2025年8月14日木曜日

米海軍は太陽電池ドローンを73時間連続飛行に成功(Task & Purpose) — 長時間の滞空能力と相まりバッテリー補給の難題も解決できる太陽光利用は軍民双方で歓迎されるはずだ

Skydwellerは連続飛行73時間を含む合計220時間を飛行した。長時間監視用に開発された同ドローンは、太陽電池だけで長時間飛行が可能だと技術陣は考えている

The Navy, in partnership with Skydweller Aero, recently achieved continuous solar-powered unmanned flight during a nonstop three-day test from Stennis, Mississippi. Led by the Naval Air Warfare Center Aircraft Division (NAWCAD), the test of Skydweller UAS marks a significant advancement in both long-endurance solar-powered UAS technology and its potential to enhance maritime intelligence, surveillance, and reconnaissance (ISR).

米海軍は情報収集、監視、偵察任務における新世代の長時間滞空太陽光発電自律型航空機技術の試験でドローンを3日以上連続飛行させた。米海軍


以下は航空機の新技術も扱うターミナル1と軍事航空を扱うターミナル2の共通記事です

海軍は無人ドローンを 連続73時間飛行させ、昼間は太陽光で機内バッテリーを充電し、地上に戻ることなく夜間も飛行を続けた。

海軍航空戦センター航空機部門の関係者は、悪天候のために地上での休憩を挟みながら、ミシシッピ州沖で スカイドウェラーSkydwellerドローンを合計 220 時間、つまり 9 日以上飛行させた。このうち1回の最長飛行時間は 73 時間、つまり 3 日間に及んだ。技術陣は、同機はさらに長時間の飛行が可能だと考えている。

「この地域では、飛行範囲と天候の制約が相まって、それ以上の飛行は不可能でした」と、同部門のドローンプロジェクトマネージャー、ビル・マッキオーネは述べている。

炭素繊維製のスカイドウェラーの 電気プロペラエンジン4基は、太陽から動力を得る。ドローンの翼幅はボーイング 747 と同程度だが、機体重量は 5,620 ポンド(約 2,540 キロ)で、フォード F150 ピックアップトラックに匹敵する。

昼間飛行中は、機体表面のほぼすべてを覆う太陽電池パネルがエンジンを駆動し、余剰電力をバッテリーに蓄積する。バッテリーは夜間のエンジン駆動に電力を供給する。

海軍の7月のテスト飛行は、太陽電池式ドローンが昼間に十分な電力を生成・蓄積し、夜間飛行を可能にするため、「太陽周期に近づける」ように準備された。

今回の同機のテストは、複数日にわたる飛行を記録した初めての事例ではないが、以前の長距離飛行には乗員が搭乗していた。スイス製機体は以前、2人のパイロットを乗せて2016年に複数回に分けて世界一周飛行を成功させた「Solar Impulse」として飛行していた。しかし、パイロットなしで3日間飛行した点は、貨物搭載能力のない純粋な飛行実験機として設計された他の全太陽電池式航空機、例えばエアバス製のゼファーSと同等の性能を示している。その機体は、陸軍が監督する試験飛行で2022年に26日間の飛行に成功している。

マッキオーネは、スカイドウェラーは最終的にそのような航続距離と滞空時間を達成できると述べた。

「潜在的にはさらに長く飛行可能だった可能性があり、それが現在取り組んでいる試験の重要な部分です」とマッキオーネは説明した。「次に、より広範な運用領域での飛行試験を実施し、模擬艦船に搭載したセンサーの性能を複数日間の作戦中に追跡する試験を行う予定です」

海軍は、国防総省の広範な関心事項の一環として、連続した情報収集、監視、偵察ミッションの持続時間を延長するプラットフォームを探るため、スカイドウェラーの実験を進めている。マッキオーネは、スカイドウェラーは「特定の地域上空に滞空し、いわゆる『擬似衛星役割』で監視を続けることができる」と説明している。

一方、国防総省は衛星技術の利用を拡大し、MQ-9Aリーパードローンや空軍のRQ-4グローバルホーク機のような長距離無人航空機を情報収集任務に継続して使用しているが、マッキオーネはこれらの高価なシステムは「毎日の通勤に高価なレースカーを購入する」ことに例えた。スカイドウェラーは購入コストが低く、戦闘指揮官の指示による任務に飛行可能だ。

「このようなプラットフォームは、現地指揮官に持続的な任務に対する直接的な制御を可能にする潜在的なメリットがあります。当然ながら、宇宙プログラムと比べれば、航空機は根本的にはるかに低コストです」とマッキオーネは述べた。

防御措置を一切備えないスカイドウェラーは、他の技術を置き換えるのが目的ではなく、現地指揮官に監視・偵察のためより安価で直接的なオプションを提供することを目的としている。

「貴重な資産を優先任務に集中させることができます」とマッキオーネは述べた。「この場合、この資産は継続的な監視を実行し、指揮官は指揮下にある迅速な対応能力を持つ資産を、このプラットフォームで特定または維持される関心対象の目標に対処し、攻撃するよう指示できます」。

最新の飛行試験に先立ち、マッキオーネは、Skydweller Aero Inc.が国防総省研究開発担当次官室と締結した技術開発契約に基づき、16時間と22.5時間の飛行試験を実施した。2020年、海軍航空戦センターは、海軍の発表によると、南方方面米軍司令部の作戦上の課題(薬物密輸や国境安全保障など)に対応するため、スカイドウェラーのテストを開始した。

南方方面米軍司令部の関係者は、テスト結果について「長時間の滞空が可能な自律型プラットフォームが、当司令部の責任区域の深部でより運用可能になれば、運用コストを低減しつつミッションの利益をもたらす可能性が示された」と述べた。

これらの試験飛行は、議会承認の研究プロジェクト「COLDSTAR」の一環として実施された。このプロジェクトは、南方方面のような自律型航空機や「数週間から数ヶ月間滞空可能な高高度気球」などの監視・偵察能力の開発を目的としている。Skydweller Aero Inc.の発表によると、これらのシステムは「高高度での長期滞空が可能な」特徴を有している。

再生可能エナジー

スカイドウェラーは、陸軍が最近のバッテリー駆動ドローン演習で発見したように、他の電気動力システムが直面するバッテリー交換や充電の継続的な問題解決に役立つ可能性がある。

非太陽電池式ドローンの動力源となる数千のバッテリーを輸送することは、物流上の大問題だと、陸軍研究所の電力・推進研究担当プログラムマネージャーであるマイク・クォン博士は2020年の発表で述べた。

「エナジー需要の管理方法を解決しない限り、人工知能や機械学習を活用した他の先進技術は陸軍にとって無意味になる」とクォンは述べた。「数百機の無人航空機(UAV)のバッテリーを交換し、数時間かけて充電する余裕は戦場にはない」。

燃料ではなくバッテリーに依存する新技術での電力供給の限界は、将来の紛争を想定する中で、各軍が検討している課題だ。2022年国家防衛戦略(2022 National Defense Strategy)は、国防総省が「エナジー需要の削減を優先し、紛争地域や過酷な環境での物流要件を軽減する効率的でクリーンなエナジー技術の導入を追求する」必要性を明記した。以来、各軍種は紛争地域での電源供給手段として、モバイルマイクログリッドや電気自動車など、多様な再生可能エナジーオプションを検討してきた。

マッキオーネは、太陽電池式ドローンは悪天候や出力の制限により、ジェット燃料式プラットフォームに比べて移動速度が劣ると指摘しているた。

新たなシステムでは、バッテリー寿命を最大限に活用するスキルを持った兵士が不可欠となる。

「地上管制ステーションの操作要員は、エナジー管理に重点を置いています。これは太陽電池プラットフォームでは別途管理が必要な分野です」「これは燃料量に相当します」と言う。「通常の航空機を見て『燃料はどれくらい残っているか?』と考えるのと同じです」。■


The Navy flew a solar-powered drone for 73 hours straight

In all, the Skydweller flew 220 hours, including one 73-hour flight. Built for long-duration surveillance, engineers think it could in the air longer on solar power alone.

PATTY NIEBERG

AUG 5, 2025 1:55 PM EDT

https://taskandpurpose.com/tech-tactics/navy-flies-solar-drone-73-hours/

パティ・ニーバーグ

シニア・スタッフ・ライター

パティはTask & Purposeのシニア・スタッフ・ライターです。5年間軍事報道に従事し、ハリケーン時に国民警備隊に同行取材し、アルカイダ容疑者のグアンタナモ湾裁判を報道しました。

 

海軍の無人給油機の開発が再び延期(Defense One) — ボーイングでとくに開発遅延が目立ちます。固定価格制度のため同社の損失は増える一方ですが、大丈夫でしょうか

 This isn’t going away anytime soon: one F/A-18F Super Hornet refuels another above the USS Ronald Reagan in the Pacific Ocean, July 3, 2024.

これは当分続く:2024年7月3日、太平洋上空でF/A-18Fスーパーホーネットが、別の機体に空中給油を行う。米国海軍 / 2等通信専門士 ティモシー・ディマル

  • 予算文書によると、初期運用能力の達成が2027年に延期された。

  • 海軍の新型無人給油機は2027年まで完成しない—設計と生産の問題に直面するプログラムでさらに遅延が加わっている。

MQ-25スティングレイは当初、初期運用能力を2024年に達成する予定だったが、その後2026年に延期された。だが新しい予算文書によると、日程は再度延期され、2027年度第3四半期に設定されている。海軍当局は延期を確認したが、海軍もボーイングも理由を明かしていない。

予算文書によると、初期運用試験評価(IOT&E)も1年延期され、2028会計年度の第2四半期から第4四半期に実施される予定だ。通常、この試験はIOC宣言前に実施され、配備前に生産に近いシステムで試験を行う。しかし、海軍はこのプログラムでは試験終了前にIOCを達成できると述べている。

「MQ-25Aの初期運用能力は、MQ-25対応空母に展開可能な3機の航空機、訓練を受けた要員、および装備品で定義されます。MQ-25Aの初期運用試験・評価はIOCに依存しません。艦隊は、すべてのIOT&E目標を完了する前にIOC要件を満たす可能性があります」と当局者は述べた。

声明でボーイングは質問への回答は海軍に委ねたが、今年後半に初飛行を実施し、2026年に最初の航空母艦飛行を行う予定だと述べている。

海軍は、ボーイング製無人給油機が、現在任務を遂行している海軍のF/A-18スーパーホーネットから空母航空団の給油任務を引き継ぐことを計画している。このドローンは、情報収集、偵察、監視(ISR)任務も行う予定だ。

海軍は、MQ-25が攻撃機の航続距離を延長し、空母搭載ドローンの導入を可能にすると主張している。

しかし、このプログラムは数々の問題に直面してきた。製造上の問題が遅延を数回引き起こし、ボーイングは固定価格契約締結後に重大なコスト超過に直面した。また、MQ-25を含む軍事プログラムに従事する労働組合員が提案された労働契約を拒否したため、同社のセントルイス工場でストライキが迫っていることも、プログラムに影響を与える可能性がある。ボーイングのケリー・オルトバーグCEOは火曜日、MQ-25プログラムが今年中の初飛行を前に地上試験を開始したと発表しました。

しかし、海軍当局者は既に警告しており、2025年までに飛行させるためには「膨大な作業」が必要であり海軍とボーイング双方は事前飛行試験で見つかる「障害」を排除する必要があると指摘している。

海軍の現在の予算要求では、最初の3機の低率初期生産機を1機あたり$161.5百万ドルで購入するよう求めている。海軍は合計76機のMQ-25を購入する計画だ。■


Navy’s drone refueler delayed again

Budget docs reveal that initial operating capability has been pushed to 2027.


BY AUDREY DECKER

STAFF WRITER

JULY 31, 2025


2025年8月13日水曜日

英空軍のF-35が前例のない日本空母への着艦を実施した(National Security Journal)

ANN 

日本のメディアは相変わらず自分勝手な機種名称で報道していますね


主要ポイントと要約 – 同盟国の海軍力の威力を示す重要な出来事として、英国のステルス戦闘機 F-35B が、日本の空母「かが」に初めて着艦した

-この歴史的な出来事は、米国、英国、日本の 4 隻の空母による 9 日間にわたる多国籍演習「ハイマスト作戦」の中で起こった

- 中国との緊張が高まる中、この大規模な相互運用演習は、NATO とインド太平洋のパートナー諸国間の軍事協力の強化を実証するものだ

- また、新たに導入した F-35B 艦隊と改良型軽空母を運用可能状態にする上で、日本にとっても重要な一歩となる。

英F-35Bが日本の空母に初めて着艦し歴史的瞬間となった

英国の F-35B が初めて日本の航空母艦に着艦し、中国との緊張が高まる中、英国海軍と海上自衛隊(JMSDF)の相互運用性が新しい段階に入った。

この歴史的な着陸は、フィリピン海北部で実施された9日間の多国籍演習「Operation Highmast」の一環として、JSかが艦上で実施された。ハイマスト作戦は、イギリス海軍の2025年グローバル空母打撃群展開で、HMSプリンス・オブ・ウェールズを旗艦に、地中海からインド太平洋地域にかけての演習に参加する多国籍海軍・空軍部隊を率いている。

訓練には、かが、プリンス・オブ・ウェールズ、ジョージ・ワシントン、アメリカという空母打撃群4庫に加え、ノルウェー、スペイン、オーストラリアの軍艦が参加した。

かが、プリンス・オブ・ウェールズ、アメリカは短距離離着陸・垂直着陸可能なF-35Bを運用した一方、ジョージ・ワシントンは空母搭載型のF-35Cを配備し、ステルス戦闘機の海軍型全機種が訓練に参加した。

訓練には、対潜水艦戦、協調した対空防衛、海上での艦船補給・給油が含まれ、同盟国が戦闘展開時に緊密に協力し、資源を共有する準備が整っていることを確認した。

日本は今月、計画中の42機のうち最初のF-35Bを受領しました。これらの機体は、かがと姉妹艦いずもから展開される予定です。

両艦は現在、ヘリコプター駆逐艦から完全な能力を備えた軽空母への大規模な改装中だ。しかし、日本が自国の空母航空戦力の専門知識と経験を蓄積するまで、米国や英国とのこのような共同訓練は、技能の向上と準備態勢の確保のために不可欠だ。

訓練には、同盟国の艦船から出撃した米海兵隊のF-35B戦闘機とMV-22オスプレイも参加し、英国空軍と海軍のパイロットが日本軍パイロットと共に攻撃任務や空中戦闘訓練を実施しました。

訓練終了後、HMSプリンス・オブ・ウェールズと護衛艦HMSダウントレス、HNoMSロアルド・アムンセンは横須賀海軍基地に到着し、東京港寄港に先立ち、防衛と産業関連のイベントを開催した。

F-35Bの重要性

F-35Bは、イギリス、アメリカ海兵隊、イタリア、そして現在日本が採用する短距離離陸・垂直着陸型戦闘機で、カタパルト発進技術や着艦ワイヤーのない空母での運用を想定して設計された。この設計は、太平洋地域で中国の長距離ミサイルが軍事基地への脅威となる可能性のある環境において、小型艦船からの運用に最適な柔軟性を提供する。

一方、米海軍のF-35Cは、USSジョージ・ワシントンなどカタパルト装備空母向けに設計され、より大きな翼と長い航続距離が特徴だ。

日本空母からの初の英国製F-35B飛行は、英国、米国、日本の乗組員が過酷な作戦において統合・運用を円滑に遂行できることを証明した。これは、日本が中国の軍事力拡大に対応し始めた中で、極めて重要な能力となる可能性がある。■


A British F-35 Just Did Something That’s Never Been Done Before

Jack Buckby

By

Jack Buckby

https://nationalsecurityjournal.org/a-british-f-35-just-did-something-thats-never-been-done-before/

著者について:

ジャック・バックビーは、ニューヨークを拠点とするイギリス人作家、過激主義対策研究者、ジャーナリスト。イギリス、ヨーロッパ、アメリカを報道し、左派と右派の過激化を分析・理解し、現代の緊急課題に対する西側政府の対応を報告しています。彼の著作と研究論文はこれらのテーマを掘り下げ、分極化する社会への現実的な解決策を提言しています。最新著書は『 The Truth Teller: RFK Jr. and the Case for a Post-Partisan Presidency 』です。

F-35

250520-N-TW227-1112 EAST CHINA SEA (May 20, 2025) An F-35B Lightning II fighter aircraft from Marine Fighter Attack Squadron (VMFA) 242, prepares to land on the flight deck of the forward-deployed amphibious assault ship USS America (LHA 6) while conducting flight operations in the East China Sea, May 20. America, lead ship of the America Amphibious Ready Group, is operating in the U.S. 7th Fleet area of operations. U.S. 7th Fleet is the U.S. Navy’s largest forward-deployed numbered fleet, and routinely interacts and operates with allies and partners in preserving a free and open Indo-Pacific region. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Kenneth Melseth)



ウクライナ戦争を新兵器・技術の実験場として使う中国の狙いは次の対米戦だ(The National Interest) 

 

北京はロシア・ウクライナ戦争を、米国との対決に備える実験の場として活用している

シントンでのロシアに対する姿勢に関する議論はウクライナ戦争の重要な戦略的側面を見落としている。その側面とは、この戦争がアメリカ最大のグローバル競争相手である中華人民共和国にとっての「実験場」となっていることだ。ワシントンは、伝統的な敵対国ロシアがウクライナで戦う様子を見ているが、北京は、将来の紛争で支配的な役割を果たすはずの武器で戦われる高強度戦争を観察し、学ぶ貴重な機会と捉えている。

ロシアの経済的・産業的な基盤を支えることで、中国は独自の「有利な立場」を獲得した。中国は、大量に供給している軍事システムの部品が戦闘でどのように機能するかを評価し、ウクライナと西側の武器の有効性に関する情報を収集し、自国の武器開発、軍事訓練、組織構造を指導する概念を精緻化できる。これらの努力は、中国人民解放軍(PLA)が将来的に米国との紛争に巻き込まれた場合、その準備を整えるために役立てられる。

現地の事実関係は無視できないほど明確だ:中国製モーターがウクライナの陣地を破壊するドローンの動力源とんり、中国のマイクロエレクトロニクスがロシアのミサイルを誘導し、中国製工作機械がロシアの戦争機械の再建を支援している。この紛争における中国の役割は、米国が無視できないほど重大なものとなっている。

ドラゴンのドローン兵器庫

北京の役割は単なる経済支援を遥かに超え、ロシアの軍事産業複合体の物流の要として機能している。この体制は、中国が長期にわたる高強度紛争でパートナーを支援する産業能力をテストし、自国部隊の戦闘支援に突堤の意義を理解する一方で、否定可能な表面を維持するのを可能にしている。この戦略的優先事項は、2025年7月の議論で明らかになった。議論に詳しい当局者によると、王毅外相はEUの高官に対し、北京はロシアの敗北を容認できないと述べた。なぜなら、米国が中国に全力を注ぐリスクを招くからだ。

この支援の詳細は示唆に富んでいる。2023年時点で、ロシアが輸入するマイクロエレクトロニクス(現代のミサイル、戦車、航空機などに不可欠なチップ)の約90%が中国から供給されていた。同様に、2023年第四四半期のロシアの工作機械輸入の約70%(約9億ドル相当)は中国から調達され、ロシアで入手できなくなったドイツや日本の高機能機器を置き換えた。北京はまた、砲弾の主要な推進剤であるニトロセルロースの主要な供給元となっており、戦争前のほぼゼロから2023年には1,300トンを超える輸出量に急増した。これは数十万発の砲弾を製造するのに十分な量ですだ。

この動向の最も明確な証拠はドローン分野にある。ロシア製ドローンの電子部品の約80%が中国産であることから、北京はロシアの空爆作戦の影のパートナーとなっている。この支援により生産規模の拡大が実現し、高度な無人航空機(UAV)の配備に苦戦していたロシアは、2025年までに約200万機のファーストパーソンビュー(FPV)ドローンの製造を目標としている。ロシアのサプライチェーンへ深い統合することで、北京に独自の立場が実現しており、ウクライナとその西側供給システムが持つ高度なジャミング、スプーフィング、防空能力と対峙する際に、自国の技術がどう機能するかをリアルタイムで評価している。

最も重要なのは、中国の影響力が最近、受動的な供給から戦場における技術的均衡の積極的な操作へとシフトしたことで、これは代理戦争に巻き込まれた国家の特徵だ。2025年5月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は明言した。「中国のMavicドローンはロシアには開放されているが、ウクライナには閉鎖されている」。

この主張は、欧州当局者が中国がウクライナへDJI Mavicドローンの販売を停止しただけでなく、主要部品の輸出を制限しつつ、同時にロシアへ同じ部品の出荷を増加させていると報告したことで裏付けられた。一方に武器を供与しつつ、他方に不可欠な技術の提供を積極的に拒否する行為により、北京は中立的な観察者ではなく、戦争の進展 に直接影響を与える当事者となった。

ウクライナの実験場

40年以上にわたり大規模な戦争を経験していない中国人民解放軍(PLA)にとって、この紛争は前例のない知見の源泉となっている。PLAは、ドローン運用から電子戦対策まで、現代戦に関する重要な知識を、中国兵を一人も危険にさらさず獲得している。この情報の洪水は、システム的に活用するための集中管理システムに流れ込む。

この戦争が中国にとって巨大な価値を持つ理由は複数ある。まず、戦場は先進的な西側軍事装備とソフトウェアで溢れてる。PLAの諜報機関は、ペイトリオット防空システムからHIMARSロケット砲まで、主要な米国製システムの性能を詳細に分析中だ。また、ウクライナが自国の革新技術を巧妙に活用した事例も分析している。例えば、「Operation Spiderweb」と呼ばれる最近の協調型ドローン攻撃では、低コストのドローン群を駆使し、ロシア連邦内の数千マイル離れた空港に駐留するロシアの戦略的航空機約$70億相当を破壊または損傷させた。

ロシア軍(中国製部品を装備している場合も多い)がウクライナや西側のシステム・戦術にどう対応するかを観察することで、PLAは対抗方法を理解する重要な知見を得ている。これは特に電子戦分野で顕著だ。中国は、自国製ハードウェアが組み込まれたロシアのシステムに対する西側のジャミングの有効性を評価でき、逆もまた然りだ。ロシアは長年、高度な電子戦システムを展開してきた。中国の学習は受動的なものではない証拠がある。実際、中国政府の支援を受けたハッカーグループは、モスクワが共有を拒否する戦場データを盗み出すため、ロシアの防衛機関を積極的に標的化している。

第二に、戦争は中国が新たな軍事概念を観察し適応する機会を提供している。これは孤立した戦略ではない。北京は過去にもパートナー国の紛争を実験場として活用してきた。例えば、2025年5月のインド・パキスタン衝突では、パキスタンが中国製J-10C戦闘機とPL-15ミサイルを運用し、相当な効果を上げたと報じられている。

ウクライナでは、ドローン群の広範な使用と非対称的な海軍戦術が、中国人民解放軍(PLA)の戦争計画者にとって「豊富なデータセット」を提供している。中国はまた、ウクライナの「海軍ドローン」の成功を、台湾がPLAの侵攻に抵抗する可能性のあるモデルとして詳細に分析している。台湾が世界最先端の論理チップの90%以上を製造していることから、台湾を武力統一する紛争のリスクは莫大だ。台湾での生産の喪失は、最大10兆ドルに上る世界的な経済危機を引き起こす可能性がある。

第三に、中国は西側がロシアに対して前例のない経済制裁を課す様子を注視し、自国の経済を「制裁耐性」にしている。ロシアの適応を観察することで、北京は自国の金融システムとサプライチェーンを同様の圧力から隔離する方法を学習中だ。これに対応し、中国は人民元を二国間貿易で大幅に増加させ、SWIFTの代替としてクロスボーダー銀行間決済システム(CIPS)の構築を進めている。

代理戦争の現実に対峙する

米国がロシアに対する政策をどう進化させても、中国の役割の現実を認めなければならない。モスクワとの外交的理解は、北京がロシア軍を武装させ、技術的に強化し続ける限り無効だ。中国はロシアの武器庫としての立場から、戦争の激しさを左右する鍵を握る。西側のウクライナ支援もまた、その要因の一つだ。北京の役割に対峙することは、単なる政策上の必要性ではなく、戦略的必然性だ。

しかし、ワシントンの真の課題は、中国から前線への軍事装備の流出を超えたところにある。真の競争は学習サイクルの競争だ。米国が二次的な敵対勢力に対抗するために資源を消耗し、備蓄を消耗している間、主要な競争相手は代理戦争から貴重な戦闘経験を積んでいる。米軍は確かにこの紛争から学びつつあり、陸軍の「教訓学習センター」や「ウクライナ安全保障支援グループ」など、複数機関が戦争を分析している。しかし、中国人民解放軍は、アメリカ兵器に対抗する方法、電子戦が密集した環境で戦争を遂行する方法、高強度紛争を継続する方法——すべてを、一人の兵士も危険にさらさずに——熱心に学習しているのだ。この学習効果の非対称性は、アメリカがインド太平洋地域という戦略的に重要な地域で依存する抑止力の基盤を侵食している。この抑止力は、潜在的な敵対勢力がアメリカの能力とその使用意思を評価する点に依存している。

北京の国家主導システムは、これらの教訓を軍事産業複合体全体に迅速に吸収・実装するように設計されている。アメリカは、民間部門のイノベーションで一部相殺されるものの、依然として過度に官僚的な伝統的な調達システムのままで、後れを取るリスクがある。この課題に対処するには、戦略的思考の根本的な転換が求められる。ウクライナ戦争は、単なる欧州の危機として管理すべき対象ではなく、未来の戦争の実験場として捉える必要があるのだ。ワシントンの課題は、自軍の適応を可能にするかどうか、特にINDOPACOM司令官のサミュエル・パパロ提督が説明した「ヘルスケープ」概念のような革新的なコンセプトを、危機が発生する前に現実にできるかどうかだ。

中央の課題はロシアの封じ込めにとどまらない。それは、次の戦争のための完璧な低コスト実験場を見つけた同等の戦力を有する競争相手を、思考と適応力で上回ることにある。この学習競争の賭け金を完全に理解できない場合、次の危機が訪れた際、アメリカは自国の武器と戦略に対する勝利の方法を学んだ敵対勢力と対峙することになる。■


画像:アレクサンダー・キトロフ / Shutterstock.com

For China, the Ukraine War Is a Laboratory

August 11, 2025

By: David Petraeus, and Clara Kaluderovic

https://nationalinterest.org/feature/for-china-the-ukraine-war-is-a-laboratory

著者について:デビッド・ペトレイアスとクララ・カルデロビッチ

デビッド・ペトレイアス大将 (アメリカ陸軍退役) は、アメリカ軍で37年以上にわたり勤務し、イラクでの増派指揮、中央軍司令官、アフガニスタン国際治安支援部隊司令官を含む6つの連続した指揮職を歴任しました。その後、テロとの戦いの重要な時期に中央情報局(CIA)長官を務めました。現在はグローバル投資会社KKRのパートナー兼KKRグローバル研究所会長を務めています。ペトレイアス将軍はプリンストン大学で博士号を取得し、イエール大学キッシンジャーフェローを務め、ベストセラー書籍『Conflict: The Evolution of Warfare from 1945 to Ukraine.』の共著者でもあります。

クララ・カルデロビッチは、AIとデータセンター分野の起業家であり、国際戦略フォーラムのフェロー、およびウクライナで同国における精神保健支援の未充足ニーズに対応するため構築中のAI搭載ソーシャルメディアプラットフォーム「メンタルヘルプ・グローバル」の創設者兼CEOです。

本記事に掲載されている事実、意見、分析はすべて著者のものであり、米国政府の公式見解や見解を反映するものではありません。本記事の内容は、米国政府が情報の真偽を保証したり、著者の見解を支持したりすることを意味するものではありません。