2012年4月25日水曜日

米軍ISR機材は厳しい現実にさらされています

U.S. Navy And Air Force ISR Plans Jeopardized

avitionweek.com
April 20 , 2012

一年前とは対照的に、情報収集・監視・偵察(ISR)用機材は過酷な向かい風にさらされている。機体の老朽化、データリンクの過負荷、サイバー脆弱性の出現、に加え予算削減だ。
  1. 「ISR は本当に危機的状況になりつつあります。新規購入の予算がつきません。現有の経年機でさえ飛行継続の予算が不足しています。」(この分野に詳しい空軍関係 者) ISR,電子戦、サイバー作戦は技術的には表裏一体であり、運用面でも密接に関係している。かつては国防予算交渉ではそれぞれ優遇されていたもの が、2013年度予算要求では最後の段階で削減対象となり、さらに年末までに軌道に乗っている計画でも更なる削減を免れない可能性がある。
  2. 「大 型有人機のE-3B AWACS、E-8Cジョイントスターズ他の機種が老朽化していますが、現行機を維持することさえままならない現状です。エンジン、エイビオニクスの予備 がなくなってきました。RC-135フリート(リベットジョイント、コブラボール、コンバットセント)は健在ですがその他の機種は大変です。短期的な解決 方法は危機的な予算環境の中では見つかりませんし、そのほかの選択肢も購入資金もありません。関係者一同打開策を模索していますが、運用方法を変更せざる を得ない状況です」(上記空軍関係者).
  3. その解決策となるのは小型無人機のファミリーを開発し、ペイロードを変更することで柔軟に対応することかもしれない。次世代の敵勢力が一層進んだ防空能力を展開する可能性を考慮すると、一定の機体喪失は覚悟しておく必要があろう。
  4. 「こ こでの考え方は一機失っても即座に代替機をつかって必要なデータをてに入れるのです。そのため空軍はISRおよび電子戦用に高性能センサー開発を急いでい ます。単独飛行ではなく群れをなして飛行させる構想です。想定されるのはステルス戦闘用UAVとステルス性がないトラックのような機体で、大量に製造し生 存可能性を期待するというものです。各機はロボットであり、コンピューターと使いプログラムして、仕事をさせます。未完成の滑走路に着陸剃る必要もあるで しょう。機体が小さければこれも難しくはないはずです」
  5. ただし、サイバー作戦関係者は特に小型無人機が実戦に投入されるのはまだ先だと感じている。第一に小型UAVでは大型センサーを搭載できないので、広範囲の監視活動が実施できないし、大群の機体を一度に投入する構想も実現には時間がかかると感じているよう

2012年4月7日土曜日

ステルス技術に対抗するロシアの防空装備充実に注意が必要



Fighters, Missiles For Countering Stealth

aviationweek.com Mar 23, 2012

2010年代以降をにらんだロシアの技術戦略思想を体現した新型航空機、防空兵器の試作型ないし初期生産製品が出現してきた。
  1. 各 く国が兵器体系の開発戦略を実際の状況に応じて打ち出している中、ロシアの国防計画は系統だっており一貫した姿勢が見られる点で一線を画している。米国の 軍事力に対称的に対抗する一方、米国のもつ弱点には非対称的に対応する意図が見られる。ロシアの戦略上の狙いはロシアの政治的主導力を米国が支配的な立場 にとる世界の中で実現することであり、武器輸出で得る収入で国防力整備の制約条件を和らげることにある。
  2. ロシアの選択はF-35共用打撃戦闘機中心とする西側の構想に呼応した戦術防空体制を構築することにある。JSFの配備遅延によりロシアには対応準備で20年以上の時間的余裕が手に入った。
  3. 航空機ではロシアの防空計画は機数ではなく性能を重視し、将来の主力は30トン超の戦闘攻撃機をスホイ製とする。Su-27フランカーから2つの型式が進化する。より小型のMiG-25/35は輸出専用とする。
  4. こ のうちSu-34打撃戦闘機兼中型爆撃機が一番完成度が高い。生産型のSu-34の最初の6機がリペツクの戦術開発部隊に納入されており、今後10機が追 加される。その他92機の発注が3月に発表されており、2020年までに納入される。同機の開発は1980年代末から始まっており、今後Su-24フェン サーの後継機種として、陸上・洋上攻撃任務、航空制圧・敵防空網打撃他のミッションに従事する。
  5. Su- 35S航空優勢戦闘機の飛行テストが1月に始まっている。同機はフランカーを大幅に改良した機体であり、推力ベクトル制御をヨー、ピッチ、ロールで行い、 完全な飛行制御を行う。これによりSu-30MKIで採用されたカナード翼が不要となったことで、従来の速度制限マッハ1.8がなくなり、重量を軽減した 結果燃料をそれだけ多く搭載する。戦闘機としては異例の操縦性を実現し、飛行制御・推力制御を統合したことが大きな特徴だ。.
  6. 搭 載する117Sエンジンは従来より16%出力増であるが、素材の変更と設計変更で重量は従来型にほぼ同じ水準だ。レーダ断面積(RCS)は減り、新型エイ ビオニクス装置に広角視野レーダーwide-field-of-regard radarがあり、電子スキャンアレイと機械式ジャイロgimbalを組み合わせて作動させる。
  7. Su- 35Sはは敵の防空ミサイルの有効射程を減らすことを目標とする。RCSが減ったこととジャミングによりミサイルの性能を減らす敏捷性が得られる。レー ダーにより状況把握が可能となり、退避行動が有効になる。米空軍の高性能中距離空対空ミサイルの弱点を研究してMBDAメテオの開発につながる対抗措置が 考案されている。
  8. 飛 行テストの写真ビデオからは三番目のスホイ戦闘機T-50の革新的な性能がうかがわれる。同機の試作機3号機の初飛行は昨年11月に実施されている。同機 も推力ベクトル制御を備え、双発のエンジンは大きく間隔を与えられた配列になっており、ノズルは30度の可動範囲があり、ピッチ・ロール・ヨー制御が可能 である。垂直尾翼は小さいが全体が可動式だ。はたしてこれら試作機は最終生産の形状なのだろうか。現状の丸いノズルと後部ナセルのカーブはステルス性能上 最適形状ではないし、エンジンは空気取り入れ口で完全にマスクがされていないのだが。
  9. Su- 35SとT-50開発は相互に関連しており、Su-35Sで採用した大型コックピットディスプレイや統合飛行・推力制御の知見はT-50開発陣にも参考に なる。サターン117SエンジンがSu-35Sで採用されているが、T-50搭載の117エンジンはこの発展形である。.
  10. 更 に非対称戦略を取るロシアの将来の空軍力開発では低視認性目標対応counter very-low-observable (CVLO) レーダー技術、長距離高速度地対空ミサイルの開発が重視されており、これを補うのが新世代の短距離地点防衛兵器で接近する誘導兵器を破壊するものだ。想定 している敵のミサイルは対放射線ミサイル、巡航ミサイル、誘導爆弾としている。これらの敵兵器の想定は高度の機動性であり、発射から到達まで5分間しか余 裕が無いと見られる誘導兵器への対抗だ。
  11. ロシアのCVLOレーダーの特徴は波長1メートルのVHFを使うことだ。ステルス戦闘機はVHFには有効ではない。それは垂直尾翼や翼端部分の寸法がこのレーダー波長に近いためだ。レーダー波吸収処理はS-バンド以上のレーダーには有効だがVHFには役立たない。
  12. こ のうち主力となるのがNNIRT/Almaz-Antey製の55Zh6MネボMの3-Dレーダーシステムで100基が発注されており、ロシア防空軍に配 備される。このネボMは多バンド設計となっているのが特徴で、レーダーを三基とデータ統合指揮所を組み合わせており、24トン8輪駆動車数台に分けて運搬 可能だ。
  13. 三 基のレーダーはRLM-M VHFバンド、,RLM-D Lバンド、RLM-S C/X-バンドであり、それぞれ追跡データを指揮命令車に送り、データとして統合される。これは米海軍のシステムと類似しており、高速度ナロービームのデ ジタルデータリンクをマイクロ波バンドで実現するものだ。各レーダーは半導体AESA(アクティブ電子スキャンアレイ)を採用。このネボMではRLM-M バンドでステルス機を補足し、RLM-Dと-Sバンドにより正確な追尾データを確保し、VLO目標が従来型のレーダーでは捕捉できない問題を克服する。有 効捕捉距離は公表されていないが、RLM-Mでは初期のネボ-SVUより最低でも40%長いと見られる。
  14. CVLO レーダー開発は移動型長距離SAMの高速度と対応時間の迅速化の追求と並行している。その狙いは2つだ。敵の情報収集・監視・偵察や電子攻撃機のスタンド オフ活動や領空侵入を出来なくすることと、探知可能範囲にいる間に敵のステルス機を近距離からSAMで狙うことだ。
  15. ロ シアの今後の統合防空システムの構成はS-400トリンフ(SA-21グラウラー)戦略級SAM、S-500トリムファターM、またはSA-X-NN  SAMミサイル防空防空システムとなるだろう。このうちS-400はドゥブロフカ、エlレクトロスタル(モスクワ近郊)、ウラジオストックの各防空部隊に 配備されている。
  16. S-400はS-300PMU2(SA-20Bガーゴイル)の発展形で、X-バンド交戦レーダーを搭載する。同時並行開発で陸軍防空部隊にはS-300V4改修型ミサイルが配備されている。
  17. さらに今後の予定ではS-500がSAM部隊に加わる。現在は開発中で情報が少ないが、公表資料空推察すると9M82Mミサイルがその原型となっているようで、射程500から600キロメートルで弾道ミサイル迎撃モードもある模様。

F-35は本当に配備できるのだろうか 再び費用上昇との報告



JSF Costs Escalate Again

aviationweek.com Mar 29, 2012

   
ペ ンタゴンが議会に3月29日提出した報告書によるとロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機はさらに4.3%の費用増加で3,957億ドル規模にな るという。同日に会計検査院からはJSF関連の予算増加はペンタゴン関連計上位96案件の予算超過の半分以上の規模であり、単体では全体の21%の予算規 模になるとの指摘がなされた。
  1. ペンタゴンは先に同機の小規模精算開始を再度承認しており、この決定はそもそも議会が定めた予算目標未達の恐れから一度は撤回されていたもの。価格上昇は生産減速と予想をうわまわる人件費で一層加速化されている。       
  2. プラットアンドホイットニー製F135 エンジンも9.7%上昇して638億ドルに膨れ上がっており、その原因は予備部品の価格上昇だという。
  3. そのほかソフトウェア改修の開発・統合費用の増加を大きな課題で、全体として維持費用も1兆ドルかかると積算があったものをどこまで圧縮できるかが問題だ。
  4. 議会はこれまでもF-35予算を削減してきたが、 契約手続きの遅れを理由にしてきた。現に同機の第5ロット予算は一年前に認可されているが、契約は未締結だという。
  5. こ れに対しペンタゴンで調達担当トップに就任する予定のフランク・ケンドールFrank Kendallは第五ロット機で不明確な契約があるのは事実であるが、最終価格をめぐり交渉中だと明らかにした。この後に続く2ロット分の交渉手続きの加 速をペンタゴンは希望していると上院軍事委員会で証言しているが、上院議員から透明性を求める意見が出されている。

2012年3月30日金曜日

中国軍の南シナ海での活動強化が同地域各国の軍事力拡充を招いている

                                                                    
                                           

    
                

South China Sea Drives Regional Choices

aviationweek.com Mar 29, 2012                                                         
中国が一層強く領有権を主張している南シナ海で東南アジア各国の国防上の最優先事項は状況を監視し自国の領土を防衛することにある。.
  1. 中国海軍の潜水艦、艦船、監視航空機が該当地域を巡航しており、各国は中国が軍事施設を建設し、石油・ガス掘削施設の開設に道を開くことを危惧している。なお、中国はミスチーフ礁に恒久軍事施設を構築している。.
  2. シンガポール除く地域各国は中国の大規模な軍事力に対して自国装備が貧弱であることを認識しており、まずは主力戦闘機の更新に急いでいる状況だ。空中早期警戒(AEW)と戦闘機向けネットワークの重要性も改めて認識されている。
  3. こ の地域ではずば抜けた軍事力を持つシンガポールはガルフストリームG550にELTAしシステム製のAEW任務用装備を搭載している。同国の戦闘機部隊は ロッキード・マーティンF-16とボーイングF-15で構成される。このうちF-16は改修を受けることが決定しており、AESAレーダーならびにデータ リンクを装備したF-16Vはロッキード・マーティンF-35およびF-22とのデータ交換が可能だという。シンガポールは2003年よりF-35開発に 正式に参加しており、同機の発注をするものと予想される。
  4. シ ンガポールと同等の装備が可能な東南アジア諸国は他にない。それでもなんとか同等の装備取得を目指す動きがある。タイはサーブ・エリアイ Saab ErieyeAEW機を運用しており、発注を追加するようだ。同時にサーブ・グリペンJAS39C/D合計6機を受領しており、さらに6機追加発注中だ。 グリペンにはエリクソン/GEC-マルコーニ製のPS-05/Aを搭載しており、スウェーデン空軍と同等の能力がある。
  5. タ イは更にグリペン6機追加発注する予想があり、合計18機に拡充する。グリペンはノースロップF-5を更新するための購入だ。ネットワーク機能の威力が大 きな購入動機になっている。スウェーデンは敵勢力の位置関係が把握できる能力が高いことで自国戦闘機を効果的に配置できて数の上で優勢な敵を打破できると 主張する。
  6. こ のネットワーク能力は更に次の段階に進もうとしている。サーブはタイ企業アビアサッtコムAvia Satcom,の株式40%を持ち、このタイ企業は戦術データリンクでAEW機を結ぶ技術を開発している。グリペンとF-16の他海軍機・艦船もリンクさ れる。サーブ・エリアイもリンク16も開発中で、米軍のF-16におデータを送信できるようになるが、タイにとっての利点は全国規模で暗号化されてあデー タリンクで指揮命令系統を活用できることだ。
  7. タ イは稼働中のF-16A/B型の改修も行なっている。ここではノースロップ・グラマン製の機械式スキャンレーダー(APG-68V9)、BAE製の新型敵 味方識別装置(APX-113)、電子戦統制装置(ターマTerma製ALQ-213)、ミサイル防衛装置(BAEのALE-47)を搭載する。タイ空軍 のF-16とグリペンにはレイセオンのAGM-65マーベリック空対地ミサイルとAIM-120Amraam、AIM-9サイドワインダー空対空ミサイル を搭載する。
  8. マレイシアもAEW機を追加装備し自国戦闘機とのネットワーク能力向上をめざしている。ノーすロップ・グラマンE-2Dならびにエリアイ製レーダーを搭載したエンブラエルEMB-145の導入を検討している。
  9. またマレイシアは現在配備中のRSK MiG-29の機種変更を検討している。この選定候補はサーブのグリペンJAS39C/D、グリペンNG,ボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネット、ユーロファイターのタイフーン、ダッソーのラファール。
  10. マ レイシアにも旧型のホーネット8機があるが、スーパーホーネットと同等の任務はこなせないと見られる。ボーイングからはGPSおよび敵味方識別能力、共用 型ヘルメット搭載指示装置(JHCS)を内容とする能力向上策が提案されている。JHCSはマレイシアにとってAIM-9X-2サイドワインダーミサイル を導入していることもあり特に必要と考えられている。JHCSを使って同ミサイルの目標捕捉機能に方向を支持し、単に目標を黙視するだけで同ミサイルが誘 導されるからだ。
  11. ラファールもスーパーホーネットと同様に現役の海軍用戦闘機だ。海上運航は重要な要素で同国のクアンタン空軍基地は南シナ海領有権益の保護の役目を持つ。.
  12. イ ンドネシアも南シナ海の権益保護に重大な関心を有しており、米国からロッキード・マーティンF-16C/D合計24機を無償で供与受けつつあり、これに 750百万ドルを支出してブロック52と同等の能力獲得の改修を加える。この改修では敵味方識別警戒レーダー(レイセオンALR-69),モジュラー方式 ミッションコンピュータ、電子戦装置(ターマALQ-213)、ミサイル防御システム(BAEのALE-47対抗措置ディスペンサー)を搭載する他、状況 把握用のデータリンクと目標捕捉用ポッドを加える。
  13. さらにインドネシア空軍なAEW機材の追加導入を求めており、F-16とのネットワーク機能の向上をめざしている。現在はボーイング737-2X9サーベイラーに側方監視空中多用途レーダーを搭載した機材を3機運航している。
                         


2012年3月26日月曜日

同時に多数の機体開発をすすめる中国のねらいはどこにあるのか






China's Air Force Modernizes On Dual Tracks

aviationweek.com Mar 16, 2012


ステルス機、新型爆撃機、無人超音速機、宇宙配備作戦機を中国は開発中であり、2020年代初めには出現しそうだ。
  1. こ の多数の機種を同時に開発している状況は2010年中にふたつのイベントで確認されている。一つは人民解放軍空軍(Plaaf)がはじめて近代兵器を海外 に公開したことだ。西安航空機のH-6爆撃機に成都航空機のJ-10多用途戦闘機、KJ-2000空中早期警戒機、H-6U空中給油機を加えた部隊がカザ フスタンの演習に参加した。もうひとつはその四ヶ月後に成都がステルス戦闘機の試作機としてJ-20と知られる機体の飛行状況を明らかにしたことだ。
  2. 装 備の近代化には国内航空宇宙産業の全体的な進展が頼りだ。「接近拒否」戦略は1990年代末に編み出されたもので台湾を巡る対立がきっかけだった。その後 2005年に「新歴史的ミッション」戦略が生まれ、人民解放軍(PLA)を世界の遠隔地に展開するべく新装備の整備が始まった。
  3. 新 型兵器の開発を加速すべくPLAは国防分野での各社競争を促進しており、この出発点が1998年の兵站活動改革であった。これには政府補助金の重複支出を あえて実施することで実現している。その結果、航空宇宙分野でも戦闘機、無人機、電子装備・兵器の開発と調達でかなりの重複が見られる。”
  4. 戦 闘機の分野では成都と瀋陽が二大メーカーで、両社ともにステルス機と通常型戦闘機を進めている。中国はスホイSu-27SK/UBK/Su-30MKK /MK2を合計176機購入しており、J-11の名称でさらに100機をライセンス生産している。2008年から瀋陽はライセンスを無視したJ-11Bに 国産エンジン、レーダー、兵装を搭載して納入を開始しており、同機が現在の中国空軍の主力国産戦闘機になっており、120機以上が配備されている。J- 10Bにはアクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)が搭載されており、さらに攻撃任務特化のJ-10BSにはJ-16の呼称が与えられている。 大型ステルス戦闘機開発では成都に軍配があがっているが、瀋陽も自己資金で中型ステルス機を開発しており、J-60の名称になるとの観測がある。.
  5. 瀋 陽のJ-15はほとんどスホイSu-33艦載戦闘機と同じ内容であり、PLA海軍の航空部隊の将来を開く存在である。短距離発艦・拘束着艦改修 (Stobar)システムは陸上試験を経て中国の初野航空母艦に搭載される予定だ。J-15の艦載運用試験は今年後半に開始となり、ボーイングF/A- 18E/Fと匹敵する能力を発揮する可能性がある。空母運用部隊にはこれの他に昌河Changhe Z-8空中早期警戒統制ヘリおよびロシア製カモフKa-32対潜ヘリとKa-31AEWヘリが加わるはずだ。
  6. 米 海軍のE-2に匹敵する空中早期警戒・対潜攻撃(AEW/ASW) 機が開発中で、現在建造中の通常動力Stobar空母の後に建造される予定の原子力空母二隻に配備されるだろう。陕西 ShaanxiY-8中型輸送機のASW改造型が登場すると外洋ASW作戦能力と海上監視能力が充実する。
  7. 2003 年以降に200機以上の『ローエンド」成都J-10Aと複座J-10S戦闘機が配備されており、より高性能大型のJ-11Bとハイ・ローミックスが実現し ている。さらに生産はAESAレーダー搭載のJ-10Bに切り替わるだろう。同機は他に赤外線捜索追跡能力、レーダー断面積縮小化、改良型電子戦装備が搭 載される。J-10Bの一機には瀋陽・黎明Shenyang-Liming 製のWS-10Aターボファンエンジンが搭載されている。この機体をもとにパキスタン向けのFC-20が開発されるだろう。
  8. 創 設60周年を2009年10月に終えた中国空軍の将官が次世代戦闘機が2017年から2019年に第一線配備に入ると発言しているが、PLAがロシア製 AL-41ターボファンエンジンを同戦闘機に搭載したい希望を持つとの報道が2010年末にあったことから、この配備予定は現実的なものと評価される。成 都のステルス双発カナード翼付きJ-20がテスト中に撮影されている。同機には15トン級の推力方向制御式ターボファンが搭載される観測があり、超音速巡 航飛行および失速後の機体制御能力が高くなると見られ、AESAレーダーや赤外線警報センサーが搭載されるだろう。
  9. ま た2005年に中国関係者が「F-35級の戦闘機開発を成都が検討中」と伝えた。中国は短距離離陸垂直着陸(Stovl)式の戦闘機に長い間関心を保持し ており、成都がヤコブレフYak-141超音速Stovl試作機の技術から開発することは可能だろう。中型ステルス戦闘機を2020年までに開発すれば輸 出の可能性も高い。輸出ではこれまでは成都がFC-1/JF-17としてパキスタンとの共同開発で先導しており、新型ステルス戦闘機が採用になれば、国際 的にも大きく訴求力が出るだろう。
  10. FC- 1の海外販売に続きJ-10B、J-11B以外に、低価格練習機洪都Hongdu K-8や超音速練習機L-15にも低金利と生産技術移転をつけて輸出が促進されよう。この「食物連鎖』戦略はパキスタンには有効に働き、エジプトやラテン アメリカにおいて次に期待されている。
  11. 中 国空軍と海軍はすでに170機の西安Xian JH-7/JH-7A双発攻撃機を調達しており、西安は更に発展型を開発している可能性がある。ボーイングB-52の長期間稼働・任務内容の変遷を参考 に、西安のH-6K爆撃機は2010年に低率生産となり、一層強力なプログレスD-30KPターボファンと再設計のレーダーと光学装置を機首に搭載してい る。同機は陸上目標攻撃用の巡航ミサイル6発を搭載する。西安が次に開発する爆撃機については情報が不足しているが、2010年代末までに姿を表すだろ う。2009年に大型ステルスのデルタ翼爆撃機のモデルが「公式」として発表されているが、その出典は不明だ。2010年に入り極超音速飛行の研究機関か らマッハ3巡航飛行が可能な機体の論文が出ており、添えられた想像図と空洞モデルは有人型をオプションとする機体のようである。
  12. 今 年か来年にも西安から50トンから60トン搭載能力のあるY-20四発戦略輸送機が出現すると予想されている。ComacのC919双発ターボファン機は リージョナル旅客機としてすでに知られているが、中国関係者はボーイング767サイズのワイドボディ4発ターボファン旅客機の開発計画が西安にあることに ついては口を閉ざしている。この機体が軍用にも転用されると見られる。
  13. 中 国はロシア製サターンAL-31エンジンをSu-27/J-11、J-10A向けに1,000基近く購入しており、各機の稼働期間延長改修も行なってい る。しかし、25年近く集中的に投資を継続して新型の中国製大型高バイパス比ターボファンエンジンが姿を表しつつある。瀋陽・黎明製のWS-10AはJ- 11Bの推進力としては十分だったが、推力は12.7トンの目標に達していない。瀋陽・黎明はさらに15トン級エンジンの開発に取り組んでいる。ガスター ビン研究所からは8.5から9トン級のFC-1ターボファンエンジンがあり、さらに15トン級のエンジンをJ-20に提案している。瀋陽・黎明、西安、 Avic商用航空機エンジンの各社は13トン超ノ高バイパス比ターボファンエンジン開発を進めており、軍用・商用輸送機による採用を期待している他、新型 爆撃機も視野に入っているかもしれない。
  14. J- 10B試作機には中国発の戦闘機搭載ASEAレーダーを南京工学技術研究院 (NRIET) 空採用しており、J-11やJ-15の今後の機体にはAESA搭載が標準となるだろう。NRIETは機械式スキャンのアレイレーダーをJ-10とFC-1 に提供しているが射程100Kmで空対空ミサイル(AAM)二基の制御を同時に行うことが出来る。洛阳LuoyangのPL-12アクティブ誘導AAMは 有効射程100KmでPL-8とPL-9短距離ミサイルの代わりに導入されるだろう。
  15. 中 国はAEW機材を重複して開発しており、「ハイエンド」のKJ-2000はベリエフA-50が原型だ。その他西安Y-8ターボプロップ輸送機改造の小型 AEWもあり、『バランスビーム』式のAESAアンテナを搭載する。このY-8原型のZDK-03には「円盤型」レーダーアレイを搭載してパキスタンに輸 出実績がある。ここに成都/貴州Chengdu/Guizhou の戦略級UAVが加わる。
  16. 宇 宙空間における主導権が空軍により模索されており、宇宙戦能力を求める発言が上層部から2009年末にすでに表明されている。ただ中国の有人・無人宇宙計 画は中央軍事委員会の下の人民解放軍総装備部General Armaments Department が統括している。ただ空軍は成都の青龍Shenlong 小型宇宙機があり、2010年末に準軌道飛行実験を実施していると思われる。これがX-37Bのような機体に発展する可能性はある。飛行する機体の管轄は 空軍にあり、準軌道飛行をする極超音速機を手にする可能性がある。2006年位中国宇宙打上技術研究院が100トン超のスペースシャトルに似た宇宙機開発 を提唱しており、2020年までに効率のよい極超音速機にペイロードを搭載して利用可能になると見られる。
  17. ただ今後の国防関連軌道飛行ミサイルを巡り、総装備部と空軍の対立が発生する可能性がある。2010年1月の弾道迎撃実験は総装備部による実施であり、空軍の超長距離対空迎撃ミサイルと弾道弾迎撃ミサイルの開発は主導権を巡る対立の原因になりかねない。

2012年3月25日日曜日

エアシーバトルに対抗する中国のサイバー作戦に有効な対抗手段はあるのか

New U.S. Doctine Said To Worry Beijing
 aviationweek.com Mar 20, 2012                                                         

オバマ政権は米国の安全保障の焦点をアジアに再び合わせると強調しており、中国の伸び続ける軍事力を特に意識しているが、エアシーバトル構想Air-Sea Battleがここで重要な存在になる。
  1. 米国による再検討は地域内同盟国の枠拡大およびインドを戦略パートナーとして整備することが主な内容。そうなるとエアシーバトル構想が中国情報機関の最大関心事になってくると米国は見ている。
  2. 同構想は対テロ作戦に重点を置いていた戦略を戦力投射power projectionにもどすもので、この裏にはイラク、アフガニスタンの作戦展開経験から荒廃した国の復興を米国だけでは実現できないという事実がある。
  3. エ アシーバトルは米国及びその同盟国による包囲陣への恐怖心を中国に復活させるとシンシア・ワトソン Cynthia Watson(戦略論教授・米海軍大学校)は語る。「中国は米国によるベトナム派兵を見てきましたが、これは想定外だったのです。中国軍の近代化は中国を 大国にするための手段であり、軍事近代化は中国は正しい選択と見ており、一方当方はこれを目の前で進展している脅威と見ます。完全に意見が対立する構造な のです」
  4. 一 方、中国の民間通信企業が軍事・情報戦活動に組み入れられる懸念が広がっている。中国の電子製品三大メーカー華為Huawei、 中興Zhongxing、大塘Datangは政府から研究開発資金を受けて、サイバー作戦、通信情報収集用の機器開発をすすめていると米中経済安全保障検 討委員会U.S.-China Economic and Security Review Commissionは見ている。その他の中国企業もコンピュータネットワークの情報提供でハッカー集団と極めて近い存在にあるといわれる。
  5. このため米国の国防組織、政府組織、民間企業の電子製品サプライチェーンが侵入され「システムに壊滅的な被害を与え、国防・民生両面の重要インフラの維持が困難になる」可能性を同上委員会が指摘している。
  6. こ こまでサイバー安全保障上の脅威となったためかつて国家安全保障庁および中央情報庁長官を務めた米空軍大将(退役)マイケル・ヘイデンMichael Haydenは米国はサイバー上の弱点cyber-vulnerabilityをわざわざ大金を出して創りだしているが、サイバー攻撃の想定対応には逆に 予算が少なすぎると批判している。「サイバー攻撃の遮断は不可能。今こそ攻撃が有効に行われた際を想定して自己修復型・被害最小化self-heal and self-limit damagesネットワークの構築の開発に取り組むべきだ」と主張する。
  7. 情報収集・監視・偵察(ISR)の専門家の間ではこの解決策は宇宙空間とサイバー作戦の融合だというのが常識になっている。
  8. 「接 近阻止・領域拒否anti-access, area-denial 環境での作戦には各領域の統合が不可欠」とラリー・ジェイムズ空軍中将Lt. Gen. Larry James(空軍ISR作戦副本部長、かつて国家偵察局で通信情報収集に従事)は言う。「従来の技術知識tradecraft はサイバー空間では何のの役にも立たない。状況把握の上にサイバー上で情報を収集整理するため、各方面の統合が必要だ」
  9. こ れに対しランド研究所のマーティン・リビッキMartin Libicki主任研究員は想像を超えた範囲と規模のサイバー問題を提起する。「部隊を全く移動することなく世界のあらゆる場所からの攻撃は実施可能で す。サイバー防衛に多くの予算を投入しており、総額600億ドルという推定がありますが、根本解決はまだありません」
  10. そ の最初に核時代の「もし当方を核攻撃すれば、当方も核で反撃する」方針を手直ししすることだと同研究員は言う。「アルカイダがもし米国の送電網を破壊した ら、アルカイダの電力網をダウンさせるぞと脅かしても意味がありません。もし北朝鮮がニューヨーク証券取引所をまひさせても、報復対象になる証券取引所は 平壌にはありません。サイバー諜報活動は武力での報復対象にならないのです」
  11. た だしもう少し前向きな可能性のある選択肢もある。米国がアジア太平洋地域を重視する戦略を採用してサイバー戦略にも変化が生じるのだろうか。「個別具体的 な弱点があるシステムには個別対応が必要でしょう。したがってある地域でのシステムが他の地域で必要なシステムとは違いが出てくるのは当然です」(リビッ キ主任研究員)

2012年3月24日土曜日

P-8A導入訓練の開始が近づく


Navy Readies For Training With First P-8A

aviationweek.com Mar 23, 2012

防衛装備調達で暗いニュースが続く中、米海軍のボーイングP-8Aポセイドン海洋哨戒機は開発日程、費用双方で概ね予定通り進展しているまれな例になっている。
  1. 同機は着実に飛行時間を稼いでおり、量産型の第一号機も3月5日にジャクソンビル海軍航空基地(フロリダ州)に引き渡され、部隊訓練の開始が迫っている。
  2. ペ ンタゴンの運用試験評価部長は2011年度報告書で同機の運用テストの遅延を危惧していたが、関係者は予定通りの進展だと自信を深めている。報告書ではソ フトウェア問題、飛行性能限界の確認の問題で初期運用テスト評価 (IOT&E)の6月予定が実行不能となる可能性を指摘していた。
  3. 「SDD(シ ステム開発実証)は95%完了したとボーイングは説明する。SDD契約では飛行試験用6機、地上試験用2機の生産をすることになっていた。そのうち飛行試 験用の最初の3機と量産型に近い形で運用試験に投入する2機がパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)に配備されている。このまま推移すれば IOT&Eは「6月から8月の間に」完了するという。
  4. 西海岸北部では着氷試験に一機が使用される。アラスカからネブラスカ州まで広範囲の気象条件での試験が進められており、主翼の兵装パイロンの強度が確認されている。.
  5. P-8A1号機T-1は耐空性能試験に使用されており、限界性能が引き上げられ、従来のバック角上限48度が見直される。対潜水艦作戦では53度が必要となる場合があるので、同機の性能限界もそれに呼応して確認される予定ですでに作業が進展している。
  6. テ スト部隊は同時にシステムソフトウェアの問題を解決しつつある。各問題は優先度1ないし2に分類されており、1はミッション上不可欠な能力の実施に支障を 与えるもの、2はミッション実施に支障となり、かつ機内では解決不可能なもの、という定義だ。ソフトウェアに起因してミッションシステムに音響システムな ど不可欠な機能で要求水準をまだ満たしていないものがある、という。ただし、ソフトウェア問題の9割以上が解決済みだとしている。
  7. 一 方、静止試験用機のS-1は2011年早期に評価完了し、S-2疲労試験用機材は今年第四4半期に試験開始する。S-1は火災試験に使用されたあと、高性 能機載センサー (AAS) 開発にも使用される予定。これはレイセオン製のレーダーでP-8A用にAPS-149沿海部監視レーダーシステムの後継機種として開発が進んでいるもの。
  8. た だし先のペンタゴン報告書では海軍がAASのS-1問題の解決を優先する判断に懸念を表明しており、量産段階前に実弾発射試験を完了できなくなるリスクが あるとする。これに対し、ボーイングは懸念はあたらないとし、S-1を分解中で今年後半の実弾発射試験に備えているという。
  9. 初 期低率生産13機のP-8Aの第二号機がミッションシステムの搭載をボーイングフィールドで実施中で、今年中頃に縮小渡される。P-8A用統合訓練セン ターがジャクソンビル海軍航空基地に開設されるのにあわせ実戦想定の飛行・ウェポン戦術訓練機が納入される。予算規模縮小の中、海軍は依然として合計 117機のP-8Aを取得し、P-3オライオンと交代させる意向で、IOT&Eを今年中頃に開始し、部隊配備を2013年に開始する予定だ。