2022年3月22日火曜日

米国がついにウクライナに無人機装備の供与を決定。ISR機能の拡充となれば地上部隊に有利な状況が生まれそう。

 


Pentagon Sends Drones to Ukraine


 

中高度を飛ぶグローバルホークや高高度のU-2など、ウクライナ軍に大きな効果をもたらす可能性のある作戦システムが多数ある。

 

イデン大統領は、国民向けテレビ演説の後で、ウクライナ向け8億ドル支援パッケージに署名し、あらたに無人機装備も含まれている。

 

 

無人機をここに来て供与する意味

 

今回は無人機が含まれたが、これまで国防総省や国家安全保障の指導層が言及したり強調してこなかったので、非常に重要だと思われる。

 米国製無人機の技術的洗練度を考えれば、ロシアの地上の動向を追跡し、地上にいるウクライナの防衛隊に重要なデータをネットワーク送信する能力に極めて重要な意味がありそうだ。

 大統領発表を受けて、ロイド・オースティン国防長官は声明を発表し、ウクライナへの米国の全体的な支援との関連で、新展開を発表した。

 「大統領が署名した2022年度ウクライナ補正予算を根拠とする追加権限により、米国防総省は第5回大統領令による安全保障支援を迅速に進めている」と述べた。オースティンは国防総省声明で、「本日の最大8億ドル相当の支援で、政権発足以来の米国の安全保障支援の総額は20億ドル以上となる」と述べた。

 総合支援パッケージは、弾薬、武器システム、肩撃ち防空迎撃ミサイルのほか、無人機も含む。

 無人機は、ウクライナ人がロシア軍の動きに関する重要な情報を得るまでの時間を短くすることで、実質的に貢献できる。例えば、キーウに迫るロシア攻撃部隊の動きをリアルタイムで伝えるデータがあれば、防衛拠点に分散するほぼ機動部隊が大きな恩恵を受ける可能性が高くなる。

 中高度を飛ぶRQ-4グローバルホーク、高高度のU-2、あるいはレイヴンのような近接市街戦に適した地上ユニット統合型手投げ式無人機など、ウクライナ地上軍に大きな価値をもたらす作戦システムが数多く存在する。

 小型無人機が地上部隊に組織的に配備され、ロシア防空網のレーダー圏内で活動すれば、ロシア軍を待ち伏せで殲滅を狙うウクライナ軍に重要な戦術的情報を提供するだろう。

 もちろん、ロシアの防空網がどこまで整備されているかという問題はあるが、地上の動きや熱源など、敵活動を検知できる超長距離センサーはますます充実している。

 また、無人機オペレーターは、機体が予測可能な経路をたどらないように、また防空レーダーや迎撃ミサイルの影響を受けにくい経路を進むように、戦術を調整できる。また、探知を回避する設計の中・高高度の無人機や、防空レーダーの開口部下で活動できる小型無人機も存在するようだ。

 合わせて、地上の指揮統制技術をウクライナに供与することも考えられる。戦闘の変化の速さを考えると、重要情報が地上の戦闘部隊に早く届けば届くほど、侵攻してくるロシア軍に対して成功を収める可能性が高くなる。■

 

Pentagon Sends Drones to Ukraine - Warrior Maven: Center for Military Modernization


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

MAR 17, 2022

 

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven - the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2022年3月21日月曜日

ウクライナばかりに目を奪われてはいけない。日本周囲で気になるロシア、チュウゴクの海軍部隊の動きをまとめてみました。

 

ニミッツ級空母USSエイブラハム・リンカン(CVN-72)から発艦するF-35CライトニングII は海兵隊戦闘攻撃飛行隊(VMFA)314「ブラックナイツ」の所属機。 March 15, 2022. US Navy Photo

【黄海上空で米海軍航空部隊が示威行動】米第7艦隊は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル発射を受けて、2022年3月15日黄海で空母機が航空示威行動を実施したと発表した。

USSエイブラハム・リンカン(CVN-72)の海軍F/A-18E/Fスーパーホーネットと海兵隊F-35CライトニングII共用打撃戦闘機、および米空軍機が国際空域に展開した。

声明では、北朝鮮が2月27日と3月5日に相次いで行ったICBM発射は、国連安全保障理事会決議と国際公約への公然たる違反であり、近隣諸国と国際社会に脅威を与えていると述べている。

米国は、「米国および同盟国の安全確保のため必要なあらゆる措置を今後も取る。DPRKがもたらす脅威に対処するため、同盟国・協力国と緊密な連携を維持している。韓国と日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎないものだ」と声明にある。

リンカンは1月22日にカリフォルニア州サンディエゴを出港し、西太平洋で活動中。

【フィリピンがPLANによる領海侵犯に抗議】フィリピン外務省は月曜日、1月29日から2月1日にかけての人民解放軍海軍(PLAN)によるスールー海侵犯について、中国大使を召喚すると発表した。フィリピン政府は問題のPLAN 艦船は、艦首番号 792 の東調級Dongdiao-class電子偵察艦とし、許可なくフィリピン海域に侵入し、パラワン州のクヨ群島とミンドロ州のアポ島海域に到達した。

フィリピン海軍のフリゲート艦BRPアントニオ・ルナAntonio Luna(FF-151)が PLAN 艦に警告したが、PLAN は無害通航と主張したうえスールー海に3日間にわたり滞留し、フィリピン艦から繰り返しフィリピン海域から直ちに出るように指示されても活動を続けた。

「国際公約を守るフィリピンは1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)第52条に基づき、無害通航権を認めている。しかし、PLAN792艦の行為は無害通航に当たらず、フィリピンの主権を侵害した」(声明文)。

【北海道付近でのロシア艦艇の動き】3月10日にロシア艦艇10隻が日本を通過したが、3月14日にも太平洋から日本海に航行するロシア艦が目撃された。

Japanese MoD images

水上艦3隻とキロ級潜水艦3隻のグループが宗谷海峡を、1隻が津軽海峡を通過した。

統合幕僚監部は、3月14日の報道発表で、宗谷岬の南東約130kmの海域で、水上艦3隻とキロ級潜水艦3隻が北西に航行するのを確認したと述べた。水上艦は艦番号で駆逐艦RFSマーシャル・シャポシニコフ(543)、ミサイル範囲計測船RFSマーシャル・クリロフ(331)、救助タグSB-522だった。

各艦はその後、ロシアのサハリン島南部と日本の北海道北部を隔てる宗谷海峡を西進した。統合幕僚監部によれば、駆逐艦「まきなみ」(DD-112)が監視を行ったという。

月曜日の2回目の発表では、同日午前9時にロシアの兵器輸送船が本州の尻屋崎の東北東約70kmを西に移動するのを探知し、その後、津軽海峡を西に移動し、日本海に航行したとある。また、掃海艇「いずしま」(MSC-687)がロシア艦を監視したと発表された。

津軽海峡は本州と北海道を隔て、宗谷海峡と同様、日本の領海は両端のわずか3カイリの国際海峡である。津軽海峡は、3月10日に10隻が通過していた。

今回のロシア艦船は、1月から2月にかけての大規模演習に参加したロシア太平洋艦隊の一部であり、演習終了後に母港へ向かったとみられる。■

US Carrier Fighters Overfly Yellow Sea in Response to North Korean Missile Launch - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

March 15, 2022 1:56 PM


兵站が追いつかないロシア軍、精密誘導弾の在庫も低下し、無差別攻撃に踏み切っているのか。ウクライナ戦をどう決着させたいのか。

  

 

A Ukrainian serviceman guards his position in Mariupol, Ukraine, Saturday, March 12, 2022. Ukrainian military says Russian forces have captured the eastern outskirts of the besieged city of Mariupol. But Russia is struggling to supply its forces with the most basic requirements three weeks after its troops invaded Ukraine, a senior U.S. defense official said Thursday, March 17, 2022.

ウクライナのマリウポリで防衛に当たるウクライナ軍隊員。 Saturday, March 12, 2022. ウクライナ軍によると、ロシア軍は包囲都市マリウポルの東部郊外を占領した。しかし、ロシアはウクライナに侵攻して3週間、物資補給に苦労していると、米国防当局高官が2022年3月17日木曜日に述べた。(Mstyslav Chernov/AP Photo)

 

シアが隣国ウクライナに侵攻し3週間が経過したが、ロシア軍は基本物資の補給に苦しんでいると、米国防当局高官が3月17日述べた。

 

 

 「明らかに、3週間後にこの状態になるとは想定していなかった。補給線が凍結する中、燃料補給し、部隊へ糧食、武器弾薬を供給するのに奮闘する(一方で)非常に強固なウクライナの抵抗に会っている」と、同高官は言った。

 ウクライナ戦争が始まって以来、ロシア軍の進軍ペースは、プーチン大統領の期待より遅いと、この同高官は述べている。

 ロシア軍のウクライナ進攻は、第一週から補給不足のため行き詰まっていたと同高官は述べた。

「1週目に、ロシア軍が兵站と維持を適切に計画していなかったのがわかり、燃料や食料の補給に苦労していた」と同高官は語った。「現地で部隊の維持に苦労している」

 米国はまた、ロシアの士気が「指導力の低下、部隊の任務や目標に関する情報の不足」や「ここまで激しく抵抗を受けていることへの驚き」のため低下している「逸話的な兆候」を見てきたと、当局者は語った。

 ウクライナ外務省によれば、ウクライナ軍はロシア軍約14,000人を殺害し、ジェット機86機、ヘリコプター108機、戦車444台、装甲車1,435台を破壊したという。米国は今日まで、どちらの軍の損失数も確認できていない。

 これまでのところ、プーチンは、数カ月かけてベラルーシやロシアとの国境沿いに積み上げた17万人以上の部隊や装備を送り込んで以来、ウクライナに追加の物資や装備、部隊を移動させていない、と同高官は述べている。

 しかし、開戦3週間後で補給の必要性が深刻になっていることは「注目に値する」とした。

「ロシアが戦闘力の大部分を利用できる一方で、補給と調達について話しているのは、長期化を心配し始めているためだろう」と同高官は述べた。

 3月17日時点で、ロシア軍はキーウに前進しておらず、首都中心から約18マイル東に留まっているという。ウクライナ軍は、ロシア軍の攻撃にもかかわらず、ブロヴァリーの制圧を防いでいる。

 キーウの北約88マイルにあるチェルニヒフは孤立したままで、南部のマリウポリも1週間以上にわたって長距離ミサイル攻撃を受けている。

 ウクライナ南西部の黒海では、フリゲート1隻、水陸両用艦2隻、水雷戦艦1隻など、ロシア海軍の水上艦艇が確認されている。ただし、揚陸強襲が迫っているとの指摘はない。

 ロシア軍は依然停滞しているが、同高官は、ウクライナは「静的な環境ではなく、多くの戦闘が行われている」と述べた。

 「前進できない理由は、(ウクライナ人が)ロシア軍に非常に積極的に抵抗しているからであり、双方が膠着状態にあるわけではない」と、当局者は述べた。「ウクライナはロシア軍のあらゆる動きに積極的に抵抗している 」。

 開戦以来、ロシアはウクライナへ1000発以上のミサイルを発射したと同高官は語った。ここ数日、侵略軍は非精密誘導弾に頼ることが多くなっており、命中精度が低いため、民間人に多くの犠牲が出ている。

 ロシアの補給問題も、非精密弾の使用増加の原因かもしれない、と同高官は言う。

「精密誘導弾を節約しているか、不足し始めた可能性がある」。

 ウクライナでは、ロシア軍が攻撃を続けており、病院や学校、集合住宅などの民間インフラが攻撃対象となっており、民間人多数が死亡している。■

 

Pentagon: Russia still struggles to feed troops and fuel tanks three weeks into its invasion of Ukraine | Stars and Stripes

BY CAITLIN DOORNBOS  • STARS AND STRIPES • MARCH 17, 2022

 

CAITLIN DOORNBOS

Caitlin Doornbos covers the Pentagon for Stars and Stripes after covering the Navy’s 7th Fleet as Stripes’ Indo-Pacific correspondent at Yokosuka Naval Base, Japan. Previously, she worked as a crime reporter in Lawrence, Kan., and Orlando, Fla., where she was part of the Orlando Sentinel team that placed as finalist for the 2017 Pulitzer Prize for breaking news. Caitlin has a Bachelor of Science in journalism from the University of Kansas and master’s degree in defense and strategic studies from the University of Texas at El Paso.


ウクライナ軍の抵抗を支えるジェベリン、スティンガー、NLAWのミサイル兵器。西側はさらに供与し、ロシア軍は損害を覚悟することになる。

 


A Ukrainian Territorial Defence Forces member holds an NLAW anti-tank weapon, in the outskirts of Kyiv, Ukraine, Wednesday, March 9, 2022.

キーウ郊外で対戦車兵器NLAWを持つウクライナ領土防衛軍隊員(2022年3月9日撮影)

March 9, 2022. AP Photo/Efrem Lukatsky

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  • ロシア軍はウクライナの抵抗に苦戦を強いられている

  • ロシアの装甲車両や航空機は、西側装備で強化されたウクライナ軍に阻まれている

  • 対空ミサイルのスティンガー、対戦車ミサイルのジャベリンとNLAWがウクライナ防衛に欠かせない存在となっている 

シア軍は、20万人近くの兵力と装甲車数千台を戦闘機や軍艦が支援する侵攻部隊を編成したが、ウクライナ侵攻が始まり3週間、主要目的を達成することができないままだ。

 ロシア軍は、48〜72時間の電撃作戦でウクライナを降伏させる想定だったが、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は激しい抵抗を続け、首都キーウ含む主要都市は依然ウクライナの手にあり、モスクワのみならず世界中が驚いている。

 ウクライナ人の気概と戦場での知識が防衛に大きく貢献しているが、NATOやEU諸国が提供した装備品もロシア侵攻を食い止めている。

 ウクライナは西側諸国から数十億ドル相当の兵器を受け取っており、今週も米国が10億ドルの安全保障支援を行ったが、中でも兵器システム3点が際立っている。

 米国製のFGM-148ジャベリン、FIM-92スティンガー、英国とスウェーデンの設計による次世代軽量対戦車兵器(NLAW)だ。


ジャベリンとNLAWの威力は高い



 戦車や装甲車は、ロシア軍の戦術思想の中核をなす。ロシアの大隊戦術集団battalion tactical groupsは、強力な火力で抵抗を圧倒するべく機械化された編成である。

 しかし、BTGは対戦車防衛ジャベリンに弱い。ジャベリンは発射後すぐ再使用可能な誘導ミサイルだ。

 ジャベリンは発射管と、制御装置や昼夜兼用の光学照準器を備えた制御ユニットの2つで構成する。ジャベリンミサイルの先端には赤外線ホーミング誘導装置があり、発射後に隊員は移動して反撃をかわす。

 ジャベリンは1発20万ドル近くと決して安くないが、「だから頻繁に撃つことはない」と、州兵部隊に配属されたグリーンベレー隊員はInsiderに語っている。

 「通常、(軍事訓練)クラスでは、優等生だけが実弾を発射する。他の生徒は実弾を込めない武器で手順を学びます。しかし、実弾を撃たなくても、発射手順や順序のマスターができます」と、同上グリーンベレーは述べている。


Ukraine Javelin anti-tank missile

2022年2月、ウクライナで行われた訓練で、対戦車ミサイル「ジャベリン」を発射するウクライナ軍。Ukrainian military/Handout via REUTERS


 ジャベリンの効果は、大きさとは関係なく、ターゲット対応の柔軟性にある。

 戦車など装甲車両に対して、ジャベリンは高い攻撃角で装甲が最も薄い車体上部を狙い攻撃する。

 侵攻前、ロシア戦車兵は戦車上部にカゴをつけ、ジャベリンを先に爆発させ、威力を弱める対抗策を講じた。だがロシア戦車何百台が破壊されたことから、有効でなかったことがうかがえる。

 建物やバンカーなどの静止標的には、ジャベリンは直線状で攻撃する。米国の特殊作戦部隊は、アフガニスタンでジャベリンを対人攻撃に使用したこともある。

 「ジャベリンは対人攻撃にも非常に有効です。何十万ドルもする対戦車兵器システムが対人用攻撃のオプションになるとは、普通考えないでしょう」と、元海軍特殊部隊SEALの将校はInsiderに語っている。





 SEAL隊員は、アフガニスタンでジャベリンを「広範囲に」使用したと、匿名の同上元将校は言う。

 「ジャベリンでタリバンを何人も殺した有名な隊員がいます。距離が長いので、作戦環境には理想的だった」と元シールズは語った。

 ウクライナ軍は、英国が供給する対戦車兵器「NLAW」も使用している。NLAWは米国製ジェベリンより性能は劣るが、操作が非常に簡単で、150ミリ高性能対戦車弾頭を搭載し、殺傷力も高い。

 NLAWはジャベリンと同様に上方から攻撃できるが、有効射程は約800mとジャベリンの2000mに比べ短い。


スティンガーの恐るべき定評

US Army soldiers Stinger missile Bulgaria

実弾演習でミサイルを発射する米兵たち(2019年6月13日)。US Army/Sgt. Thomas Mort

 

 量的・質的に圧倒的な優位性があるのに、ロシア空軍はウクライナ上空を支配できていない。これは、ウクライナの抵抗に関するロシアの誤った認識とロシア人指揮官の「リスク回避」であると米国当局が述べていることの反映だ。

 しかし、ロシア軍機はウクライナ上空に展開しており、ロシア軍の占領と保持を可能にし、ウクライナ軍を攻撃できる。

 ウクライナ軍は、ロシアの戦闘機、爆撃機、ヘリコプターをウクライナ上空で自由に行動させないため、スティンガーミサイルなど携帯型防空システムを頼りにしてきた。

 米国は1月、他国がスティンガーをウクライナに送るのを許可したが、スティンガーから機密資料を取り除く方法が判明するまで、自らはスティンガーを送れなかった(侵攻後に可能となった)。


Ukraine Stinger missile airport

キーウ空港で、リトアニアから届いた米国製スティンガーミサイルやその他の軍事援助を積み込むウクライナ軍(2022年2月13日)SERGEI SUPINSKY/AFP via Getty Images


 スティンガーは、アフガニスタンでソ連軍に対し使用され有名になり、恐ろしいほどの評判を得ている。

 有効射程距離は15,000フィートで、12,000フィート以下を飛行する標的ならほぼ全部に命中させることができる。赤外線シーカー弾頭で航空機の熱源(通常はエンジン)に狙いを定め攻撃する。

 軽く使いやすいので、一般兵士や州兵、さらには過激派組織までも、航空機を撃墜できる。

 「ジャベリンもスティンガーも、比較的簡単に使える。CIAがアフガニスタンでソビエト軍に対抗するため、読み書きのできない人々にスティンガーの使い方を教えたのを思い出してほしい」と同上グリーンベレーは述べ、「ジャベリンは少し複雑ですが、敷居は比較的低い」と言う。

 米国は2022年3月17日、ウクライナ向け追加安全保障支援パッケージを発表し、スティンガー800発、ジャベリン2000発が含まれ、米国提供の合計数は、それぞれ1400発4600発になる。追加パッケージには、軽量対人兵器1,000発とAT-4無誘導携帯型対人ミサイル6,000発も含まれる。

 「米国と同盟国および協力国は、ウクライナ支援で武器装備品供与を急増すると完全に約束し、更に増やす。在庫品からの搬送を追加するからだ」と、ジョー・バイデン大統領は水曜日に述べた。■


 

Easy-to-use handheld weapons provided by the US are helping Ukrainians shred Russian tanks and aircraft

 

https://www.businessinsider.com/javelins-stingers-nlaws-help-ukraine-destroy-russian-tanks-aircraft-2022-3

 

Stavros Atlamazoglou 23 minutes ago


ロシア大統領専用機など政府機材が二日間に渡り大量に飛行展開したのはロシア政府が核戦争を覚悟して政府機能を継続する訓練の一環か。各国へのシグナルでもある

 An Il-96-300PU that was involved in a recent surge of curious Russian government air activity in and around the country.

DMITRY TEREKHOV VIA WIKIMEDIA

 

ロシア上空を飛んだ政府航空機の異常な動きについて。

モスクワからロシアの戦略通信機、空中司令機、VVIP機などが大量に発進した意味とは

 

 

クライナ紛争が激しさを増した先週、ロシヤ特別飛行分遣隊に所属するロシア機の相当数が、2日にわたり同国内外を飛行した。同隊は、フラッグキャリアであるアエロフロートの一部門国営ロシヤ航空Rossiya Airlinesに所属し、空中指揮所、通信中継機、VVIP機等特殊航空機を運用する。このほかにも、ロシアでは興味をひく飛行が相次いだ。

 分遣隊所属機は定期的に飛行しており、今回のフライト自体は異例ではなかった。しかし、オンライン飛行追跡ソフトで確認できたのは、モスクワ周辺から同時に多数の飛行が行われ、多くが東方に分散する異例の事態だった。

 金曜日に、オンライン飛行追跡ソフトは、ロシヤ特別飛行分遣隊所属機のアメリカのVC-25Aエアフォースワンにあたるロシア大統領専用機IL-96-300PUと、小型ながら空中指揮所のTu-214PU含め、少なくとも6機がモスクワ地区から出発する様子を見せた。同部隊の特殊航空機IL-96-400VPUもその後、モスクワ地区を離れた。Il-96-400VPUは有事の際に核戦力の指揮統制を行う「ドゥームズデイ」機と考えられており、アメリカ空軍のE-4Bナイトウォッチに類似している。

 機体の多くは、ロシア東部へ飛行し着陸せずにモスクワ周辺へ戻っていった。そのうち1機、エアバスA319-115CJは、西のサンクトペテルブルクまで飛んで基地に戻った。

 ロシヤ特別飛行分遣隊の旅客輸送機IL-96-300の1機は、カザフスタン西部を経由して黒海沿岸のロシアのリゾート地ソチへ飛んだ。別のIL-96-300は、カザフスタンの首都ヌルスルタンに向かった。大統領専用機IL-96-300PUは、西方へ短時間移動し着陸した。Il-96-400VPU指揮機は、モスクワ周辺上空をレーストラック軌跡で飛行した。

 これと別に、FSBロシア連邦保安庁のTu-154が、モスクワ周辺からバルト海のカリニングラードに向け西に飛行した。カリニングラードは戦略的な場所でロシア軍基地多数がある。

 金曜日に観測されたロシヤ特別飛行分遣隊の飛行のタイミング、目的地、一般的な性質は、異例で、注目すべきものであった。また、同部隊の多くの航空機が前日にも興味深い展開を見せていた。

 

ANNA ZVEREVA VIA WIKIMEDIA

ロシヤ特別飛行分遣隊のIl-96-300PU大統領専用機も先週金曜日に展開した機材のひとつ。


DMITRY TEREKHOV VIA WIKIMEDIA

Il-96-400VPU


ANNA ZVEREVA VIA WIKIMEDIA

Tu-214PU 空中指揮所もロシヤ特別飛行分遣隊に所属しており、金曜日にモスクワ周辺で目撃された

 

 

 木曜日、ロシヤ特別飛行分遣隊の8機がオンラインで追跡され、IL-96-300PU、Tu-214PU、Tu-214SR通信中継機もあった。同隊所属のIL-96-300も、モスクワ周辺を離れる様子が目撃された。

 この際も、全機が東に向かい、一部がモスクワに戻る前に比較的短い地上待機をした。Tu-214SRは円形の軌跡で飛び、中継機能を果たしたようで、その後シベリアの都市オムスク空港に着陸した。

 

TOSHI AOKI/JP SPOTTERS VIA WIKIMEDIA

Tu-214SR通信中継機

 

 エアバスA319-115CJ旅客機は、木曜日金曜日に同様のフライトをした。同機はシベリアの都市ノボシビルスク空港でタッチアンドゴーをしたようだ。小型旅客機An-148-100Eは同じくシベリアのウファに飛び、空港周辺で奇妙な低高度パターンで飛行した。

 2機目のIl-96は北東に向かい、オンラインで確認できた時刻と飛行距離を合わせると、一貫して飛行していたのがわかる。

 2日間の飛行の目的は何だったのか、明らかではない。ロシヤ特別飛行分遣隊や他のロシア政府専用機の飛行パターンに詳しい筋は、今回の飛行は普通ではないと指摘している。

  同時に、各機が飛行した場所とタイミング、特にモスクワ周辺から連続出発し、その後多くが東方に分散したことが通常とは異なる。このような行動から、プーチン大統領の思惑通りに進んでいないウクライナ紛争や、ロシアと国際社会の関係に与える二次的影響と関連しているのではと考えても無理もない。

 金曜日にモスクワ上空にIl-96-400VPUが出現したのは、プーチンがモスクワで大規模な戦争支持集会に参加したのと関係しているのだろう。同集会は、ロシア政府によるクリミア占領の8周年記念日に開かれた。

 他の人が指摘しているように、ロシヤ特別飛行分遣隊の動員は、戦略的訓練の様相を呈している。木曜日に航空機が飛んだシベリアは、核戦争など重大危機事態にプーチン含むロシア最高指導部が逃げ込む可能性のある地下壕群に近い。例えば、ウファはヤマンタウ山の北西約90マイルにあり、ヤマンタウ山には約400平方マイルに及ぶ完全な「複合施設」の巨大な地下都市があると言われている。

 IL-96の長距離飛行は、ロシアの指導者たちが、有事の際に軍やその他の重要な政府機関を指揮統制し続ける方法のひとつを反映している。

 さらに、金曜日に別のIL-96-300が飛行した黒海のソチは、イドコパス岬のプーチン宮殿から100マイル以内である。宮殿は、広大で厳重に警備された複合施設の一部で、地下にも重要な施設がある。

 ロシアがウクライナ侵攻を開始する前から、紛争がどのようにエスカレートし、別の場所に波及する可能性があるか、核兵器投入が現実になるかが懸念されてきた。この点に関するロシア政策の正確なニュアンスについては、専門家やオブザーバーが長く議論してきたが、クレムリンがエスカレーションさせて事態を解決する戦略を追求するとの懸念が強い。これは、限定的核攻撃によって、相手にエスカレートを恐れさせることで紛争を凍結し、第三者の介入を困難にするのを目的とする。

 プーチンはウクライナでの「特別軍事作戦」開始を発表する際、ウクライナに介入しようとするいかなる国に、核兵器の使用可能性を脅したとの解釈が多い。その後、プーチンはロシア戦略抑止力を厳戒態勢に置くと発表した。

 ロシア安全保障会議副長官で前大統領ドミトリー・メドベージェフは、金曜日、「ロシアは生意気な敵はすべて追い込む力がある」と発言し、新たな懸念を示した。

 ロシア当局は、ウクライナ政府が米国の協力で核兵器含む大量破壊兵器を開発していると非難している。全く根拠のないこうした発言は、ロシア軍がウクライナなどで核・化学・生物攻撃を起こす前触れと危惧する声もある。

 さらに、この2日間のロシヤ特別飛行分遣隊の飛行は、ロシア軍や国内の他の政府機関による飛行とあわせ実施され、相互関連しているように見えるものもあった。ソチに向かったIL-96-300にはEMERCOMの略称で呼ばれるロシア非常事態省のIL-76が同行していた。同省は、表向きは自然災害時に市民の緊急対応を監督する役割を担う。しかし、同省の航空機は、武器や人道支援物資を外国に運ぶ輸送にも使用されていた。

 オンライン飛行追跡ソフトは、木曜日にカリニングラードに向かうロシア空軍IL-76給油機2機を検知し、金曜日に戻っている。ロシア空軍とEMERCOMのIL-76とTu-134AK、Tu-154M、IL-62M旅客輸送機が木曜日から金曜日にかけてロシア南部、アルメニア、シリアを行き来している。

 木曜日にはモスクワ周辺から中東に民間ビジネスジェット機らしきものが飛ぶ様子がみつかり、アラブ首長国連邦のドバイにも向かっていた。

 報道によると、ロシアはウクライナでの軍事活動を支援するため、国内治安機関に加え国外から追加人員を確保しようとしている。これが今回の動員の理由の一部かもしれない。ロシアの半自治区チェチェン共和国当局は、追加部隊派遣を表明している。シリアの独裁者バッシャール・アル・アサド政権は、シリア部隊の編成に協力したと伝えられているが、中東での作戦を担当するアメリカ軍トップのフランク・マッケンジー海兵隊大将は金曜日に、そうした人員をウクライナに送り届ける努力は今のところ「ほとんどない」ようだと述べた。

 ジョージアのアブハジアや南オセチアのような紛争中地域に現在配備中のロシア部隊を、ウクライナへ呼び戻す過程にあるとの報告もある。先週ロシア軍機が向かったアルメニアに展開したロシア軍も含まれるかもしれない。

 また、プライベートジェットが中東に向かうのは、ロシア社会のエリート層や同国の航空部門への制裁がますます厳しくなっていることが原因の可能性がある。多数国がロシア製機材の飛行を禁止する中、飛行が可能な第三国に航空機を配置し、あるいは現地で再登録すれば有利に働くかもしれない。こうした動きは、制裁措置のためロシア政府が航空機を接収するのを回避するためであった可能性もある。

 もちろん、以上はすべて、入手情報に基づいて、飛行の理由を考えたものに過ぎない。正確な説明とは断言できない。今回のフライトの目的について、さらに情報が出る可能性はある。しかし、地政学的な現実を考えれば、モスクワから指導層を迅速に脱出させ、生存可能な場所に移送するなど、政府機能の継続訓練は思慮ぶかく実施すべきだろう。

 いずれにせよ、全機はトランスポンダを装着して飛行しており、オンラインで追跡可能であったことが注目に値する。ロシア政府が各機の動きを注目させ、ウクライナ紛争でロシアと対立する国々を含む関係方面にシグナルを送る意図があったのだ。もちろん、間接的なシグナルには誤解されるリスクが常につきまとうが、今回はそのようなリスクはかなり低い。ただし、情報収集力を有する国家にとっては話は別だ。

 今回のフライトを説明する情報をさらに探すと同時に、今後も同様の傾向が現れるか警戒の必要がある。

 

 

Let's Talk About The Flurry Of Unusual Aircraft Activity Over Russia Today

The flights included a mass launch of Russia's strategic communications, command post, and VVIP aircraft out of Moscow.

BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 20, 2022

 


2022年3月20日日曜日

F-15JのJSI仕様改装作業をボーイングへ契約交付。電子戦装備を最新のEPAWSSへ換装。作業はセントルイスで実施。

 


Graphic: Boeing

ンタゴンは日本向けF-15ジャパン・スーパーインターセプター(JSI)事業で24.5百万ドル相当の内容非公開契約をボーイングへ交付したと2022年3月16日に発表した。

契約では海外軍事販売を利用し電子戦装備に関する初期技術作業を追加する。

F-15JのJSI仕様への改装での経費根拠として、日本発表で現有のALQ-239デジタル電子戦装備(DEWS)を新型イーグル・パッシブアクティブ警戒防御装備(EPAWSS)に交換するとしていた。

(メディア関係者の皆様へ。F15などという事実と異なる機種名称の報道はしないようお願いします。)

以下、国防総省発表の2022年3月16日付契約内容の紹介より。

ボーイングカンパニー(ミズーリ州セントルイス)に上限$24,550,000 の内容非公開契約をF-15ジャパンスーパーインターセプター改装事業に交付した。改装内容は海外軍事販売制度の要求に合致する形で電子戦装備品を初期技術作業で付与し、航空自衛隊で供用する。作業はミズーリ州セントルイスで実施し、2028年12月31日までに完了する。本契約は海外軍事販売制度のみにより日本を対象として、指名随意契約とする。海外軍事販売として$12,029,500を交付時点で交付する。オハイオ州ライトパターソン空軍基地内の空軍ライフサイクル管理センターが契約行為(FA8634-22-C-2705)を担当する。

Boeing awarded contract to add EW suite to F-15JSI – Alert 5

Posted on March 19, 2022 by alert5