2021年9月3日金曜日

いずもでの米海兵隊F-35B運用は11月に。米国が各同盟国との防衛協力で見直しをかける中、日米海軍部隊の連携はさらに深まりそう。

 


海上自衛隊のヘリコプター駆逐艦JSいずも(DDH-183)。マラバール2017演習にて。 US Navy Photo

 

 

海兵隊所属のF-35BライトニングII共用打撃戦闘機が海上自衛隊のいずもから今年11月に運用されることを海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将が8月25日に明らかにした。

 

実現すると英海軍航空母艦HMSクイーン・エリザベスへ配備された海兵隊飛行隊と同様の事業が今後生まれそうだ。

 

「一時的だが米海兵隊所属のF-35部隊が日本艦から運用される」とバーガー大将は述べている。

 

日本政府は2019年に海兵隊に対し、海上自衛隊のJSいずも(DDH-183)、JSかが(DDH-184)の改修作業と並行して航空機の交換事業を提案していた。

 

今回の対象はJSいずもになりそうだ。いずもは第一次改修を7月に完了しF-35運用が可能となった。改修では飛行甲板に線が描かれ、耐熱塗装が施されたとNaval News記事にある。

 

「第二次改修で艦首は現在の台形から四角形に代わり、F-35B運用を楽にし、その他には艦内区画割の変更も予定している」とNaval Newsが伝えている。

 

いずも、かがの改修はF-35B42機調達と並行し進み、自衛隊初のF-35Bは2023年度中に納入される予定だ。

 

日本がF-35の拡充をはかるのは中国の海軍力整備を進めるのに呼応した動きだ。いずも、かがでのF-35運用は防御策とみる向きがある。

 

第31海兵遠征部隊所属のF-35BライトニングII共用打撃戦闘機が前方配備の強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)艦上で発艦に備えていた。 Aug, 25, 2021. US Navy Photo

 

 

「海上自衛隊の水上部隊を巡航ミサイル(あるいは極超音速滑空ミサイル)から防御するためいずも級の改修でF-35BSTOVL機の運用が必要となった。F-35Bの行動半径は数百マイルあり、対艦ミサイルを発射できるが、艦搭載の対空ミサイルの有効射程は平均100マイルしかない」と米太平洋艦隊司令官デニス・ブレア大将等が2019年の米海軍協会紀要に投稿していた。

 

「短距離ながら対艦ミサイルを搭載したF-35Bは大量の監視艇あるいは海上民兵を乗せた漁船を同時に投入する戦術に有効に対応可能だ。『島しょ部奪回』シナリオでは日本の新規編成水陸両用団の奪回作戦でF-35Bが局地航空支配を確立し、有益な存在となる」

 

海兵隊のいずも運用はテスト用の短期限定だが、日米両国でF-35Bを運用することで両国のきずながさらに深まる効果が期待される。日本艦での海兵隊機材運用は米国が域内同盟国とのつながりを再定義する一例に過ぎない。

 

大西洋のNATOは多国構成だが、太平洋では一対一での構図となる。バーガー大将は同盟国やクアッド対象国との情報共有が絶えず問題だと認めており、クアッドでは新しい形の協力関係を域内に形成する。

 

「クアッドがゆっくりと静かに発足したことに大きな異議がある」「オーストラリア、日本、南朝鮮、フィリピンとは情報共有の枠組みはすでにあるが、各国と一対一の関係だ。クイーン・エリザベスが展開中だが事態を注視している」とバーガー大将は述べている。■


US Marine F-35Bs to Operate off Largest Japanese Warship Later This Year - USNI News

By: Sam LaGrone

September 1, 2021 2:34 PM


中国戦闘機の弱点は国産エンジン。打開策を画策する中国だが、知的財産権尊重の姿勢はない。欲しいものはカネで買え、という姿勢が問題か。

 

戦闘機エンジン技術をマスターしたいPRCは困難な選択をせまられそうだ。だがこれをしないと戦闘機の性能は引き上げられない。

国の国防産業界は海外技術を「借用」することで悪名高く、特に航空宇宙産業でこの傾向が強い。

 

中国で供用中の戦闘機部隊ではほぼ全数が海外技術を公然と借用あるいはそのままコピーした機材だ。J-10の原型がイスラエルIAIのラヴィであり、さらに元をたどれば米ジェネラルダイナミクスF-16であることは公然の事実だ。J-11はsロシアSu-27のクローン、JF-17はソ連時代のMiG-21を近代化したもの、J-20ではF-22と奇妙な類似性があり、J-31はF-35共用打撃戦闘機の技術を流用していると広く信じられている。中国は研究開発で時間と費用を節約し、PLAAFは本来の負担のわずか数分の一で機材近代化に成功した。

 

ただしこの借用戦略には一つの欠陥がある。そのボトルネックとはテストデータの欠如であり、産業界エコロジーの不在だ。ここに中国が国産エンジンで高品質製品を実現できていない原因がある。

 

技術面で不釣り合いな事態が生まれているのは技術上の秘密事項並びにシステム完成に必要な人材がともに不足していることが理由だ。このため海外技術をコピーは高価かつ長時間作業になっている。泥棒国は製造基盤を一から作る必要がある。最悪の場合、大幅に基準を下回る部品が生まれ、システム全体の機能や信頼性が損なわれてしまう。

 

中国は1990年代から2000年代にかけロシア製ジェットエンジンをリバースエンジニアリングして実際にエンジンが完成したが、極端に短い寿命だありながらロシア製の性能水準に及ばない結果になってしまった。今日でもPLAAF戦闘機ではエンジンは依然として障害のままで、中国製第五世代機の初期型は大きく出力不足だった。問題をさらに深刻にしたのがロシアがエンジン供給に難色を見せたことだ。だが中国にはこれを回避する方法がある。

 

選択肢の一つが国産エンジンの改良だ。2016年の第13次五か年計画で戦略新産業開発方針で国産ジェットエンジンの改良を通じ航空宇宙産業の発展をめざすとの項があった。

 

これはある程度成功したようで、J-20試作機には性能向上型WS-10エンジンが搭載された。だが中国国産エンジンに関する公開情報が欠落しているため、同エンジンの性能は確認できない。WS-10初期型は中国製フランカーに搭載され、ロシア製AL-31の性能に遠く及ばないことを露呈した。民間企業の成都航空宇宙超合金技術公司 (CASTC) でターボファン技術がここにきて大きく進歩しているものの、超高温に耐え効率に優れたエンジンはまだPLAAF第一線機材に届いていない。

 

民間部門が航空宇宙分野の技術上で突破口を開く存在になるのであれば、国営企業も追随するかもしれない。国営航空宇宙企業は政治的に優遇されている。CASTCのような民間企業が優れた成果を出せば、政治への影響力が高まり、既存の国営企業は影響力を減らすか、民間企業との共同体制に向かうかもしれない。いずれにせよ、中国の国防産業界には大きな意味があり、今後のイノベーション体制も大きな影響を受けそうだ。

 

より簡単な方法は高性能エンジンを搭載しあt外国製戦闘機の買い付けだ。PLAAFがSu-35をロシアから購入したのがこの例だ。同機のALS-117エンジンに中国は関心を示し、エンジン単体での購入を持ち掛けたがロシアに拒否され、Su-35の購入になった。ロシアは知財保護の安全策をALS-117に講じており、中国のリバースエンジニアリングを封じている。だが、中国に知的財産権を尊重する姿勢が希薄なことから、ALS-117でもリバースエンジニアリングに走る可能性がある。ただこれは実際には困難だ。ロシア筋はエンジン核心部を入手するにはエンジンを破壊するしかないと述べている。

 

さらにWS-10で懲りた中国は外国製エンジンを入手してもすぐに同様のエンジン国産化につながらないことを承知している。またロシア知財を守るとの誓約を破ればロシア製高性能エンジンの入手は今後困難になる。

 

最後に、ALS-117エンジンの核心技術はエンジンを破壊しなければ入手不可能というロシア側の言い分通りなら、PLAAFには高性能エンジンなしの機材しか残らないことになる。そのため、PRCはALS-117のリバースエンジニアリングで短期的には利点を確保しても、金の卵を産むガチョウを殺すことになりかねない。

 

ただし、ロシア武器産業の見通しが暗いため、中国は別の可能性を試すことになりかねない。ロシアの影響力は減少気味で、中国の産業基盤は拡大中のため、ロシアからの輸入の必要性は減る。中国としては国力の差を意識してロシアを軽視しかねない。が、これを行えば両国関係を損ないかねず、両国は相当の外交努力をこれまで投じてきた。

 

最後に中国は民生航空機部門を利用して軍用用途で一気に進展を図る選択肢がある。これには利点がある。民生航空部門では西側企業との協力関係構築の可能性が高まり、他方で中国航空産業界に輸出機会が生まれる。例としてドイツが中国製タービンブレイド購入に関心を示しており、ドイツ製品より優秀だと注目している。(皮肉な事実は中国はもともとドイツ技術を吸収していることだ)

 

さらに国内ニーズもある。中国は民生機市場の規模で世界最大だ。だが欧米企業は技術移転で厳しい制約で運用を迫られいるため、有益な技術情報の提供もままならない。さらに政治圧力あるいは知財窃盗により西側航空宇宙企業は中国での生産に及び腰になっている。この知財窃盗事案が原因となり米中関係がさらに悪化し、貿易戦争の火種になりかねない。これにより中国の産業基盤そのものに実害が生まれてもおかしくない。

 

こうした障害が残るものの中国は軍事航空分野で今後も進展を示していくはずで、航空機エンジン分野でもいつまでも遅れたままではないはずだ。3Dプリント技術展で試作、開発が加速化するかもしれない。3Dプリント技術はすでに各国で航空機部品の製造に使われているが、軍用仕様のターボファンジェットエンジンはまだ製造できない。ジェットエンジン製造の複雑さを考えると、技術の成熟化には数年が必要となりそうだ。今のところ、PRCは戦闘機エンジン技術を自分のものとし自軍戦闘機機材の戦力の最大化には困難な選択を迫られそうだ。■

 

Why China Struggles to Produce an Indigenous Jet Engine

by Robert Farley

September 2, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaAir ForceMilitaryTechnologyWorld

 

J. Tyler Lovell is a graduate of the University of Kentucky's Patterson School of Diplomacy and aspiring PhD student. He has been previously published in the popular defense website Foxtrot Alpha and the foreign policy blog Fellow Travelers.

Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government.

This piece first appeared in 2018 and is being republished due to reader's interest


 

2021年9月2日木曜日

アフガニスタンと南朝鮮は同じではない。北朝鮮は注目を集めようとミサイル、核実験を行うだろうが、メディア等は過剰反応すべきではない。地政学的視点が今だから必要だ。

  

 

 

Afghanistan North Korea

Image Credit: KCNA/DPRK State Media.

 

イデン政権はアフガニスタン撤収を正当化しているが、各地の米同盟国に懸念を生じさせた。南朝鮮も例外でない。ただし、アフガニスタンのように現地国民が支援しない戦闘に米国は今後一切関わらないと主張すれば米国は完全に孤立してしまう。

 

アフガニスタンが朝鮮半島に与える影響は少ないと言ってい良いが、カブールの悲惨なイメージからヒステリーに近い反応が出ているのは確かだ。だが朝鮮民主主義人民共和国がタリバン勝利から得る恩恵は無に等しいようだ。

 

ピョンヤンは米国の屈辱を宣伝戦に利用しようとした。その一環で北朝鮮は避難民を発生させたのは米国で、しかも劣悪な扱いをしていると非難した。世界が目のあたりにした混乱状況について北朝鮮は「社会混乱と流血の対立の産物」と評し、「『人権』『民主主義』の隠れ蓑で侵攻介入した行為」の結果とした。今回の避難民は米国が戦闘を集結させたことで発生したのであり、あらたに戦闘を展開したわけではない。ピョンヤンも米国撤収を批判できなかった。

 

さらに北朝鮮はタリバン他急進イスラム勢力を一回も支援していない。無神論に立つ北朝鮮は各集団が反米の立場でも取り扱いに苦慮するはずだ。北朝鮮はハマス、ヒズボラと接触があるが、こうした勢力はむしろイランやシリアの庇護の下にある。

 

タリバン勢力の増進で米国には困った事態になっても、北朝鮮にはモデルとなりえない。北朝鮮の公式見解は朝鮮半島全体を代表するのは同国であり、再統一を同国主体で進めるというものである。北は南内部の反政府勢力を支援しておらず、朝鮮戦争勃発前でも同様だった。タリバンを連想させる勢力が南朝鮮にあったが、金日成が最高指導者の座に上る過程でこれを排除した。

 

近い将来をにらむと米国がROKから兵力を撤退する可能性はない。米軍のプレゼンスはピョンヤンにとって常に標的であり、特に金正恩の妹金与日の発言が激しい。カブール陥落の前から同女史は「半島の平和的解決には米国が侵略部隊、装備品を南朝鮮から撤収させることが必須条件だ」と発言していた。

 

たしかに米軍撤収議論は長くあり、国力の点で南が大きく北をリードする状況となっており、米国の財務状況の悪化が背景にある。とはいえアフガニスタン情勢で急にこの話題が浮上したわけではない。ROKとアフガニスタンの違いは大きい。断続的に事件があるものの、半島情勢は平穏である。米韓両国は相互防衛条約でつながっており、南朝鮮政府を当初発足させたのは米国だが、ワシントンの政策道具の座はとっくの昔に卒業している。両国政府、国民のきずなは堅固であり、朝鮮半島の持つ戦略価値は中央アジアよりはるかに高い。

 

さらにアフガンの混乱はピョンヤンの外交地位を強めるものではない。同国との交渉は漂流し、バイデン政権はアフガニスタンの後処理に気を取られる中、その他同盟国の懸念の火消しに追われ、当面北朝鮮との交渉を行う余裕はない。「今は北朝鮮より高い優先度の課題がある」とCNAのケン・ゴースも述べている。

 

2022年は米国で選挙の年であり、事態が急進展する余地は少ない。共和党が再び多数派となれば、政権の動きは鈍る。皮肉にもアフガニスタン後遺症は時間がたてば消えそうで、より深刻な問題の前に中央アジアは影を細めるだろう。

 

これまでも北朝鮮はミサイルや核実験でワシントンへ圧力をかけようとしていた。だが金正恩はドナルド・トランプとの三年前の会見以降は自制し、その後に対米会談が決裂しても同じ姿勢だった。

 

北朝鮮はCOVID-19のためほぼ鎖国状態にあるが、中国の食料エナジー支援でかろうじて経済を維持している。その中国も対米関係が悪化しているため、半島内の緊張を高めるのは得策ではないと考え、金正恩に分別ある行動を求めているようだ。

 

アフガン情勢を受けバイデン政権は短距離ミサイル発射など小規模な出来事に目をつむることになりかねない。だが米国到達も可能な兵器の開発テストとなればメディアは異常な関心を示し、米国の信用度が落ちたと騒ぎ立てかねない。このためバイデン政権は「怒りと火炎」の姿勢に転じ、予防戦争に進みかねない。そうなれば誰にとっても得にならない。

 

それでも南朝鮮の一部は気が休まらない。与党内には防衛体制強化を求める声がある。その一人Song Young-gil 議員は「アフガニスタンの危機を利用して自主防衛体制の実力、気概を強化すべきだ。そのため戦時統制権を回復すべきだ」とし、南朝鮮軍の指揮権に触れた。「韓米同盟は重要だが、自国は自分で守るという姿勢も重要だ」と述べた。

 

この姿勢は米韓両国にとって良い進展だ。こうした議論ができる良い進展だ。こうした議論ができること自体南朝鮮はアフガニスタンと違うことを示している。米国は二十年にわたり人的犠牲とともに数兆ドル相当をつぎこんだが、アフガン政府、軍ともに士気が低く米軍が正面に立たないとどこかへ行ってしまうのだった。ROKはまったくちがう。

 

アフガニスタン崩壊のショックの中、今回の事件を地政学のツナミのようにすべて飲み込むと取り扱う評論がある。だが、アフガニスタンはアフガニスタンの問題であり、それ以上二は広がらないことは明らかになってきた。確かに人道面で悲劇は続くが、ワシントンが世界各国で展開する軍事コミットメントに変化は皆無といってよい。南朝鮮もその一部だ。■

 

 

The Afghanistan Collapse: How Does North Korea See It?

ByDoug BandowPublished7 days ago

 

Doug Bandow, now a new 1945 Contributing Editor, is a Senior Fellow at the Cato Institute. A former Special Assistant to President Ronald Reagan, he is the author of several books, including Tripwire: Korea and U.S. Foreign Policy in a Changed World and co-author of The Korean Conundrum: America’s Troubled Relations with North and South Korea.


2021年9月1日水曜日

RQ-4Cの開発状況。着々と機能を拡大中で、供用開始となればEP-3、P-8の偵察任務を肩代わりする機材に成長しそうだ。

 



MQ-4C Triton unmanned aircraft system Naval Air Station Patuxent River


海軍のMQ-4Cトライトン無人機が先週大きな成果を上げた。海軍の同機開発主査が8月31日発表した。


ダン・マッキン大佐はセンサー機能を強化した新仕様機が8月26日にメリーランドで初飛行したとし、新たにカメラ、通信情報収集装備を搭載し「予想以上の性能を発揮した」という。


同機はノースロップ・グラマンのRQ-4グローバルホークの性能向上型で、海軍が進める広域海洋監視機能整備の一環として海上監視機能を強化すべく次世代センサーを搭載している。


ただし同機のコストは増加傾向にある。米会計検査院(GAO)は開発費用が2009年の35億ドルから2018年に61パーセント増の57億ドルになったと報告している。


トライトンは2013年初飛行し、24時間超の滞空性能を有し、航続距離は8,200マイルに至るとノースロップは述べていた。


今回の新仕様はIFC 4(統合機能性能4)あるいはmulti-int (複合情報収集機)と呼ばれ、海軍が目指す海上哨戒機能の実現で重要な存在となる。


完全機能を実現すると同機はEP-3の機能多数を引き継ぐことが期待されている。現有の海軍偵察機材は旧式化が進んでおり、最新の機材でも1997年引き渡しだ。


ノースロップの事業部長ダグ・シェイファーはP-8の一部ミッションも引き継げば、海軍は対潜ミッションに集中できるようになると発言した。


開発途中とはいえ、「完全作戦機材」2機が初期の装備仕様でグアム、日本から運営されており太平洋での海軍作戦を支援しているとマッキン大佐が述べている。2020年にグアムに初展開し、初期作戦能力(EOC)テストを行った。


最終的にトライトンを世界5方面(「オービス」)に投入するのが海軍の目論見で、グアムのほか、イタリアのシゴネラに配備するほか、米本土東西海岸でも供用するとマッキン大佐は述べた。


ノースロップは同機を計68機米海軍へ納入すると、初期作戦能力を2023年に獲得する。



「米海軍にとってトライトンは現在必要な機材で、将来は不可欠な機材となる」とマッキン大佐は述べている。■


Navy's New Triton Drone Getting Close to Taking Over for Older Patrol Aircraft

3 Aug 2021

Military.com | By Konstantin Toropin


島しょ部での戦いに特化した水陸機動団は中国も警戒するはず。抑止効果がどこまで期待できるかがカギだろう。

 

 

 

 

75年前に日本軍上陸部隊300名がクイーンズランド海岸に上陸していればオーストラリアの安全保障上で一大危機になっていたはずだ。

 

だが第二次大戦後の世界は大きく変わり、日本の水陸機動団(ARB)は侵攻部隊ではなく、タリズマンセイバー演習に参加しオーストラリア海岸に展開したのだった。

 

第二次大戦の傷ましい経験から戦後日本は6,852もの島しょで構成した国家ながら専用揚陸部隊は2018年まで編成してこなかった。

 

1930年代の日本海軍は海軍陸戦隊を呉、舞鶴、佐世保、横須賀の各海軍基地での養成を開始した。1941年には16個大隊の陸戦隊が整備され、フィリピン、蘭領東インド諸島、米アリューシャン列島のアッツ、キスカ、ニューギニアの上陸戦の先鋒部隊となった。

 

陸戦隊には落下傘部隊や戦車部隊もあったが、基本的に軽歩兵部隊で、米海兵隊と異なり、揚陸用舟艇は機械化していなかった。陸戦隊には降伏した敵兵の虐殺や最後の一兵まで戦う評判があり、1943年のタラワ攻防戦は血なまぐさいものとなった。

 

戦後日本では揚陸部隊は侵攻部隊と位置づけられ、自衛隊と平和憲法の下で不適当な存在とされた。だが自衛隊は遠隔島しょ部での武力衝突を想定し、「海上作戦部隊輸送艦」で敵部隊より先に部隊を送る構想を立てた。

 

日中間の緊張が21世紀に入り顕著となり、尖閣諸島ふくむ島しょ部が日中衝突の舞台になると注目された。

 

実際に中国研究者には人口が多い南西琉球諸島ベルトも中国の領土と堂々と主張する動きがある。中国が遠隔島しょ部を占領する懸念から2018年に水陸機動団が2,100名規模で発足し、佐世保に配備された。

 

その佐世保に海軍陸戦隊が置かれた経緯があるが、今回の新規部隊は陸上自衛隊の西部方面普通科連隊をもとに編成したものだ。

 

ARDBには800名編成の水陸機動連隊が二個あり、三個目が編成中で、発足すれば三千名の規模になる。支援大隊部隊として120mm迫撃砲を備える砲兵部隊、工兵部隊、補給部隊がある。

 

だが支援機能の中心が戦闘揚陸大隊でAAV-P7A1 揚陸装甲車両58台を運用し、艦艇から海岸まで時速8マイルで海上を進む。32トンの同車両は「アムトラック」と呼ばれ、21名を運び.50口径機関銃、手りゅう弾投射機を備える。ただし、アムトラックの装甲は薄く、実際にイラクの米海兵隊では多くの犠牲が発生している。

 

日本はMV-22Bオスプレイ17機も調達し、遠隔地島しょ部へ空からの兵力投入をめざす。オスプレイは高額装備で事故率の高さから日本国内で一般住民の配備反対もある。だが、ヘリコプターの垂直離着陸機能と固定翼機の速度と航続距離を兼ね備えた同機への期待は高く、九州から発進し南西部の最遠島しょ部も活動範囲に入る。

 

海上自衛隊が重要な補給任務を担う。おおすみ級戦車揚陸艦があり、1998年から2003年にかけ建造された14,000トンの艦内に16式高機動戦闘車両などの装甲車両多数を収容できる。また「ウェルデッキ」でLCACエアクッション艇を展開し隊員を上陸させる。おおすみ級は改装を加え、AAV-P7およびMV-22の運用能力を付与する。

 

海上自衛隊には小型LCM十数隻さらに540トン型多用途揚陸舟艇2隻もある。陸上自衛隊も独自に戦車揚陸艦を調達する動きあり、各種LST形式を検討しているが予算が不足している。

 

新規編成の水陸機動団が存在感を示したのが海外演習だ。2018年10月にARDB隊員50名がアムトラック4両で対テロ作戦演習でフィリピンのルソン島に現れた。日本の装甲車両が海外の地に上陸下のは第二次大戦後初のこととなり、まさしくその場所で日本陸軍の戦車部隊が米比連合軍と戦闘を展開したのだった。

 

2019年にはARDBは500名をアイアンフィスト演習でカリフォーニアのキャンプペンドルトンに送り、その後オーストラリアでも上陸作戦を展開した。

 

ただし、ARDBの作戦構想とはどういうものなのか。

 

日本がオーストラリア、フィリピン、米国と懸念事項を共有し、中国が太平洋島しょ部を占拠し、海洋交通を脅かす事態を憂慮しているのは事実だ。だが、現行憲法で日本は同盟国救援で部隊派遣できないことになっている。

 

そのため、ARDBの存在意義は個別具体的だ。日本の南西島しょ部を中国軍が占拠した場合に迅速に奪回することだ。日本の島しょベルト地帯はPLA海軍の作戦に制約を課すことになり、米国、オーストラリアの利益にもかなう。

 

3千名規模の旅団一個ではいかに有能でも大規模交戦の均衡は崩せない。そのためThe Diplomatでミーナ・ポールマンは「島しょ部が中国の手に落ちた段階で日本は敗北したのと同じ」と評している。その意見では日本はむしろ海上兵力や航空戦力の整備に注力し中国の第一列島線到達を防止すべきとする。

 

ただしその意見では揚陸旅団が小規模「グレイゾーン」となる中国の準軍事組織水上民兵や沿岸警備隊への抑止になる点を無視している。迅速かつ確実に島しょ占領部隊に対応できる水陸機動団の能力はこうした事態でリスク計算を根底から変える効果を生む。

 

さらに同旅団の揚陸能力は自衛隊の災害救助活動を遠隔島しょ部まで拡げる効果を発揮するはずだ。

 

当然ながら中国は揚陸部隊を復活させた日本を侵攻の先駆けと捉えるはずだ。だが、現実を見れば、日本は脆弱な遠隔島しょ部への武力侵攻に備え控えめに対応能力を整備しているに過ぎない。■

 

In an Island Battle, Japan’s Marines Have Some Surprises for China

by Sebastien Roblin

August 30, 2021  Topic: Marines  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: JapanMarinesChinaMilitaryAmphibious Warfare

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This article first appeared in July 2019.

Image: Reuters.



2021年8月31日火曜日

米軍はカブール空港にどんな装備品を残してきたのか。タリバンが利用できないよう破壊、機能喪失させたというが....

  

A screengrab from a video show members of the Taliban inspecting abandoned former US State Department CH-46E Sea Knight helicopters in a hangar at Hamid Karzai International Airport following the final withdrawal of American troops on Aug. 31, 2021.

VIA TWITTER

 

 

軍はほぼ20年にわたるアフガニスタン作戦を完了し、同国を完全撤退した。予想通り、最後に米軍は各種武器装備品を破壊あるいは使用不能にした。

 

米中央軍(CENTCOM)司令フランク・マッケンジー海兵大将は記者会見で以下の装備品を「非軍事化」したうえでハミド・カルザイ国際空港に残していったことを認めた。

 

  • ロケット弾砲弾迫撃砲弾対抗装置(C-RAM)少なくとも二個装備
  • 航空機計73機(米軍、アフガニスタン軍所属機)
  • 耐地雷待ち伏せ攻撃防御(MRAP)装甲トラック70両
  • ハンビー27台

US ARMY

A Centurion C-RAM defense system.

 

 

マッケンジー大将は上記装備を具体的にどう使用不能にしたのかについて説明していない。またC-RAMの型名称についても述べていない。C-RAMはハミド・カルザイ国際空港で本日もISIS分派の攻撃を防いだ。説明では二個装備程度とあるが正式な数にも触れていない。

 

米軍で供用中のC-RAMは一式15百万ドルのセンチュリオンのみである。現地ではロケット攻撃の際にセンチュリオン特有の20mmヴァルカン機関砲の発射音が聞こえたとの報道もある。

 

ハミド・カルザイ国際空港に設置したといわれるセンチュリオンの映像画像がいっさいないことに興味を惹かれる。ニューヨークタイムズはC-RAMが米大使館敷地内に設置してあったが、撤収時に使用不能にされたと報じていた。

 

マッケンジー大将は航空機についても詳しい機種別情報に触れておらず、一部は修理不能な状態と述べたに過ぎない。今回の機材はアフガニスタン空軍機材の大部分と思われる。

 

最終撤収時に同空港に合った機材にはA-29スーパートゥカーノ軽攻撃機、C-130Hハーキュリーズ輸送機、UH-60ブラックホーク、Mi-17輸送ヘリコプターがあった。その他機材は長年に渡り放置されていたものもある。L-39武装型ジェット練習機もそのひとつで、ツイッターで同型機が3機残っているのがわかる。

 

アフガン空軍へ供与した米製機材をタリバンの手に渡さないため米国はどのような手段を取るかがこれまでわからなかったが、ネット上に流出した写真ではアフガン空軍のUH-60ブラックホークの窓が破れ、扉が破壊されているのがわかる。

 

タリバンはすでに旧アフガン空軍機材を他の基地で捕獲している。またアフガン空軍要員も数十機で国外逃亡している。

 

それでもA-29やUH-60をタリバンが利用するのに時間がかかるかは疑問のままだ。

 

また本日出てきた映像ではタリバンがブラックホークを操縦している。

 

マッケンジー大将が言及した73機に米国務省のCH-46シーナイトヘリコプター7機が含まれるのか不明だ。国務省は各機を飛行不能としたうえでカブール空港に放棄したと述べている。別の映像ではタリバンがシーナイトを検分しているのがわかる。一部に同機をCH-47チヌークと混同する傾向があるが、いずれにせよ近年になり大幅改修された機材がタリバンの勝利の象徴となったのを見るのは悲しい。

 

タリバンの電撃構成で相当数のハンビー等車両も奪われた。MRAPやピックアップトラックもここに入る。とはいえ米軍がそれ以上の車両放棄をしていないのは朗報だ。

 

米軍は同空港他で相当量の物資を破壊して最終撤収を完了している。マッケンジー大将は記者会見でこのことに触れた。米軍部隊はアフガン軍向け小火器軽火器多数を破壊している。

 

それでも米軍が一部装備品を現地に残すことが予想されていた。センチュリオンは一式でもC-17での輸送が必要な大きさだし、積み下ろしに数時間がかかる。そのため、カブール空港に残すことにしたのだろう。ただし、装備の重要機能は破壊し危険を最小限にしつつ撤収に当たったはずだ。

 

マッケンジー大将は空港運営に必要な装備として、支援車両等はそのままタリバンに残したと発言。依然同国に残る米国人数百名の脱出用に同空港の再開は重要な意味があり、その他国で脱出を希望する国民にも同様だ。ただし、タリバンが脱出を認めた場合に限られる。

 

総合すると、機能するかは別としてカブールに残した装備品の全体像がこれから出てきそうだ。■

 

Everything We Know That The US Military Left Behind At Kabul Airport


Here's What The U.S. Military Left Behind At Kabul Airport

Aircraft, vehicles, and at least two defense systems able to shoot down rockets and artillery shells are just some of what was not airlifted out.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 30, 2021