スキップしてメイン コンテンツに移動

レバノン上空を飛行中とされる謎のドローンの映像からイスラエルの極秘ステルスUAV「RA-01」の憶測を呼んでいるが実態は?(The Aviationalist)

 RA-01

2024年10月28日にレバノン沖で撮影されたとされる謎のドローン(画像クレジット:The Aviationist using screenshots from video posted on X) 





スラエルの極秘ステルスUAV「RA-01」ではないかとされるドローンの映像が公開された。 2024年10月28日、かなり離れた場所からスマートフォンで撮影されたと思われる低解像度動画がX(旧Twitter)に投稿された。 

 このクリップを最初にシェアしたアカウントは、同日レバノンで撮影されたと主張している。 


イスラエルの極秘ステルス機RA-01と主張するドローンのクリップを詳しく見る。

 重要な考察 RA-01の背景 謎のドローンを映した映像とスクリーンショットが投稿されて以来、ソーシャルメディア上で広く拡散し、最近その存在が公表されたイスラエルのRA-01ドローンの目撃の可能性について憶測を呼んでいる。 

 この分析では、動画を詳細に検証し、ドローンの外観が報告されているRA-01の特徴と一致するかどうかを探り、ユニークな視覚的要素を評価し、映像が本物に見えるのか、それともデジタル加工された可能性があるのかを検証する。 

 また、RQ-180含むその他ステルス・ドローンと比較し、デザインの類似性を理解する。 

 映像の長さは約15秒、フレームレートは約60FPSと高い。 

 フレームには、低空で安定した飛行経路を持つ無人航空機が映っている。同機は、RQ-180ステルスUAVを彷彿とさせるデザインで、滑らかで細長い胴体と、まっすぐな後縁を持つ大きなスパンの飛行翼を特徴としている。 

 特に探知を逃れるように設計されたステルス機にしては、異常に低い高度を飛行している。 

 このような低高度は、視認性を高め、地上の観測者が映像を捕捉しやすくする。これは、通常、発見されないように高高度で飛行するステルス無人機にとっては極めて異例である。 

 さらに、ステルスUAVは、イスラエル空軍が長い間、低観測(LO)資産を必要とせず、堂々と活動できる能力を実証してきたレバノン上空の飛行よりも、むしろ敵対空域の奥深くで隠密の長距離任務に適している。 

 白昼の飛行と相まって、このドローンが本当にRA-01なのかどうか、また、その設定の信憑性、あるいは意図的な展示の可能性さえも疑問視されている。 

 機体はRQ-180に似ている。 しかし、輪郭の細部、特に主翼と胴体のテーパーに違いがあり、これは新型機であることを示すか、映像が加工されている場合、視覚的に不正確であることを示す可能性がある。 

 また、このドローンはRQ-180(過去に高高度を飛行しているのが目撃されている)よりもはるかに小さいはずだ。 

 映像がデジタル加工されたものかどうかを判断するのはほとんど不可能だ。 

 照明と影が一様に見えるが、これは自然に再現するのは難しく、特に変化に富んだ日中の飛行では難しい。しかし、そのことと、実際の映像に見られるような大気の状態による微妙な不規則性がないこと以外には、CGIの可能性を示唆するものはほとんどない。 

 さらに、この映像が本当に2024年10月28日に記録されたものなのか、あるいは主張されているようにレバノン沖で記録されたものなのか、未確認のままである。 

 地理的位置や追加の確認がなければ、このシーンの背景は簡単に複製されたり、変更されたりする可能性がある。 

 とはいえ、機体のデザインは既知のステルスUAVに類似しているものの、白昼の低空飛行と、UAVの存在に関する報道が表面化したわずか数日後の出現は、この映像の正当性に疑問を投げかけている。 

 RA-01ドローンの公式確認がないため、憶測が飛び交い、この謎の航空機の役割と起源は秘密のベールに包まれたままだ。

 誰かが、ビデオはオービター5ドローンではないかと示唆したが、オービターUAVファミリーのデザインは異なる。

 結局のところ、RA-01なのか、別の未知のタイプなのか、あるいは低解像度の映像で形が歪んで見える別の何かなのか、判断するのはほぼ不可能だ。

RA-01の背景 RA-01と呼ばれるイスラエルの機密ドローンの存在に関する噂は、先週、国家地理空間情報局(NGA)から米国の機密文書がリークされたのを受けて広まり始めた。 

 現在ソーシャルメディア上で広く共有されている文書では、イスラエル国防軍(IDF)が長距離任務が可能な高度なステルスUAVを運用している可能性があると主張している。

 RA-01が存在するとすれば、偵察と潜在的な戦闘作戦双方のために設計されている可能性が高い。

 RA-01の詳細はまだ掴みどころがなく、公式な情報源からはそのデザインや運用能力についての確認は取れていない。

 観測筋によれば、イスラエルのUAV産業は、レーダーを回避する高度なUAVを開発してきた長い歴史があるため、このようなドローンを製造できる可能性があるという。

  The War Zoneによると、RA-01の名称は、監視と戦闘の両方の役割を持つ多目的プラットフォームである可能性を示唆しており、より伝統的な防衛システムと並んでイスラエルの航空能力を向上させる可能性がある。

 一部の報告によれば、RA-01はネゲブ砂漠にあるイスラエルのラモン空軍基地に収容される可能性があり、衛星画像には、おそらくユニークな航空機の保管と配備に特化した建造物が写っているという。

 リーク文書は、イスラエルのミサイル防衛シナリオと密接な関係があるとされるなど、RA-01の運用可能性を示唆しているが、この無人機に関する具体的な証拠はまだ乏しい。

 イスラエルが高度な抑止力を維持することに重点を置いていることを考えると、RA-01あるいは類似のプラットフォームが、おそらく中東上空の任務で、すでに限定的に運用されている可能性は十分にある。また、この極秘ステルス機が先日のイラン攻撃に参加した可能性もある。 

 同時に、RA-01の存在や能力に関する情報は、意図的な偽情報戦略である可能性も十分にあることを思い起こす価値がある。 

 米国の文書でさえ、不正確な情報や戦略的誇張が含まれているかもしれないと指摘する専門家もいる。 ■


David Cenciotti is a journalist based in Rome, Italy. He is the Founder and Editor of “The Aviationist”, one of the world’s most famous and read military aviation blogs. Since 1996, he has written for major worldwide magazines, including Air Forces Monthly, Combat Aircraft, and many others, covering aviation, defense, war, industry, intelligence, crime and cyberwar. He has reported from the U.S., Europe, Australia and Syria, and flown several combat planes with different air forces. He is a former 2nd Lt. of the Italian Air Force, a private pilot and a graduate in Computer Engineering. He has written five books and contributed to many more ones.


Video of Mysterious Drone Allegedly Flying Over Lebanon Sparks Speculation on Secret Israeli RA-01 Stealth UAV

Published on: October 29, 2024 at 12:44 PM

https://theaviationist.com/2024/10/29/mysterious-drone-video/


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...

F-15ジャパン・スーパーインターセプター(JSI)プログラムの支援契約をボーイングが獲得(The Aviationist)―68機が米国で改修され、大幅な性能向上が実現する見込み。

AIM-120AMRAAM8機とAGM-158JASSM1機を搭載したF-15ジャパン・スーパーインターセプター。 (画像出典:ボーイング) 総 額4億5,100万ドルの契約は、ジャパン・スーパー・インターセプター・プログラムの一環として、航空自衛隊F-15J68機の改修を支援するもので、現在、米空軍のF-15EXイーグルIIで実戦配備されている機能の一部を導入する。  米国防総省(DoD)は2024年12月10日、空軍ライフサイクル・マネジメント・センターが ボーイング に対し、F-15ジャパン・スーパー・インターセプター・プログラムを支援するため、2024年11月22日の同様の契約(1億2920万ドル)に続き、4億5050万ドル相当の契約を発注したと発表した。この契約にはFMS(対外軍事販売)も含まれ、スーパーインターセプターに装備される新型レーダー、自己防御システム、ミッションコンピューターユニットの取得が含まれる。 F-15ジャパン・スーパーインターセプター計画 アップグレード ジャパン・スーパー・インターセプター(JSI)プログラムは、ボーイングが日本の老朽化した単座F-15J戦闘機68機を近代化するものである。 World Air Forces 2024によると、航空自衛隊は現在、155機の単座F-15Jと44機の複座F-15DJを保有しており、その一部はJ-MSIP(Japan-Multi-Stage Improvement Program)によって改修された。  JSIプログラムは、ボーイングのセントルイス工場(ミズーリ州)とエグリン空軍基地(フロリダ州)で取り組み、2030年2月までに完了する予定である。航空自衛隊のために163機のF-15Jと36機の2人乗りF-15DJをライセンス生産した日本の 三菱重工業 (MHI)は、アップグレードパッケージが終了した後、アップグレード作業を現地で実施する。 2024年5月15日、那覇基地でのサザンビーチ演習で離陸準備をする航空自衛隊第304飛行隊所属のF-15Jイーグル。 (イメージクレジット:USAF/Melany Bermudez) F-15ジャパン・スーパーインターセプター計画 日本の老朽化したF-15イーグル迎撃戦闘機の近代化プログラムでは、既存のF-15J/DJ戦闘機のうち68機がアドバンスド・イ...