2012年7月1日日曜日

ロシアはシリア向け武器供給をいつまで続けるのか

Syria Getting More Russian Air Defenses, Helos

aviationweek.com June 27, 2012

ロシアから防空システム、再整備ずみヘリコプター、ジェット戦闘機等総額5億ドル近くの装備品が国際社会からの批判をものともせず今年中にシリアに引き渡される観測が出ている。
  1. これはモスクワの軍事シンクタンクCASTののレポートでアサド大統領の国内鎮圧にロシアが武器を供給しているとの非難をさらに加熱させるもの。また防空システムは国際武力介入の際に使用される可能性があり懸念を生じる。
  2. ロイターは同レポートを発表前に入手し、ロシアからシリアへの武器販売契約書が2005年から2007年にかけて存在していることを知った。
  3. 契約書締結は国内蜂起の発生を相当さかのぼるもので、ロシアはシリア向け債権134億ドルの7割を放棄しており、これまで債務不履行のためにシリア向け武器販売が滞っていた要因を取り除いている。
  4. またこのレポートによるとロシアはMiG-29戦闘機12機、Mi-25攻撃ヘリ数機を今年中にシリアに引き渡すという。さらにBuk-M2EやPantsir-S1の引渡しも今年中に実施し、地上部隊の防空能力を引き上げるという。
  5. MiG-29契約は総額6億ドルでオプション12機購入を含む。同レポートでは年内に12機引渡しを予測。同戦闘機には空対空、空対地ロケットを装備し、シリア上空に「飛行禁止地区」設定の際にも対抗できる。
  6. プーチン大統領はロシア製兵器は内戦に使えない性質のものと説明し、ラブロフ外相は過去に締結した契約により供給された装備は防御的なものと発言。
  7. これに対しクリントン国務長官はロシア側の発表内容でロシア製兵器が国内弾圧と無関係としていることは「明白な偽り」と発言。シリアの防空体制はほぼ全部がロシア製で、先日のトルコ空軍機撃墜以来あらためてその能力に関心が集まっている。
  8. フランスからはシリアの危機状況を終結させるためにも飛行禁止地区設定を検討中という。昨年のリビア危機でも同じように飛行禁止区域が設けられた。
  9. 「シリアの防空体制はリビアの上を行っている。」と同レポート著者のひとりルスラン・アリエフRuslan Aliyevは指摘している。
  10. 「一方でシリア防空体制は協力だが、多数のシステムで構成されており、津かこなせるだけの訓練をしているかは疑問だ。」(アリエフ)
  11. ロシアは契約内容でPantsir-1装甲ロケット装備36セットの引渡しの義務があり、このうち12セットが納入済みで残りも2013年までに移送される。 
  12. 今回のレポートではシリア国防関係者で亡命してきたものからの主張、ロシア製小火器の引渡しがアサド体制への反抗が強まってから特に増えているという主張には触れていない。 
  13. CASTはロシア国内国防産業との良好な関係を守っており、BMP-2戦闘車両に関しての両国間契約については触れていない。アマチュア撮影のビデオ映像で同車両がホムスほか各地で展開しているのが撮影されている。
  14. ロシアはアサド体制の強力な擁護者として知られ国連安全保障理事会の常任メンバーであり、拒否権をもつが、、シリア向け制裁には反対している。
  15. ただ今回のレポートではそのロシアもアサド政権との関係断絶が国益にかなうのとなれば武器輸出凍結に走る可能性を示している。
  16. 「シリア向けの武器協力関係はロシアには重要なものではない。貿易、防衛関係でも同じである。
  17. 「シリア向け武器輸出が停止となれば、国営武器商社Rosoboronexportはシリア発注の装備を第三国に振り向けるるかもしれない」
  18. ロシアはS-3000 およびイスカンダルミサイルの輸出を凍結した実績がある。その際は装備がイランが支援するヒズボラの手にわたる危惧をイスラエルが提示したのがきっかけ。
  19. Mi-25ヘリを搭載した貨物船は6月24日にロシアを再出港している。保険会社が保険引き受けを拒否したことで延期されていた。

2012年6月28日木曜日

SM-3最新型の弾道弾迎撃実験が成功

U.S. Downs Target Missile In High-stakes Test


aviationweek.com June 27, 2012

米軍のレイセオン製新型迎撃ミサイルが迎撃実験に成功。北朝鮮やイランのミサイル開発への有効な対策になりそうだ。

  1. 実験は6月26日夜半にハワイ沖合いで実施され、標的となったのは分離式中距離弾道弾だったとミサイル防衛庁が発表。模擬弾頭が実際に分離され攻撃シナリオを再現した形となった。
  2. 「ミサイル各部品は設計どおり作動し、きわめて正確に迎撃できた」と翌27日に同庁が声明文で発表。
  3. 使用されたのはレイセオンのスタンダードミサイル-3ブロックIBで、米海軍の最新のミサイル迎撃手段。
  4. 同ミサイルは2015年にルーマニア国内の陸上打ち上げ施設に展開される予定で、オバマ大統領のNATO東側地域をイランのミサイルから防衛する手段となる。
  5. レイセオン製ミサイルの迎撃実験成功はこれでわずか6週間のうちで二回目で2011年9月の初打ち上げでの失敗をカバーした形だ。
  6. MDAは今回の実験成功でオバマ大統領の欧州向け段階的適応型アプローチによるミサイル防衛の第二段階には重要な成果が生まれたと評価する。
  7. 今回のテストは通算28回の発射で23回目の迎撃成功となった。
  8. ハワイ標準時の26日午後11時15分、標的ミサイルがカウアイ島の太平洋ミサイル試射場から打ち上げられた。
  9. これに対しUSSレイク・エリーがハワイ沖合いでミサイルを発見、追跡捕捉し、搭載する第二世代イージスBMD兵器システムがSM-3ブロックIBミサイルを発射した。
  10. ミサイルは衝突時の運動エネルギーで目標を宇宙空間上で破壊し、いわゆる衝突破壊迎撃のパターンを実現した。
  11. SM-3は短距離から中距離弾道ミサイル迎撃に使用される。最新型ブロックIBには二色の赤外線シーカーを備え、推進力を正確に制御できる短いバーストが可能な機構がついている。これにより目標への接近が可能となる。


2012年6月24日日曜日

オスプレイ安全性に関し米側の説明は7月下旬に設定済み

U.S., Japanese defense officials to meet to discuss Osprey issues

USAF website Posted 6/22/2012


by Army Sgt. 1st Class Tyrone C. Marshall Jr.
American Forces Press Service

国防総省高官が7月22日に訪問する日本側代表団にMV-22およびCV-22オスプレイで最近発生した事故の背景説明をするとジョージ・リトル ペンタゴン報道官George Littleが本日発表した。
  1. 「これは国防総省が本件を真剣に捉えていることの現れであり、日本国政府からの照会への対応でもあります」
  2. 予 定では国防総省の軍民双方の高官の中にはマーク・リパート国防次官(アジア太平洋担当)Mark W. Lippert, the assistant secretary of defense for Asian and Pacific security affairsも同席するという。沖縄県知事が提起した懸念の解消もねらいだ。国防総省はMV-22のアジア太平洋地域への配備を進めている。
  3. MV-22はターボプロップ機の速度と航続距離を持ち、ヘリコプター同様の離着陸性能があり、戦闘装備の海兵隊員24名を運ぶ。従来型ヘリの2倍の速度でより長距離飛行が可能だ。CV-22は空軍の特殊部隊輸送用機種だ。
  4. MV-22オスプレイが4月22日にモロッコの演習場で墜落した事例がアフリカンライオン軍事演習で発生している。また、CV-22が6月13日にフロリダ州で墜落し、5名の搭乗員がけがをしている。
  5. 「今回の背景説明では6月13日の事故を中心に情報を開示すると共に原因究明の途中経過も報告します」と報道官は説明し、エグリン空軍基地の関係者も同席すると追加した。
  6. 一方で4月のMV-22事故の初期調査結果も紹介される。同報道官によると初期調査結果は機体の問題が原因ではないとのことで、オスプレイの安全運航実績と信頼性を強調している。
  7. 「累計飛行時間は14万時間になっており、このうち三分の二がこの2年間で実施されています。米空軍及び海兵隊はCV-22、MV-22の運用を世界各地で継続しており、米国内での人員輸送運用はもちろん、アフガニスタンでの戦闘任務にも投入されています」

2012年6月23日土曜日

ボーイングのファントム・アイは長期間耐空性能の実証をめざしています

Boeing Looks To Return Phantom Eye To Flight This Year

 

aviationweek.com June 22, 2012

ボーイングは液体水素を燃料とするファントム・アイ無人実証機の飛行を今年中に再開する。同機は6月1日の初飛行後の着陸で損傷している。
  1. 事故の原因調査と損傷評価は採取段階にあり、機首降着装置の不良が原因とされる見込みで設計に問題があったとする。
  2. 事故による損傷は機体構造上で現れているが、修復は比較的容易なようだ。降着装置の強化のため部品・構造上で改善策が講じられよう。
  3. 今回の事故原因が究明されれば、今年中の飛行再開に向かう。
  4. ファファントムアイはエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)で28分間の初飛行をし、高度4,000フィートに達した。今後は高度10,000フィートに達したあと、最終的に65,000フィートを目指す。同機は連続4日間の空中待機ができる設計。
  5. 実用型は10日間飛行待機をめざし、およそ2,500ポンドのペイロードを搭載した場合は7日間にこれが伸びる。翼巾は250フィートとなる。
  6. ボーイングにとってはグローバルホーク無人機ブロック30およびブルーデビル2飛行船が空軍の予算削減の影響を受けていることが好機となる。ファントムアイの飛行時間コストはグローバルホークよりも相当低いと同社は説明している。

royalさんのコメント

将来のスタンドオフ機材として有望な可能性を示す機材だ。核巡航ミサイル使用の危険性が高まる中で運用されればロシアや中国は核先制攻撃を実施するのが事実上不可能となるだろう


2012年6月17日日曜日

X-37B2号機が469日の軌道上飛行を完了し帰還

Second X-37B completes classified space mission
aviationweek.com  Ares, Posted by Guy Norris 12:13 PM on Jun 16, 2012

本日早朝に米空軍のX-37B軌道実験機の2号機(OTV-2)がヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォーニア州)に着陸し、軌道上飛行469日の記録を樹立した。これは1号機OTV-1の飛行期間の二倍以上。
  1. 今 回のミッションの詳細は秘密扱いで、OTVの一回目の飛行と同じだ。同機の写真はまもなく公表されるとみられるが、空軍はボーイングX-37Bが「軌道上 実験』を完了したとだけ発表する秘密徹底ぶりで、短い声明文で同機の「帰還能力」により空軍は新技術のテストを低リスクで実施できるとしている。
  2. X- 37Bは全長29フィートで小さい主翼つき。ヴァンデンバーグ基地への着陸は6月16日午前5時48分(太平洋標準時)で、15ヶ月に及ぶミッションが完 了した。アトラス5でケイプカナベラル空軍基地(フロリダ州)より2011年3月5日に打ち上げられた。今回のの長期間飛行により当初の設計での軌道飛行 設定270日間が改良されたことが実証された。
  3. 打ち上げ前に米空軍からは今回のミッションは「OTV-1による軌道上飛行能力の実証結果の上に、さらにテストを実施し、技術要因を微調整する」としていたが、テストの内容、軌道上で何をしたのかは秘密扱いだ。
  4. 専 門家から長期間ミッションとなって加圧タイヤなどに影響が出るのではないかと懸念が出ていた。OTV-1ではタイアの一つが着陸時にはパンクしていたよう で、より長期間飛行となるミッションではガス抜けが起こっても当然と見られていた。ボーイング、空軍双方から同機の着陸時の状況については何も言及がな い。■
 
 
打ち上げ前のOTV(米空軍提供)

米海軍向け無人機MQ-4Cトライトン登場


Northrop Grumman Unveils U.S. Navy’s First MQ-4C Triton

By Guy Norris

aviationweek.com June 15, 2012

LOS ANGELES — 6月14日ノースロップ・グラマンのパームデール工場(カリフォーニア州)でMQ-4C広域海洋監視Broad Area Maritime Surveillance (BAMS) 無人機が米海軍により公開され、トライトンと命名された。
  1. 一方、BAMS実証用ブロック10で製造された5機のうち一機が6月11日にパタクセントリバー基地(メリーランド州)近郊で墜落喪失した原因まだ解明されていないと海軍は言及した。
  2. 今 回ロールアウトしたトライトンはグローバルホークの改良型で2機がテスト・開発用に製造される。MQ-4Cは68機が海軍用に調達される予定だ。「太平洋 に重点を移そうとする中で本機の性能は今までにまして必要なもの」と米海軍副作戦部長マーク・ファーガソン大将Adm. Mark Fergusonは発言している。
  3. 「BAMSは他にはない優位性を米海軍に提供する。長距離定時監視能力で海上戦闘の様相が変わるだろう」
  4. トライトンはボーイングP-8Aポセイドン(117機調達予定)と合同で運用される。現在230機が在籍するロッキード・マーティンP-3部隊は老朽化が進んでおり退役する。
  5. トライトンの初飛行は2012年末の予定で、エドワーズ空軍基地付近の立ち入り制限空域で9回のテスト飛行を行った後、パタクセントリバー海軍航空基地に移送され開発作業を完了する。初期作戦能力獲得は2015年12月の予定。■

2012年6月16日土曜日

ノルウェーのF-35A導入計画がまとまる


Norway Places F-35A Order

aviationweek.com June 15, 2012

ノルウェー政府はF-35A共用打撃戦闘機導入を決定し、予算上の手当をすでに行なっている。同時にコングスバーグ共用打撃ミサイルKongsberg Joint Strike Missile (JSM)を同戦闘機に搭載することで産業界への目配りもする。
  1. 「今 回の決定は米国防総省との長期間対話の結果引き出されたものでノルウェー産業界にも裨益することを目指してきた」と同国エスペン・バース・アイデ国防相 Espen Barth Eideは発表。パネッタ国防長官からはJSM搭載の実現を取り付けた。ノルウェー政府によると書簡によりその保証を入手しているという。
  2. この他のF-35共同開発国にも同ミサイルへの関心を示す向きが出ているが、ミサイル自体は開発中であり、ノルウェーは同ミサイル販売で33億ドルから42億ドルの売上を見込んでいる。.
  3. ノルウェーのF-35A導入はまず2機を導入し、最終的に52機を調達する。総額で100億ドルの予定。
  4. 最 初の二機は訓練用に米国内に配備される。さらに二機を訓練用に調達する。この訓練機材は2016年に引渡しとする。残る48機はノルウェー国内のオーラン ド・マイン空軍基地に配備する。納入は2017年から開始する、と国防相が発表。さらにエベネス基地を前進運用地点とし、極北地帯への同国の利害関心に呼応することとする。同国議会では調達予算の増額をすでに承認している。