2022年2月27日日曜日

ウクライナ軍はロシア軍に数で劣勢とはいえ、なかなか優秀な装備を確保している。これがロシア軍の進撃ペースが予想以下となっている理由か。

 


Russia vs Ukraine Weapon Strength: Tank Force, Artillery Platforms & Surface to Air Missiles (SAMS)

 

シア軍がミサイルでウクライナ各地の飛行場や重要軍事目標を攻撃し、装甲車両がベラルーシから首都キエフに向かい進撃中だ。


ウクライナ軍の装備はソ連時代のロシア製が中心で、戦車、装甲兵員輸送車、榴弾砲などがどこまでアップグレードされているかは不明だが、ウクライナとロシアの地上軍の最大の違いは、数につきる。Global Firepowerの2021年版の評価では、ロシアは戦車12,000両を運用とあるが、同じ引用元ではウクライナは数百両に過ぎないとされる。

 

 

 

ウクライナ戦車部隊の実力とは

 

ウクライナ戦車部隊は、冷戦時代のロシア製T-72、T-80、T-84が中心だ。このうち最新型T-84は、Global Firepowerによると、ソ連時代のT-80をウクライナ用に改良したものとある。ウクライナの装甲車両数はロシア軍3万台の3分の1程度とされる。ウクライナ軍のT-84は1999年登場だが、武器や熱探知画像、コンピューティング、弾薬などの技術が大幅にアップグレードされている可能性があるので、心配の必要はないだろう。例えば、アメリカ陸軍のエイブラムス戦車は、原型は1980年代だが、長年のアップグレードによりほとんど新しい車両となり、世界最高の戦車に匹敵する性能になっている。

 

ロシア対ウクライナの戦車戦

 

ウクライナ戦車部隊は冷戦時代装備を中心に構成されている。ロシアとウクライナが戦車対戦した場合、戦車の性能より、単純に数の問題となる。ロシア戦車の大部隊は、射程距離と精密照準がウクライナ戦車と同等かそれ以上であれば、ウクライナ戦車を圧倒し破壊する可能性がある。ロシア戦車部隊は、T-72、改良型T-80、T-90、さらに少数の新型ハイテク戦車T-14アルマータで構成される。

 

自走砲、牽引砲

 

ウクライナ軍は自走砲と牽引砲で、向かってくるロシアの装甲車両の速度を落としたり、損傷を与えたるかもしれない。しかし、ウクライナの野砲はかなり古く、射程距離にも限界があるようだ。最新装備の1963年式は60年代に登場し、射程はおよそ13マイルとされている。数十年前に導入されて以来、改良されている可能性は高いが、ロシアの長距離砲システムと比較すると、明らかに射程距離で不利な状態で運用されている可能性がある。

 

であれば、より近代的なロシアの機動砲が、スタンドオフ距離からウクライナの陣形を破壊するために配置されるかもしれない。Global Firepowerは、ロシアの最新砲兵装備の自走式2S35 Koalitsiya-SV砲兵プラットフォームの射程距離を記載していないが、2018年登場で、デジタル制御による長射程をあると記している。ロシアの同装備は、ウクライナよりもはるかに新しくで高性能である可能性が高く、運用数によっては決定的な影響を与え、1960年代のウクライナの砲兵システムを凌駕する可能性が高い。

 

また、ウクライナの牽引砲2000門に対し、ロシアは7600門以上を運用しており、兵力規模でウクライナは大きく劣勢だ。

 

ロシアの地上戦が大規模展開されれば、ウクライナの防衛力を圧倒的に上回る。しかし、ウクライナの防衛力が無力のままとは限らない。ヒット・アンド・ラン方式を採用したり、ロシア軍進攻の主要道路、交差点、チョークポイントを制御、混乱、遮断する可能性が高い。

 

しかし、ロシア軍がキエフなどウクライナ要衝に迫っている中、ロシア軍とウクライナ側防衛線の間で大規模な装甲車両戦が展開されるかは疑問だ。ウクライナ地上軍に、ロシア軍本格侵攻を阻止、あるいは減速させる可能性は残っているのだろうか。

 

装甲戦闘車両

 

ロシア軍が運用中の装甲戦闘車両規模はウクライナ軍の約3倍とされ、ロシア装備品の多くはより近代的とされている。Global Firepower社の2022年軍事力評価では、ロシアの3万台に対し、ウクライナは約1万2千台とある。

 

ロシア装甲車の機械化部隊の接近に対抗するウクライナの装甲車が技術的に劣勢に立たされる可能性がある。T-14 Armata戦車やKAMAZ SBA-60K2 Bulat装甲兵員輸送車など、ロシア装甲車の多くは比較的最近の開発だ。ロシアのブラットBulat APCは、2013年登場の6X6装甲兵員輸送車として記載されており、2004年登場の8X8 BTR-90 APCが補完すると思われる。非常に注目されるT-14戦車はまだ大量運用していない可能性があるが、2016年に出現している。T-90は90年代に出現と報告があるが、大幅アップグレードされている可能性が高い。

 

ウクライナは、1980年代のBTR-80 APC含むソ連時代の装甲兵員輸送車を運用している。ウクライナ製のBTR-84アップグレード型が補完する。

 

ロシア軍は車両数が圧倒的に多いだけでなく、より新しいシステムを運用しており、ウクライナ地上軍を圧倒できる位置にいるようだ。ウクライナで最も近代的な「軽戦車」歩兵戦闘車は1987年のBMP-3で、これはロシア軍も保有するソ連時代の設計だ。しかし、ロシアはBMP-3軽戦車に加え、2011年製のBMPT(ターミネーター)重装甲支援車両も保有している。

 

地対空ミサイル (SAMS)

 

また、ロシア軍は、2007年に登場し、改良を続ける超近代的なSA-21 S-400地対空ミサイルを運用する。このSAMは機動兵器として、前進するロシア軍に敵機を追跡破壊する能力を与える。一方、ウクライナの防空システムは、Global Firepowerによると、ソビエト時代の1980年代製SA-15ガントレットシステムであるとしている。

 

CNN報道によれば、ウクライナ当局は、ウクライナの戦闘機1機がロシアの移動式SAMシステムで撃破されたと認めている。

 

重装備でここまで違いが明らかになった場合、ロシア軍は降車し、CQB(Close-Quarter Battle)と呼ばれる戦闘を行う必要があるかもしれない。ウクライナ歩兵が建物や市街地の陰に隠れて、ロシア軍装甲部隊に奇襲攻撃をかければ、建物や住宅一棟ごとの戦いになるのは確かなようだ。■

 

 

Russia & Ukraine Weapon Strength: Tank Force, Artillery Platforms & Surface to Air Missiles (SAMS) - Warrior Maven: Center for Military Modernization


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

FEB 25, 2022

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven - the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


日曜特集 米軍が新明和US-2を採用したら.....あらためて飛行艇への関心が高まる中で、日本がこれまで心血を注いで開発したニッチ技術が花を開く可能性

 重苦しい空気の週末になりました。こういうときだからこそ楽しい話題もお送りしましょうメディア関係者の皆様へ US2という機体は存在しませんのでご注意ください。

Alman lede (1)


1992年1月23日、アメリカ空軍のF-16(コールサイン、クラン33)が米本国へのフェリーフライト中に空中給油機に衝突した。パイロットは東京の東方約625マイルの海上で射出脱出したが、救助ヘリコプターの飛行範囲から大きく外れていた。パイロット救助に活用できる艦船はなかった。しかし、わずか4時間後、日本の自衛隊はパイロットを発見救出した。船もヘリも使わなかった。水陸両用機、コールサイン「かもめ81」だった。



第二次世界大戦中、日本は海上作戦を行う他国と同様に、水上飛行機を多数保有していた。しかし、アメリカは関心を示さなくなった。米軍が水上機を手放した理由は4つある。第一に、第二次世界大戦の終結により、ヨーロッパ、アジアなどに長い滑走路のネットワークができた。ヨーロッパ、アジアなどに長い滑走路網ができたため、水上機の着水能力は意味がなくなったと思われた。第二に、次世代水上機といわれたR3YトレードウィンドとP6Mシーマスターが開発難に陥った。第三に、海軍が予算削減のため、空母や弾道ミサイル潜水艦を優先させたこと。第四に、米海軍の資金がなく、他国の海軍は水上機開発にゼロから資金を調達できなかった。水上機は、1983年まで沿岸警備隊が使用していたが、最後の機体は1967年の初飛行だった。


しかし、日本は関心を失わなかった。1966年、米国が水上機事業を縮小する中、日本は新明和に軍用水上機の開発を依頼した。その結果生まれたのが、高性能の水上機「US-1」である。現在、同機を改良した「US-2」が日本で運用されている。


米国がインド太平洋地域での競争を重視するようになり、米軍の一部が水陸両用機に特に注目するようになれば、日本の水上飛行機の入手を検討することは良いことであろう。US-2は実績があり、かつ生産中の機体であり、稼働初日から共同能力が高まる。さらに、US-2を少数購入すれば、米軍は比較的低コストで水上機運用の実験を行うことができ、研究開発の必要も皆無に近い。最後に、日本の航空産業からの購入は、日米同盟の強化につながり、日米関係の双方向の利益を強調することになる。


US-2とは


US-2は、技術面でも驚異的な機体だ。最高速度は時速300マイル以上、最大離陸重量は100,000ポンド以上、無給油航続距離は3,000マイル近くあり、US-2は捜索救助の任務に優れている。US-2は当初から北太平洋での救助活動を念頭に置き、波高10フィート(約1.5メートル---新明和工業では3メートルと説明しています)でも運用可能だ。そのため、外洋で活動が可能で、水上飛行機の利点を発揮できる。US-2は、墜落機を広範囲で捜索できるだけでなく、着陸して回収することも可能だ。


Figure 1: 海上自衛隊のUS-2 (image courtesy of Hangar B Productions).


US-2の導入で、米軍の太平洋における捜索救助活動能力は一気に向上する。図2は、空軍のブラックホーク原型の救難ヘリHH-60Wや、各軍で使用中のティルトローターV-22との比較で、US-2の対応範囲が相対的に高いことを示している。HH-60は通常、救難任務に特化した人員・構成のHC-130と並列運用されるが、この組合わせが常時保証されているわけではない。HC-130が故障など使用できない場合、HH-60の活動範囲は限定される。一方、US-2は自己完結型の救難能力を発揮する。

Figure 2: 救難ヘリコプターとUS-2水上機の飛行距離を比較した。距離は概算。V-22はMV-22のフェリー飛行時の性能を用いた。ただし、実際の運用時の半径はこれより大きく縮まる。HH-60の場合無給油で500マイル



この能力をコスト増なしで実現できる。運用コストは1時間あたり約1万2千ドル(JRMマーズ飛行艇と消防用タンカーとして使用されたBe-200を基に推定)、HC-130J(1時間あたり6千ドル)とHH-60W(1時間あたり9千ドル)の運用コストの合計1万5千ドルに匹敵し、2万ドルを超えるV-22の時間コストよりはるかに低くなる(数字は、不完全だが方向的には正しい指標である国防総省の償還率に基づく)。US-2の機体単価は150百万ドル以下と予想されるが、ここまで高くなるのは、生産機数が非常に低いのが主な理由だ。HC-130Jコンバット・キングとHH-60Wジョリー・グリーンIIを合わせると、ほぼ同じ水準となる。1億ドル近いV-22は、HC-130とHH-60の両方の特性を兼ね備えるが、無給油航続距離が短いのが欠点だ。V-22の無給油戦闘半径は通常500マイルで、US-2の半径1,400マイルを大きく下回る。内部燃料タンクの追加で、V-22の戦闘半径は約1,000マイルまで広がるが、機体の内部容積が大きく失われるため、通常はこの構成で飛行することはない。空中給油を行えば、航続距離を伸ばせるが、コストが劇的に増加する。さらに、適切な給油機を適切な場所に適切なタイミングで配置する必要がある。さらに、V-22飛行隊は通常、戦闘捜索・救助任務の訓練や支援は行わないが、必要であれば実行できる。米国が1,000マイル超で自己完結型の外洋救助能力を望むなら、水上機を検討する必要があることになる。


水上機は決して安くないが、買わない選択は非常に高額な失敗になりかねない。F-16のパイロット訓練には約6百万ドル、F-35やB-2のパイロット訓練は約10百万ドルかかると言われる。互角の戦力を有する相手との戦闘では、航空機が失われ、パイロットは海上脱出することになる。パイロット回収には、経済的、道徳的な理由のほかに、別の議論もある。パイロットは、救助される可能性が高いとわかれば、積極的に攻撃するようになる。したがって、米国にとってパイロットの洋上救出は重要となる。


米軍と同盟国は、広大な太平洋上での戦闘航空作戦を考えるとき、水上機による戦闘捜索・救助の利点をよく検討すべきだ。エディ・リッケンバッカーやジョージ・ゲイなど、水上飛行機で命を救われた多くの過去の人々にとって、今日アメリカが救難水上飛行機を飛ばしていないと知れば驚くだろう。US-2が問題を解決できる。


試行を今すぐ始めるべき


米軍がUS-2を導入すれば、戦闘捜索・救助能力を即座に強化する以外に、水上機のユニークな特性を試す手段となる。水上機は万能ではない。すべての航空機同様に、水上機にも現実的な限界がある。しかし、滑走路が攻撃される想定の将来の紛争では、海上着水能力が重要要素になる。空軍特殊作戦軍団は、フロート付きC-130の実現に向け作業を開始しているが、時間と費用がかかる一方で成功の保証はない。これに対し、US-2は、今日、存在しており、機能している。US-2を調達すれば、米国はユースケースを改良し、水上機の最適用途、あるいは使用しないのがベストかを理解できる。


水上飛行機は、米軍がインド太平洋における課題、特に分散型作戦で特有の問題を解決する手段となる。US-2は捜索救助と海上偵察用途で設計されたが、遠く離れて展開する部隊への後方支援など、他用途の想像は難しくない。US-2のような水上飛行機は、通常アクセスできない場所に部隊を投入し、補給を続け、必要であれば撤収させることができる。US-2で無人航空機チームを前方の島しょに潜入させ、攻撃機の照準支援を行うシナリオもある。さらに、US-2は大量貨物を運ぶ設計ではないが、改造すれば、戦闘部隊の補給に役立つ。


上層部は、US-2を空中給油機に改造することさえ考えるかもしれない。給油機型は、船舶、あらかじめ設置された燃料ブラダー、他の航空機、または海に近い飛行場や燃料拠点から燃料補給できる。滑走路があれば、着陸できる。究極の未整備地である海面から前進させれば、攻撃機やその他の部隊の戦力投射が可能になる。ここまでの改良はすぐに必要ではない。当初は、最小仕様として、US-2はプローブ装備機に給油するだけにすればよい。ブームの搭載は、利点を多くもたらすが、作業は難易度が高い。


Figure 3: 米海軍の伝統色似塗装したUS-2が海軍海兵隊のF-35に空中給油する (image courtesy of Hangar B Productions).


C-130同様の空中給油ポッドを搭載したUS-2を考えてみよう。US-2は約6万ポンドの燃料を搭載し、前線基地から約600マイル飛行し、3万ポンドの燃料を降ろし、陸地に戻ってくる。これは、MQ-25スティングレイの2倍に相当する。さらに、US-2は、空母の格納庫もカタパルトも不要だ。別の言い方をすれば、US-2 1機でF-35C 4機の航続距離を40%、V-22 2機の航続距離を2倍に延長できる。


US-2のもう一つの可能性は、HC-130やMC-130(空軍の特殊作戦用C-130)のような役割で、救助任務や特殊作戦部隊の支援だ。救助部隊では、太平洋へのシフトの一環として、US-2とV-22のチームを追加した場合を分析する必要がある。この場合、US-2は空中う給油装備を搭載するか、ヘリコプターやその他車両の母艦として機能することができる。水上着陸ができれば、空軍特殊作戦司令部の説明のように、柔軟性が増し、統合部隊の司令官で選択肢を広げる。水上飛行機が提供する非対称的な能力の1つは、水面上で「待機」することがある。天候に恵まれれば、着水し、エンジンを停止し、乗組員が機内に残り、任務の支援や達成のため何日も待機できる。このようなコンセプトでは、水上飛行機の耐航性が重要視される。



Figure 4: 米空軍がUS-2を採用したらこうなる。低視認性塗装で特殊部隊作戦を支援する想定 (image courtesy of Hangar B Productions).


最後に、US-2は海軍のめざす海上偵察・攻撃複合体の一翼となる。P-8は統合軍に多くの能力をもたらすが、基本的には旅客機を改造した機材のため、運用には長い滑走路が必要となる。US-2には、武器搭載用のハードポイントや、対潜戦用のソノブイを展開するディスペンサーを取り付けることができるかもしれない。このようなアイデアは、前例がないわけではない。US-2の前身であるPS-1は、ソノブイと魚雷を搭載していた。また、着水後に船体からディッピングソナーを展開できた。US-2にも同様の改造を施せば、殺傷力の高い哨戒機となり、海軍は高い生存率と適応力を実現できる。


また、無人地上・無人水中機の整備・配備・回収能力も向上する。US-2のような水上飛行機は、前方地点に展開し、水中グライダーやその他車両を配備し、数週間後に回収し、データをダウンロードし、別の作戦の支援で戻ってくることができる。これにより、移動時間を大幅に短縮し、駐留時間が伸びる。さらに、海軍が無人装備品をより広範囲に展開し、かつ高速移動が可能になれば、敵の計画策定に不確実要素が増す。



Figure 5: 米海軍が哨戒用にUS-2を調達した想定で、VP-40のカラースキームを応用し、ソノブイ他センサーを搭載している(image courtesy of Hangar B Productions).



日米の絆強化にもつながる


US-2購入には、運用面や技術面に加え、外交的な側面もある。端的に言えば、日本が設計・製造した水上機を購入すれば、日米同盟がさらに改善される。2020年、日本は米国から200億ドル以上の武器を購入した。2020年7月、日本によるF-35戦闘機調達の要請230億ドルを承認し、過去2番目に大きな対外軍事売却となった。こうした購入が米国の雇用と国内産業を直接支えている。


新明和工業は小規模な会社であり、自衛隊はUS-2水上機を多数注文する余裕がない(実際には9機)。米国からの発注で、同社を良好な財務状態に保ち、日本経済を支える。日本製機材の調達は、唯一の現実的な選択肢である。現在、実用的な水上機を作るのは、日本以外に3カ国しかない。中国、カナダ、ロシアだ。ロシアや中国の水上機を購入するのは政治的に不可能であり、カナダの水上機はUS-2よりはるかに小さく、森林消火に最適化された機体だ。米国が太平洋作戦に最適な水上機を購入するのならば、US-2を購入すべきだ。最後に、日本製機材を買えば、技術革新は米国だけの独占ではないことが同盟国にわかる。


武器購入という切り口での外交は、決して新しいことではない。最近のAUKUS(豪・英・米)潜水艦の取引は、技術共有による外交力をあらためて浮き彫りにした。日本、インドネシア、マレーシア、インド、米国などの間で結ばれた武器協定に、US-2が含まれる世界を想像するのは難しくない。


中国との競争も考えるべき要素だ。中国の新型水上飛行機AG-600は、軍事と外交双方の機能を備えている。同機に関する初期の報道では、マレーシアとニュージーランドが性能に関心を示しているとある。また、中国が外交に同機を利用する可能性もある。米国は、敵国が設計した航空機ではなく、同盟国が設計による航空機を地域内パートナー各国に使ってもらいたいと考えている。


まとめ


米国は水陸両用機の国産設計を追求する一方で、既製品の採用も検討することが賢明だろう。捜索救助機材であれ、実験手段であれ、あるいは日米同盟に対するアメリカのコミットメントの象徴であれ、US-2を少量購入することにデメリットは皆無に近い。

現実的には、米軍は以下3つの行動を早期に起こすべきだ。第一に、日本から適切数の機材を購入するコストを検討し、そのコストと現在進行中の開発努力を比較する。第二に、US-2のような航空機を購入することで得られる相対的な有効性を、他の提案と比較して、各種方法で判断する。第三に、米国は海上自衛隊と限定的な交流プログラムを実施し、米国の能力が実用化される前に、飛行艇の運用経験を習得する必要がある。米国が最終的にUS-2を購入する意味がないと判断した場合でも、同盟国の能力と水陸両用機の能力全般について理解を深められれば、米国に有益な効果が生まれる。


米軍によるこうした行動では、同時に国務省等の政府機関による取り組みと組み合わせ、相乗効果を生む分野を特定する必要がある。米国は、限りある国防費を投入する用途として、これ以上に太平洋で好影響を与える選択肢がほかにない。US-2の購入は、墜落したパイロットや立ち往生した偵察チームに大きな意味があるかもしれないが、そもそも紛争を防ぐため重要な同盟関係を一層強化する報酬も生まれるのだ。■


A Japanese Seaplane Could Be the Difference-Maker for the US Military - War on the Rocks

DAVID ALMAN

NOVEMBER 4, 2021


David Alman is an officer and pilot in the Air National Guard. He holds a B.S./M.S. in aerospace engineering from the Georgia Institute of Technology. The views expressed here are his own and do not reflect those of his civilian employer, the U.S. Air Force, or the Department of Defense. The author has no financial interest in any seaplane development, although he admittedly would love to fly one. He is especially grateful to Adam Burch of Hangar B Productions for the artwork featured here.

Image: Hangar B Productions


2月25日-26日 キエフをめぐる戦闘が激化するも、ロシア軍の動きが鈍くなっている。空港の占拠が勝敗の鍵を握りそう。ウクライナ防衛部隊が必死の抵抗をしている模様。


 

Windobi

 

 

キエフへのロシア軍進軍が減速し、死亡者数が増えている

 

大量の砲火とミサイル集中発射にもかかわらず、ロシア軍のキエフ進軍がここに来て大きく減速している。ウクライナ軍の反撃のためだ。

 

ロシア軍は主要ポイントを一つも占拠できていない。

 

 

ウクライナ軍がキエフに通じる橋梁数カ所を爆破したため、ロシア軍は代替ルートを模索している。報道によれば、ロシア偵察部隊が郊外で戦闘を展開中で、ロシア本隊は市街地から50キロ地点のままだ。

 

しかし、キエフ中心部に近いオボロンObolon地区にロシア軍が到達し、中心部にも野砲やミサイルの命中弾があり、数日前に賑わっていた市街地も今やゴーストタウンの観がある。

 

ウクライナ国防省は国民向けに状況をネットで伝えており、ソーシャルメディアで火炎瓶の作り方を公開中で、首都をロシア軍から守れと伝えている。アレクセイ・レズニコフAlexey Reznikov国防相はビデオ出演し米国に対戦車兵器対空兵器をもっと提供するよう求めた。

 

「スティンガーや対戦車兵器がもっと必要だ」「ポーランドへ搬送してもらえれば安定した供給につながる。そこからは当方で陸送を手配し、前線に補充する」

 

ゼレンスキー大統領は25日金曜日夜に国民向けに「運命の分かれ目」の時が近づいてきた、ロシア軍がキエフへ進軍中だと告げた。

 

「夜間に状況が悪化し、敵は全部隊でウクライナ軍の抵抗を打破しようとしている」「ウクライナの運命がまさに今決まる」と述べ、ロシア軍が意図的に幼稚園初め民間施設を標的にしたと非難し、海外各国の一層の支援を求めた。

 

両陣営に死傷者が増える中、ロシア側損害が目立つ

 

ゼレンスキー大統領はウクライナ軍、民間で137名がこれまで死亡したとしたが、数字はロシア軍のキエフ接近で増えそうだ。ウクライナ国防省はロシア軍の1千名以上を殺害したと主張している。

 

未確認情報だがウクライナ軍がロシア軍用機を撃墜したとの報道がある。固定翼機7機、ヘリコプター7機で、さらに戦車装甲車両数両を撃破したという。オンライン上に出た映像ではロシア軍装甲車両と隊員が待ち伏せ攻撃で被害を受けてたのがわかる。

 

ロシア軍は否定しているが、親ロシア分離勢力はウクライナ東部でウクライナ軍ヘリコプター、固定翼機各2を撃墜したと主張している。

 

ウクライナ軍はキエフ南方25マイルにあるワシルキフVasylkivで空挺部隊を載せたロシア軍輸送機を撃墜したと発表した。この撃墜は米情報機関が確認している。空挺部隊隊員何名が乗っていたかは不明だが、同機は125名までの空挺隊員輸送に対応する。ロシア軍は同空港を占拠し、兵員装備品をさらに送り込もうとし、激しい交戦があったという。

 

ロシア軍はキエフからわずか4マイルのホストメルHostomel飛行場を占拠し、同地の滑走路は十分に長く、大型輸送機の運用も可能だ。同飛行場を抑えたロシアはキエフ近郊へ部隊を直接送り込めるようになった。だが、ウクライナ軍が反撃に出て同飛行場を取り戻したと主張している。

 

キエフ市内にも銃火器の発射音が聞こえるが、キエフ市長ウィタリ・クリチェコVitali Klitschkoはロシア工作員が潜入していると述べており、「敵は我が首都を屈服させ、こちらを殲滅するつもりだ」と述べた。

 

 

Kyiv Has Not Fallen: Russia’s War On Ukraine Is Not Going Very Well

https://www.19fortyfive.com/2022/02/kyiv-has-not-fallen-russias-war-on-ukraine-is-not-going-very-well/

 

BySteve Balestrieri

 

Steve Balestrieri is a 1945 National Security Columnist. He has served as a US Army Special Forces NCO and Warrant Officer before injuries forced his early separation. In addition to writing for 19fortyfive.com, he has covered the NFL for PatsFans.com for more than 10 years and his work was regularly featured in the Millbury-Sutton Chronicle and Grafton News newspapers in Massachusetts.



 

2022年2月26日土曜日

オデッサ港外で民間商船2隻(うち1隻は日本企業が運行)がミサイル被弾。ウクライナ国防省はロシアによる攻撃と断定。

 MILLENNIUM SPIRIT on fire

炎上するMILLENNIUM SPIRIT  MoD picture.

 


クライナ国防省は民間商船2隻がオデッサ港外でロシアによる攻撃に被弾したと発表。2隻のうち、ばら積み貨物船NAMURA QUEEN (IMO: 9841299)にミサイルが命中し、もう1隻のモルドバ船籍タンカー、MILLENNIUM SPIRIT にも少なくともミサイル一発が命中した。ウクライナ沿岸警備隊が生存者の捜索救難に出動した。


(NAMURA QUEENは愛媛県の船舶会社のパナマ法人が保有のようです)

 

ウクライナ国防省はNAMURA QUEENの船尾にミサイル一発が命中したと発表した。

 

同船はパナマ船籍で穀物輸送のため入港する途中だった。同船の一部機能で損傷が判明している。火災が発せし、消火タグボート出動が要請され、現場に到着した。今のところ状況は落ち着いている。

 

 

 

NAMURA Queen missile impactNAMURA Quennにミサイル命中の被害が見える。Ukrained MoD picture.

 

また、ウクライナ軍最高司令部は港から12kmの地点で被害を受けたMILLENNIUM SPIRIT」(モルドバ船籍)について以下発表している。。

 

国営企業「AMPU」のオデッサ港湾局長によると、ミサイルは12時10分、355停泊地に命中した。同船には600トンの重油と軽油が積まれており、火災が発生し、爆発すれば環境破壊につながる可能性があった。乗組員は海に飛び込み、救助を求めた。ウクライナ沿岸警備隊含む数隻がSAR活動に派遣された。現地時間午後2時15分、バンカー・タンカーは固定され、停泊した。

 

モルドバ共和国の海事機関は、MILLENNIUM SPIRITの事故に関し、以下の声明を発表した。

 

モルドバ共和国海事機関は、2月25日、黒海の中立海域(46 ° 22.221'N, 031 ° 07.095'E) にいたモルドバ共和国船籍MILLENIAL SPIRIT IMO Nr 7392610(石油タンカー)にミサイルが命中したと発表した(ミサイル発射元は不明) 船内で火災が発生し、設備や救命ボートが破壊され、乗組員は救命胴衣のみで脱出した。

 

モルドバ当局がミサイルの出所は不明と強調する一方、ウクライナ国防省はいずれの事件でもロシア軍を非難している。

 

ロシア黒海艦隊旗艦のスラバ級巡洋艦モスクワがオデッサの南約 70 カイリにあるスネーク島(Zmiinyi 島)沖で昨日目撃されていた。

 

モスクワは同島を占領し、ウクライナ守備隊13人を全員殺害する任務を負っていたようだ。この兵士たちは現在、「ツミイニィ島の英雄」として知られている。■

 

 

Two Civilian Vessels Hit by Russian Missiles Off Odessa - Ukraine MoD - Naval News

Xavier Vavasseur  25 Feb 2022

ウクライナ現政権が崩壊した場合の物資補給経路を慎重に検討する米軍。あらためてポーランドの重要性が浮上。その他黒海経由ルートも。

 

BBC

 

 

務省報道官は先週、ウクライナへの米国の支援は「ロシアの追加的な侵略があった場合は加速されるだろう」と述べ、ウクライナ政府が崩壊しても「防衛的な安全保障支援は継続する」かは説明しなかった。

 

 

ロイド・オースティン米国防長官は、ロシアが侵攻を拡大しても、ジャベリン対戦車兵器などのウクライナへの支援を継続すると約束したが、国防当局高官によると、兵站に関する議論が進行中だという。

 

米国当局は、外交、経済制裁、そしてロシアがクリミアを併合し、同国東部で流血の分離主義運動を煽った2014年時点と比べウクライナ軍の訓練と武装が進んでいると警告することで、ロシアへの抑止効果を図ってきた。2014年以来、米国はウクライナ軍の能力を高めるために27億ドル以上の安全保障支援を約束しており、2021年だけで6億5千万ドル以上が含まれている。

 

国務省のネッド・プライスNed Price報道官は先週、そ米国の対ウクライナ援助は 「ロシアの追加的な侵略があった場合には加速される」と方法論を説明することなく、述べ、ウクライナ政府が崩壊したとしても、「防衛的安全保障援助は継続される 」と述べた。

 

軍事支援は航空機でウクライナに運ばれてきたが、ロシアがウクライナ領空を支配したり、飛行が危険となれば、機能しなくなるかもしれない。水曜日、国防省高官は、兵站方法は定まっていないと認めた。

 

「支援にはさまざまな方法があり、航空輸送が不可能な場合に備え、別の方法を探っている」と、この高官は匿名条件で記者団に語った。「どのような支援であれ、必要に応じた適切なものであり、安全かつ効果的に行えるものであることを確認したい。

 

「侵攻後のシナリオでどのような支援ができるかを検討中で、そのメカニズムについて最終的な決定はまだだ」と同高官は付け加えた。

 

オースティン長官とウクライナのドミトロ・クレバDmytro Kuleba外相は、火曜日にペンタゴンでの会談で、米国の支援継続を協議した。

 

「長官は、ウクライナ軍に致死的および非致死的な支援を提供する方法を今後も模索すると明らかにした」と同上高官は述べた。「これは、ある種の正式な協定を制定するものではないが、長官も大統領が約束したように、ウクライナに致死的および非致死的支援を提供する方法を引き続き検討すると約束した」と当局者は述べた。

 

2月10日、オクサナ・マルカロヴァOksana Markarova駐米ウクライナ大使と大使館付き武官ボリス・クレメネツキー少将Maj. Gen. Borys Kremenetskyiは、デラウェア州のドーバー空軍基地を視察した。作業員がジャベリン・ミサイルのパレットをウクライナ行き民間機に積み込んでいた。1月22日にはカリフォルニア州のトラヴィス空軍基地でも、同様の貨物が民間航空機に積み込まれた。

 

在米ウクライナ大使館は、2月10日にフェイスブックで、「ウクライナの揺るぎない支援とウクライナ軍の防衛能力強化に対して、米国に感謝の意を表します」と述べた。

 

ウクライナの国防相オレクシイ・レズニコフOleksii Reznikovは、外国から援助が発送されるたびにツイッターで歓声を上げた。2月11日に「現時点での米軍援助の総重量は、1,300トンを超えた!」とツイートした。

 

ポーランドからヘルメットやグレネードランチャー、ラトビアやカナダからスティンガー地対空ミサイルなどの弾薬が続々と届くいていると発表していた。

 

ウクライナへの航空路が利用できなくなる可能性があるため、ポーランド=ウクライナ国境が注目されている。米外交官は、キエフやウクライナ西部のリヴィウを離れたあと隠れ家としてポーランドを利用してきた。

 

米軍は、2014年以降、ドンバス地方での戦闘を追跡する米軍監視員の安全な場所として、ポーランドを利用しており、ポーランド経由で部隊や装備を移動させてきた。

 

ポーランド当局者はウクライナへの軍事支援について公に話し始めたばかりで、自国が西側兵器の重要な中継拠点になるとの見通しは、ある当局者が言うように、非常に「技術的」かつ「繊細」な問題と認識している。

 

元米国国防次官補(ロシア・ウクライナ・ユーラシア担当)のエブリン・ファーカスEvelyn Farkasは、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国連にウクライナ上空の「飛行禁止区域」を承認してもらい、ロシアの空軍力を排除すべきだ、と述べている。そうしないと、西側からの援助は陸路依存となる。

 

「空路や海路ではなく、ポーランドを経由して陸路で来るというのが、私の推測です」とファーカスは言う。「しかし、ロシアがウクライナ上空を支配しているのであれば、それは明らかに問題です」。

 

2014年から2017年にかけて米陸軍欧州司令官を務めたベン・ホッジス退役中将 Lt. Gen. Ben Hodgesによれば、リヴィウが陸路または空路による武器輸送の拠点となる可能性があるという。短期的には、ロシアがウクライナ領空を支配したり、リヴィウ空港を破壊すれば重大なエスカレーションとは考えにくいとしても、ウクライナへの物資供給手段は他にもあるという。

 

「リヴィウまで輸送にあたる米軍部隊を現地駐留させたくなければ、契約企業車両でポーランドからリヴィウまで輸送すればよい」とホッジスは言う。「民間機でリヴィウに飛べばよい」。

 

黒海を補給路に使うには、隣接するトルコ海峡を支配するトルコ政府の了解が必要で、ロシアはその一部を実弾演習に使っている。しかし、黒海はドナウ川へのアクセスを提供し、ドナウ川にはウクライナの港が3つある。

 

ドナウ川については、「ある程度の能力はあるが、ロシアは破壊してくるだろう」とホッジスは述べている。■

 

 

 

Pentagon studying fallback supply lines to Ukraine in case of expanded Russian invasion

By Joe Gould, Sebastian Sprenger and Rachel S. Cohen

 Feb 24, 06:52 AM

 

About Joe Gould, Sebastian Sprenger and Rachel S. Cohen

Joe Gould is senior Pentagon reporter for Defense News, covering the intersection of national security policy, politics and the defense industry.

Sebastian Sprenger is Europe editor for Defense News, reporting on the state of the defense market in the region, and on U.S.-Europe cooperation and multinational investments in defense and global security. He previously served as managing editor for Defense News.

Rachel Cohen joined Air Force Times as senior reporter in March 2021. Her work has appeared in Air Force Magazine, Inside Defense, Inside Health Policy, the Frederick News-Post (Md.), the Washington Post, and others.



ウクライナ危機でロシアではなく、アメリカが悪い、と一般論に論点すりかえた環球時報の2月25日社説をご覧ください。

ウクライナは中国に微妙な意味があるためか、CCPは態度を決めかねている観がありますし、国連でも決議には棄権し、ロシアの側に完全に立っていません。一方で、米国の「偽善」をつく対米非難の論調を示しています。

 

ご注意 以下はCCPの立場を反映する環球時報英語版の論説を可能な限りそのまま日本語でお伝えするものであり、当ブログの主張ではありません。

   

Illustration: Liu Rui/GT

Illustration: Liu Rui/GT

 

クライナで劇的な変化が始まったが、キエフを守ると繰り返し約束し、事態の「火に油を注ぎ」続けた米国が再び脚光を浴びている。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は演説で、ウクライナは欧米諸国に見捨てられ、単独での防衛に委ねられたと訴えた。欧米のネチズンに、こう尋ねる人もいる。「ウクライナとともにある」と言った米国はどこに行ってしまったのか?

 

しかし、米国は本当に姿を消したのだろうか?それどころか、ウクライナの戦火から「戦略的利益」をさらに得るのに大忙しなのである。ホワイトハウスによるウクライナ情勢に関する最新発言は、2点を強調している。第一に、制裁措置などを通じロシアを「国際舞台での亡者」にする、第二に、NATOが「これまで以上に団結し、決意している」ことは 「良いニュース 」だとする。

 

ワシントンが手先として使うウクライナについては、米国は軍を派遣しないと繰り返した上に、「国を守るウクライナ国民を支援する」「彼らの苦しみを和らげるため人道支援を行う」とだけ述べている。ワシントンはまたしても、利己主義と偽善を世界に示した。人々は、アメリカがウクライナを火の中に押し込んだ後で、ウクライナを気遣うふりをして脇に立ち、「私はあなたを支持する、戦い続けろ!」と言ってきたのを見ている。

 

今日までのウクライナ情勢の推移は、地政学的な悲劇と言ってよい。最初から、米国の戦略的利己主義と近視眼の苦い結果だ。米上院がNATOの東方拡大計画を承認した1998年の時点で、米国の上級外交官故ジョージ・ケナンは今日の悲劇を予見していた。彼は当時、「この拡張は、建国の父を墓の中でひっくり返させるだろう」と言っていた。

 

しかし、傲慢なアメリカのエリート層は、常に危機から利益を得られると考える。長年、米国は紛争を煽り、海外から状況を操作し、利益を得てきた。コストかけず火に油を注ぐのが常套手段だ。米国が望むのは、目先の利益を得ることだ。米国は、最前線に追いやられた現地人の苦しみを全く考慮しない。真の危機が訪れると、当初の約束は、空虚な外交レトリックになる。米国の政治家は、現地人の苦しみに関心が皆無で、「人道主義」で注目を集めようとする。

 

昨年アフガニスタンの旧政権を放棄したとき、アメリカも何度もアフガニスタンに「人道的」支援を行うと言っていた。しかし、衝撃的なことに、いわゆるアメリカの「人道的」援助はアフガニスタン国民には提供されず、アフガニスタン中央銀行がニューヨークに預けていた70億ドルの凍結資金をアメリカが切り崩した。アフガン問題の犯人であるアメリカは、自国の戦略的利益を満たした後、現地人に「飢えと貧困の雪崩」を残しただけで、アフガニスタンでは何百万人もの子供たちが深刻な栄養失調に陥っている。

 

アメリカは人道、正義、道徳をしばしば口にするが、実際の行為は利害計算に基づくものである。ワシントンの戦略的利己主義と偽善的態度は、国際政治の現実の中で繰り返し露呈している。2001年9月11日以降、アメリカが行った戦争の直接の結果として、アフガニスタン、イラク、パキスタン、イエメン、ソマリア、フィリピン、リビア、シリアで、少なくとも3700万人が避難民となったとの報告がある。米国が「介入」するところ、紛争、混乱、テロが現れるという言い方さえある。

 

大国と呼ばれる理由は、徒党を組んだり、自己の利益を実現する力が強いからではない。国際平和を守る責任と能力である。自国の利益しか考えず、あちこちで火種をまき、他国に混乱を輸出し続ける国は、いかに強大でも、信用は失墜し、覇権が終焉を迎えるのは必定である。  

 

未だに幻想を抱いたり、米国の手先として行動する国・地域にとって、ウクライナ危機はあらためて困難な状況にあるときに「良い知らせ」を発表する「パートナー」は信用できないのを思い起こさせている。■


US' real strategic color of selfishness, hypocrisy revealed in Ukraine crisis: Global Times editorial - Global Times

By Global Times

Published: Feb 25, 2022 11:52 PM