2019年3月27日水曜日

航自が東シナ海上空へ緊急発進 中国海軍KQ-200対潜哨戒機と初遭遇

コメントは下にあります。


Japanese jets intercept Chinese anti-submarine aircraft, says Tokyo

中国対潜哨戒機に空自戦闘機が緊急発進と日本が発表


By: Mike Yeo    

KQ-200の機体番号からPLAN東方戦域司令部東海艦隊第一航空師団所属の機体と判明。(Japanese Defense Ministry)

国海軍の対潜哨戒機が東シナ海上空にあらわれ航空自衛隊戦闘機が緊急発進していたことが判明した。同型機ではじめての遭遇となった。
防衛省統合幕僚監部が3月23日発表し、中国の「Y-9」哨戒機の2機編隊に日本が戦闘機隊を緊急発進させたとある。公開された写真を見ると陝西KQ-200対潜哨戒・海上監視機で潜水艦探知用の磁気異常探知装備のブームが特徴だ。
防衛省が公表した地図では中国機編隊は沖縄西方200マイル、尖閣諸島の北を飛行とある。
中国機尾翼の機体番号から人民解放軍海軍第一航空師団所属と判明した。同師団はPLAN東海艦隊隷下でKQ-200を2018年から受領しており上海に近い大廠Dachangが基地といわれる。
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More on the 2x PLAN KQ-200/Y-8Q/GX-6 MPA intercepted by the JASDF on 20MAR. Serial of aircraft photographed (82014) shows it is from the 1st Naval Air Div. of the PLAN East Sea Fleet/PLA Eastern Theatre Command based at Dachang in Shanghai https://www.mod.go.jp/js/Press/press2019/press_pdf/p20190320_01.pdf …
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2018年4月撮影の衛星写真ではKQ-200が2機同基地に駐機しているのがわかる。今回の2機の飛行経路を防衛省が発表しており、それによると上海から出発し帰還している。
KQ-200はY-8Qとも呼ばれ、陝西Y-8、Y-9ターボプロップ輸送機を改装したものだ。一部は早期警戒機、電子戦機材、情報収集機になっている。
KQ-200にはMAD以外に機首に海上捜索レーダーをつけている他、機内前方に兵装庫がある、通信装備を強化している。
KQ-200は試作型が2011年に完成し、量産型は2015年に目撃されているが、PLAN南方艦隊の海南島への配備が2017年5月判明した。
PLAN北海艦隊もKQ-200を受領している。遼寧省土城子Tuchengzi に6機が配備されているのが2019年2月に判明した。
日本は防空識別圏に接近する外国軍用機を探知した場合、戦闘機を緊急発進させ随行させている。中国軍用機が対象の緊急発進回数はここ数年増加している。■

中国機の活動はすべて日本にお見通しということですね。それにしても今回も沖縄からの発進と思うのですが、機材の寿命を削られているのは心痛いものがあり、航空自衛隊の機材運用のストレスが高まるのは心配です。統合幕僚監部の発表資料https://www.mod.go.jp/js/Press/press2019/press_pdf/p20190320_01.pdf は無味乾燥でしたのでこの記事の解説は参考になります。上ツイッター書き込みでは3月20日のこととわかります。南西方面の自衛隊部隊にはご苦労さまと言いたいです。

主張 仏独共同開発による次期戦闘機事業は失敗に終わる

(コメントは下にあります)

Aviation Week & Space Technology

Opinion: Why Franco-German Fighter Is A Very Bad Idea

仏独共同開発戦闘機事業が失敗する理由

Mar 19, 2019Richard Aboulafia | Aviation Week & Space Technology
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ランス、ドイツ両国は65百万ユーロ(74百万ドル)の契約を先月調印し、共同開発戦闘機を次世代戦闘航空装備(FCAS)として最初の二年間分の実施にあたる。これまで半世紀に渡る実施形態からの離脱となる。ドイツは英国等と共同で戦闘航空機を製作し、フランスは独自開発の道を歩んできた。だが今回は英国のEU離脱がひきがねとなり、両国が同じ道を進むことで合意したのだ。
表面だけ見れば意味のある合意だ。ドイツ、フランス両国はエアバスの中核となっており、両国の軍がヨーロッパでは英国除けば戦闘機需要の大部分を占める。フランスの軍需産業は欧州最強である。ただ共同事業そのものに実は欠陥があり、この欠陥はかなり深刻なため同機開発そのものが立ち行かなる可能性がある。
まず、両国の外交政策、武器輸出の実態で方向性が異なる。ドイツは自国武器の購入者に注意を払う。BAEシステムズからユーロファイターのサウジアラビア向け第二次販売の発表が2月にあったが、サウジがイエメンで戦闘を展開しているためドイツは同国を独自に武器禁輸の対象にしている。


ドイツはエアバスA330-多任務給油輸送機、C-295輸送機、H145ヘリコプターの輸出も禁止している。退任迫るエアバスCEOのトム・エンダースは「エアバスにとってドイツが独自に販売禁止措置をとっていることで気が休まらない。フランスで生産したヘリコプターでドイツ製部品が入っているから輸出禁止といってくる」と La Tribune紙上で述べている。
外交政策の違いはBAEや英国にとっても問題だが、もっと影響を受けるのがフランスでありダッソーだ。このフランスの航空宇宙企業は輸出依存度が特に高いのは国内市場の規模が小さいためである。ミラージュIII/V、ミラージュF1、ミラージュ2000の各事業は輸出比率が65%にも達している。ヨーロッパ全体で生産したトーネードでは輸出は一国のみ、ユーロファイターでさえ輸出比率は24パーセントしかない。
フランス機の仕向先は大きく異なる。ミラージュF1の最大の顧客はサダム・フセインのイラクだった。アパルトヘイトの南アフリカ、カダフィのリビヤも主要顧客で、ラファールではアラブの春を経たエジプトが最初の導入国になった。ドイツならこうした各国に武器輸出を認めるとは到底考えにくい。
次に仏独共同開発とはいうもののフランス企業がめだつことだ。ダッソーが機体製造を主導し、同社はエアバスとの協力で良好な記録を残しておらず、エンジンはサフランが中心となるもののMTUに作業がゆくか不明だ。レーダー含むエイビオニクスではタレスが主契約企業になるのは確実だがここでもドイツ企業の参画ははっきりしない。
1980年代初頭にフランスは五番目のユーロファイター共同開発国になるや作業量46パーセント相当を要求したが当然ながら受け入れられなかった。
端的に言えば、FCAS事業に残る意味がドイツにあるのだろうか。わずか25パーセント相当の作業量に多大な経費負担の価値はあるのか。貢献度が小さいにもかかわらずフランスはドイツを招いて輸出ビジネスをわざわざ複雑にするのか。
2つとも解決不能かもしれない。だが欧州には次期軍用機の開発で協力の必要がある。上のグラフのように既存事業は受注量が減っていく。Saabグリペンおよびラファールは2020年代も大丈夫だが、ユーロファイターやA400Mは2020年代中に生産終了となる。Teal Group予測ではヨーロッパの軍用機生産は10年後までに6割超減少する。欧州の防衛産業は新規事業がないと大打撃を受ける。
解決は単純だ。FCASはブレグジットの悪夢から生まれた発作反応と見るればよい。ブレグジット問題が落ちつけば、歴史は普通のコースに戻り、イタリアやスウェーデンも加わるだろう。フランスについて言えば単独で事業を進めるのが良いことは歴史が証明しているとおりだ。■
Contributing columnist Richard Aboulafia is vice president of analysis at Teal Group. He is based in Washington.  
The views expressed are not necessarily shared by Aviation Week.

ヨーロッパがどんどんだめになっていく気がするのですが、こと軍用機に関する限りアメリカ製装備を排除したくて独自に開発するものの結果として非常に高価なのに使えない機体ばかり作っている気がするのですが。ヨーロッパの理屈でしか使えない機材を整備してそれでいいのでしょうか。そういえばF-35導入を主張しドイツ空軍制服組トップが更迭されていましたが、ヨーロッパ優先を唱える政治家の餌食になったのですね。

2019年3月26日火曜日

今の米国で中国、ロシアと同時に戦えるのか、日本はどう対処すべきか

ファーレイ教授は意外に日本が米国政策を支援しない可能性を想定していますね。ま、たしかに国際政治では大国の政策に盲従することは考えにくいので極めて現実的な認識でしょう。要は国益をどこまで認識しているかと言う問題ですが、日本が黙っていられない状況に国際貿易の自由が脅かされることがあり、この国の去就を握るのは海上交通路であることはどこまで理解されているのでしょうね。米国主導の国際秩序の維持には有志連合であり、共通の価値観を認識できる国家群が集結するしかありません。NATOに比べ、こっち側の状況は相当遅れているようです。



War Nightmare: Could America Fight Russia and China Simultaneously? 

ロシア、中国を相手の同時開戦はアメリカの悪夢か。

Let's find out.



国は誤解されがちだった「二方面戦」方針を2000年代末に放棄した。これは2つの戦域での継戦戦力の実現が狙いだった。北朝鮮へ抑止力をきかせながらイランやイラクのどちらかと戦う構想をもとに国防総省は調達、補給、基地配備の戦略を冷戦後に模索してきた。前提としてソ連の脅威が消えたことがあった。米国がこの考え方を放棄した理由に国際環境の変化があり、中国軍事力の台頭、テロリスト勢力のネットワーク拡大があった。
だがこの瞬間に二方面作戦を米国が強いられたら、しかも北朝鮮やイラン以外の相手の場合どうなるか。中国やロシアが協調し太平洋と欧州で同時開戦したらどうなるか。
政治協調
そもそも北京とモスクワが調整のうえ危機的状況を発生させ米軍に二方面で挑む事態は発生するのだろうか。可能性はあるが高くない。両国とも目指す目標が別であり自国の大日程がある。より可能性が高いのは一方が発生中の危機状況を利用して自国の権益を伸ばそうとすることだ。たとえば米国が南シナ海で動きがとれない間にモスクワがバルト海諸国に圧力をかけることだ。
いずれにせよ、戦火を開くのはロシアあるいは中国だ。米国は両方の地域で現状維持から利益を享受する側であり、政治目標達成には外交経済面の手段を選ぶのが普通だ。米国が有事に至る状況をつくれば、ロシアあるいは中国が引き金をひくだろう。
柔軟対応力


良い面は欧州、太平洋の戦闘に必要条件が重複することだ。第二次大戦事例のように米陸軍が欧州防衛にあたり、米海軍を太平洋に集中すればよい。米空軍は両戦線の支援役にまわる。
ロシアには北大西洋でNATOを打ち負かす戦力がないし、政治的にもこれを試す度胸はないだろう。つまり米国とNATO同盟国はロシアを海上で脅かすべく資源を割り振るればロシア海軍への担保とできる。米海軍は太平洋に主力を集中できる。戦闘期間や事前警告の有無にも左右されるが、米国は米陸軍装備を欧州に大量に運びこみ戦闘力を増強できる。
一方で空母、潜水艦、水上艦の大群を太平洋からインド洋に展開し、中国のA2/AD体制を崩し、中国の海洋交通路を狙い撃ちする。長距離航空戦力としてステルス爆撃機の投入が両方面で必要になるだろう。
少なくとも片方の戦域で可能な限り迅速に勝利を掴む圧力を米軍は感じるはずだ。このため米国は空、宇宙、サイバーの各領域の装備を重視して戦略的かつ政治的な勝利を確立し、残る装備をもう一方の戦域に集中するはずだ。欧州内同盟各国の軍事力を考えると米国はまず太平洋に中心をおきそうだ。
同盟関係
太平洋での米同盟国の構造は欧州と大きく異なる。欧州では一部同盟国の取り組み方に懸念が残るものの、米国としてはNATO同盟関係の維持を除けば欧州でロシアに対して戦闘を行う理由がない。もし米国が戦えば、ドイツ、フランス、ポーランド、英国が続くはずだ。通常戦シナリオの大半では欧州同盟国だけでも中期的にはロシアへ優位に立てる。ロシアがバルト海諸国を占拠してもNATO空軍力の前に相当の被害を受け占領地も長く維持できないだろう。この関連でUSN、USAFともに支援役にまわりロシア軍を打ち破る優位性をNATO同盟各国に確保する。米核戦力がロシアの戦術、戦略核兵器投入への担保となるはずだ。
だが太平洋で米国の状況はより困難だ。日本あるいはインドが南シナ海に権益を感じても参戦してくれる保証にならないし、中立に回る可能性もある。同盟国が戦列に加わるかは有事の個別条件で変わる。フィリピン、ヴィエトナム、韓国、日本あるいは台湾が中国の主要標的だ。残る各国は米国の圧力は別としても様子見にまわりそうだ。これにより西太平洋における優位性の確立が米国単独では課題になる。
結論
米国には同時に二方面で勝利することも可能だが、それにはロシアあるいは中国が大きな賭けに出てこないことが条件となる。米国にこれが可能なのは世界最強の軍事力を維持し、ずば抜けて強力な軍事同盟を率いているためだ。さらにロシアや中国による軍事課題がそれぞれ異なるため、米国は軍事力を一方に割り振り残りをもう一方に配分できる。


とはいえ、今の状況が永久に続く保証はない。米国も優位性を無期限に維持できず、長期的にはより慎重に対応策の選択を迫られそうだ。同時に米国が形成した国際秩序から世界有数の各国が繁栄を享受しているので当面はそうした各国を頼りにできる。■
Robert Farley , a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government.

2019年3月25日月曜日

★海軍、海兵隊のF-35稼働率が異常に低い状況をどう見るべきか

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The Navy's "Operational" F-35C Is Fully Mission Capable Less Than Five Percent Of The Time 米海軍の「作戦用」F-35Cで任務を完全実施可能な機材は5パーセント以下
A stunning deficiency in readiness rates for Navy and Marine F-35s calls into question whether the stealth jets can fight a prolonged conflict.
海軍、海兵隊のF-35稼働率が驚くほど低く長期戦に耐えられるのか疑問
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 20, 2019
33 MXS embarks with Navy F-35C fleet33RD FIGHTER WING/PUBLIC AFFAIRS—PUBLIC DOMAIN


しく入手したデータで任意の時間に戦闘投入可能な機材は海兵隊F-35Bで15パーセント、海軍F-35Cではわずか2パーセントと判明した。これは平均値であり、少なくとも二年間の実績をもとにしている。各軍で即応体制が問題となっており、2019会計年度末までに80パーセントとする目標の達成が困難になっている。
Project on Government Oversight (POGO)からF-35B、Cのミッション実施率データが2019年3月19日に公表された。元データは海軍航空システムズ本部(NAVAIR)が2016年10月から2018年12月に集計したもの。海軍がF-35Cの初期作戦能力獲得を宣言したばかりで、最初の戦闘部隊は2019年2月に編成されている。海兵隊はF-35BのIOCを2015年7月に宣言済みで、海兵隊戦闘攻撃飛行隊211(VMFA-211)がアフリカの角及び中東地区への投入を終えアフガニスタン、イラク、シリアで米F-35として初めて戦火の洗礼を浴びた。
「POGOから海軍に完全任務実施可能率を尋ねたところ、共用事業推進室からF-35全体で任務対応率は高いとの回答を得た」とPOGOの国防情報センター研究員ダン・グレイジアーが同団体のウェブサイトに記している。「この数字は各機に割り当てた任務で少なくとも一種類が何回実施できたかを見ており、同室からは補修部品不足が最大の要因との回答を得た」
POGO入手の数字はF-35BおよびC型の「コードワン」機体とも呼ばれる完全任務実施可能率だが驚くべき水準だ。海兵隊のF-35Bでは装備システムが全て稼働状態で任務全てを実施できる機体は2年間通じて25パーセントを上回ることがなかったことになる。ことに2017年10月には12.9%に低下し、2018年末には12から13パーセントに終始していた。

NAVAIR VIA POGO
NAVAIR VIA POGO

2018年6月までにロッキード・マーティンはF-35Bを合計75機納入しており、大多数を米海兵隊が受領した。仮に海兵隊が全機受領していれば2018年12月時点で完全に任務実行可能な機体は10機程度しかなかったことになる。これが作戦投入可能と公式に発表後3年の数字である。
F-35Cはもっと悪い数字だ。2年以上にわたり海軍は完全任務実施可能率が20%に達していない。2017年12月時点では連日一機もこの水準に達していない。一年後でも一桁のままだ。C型は28機しかないが、この数字から年間平均で完全状態で任務投入可能な機体は一機あるかどうかだったことになる。
データの信頼性は間違いない。2017年に米会計検査院報告書でF-35Bの完全任務実行可能機の比率は15パーセント未満と指摘していた。


GAO
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NAVAIRはミッション実施可能機比率を参照しがちで、部分的でも可能ならミッション実施可能と判定するが、これでさえ良い数字になっていない。F-35Bで40から50パーセントの間というところだ。F-35Cで2018年8月に一回だけ70パーセントに急上昇しているが説明がつかず、これを除外すればすべて50パーセント未満になっている。
NAVAIRがこうした低い実績を部品不足他の保守整備のせいにするのは理解できる。ペンタゴンのF-35共用事業推進室はメーカーのロッキード・グラマンとともに問題解決に必死になっており、関連経費含め管理状態にしようとここ数年奮闘している。機体単価は3型式すべてで下がってきたが、運用維持経費の上昇が止まらない。


さらにF-35ではクラウド上におくコンピュータ頭脳、自律型補給情報システム(ALIS、アリス)があり、これがうまく作動していない。このシステムで任務立案、整備作業を合理化し、自動診断と故障予測、その他重要な任務機能で大きな合理化を期待していた。ALISも任務実施可能機材比率低迷の一因になっており、実際に故障していないのに部品不良を知らせたり、機体が任務投入可能なのに不可能と示したりする


USAF
米空軍整備員がラップトップでALISと対話しながらF-35Aの整備を行う


「ALISの不具合解決には相当の時間を費やされ、応急措置が恒常的に発生している」とペンタゴンの運用試験評価部局DOT&Eが2018年度のF-35運用実績考察報告で指摘していた。「例としてALISが出してくる報告が誤りでNMC [Not Mission Capable] と飛行隊稼働管理 Squadron Health Management アプリで表示してきたりする。他方で別のアプリとして利用者整備管理システムCustomer Maintenance Management System,がありこれはミッション必要機能リスト(MEFL)をもとに同じ機体が運用可能と言ってくる」
また米軍が同時進行コンセプトで問題を悪化させたことが重要な点だ。これはF-35生産を増やし多数を調達しながら改修を繰り返し実施していくことを継続するもので、当初は経費節減につながる手法とされ、海軍海兵隊が導入した機材も統一した性能を有さず、定期的に整備施設に行き来し作業を受ける。旧式ミッションシステムソフトウェアを実装した機材で整備が困難となりALISにエラーも増える。旧型機材を最新の状態にする作業は費用対効果が高いとは言えなくなるかもしれない。
2019年3月初めにDefense NewsからALISの信頼性が低いあまり米空軍の教官パイロット、練習生パイロットがエグリン空軍基地、ルーク空軍基地でそれぞれALIS利用を2018年はじめに中止したと伝えていた。その数ヶ月前に空軍からシステムの補修用にMad Hatterと呼ぶ作業を開始下との発表があった。
「その目的はALISの補強だけではない」と空軍の調達トップ、ウィル・ローパーがDefense Newsに2018年2月に語っていた。「運用に当たる整備部門の業務効率を上げる目的もあり、作業がより楽しくなるはずだ」


GAO
ミッションシステムソフトウェアのブロックの違いを2018年2月時点で比較した表。改訂が多数あるので仕様上は数十種類もあることになる

こうした問題はF-35B、C型だけの問題ではない。米空軍のF-35Aでも同様の事態に直面し2017年年央時点で完全任務実施可能機材は32パーセントをやっと上回る状態だったとGAOがまとめている。空軍も総合ではなく部分的任務実施可能率を使っており、表面上は55パーセントに増やしている。
三軍ともに別々の任務効果Mission Effectiveness指標を用いており、F-35が担当任務を実施できる時間比率を示している。実際の対応率の情報はなく、完全任務実施、部分実施のいずれにせよ任務の割り振りで困難になっているはずだ。


GAO
A chart showing various readiness data on Air Force F-35As and Marine Corps F-35Bs during 2016 and 2017.

USN
F-35Cs in the hangar bay of a supercarrier.

空軍長官ヘザー・ウィルソンは同システムについて「空軍整備部門でこれから生まれる女児にアリスの名前はつかないのでは」と厳しいコメントを空軍協会主催の航空戦シンポジウムで同月に放っていた。

SECAF Heather Wilson hits ALIS, F-35 maintenance system, with wicked crack: “I can guarantee that no Air Force maintainer will ever name their daughter Alice.” #AWS19


だが保守整備、部品不足、ALISあるいはその同時発生だけが原因なのだろうか。F-35Cだけみれば少数の機材がテスト、訓練にあたるだけで、POGO入手のデータでどうしてここまで低い率になったのか理解に苦しむ。IOC宣言をするべくなんらかの操作があったのか


USNC
F-35B in vertical landing mode.

真の原因がなんにせよ、F-35BとC型の任務実行可能率が特に悲惨な状態であり、海軍、海兵隊の航空戦力全体に影響しかねない広範かつ深刻な傾向を表していないか。2018年初頭に海軍が設定した海軍航空部隊Naval Aviation Enterprise (NAE)の総合任務実施可能率は海兵隊も含め実績は30パーセント近くあった。望ましい水準は73パーセントだった。
だが上記目標と実績は1998年以来低下の一途である。NAVAIRによる支援取組姿勢の変更が海軍海兵隊の固定翼機回転翼機の任務実施可能率を15パーセント変化させた。2010年に海軍と海兵隊は稼働可能基本機材Ready Basic Aircraft の新分類を開始し、一応投入可能な機材をこれであらわすことし任務実施体制をよく見せる効果をねらった。


USN
A chart showing mission capable and full mission capable rates across the entire Naval Aviation Enterprise (NAE) from August 1998 to August 2017.

冷戦終結後の要因が全般的低下傾向に関係している。2011年の予算管理法で自動的な予算カットが2013年に開始され、強制削減として知られ、かえって状況を悪化させ、各軍は予算の制約の中、どの装備を後回しにするか厳しい選択に迫られた。ここで判斷を誤った事で米軍全体で問題はさらに悪化し新装備調達を優先する余り、訓練、整備、補給、稼働状態が犠牲にされた。
近年ではもはや危機的状況にまでなっており、一方で人命事故も発生している。これで当時の国防長官ジェイムズ・マティスも2018年9月に海軍、海兵隊、空軍に対して「必須航空機材」としてF-35各型式含み任務実施可能率を2019年度末に80パーセント以上に引き上げるよう命じるに至った。
F-35で2019年9月30日までにこの水準に引き上げるには奇跡が必要で、完全任務実施可能率の代わりに部分的実施可能率にしても変わらない。ALISによる整備問題が残る中で事態はむしろ悪化の可能性がある。

LOCKHEED MARTIN
From left to right, the F-35C, F-35B, and F-35A.

これが解決してもF-35の飛行、整備に関連する経費問題の解決にはならない。JSFの運用補給面の要求水準が第4世代機より総じて高いため、ステルス機の大量運用は困難との懸念が生まれている。この恐れは特に海兵隊で強く、F-35Bがゆくゆくは唯一の運用機材になるためもある。POGO入手のデータとその他出所のデータを合わせると少なくとも近い将来にこの危惧が現実になりそうだ。
海軍に続き空軍も第5世代機、第4世代機を混合運用する構想を勧めている。このため海軍では高性能のF/A-18E/Fスーパーホーネット改良型を導入しており、F-35Cと一緒に運用する。ペンタゴンのコスト分析専門家の意見により空軍ではF-15X高性能版イーグルを導入してF-35Aの不足を補おうとしている。

USN
F-35Cs over NAS Lemoore in California.

また現状のままだとF-35部隊は長期戦で性能を発揮できないのではないかとの懸念も残る。海兵隊で7機の投入が必要な際に完全に任務遂行可能なのは一機しかない状態でハイエンド、ハイテンポの作戦の場合海兵隊で何機が満足に作戦投入できるのか。さらにF-35には搭載する各システムの機能を「融合」しシナジー効果を期待する。機体の一部システムしか任意の時間に機能しないと効果が大幅に落ちる。
このまま放置すればF-35B、C型で実戦投入した際の効果に疑問が残ったままとなる。これから出るデータは共用打撃戦闘機三型式の実際の性能に関する疑問の解消にはならないだろう。


任意の時間に任務を完全実施できないのなら紙の上で性能を論じても意味がない。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com


F-35が万能の切り札だと信じ込んでいませんか。
との機種でも導入初期にトラブルが多いのはよくあることですが、F-35の場合は問題のタチが悪いこと、一向に戦力化できていないことが大きな問題です。さらに記事に指摘あるように生産はしたもののアップグレードが追いつかない状態はこれからも続く悪夢でしょう。
西側世界の防衛を今後30年も背負う(これは無理でしょう)期待の同機が逆に西側の防衛体制を骨抜きにしてしまう...この危惧を以前から感じていましたがますますその感を強めています。

フィリピン空軍に自衛隊UH-1予備部品を大量寄贈


日本もずいぶんと太っ腹ですね。最もUH-1は次第に姿を消すので交換部品のストックも過剰になっているのでしょうか。それはともかくフィリピンへの協力が安全保障上でどんな意味を今後生むのか、途上国ではよくあるのですがせっかくの装備も維持できず宝の持ち腐れにならないよう願うばかりです。部品がなくて機材がフィリピンでも使えず無駄になっていたようですね。持続可能な維持整備が必要で機材価格分しか支払わないとこうなります。日本の安全保障協力も告諭財産処分のルールが緩和されたようですが、小規模からはじめて次第に実績を作っていってもらいたいものです。つぎはP-3Cでしょうか。そういえばマレーシアの話しは聞こえてきませんね。ASEANにはまだまだ日本が提供できる協力がありそうです。

Spare parts donation from Japan to boost PAF Huey fleet

日本からの部品寄贈でPAFのヒューイ部隊の実効性があがる

本からのUH-1H『ヒューイ』ヘリコプターの予備部品寄贈でフィリピン空軍(PAF)は同機をまもなく稼働再開できることになる。
この点をUH-1用予備部品および整備装備の日本政府からの引き渡し式典でPAF司令官ロザノ・ブリゲス中将が強調した。
「予備部品の供与を受け、ただちにUH-1を2機再就役させられるようになり、残りの部品も今年中に納入されれば最大5機のUH-1が完全稼働状態になる」式典はパンパンガ州クラーク航空基地で開かれた。
対テロ戦や国内治安維持に酷使されるUH-1で予備部品を入手できPAFは有益に活用できるとブリゲス中将は述べた。PAFはヒューイを20機ほど運用中といわれる。
「日本国の寄贈はわが部隊の能力向上の一助となる。今回の恵みを与えた神と関係者に多大な恩義を感じる。その中に最高司令官たる大統領ロドリゴ・R・デュテルテ、国防長官デルフィン・ロレンザナ等がある。とくに日本政府にはPAFへの信頼、支援を継続いただき感謝している。
「頂いた予備部品でPAFは引き続きミッションに精進したい。我が国の資源は限られているが限界に挑戦し、より良い装備でもっと多くの任務をこなしたい。空軍のミッションでより高い目的を達成したい」
PAF広報官アリスティス・ガラン少佐によれば予備部品は3月11日フィリピン入間基地で引き渡された。さらに正式な引き渡し調印式が翌12日に防衛省でフィリピン国防長官補レイムンド・エレファンテ臨席のもと行われたという。
今回寄贈の予備部品には機体構造部品、発動力関係、制御系、ローター、油圧部品、電装部品、計器他を含む。
カラン少佐は第一期部品はC-130で輸送し、残りはフィリピン海軍艦船が今年8月までに運ぶと説明。
ロレンザナ長官は日本政府による寄贈は53億円相当とし感謝の念を伝えた。
「UH-1H用予備部品及び保守管理装備がそろいフィリピン空軍は格納庫に眠る『ヒューイ』機材を再稼働できる。UH-1Hで飛行可能機材が増えることでわが軍の戦力は向上する」
国防長官は日本の余剰防衛装備品を受領するのはASEANではフィリピンがはじめてとなったとも述べた。
「さらに比日両国の防衛同盟関係ならびに密接な提携が今後さらに伸びるよう祈念する」
引き渡し式典により2017年の両国合意が実現した。同年に防衛省がUH-1の余剰部品整備装備のフィリピンへの寄贈を伝えていた。■
(PNA)
By Priam Nepomuceno  March 19, 2019, 4:08 pm


2019年3月24日日曜日

シャナハン長官代行の倫理問題とF-15X導入は無関係? 産業基盤保護が動機と説明するDoD

この記事のとおりだったのか信じる信じないは自由ですが、産業基盤保護という言葉が出てくる米国の官庁はDoDぐらいですかね。かつては日本の産業政策を批判していたのが米国だったのですが....

Shanahan Ethics Agreement Out; How The F-15X Decision Was Made

シャナハン長官代行の倫理問題、F-15X選定の内幕

The Air Force wants more planes - and believes it has found a way to get them. 機数を増やしたい空軍が解決策を見つけたのか

By COLIN CLARKon March 22, 2019 at 7:33 PM
ンタゴンが発表した新規倫理規定によりパトリック・シャナハン国防長官代行はボーイングに一切関われなくなった。この措置はDoD監察総監からシャナハンの倫理違反嫌疑を捜査中と発表したのを受けてのこと。
ボーイングF-15X戦闘機導入で国防総省の決定にシャナハンが関与していたのかをめぐり論議が盛んだが、もともと同機は空軍が当初希望していなかった機材で、ボーイングの競合相手ロッキード・マーティンのF-35の継続調達を計画していた。
国防関連高官はシャナハンは同機導入で決定的な役割は何ら果たしていないと述べ、あくまでも決定は当時の国防長官ジム・マティスあるいはコスト評価事業(CAPE)室によるものと本日報道陣に述べた。同高官によればシャナハンはF-15X導入過程から「除外」されていたという。
本日の記者会見はペンタゴンの戦略的決定過程の内幕を覗き見る貴重な機会になった。発足9年目のCAPEでの審議内容が話題になるのも珍しい。その前身、事業分析評価室(PA&E)も同様であったが。
同高官はF-15導入の決定過程を簡潔かつ正確に紹介してくれた。それを聞いて2つの段階があったと判明。まず、2017年に議会への報告で米軍戦術機材で兵装を大量搭載可能な第四世代機とステルス機の混成編成が必要との指摘があった。第四世代機は基地、本土防空用の想定とともにスタンドオフ兵装機としてF-35から標的情報を入手して運用し、混成運用は2030年代にかけ必要という内容だった。
決定ではコストが重要要素だった。機体単価より維持運用費用が重視された。F-15Xは運用経費が低い。機体単価は大きな差はないといってよい。同高官によればCAPE試算でF-15Xは90百万ドルで、F-35Aはロット11で89.2百万ドル、さらに80百万ドルまで下がると事業担当部門とロッキード・マーティンは確約している。
もう一つは国内産業基盤の維持だった。第四世代機にはF-16もあるが、同機はロッキード・マーティンが生産しており、決定では産業基盤に競争状態を残すことを重視した。トランプ政権が重視する国内産業育成が決定に影響したのか尋ねると、同高官は「それは承知していない」と答えた。CAPEは前身時代から国内産業基盤維持を重視して決定してきた。
F-15X選定過程を簡単に言うとこうだ。予算案原案が8月末に届いた。9月中旬に第四世代機導入を提言。10月中旬までに空軍はデータを精査し、「分析結果に賛成した」(同高官)
先月の空軍協会冬のカンファレンスで記者は航空戦闘軍団司令官マイク・ホームズ大将に第四第五世代機混成編成が意味がある高層化聞いてみた。

「ACC司令官としてほしいのはもっと多くの新型機だ。機材の平均機齢の上昇を解決の必要がある」とホームズ大将は答えたがF-15Xは新型機材とは考えていない、予算対策でしかないと述べていた。「F-35を飛ばすほうが第四世代機より高くつく」と述べた。それで答えがわかるだろう。■