2019年4月14日日曜日

開発中と言われる極超音速SR-72は実現すれば無人爆撃機にもなる



The Super Secret SR-72 Spy Plane (That Might Also Be a Stealth Bomber) 

極秘SR-72スパイ機はステルス爆撃機にもなるのか

Could this be the real deal? Will it actually happen? だが実現できるのか
April 8, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: SR-72SR-71MilitaryTechnologyWorldStealth


ッハ5で飛行可能な極超音速兵器が世界の国防産業界のはやり文句になっている。中国、ロシア、米国の各国が開発に注力しており、軍備装備の開発を巡るレースに火を注ぐ効果を生んでいる。
長距離弾道ミサイルでは発射後短時間で極超音速に達するが、かわりに飛翔軌跡が予測可能なため事前に探知され相手側に軍事上政治上で対応策を打つ時間が生まれる。さらに弾道ミサイルの迎撃能力を備えた装備品が増えてきた。
だが2013年にロッキード役員のロバート・ワイスがAviation Weekに極超音速機を開発中と話し波紋を呼んだ。しかも伝説のSR-71ブラックバード・スパイ機を想起させるSR-72の名称に触れたのだ。
ブラックバード並の巡航速度を長時間持続できる有人機はない。SR-71はミサイルが届かないまま北朝鮮や中東で写真偵察を行ってきた。だが最新の地対空ミサイルの前にマッハ3でも生き残りが難しくなっている。だが極超音速機なら再度ミサイルを出し抜くことが可能となる
SR-72はロッキードの説明ではマッハ6の飛行が可能という。ロケット推進方式のX-15テスト機はマッハ6.7まで達したが、B-52母機から切り離され飛翔していた。SR-72は低速での離着陸をめざす。
ワイスは「...技術は成熟しておりDARPAや軍とこの性能を実働部隊に一日も早く提供しようと懸命になっている。大日程や詳細はお話できない。全て機微情報だ....大まかなお話はできるが細かい部分には触れられない」と述べた。
ロッキードはエアロジェット・ロケットダインと複合サイクルエンジンで突破口を開いたと言われ、タービンとスクラムジェットを使い分ける。極超音速飛行時はスクラムジェットを使う。ターボファン、スクラムジェットが空気取り入れ口、排出口を共用する。
ワイスは任意で有人操縦可能な全長60フィート(ジェット戦闘機並の大きさ)単発テスト機の製造に「わずか」10億ドルの予算をつけてもらいたいとの希望を示した。ここから双発で全長100フィート超のSR-72を開発するとしていた。
ワイス発言から6年が経過したが、ロッキードは本来なら一般に紹介できないはず秘密開発案件の割には異常なほど関心を集めようとしている。その一環でSR-72開発用の試験機は完成ずみとも聞こえる発言が出ている。
その例として2018年の科学技術学会で同社副社長ジャック・オバニオンが「(三次元設計技術の)デジタル化がなければ製造は不可能だったろう。五年前の技術では実現できなかった」と述べたが、執行副社長オーランド・カバルホはFlight Globalに「(SR-72は)未完成と断言しておく」としオバニオン発言は「違う文脈から」の引用だというのだ。
ロッキードの極超音速機の大々的宣伝で実機が存在するのかしないのかあえて不明にしているのは追加予算獲得が狙いなのは明らかだ。同社が共同開発に当たる相手の国防高等研究局(DARPA)は画期的技術の開発に特化し空軍の要望に答えるよりも時代の先どりをしすぎる傾向がある事で知られる。
米空軍も極超音速機の運用は長期課題としながら、近い将来に必要となるのはF-35ステルス戦闘機多数(これもロッキード製品だ」と今後登場するB-21レイダーレイダーステルス爆撃機だ。空軍としても希望機材全ての調達はできないと自覚している。その中で非常に高額で先端技術の塊ともいえる構想に予算を確保するのは容易ではない。
ブラックバードの呼称SRは戦略偵察の略で防空体制の整備された空域に進入し地上の状況を迅速に撮影するのが役目だった。だがSR-72の名称には誤解を与える余地が多々ある。
極超音速SR-72が無人航空機UAVとなるのはほぼ確実だ。言い換えれば通常は「Q」の制式名称がつく無人機だ。どこまで人間の介在が必要となるのか、事前プログラミングによる飛行制御と自律飛行の組み合わせなど興味深い点は多い。
さらにSR-72には情報収集監視偵察(ISR)任務以外に事前探知されずに目標を攻撃する能力もつくはずだ。いいかえれば爆撃機だ。時速4千マイルで飛行すれば極超音速爆撃機が米大陸内の基地を離陸すれば太平洋や大西洋の彼方の目標に90分で到達できる。極超音速ミサイルとちがい、基地に戻り次の再搭載し任務投入できる。
ワイスは当初からSR-72に「攻撃能力も念頭にある」と発言していた。SR-72は迅速汎地球攻撃構想から生まれロケット推進式のファルコンHTV-3極厚音速テスト機が開発の原点とされる。
だが極超音速爆撃機兼スパイ機に費用対効果があるのか議論が分かれる。まずステルス性能の欠如は確実で、そもそもこれだけの速度で飛行すれば熱発生は各種センサーに明示され、レーダー波吸収剤も空気摩擦で消失する。敵勢力にも同機の飛来は判明するはずだが、対応時間が限られる。
現時点の防空ミサイルの性能は超えているとはいえSR-72の存在で地対空ミサイルの性能向上にはずみがつき極超音速機対応も生まれるだろう。SR-72爆撃機ではこれだけの高速度で運用可能な新型兵装の開発も必要で高額な予算投入につくだろう。
ブラックバードが引退しても後継機が登場しなかったのはスパイ衛星の性能向上でそのISR機能が微妙になったこと以外に低速ながらステルスの長距離無人機としてRQ-170が登場した事が大きい。ブラックバードは高度防御体制の空域に進入できるが、ステルス無人機ならスピードは遅くても同じ機能を確実にこなし、対象地点上空の滞空時間も長く、リアルタイムで映像を数時間送れる。ペンタゴンが長時間飛行可能な超ステルス機RQ-180の開発をノースロップ・グラマンに発注したのは同機でSR-72の機能を実質的に果たせると考えていることを思わせる。
SR-72推進派には「スピードがステルスの新しい定義だ」との声があり、今後登場するネットワーク化センサー装備でステルス機の生存は不可能となるとの予想がある。機体防御策がふたたび速度になるというのだ。ペンタゴンがあらゆる形の極超音速兵器に関心を寄せていることからロッキードの極超音速UAVに追加予讃措置が付く可能性もある。しかし、ステルスを中心に捉える空軍の価値観からすれば困った状況になりそうだ。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: Lockheed Martin.

2019年4月13日土曜日

航自F-35捜索にU-2も投入

コメントは下にあります。


High-altitude US recon plane joins search for F-35 and missing Japanese pilot 

F-35捜索に米軍が高高度偵察機を投入




U-2 ドラゴンレイディ偵察機がアラブ首長国連邦アル・ダフラ航空基地で発進に備えている。 March 15, 2019.GRACIE I. LEE/U.S. AIR FORCE

By SETH ROBSON AND HANA KUSUMOTO | STARS AND STRIPES
Published: April 12, 2019


YOKOTA AIR BASE, Japan —
4月12日、在日米軍は米空軍所属U-2ドラゴンレイディ戦術偵察機が消息不明の航空自衛隊細見彰里3等空佐操縦のF-35AライトニングII戦闘機を捜索に投入したと発表した。

同機は9日午後7:30ごろ三沢航空基地の東方およそ85マイル地点で墜落した。捜索で機体の左右方向舵を事故発生から二時間後に回収したと航空自衛隊が発表している。

今回の事故はF-35Aで世界初の喪失事故となった。海兵隊所属のF-35Bでは昨年9月にサウスカロライナ州内の海兵隊航空基地近くで墜落事故が発生している。

細見3佐は飛行時間3,200時間のベテランでF-35Aでは60時間飛行していると航空自衛隊が10日に発表している。

米海軍は捜索救難に艦艇一隻と哨戒機一機を派遣した。

「日本政府の要望により米軍は日本主導の捜索活動を支援していく。このためUSSステサム(誘導ミサイル駆逐艦)、P-8Aに加えU-2の支援も提供する」と在日米軍広報官ジョン・ハッチンソン空軍大佐がメールで知らせてきた。

航空自衛隊はUH-60Jヘリコプター、U-125を計11機を投入し、海上自衛隊も艦艇及び航空機による捜索を事故直後から展開している。海上保安庁も艦艇を現場に派遣した。

「在日米軍司令部は第五空軍と連絡調整を密にし日本政府の要請に応え米軍SAR活動を自衛隊と分担しておこなっている」

「在日米軍は防衛省や自衛隊各部隊と連携し捜索救難支援を続け、機体改修も要請あれば対応する」(同大佐)■


一日も早い発見を願わずにいられませんが、これを機に安全保障に無知な向きからためにならない主張が出てこないか心配です。しかし、相変わらずメディアではF35などと平気で記述していますなあ。

2019年4月12日金曜日

難航する新型空母USSジェラルド・フォードの艦隊編入

USS Gerald Ford Delivery Delayed Due to Extensive Nuclear Propulsion, Weapons Elevator Repairs; Carrier Won’t be Ready Until October 

USSジェラルド・フォードの海軍引き渡しは原子力推進系、兵装昇降機の修理でさらに延期のため10月に変更か

March 26, 2019 6:14 PM

AAG装備を用いた初の空母着艦にF/A-18Fパイロット、ジェイミー・R・ストラック少佐がヴァージニア沖合を航行するUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)で成功した。 US Navy Photo


定外の問題がUSSジェラルド・R・フォード(CVN-78)の補修作業で発生し艦隊編入が三ヶ月遅れて10月になると海軍当局が下院軍事委員会で明らかにした。

慣らし運転期間post-shakedown availability (PSA)中に初の海上航行で見つかった問題を解決し乗員も建造中の問題を把握するはずだった。PSAを12ヶ月とし2021年に就航予定としていた。

だが原子力推進関係ならびに高性能兵装昇降機で修理が思ったより時間がかかるためさらに遅れると海軍調達部門トップのジェイムズ・ジューツが下院軍事委員会シーパワー兵力投射小委員会で述べた。

「海上公試中に原子力推進系で問題が見つかり、試運転後調整を全て完了し昇降機を改修すると相当の時間がかかります。ということで10月は今のところすべてうまく行った場合の目標ですがその後乗員の習熟訓練が入ります」

小委員会のロブ・ウィットマン議員(共、ヴァージニア)からは自身でハンティントンインガルス工業のニューポート・ニューズ造船所を訪問し同艦の工事状況を聴取し、7月の予定が困難と聞いたと発言があった。

「現場作業員と話すと工期とくに慣らし運転後の改修に不安を感じているとわかった」(ウィットマン)

昇降機の問題は以前も指摘されており、よく知られている。フォード級では航空機発進回数をニミッツ級より25-30パーセント増やすためにも11基ある昇降機の機能が鍵をにぎる。

昇降機に信頼性上の問題が見つかり、主にソフトウェアの問題とUSNI Newsは理解している。二番目の昇降機が今月初めに納入された。

推進系問題はそれほど知られていない。2基搭載ある原子炉ではなく原子炉で生む蒸気で回す主タービン発電機の問題だ。

修理作業に詳しい筋はタービン発電機2基で修理は想定されていなかったが修理は大規模になると述べている。これは乗員が公試中に見つけた問題だ。

昨年5月、フォードが予定を早め帰港したのはPSA前に技術問題に遭遇したためだった。

「設計変更と関係する問題が推進系で発生し、帰港して海上公試前に調整の必要が生まれた」(ジューツ)

ハンティントンインガルス工業は3月26日にUSNI Newsに「現在海軍とともに空母USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)の引き渡し新日程を調整中」と伝えてきた。■

2019年4月11日木曜日

B-21は予想より早く登場する.....?

各種ソースや公開、非公開情報を駆使する米メディアでさえ正体が一向にわからないB-21が突如目の前に現れる日が来そうです。そのときにB-2類似と言われる機体の外観が本当にそのとおりかわかることになりそうです。ステルス機技術が進化しますが、真のステルスはB-21のみになれば、今後は派生型として電子攻撃特化型、特殊作戦用、あるいは「ミサイルトラック」としての「重武装」機として戦闘機の概念を覆す機体も登場してくるかも知れません。

The New B-21 Stealth Bomber: Flying Much Sooner Than Expected? 

新型ステルス爆撃機B-21は予想より早く飛行開始になるのか

April 5, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: StealthB-21MilitaryTechnologyWorldB-2

空軍はB-21の重要設計審査を完了したようだ。2020年代中頃に新世代ステルス爆撃機が戦力化される見込みが強まってきた。開発の進展は空軍が目指す調達「加速化」の重要な成果のひとつなのかもしれない。
B-21の調達大日程や詳細面が話題に上ることはないが、空軍の調達年間報告書2018年度版で「爆撃機」とだけ記述のある調達加速化戦略の一例が見つかる。空軍上層部はWarrior Mavenに重要設計審査が進行中と伝えており、空軍長官ヘザー・ウィルソンは2020年代の供用開始に開発は順調と報道陣に述べている。空軍は手続き簡素化による試作製作・開発を目ざしており、新型ステルス爆撃機にも影響が生まれているようだ。
「従来の調達方法では爆撃機から毛布まですべて買ってきた。だがこのやり方では全事業に完璧対応は不可能。このやり方では最前線に肝心の解決策が届かなくなる。厳正な内部点検で事業を見直せば調達業務の無駄を省くことが可能のはずだ。次代の空軍装備はもっと迅速かつ効率よく配備でき、試作、実証含め調達が個別に最適化されていく」との報告がある。
ロシア、中国の防空体制強化で既存機種のB-2では対応が難しくなると見られる中、新規ステルス技術に大きな期待が寄せられている。コンピュータ性能の向上、デジタルネットワーク技術や標的捕捉能力の向上で一部ながらステルス機捕捉が従来より向上してきた。だがB-21ならこの課題を念頭に新世代ステルス機として敵防空体制を突破し今後長期に渡る供用が可能となる技術が盛り込まれる。
ロシアのS-300やS-400対空ミサイルはデジタル技術とネットワーク「ノード」で追尾標的データを交換しつつ広域で効果を発揮する設計だ。新しい防空装備に高性能指揮統制機能が加わり従来より広範囲の周波数での敵機探知が可能となる。このためB-2では対応が難しくなりつつあり、B-21でさえ将来は厳しくなるとの見方さえある。このため開発部門、兵装技術専門家等が同じメッセージを出している。空軍はこれから登場するB-21爆撃機に相当の投資をすべきというものだ。
とはいえB-2も一度に性能の限界を露呈して姿を消すわけではない。同機は改修中で、演算能力は千倍に引き上げ、自機防御管理装備のセンサーで敵防空体制が認識可能になれば今後も運用可能だ。
ミッチェル研究所の論文「ステルスの必須条件」が新世代ステルスの「必須条件」に触れている。
主な内容には空軍高官の発言としてステルス技術はB-21でさらに前進し、「世界いかなる地点をいかなる時にも標的に」捉えることが可能となるとある。
一般的にいえば、改善対象には機体形状の極限化と排熱処理の改良で敵探知から逃れることがあるはずだ。機体端部の処理、排熱の削減、パイロンに兵装を吊るさないこと他でレーダー信号は接近してくる爆撃機の正体を電磁的につかめなくなる。光の速度は既知なので電磁信号の移動時間からコンピュータで敵機の正確な距離を探知する。
ただし、ステルス機の場合は返ってくる信号がまったくない、あるいはいかなる既知機体のものとも異なる。ステルス機は敵レーダーでは鳥あるいは昆虫程度にしか映らない。
「レーダー探知されても追尾追跡があり、データ転送で交戦すべくミサイル発射する際には小型レーダーを使います。迎撃側は低視認技術の影響を免れません」とミッチェル航空中研究所所長デイヴィッド・デプチュラ退役中将は語っていた。
ステルス機迎撃を難しくする要素に電子戦「ジャミング」防衛もあり、悪天候下でも音響信号を引き下げて他のステルス性能劣る機材による攻撃を可能とし敵防空体制の注意を集める効果もある。
EWが突出する理由として新規装備が敵脅威の登場に応じソフトウェアアップブレードが迅速に行える設計になっていることがある。このためB-21のEW能力はミッチェル研究所の論調と同様に周波数多数を駆使する敵防空体制の上を行く技術を盛り込むことになりそうだ。
米空軍発表のB-21想像図では飛行制御用の尾翼がない。尾翼があれば側面からのレーダー反射となり、B-21のRCS(レーダー断面積)は前方後方に加え側方も減るのであらゆる角度からの探知が困難になるとミッチェル研究所も指摘している。
RCSついででいうと「レーダーとレーザー断面積の処理技術」との表題の技術論文がAerospace Research Centralにあり、新しい塗装技術に『レーダー吸収剤と人工メタマテリアル」があるとしている。
IRや熱特徴の削減に向けた新技術はエンジンと排気口の配置とも関連する。エンジンは機体内部に搭載視排気パイプが機体上部につくが排気そのものは大幅に減る。これはB-2と同様と同上論文は指摘している。
こうした新規技術要素からこれからの戦闘での脅威への対応策で共通認識が生まれており、B-21が今後の敵防空網を突破可能な唯一の機材になる可能性が見えてきた。スタンドオフ兵器が敵防空装備を破壊し、ピンポイント攻撃で絶対必要条件となるだろう。だがEW装備ではスタンドオフ兵器運用機材より接近した地点での運用が必要だ。
B-21は技術を常にアップグレード可能の前提にする。このことはソフトウェア、センサー、兵装、コンピューターやエイビオニクスの新型が登場すればすぐ搭載できることになる。■

Kris Osborn is a Senior Fellow at The Lexington Institute. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

2019年4月10日水曜日

欧州の安全保障でドイツの現状が要注意

コメントは下にあります。

Why Germany Should Further Boost Defense Spending, and Why It Probably Won’t

国防予算を増やす必要があるのにドイツがおそらく増やさない理由とは
Also: why the Trump administration should shut up about it.

German Army soldiers dismantle a bridge over the Neris river during the NATO military exercise 'Iron Wolf 2017' at the village Stasenai, some 130kms (80 miles) west-north of the capital Vilnius, Lithuania, Tuesday, June 20, 2017.

BY FRANZ-STEFAN GADYREAD BIO
MARCH 19, 2019



ランス大統領エマニュエル・マクロンが3月4日にヨーロッパに挑戦状を突きつけた。新しい「欧州ルネサンス」として国防予算増加とともに防衛安全保障の新しい条約整備を提起したのだ。さっそくドイツから賛同の声があがった。中道右寄りキリスト教民主同盟党首アンネグレート・クランプ=カレンバウアーも提案5点を発表した。「欧州空母」建造や欧州戦略機構の再構築でグローバル規模の安全保障と平和の守り手になるという内容だった。

ただしクランプ=カレンバウアー構想が象徴的以上の存在になる可能性は当面ない。マクロンには悪いニュースで欧州の雄たる仏独両国への支援がないと政治改革も不可能となるからだ。

ドイツにも悪いニュースだ。軍事冒険主義と全体主義国家の過去に未だにとらわれている同国政界は軍事力への慎重な姿勢がなかなか見直せない。だが世界は新段階に入ろうとしており、米中ロ三大国がむきだしの権力抗争に向かう。欧州はその中に挟まれ、ドイツが「世界内政治」と称してきた「軍事力行使を厳しく制限しつつ仲裁には正統な根拠を認める国際間のしくみ」が急速崩壊する可能性が出てきたのだ。

ドイツは簡単に納得しない。2018年9月の世論調査でドイツ国民の43パーセントが国防予算増を支持したが、55%はトイツは国際紛争でこれ以上の外交軍事両面の役割を果たすべきでないと回答した。

ドイツ国民は軍事力に大きな関心を示さない。ドイツの地方レストランで地元民に話してみればいい。戦争とは過去の戦争、第二次大戦のことであり将来ドイツで発生する戦闘は想定していない。

アフガニスタンにドイツ連邦軍が派遣されているが報道に登場することは稀だ。戦争とはどこか別の場所の話で国内の安全と無関係というのだ。

クランプ=カレンバウアーもその他ドイツ政治家同様にフランスが主張する軍事面で強い欧州の主張に加わり各国が「強硬な外交政策を志向」する「戯れ」が発生しない主張を口にするもののこれまでは言行不一致だった。

その好例がドイツ蔵相オラフ・ショルツで国防予算増に反対姿勢をくりかえし示している。だがその姿勢ではNATO加盟国で合意ずみの2024年までに経済規模の1.5パーセント相当を軍事費に計上する約束を実行する意思がドイツにあるのか疑問となる。

ショルツは社会民主党員でCDU、キリスト教社会連盟と連立政権を組んでいる。同党はドイツの国防姿勢・政策の大変更に一貫して反対しており、とくに防衛装備輸出に強く反対している。その例がトーネード戦闘機で85機が2025年から退役するが後継機選定を先送りしている。一部機材はNATO核戦力共有によりドイツが管理する核弾頭を運用する。後継機種が決まらないとNATO核戦力におけるドイツの影響力は消えてしまう。
ドイツの歴史をみれば軍事力行使含めたドイツ外交力の増強と国防予算増が必要な理由が見えてくる。

まず米主導の自由体制の動きが鈍いことで世界はさらに危険な場所となり、安全保障と経済の両面への影響が必至だ。ドイツ経済は輸出に大きく依存している。2018年の財の輸出は1.547兆米ドル。米海軍が海洋支配機能を失えばドイツ海軍では人員装備ともにそのかわりは務められず、ドイツの経済活動に重要な海運の防御はできない。

次にドイツ国内でINF条約終了の議論が不在であったのはドイツ、欧州の安全保障の仕組みに驚くほど理解がないことのあらわれだ。通常戦力核戦力双方による抑止力機能、国防予算の増額、軍事対応力の向上は自動的に戦争につながるものではなく実は敵対勢力が強硬手段に出るのを防ぐ意味があるのに理解されていない。連邦軍の実力が伸びれば大規模戦にドイツが巻き込まれるリスクも減る。

三番目にロシアはじめとする現状変更勢力はドイツの安全に現実の危険となっている。プーチンの外交目標はふたつ、NATOとEUの解体だ。2つともドイツの安全を支える屋台骨である。このためドイツとロシアはパートナーになりえない。軍事面で弱いドイツはバルト海沿岸でロシアを勇気づけてしまう。

四番目にドイツ連邦軍は安定化任務の枠を超え海外戦闘も視野にいれるべきだ。その例としてアフリカや中東で国家破綻の状況が生まれれば危機連鎖を防ぐ、あるいは欧州へ向かう難民に対応する必要があるはずだ。

最後にドイツ政界は通常戦力を充実したドイツ軍によりNATO内でドイツの交渉力が強まる事を忘れてはならない。これにより欧州全体もトランプ政権への交渉力が強まる。(米政府が口出しをやめればドイツはNATO支出目標に向かう。ドイツが2024年までに2パーセント支出目標は達成できない言うのを聞いた米大使が『受け入れがたい』と発言したのは逆効果だった。ドイツで大変不人気なトランプも国防支出を増やしているメルケルが持ち上げたのは逆効果だった。)

それでも現在の地政学的環境で軍事力増強を進める必要性を同国が理解し始めた兆候もある。2018年の世論調査でドイツ人の最大の恐怖としてトランプ大統領と危険度をます世界情勢を70パーセントが上げた。フランスとドイツは次期主力戦車、次世代戦闘機を共同開発中だ。また汎欧州防衛構想の各種仕組みづくりでも協力しており、アーヘン条約で定めた防衛への取り組みをともに再確認した。

ドイツ政界はマクロン提案の機会をとらえ、国防予算を増やし主張できる外交防衛戦略を展開すべきだ。これができないとドイツの安全保障は脆弱となり、ドイツ経済が弱くなるだけでなくこれまで守ってきた欧州の平和が危うくなる。■

一昨年辺りからドイツ軍の窮状が伝えられ、(まともに稼働出来る装備が減少、F-35導入を主張した空軍トップが更迭された等)どうしてこうなるのかと疑問に思ってきましたが、やはり政治が悪いのですね。日本でも現実に目を向けず夢想的な世界観を持った政治家は多いようですが、政権党がこれでは困りますね。しかし政治家を選挙で選んだのは国民なのでつまるところ国民の資質というか意識なんでしょうね。日本も偉そうなことは言えませんが、2010年代に入りこれまでと安全保障面でも現実世界に即した意識に目覚めてきた人が多い気がします。ドイツの動向には今後も注視していきます

2019年4月9日火曜日

攻撃型潜水艦の建造ピッチを上げる米海軍の想定は対中国作戦にあるのは自明の理

コメントは下にあります

Submarine Surge: Why the Navy Plans 32 New Attack Subs by 2034

潜水艦建造急増 米海軍が攻撃型潜水艦32隻を2034年までに建造する理由
US Navy photo


水上艦・潜水艦の撃破、敵地に接近し「スパイ活動」、重要目標に大量の火力を投入し強力な水中無人機を発進させる...全て海軍がこれから実現するミッションの一部で、米海軍は今後15年に攻撃型潜水艦を最大32隻建造する。


攻撃型潜水艦追加建造は海軍が進める355隻体制の一部となる。


「2020年に301隻、2034年に355隻の戦闘部隊規模となる」とケヴィン・チェンバース少佐がWarrior Mavenに語る。


新規建造潜水艦には将来につながる新技術が搭載される。たとえばトマホークミサイルや魚雷に代表される火力の増強、発電容量の強化で無人機やAI利用のセンサーに備える、航法や自艦防御も更新する。


海軍による今後30年間の建艦予定ではヴァージニア級攻撃型潜水艦3隻の建造を前倒しし、今後予想される潜水艦不足に先手を打つ姿勢が見られる。投入可能な攻撃型潜水艦が少ないとの危機意識は各方面司令官がここ数年感じており、海軍は議会の協力のもとで潜水艦建造を強化する。


以前は毎年2隻のヴァージニア級建造を2020年代はじめに年間1隻に落とし、コロンビア級核ミサイル潜水艦建造に備えるとしていた。その後ヴァージニア級2隻とコロンビア級1隻になった。


新計画ではコロンビア級建造がない年にヴァージニア級3隻建造体制とする、と海軍は議会に伝えてきた。


攻撃型潜水艦の需要が高まる背景の理由は多数ある。偵察活動では水上艦より敵地に接近できる。前方配備すれば沿岸近くで「ステルス性が増す」。トマホーク・ミサイルで標的近くから強力な火力を提供できる。


海軍では火力増強もさることながら攻撃型潜水艦での「スパイ」つまり情報収集監視偵察(ISR)ミッションの充実を狙う。敵沿岸に近づける性能を活かし、攻撃型潜水艦は敵沿海部近くの浅水部でも静かに哨戒し、敵潜水艦、水上艦、沿岸地の敵陣地を探知できる。
.
海中航法性能と探知性能が向上し新型ソナー、強力なコンピューター自動化、人工知能の搭載で、沿海部で機雷、哨戒艇その他脅威があってもより静粛に高速な移動が実現する。


ヴァージニア級潜水艦には「フライバイワイヤ」性能が導入されてこれまでより静かに沿海部の海中に留まり容易に位置を維持できる。


​「フライバイワイヤ」技術で乗員は深度、速度の入力でソフトウェア制御で潜舵、方向舵を使い進路深度を維持できると海軍技術陣がWarrior Mavenに説明してくれた。艦の動きはソフトウェアと電子装置が制御するので乗員の負担を軽減し、通常は手動制御が不要だという。


「沿海部操舵で最も大切なのはフライバイワイヤ制御システムでコンピュータが制御の中心となり艦の可動部を制御し、ロサンジェルス級の油圧制御から大きく進歩する」と2016年のスタンフォード大「原子力潜水艦の将来」と題したアレクサンダー・ヤチャニンの論文にある。


アップグレード前提のソフトウェアと急進展するAIを用いた技術で攻撃型潜水艦のミッション内容は拡大されISR装備としての可能性が広がる。リアルタイムのアナリティクスと膨大な情報のデータベースやセンサーのインプットから従来は乗員により行ってきた機能をコンピューターで代行できる。これで操艦や調整の対応時間が短くなり、攻撃に遭遇した場合の速度深度変更が迅速化される。
.
沿海部に接近できる潜水艦の特徴を活かし海軍の戦略構想では「沿岸攻撃」ミッションとISR機能で強化した対潜水艦、対水上艦作戦を重視するとある。


昨年刊行された米海軍編「米潜水艦部隊への指揮官の期待」では「潜水艦はステルス、極秘、単独作戦で他の追随を許さない最高の性能を発揮できる。海中を進む特徴を活かし戦略抑止力として、情報収集に、特殊作戦部隊の支援に、また非挑発的な航行に活用できる」とある。


海軍は進水したばかりのUSSサウスダコタ、ブロックIIIヴァージニア級攻撃型潜水艦にこの戦略の一環として新型海中技術装備を導入した。


新技術の多くは試験運用されているがUSSサウスダコタで実戦化し機関室静粛化で非探知性が増し、新型大型アレイと「静粛化」艦体塗装が実用化ができたと海軍技術陣は評価している。


ブロックIIIヴァージニア級潜水艦には大型開口艦首一体型ソナーが搭載され、海中の音響から敵艦位置を解析する機能が実現した。


さらにブロックV建造艦では84フィートの艦体構造を挿入し、ミサイル搭載本数を増やす「ヴァージニアペイロードモジュール」としトマホークミサイルを現行の12本から40本に増やす。


同モジュルールを搭載した各艦にヴァージニアペイロード発射管4本が追加され各7本のトマホーク巡航ミサイルを搭載し、合計40本にする。■


Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

More Weapons and Technology -WARRIORMAVEN (CLICK HERE)

これまで浅海域では原子力潜水艦の運用は不利(ノイズ等)といわれてきましたので改ヴァージニア級でどこまでこの常識が変わるかが見ものです。しかしこの建造ラッシュが実現するとしても人員訓練等で米海軍には相当のストレスがかかりそうですね。ましては通常型潜水艦の建造の余地は全くありませんからかねてから当ブログで主張している通常型潜水艦の日米共同運用となればやはり建造は日本で行うしかありませんね。

2019年4月8日月曜日

進化するエイブラムズ戦車、2030年代も主力戦車の座を守る新技術とは

米陸軍もロシアとの直接対決想定で戦闘装備の整備に走っているようです。主力戦車といえばエイブラムズと言う時代が50年にわたり続きそうです。

The Abrams Tank Going "Nowhere" Soon - to Fight into the 2030s and Beyond

エイブラムズ戦車は当面「どこにも行かない」 2030年代以降も戦闘可能


Mar 11-edited



装備のロシア機械化部隊が10年後の東ヨーロッパで前方強襲攻撃を開始し航空部隊と砲兵部隊の完全支援がつく場合、米軍NATO軍でどんな装甲車両が対応するのだろうか。


このシナリオには米陸軍が想定する複雑な条件が入っている。現行の戦闘車両1980年代製のエイブラムス戦車をどこまで改修すれば有効に有事対応できるのか。現時点のみならず15年先はどうか。陸軍が企画中の次世代戦闘車両(NGCV)はどこまで有効な装備を搭載して対応できるか。


陸軍で最大の優先事項は「今」「本日」の戦闘に準備しておくこと、そして近い将来に備えることだ。


「陸軍最大の課題に現行装備の継続改修があり、現時点で投入可能な全装備を対象とし適正投資で今後の戦力を整備して来るべき戦闘への備えを進めることがある」と地上戦闘システムズ部門事業主幹ブライアン・カミンズ少将がWarrior Maven取材で語っている。


この考え方には相互に関係しながら別個の方向性2つが絡む。将来の方向性には軽量かつ遠隔地に進出可能な装甲車両に長距離探知センサー、高性能火力やアクティブ防御装備(APS)で守ることがある。このうちAPSはトロフィーの名称でエイブラムス戦車に採用した。今後の車両技術と残存性は軽量装甲素材、APS、長距離射程火力、センサー、防空能力の進展にかかっている。


こうした重点項目からエイブラムス戦車はこのまま残る。陸軍は複数の方法論を取ることが多く、将来投入する車両とともに現行エイブラムス戦車の改良を同時進行するようだ。


将来想定される戦闘シナリオでは軽量長距離移動型火力として移動式防御火力車両が前方の歩兵隊の防御に不可欠だ。だが大国同士の戦闘に歩兵隊をそのまま配置すれば危険すぎる。そこで強力な装甲車両に精密長距離火砲や高性能センサーを搭載すれば戦闘時に不可欠な存在になろう。


現在のエイブラムズは数十年前とは全く別物だ。搭載センサー、火力や防御装備を見れば全く別の車両と言える。陸軍は強化型のエイブラムズ新型SEPv4を製作中で2021年にテスト開始する。


新型戦車はレーザー測距技術、カラーカメラ、統合オンボードネットワーク、高性能気象センサー、弾薬データリンク、レーザー警戒受信機のほか、多用途120mm戦車砲弾を搭載すると陸軍上層部は説明。


このうち多用途120mm戦車砲弾は高性能対戦車弾、多用途対戦車弾、対人殺傷キャニスター弾等各種弾薬を一つの砲弾にまとめるものだ。


SEPv4改修ではハイテク第3世代FLIRつまり前方監視赤外線画像センサーが中心だ。


この高性能FLIRには高解像度デジタル画像技術と敵の特徴を遠距離で探知する性能が盛り込まれ、雨天時やホコリ霧があっても機能すると陸軍開発部門は説明。FLIR技術の進歩で戦車乗員は敵のセンサーが発する光や熱以外に電子音紋も捉え状況認識度が向上する。
​​


熱画像標的捕捉技術は湾岸戦争の戦車戦でエイブラムズがロシア製T-72を相手に実証しており、遠距離から相手に見られずに破壊した。


ロシアのT-14アルマータ新型戦車が開発中の3UBK21スプリンターミサイルと長射程9M119装甲貫徹弾を搭載するため重装甲は当然必要だ。


さらにエイブラムズv4では主砲の射程と威力が改良され、同時に長距離レーザー探知センサーと後方監視センサーを搭載する。新規導入の気象センサーで天候条件の変化や戦闘状況の変化に迅速に対応できると陸軍は説明。


M1A2 SEP v4では砲塔とオンボードイーサネットに新型スリップリング接合部の導入でネットワークセンサー構成を簡略化する。


陸軍はAIを組み込んだ敵火力探知センサーもエイブラムスに導入し、敵小火器等の飛来を探知、追尾し照準をあわせる。これにより歩兵隊や装甲旅団戦闘チームに重装甲車両による防御以外にISR同様の敵位置探知センサーの恩恵が生まれる。センサーは現在試作中で実証では熱センサーで「熱特徴」を敵小火器で識別し、音響センサーで発射地点がわかると陸軍技術陣は説明している。


HFDとアクティブ防御システムの統合も目標だと兵装開発部門は述べている。APS技術は現行エイブラムズにも導入され、センサー、火器管制技術、インターセプターにより飛来するRPG弾やATGMを識別し撃破する機能だ。APSは理屈上は小火器銃弾以上の大きさの脅威対象へ対応するが、HFDと同調させれば戦場で効果を発揮する。


同時使用で大きな効果が生まれる。敵のRPGやATGMが同じ場所から発射されたとする。その軌跡をリアルタイム追尾できれば目標捕捉できる。このため陸軍では高性能多機能センサーの開発に集中している。小型ハードウェアを統合し高性能センサー技術と一緒にすれば従来は多数の装備で行ってきた広範囲の任務を同時に実施できる。


こうした目標をまとめると陸軍で戦闘車両開発に当たる幹部が述べた次のひとことになる。「次期戦車の要求内容が全部入る」■

Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.