スキップしてメイン コンテンツに移動

CCAの機体価格目標はF-35の三分の一との米空軍の方針があきらかになった。CCAは1000機の導入を目指し、初期型は5年以内に生産開始するとの目標。

 The War Zoneが米空軍が実現を目指しているCCA協調型無人戦闘航空機についてケンドール長官の発言等を通じて概要を紹介しています。中国の数の横暴に対抗できる手段になるのか。NGADの一つにもなるシステムオブシステムズ構想としても注目です。

Secretary of the Air Force Frank Kendall has offered new details about his service's plans for the Collaborative Combat Aircraft program.

USAF


CCAは、F-35の4分の1から3分の1の機体価格を想定していることが明らかになった


ランク・ケンドール空軍長官は、有人機とともに戦う将来の無人戦闘機CCA(Collaborative Combat Aircraft)の価格が、現在のF-35共用打撃戦闘機の4分の1程度になるよう目指していると述べた。ケンドール長官は今日、ワシントンD.C.のシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)で行われた公開イベントで、CCAプログラムについて説明した。

 CCAの中心は、有人戦闘機と密接に連携し高度な自律性を持つ高性能無人航空機少なくとも1000機の取得である。このプログラムは、空軍の大規模な次世代航空優勢(NGAD)近代化構想の一部となり、新しい有人第6世代戦闘機、兵器、電子戦スイート、センサー、戦闘管理能力、エンジン、その他のシステムの開発も含む。

 ケンドールをはじめ空軍高官は、こうした乗員なしの航空機を、特に中国とのハイエンド戦において、空軍がどのように作戦を遂行し、将来的に重要になる「アフォーダブル・マス」の達成に重要な要素となると繰り返し説明している。

 「NGADプラットフォームとF-35、そしてB-21を戦闘機材として購入するだけでは、空軍を維持できない。これらのシステムはすべて(場合によっては)1億ドル以上のカテゴリーに入る。「だから、大規模で手頃な価格を実現できるものが必要だ。CCAはそのために設計された」。

 CNASのシニアフェロー兼防衛プログラム・ディレクターであるステイシー・ペティジョンとのケンドール長官談話と、その後の質疑応答から、CCAに関するその他の主な要点は以下の通りである:

  • CCA1機の大まかな予想コストは、F-35統合打撃戦闘機の現在の単価の「4分の1から3分の1」程度になる。

  • 空軍は、CCAへの要求内容の定義を確立し、要求の「適切なバランス」に取り組む「初期段階」にある。

  • 「作戦コンセプトに合致した航続距離とペイロード特性が必要だ」。このコンセプトは、「有人戦闘機の前方を飛ぶか、あるいは有人戦闘機に随伴する」ことであり、中核要件に沿った有用な「航続距離とペイロード能力」を持つドローンだ。

  • 各CCAは、「戦闘機が搭載するシステムをフル装備」するわけではない。

  • あるものは武器を搭載し、あるものは他のシステムを搭載する。「CCAのコンセプトでできることのひとつは、どのシステムを搭載するか、どの機能を搭載するかが選択できることで、モジュール設計でこれが可能になる。これはまた、敵が各機を武装機材として扱わなければならないことを意味する」。

  • ケンドールは、「長い滑走路への依存から逃れられることは、素晴らしい。航空機が生存しやすくなる」と述べた。

  • CCAがどのようなものになるかについて「さまざまな競合するコンセプト」を産業界は提供している。

  • 目標は、5年以内にCCAの「最初のインクリメント」の生産を開始することである。その目的は、「合理的な数量をできるだけ早く(CCAを)実戦配備する」ことである。

  • 「CCAは消耗品ではない。CCAは、一部の損失があっても運用に大きな影響を与えないシステムを目指す」。これはまた、「比較的迅速に生産可能」な必要を意味する。

  • 「新しい、高性能有人戦闘機を手に入れるのにかかる長い時間を(CCAでは)かけるつもりはない」。

  • 将来のCCAフリートの規模に関する計画数値は1000機だが、「それ以上になる可能性が非常に高いと思う」。

  • 1,000機という数字を公表した背景には、空軍がCCAプログラムに真剣に投資しているとの明確なシグナルを業界に送る重要な理由がある。「産業界には技術に投資し、我々のために効率的に生産できる製品を作る方法を考えてほしい」。

  • CCAは将来の中国とのハイエンドな紛争に勝つために十分な運用能力を提供し、それをコスト効率よく行うために、空軍が今行おうとしている「ヘッジ投資」のひとつでもある。

  • CCAは、改造されたパイロット・オプションのF-16を使った自律性開発や、ボーイングMQ-28ゴースト・バット無人偵察機を利用したテストなど、他プロジェクトからも恩恵を受けている。「ゴーストバットを実験機として使用し、有人機との運用経験を積んでいる」。

  • 空軍はCCAを、今年初めに発表された国防総省のレプリケーター構想を補完するものと考えている。


 CCAプログラムの予想コストと生産目標、そしてその制約の中で空軍がどのように能力的に得られるものを最大化することを望んでいるかについてのケンドールのコメントは注目に値する。CCAドローンは第5世代や第6世代の戦闘機よりも大幅に安くなるようだが、ここに示されているのは、米軍予算の基準からしても必ずしも安価なものではない。

 F-35の既存の3型式の単価計算方法は、長い間議論の対象となってきた。例えば、『Air & Space Forces』誌によれば、1月時点でロッキード・マーティンは、空軍が飛ばすA型の価格を6990万ドルとしているが、この数字にはプラット・アンド・ホイットニーF135エンジンは含まれていない。米軍のF-35統合プログラム・オフィスが最近『Defense One』に語ったところによると、最新の生産ロットに含まれるエンジンを含む3型式の平均単価は約8250万ドルだという。

 その4分の1だと2,060万ドル弱となる。したがって、この単価でCCAを1000機購入した場合の請求額は206億ドル近くになる。ケンドールが指摘したように、これでも1機1億ドル近い、あるいはそれ以上の金額の有人ジェット機を購入するよりはるかに安い。空軍長官は以前、同軍が200機の購入を計画しているNGADジェット機は1機あたり「数億ドル」かかると述べている。

 CCAの要件に関して、ケンドールが大きな滑走路からの脱却を望んでいるという具体的な言及は興味深いが、驚くべきことではない。空軍は、大規模基地の脆弱性が増していることを懸念しており、分散作戦や、新しいカモフラージュ、隠蔽、欺瞞の能力と戦術の必要性は、今後そのようなリスクを減らすため不可欠であると公言している。

 また、ケンドールは、複数のMQ-28がCCAプログラムに関連した空軍の試験をサポートするために使用中と述べている。もともとオーストラリア空軍(RAAF)向けに開発されたこの無人機のうち、少なくとも1機を空軍が取得したことが2022年に明らかになっていたが、それ以来、この取り組みに関する詳細は限られている。

 CCAの取り組みやNGADプログラムについては、多くが極秘扱いだが、ケンドールの本日の発言は、多くの詳細が明らかになりつつあることを強調している。新型無人機の「最初のインクリメント」の正式コンペのキックオフが近づくにつれ、この傾向は続きそうだ。■


CCA Loyal Wingmen Drones To Cost Quarter To Third Of An F-35

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED NOV 13, 2023 8:39 PM EST

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM