全国人民代表会議には習近平主席も参加し2020年5月22日に北京で開幕した。 (Kevin Frayer/Getty Images)
中国は今年の国防予算を前年比で6.6パーセント増と30年で最低の成長率と発表した。
金額で昨年の1670億ドルが1782億ドルになる。この規模は米国に次ぎ第二位。伸びは最低とはいえ、110億ドルの予算増は中国のこれまでの実績でも第5位の規模だ。▶背後には人民解放軍PLAにCOVID-19パンデミックの影響を与えない意図が見える。中国経済は2020年第1四半期に対前年比で6.8パーセント縮小した。▶李克強首相は実質は政府のいいなりの人民代表会議開幕で演説し、PLAへの悪影響を否定した。▶「国防体制と軍の改革を進め、補給活動を強化し、革新的国防関連技術の開発を強化する」(李)。
李首相は台湾にも触れ、「独立を志向する分離主義の動きには断固反対しこれを抑える」とし、台湾住民に「本土に加わり、再統一の動きに合流せよ」と訴えた。▶意図的なのか李首相は台湾再統一で「平和的」との表現を避け、これまでの中国指導部が全人代で台湾に関し発言する際の常套句を使わなかった。中国は台湾再統一に際し武力行使を放棄していない。
李首相発言と同時に米国防長官マーク・エスパーは台湾を支持する米国の立場を再確認した。長官は米国は「台湾支持の公約を確実に守る」と述べ、台湾関係法の縛りもあり、台湾に必要な防衛装備を供給すると発言。▶米国務省は台湾向け潜水艦用大型魚雷18本を180百万ドルで売却する案件を21日木曜日に承認した。Mk 46 Mod 6高性能技術魚雷は台湾海軍潜水艦に搭載される。2017年には同様の兵装48点の売却があった。
台湾報道では台湾周辺で中国軍がパンデミックと無関係に活動を続け、中国艦艇航空機が国際空域、海域で定期的に活動している。中国は通常の訓練とするが、台湾政府は台湾への脅迫と見ている。■
この記事は以下を再構成したものです。
PLAは、ますます増強され、恐らく正味の軍事費は、米軍の約半分になるだろう。
返信削除PLAは自信を強め、PLA参謀長やCCP常務委員は、台湾への武力行使もほのめかし、習は勝てる軍隊を作れと叫んでいる。これらは危険な兆候だ。
既にPLAは相当な人員を強襲揚陸できる能力を持ち、さらに増強中だ。台湾一国での対応は困難になりつつある。台湾関係法に基づく米国の参戦のみが、CCP/PLAの意図を挫く鍵であるかもしれない。米中全面戦争ともなれば、CCPの中国支配が崩壊する可能性が高くなり、CCP/PLAは怖気づく。
そうかと言って、CCPは、台湾侵略をあきらめず、サラミ戦略を行う可能性がある。現在の焦点は、東沙諸島と南沙諸島の太平島かもしれない。ともに台湾が支配するも領有権が確定しておらず、PLAが強奪しても、国際的非難は浴びるかもしれないが、米軍の介入は無いかもしれない。
特に東沙諸島は、戦略的要地であり、一旦中国に奪われると南沙諸島のように大規模な軍事基地を建設し、南シナ海北部に睨みを効かせることになる。これは要注意である。
もちろん、現状の変更を望まない米国が、軍事介入を辞さないと宣言し、米軍のプレゼンスを明確にすれば、CCP/PLAは二の足を踏むだろう。
しかし、このような米国の強硬姿勢は、米国国内の世論が大きく影響する。日本が領有する尖閣諸島を中国が不法占拠した場合、米国は必ずしも武力反撃に出ない場合のあることを、近年見てきたはずだ。中国は、このような米国の「ためらい」を決して見逃さないであろう。
そして東アジアの緊張の深刻化は、地域安定化のためにますます日本の関与を必要としていることも間違いないと考える。