海軍で最先端の水上艦である誘導ミサイル駆逐艦USSズムウォルト(DDG1000)(左)は、沿岸戦闘艦USSインディペンデンス(LCS2)とサンディエゴの新しい母港への3カ月にわたる旅の最終行程を進行した。到着後、ズムウォルトは戦闘システムの設置、試験・評価、艦隊との統合運用を開始した。2016年12月8日 (U.S. Navy photo by Petty Officer 1st Class Ace Rheaume/Released)161208-N-SI773-0401
水上艦艇に未来はあるのか?
ロシア黒海艦隊の旗艦、RFSモスクワの沈没から1年以上経過したが、艦艇建造にあたる海軍設計者や費用負担を求められる議会にとって、海戦の未来について明確な教訓はほとんどない。▼疑問は尽きず、答えがそろっているわけでもない。▼未来学者たちは、20世紀に水上艦の終焉を予測していた。▼潜水艦、航空機、そして核兵器が、水上艦の終わりを告げるものと思われていた▼。潜水艦は深刻だが扱いやすい脅威であることが証明され、航空機は軍艦のツールセットの一部となり、核兵器に対しては、幸いにも軍艦が実戦でテストされることはなかった。▼ただ水上艦への批判が過去に間違っていたからといって、将来も常にそのままのわけはない。
例外的な状況から危険な教訓が生まれる
RFSモスクワの沈没は例外的であり、現代の水上艦艇の運用には当てはまらない可能性があることが明らかになっている。▼モスクワは、最新の電子機器、センサー、対空防御を持たない旧式艦であった。▼海事技術の変化で早合点した前例がある。▼1941年12月、HMSプリンス・オブ・ウェールズとHMSレパルスが日本海軍の航空機によって破壊されたことは、最も性能の高い水上艦でも航空攻撃に非常に脆弱であることを示唆するように思われた。▼だが、その後4年間の経験は、水上艦艇が効果的に運用されれば、当時の航空機に極めて困難な問題を引き起こすことを示した。
しかし、投資は有用でなければならない
もちろん、将来の水上艦隊の答えは、陳腐化せず、扱いづらくなくなる必要があるというだけでは十分ではない。▼兵器は様々な状況で使用できあれば有用であり、もし水上艦が非常に脆く脆弱で、細心の注意を払わないと使用できないのならば、さらなる投資に値するものではなくなる。▼水上艦艇は、航空機、潜水艦、陸上発射ミサイル、他の水上艦艇など、さまざまな攻撃に対して脆弱であるのは確かだ。▼しかし、水上艦艇には目に見える存在感もあり、海制空権と制海権のシステムの中核を担っている。▼ロシアがウクライナ港からの穀物輸送を認めざるを得ない理由の1つに、水上艦で阻止できるかどうか自信がないことがある。▼穀物を積んだ船を空や潜水艦で破壊することは可能だ。
水上艦の将来はどうなる?
黒海の海戦が冷え込んだのは、必ずしも水上艦が時代遅れになったからではない。▼むしろ、戦闘相手とこの地域の地理的条件で特有な一連の要因がある。▼注目すべきは、海軍大国が水上艦は時代遅れという結論を出していないことである。▼中国は、日本、韓国、米国、そしてヨーロッパの主要な海軍と同様に、水上艦艇の建造を続けている。▼実際、多くの海軍のトレンドは、水上艦から離れることではなく、自衛能力が高く、パンチ力があり、攻撃に強い大型艦に向かっている。▼さらに、大型艦は影響力のある重要な道具として機能し続けている。▼生存可能な艦隊を構築し、維持するのは大変なことかもしれないが、艦隊を持たないことによる代償も大きい。▼さらに、水上艦隊は、貿易を脅かし、対抗手段の開発を余儀なくされるなど、相手国に深刻なコストをもたらす可能性がある。▼忘れていけないのは、対アクセス「システム・オブ・システム」のコストは、ミサイルの単価ではなく、そのミサイルを有用なものにする航空機、センサー、衛星のすべてのコストで測るべきだということだ。▼そして、水上艦は自分自身を苦しめることができる。▼潜水艦は不死身とは言い難く、航空機は撃墜できる(例えば、ウクライナは週末にロシア空軍に大きな打撃を与えた)。地上のミサイル発射台も破壊できる。▼皮肉なことに、水上艦の終焉を求める最も強い祈りが、モスクワから聞こえてくるかもしれない。▼ロシアの軍用造船産業は、潜水艦以外に意味のある未来がないことはほぼ確実で、既存の船隊は老朽化し、整備不良で、バルト海だけでなく黒海へのアクセスも失う危険性がある。
ロシアが海上で不運に見舞われたからといって、世界のその他国が水上艦艇の陳腐化をそのまま看過することは許されない。■
Are Surface Warships Obsolete? - 19FortyFive
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A 19FortyFive Contributing Editor, Dr. Robert Farley has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph. D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor of Lawyers, Guns and Money.
In this article:
Black Sea, featured, Naval History, Navy, Russia, U.S. Navy
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