Lockheed Pitching F-22/F-35 Hybrid to U.S. Air ForceロッキードがF-22/F-35ハイブリッド構想を米空軍にも売り込む
- BY MARCUS WEISGERBERGLOBAL BUSINESS EDITORREAD BIO
AUGUST 30, 2018
ラプターにJSFの頭脳を取り入れた新型機種の狙いは今後出現するはずのロシア、中国の脅威への対抗だ。
ロッキード・マーティンがひそやかに米空軍に新型F-22ラプターを売り込み中だ。機体にはF-35の搭載する新型ミッションエイビオニクスを盛り込み機体構造を一部変更している。
米軍や同盟国にロッキードはこれ以外のオプションも提示するねらいは軍関係者が今後登場すると見ているロシア、中国の脅威への対応だ。
「これはハイブリッド機になる」とデイヴィッド・デプチュラ空軍中将(退役)はミッチェル航空宇宙研究所所長としてコメントしている。「F-22でもF-35とも違う機体だ。両機種を合わせた存在だ。完全新型機の開発よりずっと早く実現できる」
新型機はロッキードが日本に提案中の機体と似ており、F-35の新型ミッションシステムと「その他ステルス塗装等の新技術」を盛り込むと詳しい筋が述べている。
「この提案には多大な可能性がある。すぐに飛びつくべきとは言わないが日本の視点で見れば国産機開発の代替案として国産機がF-22の性能に及ばないのであれば巨額を投じる意味がある。賢明な選択になるはずだ」(デプチュラ)
ロッキード広報は本件についてコメントを避けている。
今回の提案から思い出されるのは1990年代末にF/A-18ホーネットがスーパーホーネットへ進化した過程だ。低リスク事業としてF/A-18E/Fでは機体のほぼ全面改良が必要となった。新型主翼は当初こそトラブル続きだったが、最終的に成功作となった。
国家防衛戦略の一環で空軍が戦力編成を検討するタイミングでロッキード提案が出てきた。
今回の売り込みで長年の論争が再燃しそうだ。F-15含む第四世代戦闘機の改良型を調達するべきか、それとも高価かつ整備が大変なステルス塗装や電子装備を盛り込んだ新型機のほうがいいのか。
7月にはボーイングがF-15イーグルの新型機F-15Xを売り込み中との報道があり、ミサイル爆弾の搭載量増加と新型電子装備を採用するとある。F-22やF-35とちがうのはステルス性能がないことだが、同機支持派によれば電子戦等の装備で被撃墜性が下がるという。
非ステルス機導入に反対する向きからは国家安全保障戦略と関連するとの指摘が出ている。「統合運用では敵国の防空ミサイル防衛ネットワークの有効範囲に侵入し移動式兵力投射装備を破壊する能力が必要だ」「第四世代機でこのシナリオでの運用は無理だ。このため第5世代機の持つ作戦能力が必要だ」(ロッキード提案内容に詳しい筋)
デプチャラは改良型F-22を採用すれば米軍戦力は段階的に増強可能とし、未検証技術を採用した革新的設計の第六世代機の登場を待つ必要がなくなるという。
「空力特性、推進力、低視認性から見ればF-22を大幅に超える機体はまだ生まれていない」(デプチュラ)
米空軍は数億ドルで今後の戦闘機用各種技術を検討中だ。空軍では次世代航空優勢機あるいは侵攻制空機と呼んでいる。
その他の提案
ロッキードには米軍や同盟国向けに別提案もあり、指向性エネルギー兵器や電子攻撃手段をF-16、F-22、F-35に搭載する案やF-35の構造強化も含まれる。
「米軍が次世代航空優勢機材の実現に向かうのであれば選択肢は多々ある」とロッキードの戦略に詳しい筋が語る。
このうちロッキードがF-35改修で動いている。同上筋によれば同社はスカンクワークス本部があるパームデール(カリフォーニア州)で米海軍上層部に売り込みを図った。エンジン改修が中心で出力、燃料消費の双方で向上を図る。外観上に変更はない。
ロッキードではF-35調達規模の増加も売り込んでおり、2020年代にステルス機の増強を期待する。
「国家防衛戦略で掲げるシナリオのひとつで実際の戦闘となれば高リスク状況で第四世代機で大量損失が発生する。米国がこうしたシナリオで任務を実施できるか疑問だ」(同上筋)
F-35の年間生産数が80ないし100機となれば米軍戦闘機2,000機の8割が第5世代機になると同上筋は解説する。
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「該当シナリオは本質的に違う。目的達成の確率が高くなり損耗を低く抑えることを目指す内容だが第四世代機は危険にさらされる」。だがコストの問題が出てくる。空軍向けF-35Aの最新発注分で単価は90百万ドル程度だ。ペンタゴンは2020年までに80百万ドルに引き下げたいとする。
デプチュラはF-35価格の削減が続けばF-15やF-16の新型調達の論拠が減るという。
「空軍の立案部門は既存の相手方脅威のみならず将来登場する脅威への対応も望むはずだ。一部には財政上こちらが優位と見る向きがあるが、この議論は長く持たないと思う」
「個別の機体単価や既存機材の新型版の生産再開を進めればF-35の機体単価の変遷カーブに近くなる。空軍立案部で高齢化進む空軍の立て直しを図るとしたらどちらの案が効果が高いのか答えをだすのがむずかしいだろう」■
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