2022年4月7日木曜日

ウクライナ戦争についてヨーロッパ、ロシアへの米国の知識の欠如で警鐘を鳴らすボルトン大使のエッセイを御覧ください。

 

John Bolton: Putin’s 30 Or 100 Year War For Ukraine

WRITTEN BYJohn Bolton

 

プーチンはウクライナを30年、100年戦争と見ている。

シアによる2度目のウクライナ侵攻から6週間、モスクワの圧倒的なまでの軍事的失敗へ西側諸国の関心の的だ。そのため、誤った認識が常識となりつつあり、今後の米国の政策が歪められ、現在より効果が下がる可能性がある。以下、あくまで例示であり、すべて網羅的する意図はない。

これはプーチンの戦争ではない、ロシアの戦争だ。西側諸国の指導者たちは、プーチン一人が侵略の責任を負うと考えることで、自ら欺いている。ロシア大統領として最終決定を下すのは当然だが、ウクライナ(ベラルーシなどかつてのソビエト共和国は言うに及ばず)は母なるロシアに返すべきだと熱く信じているのは、プーチン一人だけではない。

プーチンの顧問団の中核をなす「権力者」シロビキも同様で、「ウクライナは破綻した非合法国家だ」とを彼らから直接聞いたことがある。

クレムリン指導者たちは、失われた帝国を再び取り戻すことに30年にわたり執念を燃やしてきた。今日の戦争に関する報道は、しばしばクリミア併合やドンバス侵攻に関する2014年のニュース記事のように不気味で混乱したものに写るが、これは西側の歴史的無知と注意力の欠如を反映したものにすぎない。シロビキには血生臭い欠点が多数あるが、注意力は欠如していない。

米メディアやバイデン政権が、プーチンに対するロシア国民の支持が高まっているのを示す独立世論調査の結果に戸惑うのも無理はない。すべてのロシア人が、プーチンの非同盟主義を彼ほど深く感じているわけではない。しかし、十分多数の国民がプーチン支持を表明し、プーチン政権を脅かすものが何であれ、世論は政権を支えている。

プーチンはいかれているわけではない。情報が不十分で不正確で悩んでいるわけでもない。プーチンの顧問団のすべてが、真実を伝えるのを恐れて、ひれ伏し、自慢しているわけでもない。

バイデン政権による反対分析は、ロシアに対抗する情報戦の一部かもしれないが、クレムリンの実態を説明しきれていない。

独裁政権でも、ライバルの失敗を指摘し、彼らを悪者扱いするために十分な証拠を提供する補佐官は常に存在する。

アメリカ同様、ロシアにも複数の情報機関があり、官僚主義で影響力と注目度を競い合っている。それに、西側メディアの報道をモスクワに伝えるためにはロシア情報庁は不要だ。プーチン大統領に媚びる補佐官が、明らかな失敗の責任を負わされる人たちを庇っても、何の得にもならない。

ペンタゴンは、「プーチンは無知で少し頭がおかしい」とし、本人の情報不足がウクライナとロシア間の和平交渉の妨げにならないかと推測している。 モスクワにとって、交渉は単なるプロパガンダであり、好戦的な立場に合理性の美学を与えるものだ。 皮肉なことに、バイデン大統領はこのような話を一蹴した。「現時点では、確たる証拠がないため、あまり重視したくない」と述べたのである。

欧米はプーチンとその取り巻きがどれだけウクライナを重視しているか理解していかもしれないが、それはこちらの問題であって、向こうの問題ではない。これと同じ精神分析を2014年にも聞いたことがある。アンゲラ・メルケルらは、プーチンが 「現実から乖離している」と考えていると報じられた。現在米国にいる元プーチン側近のアドバイザー、アンドレイ・イラリオノフがメルケルを訂正した。 「西側諸国の人々は、プーチンが非合理的だとか、狂っていると考える。実は自分の論理で非常に合理的であり、準備も万端だ。現実離れしているのはプーチンではなく、欧米の方だ」。

この発言には真実がある。プーチンは何度も筆者に「あなたにはあなたの論理があり、我々には我々の論理がある」と語っていた。

問題の一端は、取り巻きではなく、プーチン自身にあるのかもしれない。彼は自分の先入観に反する厳しい事実を見過ごしたかもしれない。これは人間としてよくある失敗だ。しかし、アメリカが、プーチンは健全ではないと考えると、同じように重大な誤りとなる。さらに、ロシアの戦場での失敗は、軍部全体に蔓延する腐敗と無能に起因している可能性がある。 下級将校が部隊の戦力や即応性について虚偽報告を行い、給与や武器、配給、物資が闇市場に流れる「幽霊兵士」の存在が露呈している。20年間、ロシアは軍を改革し、近代化しようとしてきたが、ウクライナ紛争はその努力が成功とほど遠いものであったことを示している。

ロシアは戦略的ミスで大きな犠牲を払っているが、まだ敗戦したわけではない。ロシアは今回の侵攻を単独の目的で行っているのではない。クレムリンは、戦争の進展に応じて、選択肢を考えていたと思われる。キーウを占領し、ゼレンスキー政権を転覆させ、モスクワの支配下にあるクイスリング Quisling政権に置き換えることが、戦略上の最重要目標だったのだろう。 この戦略的失敗により、ロシアはウクライナで多くの機会を失い、その結果、モスクワは優先順位の高い目標を追求することになった。しかし、一度に多くをやろうとしたために、モスクワの到達目標は能力を大幅に上回り、広範囲にわたり失敗した。

広範囲にとしたが、致命的ではない。

将軍は常に前回の戦争を戦うという決まり文句がある。2014年、ロシアはほぼ発砲することなくクリミアを占領した。ウクライナ海軍の大部分がロシア側の手に渡った。ドンバス地方での戦闘はロシアにとって成功したとは言えないが、軍事的コストは高くなく、その後の欧米の制裁も効果的であった。モスクワの指導者たちは、2022年に同じようなシナリオを描いていたことは容易に想像できる。しかし、明らかに間違っていた。

さらに重要なのは、2月24日以降のロシアは戦力集中という基本的な軍事ドクトリンに違反したことだ。少数の重要目標を圧倒的兵力で狙うのではなく、モスクワは不十分な人員、火力、兵站で広範囲な攻撃を仕掛けた。ウクライナの英雄的抵抗は全く予想外であった。その結果、重要目標を達成できなかった。キーウ、ハルキフ、オデーサなどである。ロシア軍はウクライナ南部と東部で成功を収めたが、前進も圧倒的というにはほど遠い。

現在、ロシアは遅ればせながら、キーウ周辺やウクライナ北部都市から撤退し、おそらくベラルーシやロシアに戻り、再編成、強化、補給を行おうとしている。モスクワは北部で再挑戦するか、これらの軍を東部と南部に再展開することになる。グルジア、中東、その他の地域に展開する軍から援軍が到着している。メディアは、シリア兵がアサド政権に対するロシアのこれまでの好意に報いるため、ジュネーブ条約の講習を受けることなくウクライナに到着したと報じている。

クレムリンの現在の目標は、ウクライナ南部と東部の軍事的・政治的支配を最大化すること。ウクライナを完全征服する目標には、今のところ手が届かないが、それに代わる補助的な目標はたくさんある。 もしプーチンがこうした下位目標を達成できれば、ロシア国民に戦争は価値があったと説得し、欧米を「通常の」経済・政治関係へ復帰する誘導ができるだろう。

ほぼ間違いなく、第二段階の重要な目的は、ウクライナ国内で実質的にロシア寄りの地域を支配し、同国を二つに分割することである。クレムリンの目標は、ウクライナ南部、特に黒海の戦略的に重要な北部沿岸の支配と、ドニエプル川の東側からドニプロペトロフスク市、さらに北のロシア国境までのウクライナ東部である。大まかに言えば、(クリミアの他に)ウクライナの8つの州が関与している。ハリコフ、ルハンスク、ドネツク、ドニプロペトロフスク、ザポリジヤ、ケルソン、ミコライフ、オデーサの8州である。

これらの州は、ウクライナ語系、ウクライナ正教系、カトリック系が多い地域と比べ、ロシア語系、ロシア正教系が多い、あるいは実質的に多い。もちろん、これはクレムリンの見解であり、ウィルソン的な民族自決の実践に反する。ウクライナの人口分布はまだらであり、市民は宗教的忠誠心で両義的であったり葛藤があったりするため、こうした特徴づけは明確な線引きにならない。ロシアは領土すべてを征服できないかもしれないが、征服地が増えれば交渉力が強まる。

今のところ、ウクライナ東部におけるロシアの軍事的地位は比較的強固であり、「勝利」は十分に可能だ。しかし、黒海沿岸では、オデーサは今のところ手中にないようだ。しかし、モスクワが軍を再編し、陸海空を連携させ、欧米によるウクライナ軍への支援が不十分であれば、オデーサの奪取は可能であろう。 東部と南部の大部分が確保されたことで、ロシアは北部地域から撤退することで領土を「譲歩」できたが、もはや長期的には不可能だ。 プーチンは、西側諸国の関心と結束が弱まると期待している。そうなれば、ロシアを現在の国境付近とクリミアから追い出すことは不可能ではないにせよ、困難でコストのかかることになる。 占有物保有の原則Uti possidetisは依然として強力な外交的惰性の一形態である。

米国はリーダーシップを、NATOはパフォーマンスを強化する必要がある。NATOは完全に結束しているわけではない。

西側諸国は、ロシアに対する経済的な締め付けを強化し、ウクライナへの軍事支援を拡大・迅速化する上で、今より良い行動を取らなければならない。これまでのパフォーマンスはまちまちである。 同盟の結束に賛辞を送りながらも、西側諸国はほころびを見せている。英国・米国はハードウェアや情報の提供でリードしてきたが、フランスやドイツなどは遅れをとっており、ドイツの軍用ヘルメット5000個に始まり、30年以上前の旧東ドイツのシュトレーラ・ミサイルを提供したが機能しなかったなど失態が続いた。バイデン大統領は自ら率先した行動は示さず、議会や連合国の圧力を受けて遅ればせながら対応するか、まったく行動を起こさなかった。ポーランドのミグを譲渡する許可を出さない例もあった、

戦争が続く日々は、NATOの根本的で変えがたい恥を毎日示しているのを忘れてはならない。そもそも、信用がずたずたになりロシアを抑止できなかったこと(2008年のジョージア、2014年のウクライナ、2021年のアフガニスタン撤退)、選択的で不十分な制裁を通じて将来的に罰を与えるという著しく不十分な脅迫、まさに何もせずに米軍の可能性をも否定したバイデンの12月初旬の無理解があった。

このパターンは、早急に覆されなければならない。ロシアの失態を考えれば、ロシアがうまく一歩下がり、チャンスを待つreculer pour mieux sauteのに賭けるのは愚かだが、少なくともその可能性はある。 したがって、ウクライナ軍が(西側メディアによって不完全に伝えられた)緊張に耐えられなくなる前に、モスクワがその背中から離れるスローモーションの競争になっている可能性がある。 時間はモスクワの味方で、西側の補給努力が遅かったり不十分だと、破滅的な事態になりかねない。

欧米は制裁で統一できていない。欧州はロシアの石油とガスを買い続けており、中国、インドなどはロシア経済を支える金融のライフラインを提供中だ。制裁の実効性を高めるには、厳格な執行と、ロシアが作る抜け穴を塞ぐ強化が必要であろう。制裁体制は発表された日が最良の日であり、制裁実行国が少なくとも創造的でなければ、急速に低下する。歴史的に見ると、米国の制裁の実施と強化は明らかにまちまちであり、欧州は、礼儀正しく言えば、勤勉とは程遠い。現代史で最も効果的かつ包括的だった制裁は、1990年にクウェートに侵攻したイラクに課されたものだった。米国と同盟国が実施したが、それでもサダムの侵略軍を追い出すには不十分だった。

同盟にとって最大の試練は、モスクワが本格的な交渉に踏み切る瞬間に、外交的な結束を維持することであろう。シロビキは、西側諸国が金に弱いことを見抜いており、共産主義者の先達のようなイデオロギー的理由とは異なる。すでにフランスとドイツは、一方の勢力が決定的な勝利を収める前に軍事的な敵対関係を終わらせ、紛争を実質的に解決せず凍結する方法を模索している。確かにヨーロッパらしいアプローチであろう。しかし、もしロシアが今回の軍事的大失敗から少しでも勝利の香りを漂わせれば、ヨーロッパや世界、特に北京に大きな影響を与えるだろう。NATOの結束について語ると、ワシントンのエリート層の心は温まるかもしれないが、そのような話はすべて代償に見合うだけの価値がある。アメリカのリーダーシップとNATOのパフォーマンスは、これまで不十分だった。それを直視すべきだ。

明確な教訓として、アメリカ人は早合点してはいけない。これはヨーロッパの紛争である。三十年戦争や百年戦争を考えるべきだ。プーチンはそう考えている。■

John Bolton: Putin's 30 or 100 Year War For Ukraine - 19FortyFive

Ambassador John R. Bolton served as national security adviser under President Donald J. Trump. He is the author of “The Room Where It Happened: A White House Memoir.” You can follow him on Twitter: @AmbJohnBolto


ポーランドがM1エイブラムズ戦車250両を導入。今年から納入開始。ロシア侵攻のおそれに備え、米軍駐留の拡大、核兵器の受け入れまで容認する空気。

 

ーランドがM1A2 SEPv3 エイブラムズ戦車250両を購入した。ポーランドは隣国ウクライナがロシアによる侵攻を受けるのを見ながら、米国とエイブラムズ戦車導入で合意した。

発表された声明文では「ポーランド軍の戦力を強化し、侵攻を抑止する」としたポーランド国防相マリウス・ブラスザクMariusz Blaszczakの発言を引用している。

 

同国防相は同案件は47.5億ドル相当で、第一陣の28両が今年中に納入されると明らかにしている。ポーランド国防関係者は今回の調達で地上軍はT-14アルマータ主力戦車(MBT)含むロシアの最新戦車に対抗できるようになると強調。ポーランドの現有戦車で一番多いのはソ連時代のT-72だが、ドイツのレオパルド2A2、2A5型戦車も導入している。

 

ポーランドが導入するエイブラムズはM1A2 SEPv3で、全面的な改良を施し、新型通信装置、改良型赤外線FLIR装置による標的捕捉能力の向上、アクティブ・パッシブ双方の防御能力の追加に加え補助動力(APU)を備える。米陸軍向け納入が2017年に始まった。

 

ポーランド向けエイブラムズの調達案件は2月に国務省が承認しており、ロシアによるウクライナ侵攻(2月24日)の直前だった。ジョー・バイデン大統領が3月26日にワルシャワを訪問し、アンドレジ・ドゥーダAndrzej Duda大統領から調達の可能な限りの迅速化で要望を受けた。「契約によれば今年中にペイトリオットミサイルの第一陣が納入され、その後HIMARSロケット火砲装備、F-35の最新型が届けられる」とドゥーダ大統領は述べている。

 

ロシア侵攻を受けてNATOは東部方面の防衛体制を強化している。ポーランドの最大勢力政党の党首ヤロスロー・カジンスキJaroslaw Kaczynskiは米軍の駐留拡大を公然と求めている。「ポーランドとしては米軍の在欧駐留規模を現在の10万名を15万名まで増やしてもらえればロシアの侵攻の可能性が高まる中で心強い」とドイツ紙に述べており、「そのうち7.5万名は東部方面に展開し、ロシア国境沿いに配備してもらいたい。バルト諸国とポーランドに5万名を希望する」とした。カジンスキはポーランドが核兵器の展開も「受け入れる」としたが、現時点でその予定はない。■

 

Poland Buys 250 Abrams Tanks to Deter Russian Threats

by Mark Episkopos

April 6, 2022  Topic: M1 Abrams Tanks Poland  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: Russia-Ukraine WarPolandM1 AbramsM1 Abrams Tank. US ArmyCzech Military

https://nationalinterest.org/blog/buzz/poland-buys-250-abrams-tanks-deter-russian-threats-201688

 

Mark Episkopos is a national security reporter for the National Interest.

Image: Flickr/U.S. Army.



2022年4月6日水曜日

ライトニング空母構想の実証を進める米海兵隊・海軍。実際の作戦環境を想定し最適化を模索中。日本にも参考となるはず

 


海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA)211所属のF-35B ライトニングIIが強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)から発艦した April 2, 2022. US Navy Photo

 

強襲揚陸艦USSトリポリ艦上にて---海兵隊が4月2日記録を破った。F-35BライトニングII共用打撃戦闘機を16機も強襲揚陸艦に搭載したのだ。

 

曇天の下で甲板要員が海兵隊パイロットに発艦地点を示し、その他機体を海軍最新の大型強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)艦上で移動させた。今週は更に多くの機体が加わる。

 

各機は海兵隊戦闘攻撃飛行隊225「ヴァイキングス」と海兵隊戦闘攻撃飛行隊211「ウェイクアイランドアヴェンジャーズ」の機体で、ともにユマ海兵隊航空基地(アリゾナ)に駐屯している。さらにユマとニューリバー(ノースカロライナ)の海兵隊作戦試験評価飛行隊1の所属機も加わる。海兵隊はF/A-18ホーネットおよびAV-8BハリアーをF-35Bに交替させつつある。

 

とは言えトリポリにF-35B十数機を搭載し運用するのは記録更新や写真広報のためではない。同艦には500名の海兵隊員も乗る。関係者はUSNI Newsに今回のMAG-13訓練をトリポリで展開するのは大型艦と海兵隊機材により統合MAG(海兵航空集団)作戦を展開する一歩に過ぎないと語り、これまでにない動きとする。

 

「これまで20年にわたり展開されたのとは別の形になる。従来は飛行隊が中東に展開し各種任務にあたってきた」と説明するのはMAG-13司令チャド・ヴォーン大佐Col. Chad A. Vaughnだ。同集団もユマに本拠を置く。

 

今日の敵勢力は将来にわたり、特に空で米軍と対峙してきた敵を上回る存在になる。このため従来を上回る規模の共同作戦が必要となると関係者が認識している。

 

「未経験の技量のセットが必要となる」とヴォーン大佐はトリポリ艦上で艦長ジョエル・ラング大佐Capt. Joel Langに述べている。

 

昨年10月MAG-13は隷下飛行隊を砂漠統合現場演習でカリフォーニアのトゥウェンティナインパームズにある海兵隊航空地上戦闘センターに派遣した。「MAG司令部にとっても地上から戦闘の仕方を学ぶ機会になった」「可能な限り多くのF-35を投入し、同時にMAGパイロットと司令部が海上から戦闘を展開する方法を同時に訓練する機会になった」(ヴォーン)

 

海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA)211のF-35BライトニングIIがUSSトリポリ(LHA-2)に着艦した。April 1, 2022. US Navy Photo

 

トリポリの艦名をつけた以前の小型ヘリコプター強襲揚陸艦と同様にアメリカ級トリポリにはウェルデッキはないが、海兵隊航空作戦を想定した設計になっている。同艦にはLHD級大型強襲揚陸艦を上回る大型燃料貯蔵施設があり兵装庫も拡大しているほか、指揮統制通信機能も充実している。

 

「統合部隊司令やMEF指揮官が認可してくれれば本艦にもっと多くの機体を搭載できる。本艦は航空作戦にぴったりだ」(ウォーン)

 

「ライトニング空母」構想は海兵隊やF-35事業推進室が提唱してきた。「MAGの訓練で最適な機会になっている」とヴォーンは語り、VMX-1の作戦評価官がトリポリ艦上に今週加わり、F-35B運用のフィードバックを行う。

 

構想には前史がある。2003年3月のイラク侵攻で強襲揚陸艦USSバターン(LHD-5)、USSボンノムリシャール(LHD-6)に「ハリアー空母」の名がつき、AV-8Bハリアー攻撃機2個飛行隊を展開し、任務部隊51に提供した。米軍連合軍はバグダッドを目指していた。各艦はハリアー分遣隊を搭載したものの、海兵隊ヘリコプターが大勢を占めていた。

 

今回の海上演習には六ヶ月の準備期間が必要だった。ラング艦長は2020年9月よりトリポリ艦長で、今回の演習を乗員幕僚合わせ1,100名に実戦の予行となるよう事前にMAG-13と打ち合わせた。最大何機まで運用可能かを試すだけでなく、運用面で最適な機数上限を探る目的もある。

 

「どれが一番良い結果を出すのか確かめるべく、作戦環境を再現する。最も効率の高い方法を探る。海上部隊として威力を最大にする最適化でチームはやる気いっぱいです」(ラング)

 

強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)が太平洋を航行し海兵隊のライトニング空母構想の実証にあたった。 April 2, 2022. US Navy Photo

 

演習は一週間にわたり展開し、4月7日終了するが、MAG海兵隊員とトリポリ乗員は発艦、回収、移動、などF-35Bを艦上であらゆる面で試す。「MAGとして戦闘展開方法を学びつつあり、艦上からどう展開するのがいいのか、艦上で機体が多すぎて動きがとれなくなくなる事態を回避する方法を学んでいく」とヴォーン大佐は説明している。

 

ただしライトニング空母構想には疑問点も残る。F-35Bへの燃料補給が限定されること、E-2Dアドバンストホークアイのような早期警戒機を搭載していないことだ。USNI Newsでは今年後半に規模を拡大したテストが実施されると聞いている。

 

ヴォーンがこう付け加えた。「目標は海軍、海兵隊のチームがこの構想を採択することです。運用方法は確立ずみです」■

 

Marines Load Record 16 F-35Bs Aboard USS Tripoli Test of 'Lightning Carrier' Concept - USNI News

By: Gidget Fuentes

April 5, 2022 1:14 PM • Updated: April 5, 2022 3:17 PM



ライトニング空母構想は日本にも参考となりますね。しかし、強襲揚陸艦になんでも期待すればモンスターのような大型艦になり、結局正規空母と同じになってしまいます。ここは統合作戦として空軍機材で早期警戒任務にあたらせるとか、知恵の使い所ではないでしょうか。海軍だけ海兵隊だけで作戦が実施しにくくなっているのでしょうね。なお、アメリカ級は排水量5万トンとなかなかの艦容です。


2022年4月5日火曜日

なぜウクライナへF-16やF-15を供与しないのか----戦闘機よりも防空装備を提供したほうが高効果低リスクとなる理由。

 



クライナ空軍は公式ツイッターでF-16ファイティングファルコンやF-15イーグルのような西側機材をNATOに求めている。説明文にはウクライナ空軍にこうした機材がなければロシア空軍に対し優位に立てないとある。



ウクライナはパイロットを養成すれば米製ジェット戦闘機で実戦に参加できるとし、数週間の訓練で十分とするが、F-15やF-16で戦闘に臨むためには普通の訓練では十分とはいえない。新機材のコックピットで単なる操縦なら簡単だろうが、戦闘となると話は別だ。米国のパイロットでも他国より長い訓練をしているとはいえ生き残れる保証はない。まして戦闘に勝てるかは不明だ。


ウクライナ空軍にはあいにくだが、この要望は却下されそうだ。


ウクライナ空軍は自国が戦場となり、勝ち目がないといわれながら雄々しく戦い、領空を死守している。そこに米製第4世代高性能機材が加わればロシア軍を押し戻せると見る向きは多い。ことにロシア軍は東部のドンバスに中心を置き、部隊を移動させている。


だが真実は、ウクライナに多用途で実績あるF-16や航空優勢でチャンピオンのF-15を供与するとは一般で言うような簡単なことではない。リスクを考えればもっと低リスクの支援策より大きな恩恵が生まれるかといえばそうでもない。


ウクライナがF-15やF-16を要求する理由とはRed Flag - Changing With The Times > Nellis Air Force Base > Article Display米空軍の第64、65アグレッサー部隊のF-15イーグル、F-16ファイティングファルコン (U.S. Air Force photo by Master Sgt. Kevin Gruenwald)


ウクライナが西側に接近してきたとはいえ、軍事では多くがソ連時代の装備品で、空軍も例外ではない。F-15、F-16ともに1970年代から供用されているが、ウクライナではSu-27やMiG-29を運行している。ポーランドのMiG-29をウクライナへ融通する案が浮上したのは、ウクライナパイロットにも機種変換が一番容易な機種のためだ。


単純に就航開始時で比較すれば、ウクライナ機材は米ファイティングファルコンやイーグルより新しく、MiG-29がロシアで供用開始したのは1982年、Su-27は1985年なのに対し、F-16が1978年、F-15は1976年だ。


米空軍第114戦闘航空団のF-15CがスホイSu-27フランカーの機列の横を通過した。クリアスカイ18演習でウクライナのスタロコスティアンティニフ基地にカリフォーニアから移動した。 (U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. Charles Vaughn)


しかしこの間、アメリカと同盟国は、第4世代戦闘機プラットフォームを更新し、極めて優秀な現代機へ変貌させてきた。こうした機体は、新型ステルス機のレーダー探知を回避する能力はないものの、激しい戦闘環境でも高い成果を上げる能力がある。


ロシア機も同様の改良が施し、今回の紛争ではウクライナの飛行士よりも明らかに優位に立っている。そのため、ウクライナは西側戦闘機の性能で、ウクライナ領空で優位性を得られると考えているのだ。


NATOの戦闘機が威力を発揮すると考えてよい理由がある。F-16は軽量な制空戦闘機であったが、その後マルチロールプラットフォームとして大きな価値を発揮している。F-15は素晴らしい評価を得ており、イーグルは現時代の(そしておそらく他の時代の)最も強力な制空権を発揮する戦闘機である。F-15は104戦全勝で喪失ゼロとの戦績を残しており、F-15のようなドッグファイトを得意とする戦闘機は他に存在しない。


ウクライナのパイロットはソ連時代の戦闘機に慣れているため、戦闘でF-16やF-15を効果的に使えるようになるには、慣れる必要がある。ウクライナは、2〜3週間で移行可能と言っているが、その可能性は極めて低い。だが、同国の厳しい状況を考えれば、実現可能かもしれない。


米空軍には戦闘機パイロット向けF-16ファイティング・ファルコンの操縦訓練コースがある。ただし、このコースの所要期間は6週間以上で、ウクライナのパイロットが訓練を短縮できる可能性はあるが、短期コース終了後に新型機の高性能を発揮できる可能性は低いだろう。


しかし、ウクライナは今回話題に上る航空機を運用したことがない。数機をウクライナの滑走路に着陸させ鍵を渡しても、戦闘で飛ばすには十分ではないだろう。実際、航空機をウクライナに持ち込むのは簡単なことだ。


米空軍は各機に整備要員25名を投入している

機種で異なるが、F-16のような低コストで運用可能な機体でも、運用に膨大なメンテナンスが必要で飛行時間1に対し整備時間16がかかる。


高度なまで専門化した航空機整備士は、修理はもちろんのこと、メンテナンスでも専門的な訓練を必要とする。


F-15Eストライク・イーグルやF-16Cファイティング・ファルコンを運用する米空軍の第332航空遠征隊によれば、航空機1機に対して25人の整備員が必要で、もちろん、より少ない人員でも維持可能だが、ハードな戦闘飛行では、通常の訓練飛行より多くの整備や修理が必要になることは間違いない。


これには、飛行前、飛行中、飛行後の安全確認(飛行中とは、任務続行のために出発する前に再武装するために着陸すること)を行う個人と、「バック・ショップ」と呼ばれる専門グループも含まれる。


これらの「バックショップ」整備士は、武器、誘導装置、推進装置の整備や修理など、より特殊な技術に特化する。こうした仕事は、空戦を継続するために不可欠だ。ソケットの位置を間違えたり、パネルの固定が甘かったりすると、致命的な墜落事故につながることもある


戦闘機を戦闘に飛ばすということは、能力の限界に挑戦し続けるということであり、機体やその他部品に多大なストレスを与えることを意味する。このような戦闘機を飛行状態に保つには、多大な訓練が必要である。空軍の戦術機整備士になるには、テキサス州ウィチタフォールズにあるシェパード空軍基地で5種類の上級訓練コースを修了しなければならない。基礎訓練に加え、各職務に特化した訓練を約18カ月かけ修了した後、各隊に配属され、その業務に完全に熟達するまでOJT(On-the-Job Training)が続けられる。


高度な訓練を受けた整備士は、航空機整備に必要な資材、特殊機器と大規模な物流事業に依存することになる。そのためには、特殊機材を置く場所から、欧米製部品をウクライナの滑走路に定期的に輸送する手段まで、ウクライナにまだない新しいインフラが必要となる。目標はNATO軍をウクライナに派遣せず、これらすべてを達成することである。

 仮にウクライナが数週間でF-16やF-15を使いこなせるまでパイロットを訓練できても、その間に機体整備員を十分に訓練できないだろう。しかし、仮にそれができても、武器に関して別の深刻なハードルに直面することになる。


しかし、アメリカのF-15やF-16などの戦闘機と、ウクライナのソ連時代の戦闘機とでは、搭載兵装がまったく違う。ロシアのR-27空対空ミサイルをF-16に装着して、引き金を引けばうまくいくというものではない。最新の空対空ミサイルや空対地ミサイル、さらには最新の爆弾は複雑な技術を利用しており、専用の取り付け金具と特別な訓練を受けた技術者が必要だ。航空機兵装システム専門家の養成にも綿密な訓練(空軍によると45〜86日分)が必要だ。


もちろん、ウクライナにも兵器技術者がいるので、機体の武装の仕方などについては時間はかからないかもしれないが、一朝一夕にできることではないのは確かだ。


しかし、同様に重要なのは、ウクライナが戦闘で真価を発揮するため、各機に専用弾薬を安定供給する必要があることだ。ウクライナは兵器について外部から供給を受けているため、このインフラ整備はすでに行われているが、ロシア軍が供給ラインを狙えば、ウクライナに兵器や部品の流れを維持するのはかなり困難になろう。


50th EARS refuel F-16s

(U.S. Air Force photo)


S-400 Triumpfのようなロシア製高性能防空システムの運用範囲は約250マイルで、ウクライナ戦闘機が領空を制圧するためには、ロシア国内の防空システム、さらにはベラルーシと交戦する必要が出てくる。実際にウクライナ当局者やパイロットが戦闘機の要求の一部として主張している。そうでなければ、ロシア領に近づきすぎたウクライナのジェット機は高性能防空装備で撃墜され続けることになる。


しかし、ウクライナがたF-15やF-16をロシアに送り込む必要がある最大の理由は、ロシアの防空システムではない。最大の理由は、ロシアによる空爆のほとんどは、ロシア領空を離れない航空機が行われ行っているからだ。



NORAD, Russian Air Force make history in combined efforts > Joint Base  Elmendorf-Richardson > News Articles

ロシアの Su-27 (U.S. Army photo by Maj. Michael Humphreys)


ウクライナはロシア国境に接しているため、ロシア軍は国境を越えてウクライナにミサイルを発射することなく、1日に数百回の出撃が可能である。同様に、ロシアの統合防空システムは、地球の裏側まで到達するため、AWACS(空中早期警戒管制システム)に大きく依存している。ウクライナのF-15やF-16は、ロシアの空爆を阻止しようとすれば、空爆を支援する戦闘機や爆撃機、AWACSと交戦するためロシア領空内に飛来せざるを得なくなる。


このことは、航空機だけでなく、その運用に必要な訓練や装備、弾薬をウクライナに供給するNATO諸国にとって問題となる。ウクライナのF-15やF-16がロシア領空に入れば、西側諸国が防衛的な支援をしているというよりも、ロシアに攻勢をかけるためウクライナに装備を供与したように見えるのは間違いない。ロシアに攻め入ることで、ロシア政府はウクライナを支援する施設やポーランドなどの物流供給ラインを攻撃し、米国製戦闘機による脅威を中和する反応に出る可能性があるため、紛争がウクライナの国境を越え拡大する可能性が劇的に高くなる。


ウクライナは更に戦闘機を喪失し、戦いは続く

NATOがウクライナにF-15やF-16を提供しても、ロシアの圧倒的な数的優位を相殺できる可能性はないだろう。ロシアは戦闘機を約1500機保有しており、世界第2位の空軍力を誇っている。ウクライナは開戦当初100機足らずだったが、今では50機近くになっている。ウクライナに西側の戦闘機を数十機提供しても(可能性は極めて低いが)、互角に渡り合うには十分ではないだろう。


その代わり、ウクライナのパイロットは、ロシアのパイロットと戦闘に入ることになる。そして、戦闘機を滑走路に着陸させ、ミサイル攻撃を繰り返し、数週間の訓練しか受けていない技術者や整備士が、戦闘機を極めて迅速に戦場に戻し、また同じことを圧倒的な勝算のもとに行わなければならない。これでは、戦闘機多数が墜落し、パイロット多数が死んだり、負傷したり、捕らえられたりすることになる。


ウクライナの飛行士たちが、少ない人数で大きな成果を上げる能力を発揮したように、事態が非常にうまくいったとしても、この戦闘機の流入(あわせて必要な訓練、装備、資材、弾薬のすべて)は、ロシア軍を自国領土に押し戻すだけの効果はない。ロシアはウクライナで15万人以上の兵力を運用している。


つまり、戦闘機提供はウクライナの国境を越えて紛争が拡大させる可能性はあるが、それだけでウクライナ国内の戦闘を終わらせることができるとも思えない。


ウクライナ防空豚が撃墜したロシアのSu-35は大4世代機として最先端の機材の一つ。(Ukrainian Ministry of Defense)


多くの指摘があるが、戦闘機を提供するよりも、防空システムを使ってウクライナ領空をコントロールするほうが、費用対効果は格段に高い。防空システムにはもちろん訓練やロジスティックスも必要だが、一部NATO加盟国が運用中のソ連のS-300のように、供用が長く続くシステムをウクライナに供給すれば、追加訓練や設備インフラがなくてもロシアの航空機や巡航ミサイルとも交戦できる。


これらのシステムは、戦闘機のようにロシア国内のロシア航空機と交戦はできないだろうが、より粘り強いオプションである理由の一つである。もちろん、以前ウクライナにMiG-29を送朗とした際と同様に、防空システム(と、それが発射する弾薬)の供給が限られていることが懸念される。

 最終的にウクライナがF-15やF-16を要求するのは、たとえ運用に苦労しても、ないよりはあったほうがいいに決まっているからだろう。しかし、これらの戦闘機がウクライナ防空に提供できる価値はかなり限られており、ウクライナ内外のロシアの防空網に狙われ、数で大きく劣る中で地上目標を空爆で攻撃しても、最も効果的で実行可能な支援方法とはいえないだろう。


ウクライナには多くの支援が必要だが、目的は紛争の拡大ではなく、ウクライナの人々を守ることとすべきだ。F-15やF-16をウクライナに提供すれば確かに助けになるが、ほかの選択肢と比較した場合、コストやリスクに見合う価値はない。■


Why can't NATO give Ukraine F-15s or F-16s? It's about more than pilot training - Sandboxx

Alex Hollings | April 4, 2022


Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.

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KC-46がIOC獲得前にヨーロッパで空中給油業務を展開中している。

 


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KC-46Aペガサス空中給油機がマコーネル空軍基地(カンザス州)を離陸し、スペインのモロン航空基地に向かった。 (US Air Force photo by Amn. William Lunn)


オープンソース情報では、今週ポーランドとドイツ上空でKC-46給油機の飛行が見つかっており、空軍当局は「実戦作戦任務」をサポートしているのを認めた。


こ1週間、ボーイングKC-46がドイツとポーランド上空でNATO東部戦線の強化にあたるアメリカの戦闘機や爆撃機へ燃料補給している。



 航空機動軍団(AMC)司令官のマイク・ミニハン大将Gen. Mike Minihanは3月10日、KC-46計4機の配備を承認していた。

 スペインのモロン空軍基地に220人の飛行士がいるとAMC報道官クリス・ハーバート大尉Capt. Chris HerbertがBreaking Defenseに確認した。

 KC-46は運用開始を正式宣言していないため、今回の「採用コンセプト演習」は、2023年の実戦配備に向けた準備を確実にするのが目的だ。

 ハーバート少佐は、「機材と人員はAMCの権限下に置かれている」としたが、「必要に応じ、広域での作戦任務を支援する」という。

 AMC報道官のダミアン・ピッカート大佐Col. Damien Pickartは、KC-46は在ヨーロッパ米空軍(USAFE)で東ヨーロッパでの作戦給油任務にあたっていると明らかにした。

 ピッカート大佐は、KC-46はNATO機やA-10など特定の米軍機への給油に制限されていると指摘した。しかし、TRANSCOM司令官のジャクリーン・ヴァン・オヴォスト大将 Gen. Jacqueline Van Ovostが木曜日に発表したように、85%以上の米軍機(最近ではステルス機のF-35とF-22)への燃料補給が認められている。

 AMCは、KC-46の任務遂行の詳細を明らかにしなかったが、オープンソースの飛行追跡ソフトウェアを使う航空機スポッターが発見している。

 ヨーロッパ上空の軍用機の飛行を追跡してきた元米空軍情報将校のリック・フランコーナRick Franconaは、3月13日にヨーロッパに向かうKC-46を最初に発見し、3月28日には再びタンカー活動をツイートし、KC-46がヨーロッパで最初の作戦給油ミッションを行っているのを示した。

 翌日、フランコーナは、コールサイン「PICO40」のKC-46がドイツ上空でB-52爆撃機に給油する様子をオープンソースの飛行情報としてツイートしている。

 この時点で、飛行機スポッター数名がKC-46の飛行活動をキャッチしていた。3月30日、あるスポッターはポーランド上空を旋回する2機のKC-46(呼称:PICO60、PICO61)の飛行経路をツイートした。

 今回の演習に参加したKC-46と飛行士は、カンザス州マコーネル空軍基地の第22空中給油隊と第931空中給油隊、ニューハンプシャー州ピーズ州軍航空隊基地の第157空中給油隊、ノースカロライナ州シーモア・ジョンソン空軍基地の第916空中給油隊で構成。

「KC-46Aは現在、ほとんどの任務遂行が承認されており、演習は完全な運用能力に向けた新たなステップとなります」とハーバートは述べた。「また、給油能力を高め、KC-135とKC-10を他の作戦任務のために解放できる」

 KC-46は、米欧州司令部やUSAFEから要請されたものではないと、ピカートは付け加えた。

 KC-46のヨーロッパでの運用は、コスト超過と長期のスケジュール遅延に悩まされつつ厳しい開発期間を経てきたタンカーへの信頼の表れである。

 同機プログラムは、開発期間中に合計54億ドルの税引き前費用を計上した。これは、ボーイング社が2011年にKC-46開発で獲得した49億ドルの契約よりも多い金だ。固定価格契約のため、ボーイング社はコスト超過相当を支払うことが確定している。

 一方で、給油中に受信機のビデオと赤外線画像をブームオペレーターに提供するリモートビジョンシステムの問題など、重大な欠陥数点の解決に取り組み続けている。

 空軍トップは、問題が解決されるまでKC-46の完全な運用開始を宣言しないと強調し、早くても2023年までかかるという。しかし、テストや演習で実証が続くにつれ、空軍は同機の運用を徐々に拡大している。

 「2019年1月以来、KC-46Aは米国内だけでなく、太平洋、中東、欧州の海外でも日常的に任務を遂行しています」「今回のヨーロッパへのKC-46Aの投入は、同機の完全運用能力に向け前進する中で重要なステップを意味します」(ハーバート)■


EXCLUSIVE: US KC-46 tankers operating on NATO's eastern front - Breaking Defense

By   VALERIE INSINNA

on April 01, 2022 at 3:30 PM


2022年4月4日月曜日

T-72などNATO加盟国に残るソ連製装備品がウクライナへ譲渡される。中でもポーランドが注目される。

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AFP VIA GETTY IMAGES

 

シアとの戦闘が新たな局面を迎える中、NATO諸国に残るソ連時代のT-72戦車のウクライナへの譲渡を米国が仲介するとの報道が出てきた。

 ニューヨーク・タイムズ紙が最初に報じた。ウクライナ軍はソ連崩壊後、T-72を受け継いだが、T-72と並びT-64やT-80を好んで使ってきた。これらの戦車は、ロシア軍自身のT-72や他のタイプの戦車と対決してきた。

 この種の報告は今回が初めてではなく、ポーランドからMiG-29の譲渡が噂され、最終的にご破算となった。

 

PHOTO CREDIT SHOULD READ VASILY MAXIMOV/AFP VIA GETTY IMAGES

T-72は両軍が多用している。写真は親ロシア分離勢力の車両. 

 

 報道が正確なら、ウクライナ向け武器供与がエスカレートしたのは間違いない。主力戦車は列車やトレーラーで、あるいは自走で簡単に国境を越えることができる。

 さらに重要なのは、NATOが保有するT-72の数が、多いことだ。ポーランド、ブルガリア、スロバキアにはMiG-29が残っており、これらの空軍の能力を維持するための補充は大変なことである。しかし、NATOのT-72の多くは予備に回されているか、より高性能ではるかに近代的な西側戦車に置き換えずみだ。

 

USMC

ブルガリア軍の T-72s. 

 

 ブルガリア、チェコ共和国、ハンガリー、ポーランド、スロバキアはT-72戦車を運用中、あるいは貯蔵している。

 ほとんどは輸出モデルT-72Mの改良型で、ロシア地上軍のT-72B3ほどの大幅近代化は受けていない。ロシア軍の最新型は、旧式輸出型に比べ装甲、火器管制、自己防護システムなどが改善されている。しかし、破壊されたロシア軍の戦車を示す報道写真が急増しており、ウクライナ軍はロシア軍の装甲を破壊する能力を十分に持っていることが明らかだ。うち何台が戦車同士の戦果かは不明だ。

 ポーランドが供給元となり得る。ポーランド軍には2020年現在、400両近いT-72M1があり、すべて近代化改修済みだ。並行して、200両を超えるポーランドのPT-91トワーディ戦車もある。PT-91は、オリジナルのT-72より改良されたデジタル火器管制システム、独自の爆発反応装甲(ERA)、改良型パワープラントが特徴。PT-91の一部は新造され、その他はT-72M1からのアップグレードである。

 

POLISH MOD

ボーランドのT-72

 

 ポーランドは譲渡する戦車の穴を埋める代替戦車も用意している。同国は249両のレオパルド2戦車(そのほとんどが2A4および2A5型)を保有するだけでなく、米国設計のM1A2SEPv3戦車250両を発注中で、今年中に第一陣が到着する。

 ブルガリア、チェコ、スロバキアは、T-72Mに若干の改良を加え運用している。しかし、いずれも100台以上は稼働しておらず、ブルガリアのみ250台を貯蔵していると言われており、かなりの予備となっている。しかし、チェコ共和国は4月1日に発表した取引で、旧東ドイツ軍のBMP-1を改良した歩兵戦闘車Pbv-501を56台ウクライナに送ることにしている。

 

BRFBLAKE/WIKICOMMONS

チェコの改良型T-72

 

 この三国はポーランドと異なり、エイブラムス、レオパルド、チャレンジャーといった西側諸国の近代化戦車を購入していない。しかし、NATOの指導者たちは、ウクライナに旧型戦車を提供する見返りに新型戦車を提供するという、噂されているMiG-29とF-16の取引のような移転となり、甘受する可能性がある。

 ハンガリーはポーランド同様に、T-72M1約130両の非稼働状態で、34機が現役となっている。同時に、ソ連時代装備の一部を置き換えるために、ドイツから44両のレオパルド2A7の納入を待っており、予備と代替の両方が手元にある。しかし、そうした条件にもかかわらず、ハンガリーのオルバン Viktor Orban首相は他のNATO加盟国よりもモスクワとの関係が温厚であるため、譲渡の可能性は低い。

 T-72は、入手しやすさに加え、広く使われていることとメンテナンスのしやすさから、ウクライナに最適な選択と言える。比較的単純な設計のため、高度な訓練なくても戦場でサポートが可能で、ロシアは多くのT-72を放棄しウクライナが捕獲している。損傷しているものも多いが、スペアパーツ供給源として十分だ。また、ウクライナはT-72をアップグレードした経験も豊富だ。このように、容易に維持できる戦力の強化は非常に論理的な動きに思える。

 戦車がどこから来るか、どのようにウクライナの手に渡るかは別として、新規に加わる装甲車両は南部と東部の領土奪還に向けた最終的な反撃の基幹となり、ロシアの攻撃を鈍らせることができよう。■

 

 

Soviet-Era T-72 Tanks To Be Transferred To Ukraine From NATO Countries: Reports

Reports state that a U.S.-brokered transfer of T-72 tanks to Ukraine from NATO countries’ Soviet-era stocks is imminent. 

BY STETSON PAYNE APRIL 3, 2022