだろう」とジェットゼロのトム・オリアリーTom O’LearyCEOはエイビエーション・ウィークに語った。「準備は整っており、湖底の乾燥を待つだけです」と、離着陸テストに使用されるカリフォーニア州エドワーズ基地の広大な地域を指して彼は付け加えた。南カリフォルニアでは大雨があり、湖底の大部分は水で浸水している。
翼幅23フィート、縮尺12.5%の機体は、NASAの持続可能な飛行実証機プログラムの初期段階として2021年の契約で資金提供をうけており、ジェットゼロによるBWBコンセプトの重要な特徴である関節式機首脚の設計の評価に使用されるもので、2023年に授与された2億3,500万ドルの米国国防イノベーションユニット(DIU)契約で開発される実機へ道を開く。
ジェットゼロの共同設立者で最高技術責任者(CTO)のマーク・ペイジ Mark Pageは、1990年代にマクドネル・ダグラスで混合翼コンセプトの創案に貢献したBWBのベテランである。離陸時には、ノーズギアが数フィート伸びて迎え角が約6度増加し、BWBのボディが揚力を生み出す。
最初の飛行試験段階は3ヶ月程度と予想されているが、プログラムが継続されるにつれ、サブスケールの機体は追加試験に使用され続ける予定、とペイジは言う。小型実証機の飛行試験は、当初2023年後半に開始される予定だったが、一部の飛行制御システム部品の納期が遅れたために延期されていた。
ジェットゼロの4年間の開発計画は、2027年第1四半期に始まる実証機の飛行試験で頂点に達する。エアバスA330に近い翼幅を持ち、ボーイング767に匹敵するサイズの実証機は、ノースロップ・グラマンとその試作子会社スケールド・コンポジッツと共同で製造・試験される。
「実証機の完成時期は完全に予定通りです」とオリアリーは言う。「予備設計審査は6月に、重要設計審査は2025年前半に予定されています」。
BWBの商用型は、ジェットゼロの表現によれば中堅市場向けであり、同社はカリフォルニア州ロングビーチで開催されるシンポジウムに主要航空会社10社ほどを招待している。「これは一種のプレ・ワーキング・グループであり、実際には、ワーキング・グループから何を望むかについて、各社のご意見を聞きたい」とオリアリーは言う。「座って、『ワーキンググループのあるべき姿について話し合おう』と言いたいのです」。
ジェットゼロは実証機にプラット・アンド・ホイットニーのPW1100Gを選択したが、最近米空軍から表明されたエンジン出力の限界に関する懸念について、オリアリーは次のように言う。
「主なことは、空軍が何を求めているかということです。燃料を持ち運ぶのならば、推力が大きい方がいいに決まっている」とオリアリーは言う。「新しいエンジンがあれば最高ですが、私たちは大手メーカーではありませんので、エンジン会社に行って、『新しいエンジンを作ってくれ』とは言えません。空軍のプログラムは商業実証プログラムであり、タンカーでもなければ輸送実証プログラムでもない。空軍が我々のプログラムに投資しているのは、納税者が投資家として恩恵を受けられると考えているからでうす」。■
JetZero Scaled Demo BWB First Flight Imminent | Aviation Week Network
Guy Norris February 22, 2024
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