スキップしてメイン コンテンツに移動

極超音速兵器開発で新たな役割を果たすB-52


ここに来てB-52の話題が増えていますね。極超音速ミサイル兵器は相当大きな外寸になりB-52での運用がピッタリなのでしょうが、ここまで役に立つ機体を1950年代に作ったことは本当に投資効率が高い事業ですね。歴史に残る機材の資格は十分と言えましょう。

Aviation Week & Space Technology

B-52 Readied For Intense Hypersonic Weapons Test And Deployment Role 極超音速兵器開発・運用の準備を進めるB-52

Aug 29, 2018Guy Norris | Aviation Week & Space Technology

B-52
極超音速兵器実証はX-51Aウェイヴライダーのテスト経験をベースにするはずだCredit: U.S. Air Force

B-52Hの主翼サイズと外部搭載能力が極超音速兵器テストの母機で決め手となり、今後始まる米空軍の第一世代極超音速攻撃兵器の実証、運用で同機に新たな役割が与えられる。
大幅改修策とエンジン換装案検討が進むB-52Hは2050年まで供用予定で米空軍は今後登場するノースロップ・グラマンB-21と長距離攻撃にB-52を活用する方針だ。B-21の投入は2020年代末の予定。B-52ではスタンドオフ能力を期待され、極超音速兵器を多数搭載する。
「極超音速が同時平行で開発中で、各種兵器構想の実証をめざします」とボーイング爆撃機事業主幹スコット・オートハウトが述べる。「B-52が極超音速技術の成熟化で中心的存在です」 
空軍はB-52を「2019年から2020年に実施する極超音速兵器実証で発射母機とする」とし、緊急性を鑑み、ペンタゴンで新たに生まれた804セクション調達手法で二方式の試作を加速化する。つまりロッキード・マーティンのAGM-183A空中発射方式迅速対応兵器 (ARRW) と極超音速通常型打撃兵器(HCSW)の二種だ。「どちらかがあるいは両方が成功すればB-52の極超音速兵器運用ミッションが一変することはなくても長距離攻撃能力は引き上げられる」と空軍は説明する。
短期的にはDARPAが戦術加速滑空技術(TBG)の実証を企画中で、このロケット推進のロッキード・マーティン超高速滑空機がAGM-183Aの母体となる。TBGは2019年にも飛行テストを開始する予定で、その後登場する迅速即応兵器の作戦運用開始は2021年が目標だ。固体ロケット推進方式のHCSWは2022年の作戦運用開始を期待される。
空軍が目指す極超音速兵器はスクラムジェットエンジンを使い、B-52母機がNASAの2000年代にX-43をテストしており、その後継たる空軍とボーイング共同開発のX-51Aが2010年から2013年にテストされた。ロッキード・マーティンのスカンク・ワークスはレイセオンとDARPA事業で類似コンセプトの極超音速空気吸い込み式兵器コンセプト (HAWC)を製作中だ。HAWCの採用案はB-52でテストを2020年に開始する。
最終仕様がどうなるかと別に「B-52の将来はこの兵器運用で更に伸びる」とオートハウトは述べる。「大型トラックであり大型装備を簡単に外部搭載可能で長距離運用できるので、2040年代2050年代まで重宝され今後の技術動向に対応できるはずです」
大型兵器の登場を予想するボーイングは空軍と「大型装備搭載案で新型パイロンを検討中」とオートハウトは說明する。B-52では重量10,150-lb.のAGM-28ハウンドドッグ超音速ミサイルや特殊ミッション用大型装備としてD-21ステルス無人機やX-15極超音速試験機を搭載の実績があるが、設計陣は高速兵器数発を搭載出来ないか検討中だ。

その動きのひとつとして6月に空軍物資本部が情報開示要求を発出していた。新しく外部搭載兵器用パイロンを開発しB-52の現行最大搭載能力10,000-lb.を 40,000 lbへ引き上げる。新設計パイロンは現行の改良型共通パイロン(1960年代から共用中)に手を加えたものになると見られる。「当時はそんな要求もなくここまで重い兵装の搭載を予想したものもいなかった」と空軍は説明しており、開発期間36-72ヶ月での実現を狙う。■

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...