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中国がDF-26を初めて発射テストしたが、空母にどこまでの脅威になるのか

Report: China Tests DF-26 "Carrier-Killer" Missile (Should the Navy Be Worried?) 中国が「空母キラー」DF-26ミサイルをテスト発射したが米海軍の心配の種となるのか

The test proved the DF-26 can strike moving targets thousands of miles away, Chinese media claimed. 中国メディアは数千マイル先の移動目標を狙う能力がDF-26にあると伝えているが....
January 30, 2019   Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-26DF-21DASBMMissilesNavyU.S. Navy


DF-26弾道対艦ミサイルを北西部に移動させたとの発表から数週間で中国ロケット軍が数発を試射したと国営通信が伝えている。
報道では数千マイル先を移動中の標的も十分狙う性能が実証されたとする。理論上はDF-26で米海軍空母やグアム島の基地を狙える。
専門家には同ミサイルの命中精度に疑問の声があるが、米軍はDF-26をにらみ対抗装備を導入ずみで、さらに高性能のミサイル防衛も開発中だ。
人民解放軍ロケット軍の実弾ミサイル発射演習は中国北西部のどこかで実施されDF-26の2発を発射したと環球時報が1月24日に伝えている。.
PLAがDF-26十数発を中国内陸部に移動させたのは1月初めに米海軍艦艇がパラセル諸島に接近したことをうけてで、パラセル諸島近くを「航行の自由作戦」でUSSマクキャンベルが姿を現していた。
マクキャンベルはSM-6ミサイル運用が可能で理論上はDF-26を初期加速段階で迎撃し最終段階でも迎撃できる射程130マイルを誇る。
SM-6は米海軍巡洋艦駆逐艦に配備され2015年から三年連続で迎撃テストに成功している。
DF-26発射装置を内モンゴルに移動させるとパラセル諸島からはおよそ2千マイル離れるが中国は打ち上げ直後の同ミサイルの防御を念頭においているようだ。「移動式ミサイルを内陸奥地から発射すれば迎撃はそれだけ困難になる」と環球時報は軍事専門家の発言として伝えている。
発射直後でのDF-26迎撃は不可能としても2千マイル先の艦艇に命中させる精度があるか不明だ。「DF-26の命中精度は不明だが誤差150ないし450メートルとの観測がある」と戦略国際研究所は述べている。
だが2019年1月末の試射は懐疑派の見解があやまりだったと示している。
DF-26には制御面が4点あり「超越した制御性能で弾頭を低速移動中の空母に誘導できる」と環球時報はPLA元関係者の発言を伝えている。
目標に向け制御すべくDF-26にはレーダーがつくが同時にデータを外部からも受信すると環球時報が伝える。「情報ネットワークと接続させ衛星、地上及び海上レーダー更にミサイル自体のレーダーで飛翔を制御しつつ弾頭を誘導する」のだという。
DF-26の命中精度を疑う声もあるが、ペンタゴンは座して待っているわけではない。2018年時点でイージス駆逐艦巡洋艦でミサイル防衛能力を付与したのは38隻でSM-2、SM-3、SM-6を搭載している。2019年には41隻にする。
米海軍はSM-3のミサイル迎撃能力の向上策としてICBMの最高飛翔点や中間段階での迎撃も可能にする予定だ。
.米ミサイル防衛庁からはSM-3ブロックIIAでICBM迎撃を2020年にテストすると発表があった。SM-3で中間段階ICBMの迎撃に成功すれば、DF-26も中間飛翔段階で迎撃できるはずだ。
だが米国による中間段階ミサイル迎撃能力に懐疑的になる理由がある。SM-3は2002年以来のテスト42回で9回も迎撃失敗している。またテストの多くが現実より甘い条件だったり、中間飛翔段階ではなかった。
2017年5月に米陸軍の地上配備中間飛翔段階防衛の迎撃ロケットがICBMに類似した標的を太平洋上空60マイルで迎撃に成功した。だがこのテストもペンタゴンの宣伝するような現実的な条件では行われていない。
憂慮する科学者連盟のローラ・グレゴがテスト内容を検討したが標的ロケットは実際のICBMよりかなり低速だったという。
陸軍の中間段階防衛構想も現実には機能しない可能性がある。海軍のSM-3も同様だろう。ただし米艦船は無防備になるわけではない。最後の数秒間で飛来するミサイルを狙う可能性は残されている。
これだとギリギリの対応だ。迎撃が失敗すれば米艦艇は目標を外すよう祈るしかない。いずれにせよ中国が1月に行ったDF-26テストでは標的を外すリスクそのものを最小にするねらいがあった。■
David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.

コメント

  1. ぼたんのちから2019年2月4日 9:43

    中国発の軍事情報は、宣伝戦の一部であり、習を含むあらゆる党及び軍関係者の発言は眉に唾して見るべきと考えています。
    そう考えると、DF-26、DF-21D対艦弾道ミサイルは、中距離、及び準中距離弾道弾であることは間違いないでしょう。また、それ以上の能力があると確認された情報はありません。
    通常弾頭で難易度の高い移動する艦艇を直撃する能力は、迎撃や電波妨害が無かったとしても今のところ極めて限定的でしょう。また、移動する海上目標に対するテストも確認されていません。
    そのように考えると、DF-26は停泊している空母に対する「空母キラー」ではないでしょうか。

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