スキップしてメイン コンテンツに移動

ロシア-北朝鮮の連携はギャング同士の同盟のよう。中国が世界経済に背を向けてまでここに加わるとは思えないのだが....

TASS

北朝鮮とロシアの曖昧な連携は東アジアの安全保障に新たな頭痛の種になる。しかし、中国抜きでは力不足だ

シアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩委員長が9月13日ロシア極東で会談した。

2人が何らかのパートナーシップ、あるいは同盟を結ぶのではないかとの不安が広がっている。

確かに両者には共通点が多数ある。ともにマフィア国家を運営するギャングであり、敵が「偶然」窓から落ちるような国であり、汚職が蔓延している。

どちらもアメリカの覇権主義を嫌い、制裁で世界経済から排除されている。両者が同盟を結ぶのは当然のように思える。

しかし、心配する必要はない。これは弱者と自暴自棄の連携である。どちらも、自分たちがうらやむ活気に満ちた自由な世界経済をなかったものにする力はない。核兵器以外には、世界の政治秩序に挑戦する能力もない。

確かに問題を引き起こす可能性はあるが、過剰反応する必要はない。中国が距離を置く限り、ロシアと北朝鮮が同盟を組んでも、スポイラーになるだけだ。世界政治を根本的に変えることはできない。

ロシアと北朝鮮は弱く、だからこそ恐るべき行動をとる

ロシアと北朝鮮に対する私たちの典型的な印象は、巨大で闊達な軍事力で近隣諸国を威嚇する恐ろしい国家というものだ。これには真実もある。両国ともそう見られたいのだ。大規模な軍事パレードを行い、両国の指導者は公の場で軍関係者と頻繁に顔を合わせる。両国とも頻繁に脅しをかけ、日常的に核兵器を口にしている。

しかし、これはほとんど虚勢である。国力の核心的要素は経済力と軍事力である。その結果、国防にどれだけの支出をすることができるのか?ロシアと北朝鮮はどちらも非常に遅れている。

プーチン自身、ソ連の崩壊を「20世紀最大の地政学的大惨事」だったと嘆き、このことを認めている。ソ連とその帝国の大きな経済基盤がなければ、ロシアははるかに弱体化する。ライバルの生産力についていけない。もちろん、北朝鮮の立場はさらに悪い。北朝鮮の経済規模は韓国の5%にも満たない。

その結果、どちらも切実に望んでいる軍事的余裕を持つことができない。ウクライナでロシア軍は、短期決戦のはずが泥沼化している。それどころか、ウクライナでNATOに敵わないことを明らかにした。北朝鮮は何十年もの間、韓国の後塵を拝している。

その結果、両国とも核兵器を誇示している。弱点をカバーしているのだ。しかし、核兵器は力を示すには不十分な手段だ。核兵器は非常に危険で恐ろしいものであり、通常の外交では使い物にならない。プーチンも金正恩も体制の安全保障から利益を得ている-これで誰も攻撃してこないだろう-が、ロシアと北朝鮮には、自分たちを取り巻く日々の政治を変える能力、競争相手に追いつく能力も、アメリカの支配力を削ぐ能力はない。

北朝鮮は貿易で利益を得る

北朝鮮が軍事貿易関係を構築しつつあることに過剰反応する必要はない。悪いことではあるが、破滅的ではない。北朝鮮の弾薬は、ウクライナにおけるロシアの時間稼ぎにはなるだろうが、この戦争におけるロシアの核心的問題、すなわち、技術的に優れた西側諸国によるウクライナへの大規模な援助、はるかに大きなウクライナの戦意、西側諸国や中国と対等であろうとする中で、ロシアの力の容赦ない消耗を解決するものではない。

問題は、ロシアが原子力潜水艦技術やミサイルエンジン技術を北朝鮮に移転することだ。北朝鮮は外国の技術を再利用し、活用することに驚くほど長けている。ミサイル戦力を向上させ、米韓の空爆への生存能力を高めるためにロシアの技術を利用するだろう。

しかも朝鮮半島のパワーバランスが変化する。韓国は、大量破壊兵器で優勢であり、北朝鮮の核兵器使用は大規模な懲罰を引き起こすだろう。私たちはすでに20年近く、北朝鮮の核兵器と共存してきた。

しかし、北朝鮮は貿易で利益を得ている。ロシアは、泥沼化した戦争のため弾薬が必要でたまらず、北朝鮮のようなならず者には通常決して与えないような技術を取引することを検討している。

中国抜きの「権威主義の枢軸」は存在しない

北朝鮮とロシアによる曖昧な連携は、東アジアの安全保障に新たな頭痛の種を加える。しかし、中国抜きではまだ力不足だ。ロシアと北朝鮮には、民主資本主義国家に対する枢軸や対抗秩序を構築する経済的な力はない。そして中国は、両国と経済的に深く結びついている。北京が世界経済と決別し、ロシアや北朝鮮に加われば、確かに革命的なことだろう。しかし、それは実現しない。北京はプーチンの戦争について沈黙している。中国がなければ、プーチンと金正恩はただのヤクザの二人組にすぎない。■

Alliance of the Weak: Why Russia and North Korea Are Joining Forces - 19FortyFive

By

Robert Kelly

About the Author 

Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; RoberEdwinKelly.com) is a professor in the Department of Political Science at Pusan National University and 19FortyFive Contributing Editor.


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...