スキップしてメイン コンテンツに移動

E-8 JSTARS が作戦運用を終了。後継機なし。砂漠の嵐作戦からウクライナまで各地を飛んだISR機材が後継機なしとは悲しい

U.S. Air Force airmen assigned to the 10th Expeditionary Airborne Command and Control Squadron walk toward an E-8C JSTARS at Ramstein Air Base, Germany. <em>U.S. Air Force/Airman 1st Class Jared Lovett</em><br>

U.S. Air Force airmen assigned to the 10th Expeditionary Airborne Command and Control Squadron walk toward an E-8C JSTARS at Ramstein Air Base, Germany. U.S. Air Force/Airman 1st Class Jared LovettU.S. Air Force airmen assigned to the 10th Expeditionary Airborne Command and Control Squadron walk toward an E-8C JSTARS at Ramstein Air Base, Germany. U.S. Air Force/Airman 1st Class Jared Lovett



砂漠の嵐からウクライナ戦争までE-8C JSTARSの情報収集能力と戦闘管理能力はいつも引っ張りだこだった

 20年以上も世界各地の戦場で重要な情報と戦闘管理を提供してきた米空軍のE-8C統合監視目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)が、運用を終了した。E-8Cの退役は既定方針だったが、後継機なしに退役することが長期にわたる議論の種となっていた。

E-8Cの運用終了は、ロビンズ空軍基地に駐留するジョージア州空軍の第116航空管制団により本日発表された。

「22年にわたる献身的な任務の後、E-8C JSTARSは最後の運用任務に就いた。「E-8C JSTARSは数え切れないほどの作戦で重要な役割を果たし、部隊を支援し、国を守ってきた。この20年間、任務を成功に導いてくれた多くの隊員に感謝する」。

本誌は、第116航空統制飛行隊と航空州兵に問い合わせたが、JSTARSが最後の作戦飛行を行ったのは確かなようだ。

E-8Cが2023年6月26日にドイツのラムシュタイン空軍基地から同型機の現役最後の任務に就いて3カ月後となった。JSTARSは、ロビンズ空軍基地からヨーロッパで展開する第10遠征空挺指揮統制飛行隊が運用された。

同隊がジョージア州の基地に戻った後は、第116航空統制飛行隊に「JSTARSの解散を完了させる」よう任された、と空軍は当時のメディアリリースで説明している。

その時点まで、JSTARSは、ロシアの本格侵攻を前に、ウクライナの上空を直接飛ぶなど、指揮官に重要な情報を提供し続けていた。

1991年の砂漠の嵐作戦でデビューした中東上空でも、バルカン半島上空でも、E-8Cは戦場管理の指揮統制と情報収集を両立させる能力で珍重されてきた。監視アセットとして、JSTARSは合成開口レーダー(SAR)機能を提供し、スタンドオフレンジで地上環境の画像のようなレーダーマップを作成するほか、地上移動目標表示(GMTI)機能も備えていた。特に、GMTIは広域の車両の動きを追跡することができる。

E-8Cは非常に価値の高い機体であったため、いずれは近代的なビズジェット機体をベースとした新しいプラットフォームに取って代わられるだろうと予想されていた。JSTARSは1990年代初頭に就航したばかりだが、707の中でも最も古い機体のひとつである。E-8の改造に古い機体を使う選択は、E-8就役後の機体の即応性と持続可能性の面で問題となる。

The E-8's cockpit looks ancient by modern standards. <em>116th Air Control Wing</em>

E-8のコックピットは現代の基準からすると古くさい。第116航空統制団

しかし2018年、JSTARSの代替プログラムは中止された。中国やロシアのようなハイエンド敵対国に直面した場合、非常に高性能な長距離防空システムや対接近/領域拒否戦術を持つ有人プラットフォームは脆弱すぎる懸念があったからだ。簡単に言えば、ビズジェットはこのような防衛システムから遠く離れた場所で運用しなければならないため、高度なセンサーを搭載していても必要なインテリジェンスの質は得られない。

An E-8C JSTARS aircraft taxis at Ramstein Air Base, Germany, during the last few weeks of operations for the type. <em>U.S. Air Force/Airman 1st Class Jared Lovett</em><br><a href="https://www.ramstein.af.mil/News/Article-Display/Article/3445345/historical-last-active-duty-jstars-flight-at-rab/undefined"></a>

ドイツのラムシュタイン空軍基地で、E-8C JSTARSの最後の数週間の運用中にタキシングする。米空軍/ジャレッド・ラベット1等空兵

代替案として空軍は、JSTARSが担っていた指揮統制の任務を、高度戦闘管理システム(ABMS)が担うという「システム・オブ・システム」型アプローチに落ち着いた。

A U.S. Air Force graphic illustrating one aspect of ABMS: a communications pod installed in a KC-46 Pegasus tanker that allows F-35 and F-22 stealth jets to connect and instantly receive and transmit information. <em>U.S. Air Force</em>

ABMSの一面を示す米空軍のグラフィック。KC-46ペガサス・タンカーに搭載された通信ポッドにより、F-35とF-22ステルス・ジェットが接続され、瞬時に情報を送受信できる。米空軍

ABMSは当初、地上と空中での目標追跡能力に重点を置いたJSTARSの代替計画の一部と見られていたが、構想が成熟するにつれて、より野心的なものにもなっていった。最終的にABMSが求めているのは、米軍だけでなく同盟国全体でリアルタイムにデータを収集、処理、共有できるデジタル・バトル・ネットワーク・システムにほかならない。ABMSの要求は、センサーデータのために、有人・無人の高度先進プラットフォームや人工衛星を含む「分散型アプローチ」をとり、幅広いプラットフォームに依存することを意味する。

宇宙配備センサーに関しては、GMTI能力を持つレーダー衛星のコンステレーションで機密領域で研究が行われていることが分かっている。空軍は2023会計年度予算要求の中で、国防長官がE-8C全機の処分を正当化するため「戦闘指揮官の要求を満たす間隔ベースのGMTI能力が存在することを証明した」と述べた。

<em>116th Air Control Wing</em>

第116航空管制団

暫定的に、米軍はSAR/GMTIインテリジェンスを主機能とするRQ-4Bブロック40グローバルホーク無人偵察機を投入する。また、U-2Sドラゴンレディ有人偵察機もあり、SARやその他の能力を含む広範囲の高高度ISRを提供しているが、その退役計画は、浸透力のある高高度、長耐久無人プラットフォームの存在に向けたもう一つの指針である。グローバルホークの退役予定もまた、そのことをまざまざと示している。RQ-180として暫定的に知られている高機密機は、SARやGMTIなど、はるかに競合する空域でISR任務を遂行できるはずだが、現時点では公式には詳細が確認されていない。

Notional RQ-180 concept rendering.&nbsp;<em>Hangar B Productions</em>

RQ-180のコンセプト・レンダリング。ハンガーBプロダクション

AN/APS-154アドバンスド・エアボーン・センサーとして知られる極秘レーダー・システムを搭載した米海軍P-8Aポセイドンの特殊任務バージョンも、特に沿岸環境で、これらの能力の一部を提供することができる。MQ-9リーパー無人偵察機も、専用のレーダーポッドを装備した場合、SARとGMTIを提供することができる。一方、ステルス性の高いRQ-170ドローンは、戦術的なSAR/GMTI能力を備えていると推測されているが、非常に特殊な任務のために、少数しか利用できない。一部の戦闘機含む戦術機もSAR/GMTIが可能だが、これらの他のシステムのように広範囲を持続的に観測できない。

少なくとも空中偵察に関しては、米陸軍がその責任の一部を担うことができるかもしれない。陸軍の高精度探知探査システム(HADES)は、かつてE-8Cが提供していたのと同じ種類のSARとGMTI機能を備えた地上監視レーダーをビジネスジェットに搭載して実戦配備する計画だ。

E-8Cの機能は将来のABMSアーキテクチャでは役割を果たさないが、そのホスト・ステーションは果たすことになる。今年6月、空軍は戦術作戦センターがロビンズ空軍基地に設立されると発表し、これにより「飛行士が地上からISR(情報、監視、偵察)作戦を実施するためのより大きな自由度を提供する」と述べた。

タクティカル・オペレーションズ・センターは、ロビンズ空軍基地にもたらされる近代化の一部にすぎない。最終的には、ロビンズはABMSネットワークの重要な一部となり、空と宇宙の「フュージョン・センター」となる。また、E-11A戦場空中通信ノード(BACN)航空機も配備される。この航空機は、戦場上空に「アクティブ・ネット」を構築し、さまざまな空中プラットフォームや陸海軍との間でデータを迅速に転送するために設計された、高度に専門化された通信ゲートウェイ・ノードを搭載している。

ABMSが完全成熟すれば、高度な紛争環境でも生き残れるISRと指揮統制能力を強化する空軍の目標が達成される。しかし、それはまだ先のことで、E-8Cの退役決定が、議員たちの反対を招いた。しかし空軍は、JSTARS処分で強い意志を持ち続けた。

今後どうなるにせよ、E-8Cが歴代の作戦に果たした貴重な貢献は疑いようがない。E-8Cが最後の最後まで高需要アセットであり続けた事実は、同機が非常に印象的なレガシーである証しだ。■


E-8 JSTARS Has Flown Its Last Operational Mission | The Drive

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED SEP 26, 2023 3:38 PM EDT

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM