スキップしてメイン コンテンツに移動

ビーチを滑走路にする特殊作戦用C-130が太平洋で活躍する日がまもなくやってくる....米空軍特殊作成司令部の描くアジャイルコンバット展開ACE構想と滑走路非依存型航空運用

 

S

Crown Copyright




滑走路が少なく、脅威にさらされている太平洋で、砂浜で運用されるMC-130が重要な兵站能力を発揮する可能性が出てきた


軍特殊作戦司令部は、将来の紛争でMC-130JコマンドーII特殊作戦タンカー/輸送機やその他を支援できる即席飛行場として、太平洋全域の浜辺を使用する能力を拡大する。これは、特に中国のような互角戦力の敵対国とのハイエンド戦の初期段階において、整備済み基地がこれまでより脆弱になるという懸念の中で、より「滑走路依存を止める」ための幅広い推進の一部である。

 空軍特殊作戦司令部(AFSOC)のトップであるトニー・バウエルンファインド空軍中将Lt. Gen. Tony Bauernfeindは、先週のAir & Space Forceの年次会議の傍らで、The War Zoneや他のメディアが参加したメディア・ラウンドテーブルで、ビーチ滑走路の重要性を強調した。バウエルンファインド中将はまた、水陸両用型C-130ハーキュリーズや将来の高速垂直離着陸可能機への継続的な関心など、AFSOCが従来型滑走路への依存を減らすため模索中の他の方法についての詳細を共有した。


「......浜辺への着陸能力を検討している」とバウエルンファインド中将は発言。「必要な効果を提供するためにMC-130とCV-22を持ち込むことができる全長3,000フィートのまっすぐなビーチがたくさんある。

 AFSOCは現在、輸送機としても空中給油タンカーとしても構成できるMC-130JコマンドーIIというMC-130のバリエーションのみを運用している。C-130ファミリーは、全体として、長い間、乾燥した湖底や他の未舗装のストリップや氷から切り出された滑走路を含む、様々な未整備の表面から離着陸する能力で有名である。

 CV-22は、AFSOCの特殊作戦に最適化されたV-22オスプレイであり、ヘリコプターのように垂直に離着陸できるが、従来の固定翼ターボプロップ機と同様に巡航する。

 「敵国は数十年にわたりアメリカの戦争のやり方を見てきており、われわれの初期段階基地や前方作戦基地を危険にさらそうとしている。...彼らは、アメリカの統合部隊の動きを鈍らせる方法は......基地を標的にすることだと理解している」とバウエルンファインドは説明する。「バグラム、カンダハール、バラド、アル・ウデイドに常に頼っているわけにはいかないことを認識しなければならない」。

 バウエルンファインドがここで挙げた最初の2つの施設は、何年もの間、アフガニスタンで米軍の主要基地だった。バラドは2003年から2011年にかけてのアメリカ主導のイラク占領時代、アメリカの重要な基地だった。カタールのアル・ウデイドは、中東とそれ以外におけるアメリカの航空作戦の重要な拠点であり続けている。

 空軍全体が、将来起こりうる大規模な戦闘、特に太平洋における中国との戦闘において、基地へのアクセスに懸念を抱いていることは周知の事実である。航空、地上、海上発射の弾道ミサイルや巡航ミサイルを含む、中国の長距離スタンドオフ攻撃能力の武器庫は増え続けている。


西太平洋における中国の弾道ミサイルと巡航ミサイルの射程を示す台湾政府の図。台湾国防省


 ここ数年にわたり空軍は脆弱性を軽減するため、現在「アジャイル・コンバット・エンプロイメント(ACE)」と総称される、分散型・遠征型の新しい作戦コンセプトを進化させてきた。ACEは、遠隔地や過酷な場所を含む多数施設に、予測しにくい方法で部隊を迅速に展開する能力に重点を置く。ACEはまた、これらの戦術・技術・手順を補完するため、固定・配備可能な基地防衛の拡大や、相手を欺く新たな方法など、さらなる能力を模索してきた。

残念なことに、太平洋の大部分では、滑走路として使用できるかどうかにかかわらず、乾燥した土地へのアクセスが制限されることが多い。浜辺を着陸帯として利用する能力は、さまざまな作戦を支援する潜在的な着陸帯の総数を増やす貴重な方法となりうる。

 浜辺を飛行場として利用するという発想は新しいものではなく、第二次世界大戦までさかのぼる。米軍はまた、朝鮮戦争とベトナム戦争で、航空基地を迅速に建設する能力を実証した。米海軍と海兵隊は、朝鮮戦争とベトナム戦争において、陸上に「航空母艦」のようなものまで建造している。

 仮設のアルミマットを使用して、各種地表上により強固な滑走路を設置する能力は、現在も米軍が訓練で採用している。空母で見られるようなポータブルのアレスティング・ギアも、比較的短い滑走路を持つことが多いこの種のポップアップ施設を、より高性能の戦術機が利用できるようにする。

 しかし、先週バウエルンファインドが話していたのは、改良を加えずにビーチから作戦を行う準備という意味合いが強かった。この文脈で同中将がMC-130に言及したことは、すでに述べたように、同機はそもそも未改良路面から運用できるのだから、まったく理にかなっている。

 実際、英空軍(RAF)とデンマーク空軍は、それぞれの国で未改良の海岸からC-130運用を日常的に実践している。RAFは今年初めに最後のC-130を退役させたが、A400Mでこの訓練を続けている。

 AFSOCの責任者は先週、米国の乗組員が過去にヨーロッパで同様のビーチランディング訓練に参加したことがあると述べた。

 「我々は過去にヨーロッパ戦線でビーチランディングを使ったことがある。そして、太平洋の浜辺が一時的な飛行場として同じように適しているかどうかを理解するために、技術チームと協力するつもりだ」とバウエルンファインドは語った。「まだわからないが、技術者たちに調べてもらうつもりだ」。

 AFSOCは、太平洋の浜辺を滑走路として使用する可能性を探るのに、特に有利な立場にある。AFSOC内のエンジニアリング・コミュニティは、世界対テロ戦争時代に遠隔地や過酷な施設を設置した長年の経験を持つだけでなく、特殊戦術部隊は、しばしば普通では想定しない地域で、パラシュートで一時的な着陸帯を設置する訓練を定期的に行っている。筆者が以前、情報公開法(Freedom of Information Act)を通じて入手した機密解除文書では、いわゆるアサルトゾーン偵察チーム(AZRT)が2013年、中東での作戦を支援するために、着陸帯、降下帯、その他の一時的な活動場所の候補地として、中東だけで300近くの場所を評価したとある。

 このためには、各種機材を扱うのに適した場所を迅速に評価する手順が必要で、そのような航空機は通常とは異なる方法で構成されたり、搭載される可能性がある。ここ数年で、AFSOCはMQ-9リーパーのセンサーを使い、道路や未舗装路を含む下方の地形を空中評価し、ドローンが着陸できるかどうかを判断する能力を実証した。これまでは、この作業には地上の人員が必要だった。

 バウエルンファインド中将は先週、「3,000フィートの直線高速道路が世界各地でどこにあるのかを見つけるために、戦術、技術、手順に立ち戻っている」とも述べている。

 空軍は、C-130貨物機にライトニング・マルチセンサー・ポッドを搭載し、正確な空中投下や着陸帯に潜在的な危険がないことを確認するテストを行っている。また、C-130型機に搭載されたポッド型レーダーを使い、南極の氷の滑走路の航空調査を行い、滑走路が安全に使用できるか確認している。

 同じ能力とスキルセットは、太平洋やその他の場所のビーチが適切な着陸帯かどうかを判断する際にも適用できる。AFSOCはこの種の作戦の実施に特に適しているが、これは米軍の他の部隊にも当てはまる。たとえば、空軍の特殊作戦以外の部隊や、米海軍や海兵隊の部隊もC-130タイプを飛ばしている。海兵隊はまた、F-35B供用打撃戦闘機を、従来型滑走路がない場所から短距離で離陸し、垂直に着陸させる実験を非常に積極的に展開している。


最近の演習でカリフォーニア州の高速道路で待機する海兵隊F-35B。ジェームズ・デボア


ビーチランディングが言及した準備は、友軍の移動の自由を確保し、敵の攻撃から守るための、より大きな戦術、技術、手順の要素の1つにすぎない。米軍全体が、将来のハイエンドな紛争における脆弱性を軽減するため、分散した作戦を実施しなければならなくなることが強く予想される。

 バウエルンファインドは先週の円卓会議で、AFSOCがMC-130J水陸両用能力(MAC)や高速垂直離着陸(HSVTOL)の取り組みを含む「滑走路にとらわれない選択肢」に広く焦点を当てていることを明らかにした。国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は現在、空軍も関与しSPRINT(Speed and Runway Independent Technologies)と呼ばれるプロジェクトも運営している。

 バウエルンファインドは同プロジェクトについて、「MACはまだ技術開発中であり、我々はリソースを提供し続けている」とは語った。

War Zoneは、2021年にMACプロジェクトが浮上して以来、AFSOCの水陸両用C-130への関心を注視してきた。5月、空軍関係者は、プロトタイプ構成の飛行テストは、昨年か今年のうちに行われるとの以前の期待にもかかわらず、まだ2〜3年先だと述べていた。水陸両用C-130は、もちろん陸地滑走路を必要としない


ベルHSVTOLコンセプト機の3つの階層を示すレンダリング。MC-130Hコンバット・タロンII(空軍が退役させたもう1機の特殊作戦用C-130)が左上に見える。右の背景にはCV-22オスプレイが見える。ベル


 HSTVOLは、AFSOCが2006年にCV-22を導入して得た、滑走路に依存しない重要な能力の上に構築される可能性がある。

 「我々はCV-22を20年近く保有している。そして、CV-22に代わって何がその能力になるかを検討するために、私たちは将来に軸足を置いている」とバウエルンファインド中将は先週語った。それは、「特殊作戦部隊を(必要な場所に)移動させる戦力であり、かつ、急な着陸にも対応できるターミナルエリアの柔軟性」である。

Air Force Special Operations Command is looking at expanding its ability to land on beaches around the world as part of a shift toward "runway agnostic" operations.オーストラリアでのタリスマン・セイバー2023演習で、未舗装路を利用する米空軍MC-130J。オーストラリア国防総省。オーストラリア国防総省


 ともかくMC-130やCV-22、そしておそらくその他航空機を操縦する空軍特殊作戦部隊が、必要なときにいつでも短距離滑走路として世界各地のビーチを利用できるよう、訓練を拡充する可能性は非常に高いと思われる。■


Special Ops C-130s Using Beaches As Runways Eyed For Pacific Fight

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED SEP 19, 2023 10:12 AM EDT

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM