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★米側から見たF-3戦闘機開発の意義や背景について

National Interestの編集部はときどき論調とはいささか乖離した見出しを扇状的につけることがあり今回もそうなのですが、タイトルと記事が一致しません。またF-35の役割についても著者は理解が低いようです。ただしF-3についてはわからないことが多く、観測記事の域を脱しませんが、少しずつでも解明されていくといいですね。

Japan's New F-3 Fighter: Why Not Just Buy More F-35s? 日本のめざすF-3戦闘機はF-35追加調達で不要になるのではないか

We have a look at what Tokyo is planning.
February 17, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarJapan
2019年2月、日本はステルス戦闘機国内開発の方針で注目を集めた。ちょうど100機超のF-35調達を決めたところであった。
防衛省は新型戦闘機F-3調達を中期防衛整備計画(MTDP)に組み入れ今後10年間の調達計画を策定した。
最新のMTDPは日本を取り巻く安全保障環境の悪化で大幅な防衛支出増を盛り込んでいる。
ではF-3はどんな姿になるのか。
防衛省によればF-3は三菱重工製F-2の後継機となる。F-2は米F-16を原型に日本製技術内容を採用した単発軽量戦術戦闘機だ。21世紀に入った時点でF-2は世界最高水準の戦闘機でAESAレーダーを搭載する他、複合材の採用でレーダー断面積も最小に抑えていた。また主翼面積を増やし対艦ミサイル搭載も可能となった。F-2最終号機は2011年にロールオフし2030年代まで供用が予定されている。
ただしF-3の初期構想はF-2とは大きく異なる。二案示されたがともに双発エンジン構造だ。
その理由は以下考えられる。双発機は長距離哨戒活動で効果が高い。また1基が故障しても残るエンジンで出力を十分確保できる。F-15JはF-2より早く供用期間が終わりそうで、新型機はF-2、F-15J共に更新する機材になる。
では単発エンジンのF-35はどういう位置づけなのか。F-2後継機にF-35を導入するのは理にかなうのか。
100機超のF-35導入を日本が考えているのはF-4EJ戦闘機の用途廃止が前提だろう。1970年代製の同機では現代では有益性に疑問が生まれている。またF-35導入で日本の航空戦力は比較的容易に増強でき、新型機登場を待つ必要がない。F-35B導入はF-3では不可能な非整地からの運用を想定してのことだろう。
F-3の機内兵装庫はF-35を凌ぐ大きさになるはずで攻撃能力も向上する。日本には複座仕様のF-2もあるが、F-3でも複座型を開発し戦闘無人機を指揮統制する「母機」にできるのではないか。
F-3は同時に国内航空宇宙産業の設計能力を維持する手段ともなる。F-2をF-16原型で開発する決定が日本国内で物議をかもしたのは技術移転が限定されるためだったが、F-3で防衛省は国内産業界に便宜を提供しようとしている。
自衛隊でF-3は今後の重要機材だ。成長著しい中国空軍力への対抗策として有効である必要があるし、一定数の調達を可能となる経済性も必要だ。輸出の可能性も開けるはずで日本が防衛装備品の輸出制限を緩和した恩恵を受けられる。反対に開発が失敗すれば日本の国産戦闘機設計能力は大打撃を受ける。■
Charlie Gao studied Political and Computer Science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national security issues.

Image: Wikimedia Commons

コメント

  1. 米国人視点の記事ですから、日本で自国開発する意味合いを理解できなくても当然です。経済性から米国機を買ったほうが良いという結論になるのも当然のこと。また、F2開発の経緯も、米国が政治的に横槍を入れた上、開発中でもジェネラルダイナミクス(戦闘機部門は現ロッキードマーチンに吸収ですね)が、自分たちに都合の良い理屈をつけて炭素複合材やAESAの技術を持っていったこと、飛行制御他のソフトを出さなかったことなど、自国に都合の悪いことは書いていない。米国であろうと、他の国であろうと、有名なメディアでもその程度の信頼性であると考えないと、判断を誤ります。
    これは経済ではなく、自国の安全を守るものを他国に依存することの危険性を考えて開発するものですから、高くつこうが関係なし。これは、米国自身も経済的には大失敗作のF-35を未だに巨額の費用をかけて開発している理由を考えれば明らか。F-22やB-2も経済的には失敗作ですが、これに懲りて、戦闘機や爆撃機を他国に依存するという話は全く出ません。当然です。経済だけの問題では無いのですから。財政健全化しても、中国や北朝鮮、韓国の侵略を受けたら、甚大な経済的、人的被害が出ることは明らかです。その可能性を下げるための費用を損得だけで考えていたら、あとで泣きを見るだけです。

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  2. 経済性や産業技術波及効果を無視して防衛装備品が開発される事はあり得ません。その上で米国製に経済性に優位性があるかは微妙な所ですが。
    経済だけで無いという指摘こそごもっともですが必要なのは求められる能力が既存機にあるのか、国内で開発する事が可能か、産業波及効果を含む経済性はあるかなどただ防衛力のみで帰結する話ではないでしょう。
    安全保障は広義には経済も含まれる以上むしろ財政を意識しない方がおかしい。

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  3. 記事はほとんど何も言っていないに等しいですね。
    F-3にはあまり期待しては駄目だと思います。
    現状の計画では、F-22クラスみたいですが、F-35を超えるのは、難しいでしょう。支援戦闘機の後継として、F-35を支援する戦闘機になりそうな気がします。
    思った以上にF-35は良くできてるみたいですから。
    あと、開発費がいくらになるのか?たぶん、エンジンやレーダーなどの開発費は外出しにして、機体の計画費を安く見せかけるんでしょうね。要素開発として着々とその方向で進んでいるようです。
    90機程度の量産では、単価がまたひどいことになりそうです。
    自衛隊の事前単価見積は当てにならないですから。装甲車両などはましですが、飛行するものは、鬼門で安くすんだためしがないように思います。
    下手すると、F-22の再生産より高くつく可能性もあるのでは。
    もっとチープな戦闘機を目指して、Step by Stepで実力をつけて欲しいです。
    夢を見てる人は多いですけど、実際の開発力は、思ったよりないと思った方がいいです。
    実際に続けないと力はつかないので、続けることに意味があるかもしれませんが。
    あと、最近は無茶な低額の開発費しかつかない場合が多いので、出来上がりもあまりよくないんですよね。
    ただ、無尽蔵に予算があるわけではないのですから。
    F-22とB-2の例が、出ていますが、失敗したから、損切りとして生産打ち切りになっています。
    アメリカなんて失敗作だらけでしょう。その失敗から学んで来たんだと思います。
    特にF-22とB-2は良い教訓になっているのではないでしょうか。
    日本にはそこまでの蓄積も経験も不足しているのに、夢見過ぎ。

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  4. 自衛隊自体に米国のような実戦経験が無いのですから、F-3にF-35を超えるアビオニクス等は求められないし、作りようが無いと思います。但し、島国で領海がとても広いため、航続距離が長い、日本の実情に合ったステルス機で、かつ、悲願の海外特許にかからず、信頼性の高いジェットエンジンを作ることができれば良いと思います。万能である必要は無く、わが国の実情に合った、F-2の代替機であれば最低ラインはクリアできると思います。

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