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F-23が制式採用されていればF-22以上の高性能戦闘機になったはずなのに...

いまさら30年も前の不採択機について言うのはなんですが、敗けたのは性能でなく、企業力の違いとここまではっきり言われてしまうと、選択が違っていれば安全保障環境は今ごろどうなっていたかと思わざるを得ません。技術で優れていてもアピールが足りなかったということでしょうか。F-3となるNGFにもその設計思想が影響を与えるのか、F-3の話でこの機体の存在がちらちらするのは何か意味があるのでしょうね。National Interestの記事からです。



ースロップが受注成功していればF-23が実現し、より高い性能を誇っていたはずだが、相当の高額機材になっただろう。
 1991年、ロッキードが米空軍の高性能戦術戦闘機(ATF)競合を勝ち抜き、F-22ラプター制空戦闘機となり、ステルスで世界を圧倒した。
 敗けたノースロップYF-23は設計で上回っていたのに、米空軍がロッキード案に傾いたのは同社の開発管理の実力の方が高く、ラプターの方が費用を抑えられると判断したためだった。
 当時のノースロップはB-2スピリット・ステルス爆撃機事業他で大幅なコスト超過を発生させており、ペンタゴン、議会からにらまれていた。共同事業体のマクダネル・ダグラスも誇れる状態ではなかった。「空軍がATF交付先をどう決めたかわからないが、ノースロップのテスト不正事例、契約不履行や過去の罰金事例が考慮にあっただろう」とジョン・コニヤース下院議員(民、ミシガン)がLAタイムズに語っていた。
 だがF-23として実用化されていたらどんな機体になったのか。ジェネラル・エレクトリック製の革命的な可変サイクルエンジンYF120の搭載でどんな性能が実現していたか。
1991年当時でも、YF120エンジン搭載のYF-23はプラット&ホイットニーYF119を搭載した競合機を上回る性能との認識だった。YF-23は超音速巡航機能、ステルスで上回り、低速域の操縦性に難があると指摘があった。
 「YF-22、YF-23でAoA迎え角60度で全く同じだったのは興味深い。YF-23は推力偏向機能を使わずに実施できた。V字尾翼が本来不安定な機体で大きな機能を果たした」と両機種に詳しい内部筋が述べている。「YF-22の利点は超低速の飛行時に発揮されたが、両社とも時間不足のため低速での運動性を入念に調査できず、AoAでも同様だった。機体の比較検討時ではPR的なフライトテストが重要だとわかる事例だ。ロッキードはこの点を理解し、高AoAをやってミサイル発射し9Gで操縦してみせた。すべて一回きりの実施だったが印象は残った」
 この内部筋によればノースロップには不利な要素があった。
「ACC(航空戦闘軍団)のパイロットはドッグファイト重視の傾向があり、ロッキードは高AoAデモで好印象を与えた。テストは限定的かつ厳しいものではなかった」という。「ノースロップが実証中に高AoAを避けたのが過ちだ。両機種も同じように操縦できた。だがYF-22の方が『優れているように見える』と評価されたのは同機が興奮を呼ぶ飛行を見せたのにノースロップはこれをしなかったためだろう」
 だが実戦機材に意味があるのか。いずれにせよ米空軍は高性能制空戦闘機を配備できた。ロッキード・マーティンF-22が米国で生産された制空戦闘機で最高の存在であることは事実だが、F-23が実現していらばさらに優れた性能で、現在ラプターが想定する敵勢力の機材に十分対応できるだけの余裕があっただろう。
 F-23は航続距離でラプターを上回ったはずだ。超音速巡航性能が寄与する。YF120エンジンの効果で太平洋では大きな意味がある。ステルス性能も上でありながらラプター各速度域や高度でラプター以上の操縦性能を発揮しただろう。
 ラプター、F-23ともに空対空ミサイル8本の機内搭載は空軍の要求どおりで変わりない。さらにエイビオニクスも差はなかったはずだ。両社の提案構成は類似していた。ラプターはYF-23で搭載予定のレーダーを採択している。
 空軍はラプターを選定した。だがYF-22、YF-23ともに優秀な設計だった。ノースロップF-23になっていれば全般面でもっと高性能機になっていただろうが、価格は高くなった可能性がある。F-23で米空軍は中国のJ-20やロシアのSu-57に対しても余裕ある性能を実現していたはずだ。だがそれで機体価格の差が正当化できただろうか。むずかしい疑問で、想像するしかないだろう。■

この記事は以下を参考にしました。

King Of The Skies: Who Wins When The F-23 And F-22 Stealth Jets Do Battle?

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January 18, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-23MilitaryTechnologyWorldStealthAir Force


コメント

  1. >米空軍がロッキード案に傾いたのは同社の開発管理の実力の方が高く、
    >ラプターの方が費用を抑えられると判断したためだった。
    管理能力やB2でのコスト超過と並んで、なにより、YF-22は戦闘機としてトラディショナル
    な設計の延長上にあり、官側からしても安心感があったと思いますね。
    このような記事が出るように、YF-23のアヴァンギャルドなデザインは今なお人々に高性能
    を連想させますが、F-23開発がF-22と同レベルで成功裏に収束したかどうか、想像以上の
    ことは誰にもわかりません。
    個人的には、YF-23が採用された場合、同機のweapon bayがうまく機能したのか気になるところです。YF-23のweapon bayはF-22やF-35に比べ幅が狭い分高さがあり、兵装を上下
    に並べる構想だったはずです。上側に積んだミサイルを発射するには、WW2の艦爆の様に
    パイロン全体を空中ブランコ式(trapeze)で機の下にせり出す構想?だったようですが、
    はたして、超音速の空中戦闘でそのようなシステムがうまく機能したのでしょうか・・・

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