複数メディアによると、ジョー・バイデン大統領は、次期統合参謀本部議長に空軍参謀総長のチャールズ・Q・ブラウン・ジュニアを指名した。▼上院が承認されれば、ブラウンはマーク・ミリー陸軍大将の後任となり、2005年にリチャード・マイヤーズ大将以来、73年で5人目の空軍大将の議長となる。
▼Politicoは5月4日、ブラウンが指名される可能性が高いと最初に報じ、その後、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルがこのニュースを報じた。▼F-16戦闘機パイロット出身のブラウンは、太平洋と中東での司令官としての経験を含め、約40年にわたる軍務を、米国最高の軍務の場で発揮することになる。▼また、1989年から1993年まで議長を務めたコリン・パウエル陸軍大将に次いで、黒人軍人としては2人目の議長になる。▼1984年に任官したブラウンは、米空軍ウェポンスクールで指導した後、韓国とイタリアで戦闘機隊を率い、米国の国家安全保障の中核を担う主要な司令部で要職に就いた。▼2014年、ブラウンは、ロシアのクリミア侵攻直後に在欧米空軍の戦略的抑止と核統合の作戦部長を務め、2015年から2016年には、米国とその同盟国がイスラム国グループに対する航空キャンペーンを実施した際に米空軍中央部を指揮し、2018年から2020年には、米国が戦略の焦点を中東の対テロ作戦から太平洋の中国抑止へと移行したタイミングで太平洋航空軍を指揮した。▼2020年に空軍参謀長に就任した直後、ブラウンは「Accelerate Change or Lose」と題した文書で空軍のビジョンを明確にし、この言葉は、官僚主義を削減し、空軍全体のイノベーションを促進する彼のマントラとなった。▼「負けるくらいなら、居心地が悪いほうがましだ。それが、私が『Accelerate Change or Lose』を書いた理由」と、ブラウンは3月に語っている。▼「飛行士として、私たちは、飛ぶこと、戦うこと、そして勝つことの意味について、これまでとは違う考え方をしなければなりません。なぜなら、スピード、敏捷性、致死性は、あらゆるグローバルな軍事作戦において、指数関数的な戦力増強になることを知っているからです」。▼そのアプローチの一環として、ブラウンは、起こりうる紛争で中国とロシアを打ち負かすために、新しい戦術や技術を追求し、より速く、よりリスクに寛容な考え方を採用するよう、空軍に促している。▼3月には、空軍の将来の戦力設計に反映させる未来作戦コンセプトを発表し、あらゆる紛争における航空戦力の重要性を強調した。▼官僚制の削減を推進する一方で、ブラウンは空軍から男女格差や人種格差をなくすことを最優先課題とし、空軍省はこれらの格差の状況の徹底的調査を命じた。▼史上初の黒人空軍参謀長に承認される前、ブラウンは、警察によるジョージ・フロイド殺害と、それに続く人種的偏見に関する全国的抗議をきっかけにビデオを公開した。▼全米で話題となった同ビデオで、ブラウンは、空軍の戦闘機パイロット部隊で白人中心の環境で昇進する中で、自身が直面した課題を語った。▼「特に、アフリカ系アメリカ人の自分に期待していない様子の上司の前で、ミスのない仕事をしなければならないプレッシャーを感じていました」と、ブラウンはビデオで語っている。「アフリカ系アメリカ人への期待や認識が無効だと証明するため、2倍の努力で表現しなければならないと考えていた」。▼統合参謀本部議長としてブラウンは社会的・戦略的な課題に直面することになる。軍は中国に先んじる努力す以外に、兵役意欲の低下で採用数が打撃を受けている中、人材確保にも苦慮している。▼議長に作戦指揮権はないが、ブラウンはバイデン大統領とロイド・オースティン国防長官の最高軍事顧問となる。▼テキサス出身のブラウンは、テキサス産のブリスケットをじっくり燻製にする趣味や、スーパーヒーローのスパイダーマンへ長年の愛着も持ち合わせている。▼ブラウンの統合参謀本部議長就任が決まれば、空軍トップに空席が生まれる。■
Air Force’s Brown Picked as Next Chairman of the Joint Chiefs
2023年5月5日|By David Roza
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