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ソレイマニ司令襲撃の背景と余波、無人機一機でこれだけの仕事をした、 イラク政府の動きも要注意

New Details About Strike On Top Iranian Commander Emerge As Americans Are Told To Flee Iraq (Updated)
Thousands of American troops are heading to the Middle East as Iraqi officials are mulling kicking the U.S. military out and amid Iranian threats.

BY JOSEPH TREVITHICKJANUARY 3, 2020


イク・ポンペイオ国務長官はイランのクッズ部隊司令官カセム・ソレイマニは米国に「差し迫った」脅威となっており、バグダッド国際空港近郊でSUV2台を狙った無人機攻撃は「米国人の生命を救った」と述べた。ただし前例のない米軍の行動へ反発も予想され、イラク政府が米軍を追い出す命令を出す可能性も増える中、国務省も米国市民になるべく早く同国を退去するよう求めている。米軍は域内に数千名規模の増派を正式に決めており、中東各国はイラン及びその代理勢力による対応に身構えている。

統合特殊作戦軍団の無人機一機、MQ-9リーパーとの報道がある、が今回のミッションを実行した。イラン政府はソレイマニとあわせイスラム革命防衛隊(IRGC)の有力者4名の死亡を確認した。クッズ部隊はIRGCの一部でテロ活動、軍事活動をイラン国外で実施する際の統制調整を担当する。「電子情報収集活動で得た極秘情報によれば偵察機他情報収集機材」が襲撃の立案に関わっていたとニューヨーク・タイムズが報じている。

ポンペイオ国務長官は1月3日のCNN出演で「どんな脅威だったのか詳細はお話できない」と述べたが脅威は「差し迫っていた」とし中東の米国権益が標的だったとのみ発言。「陰謀の防止のための行動だった。無作為のリスクはとても大きいと情報機関が評価した」とも述べ、「リスクのない形で情報は今後公開したい」とした。

ソレイマニ襲撃作戦の決定時期ははっきりしない。ニューヨーク・タイムズは実行の許可をホワイトハウスが与えたのは2019年12月27日のことでキルクークのK-1基地にロケット攻撃があり、民間請負業者関係者一名が死亡し、軍人数名が負傷した直後だったとする。ペンタゴンはソレイマニの死亡は本人の行いが原因であり、イラン政府がK-1基地襲撃を計画したと非難していた。襲撃後に米軍はイランの支援を受けK-1基地を攻撃したカタイブ・ヒズボラへ空爆を加えた。

サウスカロライナ選出(共)でトランプ大統領に近いリンゼー・グラム上院議員は1月3日にフォックスニューズで襲撃作戦の事前説明を「フロリダで」受けたと明かし、報道陣が同議員を2019年12月30日31日にトランプのマー・ア・ラゴ別荘で見かけており、作戦準備が事前に進んでいたことを示している。

このことからソレイマニ襲撃は12月31日の在バグダッド米大使館襲撃事件の前に実行が決まっていたことにある。米軍の説明ではソレイマニは大使館襲撃も指揮したとある。大使館襲撃は米軍空爆への抗議として実行され、カタイブ・ヒズボラはじめイランが支援する戦闘員集団がイラク政府の人民動員部隊(PMF)の傘下で動員され実行された。

襲撃を受け米軍は海兵隊危機対応部隊をクウェイトから派遣し、大使館の警備を強化した。また82空挺師団の人員も動員すると発表があり、緊急対応部隊(IRF)の呼称で体制を整備する。

航空機スポッターは飛行追跡ソフトを駆使し特殊作戦部隊がヨーロッパから中東に移動する様子を見つけた。大規模空輸作戦で人員装備を送り込み、米軍機他が各地の航空基地民間空港を経由して中東各地のほか、トルコへの飛来がまだ続いている。

米軍が数千名規模の増派をするので空輸活動は今後も続きそうだ。IRFの規模は4千から5千名だがさらに追加部隊の準備も進んでいる。

こうした動員でIRFが強化されるが米大使館襲撃で死傷者が発生しておらず、大使館の被害も外周部にとどまっていることを考えると過剰反応に見える。だが、イランおよびその代理勢力がソレイマニ襲撃を受けて示す反応を見れば当然に思える。カタイブ・ヒズボラの指導者でPMFを司る人民動員委員会の副委員長アブ・マディ・アル・ムハンディスも今回の無人機攻撃により死亡していることに注目だ。PMFではイラク国内のイラン支援勢力に報復を繰り返し呼びかけている。

「何らかの攻撃計画があるとわかれば先制攻撃で米軍部隊を守り、米国国民の生命を保護する」とマーク・エスパー国防長官は1月2日、ソレイマニ襲撃の前に報道陣に語っていた。

2019年12月初旬に米政府が中東の米国権益へイランおよび代理勢力による脅威が高まっているとの情報を掴んでいたことに注目すべきだ。同月中にイラク国内の米軍基地ロケット攻撃が11回あり、すべてイランとつながる戦闘員集団が実行した。

米政府はソレイマニを数十年に渡り監視しており、本人を狙う機会が検討されてきた。退役陸軍将軍スタンレー・マクリスタルによれば2007年のイラクでソレイマニを排除する選択に進まなかったと語る。当時マクリスタルは統合特殊作戦司令部の指揮官で政治的反動を恐れたという。クッズ部隊はイラク国内の戦闘集団を支援し米軍等に戦闘を仕掛けさせるほか、直接襲撃にも関与していた。
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翌年にシリアにいた本人の暗殺をCIAとモサドの提言をジョージ・W・ブッシュ大統領が拒否したといわれ、CIAとモサドはレバノンのヒズボラナンバー2のイマド・ムグニエをシリア首都ダマスカスで殺害した。

つまりソレイマニ殺害の場合の影響はすでにジョージ・W・ブッシュ政権時に考慮されていたことになる。事態を複雑にするのはイラク政府がイランと強いつながりがあり、今回の襲撃でイラク政府の代表者でもあるムハンディスが死亡していることだ。

イラク当局はカタイブ・ヒズボラへの米軍空爆を公然と批判しており、同国首相アディル・アブドゥルマーディは強い伍長の声明文を今回の襲撃事件語に発表した。「公職につくイラク軍事指導者を殺害したのはイラクへの攻撃であり、イラク国民が攻撃を受けたのと同じだ」「暗殺は米軍のイラク駐留条件に違反し、そもそもはグローバル規模の有志連合の一環としてイスラム国勢力に対する戦闘の訓練が役割のはずだ」「本日、議会に緊急会合を求め適切な立法措置によりイラクの威信、安全、主権の保持をめざす」

イラク国会内の親イラン勢力は米軍の退去を求めており、さらに声を上げそうだ。シーア派で影響力を有し物議を呼ぶムクタダ・アル・サドルはイラク政界にも影響力を持ち、今回の襲撃事件時にはイランにおり、2000年代にイラクで米主導の占領体制に挑戦したアル・マーディ部隊、アル・ヨム・アル-モウド戦闘集団の再編をめざすと宣言した。

.ポンペイオ国務長官はテロリストや先頭集団を中東全域で支援する首謀者ソレイマニの殺害により世界は安全になったと主張する。ただし、国務省はイラクから米国民の退去を検討中と言われ、バグダッドの米大使館には近づかないよう求める。米国人は可及的速やかにイラク国外に移動するよう求める緊急通告が出ている。

イランは三日間の服喪を決め、クッズ部隊の新司令にエスマイル・ガーニEsmail Ghaani准将を指名した。イラン政府は「激しい報復」を誓いこのままでは米国のみならず同盟国協力国へのなんらかの形の報復は避けられないようだ。なかでもイスラエルとサウジアラビアをイランは敵視している。

サウジアラビアから公式発表はまだないが、匿名筋が同国のアル・アラビヤ通信に「域内の安全に驚異となる作戦行動の事実を把握しており、テロリスト戦闘集団の脅威を集結冴えるためにも王国は事態を悪化させかねない行動を自制する」と述べている。

今回の襲撃事件には他の同盟国は関与しておらず米国による一方的行動であることは明白だ。英国は「すべての関係国によるエスカレーション回避」を求め、フランスも米作戦で世界は「より危険な」場所になったと述べた。

英仏にドイツ、ロシア、中国がイラン核開発合意に加わっている。襲撃事件でイランがさらに合意内容の違反に走り、イラン政府が制裁緩和他の譲歩を求める動きが加速すると各国は見ている。

一方でイランおよび代理勢力はイラクで死亡者の埋葬に気を取られているようだが事態のエスカレーション回避に向かうとは到底思えない。

トランプ大統領はイランとの戦争やテヘランの政権転覆は狙わないとする一方で必要ならイラン権益への攻撃続行を示唆しており、標的はすでに「把握済み」としている。■

コメント

  1. 北朝鮮もこれが「斬首作戦」だということは判っているだろう。
    但しキムジョンウンを追い詰めるには韓国の情報も必要だが、これは今の政権では正確な所は得られない。
    なので南北の接近は再び始まるのではないか。

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