2016年7月17日日曜日

中国はSCSを閉鎖し世界に5兆ドルの損害を与える選択に踏み切るのか



筆者は経済合理性がないから中国が南シナ海をほぼ全域を閉鎖することはないと見ているようですが、面子を潰された中国がどんな手を打ってくるかは正直わかりません。一連の動きは10月の国慶節を前に出てくるのではないでしょうか。国民の不満が自分たちに向かうとまずいので、また狙い易い日本を標的にした示威活動が発生するかもしれません。中国在留邦人の安全が危険になるかもしれませんし、尖閣でも大きな動きが出てかもしれません。資源埋蔵が有望とわかって声高に領有を主張するのは尖閣とも似ていますね

The National Interest


$5 Trillion Meltdown: What If China Shuts Down the South China Sea?


July 16, 2016

中国はミュージックビデオ、論説その他の多様なプロパガンダ手法からPLA海軍艦艇の実弾射撃まで駆使し、国際法廷の下した結果に反発している。法廷は中国の南シナ海支配を「無効かつ取り消し」とした。だが防空識別圏の設定以外に中国が更に一歩踏み込んで「九段線」内海域を立ち入り禁止と宣言したら経済にどんな影響がでるだろうか。
  1. 1947年に当時の国民党政権が曖昧に定義した九段線は南シナ海のほぼ9割を囲んでほぼメキシコの面積と同じで中国本土からは千キロ離れ、マレーシア、フィリピン、台湾、ヴィエトナムがそれぞれ領有を集中する場所を含む。
  2. 中国も航行の自由から恩恵を多大に受けているが、その他各国にも問題海域は通商航路として死活的で、日本、韓国、オーストラリアが行方に気をもんでいるはずだ。
  3. ここを通過する貿易は年間5兆ドルといわれ、世界の貨物船の半分が通過し、交通量も世界の3分の1を占める。
  4. マラッカ海峡とインド洋を通過する原油は南シナ海経由で東アジアに到達し、その量はスエズ運河を通過する原油の三倍、パナマ運河の15倍に達している。
  5. 原油輸入の大部分が南シナ海経由で各国に入る。韓国は三分の二、日本や台湾は六割、中国は8割だ。
  6. タンカー航路をロンボク海峡経由でフィリピン東部通過に変えた場合、日本では6億ドル、韓国は2.7億ドルの追加支出となるとの試算がある。
  7. オーストラリアから南シナ海を通過する貨物の流れは中国向けだが南シナ海が通過できなくなると航路変更で年間200億ドルの追加コストになる。

豊富な石油ガス資源

  1. 中国が南シナ海を狙う理由に石油ガスの巨大な埋蔵可能性もある。ここを「第二のペルシア湾」と呼ぶ専門家もいるほどだ。
  2. 米エネルギー情報庁試算では南シナ海に110億バレル相当の原油があり、メキシコの石油埋蔵量の規模で、天然ガスは190兆立方フィート(約5.4兆立法メートル)で中国のガス需要28年分相当だ。中国海洋石油は200億ドルを投資し1,250億バレル、500兆立方フィート(約14兆立法メートル)の天然ガスの推定埋蔵量を確かめようとしている。
  3. 推定が正しくても商業的に採掘が可能か意見が分かれるが、南シナ海がサウジアラビア除けば世界最大量の石油が眠る場所になる。
  4. ただし埋蔵地点は深海部分が多いことに注意が必要で、採掘は技術的にも経済的にも困難だ。中国にしても現在の原油価格低迷を考えれば安く既存の生産地から入手するほうが近道だ。だがフィリピンやヴィエトナムにとって南シナ海の石油ガスの経済可能性を失うことは深刻だ。

漁業権

  1. 中国沿海部で漁業資源が減少しており中国漁船は遠征漁業を続けており、インドネシア領海まで進出し摩擦が増加している。
  2. 中国は2012年以来南シナ海から他国漁船を排除してきたが、完全閉鎖した場合の東南アジアの被害は遥かに拡大する。商業漁業じゃGDP比でインドネシアで3%、マレーシア、フィリピン、タイランドでもほぼ2%になっている。

中国にとって閉鎖は意味があるのか
  1. 中国は貿易取扱量を武器に実質上すべての東南アジア各国に強い立場だ。ASEAN統計では2014年に中国は東南アジア全体の輸出の5分の一、EUは八分の一、日本は十分の一だった。
  2. マルコム・クックのようにカンボジア、ラオス、ミャンマーを除けば覇権を及ぼす事はできないが、南シナ海を閉じれば東南アジアのみならず周辺の経済大国、日本、韓国、オーストラリアも物流の制限で経済損失を被るとの見方がある。
  3. 仮に危機がエスカレートした場合、最も損失を発生させるのは貿易の中断で世界で唯一経済活動が活発な地域の足を引っ張ることだ。中国にとっても閉鎖の代償は南シナ海を開放して生まれる利益をうわまわるはずだ。

筆者アンソニー・フェンソムはオーストラリア・ブリスベーンでフリーランス記者をしながらアジア太平洋地区での金融・メデイア業界のコンサルタントをしている。

歴史に残る機体⑥ F-111 カダフィをあと一歩で殺害できた骨太爆撃機


ずっとなぜF-111はFなのか疑問に思っていましたが、この記事で疑問が解けました。F-117も同様の理由なのでしょうかね。ずっと期待され甘やかされながら活躍できず厄介者になりそうだったのが人生の後半でやっと真価を発揮したようなものでしょうか。でも人件費が高いので退職においやられた、そんな人生もありそうですね。

War Is Boring
ドロップアンドバーン」をするオーストラリアのF-1112008年 Allan Henderson/Flickr photo

The F-111 Was a Muscular Bomber That Nearly Killed Gaddafi

Aardvarks flew combat missions in Vietnam, Libya and Iraq

by SEBASTIEN ROBLIN
  1. 低空攻撃機ジェネラル・ダイナミクスF-111アードヴァーク(ツチブタ)は別の仕様を想定していた空軍と海軍に当時の国防長官が無理やり押し付けて誕生した機体だ。
  2. 開発中はトラブル続きだったが、高性能ハイテク夜間爆撃機として数十年に渡リ供用され、すっきり優雅な姿が特徴的だった。
  3. 米空軍は1960年代初頭には高高度飛行する爆撃機は低速でSA-2などレーダー誘導式地対空ミサイルから逃げられないと気づく。そこで小型長距離超音速爆撃機で地表すれすれを飛びレーダー探知を逃れる新構想が生まれた。
  4. 米海軍も空母防衛のため高速長距離迎撃機に空対空ミサイルでソ連爆撃機を遠方で排除させる構想の検討に入っていた。
  5. 新任の国防長官ロバート・マクナマラは共通機材にすれば両軍の要求を満足させつつ開発費用を大幅に節約できると信じ、空軍海軍は仕様面の妥協は本意ではなかったが、結局TFX事業へ協力せざるを得なくなる。1962年ペンタゴンはジェネラル・ダイナミクスに契約を交付する。
  6. 機体は空軍が望んだ戦略爆撃機より小さいため海軍が使う「攻撃機」の略称を避け、戦闘機の「F」がついた。

革新的な設計

  1. F-111は強力かつ燃料消費が優れたTF30ターボファン(アフターバーナー付き)双発機で、機体内部に爆弾を31千ポンドと作戦半径2,500マイル分の燃料を搭載し、外部タンクをつければ1,000マイル延長できた。空虚重量は20トンという大型機で完全装備するとこの二倍となった。
  2. F-111設計陣には一つ課題があった。飛行は超高速でも離着陸は短距離にする必要があったのだ。
  3. 主翼を小さくすれば抗力が減り、速度は高くなるが揚力が小さくなり離陸速度を早くする必要から長い滑走路も必要となる。当時の超音速戦闘爆撃機F-105サンダーチーフも主翼が小さく、離陸には1マイルもの滑走が必要で運用基地が制限されていた。
  4. そこでF-111では新技術の可変翼が採用された。離陸時は主翼を広げ最大限に揚力を得て、飛行時には主翼をしまい高速を得る。以前も試行はあったが実用化はF-111が初めてになった。
  5. 搭乗員二名はコックピットポッドに隣り合わせで座る。脱出時はロケット噴射でポッドを射出し、宇宙カプセルと同じように地上へパラシュート落下させた。
  6. 鍵となった技術革新は地形追随レーダーで機体前面の地形を把握し衝突回避できる飛行経路を自動形成するものだった。これによりF-111は地上200フィートを夜間や悪天候でも安全に高速飛行でた。
  7. 暗闇を物ともせず長い機首を地上スレスレに飛行することからツチブタの愛称が生まれた。
  8. 初期型は期待通り低空をマッハ1.2で、高高度ではマッハ2.5を出しながら着陸滑走路長はわずか2,000フィートで十分だった。また戦術機で初めて米大陸からヨーロッパまで無給油で横断飛行できた。
  9. だがF-111の基本設計は空軍の要求内容を重視していた。空母搭載迎撃機モデルF-111Bの公試結果はひどい有様でマッハ1を超えるのに苦労するほどだった。多額の出費の末の妥協の挙句、海軍型はスクラップにされた。ただし一部の機構はF-14トムキャットに引き継がれている。

  FB-111s. U.S. Air Force photo

アジアへの展開

  1. 空軍のF-111戦闘デビューは幸先悪いものだった。F-111A分遣隊がヴィエトナムに展開したのは1968年でうち3機がわずか55回の出撃で墜落喪失したのは主翼の安定機構の不良のためだった。空軍はF-111全機を飛行停止とし、解決に100百万ドル支出した。
  2. 1972年にラインバッカー空襲が始まるまで実力発揮の場がなかった。北ヴィエトナムのレーダー網をかいくぐりF-111は夜間空襲で飛行場や対空陣地を粉砕し、その後に続くB-52用に防空体制を弱体化した。
  3. アードヴァークは護衛戦闘機、電子支援、空中給油機が不要で悪天候でも稼働可能だった。ヴィエトナム戦で延べ4千回ミッションをこなしたが戦闘中喪失はわずか6機と当時の全機種で最低水準だった。
  4. F-111の東南アジア最後の実戦はカンボジアでクメール・ルージュがコンテナ船S.S.マヤゲスを拿捕した1975年5月だった。アードヴァーク2機が訓練飛行中で同船を発見し、その後1機のF-111が同船に随行していたクメール・ルージュ哨戒艇を撃沈した。
リビア空爆の準備をするF-111F,1986年4月 U.S. Air Force photo

派生型各種

  1. F-111は各型あわせ563機が製造され、A型に続くD型、E型は電子装備が充実し、エンジンの空気取り入れ口の変更と、推力がを増加した。
  2. FB-111は戦略爆撃機でエンジン性能を引き上げ全長を2フィート延長し燃料を追加搭載した75機が戦略航空軍団で稼働した
  3. F-111Cはオーストラリア専用に米国が売却したもので、FB-111とF-111Eの特徴を併せ持っていた。
  4. 決定版がF-111Fで推力35パーセント増のエンジン、性能向上型レーダー、ペイヴトラック赤外線目標補足ポッドで地上目標を捉え、精密誘導弾薬で攻撃可能だった。
  5. 1970年代中頃から42機のF-111Aが無武装のEF-111Aレイヴン(大カラス)電子ジャミング機に15億ドルで改装された。EF-111の中核装備はALQ-99Eジャミングポッドでレーダーを放射線で妨害し、味方機の探知を不可能にした。
  6. ジャマーの電流は機内に漏れて搭乗員の毛髪が立つほどでだった。このためレイヴンは「スパークヴァーク」の異名がついた。EF-111は尾翼上の受信用ポッドで識別が可能だ。
F-111F がマーク82爆弾を訓練投下している。1986年、 U.S. Air Force photo

エルドラドキャニオン急襲作戦

  1. F-111が世界史に再び現れたのは1986年でリビア工作員がベルリンのラ・ベルナイトクラブを爆破し米軍人2名が命を落とした事件の直後だ。
  2. レーガン大統領はリビアの独裁者ムアマール・カダフィの住居をトリポリ郊外で攻撃する命令を下した。作戦名はエルドラドキャニオン作戦とされ、国家元首を空爆で初めて暗殺する先駆けとなった。
  3. トリポリはSAMの25陣地で守られていた。F-111F一個飛行隊18機が攻撃の中心となり、4機のEF-111レイヴンが防空レーダーを妨害した。別に海軍がベンガジ付近を空襲した。
  4. ヨーロッパ各国が上空通過を拒否したためアードヴァーク各機は英国を離陸後、スペインへ迂回しフライトは13時間に及び空中給油を往復で6回行った。戦闘機の最長ミッション記録となった。
  5. 空爆は大きな効果を上げとはいうものの、F-111の作戦効果と作戦内容で不満足さが残った。F-111は1機を喪失。おそらくSAMによるもので乗員は死亡した。4機はエイビオニクス故障で兵装を投下できず、1機はエンジンのオーバーヒートでスペインに緊急着陸を迫られた。7機は目標を外し、爆弾数発が一般人居住地に落下し、危うくフランス大使館に命中するところだった。
  6. カダフィは空襲の直前にイタリア首相から警報を受け辛くも逃げ延びた。子ども8名と妻が負傷し、養子の幼児ハンナが死んだとされる。(ハンナの出生については謎があり、実際に生き残ったとも言われる)
  7. カダフィは衝撃を受けたものの、その後もテロ攻撃を継続し、中でもパンナム73便のハイジャック、スコットランド、ロッカビー上空でのパンナム103便爆破はよく知られている。
砂漠の盾作戦でのF-111F U.S. Air Force photo

イラク

  1. 1991年1月17日、砂漠の嵐作戦開幕の夜にアードヴァークは砂漠を低高度で縫うように飛び、イラクの防空、主要軍事施設をレーザー誘導爆弾で攻撃した。一方、EF-111レイヴンは連合軍部隊に随行しイラク国内深くに侵入し、イラク防空レーダーをジャマーで妨害した。
  2. 1991年のイラク戦に投入されたのはF-111Fが66機とF-111Eの18機でミッションは5千回にのぼった。
  3. 風説と違い、開戦初日のイラク空軍は無力ではない。F-111の2機がMiG-23の赤外線誘導式R-23ミサイルにより被弾した。MiG-29も別のアードヴァークをR-60ミサイルで被弾させている。頑丈なアードヴァークの面目躍如でこの3機は基地に帰還している。
  4. 2月にはEF-111でそこまで幸運でない事例が出た。敵機を探知後、回避行動中で地上に激突し、乗員全員が死亡した。
  5. ただしジェイムズ・デントンの操縦するレイヴンは尋常でない勝利を手にした。砂漠の嵐作戦初日にデントンのEF-111は早朝の暗さの中を高度400フィートで飛行し、F-15E戦闘爆撃機編隊と上空護衛するF-15C戦闘機編隊を先導していた。
  6. 飛行場H3を通過するとイラクのミラージュF1戦闘機一機が後方から迫ってきた。デントンは鋭い左旋回のあと右に方向を変えチャフを放出し、熱追尾ミサイルを回避した。イラクのパイロットはレイヴンの回避行動に対応する中で空間識を失い、地上へ激突した。無武装のレイヴンが空中戦勝利をあげ、F-111「戦闘機」となった。
  7. イラク防空網が弱体化すると、アードヴァークは地上攻撃に中心を移した。F-111Fのペイヴタック装備は「タンク・プリンク」すなわち赤外センサーによる装甲車両識別で効果を発揮し、レーザー誘導爆弾を頭上から投下した。F-111はイラク車両1,500両を識別した。
  8. その他の標的にサダム・フセインが妨害工作をした油田の連接管がありペルシア湾を汚染した原油流入を止めた。
  9. 砂漠の嵐作戦はアードヴァークの最後の現役活躍の場となり、F-111は1998年に米空軍から退役した。アードヴァークは効果は高いが保守点検コストが高く、空軍は短距離攻撃ミッションはF-15Eストライクイーグルで、長距離攻撃任務はB-1爆撃機が引き継げると判断した。
  10. 空軍にEF-111の交代機種がなく、ジャミング任務は海軍海兵隊のEA-6BプラウラーとEA-18Gグラウラーが今でも実施している。
オーストラリのゴールドコーストで「ダンプアンドバーン」をするF-1112008年.Simon Morris/Flickr photo

オーストラリア

  1. オーストラリアのF-111は2010年まで供用され、同国では愛情をこめ「ピッグ」と呼ばれた。
  2. 1973年受領のF-111C24機に加えFB-111を15機、F-111A4機をオーストラリアは運用した。戦闘投入は一回もなかったが、オーストラリアはF-111で兵力投射能力を確立し外交上の強みとなった。
  3. ピッグはオーストラリアの航空ショーの目玉で燃料を放出したところにアフターバーナーで点火する「ダンプアンドバーン」は有名だった。同国は対艦ミサイル運用の改修のほか、4機を偵察用に改造した。
  4. ただし運航コストが高く、F-18Fスーパーホーネット24機に交代させた。
  5. こうしてF-111は全機が退役したが、類似機種がまだ使われている。ロシアのスホイSu-24フェンサーはF-111の直後に企画され、驚くほど外観や任務が似ており、可変翼付きでもある。
  6. アードヴァークの航続力、速力、兵装搭載量には及ばないが、Su-24の生産数は三倍で、今日でも300機近くが稼働中だ。
  7. トルコ空軍のF-16が2015年にシリア上空で撃墜した機体もロシア空軍のSu-24で外交面で大事件になった。■

2016年7月16日土曜日

米空軍戦闘機パイロット不足700名、空軍長官・参謀総長の対応策とは

景気がよく軍パイロットが残らないため戦闘機パイロットが不足とのことで、空軍にはつらい状況のようですが、無人機の拡充に進む契機のひとつにもなりそうですね。人口減少が加速する日本では大丈夫なのでしょうか。空軍長官も参謀総長も専門サイトに見解を発表するのは米国のすごいところで日本にも参考になるはずです。

The US Air Force Is Short 700 Fighter Pilots. Here’s Our Plan to Fix That.

At Bagram Air Base, Afghanistan, a U.S. Air Force F-16 Fighting Falcon “Triple Nickel” aircraft pilot assigned to the 555th Expeditionary Fighter Squadron from Aviano Air Base, Italy, awaits weapons check, July 14, 2015.U.S. AIR FORCE PHOTO BY TECH. SGT. JOSEPH SWAFFORD/RELEASED
  • BY DEBORAH LEE JAMES
  • GEN. DAVE GOLDFEIN
  • JULY 14, 2016
かつてない多忙な中で規模を大幅に縮小した米空軍はパイロット賞与を増額し、家族と過ごせる時間をより多く与え、民間航空部門や好調な経済と対抗すべきだ。

ペンタゴンの様々なリーダーシップの現場でいろいろ考えさせられる場面がある。その一つに米経済に良いことが全志願制の米軍に深刻な問題となる、ということがある。低失業率で活発な雇用は国にとっては朗報だが各軍には隊員の新規確保と人材つなぎとめが難題となる。

  1. 具体的には戦闘機パイロット不足が拡大中だ。500名から700名が今年度末に不足すると見られ、世界各地で作戦展開の必要水準から21%足りない。これだけの乖離は深刻で注視すべきだ。しかも空軍だけではない。海軍、海兵隊も同様の問題に直面しているのは民間エアライン業界が定年パイロット退職に伴い大規模な採用を続けているせいだ。また新基準でエアラインパイロットの年間操縦時間が1,500時間上限となり軍が養成したパイロットが改めて注目されている。

  1. ただしエアライン業界だけが空軍パイロット不足の原因ではない。飛行時間の大幅削減はペンタゴン予算の削減が出発点だが、海外勤務が終わると急に手取り収入が下がり生活を切り詰める必要があることも一因だ。間違いなく問題は悪化の一方で解決の兆しは見えない。

  1. 筆者両名の責務はリーダーとしてこの課題に正面から立ち向かい、良識ある方法で原因を根本解決し、空軍隊員各位に隊に留まる確たる理由を実感させることだ。軍パイロットも民間パイロットも国の安全と商業活動でそれぞれ重責を担う必要不可欠な要素だ。

  1. 空軍はパイロット不足を以前も経験しており、民生部門の雇用ピークに影響される周期現象と理解しているが、今回の影響は深刻だ。空軍は25年間に渡り戦闘を継続しており、ここまで業務が多忙になったことはなく、一方でここまで規模を縮小したことはない。そのためパイロットのみならず人員全般の不足への対策で判断誤りのk許容範囲がない。民生部門なら既存の労働市場に求人すれば欠員解消できるが、軍では技能専門職を自ら育成する必要があり、相当の期間を要する。

  1. 以上を念頭に現状を逆転しパイロットをつなぎとめる策を果敢に実行に移す。新規パイロット養成を拡大し、第一線飛行部隊で時間を食う間接業務の負担を軽減し、飛行手当の拡充を図る。議会も問題の深刻さを認識し空軍に残る中堅パイロットの年間賞与を増額する提案が議会に提出されている。賞与25千ドルは1999年から据え置きのままだがインフレで価値は下がっている。

  1. 経験から金銭がすべてではないとわかっているが、軍人が民生部門の給与水準に魅力を感じると軍にとどまるか去るかの分かれ目になるのは棒給額だ。今のところ賞与を受け取るのは少数の戦闘機パイロットの男女だけで金額も低い。必要な措置を講じ水準を引き上げ意味のある形にしたい。

  1. 軍の一員が一番幸福感を覚えるのは装備が十分で、予算手当が十分かつ必要な支援を得て持てる力を十分発揮できる時だ。そこで追加措置を取る。戦闘任務から帰還する飛行隊隊員には家族と過ごす時間を十分に与えるとともに操縦訓練予算を潤沢に確保してキャリアを引き上げる道を開く。飛行時間の問題の課題のひとつは整備要員を確保し機材を飛行させることだ。

  1. 人員対策を各種検討し、整備人員不足のため機材を遊ばせておくことがないようにしたい。パイロットも整備員もともに民生部門が狙う人材であり、空軍はエアライン業界と協議し、国防のニーズと民間部門のニーズを調整したい。さらに言うまでもないことだが、健全な方向性に留まる中で予算強制削減措置の再発の余裕はないのだ。

  1. 現時点で特に重要なのはパイロット全体に実行可能な対策を打っていると示すことだ。米国、友邦国にとって世界が危険な場になっている事実そのものは変えられないが、空軍力は統合運用の中で世界各地で安定の実現手段である。経済活況の中で空軍の有能人材が引きぬかれていると嘆くばかりではダメだ。

  1. なすべきは各隊員に任務の意味を思い起こさせ軍に残る確たる理由を与えることだ。


デボラ・リー・ジェイムスは空軍長官、デイヴ・ゴールドファイン大将は空軍参謀総長。

★★★A-10の主力装備GAU-8機関砲とは

A-10の存在意義であるガトリング砲GAU-8について詳しく解説しています。もともとがガン専門誌の記事なのでややマニアックかもしれません。また訳にも一部おかしなところがあるかもしれません。ご存知の方はご指摘ください。


War Is Boring We go to war so you don’t have to
U.S. Air Force photo. All other art via Wikipedia

Everything You Ever Wanted to Know About the A-10 Warthog’s Big-Ass Gun

The GAU-8 is a fearsome shooter

by MATTHEW MOSS

ジェネラル・エレクトリックの30ミリGAU-8アヴェンジャー機関砲は米空軍A-10サンダーボルトII対地攻撃機の主要兵装として40年に渡り使用されている。同じ砲は海軍の近接防空システムであるゴールキーパーにも採用されている。巨大で畏怖感を与える銃だ。
  1. GAU-8は銃身7本と円形ロック機構付きボルトで構成する。動力に油圧モーター2基を使い理論上は戦車を貫く劣化ウラン弾を毎分4,200発発射できる。
  2. 1960年代に空軍は対地攻撃専用機材として導入可能な低価格で装甲車両や固定陣地を破壊できる近接支援機が必要と結論づけた。ソ連装甲師団が大量に西ヨーロッパに流れ込む脅威から主力戦車や装甲兵員輸送車を破壊できる機体が必要となった。
  3. 1966年9月に米空軍は試作攻撃機事業、別名A-Xで新型近接航空支援機の開発を始めた。
  4. A-Xでは安価な機体に低速での操縦性、長時間の空中待機性能を付与し残存性と火力を重視した。空軍はA-1スカイレイダーのパイロットからヴィエトナム実戦体験を求め、提案内容を1970年夏に修正した。
  5. また提案書では30ミリ回転式自動砲に毎分4千発の発射性能を要求した。空軍はM61を以前に開発したジェネラル・エレクトリック、成功しなかった25ミリGAU-7の開発元フィルコ-フォードの二案を競合させた。
  6. ジェネラル・エレクトリック案が採択され、制式名称GAU-8別名A/A49E-6ガンシステムとなった。
  7. ジェネラル・エレクトリックは以前からある20ミリM61ヴァルカン砲を拡大すれば空軍の想定する最大機体重量を超過するとわかっていたので別の方策をとり、新設計軽量装備にヴァルカンのリンク無し弾薬供給機構を組み合わせた。
  1. 一方で機体では二社案があり、フェアチャイルド・リパブリックのYA-10とノースロップYA-9を比較検討していた。フェアチャイルドのYA-10では機関砲をやや左側に搭載し、弾薬バレルを右側9時の位置に配置した。
  2. これでGAU-8に45キロニュートン相当の反発力を機体中央線に沿って与えるとともにA-10が砲を発射しても機体がずれて目標を外さないようにした。
  3. 公試は1972年末に始まり、翌年1月に空軍はYA-10を採用した。A-10は頑丈で長持ちする機体でメンテナンスは比較的軽微ですみ、支援設備が不十分な前線基地からも運行可能とするため、滑走路が不完全でも対応できる設計にした。
  4. ファエチャイルドは残存性を高くするため機体全体は23ミリ機関砲に耐え、コックピット周りは57ミリ砲の銃撃にも耐える構造にした。燃料タンクは自動密封型とし、油圧系統、エイビオニクスを損傷しても「手動復帰モード」で飛行可能だ。
  5. GAU-8機関砲の単体重量は620ポンド(約280キロ)で、A/A49E-6ガンシステム全体は4,029ポンド(約1.8トン)とA-10の全体重量のおよそ16%を占める。GA-8の銃身は7本あり、導入当初は毎分4,200発の発射が可能だったが、空軍は3,900発に下げる。この速度だと各銃身は毎分557発を発射し相当の威力であることに変わりない。
  1. 実際にはパイロットは発射を一秒から二秒にとどめ、弾薬を節約し銃身の寿命を長引かせる。空軍は銃身の寿命を2万発に設定している。銃身は簡易脱着式としメンテナンスや脱着作業を容易にしている。
  2. 装備の全長は18フィート(約5.5メートル)で弾薬ドラムの直径は3フィートだ。GAU-8の弾倉は1,174発まで収納できるが、空軍は通常は1,150発しか装填しない。油圧モーターが二基あり、合計77馬力を発生し、弾薬ドラム装填、砲の発射に使う。またモーター二基でGAU-8の銃身7本をほぼ瞬時に回転させる。
  3. A/A49E-6ガンシステムでは薬きょうを機外に排出せずドラム型の弾倉に戻し飛行後に地上要員が取り外すこれで薬きょうをエンジンに吸い込まず機体の損傷を防ぐ
  4. 当初は地上要員がA-10の弾倉を手作業で装填していたが時間がかかっていた。1976年に空軍は自動装てんシステムの提案要求を出し、コロニーエンジニアリングColoney Engineering Companyが弾薬装填と使用済み容器の取り外しを同時に行う装置を納入した。
  5. ジェネラルエレクトリックはGAU-8用30ミリ弾を機関銃の基本設計を元に開発した。戦車の装甲を貫徹する弾丸には高硬度貫通部分が必要とされた。最適素材としてタングステンが浮かび上がったが、タングステン供給は中国とソ連が大部分を占めていた。
  6. そこで代替策が見つかった。劣化ウラニウムで発電用原子炉に使うウラニウム濃縮工程で生まれる副産物だ。天然由来のウラニウムのおよそ60パーセントの放射能強度がある。実際に使用すると、推進部分から分離し断片に分かれ炎が発生する。ジェネラルエレクトリック広報では劣化ウラニウムを「重金属」と一般的に説明していた。
  7. ジェネラルエレクトリックはエリコンの304 RK弾丸を原型に二種類の弾薬を開発した。装甲貫徹型焼夷弾はPGU-14/Bの名称がついた。PGU-13/Bは高性能爆薬を使う焼夷弾だ。A-10はPGU-14/BとPGU-13/Bを5対1の比率で装填する。共にアルミ合金の筐体で重量軽減とペイロードを増やしている。
  8. PGU-14/B  API弾は距離1,200メートルで装甲55ミリを貫通し、300メートルだと76ミリ装甲も貫徹する。1979年のテストでA-10はM47パットン戦車をソ連のT-55やT-62に見立て攻撃後評価は「深刻な被害」と評し、低空通過攻撃は「大変効果がある」としている。
  9. 11発から27発命中すれば戦車は破壊される。1,200メートルの距離からでもA-10は12メートル範囲に80パーセントの弾丸を命中させられる。
  10. 1970年代中頃にオランダの武装メーカーHollandse Signaalapparaten B.V.はGAU-8をゴールキーパー近接防御装備システムに採用した。ゴールキーパーは水上艦艇をミサイル、航空機、高速艇の脅威から2,000メートルの有効範囲で守る。複数の海軍が採用している。
  11. A-10はさらに16千ポンドの兵装を主翼下のハードポイントにロケット弾、ミサイルとしてAGM-65マーヴェリック他各種爆弾を搭載できる。A-10の初実戦は1991年の湾岸戦争で推定3千両のイラク車両を破壊しており、うち戦車は900両だった。ある交戦ではA-10二機のでイラク戦車23両を破壊した。
  12. 湾岸戦争の空軍機材では戦車を一番多く撃破したのはF-111だったが、A-10は近接航空支援の中心だった。1991年以降にA-10はアフガニスタンにも配備され、2003年のイラク戦争や2011年のリビア作戦にも投入された。直近ではイラク、シリアでイスラム国を攻撃中だ。
  13. 空軍と州軍に改修済みA-10Cが283機配備されている。ジェネラルエレクトリックはGAU-8機関砲を770基製造し、A-10とゴールキーパーが搭載している。■

2016年7月15日金曜日

ボーイング創立100周年 その功績をアメリカはこう見る


ボーイングは本日創立100周年を迎えます。すでに一民間企業の域を超えた存在ですが、あらためてレキシントン研究所のローレン・トンプソン博士が同社の功績とアメリカにとっての意義を手短にまとめていますので見てみましょう。

  
What Boeing Has Meant For America: A Centennial Assessment
July 14, 2016 Loren B. Thompson, Ph.D


What Boeing Has Meant for America_Page_01
比類なき企業 ボーイングカンパニーの創立は1916年7月15日。以後一世紀でボーイングは世界最大の航空宇宙企業になり、ジェット旅客機、戦闘機、回転翼機、宇宙システムズで名を知られるようになった。年間売上は1,000億ドルに近づきあり、受注残は5,000億ドルほどの同社はアメリカ最大の輸出企業であり、軍用メーカーでは世界第二位だ。
なぜボーイングは生き残れたのか ボーイングは独特の価値観を育て創設者のカリスマ指導力に依存せず、技術で他社の追随を許さない投資を続けたことで同業他社より長く存続している。一部の中心製品だけに依存せず、同社は市場の変化に絶えず適応し、広範な航空宇宙製品に自社技術を巧みに投入してきた。多角化で同社は機会の幅を広げるとともに打たれ強くなった。
恐れず現状を打破したイノヴェーションの歴史 ボーイングはイノヴェーションの豊かな伝統を各方面から受け継いだ。エンジニアリング国家アカデミーは20世紀の傑作工学製品リストにボーイング機を6種類加えている。また787ドリームライナーのような製品で市場の常識を破っている。先をゆくボーイングにはリスクも生まれるが、画期的製品の開発で世界の商文化の方向を変えて成功してきた。
世界を変えた同社製品 ボーイングの737旅客機は歴史上最も使用頻度の高い商業輸送手段である。また777は世界で一番多く活躍するワイドボディ機で飛行距離は他のどの機種より長い。軍用機でも同様にB-52爆撃機やF-15戦闘機は航空優勢を定義する機体となった。B-52は現在も大型爆撃機の中心で、F-15は実戦で一機も撃墜されたことはない。
米経済実績への同社の影響度 ボーイングの社員は160千人、契約企業は20千社を数え米国全土に広がる。民間部門で7割、軍事部門で3割の売上は海外で計上し、全米最大の輸出企業になった。ボーイングはこれまで一度も安価な労働コストや税率を理由に海外進出したことはなく、米国内でイノヴェーションをめざし、各州に関連企業を抱える「エコシステム」を維持している。
米国の安全保障への貢献 第2次大戦のB-17から今日の空母搭載F/A-18スーパーホーネット戦闘機までボーイングは米軍事力による平和維持で中心の役割を果たしている。戦略核兵力の爆撃機、ミサイルの大部分がボーイング製であり、戦闘機、給油機、輸送機、レーダー機材や軍事用回転翼機でも同様。同社製造 の打ち上げロケット、衛星、弾薬は米軍に不可欠な存在だ。
アメリカにとってボーイングのブランドとは ボーイングのブランドは世界で大きな価値があり、人類の進歩への貢献の証明でもある。同社の成功は米国の技術先導性を物語り、製品の競争力も輸出で証明済みだ。同社は民間、軍事両面で顧客とともに努力して成功を得ており、一部門での成功はさらに別部門でも成功に繋がると証明している。
次の100年へ ボーイングは今後も民間輸送機市場で画期的な製品を投入し他社の追随をゆるさないだろう。大型機生産の技は軍用給油機や警戒機に応用され、各種サービス事業は大きな存在に育っており今後も拡大を続けるだろう。宇宙事業も成長分野で、回転翼機でも世界をリードするだろう。有人機・無人機のビジネスチャンスを開拓していくはずだ。■

レキシントン研究所による著者のレポート。より詳しくは下をクリックしてください。



判決後の中国の行方は不明、今の段階では、だが...



中国も閉塞状況に陥ることを防ぐため、急いで手を打ってくるでしょう。どうでもいいようなアフリカやパキスタンといった中国友邦国の中国支援の合唱なのか、フィリピン等関係国への懐柔策なのか露骨な軍事力の誇示なのかまだわかりません。一方で東シナ海情勢についても注目が集まると思いますが、対称的な情勢の違いは日本の抑止力から来ているのでしょう。その意味で今回の選挙でも有権者はまだ意識していませんが、しっかりした安全保障の観点を維持していく、必要な軍事力を整備していくことの重要性は明らかです。日本としては東シナ海で中国の暴走がおこならないようにする一方で、南シナ海の各国との連携で日米豪のプレゼンスを展開していくべきです。だからこそ中国は先回りして日本を牽制しているのですね。

  Experts Say China’s Path After South China Sea Ruling Unclear

By: John Grady
July 13, 2016 3:14 PM


中国が国際仲裁裁判所決定を拒絶する姿勢を明らかにしている中、米中で軍事緊張が高まるのか、交渉の可能性が広がるのか現段階で断言できない。

  1. 元自衛艦隊司令官の香田洋二海将(退役)は今回の裁定結果について日米両国政府には「既成事実」と述べている。
  2. ワシントンDCの戦略国際研究センターに集まった聴衆に香田はスカボロー礁で中国が土地造成に踏み切れば軍事的観点で「情勢が大きく変わる」と指摘。.
  3. 軍事三角形が完成すれば中国は九段線に向け自国本土から兵力投射が可能になることを香田が言及した。「すぐ開戦にならないとはいえ十分備えておく必要が生まれます」仲裁裁判所決定には法的強制力はない。
  4. 王立国際問題研究所で国際法を専門とするジュリア・シュエ主任研究員は今回の決定への中国の反応は「一時的に緊張を高める」効果を該当地域にもたらすが、同時に「各国を将来を考えさせる」結果を生む。同研究員は中国外務省の声明文で交渉に応じるとのくだりに注目し、在米中国大使も同様の発言をしている。
  5. 中国は1970年代から自国を海洋大国とみなし、この五六年に動きを加速し国家指導部も「海から変える」思考で世界における自国の役割を想定してきた。台頭する海洋国家として中国は内陸部では「新シルクロード」で西方への通商をめざし、アジア向けの投資銀行も設立したと同研究員は指摘。
  6. 投資機関エイジアグループを主宰するブライアン・アンドリュースからは「南シナ海問題で中国の負けは米国の勝ち、とゼロサムゲームで見る」のは米側の思い違いと指摘。
  7. 米国のアジア再バランスについて香田は「短期間で成果は出ていない」とし、同盟国同士の日米両国は今回の決定を受け「新しい戦術を生み出す必要がある」という。
  8. 「米国のプレゼンスはインド洋から太平洋まで安定をもたらす存在で、南シナ海はその途中にある」と指摘した。
  9. マレーシアの戦略国際研究所で外交政策と安全保障研究をとりまとめるエリナ・ノールから東南アジア沿海諸国で南シナ海の主権領有権が未解決と指摘が出た。「資源問題もある」とし漁業からエネルギーの存在も指摘した。またマレーシア固有の問題として首都クアラルンプールがある半島部と三時間かかる東のボルネオ島の大部分が同国の主要部分で南シナ海が隔てていることを言及した。
  10. 東シナ海では引き続き日本と中国が尖閣諸島をめぐり緊張しているが、安定した状態だと幸田は指摘した。その理由として海上保安庁の体制が冷静だがしっかりしていること、その背景に海上自衛隊と米太平洋艦隊が必要あれば対応できると指摘し、同地点は「当面は安定した状態」と、五年から七年間先を見越した。■