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F-3は大型双発の「ゴジラ」になると見るオーストラリアの論評。英主導テンペストとの合流はあり得るのでしょうか。

 オーストラリアは違った見方をしていると感じました。テンペストは確かに気になる存在ですが未知数が多い機体です。F-3は各国のトレンドと異なる路線のようで輸出は期待薄でしょう。それともモジュラー化でダウンサイズ版があれば話は別ですが、まさかその想定はないでしょう。当方は戦闘機の大型化をかねてから提唱しておりましたので、この方針には我が意を得たりの気持ちが強いです。


 

 

型戦闘機開発で120億ドル(150億オーストラリアドル)は大金とみなされないが、製造規模わずか90機となると話は違ってくる。

 

日本にとって新型機開発に予算を投じ2030年代に備える以外に選択肢はなく、日本政府はF-X開発に乗り出した。

 

12月18日の防衛省発表ではロッキード・マーティン三菱重工業による開発業務を支援するとあるが、米英の別企業も推進系やエイビオニクスで協力する。F-Xが英国で進むテンペスト戦闘機事業とつながるのは確実なようだ。両事業の開発大日程はほぼ並行している。

 

これまでロッキード・マーティンとならびボーイングBAEシステムズの名が取り沙汰されてきた。

 

ただし、日本はロッキード・マーティンを選定し、同社はノースロップ・グラマンと三菱重工のF-X統合作業を手助けする。海外国の戦闘機開発ではロッキード・マーティンの関与した案件が一番多い。三菱重工とF-2開発で、韓国航空宇宙工業のKF-Xにも関与している。

 

開発費用の規模は公表されていないが、共同通信や東京新聞ではリーク情報として少なくとも1.2兆円(120億ドル)としており、韓国KF-Xの規模を上回るもののF-35開発費用が最終的に720億ドル(2012年度ドル価格)になる試算に比べれば相当低い。

 

問題はF-Xの生産規模がわずか90機の想定になっていることで、開発費用が各機に重くのしかかる。また大型機となり生産ラインでの学習効果が効果を上げるまで時間がかかりそうなので機体単価の上昇はさけられないだろう。また生産施設を長期間稼働させるためもあり生産ペースは遅いままにされる。

 

防衛省はF-2の後継機開発準備に10年超を使い、直輸入、海外事業への参画も含め検討し2018年に日本主導の開発方針を決めた。

 

この決定にはそれなりの理由があるとはいえ、最終的には機体単価の規模で評価されよう。日本としてはF-X開発の主導権は譲れず、米製戦闘機が輸出できない以上、日本は他国の都合ではなく自国ニーズを最上段におく仕様にせざるをえない。

 

F-35購入を増やすだけでは解決しない。日本がF-X実戦化に想定する2035年でF-35は供用開始から20年、フル開発から34年が経過しており、もはや新鋭機ではなくなる。

 

完成機材輸入では製造元が装備設定を仕切るのが困る。日本のように自国で兵装やセンサーを開発できる国は各種装備の統合で選択権を握っていたいと考えるものだ。

 

これまで日本は米機材を選択してきた。1960年代末にF-4ファントム、その後にF-15イーグルを導入したが、F-22は米側に拒否され、その後継機も輸出は想定されない可能性がある。

 

防衛省の内部検討の結論は一見実現が困難に見えた。大型双発機で相当の航続距離があり、長時間滞空できる機体が浮上した。

 

そのため防衛省の打ち出したF-XはF-22を上回る威容となる。まさく巨漢といったところで「ゴジラ」のニックネームを提案したい。

 

機体サイズの選択が重要なのは、大型機は開発費用も大きくなるからだ。日本としては提携国では同様の機体は製造してくれないと考えた。F-Xが統合可能な開発事業として英国のテンペストとフランス-ドイツ-スペイン共同開発の将来型戦闘航空システムがあり、後者はあきらかに真剣な検討対象ではない。ともに大型機で初期構想段階のままだが、サイズの縮小が容易に想像でき、日本としては今が動くべき時だ。

 

ただし、テンペストとシステム共通化すれば費用を節約できる。英国では多国間共同開発機材の不満足な成果の経験から、で長期交渉して共通仕様の決定したあげく不満足な機材とするより、モデルを提示し、これで十分とする他国だけに参加を持ちかけており、機体をそのまま必要としない国にもドアを開いている。これならゴジラにいい話ではないか。

 

例として日本は大型機体を製造し、エンジンはIHI製の他ロールスロイスを採用すれば、テンペストと共通化できる。実際にロールスロイスが同じ内容の提案をしており、日本が有する素材技術を活用できるとしている。

 

英日両国は高性能レーダー開発を共同で進めている。またMBDAのミーティアミサイルにアクティブ電子スキャンアレイを搭載する開発も共同で進めている。

 

構想設計の最終決定にはパートナーからインプットを待つ状態とはいえ、日本の国会は令和3年度予算に731億円の計上を認め、開発が本格始動しそうだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Japan going ahead with 'Godzilla' fighter jet | The Strategist


24 Dec 2020|Bradley Perrett


コメント

  1. >問題はF-Xの生産規模がわずか90機の想定になっていることで、開発費用が各機に重くのしかかる。

    F-15改100機の更新に、F-3改が採用されそうな気もします
    というか、そうなって欲しい

    返信削除
  2. もし、実際に製造までこぎつければ、後日追加配備の機会が幾たびかあるはずなので
    90機で終わる事は無いのでは?

    返信削除

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