老朽化したE-3の後継機としてNATOが選んだE-7ウェッジテイル・レーダー機
NATO
NATOは米空軍に続き、老朽化したE-3AWACSの後継機としてE-7A Wedgetail AEW&C機を選択した
NATOの次期空中早期警戒管制(AEW&C)プラットフォームは、ボーイングE-7Aウェッジテールとなる。同機で、E-3セントリー空中警戒管制システム(AWACS)の老朽化に対応する。米空軍もE-7を調達しており、E-3フリートを交替する。
NATO支援調達機関(NSPA)(同盟の多国間取得、支援、維持を担当)は本日、E-7Aの6機を「取得に向けた措置を講じる」計画を発表した。これはiAFSC(Initial Alliance Future Surveillance and Control)として知られる取り組みの最初となる。NATOは米国の対外軍事販売(FMS)を通じてウェッジテイルを購入する。
ボーイング737を改造した機体をベースにしたE-7の主な任務センサーは、機体上部の大型フェアリングに搭載されるノースロップ・グラマンのマルチロール電子スキャン・アレイ(MESA)レーダーである。このレーダーには空と海の捜索モードがあり、広範な通信とデータ共有機能も装備されているため、空だけでなく海や地上の他の友好的な資産と関連情報を共有できる。
E-7のようなAEW&Cプラットフォームは、現代の空戦作戦を支援する重要なアセットで、複数の脅威を探知・追跡でき、空戦空間の特定エリアを監視することもできる。また、海上目標を追跡することもできる。さらに、E-7Aは重要な指揮統制および戦闘管理プラットフォームとして機能し、空中および下方の他の資産へのデータの流れを確保する。
E-7Aを取得する決定は、NSPAが同盟の支援パートナーシップ国とともに行った: ベルギー、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ルーマニア、米国である。厳密な評価プロセス」の一環として、情報提供要請(RFI)と価格と入手可能性(P&A)が評価され、オーストラリア、韓国、トルコ、英国、米国の過去のE-7取得プログラムも調査された。
E-7はすでにオーストラリア、韓国、トルコで運用されている。E-7はイギリスとアメリカからも発注されているが、イギリスの調達プログラムは遅延とコスト超過に悩まされている。
この納期は、NATOの現在のE-3フリートの2035年前後の退役計画と、E-7Aの2031年の初期運用能力(IOC)達成の願望に基づく。
NSPAによると、ウェッジテイルが最有力候補と判断された理由として、"軍事用既製プラットフォームの多国間取得から派生するスケールメリット、共通性、相互運用性"がある。このような共通性の高さと他のE-7フリートとの相互運用性の見込みは、他の唯一の現実的な候補であった、ボンバルディア・グローバル6000/6500長距離ビズジェット機フレームをベースとするサーブのグローバルアイに対し、ボーイング製品が優位に立ったことは明らかである。
興味深いことに、iAFSCの取り組みは「空中監視制御能力ギャップのリスクを軽減するための初期要素」を提供すると説明されているが、ウェッジテイルは「アライアンス全体の未来監視制御(AFSC)システム能力への貢献要素のひとつ(...)」に過ぎない。
NATOはiAFSCでわずか6機のE-7Aを発注するが、より広範なAFSC構想の一環として、ウェッジテールの追加発注が行われる可能性は十分にあると思われる。結局のところ、ドイツのガイレンキルヒェン空軍基地を本拠地とするNATO空中早期警戒管制部隊(NAEW&CF)は現在16機のE-3Aを運用している。
一方、AFSCを「システム・オブ・システム」能力と表現しているのは、最終的な規模がどうであれ、E-7Aフリートをセンサーの統合ネットワークの一部として運用するという野心を指している。
NATOが本日発表したグラフィックでは、iAFSC(またはE-7A)は多面的なAFSC事業の一部として描かれており、これには搭乗員のいない空中偵察(NATOのRQ-4D Phoenix高高度長期耐久ドローンが描かれている)、宇宙ベースのISR(情報、監視、偵察)、海上ベースのISR、陸上ベースのレーダー、MILSATCOMも含まれる。またデジタル・バックボーン、コンバット・クラウドも取り上げられているが、最後のセグメントは空白のままであり、後日他のプラットフォームや能力が追加される可能性を示唆している。
宇宙ベースのアセットでさえ不死身とは言い難いが、米軍はより弾力的で脆弱性の少ない将来の分散型宇宙ベースのネットワークの可能性と、破壊されるなどして運用不能になった衛星を迅速に交換する方法をますます検討していることに注目することは重要である。
米空軍と同様、E-3やE-7タイプの航空機と同様の機能を提供できるレーダー搭載衛星の開発について、NATOがどの程度進んでいるかは不明だが、機密プログラム以外では、複数の国や民間企業が、主に撮像目的ではあるが、さまざまな宇宙ベースのレーダーを公的に運用していることに変わりはない。
興味深いことに、NATOはE-7Aを最初の6機以上購入することはもちろん、別の機種を追加することについても今のところ何も言っていないが、欧州のAEW&Cの文脈ではサーブにまだ希望があるかもしれない。
NATOがロシアに近接していること、ロシアの軍用機やドローン、ミサイルの動きを監視する必要があることを念頭に置くと、欧州作戦地域特有の要求から、ウェッジテイルのようなAEW&Cアセットが特に貴重なものとなっている。これは近年、より大きな問題となっているが、ヨーロッパにおける日常的な空域監視のニーズは冷戦時代から存在している。■
E-7 Wedgetail Radar Jet Chosen By NATO To Replace Aging E-3
BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED NOV 15, 2023 1:08 PM EST
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