2018年2月5日月曜日

★中国のレイルガン(?)詳細写真と米海軍で広がるレイルガンへの冷めた目

This Is Our Best View Yet Of China's Ship-Mounted Railgun Prototype中国の艦載レイルガン試作品の詳細写真を入手The experimental gun system is impressive looking to say the least. 試験砲は少なくとも外観は立派だ 

CHINESE INTERNET
BY TYLER ROGOWAY FEBRUARY 1, 2018


国の072III型揚陸艦海南山に電磁レイルガン試作品らしきものが搭載されているとのニュースはいち早くお知らせしたが、新たに入手した写真で砲の詳細がわかるので再びお伝えする。
 最初に写真が出て一日たち、対象はレイルガンまたは何らかのハイブリッド試作砲であると意見がほぼ一致している。写真での砲体の大きさが既存兵装と一致せず、特に砲身が異常に太い。一番近いのが055型駆逐艦のH/PJ38 130mm主砲またはPLZ05 155mm 自走砲だがともに海南山艦上の装備とは相当異なる。
 他の可能性として大口径艦上臼砲があるが、砲塔の大きさ、砲身やその他付随装備の様子からあり得ない。とはいえ結論として自信をもってまだお伝え出来ない。
このレールガンに対する元PLA海軍装備開発関係者の見解
1.レールガン(中国語では電磁砲、レールガンとコイルガン両方含む)は海軍主導に開発されている、5,6年前に本格開発を開始
2.909型試験艦を使ってない理由は恐らく電力供給の問題、909型の発電量が不足で、試験の為に改修する工事量が多い pic.twitter.com/9DACPAux7q
3.072型揚陸艦を使う理由は、上記の2と同じ。072型の甲板は大きいで、幾つの発電設備を設置することも余裕、加之内部も大きいな格納庫を持っているからもっと多種の設備も設置可能。
写真に映る部品:甲板の左から制御装置、発電装置。艦橋の上に試験を観測するため新な観測室と設備を設置した。 pic.twitter.com/ysGYBzYnYT
(ツイッター翻訳。072型揚陸艦を利用する理由として上記2.の同艦の甲板が大きいことがあり、発電関連装備も配置できることがあげられる。また艦内に大きな格納庫があることも理由。写真でマークをつけているのは左から発電機、新設監視室及びブリッジの監視所)
 本当にレイルガンだったr中国がこの技術を海上運用できるまでになったのは実験としてもペンタゴンには警鐘だろう。ペンタゴンはかねてから中国の兵器開発や導入能力を過小評価してきたからだ。
 実験だとしても重要だ。米海軍はEMレイルガン開発に十年かけても実用化は今でものるかそるかの状態で、実用運用への成熟化の道は険しい。一回だけ海上試験を行っただけだ。
 2014年にレイルガンをスピアヘッド級高速補給艦で試験を2017年に行う決定が下されたが当時の海軍上層部は海上試験段階を省略したがっていた。当時水上戦総監だったピート・ファンタ大将はDefense Newsに2016年こう語っていた。
「実証のための実証は省略して早く実用装備を手に入れたい」
 最先端技術でありこの趣旨に疑問がつく。ペンタゴンは「並列」式の開発、テスト、生産に最近はまりこんでおり、レイルガンも同様の方法で実用化できると考えているとしたら笑止千万だ。
 上層部の期待と未成熟技術の現実を海軍は昨年体験したようだ。海軍レイルガン事業については2017年3月に本誌は以下伝えた。
 進展がこれだけしかないのに海軍は電磁推進主砲が実用化日程を2015年から変更していないと議会調査部は指摘している。海軍は2025年までに実用化できると期待している。さらに困難な要素が増える傾向があるが国会議員は成果を生まない事業には関心を示さないだろう。
 海軍は一定の進展を示したが、開発課題はまだ残ったまま、と言うのが議会調査局の所見だ。「課題克服には数年間かかり追加開発作業が必要で最終的に成功の保証はない」とある。
 技術課題の克服でめどがたたないため米海軍がレイルガンの夢から距離を置きはじめているとの報道がある。当方も海軍研究本部に真偽を確かめようと問い合わせたが返答がない。もし海軍がレイルガン開発を断念すれば海外での研究の進捗に大きく遅れを取りかねない。また別の疑問が生まれる。米情報機関は中国がレイルガン技術で突破口を開きそうと把握しているのだろうか。
 本件はペンタゴンに照会しているので返答あればお伝えする。■

だんだん風向きが厳しくなってきたレイルガンですがどうしても技術上の課題を突破できないのでしょうか。文字通り絵に描いた餅になるのか。では中国は何をしているのでしょうか。また米国以外の国が実用化し低島ったら大変なことになるのですが....

★なぜイスラエル空軍はF-35よりF-15新型機導入に傾くのか

Israeli Air Force Leaning Toward Upgraded F-15 Over F-35 for Next Fighter Jet Acquisition

イスラエル空軍が次期戦闘機取得でF-35よりF-15に傾く
The rapid aging of the IAF’s current fleet makes the new purchases necessary
IAF現用機材の老朽化で新規購入は待ったなしだ
Amos Harel Jan 29, 2018 8:07 AM


イスラエル空軍のF-15I https://www.airplane-pictures.net/photo/948831/267-israel-defence-force-mcdonnell-douglas-f-15i-ra-am


スラエル空軍(IAF)は数か月のうちにF-35追加調達かF-15Iの調達かを選択する。F-15Iは性能で劣るとはいえ長所も多い。
調達には参謀本部さらに省内委員会の承認が必要だが、空軍当局の提言がそのまま通るのが通例だ。
IAF司令官アミカム・ノーキン少将はF-15選択に傾いているといわれ、5月に提言がまとまる。
イスラエルとは米国とF-35の2個飛行隊用として50機購入で昨年合意しており、ロッキー・マーティンから2024年までに調達する。
うち、9機が納入されており、IAFは初期作戦能力獲得を宣言した。
IAF戦闘機部隊で老朽化が進んでおり、新規調達が必要だ。空軍は1970年代末導入の機材も供用中で改修を重ねてきたが用途廃止は避けられない。
ダボス世界経済会議でベンジャミン・ネタニヤフ首相がクロアチア首相アンドレジ・プレンコヴィッチにIAF保有のF-16をクロアチア空軍へ売却すると伝えた。イスラエルはF-16A/Bで最後まで残った飛行隊を昨年解隊しており、F-16C/Dでも買い手を探している。F-15もゆくゆく同様の対応になりそうだ。
第五世代戦闘機のF-35はIAFの次期主力戦闘機となる。
IAF上層部は同機の性能をべた褒めで、特にステルス性能を重視している。
だがステルスを発揮するためには爆弾は機内に搭載する必要があり、そのため搭載量が制約を受ける。機体外に搭載すればステルス機能が損なわれるためだ。
これにたいしてF-15は旧式だがF-35に対する利点が二つある。飛行距離が長く兵装搭載量が大きいことがあり、さらに運用機種を複数にできることだ。
F-15IはF-35より運航経費が低いが、ボーイングが性能改修を行っており購入価格は今後上昇すると見られる。そのためF-35と同等の価格水準になる可能性がある。
空軍内部の議論はF-35の第三飛行隊が必要なのかというより今すぐ必要なのかが中心だ。
F-15推進派はF-35第三飛行隊分調達を2020年代末まで遅らせるよう求めている。
イスラエルの決定は米メーカー側にも重要な意味をもつ。ロッキード・マーティン、ボーイングには30億ドル規模の商談だ。ボーイングはF-15製造ライン閉鎖を検討していたが、イスラエル発注が入ればラインを維持できる。またイスラエルが購入すれば同機へのお墨付きとなりその他国への販売に拍車がかかる。

期機材の次期複数年度事業調達は、現事業が終了する2020年以降に発効する。機体は米海外軍事援助制度を使い購入する。米国とイスラエルは2016年に10年間の援助合意に調印済みで来年から発効する。■

確かにF-35だけを戦闘機部隊に配備することはバランスが悪い話でもともとF-22導入を希望しながら売ってもらえなかったイスラエルの事情は日本とも似通ったところがあり、イスラエルが本当にF-15新規発注に動けば日本にも影響を与えそうですね。しかし一番喜ぶのはボーイングでしょう。

2018年2月4日日曜日

歴史のIF(4) 朝鮮戦争が北朝鮮勝利で終わっていたら

歴史のIF(4)は北朝鮮が朝鮮戦争で勝利を収めた世界です。日本は当然反共の砦として今より早く強力な軍事態勢を整備していたでしょう。そのため経済成長が遅れたかもしれません。現実の金日成は米軍侵攻に恐れて逃げ回り中国義勇軍に失望を与えていたといいますからそもそも勝利を収める資質はなかったのでしょうね。



What If North Korea Had Won the Korean War?

北朝鮮が朝鮮戦争の勝者になっていたらどうなっていたか



February 2, 2018


1950年の夏、朝鮮人民軍(KPA)が朝鮮半島で国連軍敗退の一歩手前までいった。だが釜山防衛線が辛うじて守られ、北朝鮮(DPRK)の完全勝利は実現できず、マッカーサーによる戦況を一変させるインチョン上陸作戦が続いた。もし北朝鮮軍が優勢のままだったらどうなっていたか。朝鮮半島はどうなっていただろうか。
北朝鮮はこうしたら勝利できた
 北朝鮮勝利は次の三つのいずれかの場合だ。まず米国が不介入決定していれば、KPAは韓国軍を打ち破り釜山を陥落させただろう。これで戦争は終わったはずだ。二番目に米軍国連軍が展開後、KPAが釜山防衛線を破り防衛体制が崩壊したら米国は厳しい選択を迫られ、インチョン上陸作戦の実施が問われただろう。三番目に1950年11月の中国参戦で前進中の国連軍は大打撃を受けた。中国攻勢が国連軍を敗退させPLAが半島を征服した可能性だ。
 いずれの場合も平壌が朝鮮半島を支配していただろう。米軍が釜山で敗退していればDPRKと米国に遺恨が残り、中国介入が功を奏していれば平壌は中国依存度を高めていたはずだ。ただここでは同じ扱いとしDPRKの政治経済面でのその後の進展を仮定する。
政治面
 平壌主導で朝鮮半島が統一されたら今日どんな様相になっているだろうか。今日の韓国、北朝鮮のいずれとも異なっていたはずだ。
 統一朝鮮は国際経済参入を中国やヴィエトナムより有利に行えていたはずだ。日本統治下で朝鮮に産業化が始まり、インフラ整備も進んだ。平壌が短期間で戦勝していれば、北は米空爆から無傷だったはずだ。DPRKは社会主義ブロックの一員として経済開発を有利に開始できUSSRやPRCの支援を受けていたはずだ。
 だが統一社会主義朝鮮は冷戦末期の中国やヴィエトナムのように国際経済に参入できたか疑問が生じる。金一族はもともと独裁者の血筋だが中国、ヴィエトナムもかつては頑迷で変化は無理と思われていた。ただし両国は経済の自由を受け入れある程度まで政治的寛容さも受け入れたがDPRK人民はこの自由を享受することはなかっただろう。
 中国、ヴィエトナムにも独裁者が居座っていたが金一族にはない自由がある程度まであった。両国とも内戦の勝者で統一後は外敵にすぐ侵攻される恐れはなかった。両国は長期計画でグローバル経済への参画を検討する中で国内の経済統制を緩めた。ここから経済高成長が生まれたが、DPRKにはこの経験はない。
 DPRKは内向きの独裁体制になっていただろう。金日成も戦勝していれば中国やヴィエトナム並みに未来を見通した政策を柔軟にとっただろうが、そのためにはイデオロギー上の柔軟性と想像力が必要でいずれも本人に欠落していた。金日成が国際貿易・投資から自国を完全に閉ざしていた事態は十分考えられる。
国際社会への影響
 統一朝鮮は社会主義圏各国の軍事援助をあてにしていたはずだ。現実の北朝鮮は武器輸出大国だが金日成が統一に成功していたら現在以上の輸出国になっていただろう。ソ連圏との関係で金一族は戦勝をモスクワと北京に感謝してもモスクワへの恩義の方を強く感じていたはずだ。中国と近いことで金日成は逆にソ連傾斜を強めた。ただ中朝関係は中国-ヴィエトナムほど悪化しなかっただろう。
 平壌にはいつも敵が必要で、植民地化された歴史のある日本は近い位置にあり、米国支配下の日本はうってつけの敵国で自らの統治を正当化できたはずだ。DPRKによる日本侵攻はありそうもなかったが、冷戦時の行動様式でスパイ活動、小規模襲撃や拉致は頻発しただろう。
米国への影響
 米国に敗戦は簡単に受け入れられない。中国内戦で毛沢東が勝利するとマッカーシーが米政治面で大きな影響を与えた。ヴィエトナム戦争で勝利できそうもないと分かると社会不安が広がった。韓国消滅を防げなかった場合、米国への影響は甚大だっただろう。
 国内では1950年代はじめの反共ヒステリアが悪化しただろう。トルーマンは共和党から共産主義に「弱腰」すぎると攻撃されていたはずだ。アイゼンハワーは戦争が終結して共和党内で自らのアピールがなくなり、もっと過激な候補が選挙に勝利していれば冷戦は現実より危険な様相になっていただろう。
朝鮮敗戦で米国は東アジアで防衛困難地点で対応強化に向かっただろう。ヴィエトナムが例だ。米国はフランス支援を強め、場合によってはディエンビエンフーへ部隊を送っていたかもしれない。また台湾の蒋介石支援を強め、中国のチベット支配へも積極策をとっていただろう。
結論
 南朝鮮は1953年の休戦後に困難な道をたどり、独裁政治を数十年経験する苦労の末に経済繁栄を勝ち取った。今日の大韓民国は強い経済に裏付けされた民主政体で国際社会の一員だ。平壌が戦勝しても韓国の業績をそのまま実現できなかったはずだ。米国でも朝鮮戦争敗退は面倒な結果になっていたはずで、波及効果はアジア全体に広がっただろう。結局、朝鮮戦争は手詰まりのまま終了したが国連軍が金日成の勝利を阻んだことで世界がより良い場所になったのは疑う余地がない。
Robert Farley is a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat. Follow him on Twitter:@drfarls.

Image: Reuters

主張:ICBMミサイル防衛は期待通りに機能していない。どうするか

US ballistic missile defense just doesn't work — but we keep spending billions and billions on it

米弾道ミサイル防衛は機能しない。でも巨額の予算をつぎ込んでいる
  • A man and a child watch as the Ground-based Midcourse Defense (GMD) element of the U.S. ballistic missile defense system launches during a flight test from Vandenberg Air Force Base, California, U.S., May 30, 2017. REUTERS/Lucy Nicholson   米弾道ミサイル防衛の地上配備中間段階防衛(GMD)が発射される様子を見つめる親子 Thomson Reuters
  • 水曜日のミサイル迎撃実験は失敗したが、直後に65億ドルを迎撃ミサイルに追加支出する発表があった
  • 米国は15年間でミサイル防衛に400億ドルをつぎ込んだが、信頼度の高い性能は実現していない
  • 弾道ミサイル防衛が核抑止力体制で複雑な要素で、防衛能力を認める意見もあるが実証は不可能


今週水曜日に米海軍のSM-3ミサイル迎撃実験が失敗したと発表があった。同ミサイルはレイセオンが開発した。
同日にペンタゴンは65億ドルで地上配備中間段階防衛システム(GMD)の迎撃ミサイル20発を調達すると発表した。これは米本土を北兆円やロシアのミサイル攻撃から守るのが目的だ。
だがGMDの実績は芳しくない。最近の成功で北朝鮮との核対決の恐怖が下がる効果が生まれたがテスト実績を見ると非現実的な内容が盛り込まれているという。
弾道ミサイル問題に詳しい憂慮する科学者連盟所属のローラ・グレゴとデイヴィッド・ライトの二名による論文ではGMDでICBMを撃破できたというが実際より遅い速度で想定軌道上でのことで実際の北朝鮮ミサイルがここまで望ましい条件で飛翔することはないと指摘。結論として現時点で信頼できる弾道ミサイルへの本土防衛体制はないとしている。
これは米国がこれまで15年にわたり400億ドル超を投入しての成果だ。
この期間にボーイング、レイセオン、ロッキード・マーティンの各社がBMDに関係し巨額の利益を享受したが、今もペンタゴンから契約を得ている。
まず、米国は短期ミサイルなら防衛能力がある。イージス搭載弾道ミサイル防衛駆逐艦は海上で追尾実績があり、防衛能力があるが、ICBMが対象では話が別だ。ペイトリオットミサイルが単距離ミサイルを迎撃して人命を救った実績があるが、話は誇張されて伝わりがちであり、虚偽の話も混じっている。

BMDは理論上の話だが400億ドルの価値があるのか。

hwasong 15 launcher
北朝鮮の弾道ミサイルの方が米ミサイル迎撃手段よりはるかに安価だ。 KCNA
ミサイル防衛は核抑止力の理論の中で複雑な役割を演じている。北朝鮮のような敵が相手なら、米国は10パーセント未満の確率で迎撃できるはずで、相手側に攻撃を断念させおうとしている。
だがもっと可能性が高いのは北朝鮮が米国を攻撃すれば10倍もの反撃を受けるため、北朝鮮が攻撃に踏み切っていないことである。
ただしBMDでこれまで抑止効果が生まれたのかでは全く不明で断言できる専門家もいない。確かなのは国防企業が潤ったことだ。
数十億ドルを負担してきた米国納税者はこの間に世界最大級の国防企業に富を与えてきたわけだが、今こそ問いかけをすべきだろう。いつになったら性能が実現するのか。またどうして今機能していないのか。■

This is an opinion column. The thoughts expressed are those of the author.

★空母キラーへ対抗し中国の想定を崩すF-35B、中国が日本の同機運用に反撥する理由がよくわかります。



The F-35 can make China's carrier killer missiles 'irrelevant’

このF-35で中国の空母キラーは「無意味」になる




米海兵隊F-35BライトニングII(海兵隊戦闘攻撃飛行隊VMFA-121所属)が垂直着陸を岩国海兵隊航空基地で行っている。 Nov. 15 2017. (U.S. Marine Corps photo by Cpl. Carlos Jimenez)
Alex Lockie Business InsiderFeb. 02, 05:30 PM


国が南シナ海で軍事拠点化を進め、米国排除の影響圏を広げる中、米海兵隊はバブル突破の切り札としてF-35Bの戦力化を進めている。
人民解放軍ロケット軍がいわゆる空母キラーミサイル多数を保有していると判明しており、最大800マイル遠方の艦船を狙えると評価されている。
米海軍で最長の有効距離を有する装備が空母だが約550マイルが有効半径であり中国は理論的には米国を南シナ海から締め出すことができるわけだ。
ただし理論や紙の上の前提で米海軍を実戦で破ることは不可能だ。
接近阻止領域拒否A2AD戦略を進める中国は米軍機は空母あるいは陸上基地から発進する前提だが、F-35Bにこの前提がきかない。
「F-35Bは文字通りあらゆる場所から飛ばせる」と海兵隊中佐(退役)デイヴィッド・バークは述べる。「中国のミサイル攻撃で作戦基地が使えなくなれば、F-35Bの出番だろう」
離陸に数百フィートあれば十分で着陸に場所を選ばないF-35Bで海兵隊は大規模で狙われやすい基地から自由になる。

中国が空母を狙うのなら、米国は空母を使わなければいい

海兵隊はこの作戦構想を太平洋で訓練中で、2018年1月にF-35Bをスロープ状の場所に着陸させ、どこにでも着陸できる能力を実証した。
昨年を通じF-35B乗員は「ホットローディング」「ホット燃料補給」を訓練し、F-35の再装備をあたかもNASCARのピットストップのように迅速に行えるよう努めている
地上要員がまだポンプで燃料を補給中のF-35Bに駆け付け兵装を装填した。最小限のサポート環境でも即席の拠点でも可能と実証し、中国のミサイルの標的になりそうもない場所で運用可能と実証した。F-35Bは離陸していった。
「平らな場所で600フィートあれば着陸できる」とバークはF-35BをA-10と比較して述べた。
空母搭載のF/A-18部隊を中国が食い止めても海兵隊が小型空母のUSSワスプのような艦や大型ヘリコプターでF-35B運用を実施できることになる。V-22オスプレイやCH-53の運搬力を活用して海兵隊は中国のA2ADバブル内に臨時基地を構築してしまうだろう。
そうした前線基地からステルスF-35Bは脅威を除去し、バブルに穴をあける。その間大型空母は遠方に残る。
「戦闘を平面で見ている限り理解は困難」と元F-35戦闘機隊司令バークは述べ、A2ADに詳しい。「ボクシングでは腕が長いだけでは勝てない」

F-35Bの太平洋展開は最優先で進める

米国がF-35B性能に信頼を置くことで太平洋の力のバランスが影響を受けているのは明らかで装備の配備状況を見ればわかる。日本が最初の配備先になった。
北朝鮮と緊張高まる中でF-35B運用可能な空母が日本を母港とする意義は大きい。
「第五世代戦闘機が初めて艦上運用され緊張高まる地区に展開するのは地政学的リスク、緊張を伴う」とバークは述べる。
「第五世代機が太平洋に展開する意義は言葉でいいつくせないほど大きい。誰も想定しなかった能力を提供してくれるはずだ」■


やはりアメリカの軍事力は攻撃を旨としていますね。南シナ海で米軍が拠点を占拠する作戦もありうるということですか。中国が日本のF-35B運用構想を早くも警戒するのはよく理解できますね。それだけ抑止効果が高いということにもなります。

AIP搭載潜水艦の現況と今後の展望


Air-Independent Propulsion Submarines: Stealthy, Cheap and the Future? 大気非依存型潜水艦はステルス、安価だが将来が約束されているのだろうか






January 28, 2018


こ十年ばかり、大気非依存型推進方式(AIP)の潜水艦応用が世界で広がっている。大型原子力潜水艦(SSN)に代わってAIP搭載艦(SSP)が中心の座に就く可能性も出てきた。潜水艦が安上がりだが大きな戦略的な意味を持つ装備となり大国海軍の強力な艦船に太刀打ちできる可能性が出てきた。では米国も追随すべきだろうか。おそらくしないだろう。

AIPの歴史
20世紀に数か国海軍がAIPを実験している。そのうち、ドイツとソ連が第二次大戦中と最も早く着手したが、運用に耐える形にはできなかった。戦後は英国、米国、ソ連がドイツ研究成果をもとに実験艦を建造したが、原子力推進のほうが潜水艦用に有望と判断された。
2000年代に入り各方面の技術を統合して開発がはじまり世界数か国で実用に耐えるAIPの開発が始まった。フランス、ドイツ、日本、スウェーデン、中国がAIP搭載艦を建造し、輸出も行う。

技術
AIPで通常型潜水艦はバッテリー充電のために浮上の必要がなく、長期間潜航したまま探知を逃れる。AIPの潜水艦搭載には三型式がある。

クローズドサイクル蒸気タービン
フランス建造艦で使われているクローズドサイクル蒸気タービンは原子力潜水艦でのエネルギー利用を参考にしている。蒸気に酸素とエタノールを混合する。この方式はフランスでMESMAと呼び、大量のエネルギーを生むが複雑かつ効率が低い。

スターリング機関Stirling Cycle
 スターリングサイクル機関はディーゼルでエンジン内部に封印した液体を加熱しピストンを動かし発電する。排気は海中に捨てる。この方式はフランス型より効率がやや上回り機構も簡単になり、日本、スウェーデン、中国の各国が採用している。

燃料電池 Fuel Cell
燃料電池は最高のAIP技術だろう。燃料電池は水素、酸素で発電し可動部品は皆無に近い。廃棄物は最小で大量のエネルギーを生みつつ極めて静粛である。ドイツ製潜水艦が燃料電池技術の搭載に成功し、フランス、ロシア、インドもこの技術の実用化を目指している。

導入の傾向

AIPの利点は供用中潜水艦にも艦体を挿入して搭載できることだ。ドイツが209型でこれを実施し、ロシアもキロ級で搭載している。スウェーデン、日本も同様だ。導入済み艦の戦力引き上げ手段として改装は費用対効果が高い。
ただし大部分の海軍は新規建造に前向きで、ドイツはSSP四形式を各国に提供する。新造209型にも搭載され、スウェーデンもAIP搭載艦を三隻建造し、日本のそうりゅう級、フランスもスコルペヌ級、アゴスタ90B級(パキスタン輸出用)、スコルペヌ派生型のカルバリ級(インド輸出用)がある。スペインのS-80級もAIPを搭載し、ポルトガルにも小型トリデンテ型がある。ロシアがラダ級のAIP搭載にてこずっているで次期アムール級も搭載の見込みだ。中国の元級14隻がAIPを搭載し、さらに5隻が建造中だ。

戦闘場面では

SSPがSSNの性能を上回る場面がある。長期潜航機能と静粛性を武器に待ち伏せし接近する敵艦を攻撃する。これには敵動向で確度の高い情報が必要だが、SSPも単中距離偵察を行える。浅海など小型で機動性の優れた艦が有利な環境では原子力潜水艦にも大きな脅威になる。

米国への影響

では米国もSSP建造に向かうべきか。米国はディーゼル電気推進型潜水艦の建造は1959年を最後に行っていない。原子力潜水艦の知見を応用できそうだが、まだマスターできていない分野もある。燃料電池では米国が世界をリードしているので米国の潜水艦建造で採用する可能性はある。
ただし米海軍は汎世界的に活動する部隊で、米本土から遠距離地点での作戦を想定する。ディーゼル電気推進式潜水艦はAIPを搭載しても航続距離で原子力潜水艦にかなわず、基地の確保が必要となる。さらに費用節約のため米海軍は省人化をめざしているので、高性能な潜水艦少数の方が安価な潜水艦多数を運用するより望ましいと考えている。
AIP搭載艦に資金をつぎ込む前に米海軍は将来の潜水艦戦のシナリオを想定し水中無人機の投入を考慮すべきだ。自律運用や半自律運用の無人潜水艦にはAIPを上回る長所があり、さらに新型潜水艦技術への投資は不要である。
そうなると大型原子力攻撃型潜水艦にAIP搭載艦が脅威となるのは一定の条件下となるのは間違いない。だがらと言って米海軍が通常型潜水艦に乗り出すのは得策でない。SSPでは海軍の要求内容すべてを実現できないし、今後の技術向上で現在のAIPの利点も優位性を失いかねない。■

米海軍にはどうしても通常型小型艦の建造に抵抗があるようです。であれば、日本の潜水艦部隊が米海軍のできない任務を請け負うしかないのでしょうか。以前に日米共同運用案などと無責任なことを提唱しましたがやはり実現の可能性は低いんでしょうか。

Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.

2018年2月3日土曜日

★三沢基地に航空自衛隊F-35A展開始まる、一方で部品供給は黄信号

航空自衛隊三沢基地にF-35Aが到着しましたが、国内生産では思わぬ苦労もあるようです....



Japan base welcomes 1st deployed F-35A, but industry hiccups delay fighter’s supplies 日本基地に初のF-35A配備、しかし産業界は部品供給に苦しむ



1月26日、航空自衛隊のF-35A配備一号機が三沢基地に到着し、歓迎式典が開かれた。. (Staff Sgt. Deana Heitzman/U.S. Air Force)


By: Mike Yeo 
MELBOURNE, Australia — 日本がF-35AライトニングII共用打撃戦闘機を北方の国内基地に初配備した。
機体は青森県三沢基地に先週金曜日到着し、航空自衛隊が歓迎式典を開いた。式典では第三航空団司令鮫島建一空将補が「F-35Aにより防空力が向上し、平和と安全の確保に大きく貢献する」と述べた。
三沢基地には米空軍第35戦闘航空団も駐留しており、F-16ファイティングファルコン多用途戦闘機を運用する。航空団指令R・スコット・ジョウブ大佐Col. R. Scott JobeはF-35は「戦闘能力での大きな技術進歩のみならず米日関係でも大きな進展を意味する」とのべ、配下の部隊は「JASDFとの訓練で日本の安全保障をさらに確実にする」ことを期待すると述べた。
日本でF-35Aをはじめて運用するのは航空自衛隊第302飛行隊で現在はマクダネルダグラスF-4EJファントムIIを百里基地で運用中だ。同隊は三沢に移駐しF-35運用部隊となる。
日本はF-35Aを計42機発注しており、最初の4機はロッキード・マーティンのフォートワース工場で、残りの38機は三菱重工業の名古屋FACO(最終組み立て点検施設)で完成させる。FACOでの完成初号機は2017年6月に完成しており、同FACOは北アジア太平洋地区での重整備修理点検改修施設に認定されている。
日本産業界はすでに日本向けF-35の最終組み立て以外に各種部品製造に参加している。
ただし、日本製部品が実際には使用されていないとの報道があり、IHIはエンジン試作品で品質合格認証を受けなかった。米国協力企業からの素材提供が遅れず、三菱電機も協力企業との問題に遭遇したという。
会計検査院によれば日本側協力企業の製造工程に不完全な部分があることを防錆装備庁が見つけており、同庁に対して米政府と協力してF-35製造に必要な部品が納期通りに利用できるよう努力する旨伝えているという。■

民生部品とは全く異なる世界で苦労も多いと思うのですが、初期に苦労したほうが必ずいい結果に繋がりますので各社には奮闘をお願いしたいところですね。部品点数、機能、品質要求などMRJの比ではないと思います。