2021年10月27日水曜日

新鋭空母ジェラルド・R・フォードがいよいよ2022年に就役。高まる新技術による効果への期待。ただし搭載する航空団は未編成。

 


第23飛行試験評価飛行隊(VX-23)のT-45ガスホークがUSS ジェラルド・R・フォード (CVN-78) で航空機互換性テストを行い、電磁発艦システム(EMALS)および高性能拘束ギア(AAG)の実証を行った。US Navy Photo

海軍はUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78) の運用を2022年に開始する準備に入ったt。当初の予定は2018年で4年遅れる。

新技術数々の導入で遅れ、信頼性確保のため作業が続いた同艦は建造費130億ドルでフォード級空母の一号艦で、初回就航に備え最後の整備作業に入っており、いよいよ海軍での供用が近づいてきた。

「全て予定通り進行中だ。六カ月の準備も順調だ。予定外の事象も発生していない。そこで、艦長と造船所から間もなく朗報がでるはずだ。就役が間近に迫ってきた」(フォードCSG司令官グレゴリー・ハフマン少将)

海軍作戦部長のもと作戦立案(N3)を6月までまとめていたハフマンはペンタゴンでグローバル部隊管理を担当し、海軍艦艇をどう投入するかを見ていた。

Rear Adm. Gregory Huffman. US Navy Photo

「フォード級が加わり空母戦力、空母打撃群が増勢となれば需要に応えられるようになる。柔軟度が高くなる効果が期待できる」とハフマンは述べ、「フォード級の就役で司令官には選択肢が増え、希望通りの戦力が実現する」

フォード級ではソーティ実施が30%増加すると期待されており、その理由としてエレベーターを電磁モーター化していることが大きい。また電磁航空機発艦システム(EMALS)で航空機を蒸気カタパルトより迅速に発艦させられるのも理由となる。時間短縮とともに必要人員を減らせることも大きい。高性能拘束ギアは固定翼機を空母艦上で捉えるもので、従来型の油圧式マーク7拘束ギアが不要になる。ともにソフトウェアが重要でEMALSではフォード艦上で昨年夏に不調が見つかり、航空機運用を数日間停止せざるを得なかった。

ハフマンはフォードが艦隊に加わることで空母への需要が高い中で投入可能な隻数の制約が緩和されると期待している。

「さらに後続艦の建造が実現して就役すれば空母へのニーズに答えやすくなるはずだ」(ハフマン)

ハフマンはペンタゴンから海軍艦艇と乗組員にどこまでのストレスがかかっていたのか見ていた。

「需要に応えるのは大変で結局艦隊にしわ寄せがくる。艦艇とともにもっと深刻なのは乗組員で痛いほど実感された」といい、「フォード級就役で全て好転させられるが、言い換えればそれだけ海軍が期待されているという証拠だ」

フォードは難題に直面した。まず高性能兵装運搬エレベーターで飛行甲板に兵装類を運ぶために使われる。これがソーティー生成に大きな意味があり、現在は整備中だが海軍はこうしたエレベーター11基すべてを完全稼働状態にすべく整備作業を進めている。

海軍は今夏に同艦のショックテストを行い、浸水も火災も発生しないことを確認した。このショックテストでは40千ポンドに及ぶ火薬を水中爆発させ、艦体や搭載装備への影響を見た。

ハフマンはフォードが投資する装備品で問題が発生したことを認めたものの、ショックテストでも各システムは正常に作動した。

「デュアルバンドレーダーでは水中爆発のたびに作動を確かめた。毎回機能することを証明したのは想定通りだった。EMALSと高性能拘束ギアも同様だ。爆発直後に各装備は即座に機能できることを実証し、DOT&Eの期待通りだと証明できた」とホフマンが言及したのはペンタゴンの運用試験評価部門のことで同艦に搭載の新型装備について信頼性の問題を指摘していた。

海軍はフォードの初回出動に備え、空母打撃群司令と幕僚を同艦に乗艦させたまま18カ月に及ぶ引き渡し後のテスト公試期間に入った。これは今春完了し直後にショックテストが展開された。CSG司令を乗艦させたのは通常と異なる動きだだが乗組員にとっては通信訓練から作戦演習まで各種の機能を当初から展開し、打撃群幕僚も艦になじむことができた。

同艦にはまだ搭載する航空団ができていないが、整備期間が終わり、供与開始となる前に機体がそろうはずだ。

供用期間を50年に想定したフォードとその後の姉妹艦は米海軍が新型無人艦艇の整備を進め、新技術を実用化するロードマップを描く中で艦隊の中心となる。海軍関係者からはフォードの柔軟性として艦内各所がモジュラー構成となっていること、新しい技術やミッションに対応できるよう進化できることに注意喚起する動きがある。

「フォードで実現するのは柔軟性と適応力であり、当初から技術の変遷を前提に設計してきたからだ。例としてニミッツ級では現時点の想定にはぴったりだが新技術の導入に適応させるのがむずかしい」(ハフマン)

「だがフォードではモジュラー構成を最初から採用している。そのため簡単に新装備の搭載が可能で、今後の新型機で構成する航空団に対応できる。ここに既存艦を上回るフォード級の優位性がある。既存艦をドライドックに入れ工事するのは大変な作業となる。だがフォードではもっと早く仕様を変更できる。なるべく早く実戦部隊として復帰させることが可能となるわけだ」■

Strike Group Commander: USS Gerald R. Ford Set For First Deployment in 2022 - USNI News

By: Mallory Shelbourne

October 25, 2021 5:50 PM • Updated: October 25, 2021 10:04 PM


2021年10月26日火曜日

中ロ合同艦隊の日本周回パトロールを環球時報はこう伝えた。敵を知ることが勝利につながる。CCPの思考方法を理解する一助になれば幸い。

 中ロ合同部隊の10隻が日本海から津軽海峡を通過し、本州沖を航行したのち、東シナ海まで共同行動を取ったのが日本では総選挙の運動中で、日本国民に不安感を抱かせたことが選挙結果にどう影響するのか(しないのか)、見ものです。一方で海上自衛隊がしっかりと各艦を監視追尾したことはさすがですね。そこで、CCPのお抱え新聞である環球時報がこの作戦をどうとらえているのかを見てみましょう。中国が世界秩序を全く違う形で(自分に都合よい形で)理解していることがよくわかります。

   

Chinese PLA navy's destroyer Kunming sails with Russia's large anti-submarine ship Admiral Tributs in the West Pacific on October 19. Photo: Li Tang

人民解放軍海軍の駆逐艦昆明がロシアの大型対潜艦アドミラルトリブツと並行し西太平洋を航行した。 Photo: Li Tang

 

 

ご注意 以下は環球時報英語版の記事を和訳したものです。当ブログの主張ではありません

 

国ロシアそれぞれの国防省が10月23日、両国艦艇部隊による初の西太平洋合同パトロールが完了したと発表した。中核的国家権益への無謀な挑発を自重するよう他国への警告にもなった。

 

今回のパトロールは中国、ロシアが共同海軍演習の終了後に行われた。演習では防空、海上標的への砲撃、共同対潜戦を試した。演習は両国の戦闘調整の幅の広さと深さを実証した。

 

中国は新鋭055型誘導ミサイル駆逐艦をパトロール部隊に供出し、ロシアは最新鋭フリゲート艦二隻を参加させ、改めて両国軍の信頼の高さを印象づけた。演習から直ちにパトロールに切り替えることで平時から有事への迅速な切り替えの潜在能力も示した。

 

中国ロシア合同部隊は津軽海峡を通過し物議をかもしたが、パトロールは国際法を完全順守した。また関連海洋法規も完全順守しつつ各海峡を通過し母港に戻った。

 

日本の防衛省報道官は各艦の海峡通過は日本の領海侵犯でもなく国際法違反でもないと明言した。これが真の「航行の自由」である。

 

他方で米国および同盟各国が「航行の自由」の御旗の元で「乱暴狼藉の自由」を行使している。これこそ国際法の明白な違反であり、中国ロシアの主権の侵犯である。

 

中国ロシアは米国に対し真の「無害航行」と国際秩序の意味を示しているのである。両国は同時に他国の中核的権益を脅かさないよう米国に警告している。

 

海上自衛隊が中ロ艦艇を追尾し、防衛省の声明から日本は不安感を覚えたことがわかる。日本の政界は「右傾化」しており、平和憲法を改正し軍事予算をGDP2%に引き上げることを狙っている。岸田文雄が軍備拡張戦略を公表している。こちらのほうがアジア各国に大きな脅威となる。

 

日本は歴史問題を振り返らず、第二次大戦後の各種取り決めを遵守しないことで非常に悪い印象を残している。中ロ共同行動は戦後秩序を維持する二国の動きの例であり、国連憲章が求める域内平和と安定の実現の一助でもある。

 

ご注意 以下は環球時報英語版の記事を和訳したものです。当ブログの主張ではありません

 

米国は中国ロシア封じ込めの動きを止めていない。バイデン政権の次期中国大使として指名を受けたニコラス・バーンズが中国とロシアにくさびを打ちこみ、両国間の総合戦略パートナーシップの弱体化を狙っている。バーンズは上院聴聞会で10月20日に「長期的には中国がロシアを経済支配する日が来るのをロシアは真剣に心配する必要がある。ロシアから見れば中国が西部で核兵器配備を強化しているのも心配の種だ」と発言した。

 

だがそんな言い方をしても中国ロシア間の強いつながりを揺らすものにはならない。

 

中国ロシアは「非同盟不対立かつ第三国を標的としない」原則を堅持し長期にわたる友好関係を形成してきた。これにより世界平和と開発が促進され既存国際秩序も守られる。両国は新しい形の国際関係の実例を示した。中国ロシアの共同パトロールは二大大国の責任ある姿勢を示したものだ。■

 

 

Beijing-Moscow joint military action serves to stabilize order disturbed by others

By Song Zhongping

Published: Oct 24, 2021 09:07 PM

The author is a Chinese military expert and commentator. opinion@globaltimes.com.cn


F-15EXイーグルIIのテスト開発の最新状況。ネリスAFBで運用テストを展開。注目されるデジタル機体制御とEPAWS。

 

第40飛行テスト飛行隊の F-15EXイーグルIIがネリス空軍基地で離陸準備に

入っている。 Oct. 20, 2021. (William R. Lewis/Air Force)

 

 

空軍がF-15EXイーグルII戦闘機による一週間にわたる運用テストを終了した。

 

空軍は10月18日から25日までの会期でネリス空軍基地(ネヴァダ州)でF-15EXの本格的テストを開始した。この二機が完成済みの唯一の機体でF-15C、F-15Eとテストに投入された。

 

テストパイロットのケビン・ハンド少佐によればテストではEXと従来型の性能の違い、とくにフライバイワイヤによるデジタル飛行制御を試している。

 

空軍はEXが搭載する電子戦装備イーグル・パッシブ/アクティブ警報機体生存システムEPAWSも試した。

 

「EPAWSは次世代の電子攻撃防御装備でEXとストライクイーグルで開発試用が進んでおり、近い将来に実用化される」とハンド少佐は解説している。「これにより高度の脅威対象や防御態勢でも機体を防御しながら妨害を行えるようになる」

 

空軍の運用テスト評価センター第六分遣隊がF-15EXの初期運用テスト評価を行っている。

 

対象の二機はテイルナンバー001は3月、002は4月にエグリン基地に到着していた。テスト評価センターでF-15を担当するケネス・ジュール中佐からはネリスの空対空、空対地訓練空域でテストを実施することで各装備の機能ぶりの評価に役立つ正確なデータが入手できると述べた。

 

パイロット部隊はテスト飛行に集中しているとジュール中佐は述べ、遭遇する事態の理解が必ずしも正しくないことがある。

 

「パイロットが機体が期待通りの機能を示していると理解してもその背後を深堀すると実際には計器などが違う状況を示していたということがよくある。計器関係の技術陣の助けを借りて実際に何が発生したのか解明することがよくある」(ジュール)

 

フィードバックを提供するのに加え、データを精査して潜在的な問題をつきとめ、解決策を絞り込むことがあるとジュールは説明してくれた。

 

ネリスでのテスト前に各機は開発テストを受け、性能諸元と安全性で確認を受けた。5月にはノーザンエッジ演習でアラスカに飛び、GPS、レーダー他のシステムが妨害を受けた環境でも作動するかを試した。

 

ネリスでのテストが完了すると両機はエグリンにもどり開発テストを再開する。

 

「今年から来年は開発テストに集中し、追加の武装運用能力や運用飛行プログラムの追加改修内容を確かめる」とF-15EXテスト主管コールトン・マイヤースが述べている。

 

その後、F-15EXは今後実施されるレッドフラッグ-ネリス演習に参加し、追加データを収集するとジュールは説明している。■


Air Force holds week of F-15EX tests at Nellis

By Stephen Losey

 Oct 26, 06:11 AM

https://www.defensenews.com/air/2021/10/25/air-force-holds-week-of-f-15ex-tests-at-nellis/


本州を一周したロシア-中国合同海軍部隊の狙いと自衛隊の対応。一方で中国は航行の自由作戦中止を米国に要求。

 


Russian and Chinese ships on Oct. 23 off the coast of Japan. JMSDF Image

シア-中国両国海軍の艦艇部隊が日本本州の東側公海を航行し、土曜日に共同行動を解いたが、その間は一貫して海上自衛隊が海空で行動を監視していた。

中国部隊は055型駆逐艦(米海軍は巡洋艦と分類)南昌(101)、052D型駆逐艦昆明(172)、054型フリゲート艦浜州(515)、柳州(573)、補給艦東平湖(902)の5隻。ロシアは駆逐艦アドミラルトリブツ(564)、アドミラルパンテレエフ (548)、海防艦グルムキイ(335) 、ロシア連邦英雄アルダル・ツィデンザポフ (339) 、ミサイル観測艦マーシャル・クリロフ(331)の5隻だった。

合同部隊は津軽海峡を10月18日通過し、本州沖合を航行した。防衛省統合幕僚監部は10月23日に同部隊が大隅海峡を同日通過したと発表した。大隅半島と種子島の間で太平洋と日本海を結ぶ地点だ。その後同部隊は男女群島の南東130キロ地点で分離した。統合幕僚監部発表では駆逐艦JSやまぎり(DD-152)、護衛駆逐艦JSとね(DE-234)が水上監視行動を、鹿屋航空基地から第一航空集団のP-1哨戒機部隊が空中から監視した。

10月23日にロシア・中国の国防省がそれぞれ声明文を発表した。このうちロシア国防省は今回の合同行動は西太平洋で初の実施となったと強調している。「パトロールの目的はロシア、中国の示威行動であり、アジア太平洋地区の平和安定さらに両国の海上経済活動の保護であった」

他方で中国国防省の声明文では「巡航中は両国部隊は関連する国際法を厳格に守り他国の領海には一切侵入していない。両国部隊の今回の目的は中ロ両国の総合的戦略パートナーシップの涵養にあり、共同運用能力を向上させ、両国で国際並びに地域内の戦略安定性を維持することにあった」とある。

統合幕僚監部からの10月25日発表では日本は引き続きロシア艦艇の動きを監視しているとあり、対馬海峡から日本海へ入ったのを10月24日午前10時に確認している。発表ではミサイル警備艇JSおおたか(PG-826)がJSとね (DE-234)とロシア部隊を監視し、鹿屋航空基地から第一航空集団のP-1、厚木航空基地の第四航空集団もP-1を派遣し空中監視を行っているとある。航空自衛隊もロシア艦のヘリコプター運用に呼応し戦闘機をスクランブル発進させた。

一方で中国は米軍による航行の自由作戦の中止を南シナ海で求めてきた。

「米軍がたびたび空母、戦略爆撃機、原子力潜水艦含む高性能武装装備を派遣しており、示威行動により南シナ海にトラブルを持ち込んでいる」「いわゆる『航行上空飛行の自由』で米国は強力な海洋支配力をもって他国の権利権益を脅かすかくれみのにしている」と中国国防省報道官上級大佐Tan Kefeiが先週発言している。■

Russia, China Wrap Up Drills Off Japan, Pledge More Joint Exercises - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

October 25, 2021 1:58 PM


2021年10月24日日曜日

エナジー供給のリスク低減を図る米空軍が大気中のCO2変換による燃料確保技術に注目している。実現すれば効果は大きい。民生需要への対応も可能か。

 

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USAF

 

空軍でのジェット燃料の年間購入は数十億ガロン規模で数十億ドルを支出している。緊急展開となれば燃料消費量がさらに増える。

 

その空軍から大気から燃料を合成する化学工程開発で大きな進展が生まれたとの発表が出た。実現すれば補給活動の負担が減るとともに環境負荷も削減される。

 

空軍作戦エナジー局による本日の発表ではエナジー企業Twelveが今回実用に耐える燃料作成に成功したとあり、同燃料E-Jetを二酸化炭素から8月に合成したという。空軍は同社の進展に注目し、同時に水及び差異性エナジーも使うが、実戦部隊が事実上どこでも合成燃料を入手できる可能性に期待している。

 

「歴史を見れば、補給線が真っ先に敵に狙われている」と空軍次官補ロベルト・ゲレロ(エナジー運用担当)が解説している。「わが方に匹敵する実力を有する敵側の脅威が高まる中で、燃料補給活動への依存度を減らせばリスクも下がり、戦闘に勝利できる」

 

「炭素転換技術で航空燃料を原油サプライチェーンから解放できる」とTwelve共同創設者にしてCEOのニコラス・フランダースも述べている。「空軍は当社による航空燃料の新しい供給源確保を強く支援してくれた」

 

Twelve社の炭素転換工程の裏付けとなる技術は実は前からあるものだ。1920年代にドイツのフランツ・フィッシャーとハンス・トロプシュが現在フィッシャー・トロプシュ(FT)合成法として知られる技術を発明した。この工程はその後改良を受け現在も使用されており、米軍の燃料消費削減の一助になっている。

 

F-T法による合成燃料作成の行程概念図

National Energy Technology Laboratory

 

「フィッシャー・トロプシュ方式による合成燃料は特定機種向けに認証されている。まず民間で採用され、その後米軍が採用した」と空軍は説明している。「最大50/50の混合比率でFT合成燃料を石油系燃料に混ぜている」

 

ただし、「合成燃料の大部分は一酸化炭素とシンガスと呼ばれる水素の混合でバイオマス、石炭、天然ガスの燃焼で生成されている」との空軍説明で化石燃料が依然として必要だとわかる。「Twelve技術では化石燃料が不要となり、シンガスは大気から採取したCO2をリサイクルして確保する。その際に水と再生可能エナジーでCO2を転換する」

 

カーボンニュートラルの合成燃料が簡単に入手できれば費用対効果の面で大きな効果が生まれるだけでなく環境面でも朗報となる。

 

2019年にDefense Newsの論説でゲレロ次官補は空軍の年間ソーティ回数は80万回程度で燃料消費量は20億ガロンに達すると述べていた。ただし、年間消費量はその時点の作戦行動により大きく変動する。

 

ただし、いずれにせよ数十億ドル相当の出費となる点は同じだ。2022年度予算要求で空軍は燃料購入費として82億ドルを計上していた。空軍が消費する20億ガロンでガロン当たり5セントを節約するだけで1億ドルの節約がすぐ生まれる。

 

効果は燃料購入費用のみにとどまらない。空軍は戦闘地帯への燃料補給を必要としているが、燃料搬送に大きなリスクが潜んでいる。

 

「空軍はトラック、航空機、船舶で燃料を現地に補給している。だが作戦地の多くは通常の輸送手段では簡単に到達できず、戦闘中ではなおさらだ」「アフガニスタンで戦闘が激化した中で燃料・水補給部隊が特に狙われ、死傷者の3割を占めていた」(空軍説明)

 

Twelveの炭素転換技術に関連するインフラは合成燃料の大量生産が可能でかつ現地展開可能な内容だと空軍は説明している。そうなると燃料の大量輸送が不要となり、補給網の運用経費も削減可能となる。

 

Twelveの炭素転換技術が規模拡大可能であれば、空軍の作戦運用を一変させそうだ。空軍以外でも同技術への関心が示されるはずだ。TwelveではE-jet燃料の民生需要にも期待している。

 

米軍全体の燃料需要は増える一方で、戦線近くでの運用に危険をはらんでいる。補給線へのリスクは大国間戦闘で高くなる。空軍もこのリスクを認識しており、現地での発電機能の実現を模索しており、手段としては水素燃料電池から小型原子炉、さらにマイクロ波による遠距離電力搬送も検討に上っている。

 

空軍は炭素転換技術には解決すべき課題があることを認めている。中でも現地で燃料製造に必要な電力の確保が最大の課題だ。Twelveの製造工程では水供給も必要条件となり、将来の戦場での水の確保も課題となる。

 

Twelveでは水も空気から回収できると主張し、水だけを別個に運搬する必要はないとする。空気からの水回収は飲用にも使え、遠隔地や未整備地の作戦でも有益だ。ただし、大気中の水分量が少ない地点では環境面でも課題になる。

 

空軍は化石燃料依存を減らしたいとするが、Twelveの製造工程で生まれるのは炭化水素燃料であることに変わりない。ただし同社は環境負荷の低い燃料だと主張している。

 

「天候条件の悪化から過酷な気象現象が生まれており、インフラ施設やサプライチェーン以外に、作戦運用や即応体制にも影響が出ている。また世界規模で災害や不安定さが増えている」と国防長官ロイド・オースティンが地球大の気候変動に関する声明文を発表している。「気候変動から戦略面でも影響が生まれている。戦略環境や物理的な変化が発生する中でも戦闘継続できる側が勝利を収める日がやってくる」

 

数億ドル単位での経費節減、補給面の心配を緩和する可能性を秘める今回の技術を空軍が実証するのは当然といえる。プロジェクトの第一段階は12月に完了し、その後、規模を拡大し実証プラントで燃料合成を進める。

 

Twelveと空軍が同プロジェクトをどこに進めるのかに大きな関心が寄せられている。■

 

The Air Force Has A Plan To Make Jet Fuel Out Of Thin Air

A new carbon transformation process could be game-changing for the Air Force, which spends billions annually to buy fuel and ship it around the world.

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 23, 2021


カダフィ大佐殺害から10周年。これが当日のNATO航空作戦の詳細だ。

 


Gaddafi raid

 

2011年10月20日、NATO空爆後にカダフィ大佐が殺害された。その過程は以下の通りだ。


NATOはユニファイドプロテクター作戦でリビア空爆を2011年3月19日より展開し、2011年10月31日に終了したが、0月20日にムアマル・カダフィが殺害され空爆は数週間前に実質的に終わった。

カダフィは家族とトリポリを脱出していたが、反乱勢力NTC全国政権移譲協議会により2011年8月に捕獲された。その後、かつてのリビア指導者はトリポリ東部のシルテに重装備の忠誠勢力の保護下にあり、国外脱出を勧める声もあったが、無視していた。忠誠勢力最後の地区もNTCに敗退すると、カダフィは家族とシルテを脱出し、75台の車列で移動を始めた。

この車列を2011年10月20日現地時間午前08:30にフランス軍ミラージュ2000Dが襲撃した。同機はRAFのE-3DAWACSが上空に誘導した。カダフィの乗る車は地上で反乱勢力の射撃を受け、カダフィは負傷したのち、移動中に死亡した。

File photo of a Mirage 2000D (Image credit: Rob Schleiffert via Wiki)

 

大量の車両を引き連れて移動下のが本人の最後の間違いだったと言える。これだけの数の車列が気づかれずに移動できるはずがない。リビア上空には多数の偵察機情報収集機材が飛行していた。

中でもカダフィの電話通話を傍受する機能を有する機材が重要った。フランス機が投下した爆弾で車列を全滅させることはなかったが、動きを止める効果はあった。

後にペンタゴンは米軍のプレデターも襲撃に加わっており、ヘルファイヤーミサイルを発射していたと明らかにしており、以下その詳細を伝えたい。

プレデター一機(RAFのトーネードGR4だったとする筋もある)がシルテ監視中に車列を探知した。車列は親カダフィ派のものと判明し、市外に脱出をはかるものだった。一部車両は武装しているのが分かったため、米無人機はヘルファイヤミサイルを発射した。

MQ-1 Predator (Image credit: U.S. Air Force)

 

初回攻撃で撃破できたのは車両一台のみで、残る車両は別々の方向に分散した。直後に20台が再集結し、南部へ走り抜けようとした。NATOはこれを攻撃対象とした。上空付近にはミラージュF1CRが一機、ミラージュ2000D一機が飛行中で直ちに攻撃指令が出た。このうちミラージュ2000DがGBU-12一発を投下し、11台が破壊された。

NATO公式記録では攻撃の段階でカダフィが車列にいたことは認識されておらず、NATOの攻撃はあくまでも民間人への脅威低減のためで、国連決議で求められていた行動で、NATOは個人を標的とすることはしていないとある。

ただしNATO方針で攻撃時に投入した装備品の個別情報は開示されていないが、このNATO記録で示したように、「決定的攻撃」の内容リークは現地司令官があえて甘受したものだろう。

空爆後の状況は明らかにされていないが、各種の説明がある。確かなのはカダフィが捕獲され、頭に銃弾を受けたまま放置されたことだ。

カダフィ暗殺のビデオ映像がニュースやインターネットで当時大量に出回っていた。■


The Air Strike That Led To The Capture (And Subsequent Killing) Of Muammar Gaddafi 10 Years Ago Today

October 20, 2021 Libya, Military Aviation, Troubled Areas

DAVID CENCIOTTI


2021年10月23日土曜日

中ロとの開戦で真っ先に狙われそうなシェミア島(アラスカ)の防衛体制強化を図る米軍。同島にはミサイル防衛のかなめコブラデーンレーダー施設もある。

Special operations train to protect shemya island

NORAD

 

 

国やロシアと開戦となれば、米国で最初の標的となりそうなのがロシア東側に最も近いアリューシャン列島に位置するシェミヤ島だ。ここには強力かつ最近改修を受けたばかりのAN/FPS-108コブラデーン早期警戒追跡レーダーが設置されており、弾道ミサイル攻撃を探知する。その他、10千フィート長の滑走路、航空機運用施設他広大なランプ空間や緊急機体拘束装備があり、シェミヤを重要拠点としており、それだけに防衛が重要だ。このたびNORADがノーブルディフェンダー演習をアラスカで展開した。

 

冷戦時にシェミヤは戦略情報収集活動で主要な役割を演じていた。コブラデーンレーダー以外に、RC-135偵察機が同島から活動していた。ミサイル追尾用のコブラボール機が1990年代は常時出動する体制を維持していた。

 

GOOGLE EARTH

シェミア島の全景。イエアレクソン空軍基地が南端に見える。

 

GOOGLE EARTH

シェミアはロシアに程近い位置にある. 

 

冷戦後もコブラデーンレーダー以外に聴音施設、気象観測拠点があるシェミアは一般航空機の緊急避難飛行施設として知られることが多かった。これが「大国間競合」の時代に大きく変わった。太平洋での武力衝突の際にシェミアが大きな役割を演じるのは確実だ。

 

以上を念頭に、潜在的な脅威が同島に想定されるが機微なインフラは数多くある。まず、ハイエンドでは巡航ミサイルや弾道ミサイルが大きな存在だが、ローエンドでも特殊部隊が上陸し同島を占拠する、施設を使用不能にする事態が想定される。

 

このため北方特殊部隊司令部(SOCNORTH)に陸軍第10特殊部隊集団のグリーンベレー部隊がシェミアでの演習に動員され、防衛任務の訓練を常駐の防衛部隊とともに展開した。その際の写真を掲載した。MRZRバギー車両のほかFIM-92スティンガー携行型防空装備(MANPADS)で空の脅威に備える姿が写っている。

 

NORAD

NORAD

 

NORAD

 

NORAD

 

NORAD

 

NORADはツイッターにもビデオを公開しており、C-130が向かい風でシェミヤに着陸し、特殊部隊隊員とMRZR車両の積み下ろしの様子が写っている。

 

重大な事態が発生すれば同島は直接攻撃を受けることとなり、もっと高度の防空体制が必要となるが、計画上では防空の備え以外にも想定があり、特殊作戦部隊の投入も想定に入っている。

 

ノーブルディフェンダー演習はシェミアでは展開せず、アラスカ州本土で行われている。NORADの主任務である防空が主眼だ。カナダのCF-18がF-22とともに各種防空訓練の想定で投入され、巡航ミサイル対応もそのひとつ。F-22のAN/APG-77アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで低探知性の低空飛行対象の捕捉が可能だ。カナダのCF-18部隊はAN/APG-73機械式スキャンアレイレーダーを搭載し、そこまでの性能はない。だがカナダも旧型ホーネットにAN/APG-79V4 AESAレーダーの導入を進めている。

 

シェミア島での演習は太平洋各地で進む防衛体制強化の一環で中国が強硬姿勢を強めながら、ロシアの動きが予測不可能になっているのに対応するものだ。これを念頭に、重要ながら脆弱性を抱えたシェミアのような拠点の強化を目指した演習が今後増え、防衛能力の向上が図られていくはずだ。■

 

Special Ops Train To Defend Strategic Aleutian Islands Radar Outpost During All-Out War

 

Sitting right on Russia's back door, Shemya is home to the Cobra Dane radar and a strategic airfield that would be a prime target during a conflict.

BY TYLER ROGOWAY OCTOBER 18, 2021